JP2011209251A - 車高検出装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】専用の車高センサを設けることなく、簡易な構成で車高検出装置を提供する。
【解決手段】車高を検出する車高検出装置10において、車体に固定され、車両周辺の測定対象物までの水平距離Aを測定するソナー40と、車体に固定され、車両周辺の測定対象物を撮像するカメラ30と、撮像された測定対象物の所定部の画像データ,水平距離A,及びソナー40とカメラ30との位置関係データ(B,β)に基づいて、測定対象物の所定部に対するカメラ30の地上高Hを算出し、この地上高Hから車高を算出するECU20と、を備えた。
【選択図】図3

Description

本発明は、車高検出装置に係り、特に駐車支援システム等の車両に備え付けられている装置を用いて、車高を検出するように構成された車高検出装置に関する。
ヘッドランプの光軸制御、駐車支援制御等の種々の車両システムで車高センサが用いられている。
例えば、特許文献1に記載のヘッドランプの光軸制御装置では、クロスメンバ下部に地面に向けて複数の超音波センサ(車高センサ)が配置されている。また、特許文献2に記載の駐車支援装置では、車両後方下部に地面に向けて超音波センサ(車高センサ)が設けられている。特許文献1及び2では、超音波センサを用いることにより、地面との距離を音波を用いて測定することで、直接的に車高を求めることができる。
また、特許文献3に記載の駐車支援装置では、スタビライザに、車高センサが設けられている。特許文献3の車高センサでは、スタビライザの回転角度を検出することで、車高を検出することができる。
特開2007−176296号公報 特開2002−293196号公報 特開2004−114840号公報
しかしながら、特許文献1乃至3に記載のような従来の車高センサは、地面付近に配置されているので、飛石等から保護するための構造が必要である。このため、センサ単体の価格が高価であることに加えて、強度的に丈夫に構成する必要があるので、車両価格を押し上げると共に、重量増となるという問題があった。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、簡易な構成で重量増となることがなく、安価に構成することが可能な車高検出装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明は、車高を検出する車高検出装置において、車体に固定され、車両周辺の測定対象物までの水平距離を測定する距離測定手段と、車体に固定され、車両周辺の測定対象物を撮像する撮像手段と、撮像された測定対象物の所定部の画像データ,水平距離,及び距離測定手段と撮像手段との位置関係データに基づいて、測定対象物の所定部に対する撮像手段の地上高を算出し、この地上高から車高を算出する車高算出手段と、を備えたことを特徴としている。
このように構成された本発明によれば、撮像手段及び距離測定手段からの画像データ及び水平距離と、距離測定手段と撮像手段との位置関係データに基づいて、車高算出手段が計算処理により車高を算出することができる。これにより、本発明の構成要素は、車両の既存のシステム(駐車支援システム)を利用して構成することができるので、専用の車高センサを設けることなく、車高を求めることが可能となる。
また、本発明において好ましくは、測定対象物の所定部は、測定対象物の地面との接触部とすることができる。このように構成された本発明によれば、測定対象物の所定部を測定対象物の地面との接触部とすることで、画像データからの当該部位の認識及び特定を容易にすることができる。
また、本発明において好ましくは、車高算出手段は、画像データに基づいて、撮像手段の撮像部から見た所定部の上下方向角度を算出し、水平距離と位置関係データに基づいて、撮像手段の撮像部の光軸方向における撮像手段と所定部との間の第2の水平距離を算出し、上下方向角度及び第2の水平距離を用いて、地上高を算出する。このように構成された本発明によれば、撮像手段による画像データと、距離測定手段による水平距離と、撮像手段と距離測定手段との位置関係データによって、車高を簡易に算出することができる。
また、本発明において好ましくは、車高算出手段は、画像データに基づいて、撮像手段の撮像部から見た測定対象物の所定部の左右方向角度を算出し、この左右方向角度を更に用いて第2の水平距離を算出する。このように構成された本発明によれば、測定対象物が、撮像手段の光軸の延長上から外れて位置している場合でも、車高を算出することができる。
本発明によれば、専用の車高センサを設けることなく、簡易な構成で車高検出装置を提供することができる。
本発明の実施形態による車高検出装置の説明図である。 本発明の実施形態による車両後部の説明図である。 本発明の実施形態による車高検出装置の構成ブロック図である。 本発明の実施形態による画像データを示す説明図である。 本発明の実施形態による車高検出装置の測定状況を説明する図である。 本発明の実施形態による車高検出装置の測定状況を説明する図である。 本発明の実施形態による画像データを示す説明図である。 本発明の実施形態による車高及び傾斜角度算出処理の処理フローである。
以下、添付図面図1乃至図8を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1に示すように、本実施形態の車両1は、車両1の車高及び前後方向の傾斜角度を算出する車高検出装置10を備えている。
車高検出装置10は、車両に搭載されたECU20と、車両後部に固定されたバックモニタ用のカメラ30と、カメラ30周辺のバンパー付近に固定された複数のソナー40(40a,40b,40c,40d)とを備えている。
本実施形態の車高検出装置10は、車両1に搭載された既存の駐車支援システムを利用している。すなわち、ECU20、カメラ30、ソナー40は、駐車支援システムの構成要素である。
ECU20は、CPU、メモリ、入出力装置等を備えたものであり、駐車支援システムを制御すると共に、車高検出装置10の制御手段としても機能する。ECU20は、カメラ30から画像データ、ソナー40から水平距離測定データを受取り、車両1の車高及び傾斜角度を算出して、関連システムへ車高及び傾斜角度データを送出する車高算出手段として機能するように構成されている。
カメラ30は、車両1の後方画像を、撮像部としての撮像レンズ部30a(図5参照)を介して連続的に撮像する撮像手段であり、画像データをECU20へ送出する。なお、撮像部は、ピンホールや反射鏡等であってもよい。
ソナー40は、所定の指向性を有する超音波センサであり、車両周辺の物体(測定対象物)との水平距離を測定し、水平距離測定データをECU20へ送出する距離測定手段である。ソナー40は、カメラ30よりも下側で、地面に近い位置に配置されている。
図2は、車両1の後部を車両上方から見た説明図である。カメラ30は、車両1の幅方向中央部に配置されており、撮像レンズ部30aの光軸Zが車両1の前後方向に延びる中央軸線の方向に沿って後方に向けられている。また、カメラ30は、光軸Zが水平方向hから所定角度(例えば20°〜30°程度)下方向を向くように配置されている。これにより、カメラ30は、車両1の後部周辺の撮像範囲を撮像する。
また、図2に示すように、ソナー40は、車両1の後部の4箇所に設けられており、カメラ30を挟んで車幅方向の両側に2箇所ずつ配置されている。ソナー40a、40b、40c、40dは、それぞれ距離測定範囲Ka、Kb、Kc、Kd内にある測定対象物までの水平距離を測定することができる。
なお、本実施形態では、4つのソナー40a〜40dが設けられているが、これに限らず、1つ又は複数個のソナーを設けることができる。また、本実施形態では、距離測定手段として超音波を用いるセンサを用いているが、これに限らず、電磁波や非可視光等を用いるセンサを用いても良い。
図3は、本実施形態の車高検出装置10の構成ブロック図である。
ECU20は、カメラ30から受け取った画像データを画像処理する画像処理部21、画像パターンマッチング処理に用いる画像パターンを記憶した画像パターン記憶部22、ソナー40から水平距離測定データを受け取り水平距離データに変換するソナー計測部23、各種学習値,設定値及び算出値を記憶する記憶部24、車両1の車高及び傾斜角度を算出する車高・傾斜角度算出部25を備えている。また、ソナー計測部23は、車速センサ52から車速データを受け取る。
なお、駐車支援システムとしての画像処理部21は、LCD等からなるバックモニタ表示部50に画像データを送出する。これにより、運転者は、駐車操作時に車両1の後方をバックモニタ表示部50により確認することができる。
また、車高・傾斜角度算出部25からは、車高・傾斜角度利用機器54へ車高及び傾斜角度データが送出される。車高及び傾斜角度データを利用する車高・傾斜角度利用機器54は、例えば、ヘッドライト光軸制御システム、バックミラー角度制御システム、車高調整システム、燃料計制御システム、サスペンションダンパーシステム等である。
図4は、カメラ30により撮像された画像データの例を示している。
この画像データは、カメラ30の撮像レンズ部30aのレンズ種類に応じて適宜に画像変換されたものであってよい。図4では、車両1の後方右寄り(画像データ中では左寄り)に測定対象物である支柱2が撮像されている。
カメラ30は、上述のように、車両1の後部に位置合わせされた状態で固定されている。詳しくは、カメラ30は、運転者のみが運転席に乗車し、他の乗員が乗車しておらず、標準の積載物以外の積載物が積載されていない状態(測定基準状態)において、車両1の所定高さ及び所定車幅方向位置となるように車両1に固定されている。また、カメラ30は、測定基準状態において、撮像レンズ部30aの光軸Z(基準光軸Z0)が、車両後方且つ水平方向から所定角度下方向を向くように位置合わせされている。
このように位置合わせされたカメラ30による画像データでは、測定基準状態において、図4の画像データ中の点V0(0,0)に消失点が位置する。なお、本実施形態では、消失点が撮像範囲に含まれるように光軸Zの上下方向角度が設定されている。消失点は、水平面に置かれた測定基準状態の車両1から撮像した画像データ中において、車両1の水平方向後方の無限遠方の仮想点に相当する。
また、図4に示すように、画像データの各点には、左右方向角度Xと上下方向角度(又は見下ろし角度)Yとが割当てられており、ECU20(画像処理部21)は、画像データの各点座標に対応する角度X及びYを対応データとして記憶部24に記憶している。
左右方向角度Xは、カメラ30の光軸Zに対する左右方向の角度であり、カメラ30の位置を基準としたときに、測定基準状態において、測定対象物が光軸Z(又は消失点)から左右方向に角度Xだけ離れた位置にある場合に、その測定対象物は、画像データ中において左右方向角度Xの点に表示される。
上下方向角度Yは、カメラ30の光軸に対する上下方向の角度であり、カメラ30の位置を基準としたときに、消失点V0(0,0)を原点として、消失点V0を基準とした仰角及び伏角(見下ろし角度)が上下方向角度Yである。したがって、測定基準状態において、測定対象物が消失点V0から上下方向に角度Yだけ離れた位置にある場合に、その測定対象物は、画像データ中において上下方向角度Yの点に表示される。
図4では、測定基準状態で撮像した支柱2が破線で示されている。この支柱2は、車両1が置かれた地面上に直接設置されており、図2及び図4から分かるように、支柱2の地面との接触部(又は下端)の前縁のうち、カメラ30に最も近い点が、画像データ中の特定点P0で示されている。
一方、他の座席への乗員の搭乗やトランクルームへの荷物の搭載により、車両1の車高は変化する。また、一般に、車両1のような乗用車では、乗員や積載物による車高変化は、後端が大きく、前端はほとんど変化しない。よって、車両の前後傾斜角度変化は、車両前端を回転中心として車両後端が回動することで生じるものと近似することができる。
上述のように、車高が変化すると、カメラ30の光軸Zも上下方向に変位する。また、車高の変化に伴って、車両1の前後傾斜角度が変化するので、カメラ30の光軸方向も僅かに変化する。例えば、車両1の後端が沈んで車高が低くなった場合、光軸Z(又はカメラ30)もこれに連れて低い位置に変位すると共に、カメラ30の光軸Zは測定基準状態における基準光軸Z0から下向きに傾く(図5参照)。これにより、画像データ中では、支柱2及び消失点は上側に移動する。なお、図5では、基準光軸Z0は、単に下向きの傾き角度を説明するために付加されており、カメラ30の上下変位を考慮していない。
図4では、車高が低くなった状態で撮像した支柱2が実線で示されている。また、このときの消失点は仮想の点Vの位置に移動し、支柱2の特定点P0も点P(X,Y)へ移動する。
次に、図5及び図6に基づいて、本実施形態の車高及び傾斜角度の算出処理について説明する。
図5は、側方から見た車両1と支柱2との位置関係を示している。また、図6は、平面視におけるカメラ30,ソナー40(40c),支柱2の位置関係を示している。なお、図5及び図6では、荷物等の積載により、車高が低くなった状態を示している。
以下では、距離測定手段としてソナー40cが用いられ、ソナー40cとカメラ30との組合せで車高等を算出する場合について説明する。
測定基準状態では、カメラ30は、基準地上高(又は学習地上高)H0に位置する(図1参照)。しかし、車高が低くなった状態では、図5に示すように、カメラ30は地上高Hに位置し、この地上高Hは基準地上高H0よりも僅かに低い。また、車両1は後端側が低くなり、僅かな傾斜角度Rcで傾く。これにより、光軸Z(低車高時光軸Z)も測定基準状態の基準光軸Z0と比べて僅かな傾斜角度Rcだけ下側に傾いている。
また、図5に示すように、支柱2の地面Gとの接触部のうちカメラ30に最も近い点が所定部である特定点Pに相当する。また、図6に示すように、支柱2の特定点Pは、カメラ30から光軸Zの延びる方向において、水平距離L(第2の水平距離)だけ離間している。詳しくは、点Pは、カメラ30の撮像レンズ部30aを横切り且つ光軸Zと平面視で直交する横方向線cTLに対して、水平距離Lだけ離間している。本実施形態では、この横方向線cTLは車幅方向に延びているが、光軸Zと平面視で直交していれば、必ずしも車幅方向に沿って延びていなくてもよい。
また、図6に示すように、水平距離Bは、点S(ソナー40c)と点Q(撮像レンズ部30a)との間の水平距離であり、この2点を結ぶ平面視における線SQ(水平距離B)と横方向線cTLとのなす平面視角度は角度βである。カメラ30と複数のソナー40との位置関係データ(B、β)は、既知でありECU20の記憶部24に記憶されている。
ソナー40cと支柱2との水平距離Aは、ソナー40cにより測定される。
また、水平距離Cは、点Q(カメラ30)と特定点Pとを結ぶ線PQの水平距離である。
図5に示すように、支柱2の点Pは、カメラ30から見て水平方向に延びる線hに対して略角度Yだけ下方向に位置している。詳しくは、側面視で、特定点Pと点Q(撮像レンズ部30a)を結ぶ線は、線hと略角度Yをなしている。したがって、図4の画像データ中では、特定点Pは略下方向角度Y(この場合は30°)に現われる。なお、本実施形態では、水平方向に延びる線hと線PQとがなす角度Yを求めているが、必ずしも線hを基準にする必要はなく、他の方向に延びる線を基準としてもよい。ただし、下記式(3)を利用するためには、線hを基準とするのが好適である。
また、図6に示すように、支柱2の特定点Pは、平面視で、点Qを基準にして光軸Zから角度Xだけ車両右方向(カメラ30からは左方向)に位置している。詳しくは、光軸Zと、点Qと特定点Pを結ぶ線PQ(水平距離C)とは、平面視で角度Xをなしている。したがって、図4の画像データ中では、特定点Pは右方向角度X(この場合は30°)に現われる。なお、この線PQ(水平距離C)と線cTLとは、平面視で角度α(α=90°−X)をなしている。
以上のように、ECU20(画像処理部21)は、画像データを画像処理して特定点Pを特定することにより、角度X及びYを求めることができる。
これらのデータを基に、ECU20(車高・傾斜角度算出部25)は、以下の式を用いて、車高H及び傾斜角度Rcを算出する。
上述の水平距離A、水平距離B、水平距離C、角度α(α=90°−X)、角度βとの関係は、式(1)で表される。
Figure 2011209251
これらのうち、A、B、α(=90°−X)、βは、ソナー40による水平測定距離,記憶部24に記憶された規定値,又は画像データから求められる値であるので、上記式(1)から、水平距離Cを算出することができる。
また、水平距離Lと角度αとの関係は、式(2)で表される。
Figure 2011209251
式(1)により水平距離Cが求められているので、式(2)から水平距離Lを算出することができる。
なお、本実施形態では、カメラ30とソナー40とが平面視で異なる位置に配置されているが、これに限らず、カメラ30とソナー40とが平面視で同じ位置に配置されていてもよい。この場合は、A=C、B=0、β=0°となり、上記処理をより簡略化することができる。
また、本実施形態では、光軸Zから左右方向に外れた位置に位置する測定対象物を利用しているが、これに限らず、平面視で光軸Zの延長線上に位置する測定対象物のみを利用するように構成してもよい。この場合は、α=90°(X=0°)、C=Lとなり、上記処理をより簡略化することができる。
さらに、カメラ30とソナー40とが平面視で同じ水平位置に配置され、且つ、平面視で光軸Zの延長線上に位置する測定対象物のみを利用するように構成してもよい。この場合は、α=90°(X=0°)、A=C=L、B=0、β=0°となり、上記処理をさらに簡略化することができる。
さらに、傾斜角度Rcが小さいので、カメラ30の地上高Hと水平距離Lとの関係は、式(3)で近似することができる。
Figure 2011209251
よって、式(2)により水平距離Lが求められているので、式(3)からカメラ30の地上高Hを算出することができる。また、車両1の所定部位の車高は、地上高H、及び当該部位とカメラ30との位置関係データから算出することができる。
さらに、地上高Hと、基準地上高H0との関係は、式(4)で表される。なお、L0は、車両1の車両前後方向における前輪中心からカメラ30までの水平距離である。なお、車両1のサスペンション特性と車両重心とから仮想回転中心を求め、この仮想回転中心からカメラ30までの水平距離をL0とするのがより好ましい。
Figure 2011209251
なお、基準地上高H0は、車両1が上記測定基準状態にあるときに、式(3)から算出し、記憶部24に記憶させた学習値であってもよいし、予め設定された値であってもよい。
また、改変例として、車高H及び傾斜角度Rcは、以下のように算出してもよい。
まず、測定基準状態から徐々に積載物を搭載していき、車高及び傾斜角度を実測すると共に、車高及び傾斜角度を各水平距離Lにおける地面部分の見下ろし角度Yに関連付けて、対応関係データテーブルを記憶部24に記憶させておく。
そして、ECU20は、上記算出処理において、水平距離L及び角度Yを求め、このデータ組合せに基づいて、上記対応関係データテーブルを参照することにより、車高H及び傾斜角度Rcを直接的に求めることができる。
次に、本実施形態における測定対象物の認識処理について説明する。
画像パターン記憶部22には、一般的な路面画像パターンや、道路標識のパイプ,縁石,車止め等の測定対象物の画像パターンがテンプレートとして記憶されている。
ECU20(画像処理部21)は、カメラ30からの画像データを画像処理して、画像データのうち輝度信号が異なっている領域を、測定対象物の候補領域として抽出する。そして、ECU20(画像処理部21)は、この候補領域に画像パターンをマッチングさせることにより、候補領域がどの測定対象物であるのかを特定する。このとき、画像データに路面画像パターンをマッチングさせて、路面画像パターンとマッチングする度合が高い領域を画像データから除外して画像範囲を絞ることで、効率的に候補領域を特定するように構成してもよい。
さらに、ECU20(画像処理部21)は、測定対象物であると特定した画像領域の下端を測定対象物の前端と認識する。この測定対象物の前端は、測定対象物が地面と接する接触部(特定点又は特定領域)になる。より好ましくは、特定した接触部のうち、地面の高さにおいてカメラ30から最も近い部分をさらに特定する。このように、接触部を特定することで、図2における点Pに相当する特定点(又は小領域)が限定される。
なお、以下のようにして測定対象物の認識精度を向上させてもよい。
本実施形態では、カメラ30は、単一又は単眼のカメラであるので、画像データ中の物体が、地面に直接設置されているのか、他の支持部材によって支持され宙に浮いた状態となっているのかを区別するのが難しい。
例えば、後方に位置する車両のバンパーやナンバープレートは地面に接していないので、画像データ中の下端が地面との接触部とはならない。このため、バンパーやナンバープレートを、接触部を有する測定対象物として用いることはできない。また、車両1が置かれた地面と高さが異なる段差上に道路標識等が設置されている場合も、同様の理由でこれらを、接触部を有する測定対象物として用いることができない。
よって、測定対象物の検出精度を向上させるためには、これら物体を測定対象物から除外する必要がある。このため、車両1の移動中に車速が所定速度以下の低速になった場合(停止時、発車時等)において、時間的にわずかにずれた異なる時刻に撮像された2つの画像データを用いることができる。これら2つの画像データを比較することで、ECU20(画像処理部21)は、画像データ中の物体が地面に直接設置されているのか否かを判別することができる。詳しくは、2つの画像データを画像処理することにより、同一物と認識できる物体を特定し、地面の移動距離等に基づいて、この特定された物体が地面から浮いたものであるか否かを判別することができる。
また、ガードレールのパネル部分のように宙に浮いている部分(ただし、支柱部分は地面に接している)を画像パターンとして記憶しておき、この画像パターンに基づいて、画像データからパネル部分を除外するように構成することで、測定対象物の検出精度を向上させてもよい。
なお、本実施形態では、1台のカメラ30を使用しているが、複数台のカメラ30を用いてもよい。このように複数台のカメラ30を使用することで、時間的にずれた異なる時刻に別々に撮像する必要がなくなり、また、車両1が移動している必要もなくなる。
さらに、本実施形態では、カメラ30が単眼のものであったが、カメラ30としてステレオカメラを使用することで、複数台のカメラを用いたのと同じ効果を得ることができる。
また、本実施形態では、測定対象物のうち地面との接触部を点Pとして特定して算出処理を行っているが、これに限らず、寸法が既知の特定の測定対象物の上端や特徴点等の特定部位を代わりに用いても良い。この場合、例えば、マッチング処理で用いる標識や縁石等の測定対象物の画像パターン(テンプレート)毎に、高さ寸法を含む寸法データを記憶しておくことで、測定対象物の特定部位を特定点に用いることができる。このように構成することで、測定対象物の地面との接触部が画像データから判別し難い場合であっても、路面からの高さ寸法が既知である上端や特徴点等を特定部位(特定点)として用いることで、当該測定対象物を上記算出処理に利用することができる。
次に、走行中における車高及び傾斜角度算出方法について説明する。
以下に説明する処理は、車速センサ52からの車速データがゼロより大きい速度を示している場合に適用され、特定的には、車両1が高速道路等の平坦な道路上を走行中であって、測定対象物がカメラ30の撮像範囲にない場合に好適に適用することができる。
図7は、高速道路上を走行中に撮像された画像データである。この画像データには、上下方向角度のみが付加的に表示されている。
ECU20(画像処理部21)は、画像処理により画像データ中で所定長さ以上直線状に延びる領域である道路の路肩線、横断歩道、中央線、路側帯、反射板の並び等を認識し、これらを延長した交点の位置(画像データ中の座標)を算出する。この交点が消失点Vに該当する。図7の例では、道路の路肩線60a,60b、及び、車線区画線(中央線)60cが認識され、これらが消失点Vを特定するために用いられる。
ECU20(画像処理部21)は、消失点Vの上下方向角度(見下ろし角度)Yを画像データから算出する。図7の場合は、約4°(>0°)である。すなわち、図4に示した消失点V0と比べて所定角度(約4°)変位している。これにより、車高が僅かに低く、また、車体が僅かに傾斜していることが分かる。
ECU20(画像処理部21)は、この角度Yと車高H及び傾斜角度Rcとの対応関係データを記憶しており、この対応関係データを利用して、角度Yから車高H及び傾斜角度Rcを算出することができる。
なお、本実施形態では、消失点を求めているが、これに限らず、画像処理によって画像データから地平線を特定することで、地平線の上下方向角度(見下ろし角度)Yを算出すれば、消失点の場合と同様の処理を行うことができる。
次に、図8に基づいて、本実施形態のECU20の処理フローについて説明する。
この処理フローは、所定時間毎に繰り返し行われ、車高H及び傾斜角度Rc並びにそれぞれの平均値が算出される。
なお、記憶された車高H及び傾斜角度Rc並びにそれぞれの平均値は、車高及び傾斜角度が変化する可能性のあるイベント(例えば、エンジンスタート、ドア開閉等)が発生すると、リセットされる。例えば、エンジンスタート前やドア開閉により、乗員の乗り降りや、積載物の積み下ろし等が行われる可能性があるため、車高及び傾斜角度が変化する可能性がある。これらのイベントは、ECU20が、エンジンスタート信号、ドア開閉信号等を受け取ることにより判定することができる。そして、リセット後には、車両1が移動し停止及び発車する毎に、以下の処理フローが繰り返し行われることで、新たに車高H及び傾斜角度Rc並びにそれぞれの平均値が算出され、記憶される。
まず、ECU20(ソナー計測部23)は、車速センサ52からの車速データに基づいて、車両1が停止したか否かを判定する(ステップS1)。
車両1が停止していれば(ステップS1;Yes)、ECU20(ソナー計測部23)は、各ソナー40a〜40dから水平距離測定データを取得する(ステップS2)。
取得した水平距離測定データから、ECU20(ソナー計測部23)は、水平距離データを算出し、これに基づいて、各ソナー40からの所定水平距離内に物体があるか否かを判定する(ステップS3)。
所定水平距離内に物体が検出されなかった場合(ステップS3;No)、処理を終了し、所定繰り返し時間後にステップS1の処理を再び行う。
一方、物体が検出された場合(ステップS3;Yes)、ECU20(画像処理部21)は、水平距離測定時のカメラ30からの画像データを取得する(ステップS4)。
なお、物体が検出された場合は、その物体を検出した1つ以上のソナー40が特定される。その物体を特定したソナー40が複数の場合には、検出した各ソナー40とカメラ30との複数の組合せで以下の算出処理が行われ、複数の車高H及び傾斜角度Rcが算出される。また、複数の物体が検出された場合には、各物体について、車高H及び傾斜角度Rcが算出される。これにより、より高い精度で車高H及び傾斜角度Rc並びにこれらそれぞれの平均値を算出することができる。
取得した画像データに基づき、ECU20(画像処理部21)は、測定対象物を特定するための画像処理を行う(ステップS5)。この画像処理では、ECU20は、画像データから、輝度の異なる領域(測定対象物の候補領域)を抽出し、この候補領域と、画像パターン記憶部22に記憶された画像パターンとのマッチングを行い、これにより、候補領域がいずれの測定対象物(標識、縁石等)であるかを特定する。さらに、ECU20は、特定した測定対象物の前端(すなわち、地面との接触部(特定点))を特定する。
なお、候補領域を抽出した後、画像パターンとのマッチングは必ずしもを行わなくてもよい。マッチングを行わない場合、ECU20(画像処理部21)は、抽出した候補領域を測定対象物とみなして、前端を特定する。
次いで、ECU20(画像処理部21)は、画像データ中において、特定した測定対象物の前端(特定点)の座標位置を特定し、画像データの座標位置と上下方向角度の割り当てデータから、測定対象物の前端の上下方向角度Yを求める(ステップS6)。なお、このとき、ECU20(画像処理部21)は、測定対象物の前端の左右方向角度Xも同時に求める。
求めた上下方向角度Y、及びソナー40で測定された測定対象物までの水平距離Aに基づいて、ECU20(画像処理部21)は、求めた上下方向角度Yが合理性のあるものであるか否かを判定する(ステップS7)。この処理により、測定対象物の誤認を検出することができ、誤認していた場合には(ステップS7;No)、処理を終了する。
この判定処理では、水平距離Aと上下方向角度Yとの関係に基づいて上下方向角度Yが合理性のある範囲の値であるか否かが判定される。例えば、各水平距離に対して、上下方向角度が取り得る数値範囲を設定することで、求められた上下方向角度が、この範囲から外れた場合には、測定対象物を誤認していたと判定することができる。具体的な例では、測定対象物が段差上に設置されていた場合には、上下方向角度が設定範囲を下回る。
上下方向角度Yが合理性のあるものであった場合(ステップS7;Yes)、ECU20(車高・傾斜角度算出部25)は、車高H及び車体傾斜角度Rcを算出する(ステップS8)。車高・傾斜角度算出部25は、ソナー計測部23から取得した水平距離Aと、画像処理部21で求められた左右方向角度X、及び上下方向角度Yと、記憶部24から取得したカメラ30と対応するソナー40との位置関係データ(B、β),基準地上高H0,車両寸法データ(L0)等を用いて、上記式(1)〜式(4)に基づいて、車高H及び傾斜角度Rcを算出する。
車高H及び傾斜角度Rを算出すると、ECU20(車高・傾斜角度算出部25)は、これら算出値を記憶部24に記憶する(ステップS9)。
なお、算出された車高H及び傾斜角度Rcが、これまでに記憶されている値と統計学的に大きく異なる場合は、測定対象物を誤認したおそれがあるので、そのような算出値は除外し、記憶部24に記憶しないようにしてもよい。
また、ECU20(車高・傾斜角度算出部25)は、これまでの繰り返しの処理によって記憶部24に記憶された複数の算出値(車高H及び傾斜角度Rc)を用いて、これらの平均値(又は中央値等)も算出し、記憶する(ステップS10)。
そして、ECU20(車高・傾斜角度算出部25)は、求めた車高及び傾斜角度の平均値を各種の車高・傾斜角度利用機器へ送信し(ステップS11)、処理を終了する。
本実施形態では、車両1が置かれた路面状況によっては、算出された車高H及び傾斜角度Rcに誤差を含むおそれがある。例えば、路面に轍や凹凸がある場合は、誤差が大きくなる。したがって、異なる測定対象物を用いて本処理フローを繰り返し行い、ステップS9でその度毎に車高H及び傾斜角度Rcを求め、ステップS10でこれらの平均値を算出することで、平均化により算出値の精度を向上させることができる。
一方、ステップS1の処理で、車両1が停止していない場合(ステップS1;No)、ECU20(画像処理部21)は、カメラ30から画像データを取得し、この画像データに基づいて、上述のように消失点を特定する(ステップS12)。
そして、ECU(車高・傾斜角度算出部25)は、消失点の上下方向位置に基づいて、車両1の車高H及び傾斜角度Rcを算出する(ステップS13)。なお、この場合においても、算出された値が、記憶されている値と比べて統計学的に有意なものでない場合は、算出された値を除外するように構成することができる。
次いで、ECU20(車高・傾斜角度算出部25)は、算出した車高及び傾斜角度を車高・傾斜角度利用機器へ送信し(ステップS11)、処理を終了する。
なお、上記ステップS2〜S11の処理は、車速センサ52からの車速データがゼロより大きい速度を示している場合にも適用してもよい。また、上記ステップS12、S13の処理は、車両1が高速道路等の平坦な道路上を走行中であって、測定対象物がカメラ30の撮像範囲にない場合に好適に適用することができる。
以上のように、本実施形態の車高検出装置10は、既存の駐車支援システムのバックモニタ用のカメラ30、ソナー40、ECU20を利用して、ECU20に追加の処理を行うためのソフトウェアを付加するのみで車高H及び傾斜角度Rcを算出することができ、安価に実現可能である。これにより、車高検出用に超音波センサ等の車高センサを別途設ける必要がないので、車両1の重量及びコストを低減することができる。
さらに、車高センサを別途設ける場合には、この車高センサは地面付近で地面に面するように配置されるので、飛石や汚れ等により、車高センサが破損してしまったり、車高センサによる計測ができなかったりするような不具合が生じるおそれがある。しかしながら、本実施形態では、別途の車高センサを設ける必要がなく、また、使用するカメラ30やソナー40は、地面に面するようには設置されないので、従来の車高センサのような不具合の発生を抑制することができる。
また、本実施形態では、複数のソナー40のいずれかとカメラ30との複数の組合せにより、それぞれの組合せから車高及び傾斜角度の算出値を得ることができる。このように複数組の算出値を得ることにより、算出精度の向上を図ることができる。
また、上記実施形態では、車両1の後部に設置されたカメラ30及びソナー40を用いて、車両後方の測定対象物から車高H及び傾斜角度Rcを算出していたが、これに限らず、車両1の前部及び左右側部にもカメラ及びソナーを設けて、同様に車高H及び傾斜角度Rcを算出してもよい。このように、車両1の後部、前部、及び左右側部で測定することで、より正確に車高及び傾斜角度を算出することができる。
1 車両
2 支柱(測定対象物)
10 車高検出装置
21 画像処理部
22 画像パターン記憶部
23 ソナー計測部
24 記憶部
25 車高・傾斜角度算出部
30 カメラ
30a 撮像レンズ部
40、40a−40d ソナー

Claims (4)

  1. 車高を検出する車高検出装置において、
    車体に固定され、車両周辺の測定対象物までの水平距離を測定する距離測定手段と、
    前記車体に固定され、車両周辺の前記測定対象物を撮像する撮像手段と、
    撮像された前記測定対象物の所定部の画像データ,前記水平距離,及び前記距離測定手段と前記撮像手段との位置関係データに基づいて、前記測定対象物の所定部に対する撮像手段の地上高を算出し、この地上高から車高を算出する車高算出手段と、を備えたことを特徴とする車高検出装置。
  2. 前記測定対象物の所定部は、前記測定対象物の地面との接触部であることを特徴とする請求項1に記載の車高検出装置。
  3. 前記車高算出手段は、前記画像データに基づいて、前記撮像手段の撮像部から見た前記所定部の上下方向角度を算出し、前記水平距離と前記位置関係データに基づいて、前記撮像手段の撮像部の光軸方向における前記撮像手段と前記所定部との間の第2の水平距離を算出し、前記上下方向角度及び前記第2の水平距離を用いて、前記地上高を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の車高検出装置。
  4. 前記車高算出手段は、前記画像データに基づいて、前記撮像手段の撮像部から見た前記測定対象物の所定部の左右方向角度を算出し、この左右方向角度を更に用いて前記第2の水平距離を算出することを特徴とする請求項3に記載の車高検出装置。
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