JP2011202587A - 燃料ポンプの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】レゾネータによらずに燃料管路の圧力脈動による悪影響を低減する。
【解決手段】本実施形態に係る高圧燃料ポンプ8の制御方法は、エンジン0の回転出力により往復駆動されるプランジャ86と、このピストンの往復駆動によって容積を拡縮させる圧送室83と、燃料タンク78と前記圧送室83との間に介在して両者間の流通を開閉するスピル弁84とを備え、当該スピル弁84の開放時間を操作してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量を制御する燃料ポンプの制御方法であって、燃料タンク78と燃料ポンプとの間の管路Kにおいて燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更している。
【選択図】図11
【解決手段】本実施形態に係る高圧燃料ポンプ8の制御方法は、エンジン0の回転出力により往復駆動されるプランジャ86と、このピストンの往復駆動によって容積を拡縮させる圧送室83と、燃料タンク78と前記圧送室83との間に介在して両者間の流通を開閉するスピル弁84とを備え、当該スピル弁84の開放時間を操作してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量を制御する燃料ポンプの制御方法であって、燃料タンク78と燃料ポンプとの間の管路Kにおいて燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更している。
【選択図】図11
Description
本発明は、シリンダ内に直接燃料を噴射する態様のエンジンに実装される燃料蓄圧用ポンプの制御方法に関するものである。
いわゆる直噴ガソリンエンジン等では、高圧化するシリンダ内に燃料を噴射できるよう、インジェクタに供給する燃料も高圧化する必要がある。そのために、燃料ポンプから圧送した燃料を一旦デリバリパイプと呼称される蓄圧管に高圧状態で貯留した上で、各シリンダのインジェクタに分配するようにしている。
燃料ポンプによって間欠的に燃料を圧送することにより、燃料タンクと燃料ポンプとの間の管路には圧力脈動が生じ、ときにそれが共振して圧力振幅が極端に大きくなってしまうことがある。この圧力脈動による悪影響を抑制するためには、燃料管路にレゾネータを設けることが有効であるとされる(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、レゾネータを設置することに伴うエンジン構造の複雑化及びコスト増は否めない。
本発明は、レゾネータによらずに燃料管路の圧力脈動による悪影響を低減することを所期の目的としている。
本発明は、このような目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。すなわち本発明に係る燃料ポンプの制御方法は、エンジンの回転出力により往復駆動される燃料圧送用ピストンと、このピストンの往復駆動によって容積を拡縮させる圧送室と、燃料タンクと前記圧送室との間に介在して両者間の流通を開閉する電磁弁とを備え、当該電磁弁の開放時間を操作してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量を制御する燃料ポンプの制御方法であって、燃料タンクと燃料ポンプとの間の管路において燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更することを特徴とする。
このようなものであれば、燃料タンクと燃料ポンプとを繋ぐ燃料配管に専用のレゾネータを設けずとも、燃料配管内での圧力脈動の共振を回避することができる。
燃料を圧送する燃料ポンプはエンジンによって駆動されることから、エンジンにとって負荷となる。燃料ポンプによるエネルギの損失を軽減するには、燃料圧送用ピストンを押す複数のカム山を有したポンプカムを、排気バルブ用カムシャフト又は吸気バルブ用カムシャフトに設け、複数のカム山のうちの一部を、開放していた前記排気バルブ又は吸気バルブのバルブリフト量が減少する時期に前記燃料圧送用ピストンを押すように配置し、所定のエンジン回転数の範囲以外では、前記一部のカム山で前記燃料圧送用ピストンを押す際にのみ燃料を吐出するように前記電磁弁を操作することが好ましい。一般に排気バルブ及び吸気バルブは弾性付勢されているので、バルブリフト量が減少してゆく期間はバルブがカムシャフトに対して仕事をする。その仕事を、燃料圧送用ピストンの駆動、ひいては燃料の圧送に利用することができる。
本発明によれば、レゾネータによらずに燃料管路の圧力脈動による悪影響を低減することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。図1に、本実施形態の燃料蓄圧システムが適用される車両用エンジン0の概要を示す。本実施形態におけるエンジン0は、筒内噴射方式のガソリンエンジンであり、複数のシリンダ1と、各シリンダ1内に燃料を噴射するインジェクタ2と、各シリンダ1に吸気を供給するための吸気系路3と、各シリンダ1から排気を排出するための排気系路4と、吸気系路3を流通する吸気を過給するターボチャージャ5と、排気系路4を流通する排気の一部を吸気系路3に還流する外部EGR(排気ガス再循環)通路6とを有している。
吸気系路3は、外部から空気を取り入れてシリンダ1の吸気ポートへと導く。吸気系路3上には、エアクリーナ31、ターボチャージャ5のコンプレッサ51、インタクーラ32を、上流からこの順序に配置している。
排気系路4は、シリンダ1内で燃料を燃焼させた結果発生した排気をシリンダ1の排気ポートから外部へと導く。この排気系路4上には、ターボチャージャ5の駆動タービン52及び三元触媒41を配置している。
ターボチャージャ5は、駆動タービン52とコンプレッサ51とを同軸で連結し連動するように構成してなる。そして、駆動タービン52を排気のエネルギを利用して回転駆動し、その回転力をもってコンプレッサ51にポンプ作用を営ませることにより、吸入空気を加圧圧縮(過給)してシリンダ1に送り込む。
EGR通路6は、排気系路4における三元触媒41の下流と吸気系路3におけるコンプレッサ51の上流とを連通し、いわゆる低圧EGRを実行するものである。EGR通路6上には、EGRバルブ61を設けている。
図2に、本実施形態の燃料蓄圧システムを示す。燃料蓄圧システムは、複数のインジェクタ2が接続された蓄圧管たるデリバリパイプ71に、高圧燃料ポンプ8から高圧燃料を圧送して供給するものである。高圧燃料ポンプ8によるエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量、並びに、各インジェクタ2による各シリンダ1内への燃料噴射量の制御は、ECU(電子制御装置)9が司る。
デリバリパイプ71は、その上流側が高圧燃料ポンプ8の吐出口82に連通しており、高圧燃料ポンプ8から圧送される燃料を高圧状態で貯留した上、各シリンダ1のインジェクタ2に分配する。デリバリパイプ71と高圧燃料ポンプ8の吐出口82との間には、デリバリパイプ71から高圧燃料ポンプ8に向けた燃料の逆流を抑止するチェック弁75を介設している。デリバリパイプ71には、内部の燃圧Pcを検知するための圧力センサを付設している。デリバリパイプ71内の目標燃圧Pc_targetは、約3MPa〜20MPaである。
高圧燃料ポンプ8は、スピル弁84式のポンプであって、電磁弁たるスピル弁84の開放時間と閉止時間とのDUTY比の増減を通じてデリバリパイプ71に向けた燃料供給量を制御できるものである。
高圧燃料ポンプ8について補足すると、図3、図4及び図5に示すように、シリンダ1内を上下に往復動する燃料圧送用ピストンたるプランジャ86の上方に燃料を加圧するための圧送室83を設けてあり、この圧送室83に、燃料タンク78に連なる吸込口81と、デリバリパイプ71に連なる吐出口82とを連接している。吸込口81と圧送室83との間にはスピル弁84を、圧送室83と吐出口82との間にはチェック弁85を、それぞれ介設している。スピル弁84は、ECU9によって操作制御される電磁ソレノイド弁である。他方、チェック弁85は、圧送室83内の圧力が予め定められた開弁圧力を超えたときに自動的に開く。また本実施形態では、高圧燃料ポンプ88の他に、燃料タンク78内に当該燃料タンク78から高圧燃料ポンプ8へ向けて燃料を送るための低圧燃料ポンプを備えているが、この低圧燃料ポンプの説明並びに図示は省略する。
高圧燃料ポンプ8のプランジャ86は、エンジン0のカムシャフトSに設けたポンプカム87によって駆動する。図3に示しているように、プランジャ86が下方にストロークしている期間では、スピル弁84を開放操作して、吐出口82から圧送室83内に燃料を吸込む。次いで、図4に示しているように、プランジャ86が上方にストロークしている期間において、スピル弁84を開放操作している間は、圧送室83内の燃料が吸込口81に押し戻される。さらに、図5に示しているように、プランジャ86が上方にストロークしている期間において、スピル弁84を閉止操作すると、圧送室83の容積縮小により圧送室83内の圧力が上昇し、その圧力がチェック弁85の開弁圧力を超えたときにチェック弁85が開く。結果、圧送室83内で加圧された燃料が吐出口82に吐出され、デリバリパイプ71へと圧送される。
総じて言えば、一回の吐出機会において、プランジャ86の上昇中にスピル弁84を閉止操作している時間が、実際に燃料を吐出する有効行程の時間となり、その時間の長さに応じて、燃料の吐出量が決まる。また、プランジャ86の上昇期間全体を通してスピル弁84を開放することにより、燃料の吐出量がゼロとなる、つまりは事実上燃料の吐出機会を一回減らすことができる。
ポンプカム87は、本実施形態では、排気バルブBを駆動する排気バルブ用カムシャフトSに設けてある。ポンプカム87は、図6及び図7に示すように、排気バルブ用カムシャフトSのリア側の軸端部位にあって、その軸心回りに複数のカム山87a、87b、87c、87dを備えている。排気バルブ用カムシャフトSの軸線方向からみたとき、ポンプカム87は、四つのカム山87a、87b、87c、87dを軸心回りに等角度間隔で突設した形状、より具体的には略正方形の四つの隅角を丸めたような形状をなしている。
本実施形態におけるエンジン0は、直列二気筒エンジン0であり、第一シリンダ1の行程と第二シリンダ1の行程とがちょうど360°CA(クランク角度)の位相差を持って同期する。排気バルブ用カムシャフトSは、本実施形態ではクランクシャフトの回転数の半分の回転数に減速される。第一シリンダ1の排気バルブBを開閉させる排気カムS1と、第二シリンダ1の排気バルブBを開閉させる排気カムS2との位置関係は、排気バルブ用カムシャフトSの軸線方向からみたときに、ちょうど180°の角度間隔を隔てていて、互いに相反する方向に突出している。
ポンプカム87の四つのカム山87a、87b、87c、87dのうち、180°角度間隔を隔てて存在する、互いに背向した対をなすカム山87a、87cの対は、開放していた排気バルブBのバルブリフト量が減少する時期にプランジャ86を押すことができるように位置づけてある。すなわち、これらのカム山87a、87cが、カムシャフトSの回転方向に沿って排気カムS1、S2のカム山S11、S12の直後に各々存在している。排気カムS1、S2のカム山S11、S12と、これらに最も近接した一対のカム山87c、87aとは約30°〜32°ずれており、ポンプカム87のカム山87a、87cがプランジャ86を押圧するタイミングと、排気カムS1、S2によって開かれていた排気バルブBが閉じようとするタイミングとが重なる。そうすることにより、排気バルブBの開弁時に圧縮されていたスプリングSPが、排気バルブBを介して、排気カムS1、S2をカムシャフトSを回転させる方向に弾性付勢することとなる。要するに、排気カムS1、S2にかかる弾性付勢力を、排気カムS1、S2と同軸に設けられたポンプカム87によるプランジャ86の押圧動作に有効利用することができる。
ECU9は、プロセッサ91、メモリ92、入力インタフェース93、出力インタフェース94等を有したマイクロコンピュータシステムである。入力インタフェース93には、車速を検出する車速センサから出力される車速信号a、エンジン回転数を検出する回転数センサから出力される回転数信号b、アクセルペダルの踏込量を検出するアクセルセンサから出力されるアクセル開度信号c、デリバリパイプ71内の燃圧Pcを検出する圧力センサから出力されるデリバリパイプ71内圧力信号d等が入力される。出力インタフェース94からは、インジェクタ2に対して燃料噴射信号f、高圧燃料ポンプ8のスピル弁84に対して開弁信号g等を出力する。
プロセッサ91は、予めメモリ92に格納されているプログラムを解釈、実行して、エンジン0の運転を制御する。プロセッサ91は、エンジン0の運転制御に必要な各種情報a、b、c、dを入力インタフェース93を介して取得し、それらに基づいて燃料噴射量や、デリバリパイプ71への燃料圧送量等を演算する。そして、演算結果に対応した各種制御信号f、gを出力インタフェース94を介して印加する。
その上で、本実施形態では、このECU9に、高圧燃料ポンプ8のスピル弁84の開放時間を操作してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量を制御するプログラムが内蔵されている。特に、燃料タンク78と高圧燃料ポンプ8との間の管路Kにおいて燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更するようにしている。
高圧燃料ポンプ8がデリバリパイプ71に向けて燃料を吐出する際には、燃料の圧力脈動が起こる。この燃料吐出は反復継続的に行われることから、一定周期の圧力波をもたらす。高圧燃料ポンプ8を起点として発生した圧力波は管路Kを伝搬し、その反射波が高圧燃料ポンプ8側に返ってくる。そして、高圧燃料ポンプ8のデリバリパイプ71への燃料吐出タイミングがこの反射波のタイミングと一致すると、共振が起こる。
図11は、圧力波の共振が発生する条件としての、エンジン回転数と管路Kの管路長との関係をグラフとして示したものである。同図に示すように、共振が発生するエンジン回転数(共振回転数)と、低圧配管系である管路Kの長さとは一定の関係がある。
図中下側の曲線は、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり(クランクシャフト二回転当たり)四回高圧燃料ポンプ8からデリバリパイプ71に向けて燃料を吐出する場合、すなわちポンプカム87の全てのカム山87a、87b、87c、87dにより燃料を吐出する場合を示している。
図中上側の曲線は、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり二回高圧燃料ポンプ8からデリバリパイプ71に向けて燃料を吐出する場合、すなわちポンプカム87の背向する一対のカム山87a、87cのみにより燃料を吐出する場合を示している。この場合、カム山87a、87cでプランジャ86を押す機会ではスピル弁84を閉じて燃料の圧送を行うが、カム山87b、87dでプランジャ86を押す機会ではスピル弁84の開放DUTY比を略100%とし、一旦圧送室83に吸込んだ燃料の略全量を燃料タンク78側に返すようにして燃料の圧送を行わない。
配管すなわち管路Kの長さはエンジン0の仕様により異なるが、例えば軽乗用車用のエンジン0では、図中破線で囲っている約2.5〜3.5mの範囲内である。ちなみに、管路Kの径は、一般に6〜8mmに設定されている。これらのことから、図11に沿って述べると、全てのカム山87a、87b、87c、87dで燃料を吐出する場合には500〜700rpmの範囲内で圧力共振が発生するおそれがあり、二つのカム山87a、87cで燃料を吐出する場合には、1000〜1300rpmの範囲内で圧力共振が発生するおそれがある。尤も、エンジン0の回転数が700rpmを下回ることは殆どない。
そこで、本実施形態では、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり二回燃料吐出を行うことを基本とし、エンジン回転数が共振回転数1000rpm〜1300rpmの範囲に到達したときには、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり四回燃料吐出を行うようにする。無論、エンジン回転数が前記共振回転数の範囲を脱すれば、再び排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり二回の燃料吐出を行うのである。
並びに、本実施形態では、エンジン一回転当たりの燃料吐出回数に応じて、一回の燃料吐出における燃料の吐出量を変更するようにしている。具体的には、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり四回高圧燃料ポンプ8が燃料を吐出する場合の燃料の吐出量を、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たり二回高圧燃料ポンプ8が燃料を吐出する場合の約半分に設定している。つまり、目標燃圧Pc_targetを達成するべく要求される燃料圧送量を満足するように、吐出回数を増やすのに比例して一回当たりの吐出量を減らす(逆に、吐出回数を減らすのに比例して一回当たりの吐出量を増やす)制御を実施する。既に述べた通り、高圧燃料ポンプ8が一回の燃料吐出機会で吐出する燃料の量は、プランジャ86の上昇ストローク期間におけるスピル弁84の閉止時間と開放時間とのDUTY比の増減を通じて制御することが可能である。
以上のように、本実施形態に係る高圧燃料ポンプ8の制御方法においては、エンジン0の回転出力により往復駆動されるプランジャ86と、このピストンの往復駆動によって容積を拡縮させる圧送室83と、燃料タンク78と前記圧送室83との間に介在して両者間の流通を開閉するスピル弁84とを備え、当該スピル弁84の開放時間を操作してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量を制御する燃料ポンプの制御方法であって、燃料タンク78と燃料ポンプとの間の管路Kにおいて燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数(共振回転数)の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更している。
これにより、燃料タンク78と燃料ポンプとを繋ぐ管路Kに専用のレゾネータを設けずとも、管路K内での圧力脈動の共振を回避することができる。
また本実施形態では、ポンプカム87の一部のカム山87a、87cを、開放していた前記排気バルブBのバルブリフト量が減少する時期にプランジャ86を押すように配置し、所定のエンジン回転数(共振回転数)の範囲以外では、前記一部のカム山87a、87cで前記プランジャ86を押す際にのみ燃料を吐出するよう前記スピル弁84を開閉操作する。排気バルブBは(吸気バルブと同じく)スプリングSPにより弾性付勢されているので、バルブリフト量が減少してゆく期間は、スプリングSP及び排気バルブBが排気バルブ用カムシャフトSに対して仕事をする。その仕事を、プランジャ86の駆動、ひいては燃料の圧送に利用することで、燃料ポンプ8によるエネルギ損失を軽減し、燃費の一層の向上を図り得る。
特に本実施形態では、ポンプカム87を排気バルブ用カムシャフトSに設けて、排気カムS1、S2のバルブリフト量が減少する際のスプリングSPによる弾性付勢を受けながらカム山87a、87cがプランジャ86を押すタイミングと、インジェクタ2による燃料噴射のタイミング(通常は、吸気行程の始まりとともに燃料を吹き始める)とをずらしている。インジェクタ2からシリンダ1への燃料噴射量を精密に制御するためには、燃料噴射中に新たな燃料がデリバリパイプ71に圧送されて燃圧が変動してしまうことは必ずしも好ましくないが、本実施形態によれば、そのような燃圧変動を有効に回避できる。
なお、本発明は以上に詳述した実施形態に限られるものではない。上記実施形態では、エンジン回転数が共振回転数1000〜1300rpmの範囲に達したとき、高圧燃料ポンプ8からカムシャフトS一回転当たり四回燃料を吐出することとしていたが、これを三回にしても構わない。この場合、カム山87a、87b、87cでプランジャ86を押す機会ではスピル弁84を閉じて燃料の圧送を行い、カム山87dでプランジャ86を押す機会ではスピル弁84の開放DUTY比を略100%として燃料の圧送を行わないようにする。
加えて、共振回転数は、管路Kの長さや径に応じて変化する。管路長によっては、全てのカム山87a、87b、87c、87dで燃料を吐出していても圧力共振が発生するおそれはある。図8に則して述べると、管路長が2m程度であれば、1000rpm付近が共振回転数となる。この場合には、圧力共振を回避する目的で、高圧燃料ポンプ8からカムシャフトS一回転当たり二回、または三回燃料を吐出するように制御する。
つまるところ、全てのカム山87a、87b、87c、87dで燃料を吐出する場合、二つのカム山87a、87cで燃料を吐出する場合、それぞれにおいて、共振が顕在化する所定のエンジン回転数を含む予め設定された回転数の範囲にエンジン回転数が達すれば、排気バルブ用カムシャフトS一回転当たりの吐出回数を適宜変更すればよい。
上記実施形態では、排気バルブ用カムシャフトSにポンプカム87を設けていたが、これに替えて、吸気バルブ用カムシャフトにポンプカム87を設けることも許される。
また、上記実施形態では2気筒エンジン0に適用する態様を開示したが、エンジンの気筒数は勿論一意には限定されない。よって、例えば、3気筒のエンジン0に、本発明に係る制御方法を適用しても構わない。以下に記す変形例において、上記実施形態の構成要素に相当するものに対しては同じ符号を付すと共に、その詳細な説明を省略するものとする。
本変形例として図12に示される排気シャフトは、概略正六角形状のポンプカム87と、3つの気筒に対応した排気カムS1、S2とを同軸に配したものとなっている。そして同図の排気バルブ用カムシャフトSでは、ポンプカム87の6つのカム山87a、87b、87c、87d、87e、87fのうち、3つのカム山87a、87c、87eが、排気カムS1、S2、S3のバルブリフト量が減少するタイミングに同期して燃料圧送用のピストンたるプランジャ86を押し得る配置となっている。そして、上記実施形態のように、燃料タンク78と高圧燃料ポンプ8との間の管路Kにおいて燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数を含む予め設定された回転数の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更するものとしている。本変形例では、エンジン一回転当たり三回の燃料吐出を行う制御と、六回燃料吐出を行う制御とを、適宜切換えるようにしている。
このようなものであっても、上記実施形態同様、レゾネータを設けずとも、燃料配管内での圧力脈動の共振を回避することができる。
さらに、ポンプカムのカム山の数や具体的形状、さらには燃料圧送用ピストンの具体的な態様は上記実施形態並びに変形例のものに限定されることはなく、既存のものを含め、種々の態様のものを適用することができる。
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
本発明はシリンダ内に直接燃料を噴射する態様のエンジンに実装される燃料蓄圧用ポンプの制御方法として利用することができる。
0…エンジン
78…燃料タンク
8…高圧燃料ポンプ
83…圧送室
84…電磁弁(スピル弁)
86…燃料圧送用ピストン(プランジャ)
87…ポンプカム
87a、87b、87c、87d…カム山
B…排気バルブ
K…管路
S…排気バルブ用カムシャフト
78…燃料タンク
8…高圧燃料ポンプ
83…圧送室
84…電磁弁(スピル弁)
86…燃料圧送用ピストン(プランジャ)
87…ポンプカム
87a、87b、87c、87d…カム山
B…排気バルブ
K…管路
S…排気バルブ用カムシャフト
Claims (2)
- エンジンの回転出力により往復駆動される燃料圧送用ピストンと、このピストンの往復駆動によって容積を拡縮させる圧送室と、燃料タンクと前記圧送室との間に介在して両者間の流通を開閉する電磁弁とを備え、当該電磁弁の開放時間を操作してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数及び一回の燃料吐出における吐出量を制御する燃料ポンプの制御方法であって、
燃料タンクと燃料ポンプとの間の管路において燃料の脈動及び共振が顕在化する所定のエンジン回転数の範囲では、それ以外の場合と比較してエンジン一回転当たりの燃料吐出回数を変更することを特徴とする燃料ポンプの制御方法。 - 前記燃料圧送用ピストンを押す複数のカム山を有したポンプカムが、排気バルブ用カムシャフト又は吸気バルブ用カムシャフトに設けられ、
前記複数のカム山のうちの一部が、開放していた前記排気バルブ又は吸気バルブのバルブリフト量が減少する時期に前記燃料圧送用ピストンを押すように配置されており、
前記所定のエンジン回転数の範囲以外では、前記一部のカム山で前記燃料圧送用ピストンを押す際にのみ燃料を吐出するように前記電磁弁を操作する請求項1記載の燃料ポンプの制御方法。
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