JP2011201804A - 3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法 - Google Patents

3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高純度の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を製造する方法を提供する。
【解決手段】 3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、またはその酢酸塩を不純物として含む粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩とアセトニトリルとを40℃以上60℃以下の温度で混合してスラリー溶液とした後、該スラリー溶液を固体分離して3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得ることを特徴とする3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法である。
【選択図】なし

Description

本発明は、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の新規な製造方法に関する。
3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、アゼルニジピン(カルシウム拮抗系の血圧降下剤)の合成中間体として使用されている。
このアゼルニジピンは、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩と2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルとを反応することにより製造できる。そして、アゼルニジピンは、カルシウム拮抗系の血圧降下剤の原薬として使用されるため、不純物により薬害が生じないように、高品質のものが望まれている。具体的には、99.50%以上、さらに好ましくは99.90%以上の純度であるものが必要とされる。このような高品質のアゼルニジピンを製造するためには、高純度の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を原料として使用することが不可欠である。
通常、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、以下の方法によって合成されている(特許文献1参照)。
Figure 2011201804
具体的には、シアノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステルとエタノールとを塩化メチレンに溶かし、−10℃まで冷却し、撹拌下−10℃〜0℃に保ちながら塩化水素を導入する。塩化水素導入後、0℃まで昇温し、同温度で24時間撹拌して反応させる。反応終了後、得られる反応溶液を、撹拌下、0℃〜10℃に保ちながら窒素ガスを吹き込み、系内の過剰の塩化水素を除去し、10℃〜20℃に保ちながらアンモニアガスを吹き込み中和する。次に、塩化アンモニウムが析出したスラリーに、撹拌下、25wt%アンモニア水100mLを加え、塩化アンモニウムが溶解したのを確認した後、塩化メチレン層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥する。硫酸マグネシウムを濾過し、濾過した硫酸マグネシウムを塩化メチレンで洗浄する。濾液と洗液を合わせた後、塩化メチレンを減圧濃縮し、アセトニトリルを加え、60℃以下で溶解する。次に、5℃以下に冷却し、2時間撹拌後、析出する結晶を濾取し冷アセトニトリルで洗浄し、真空乾燥し白色結晶(3−アミノ−3−エトキシアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル)17.2gが得られる。以下、上記3−アミノ−3−エトキシアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステルを製造する工程を第一工程とする場合がある。
次に、第一工程で得られた3−アミノ−3−エトキシアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステルを、アセトニトリルと塩化メチレンと攪拌混合し、50℃に昇温して溶解させ、酢酸アンモニウムを加え、同温度で4時間反応する。反応終了後、冷却し、10℃以下で1時間撹拌後、析出する結晶を濾取しアセトニトリルで洗浄し、真空乾燥し目的物が白色結晶(3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩)として得られる。以下、上記3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を製造する工程を第二工程とする場合がある。
特開平11−92450号公報
しかしながら、本発明者等の検討によれば、上記の製造方法では以下の点で改善の余地があることが分かった。
本発明者等が上記方法で合成した3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を詳細に分析したところ、該化合物中には3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、またはその酢酸塩が混入していることが判明した。以下、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、またはその酢酸塩を第一不純物とする場合もある。なお、当然のことではあるが、この第一不純物は、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステルのみ、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル酢酸塩のみ、または3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、および3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル酢酸塩の両方を含む場合がある。
この第一不純物は、第一工程で残存するエタノール、第二工程で副生するエタノール、またはその両工程のエタノールが3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩と反応して副生するものと考えられた。この第一不純物は、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩と同じく、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと反応するため、残存すると高純度のアゼルニジピンを製造することが困難となる。そのため、第一不純物をより低減できる3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法の開発が望まれていた。
したがって、本発明の目的は、第一不純物が少なく、高純度の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を製造する方法を提供することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。第一不純物を含む粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩とアセトニトリルとを特定の温度範囲で混合してスラリー溶液とすることにより、第一不純物を効率よく低減できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、またはその酢酸塩を不純物として含む粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩とアセトニトリルとを40℃以上60℃以下の温度で混合してスラリー溶液とした後、該スラリー溶液を固体分離して3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得ることを特徴とする3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法である。
また、本発明は、前記スラリー溶液が、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩100質量部に対してアセトニトリルを200質量部以上1500質量部以下含む場合に、収率がよく、より純度の高い3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を製造することができる。
本発明によれば、高純度の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を容易に製造することが可能である。具体的には、前述の反応で得られた第一不純物を含む粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩(以下、粗体化合物とする場合もある)を40℃以上60℃以下の温度でアセトニトリルと混合し、スラリー溶液とすることにより、効率よく第一不純物を低減できる。そのため、得られた3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルと反応させてアゼルニジピンを製造しても、第一不純物由来の不純物を低減できるため、本発明の方法は工業的利用価値が高い。
本発明は、高純度の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を製造する方法である。以下、各工程について説明する。
(粗体化合物)
3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、またはその酢酸塩(第一不純物)を不純物として含む粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩(粗体化合物)は、前述の特開平11−92450号公報に記載方法により容易に合成できる。
本発明において、粗体化合物は、乾燥していてもよいし、乾燥前の湿体(以後、粗体化合物湿体とする場合もある)であってもよい。粗体化合物湿体がアセトニトリルを含む場合、下記に詳述するアセトニトリルの使用量は、該湿体に含まれるアセトニトリルをその使用量に含めればよい。
本発明において、粗体化合物は、特に制限されるものではないが、乾燥状態の粗体化合物中に、第一不純物が0.5%以上15%以下含まれるものを対象とすることが好ましい。本発明の方法は、第一不純物が上記範囲で含まれる粗体化合物を対象とすることにより、純度の高い3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を効率よく製造できる。
なお、本発明において、第一不純物の含有量、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の純度は、下記の実施例に記載した高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLCとする)の測定条件で測定したピーク面積の面積%の値である。そのため、第一不純物が3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル酢酸塩を含む場合、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステルとして検出される。
次に、上記粗体化合物とアセトニトリルとを混合してスラリー溶液とする方法について説明する。
(スラリー溶液の調製)
本発明において、上記粗体化合物とアセトニトリルとは、40℃以上60℃以下の温度範囲で混合してスラリー溶液としなければならない。このスラリー溶液は、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩が固体としてアセトニトリル中に存在する状態のものである。混合時の温度が40℃未満の場合には、第一不純物を低減できないため好ましくない。一方、60℃を超える温度では、未知の不純物(新規不純物)が増加するため好ましくない。より効率よく高純度の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得るためには、40℃以上60℃以下とすることが好ましく、特に45℃以上55℃以下とすることが好ましい。本発明の方法は、上記粗体化合物とアセトニトリルとを上記温度で混合してスラリー溶液することが重要である。
粗体化合物とアセトニトリルとを混合する方法は、公知の混合装置を使用することができる。例えば、攪拌機、温度計、還流管を装着した反応容器を使用する。このような反応容器内に粗体化合物とアセトニトリルとを導入し、攪拌することにより両者を混合することができる。なお、装置の材質、仕様については特に制限されない。また、反応容器は湯浴、水浴内に設置し適宜温度調整できることが好ましい。あるいはジャケット付きの反応容器でも差し支えない。
本発明においては、上記温度範囲で混合する際、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩のアセトニトリルスラリー溶液とする。そのため、粗体化合物に対するアセトニトリルの使用量は、混合時の温度、第一不純物の含有量等により最適値が異なるため一概に限定できないが、乾燥状態の粗体化合物に含まれる3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩100質量部に対して、好ましくは200質量以上1500質量部以下である。さらに、アセトニトリルの使用量は、より好ましくは200質量部以上1200質量部以下であり、さらに好ましくは230質量部以上550質量部以下であり、特に好ましくは300質量部以上500質量部以下である。アセトニトリルの使用量が上記範囲を満足することにより、スラリー溶液を形成し易く、操作性が向上し、さらには、効率よく第一不純物を低減することができ、高い収率で純度のより高い3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得ることができる。
本発明において、上記粗体化合物とアセトニトリルとを上記温度範囲で混合する際の混合時間は、第一不純物の量、混合条件等に応じて適宜決定すればよいが、通常、0.1時間以上100時間以下である。中でも、製造時間を短縮し、かつ、純度の高い3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得るためには、0.5時間以上10時間以下である。なお、該混合時間においては、混合溶液(スラリー溶液)の温度が40℃以上60℃以下の範囲であれば、一定の温度としてもよいし、その範囲で変化させてもよい。ただし、制御を容易にするという点では、一定の温度とすることが好ましい。
粗体化合物とアセトニトリルとを混合する際、予めアセトニトリルを40℃以上60℃以下の温度に調製しておき、その温度範囲のアセトニトリルに粗体化合物を加え混合し、スラリー溶液の温度を40℃以上60℃以下とすることができる。この場合、上記混合時間は、粗体化合物をアセトニトリルに加えて混合してからの時間が該当する。また、40℃未満の温度のアセトニトリルと粗体化合物とを混合してスラリー溶液とし、次いで、両者を混合しながらスラリー溶液の温度を40℃以上60℃以下にすることもできる。この場合、上記混合時間は、スラリー溶液の温度が40℃以上60℃以下の温度となってからの時間が該当する。
次に、該スラリー溶液を固液分離し、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得る方法について説明する。
(固液分離)
本発明においては、上記方法によりスラリー溶液を調製した後、固液分離して3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得る。スラリー溶液中に固体として存在する3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を、液体であるアセトニトリルと分離する方法(固液分離方法)は、公知の方法を何等制限なく利用できる。具体的には、遠心分離、加圧ろ過、減圧濾過、デカンテーション、自然ろ過等の中から、得られる3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の量等に応じて適宜決定すればよい。
この固液分離を行う際の操作時の温度は、特に制限されるものではないが、20℃以上60℃以下の温度範囲で行うことが好ましい。この温度範囲で行うことにより、未知の不純物の増加をなくし、かつ、効率よく第一不純物を低減することができる。
また、固液分離により得られた3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、アセトニトリルで洗浄することが好ましい。この洗浄に使用するアセトニトリルは、20℃以上60℃以下の温度に調製されたものを使用することが好ましい。また洗浄に使用するアセトニトリルの量は、特に制限されるものではないが、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩100質量部に対して、アセトニトリル50質量部以上250質量部以下であることが好ましい。この洗浄は、一度に行うこともできるし、複数回に分けて実施することもできる。
このように固液分離して得られる3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、湿体のまま、次の反応、具体的には、2−(3−ニトロベンジリデン)アセト酢酸イソプロピルエステルとの反応に使用することができる。ただし、純度の高いアゼルニジピンを得るためには、乾燥させることが好ましい。 乾燥方法は特に制限されるものではないが、加圧下、大気圧下、減圧下、水蒸気存在下のいずれで乾燥しても良い。使用する乾燥機はコニカルドライヤー、棚式乾燥機、送風乾燥機、天日干し、エバポレーター、ろ過乾燥機等適宜選択すればよい。また、乾燥時間は特に制限されるものではないが、通常0.1〜200時間の範囲の中から適宜選択すればよい。
得られる3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、条件を調整すれば、粗体化合物中に含まれる3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩のモル数を基準にして、収率90〜99.8%とすることができる。また、得られた3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、粗体化合物の純度、第一不純物量にもよるが、HPLCにより測定される純度95〜99.5%、第一不純物含有量0.5〜5%とすることができる。そのため、本発明の方法により得られた3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、アゼルニジピンの中間原料として有用に使用できる。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
尚、本発明で使用する粗体化合物、高純度化された3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の純度、第一不純物の含有量は以下の高速液体グラフィー(HPLC)の条件で決定した。
<HPLCの分析条件>
装置システム:WATERS社製 型式2695−2489。
カラム:INERTSIL ODS(GLサイエンス社製)
−粒子径5μm 内径4.6mm×長さ250mm。
検出波長:210 nm。
カラム温度:25 ℃。
サンプル温度:25 ℃。
移動相A:アセトニトリル。
移動相B:22mM KHPO水溶液。
流速:1.0mL/min。
表1にグラジェント組成を示した。(溶媒組成の経時変化を示した。)
Figure 2011201804
この条件によると3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステルは、約10分にピークが確認される。また、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステルは、約2分にピークが確認される。なお、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩は、HPLCにおいては、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステルとして確認される。また、同じく、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル酢酸塩は、3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステルとして確認される。
製造例
(第一工程)
シアノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル30.6g(0.1mol)とエタノール4.83g(0.105mol)とを塩化メチレン240mLに溶かし、−10℃まで冷却し、撹拌下、−10℃〜0℃に保ちながら塩化水素を21.9g(0.6mol)導入した。塩化水素導後、0℃まで昇温し、同温度で24時間撹拌して反応させた。反応終了後、得られる反応溶液を、撹拌下、0℃〜10℃に保ちながら窒素ガスを吹き込み、系内の過剰の塩化水素を除去し、次いで、10℃〜20℃に保ちながらアンモニアガスを10.2g(0.6mol)吹き込み中和した。次に、塩化アンモニウムが析出したスラリーに撹拌下、25wt%アンモニア水100mLを加え、塩化アンモニウムが溶解したのを確認した後、塩化メチレン層を分離し、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを濾過し、濾過した硫酸マグネシウムを塩化メチレンで洗浄した。濾液と洗液を合わせて、塩化メチレンを減圧濃縮し、アセトニトリル120mLを加え、60℃以下で溶解した。次に、5℃以下に冷却し、2時間撹拌後、析出する結晶を濾取し、冷アセトニトリルで洗浄し、真空乾燥し白色結晶(3−アミノ−3−エトキシアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル)17.2gが得られた〔シアノ酢酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステルに対する収率49%〕。
(第二工程)
次に、得られた3−アミノ−3−エトキシアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル42.3g(0.12mol)にアセトニトリル240mLと塩化メチレン24mLを加え、撹拌下50℃に昇温、溶解させ、酢酸アンモニウム8.79g(0.114mol)を加え、同温度で4時間反応した。反応終了後、冷却し、10℃以下で1時間撹拌後、析出する結晶を濾取しアセトニトリルで洗浄し、真空乾燥し粗体化合物が白色結晶(粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩:粗体化合物)39.6gとして得られた(酢酸アンモニウムに対する収率91%)。HPLCを用いて第一不純物を定量したところ8.0%であり、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の純度は、91.8%であった。
実施例1
攪拌機、温度計、リービッヒ還流環を取り付けた四つ口ガラス反応器に、製造例で得られた粗体化合物10g、アセトニトリル39gを加え、50℃で1時間攪拌した。攪拌後、25℃へ冷却し減圧濾過を行い、さらに25℃のアセトニトリル6gで2回、洗浄した。洗浄後、40℃で10時間、減圧乾燥し、白色の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を9.8g(回収率98%)取得した。第一不純物を定量したところ2.0%まで低減されていた。また、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の純度は、97.8%であった。
実施例2〜6
実施例1において、アセトニトリルの使用量、混合温度等を表2に示す条件に変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。その結果を表2に示した。
Figure 2011201804
比較例1〜3
実施例1において、混合温度を変更したもの(比較例1、2)、アセトニトリルを塩化メチレンに変えたもの(比較例3)を表3にまとめた。混合温度、溶媒の種類を変更した以外は、実施例1と同様の操作を行った。なお、比較例3において洗浄は、塩化メチレンを使用した。
Figure 2011201804

Claims (2)

  1. 3,3−ジアミノアクリル酸エチルエステル、またはその酢酸塩を不純物として含む粗3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩とアセトニトリルとを40℃以上60℃以下の温度で混合してスラリー溶液とした後、該スラリー溶液を固体分離して3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩を得ることを特徴とする3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法。
  2. 前記スラリー溶液が、3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩100質量部に対してアセトニトリルを200質量部以上1500質量部以下含むことを特徴とする請求項1に記載の3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法。
JP2010069828A 2010-03-25 2010-03-25 3,3−ジアミノアクリル酸(1−ジフェニルメチルアゼチジン−3−イル)エステル酢酸塩の製造方法 Expired - Fee Related JP5501054B2 (ja)

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