JP2011200800A - 磁力選別装置および磁力選別方法 - Google Patents

磁力選別装置および磁力選別方法 Download PDF

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Abstract

【課題】小型で簡易な構造を有し、かつ、所望の磁性の範囲で微粒子群を磁力選別可能な微粒子の磁力選別装置およびこの装置を用いた微粒子の磁力選別方法を提供する。
【解決手段】平坦な基板上に散布された微粒子群を、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とに選別する磁力選別装置100に、内部に1または2以上の貫通孔を有する柱状の磁石110と、貫通孔内の圧力を少なくとも負圧と大気圧との間で切り替えるように制御する圧力制御装置120と、透明かつ非着磁性の材質により形成されて圧力制御装置120による貫通孔内の圧力の切り替えに応じて、磁石110の先端部に着脱自在に設けられる分離板130と、を設けた。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁気物性を評価する対象となる微粒子を磁力選別するための磁力選別装置および磁力選別方法に関する。
微粒子群からなる試料を、着磁性の粒子群(以下、「着磁性粒子群」とも称する。)と非着磁性の粒子群(以下、「非着磁性粒子群」とも称する。)とに分離して、それぞれの粒子群を回収する方法は、生体試料の分析を初め、広く産業的に実施されている。
ここで、「着磁性粒子」とは、予め寸法や表面磁束密度の規定された特定の磁石に対して、その磁力によって磁石に吸引、付着される粒子のことであり、「非着磁性粒子」とは、前記特定の磁石に付着しない粒子のことである。従って、同一の粒子であっても前記特定の磁石の条件が異なれば、着磁性・非着磁性いずれにもなりうる。即ち、粒子の着磁性・非着磁性を議論する際には、磁石特性を必ず前提条件にする必要がある。
このように着磁性粒子群と非着磁性粒子群とを分離する方法としては、例えば、特許文献1に、試料粒子を含む液を保持したマイクロウェルにおいて、マイクロウェルの構造材を磁化して、試料粒子のうち、着磁性のもの(着磁性粒子)をマイクロウェル中に残留させ、非着磁性の粒子を周囲の液とともにピペット等で吸い出して、着磁性粒子と非着磁性粒子を分離する方法が開示されている。
また、特許文献2には、マイクロウェル中の粒子を磁力選別する際、マイクロウェルから粒子を液とともに吸い出すピペットの外側に磁石を設け、ピペット中に吸引した粒子にピペットの外部から磁力を作用させた状態で、ピペット中の非着磁性の粒子を液とともに排出した後、ピペットへの磁力を消去し、次に、粒子を含まない新鮮な液をピペットで再吸引し、着磁性粒子を液とともにピペット外に排出する方法が開示されている。
また、特許文献3には、マイクロウェル中の粒子を磁力選別する際、マイクロウェルから粒子を液とともに吸い出すピペット自身を磁化して、磁性粒子のみをピペット内に残留させ、その後、ピペットの磁性を消去して、着磁性粒子を排出する方法が開示されている。
また、特許文献4には、特許文献3のようにピペットを磁化する代わりに、ピペット中にピンを装入し、これを磁化、または、消磁することにより粒子の磁力選別を行う方法が開示されている。
しかし、特許文献1〜4に記載した技術では、着磁性粒子群と非着磁性粒子群の分離に際して、ピペットで液とともに粒子を吸い出す工程が必要となる。このような工程では、試料粒子を粒子と比べて大量の液中に懸濁させる必要がある。従って、液に溶解性のある試料粒子では、作業中に試料粒子が液に溶解するため、試料の物理的および化学的性質を損ない、分離後の分析精度に悪影響を及ぼすおそれがある。
また、上記の技術では、マイクロウェルに残留した着磁性の粒子を別途回収する工程が必要となる。特に、粒径が50μm以下程度の粒子では、粒子の比表面積が粗大粒子に比べて著しく大きく、マイクロウェルやピペット壁への粒子の付着が生じ易く、かつ、マイクロウェル中の粒子の完全な除去にも多大な労力を必要とする。そのため、着磁性粒子群と非着磁性粒子群とを分離する際の工程や設備が複雑となり、分離作業の効率が低い。例えば、マイクロウェルを再利用するためには洗浄工程が必要となり、着磁性粒子を回収するためには、マイクロウェルの磁化を除去する設備や工程が一般に必要となる。
また、特許文献2〜4の技術では、磁石の配置とピペットの構造が幾何学的に不規則であり、同一の粒子であっても、ピペット内の位置によって、粒子に加わる種種の力(磁力、重力、液体からの粘性力、ピペット壁の接触時の反力等)の向きと大きさが異なるため、着磁したりしなかったりする。この場合、著しく強力な磁石を用いれば着磁性の粒子を全て着磁することも原理的には可能であるが、反強磁性以外の粒子では磁場中では何らかの磁化を生じるので、本来、非着磁性粒子として着磁性粒子から分離したい粒子でも磁石に着磁することがありえるため、好ましくない。
さらに、特許文献2〜4の技術では、ピペットの洗浄工程を省略するためにピペットを使い捨て方式とする場合には、着磁性の粒子の一部がピペットに付着したまま廃棄され、着磁性粒子の試料の回収量が減少するので好ましくない。
また、特許文献1〜4の技術では、分離対象の微粒子は、液中で自由に動き得て磁石との間の位置関係、特に距離が粒子ごとに大きく異なることになる。一般に磁石表面からの距離が増大するにつれて空間の磁束密度は急激に低下するので、特許文献1〜4の技術では、同一磁気特性を有する粒子であっても液中の位置に応じて着磁するものとしないものが生じる可能性があり、磁力分離の精度は高くない(着磁性粒子と非着磁性粒子を峻別できない)という問題がある。
また、上記特許文献1〜4の技術では、磁石として電磁石を適用することを前提とするものが大半であるが、このような技術の問題点として、主に、以下の点が挙げられる。
まず、電磁石は強力な磁力を発生し得るが、その場合には、磁石のコイル部を着磁部に接近させなければならないため、磁石ヘッドの小型化が困難であり、微量の粒子の磁力選別(微小なマイクロウェル)に対して適用することは困難である、という問題がある。
これに対して、例えば、ピンを磁化するなどして、コイル部を着磁部から遠方に配置すれば磁石ヘッドの小型化が容易であるが、この場合には、コイルで発生させた磁力線の周囲への漏れ量が大きく、かつ、磁力を遠方まで伝達するための磁性体も消磁する場合のことを考慮すると、極端に透磁率の高い材料を用いることが困難である。このため、磁石ヘッドで発生し得る磁力は小さく、常磁性の粒子の磁力選別には適用することができない。
また、電磁石を消磁することが上記の手法では必要であるが、単に電磁石に流通させる電流を0にしただけでは、磁化した磁石材料の残留磁化が生じるため、着磁性の粒子の一部を磁石から離脱させることができない。そこで、コイルに逆向きの電流を与える消磁回路を設けて磁石材料の消磁を行う必要がある。このため、電磁石の制御系は複雑となり、装置を小型あるいは簡易化することは困難である。
さらに、消磁回路を用いた場合でも、磁石材料に加えられる磁場は磁石材料の部位によって異なり、かつ、磁性材料には予知できない磁化のヒステリシスが必ず存在するため、完全な消磁は困難である。このため、一部の着磁性の粒子(特に、微小な粒子)を磁石から完全に除去するためには、高圧水で強洗浄を行う等の特別な工程が必要となる。
以上のように、電磁石を用いた場合には様々な問題点が生じることから、装置を小型化あるいは簡易化するためには、粒子群の磁力選別に用いる磁石としては、永久磁石を適用することが望ましい。
磁石として永久磁石を適用することを前提とした技術としては、例えば、特許文献5に、ピペットの中で永久磁石を昇降させて、磁場を制御して磁力選別を行う方法が開示されている。
また、特許文献6には、非磁性の缶の中で永久磁石を移動させて、缶表面での磁力を制御し、着磁性の粒子のみを着磁させて除去する除鉄機が開示されている。
特開2001−70827号公報 特開平11−262678号公報 米国特許4292920号明細書 米国特許5567326号明細書 特開2006−329986号公報 特開昭63−278569号公報
しかしながら、特許文献5の技術では、電磁石を使用した場合の各種問題点は解消されるが、その他の点については、特許文献1〜4と同様の問題があった。
また、特許文献6の技術では、非磁性の缶を再利用するため、缶から微粒子を除去するための洗浄工程が必要となる、という問題があった。加えて、この技術では、永久磁石を移動させたり、磁力を制御したりするための機構や装置が必要となり、構造が複雑になるため、装置の小型化には適さない、という問題もあった。
さらに、粒子群の磁力選別に用いる磁石として永久磁石を用いる方法では、隔壁を介して着磁性の粒子を隔壁の反対側の永久磁石に着磁させ、着磁性の粒子を離脱させる場合には、隔壁から磁石を物理的に引き離す方法を採用するため、磁力選別の機構が複雑になり、装置の小型化が困難であることは避けられない。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、小型で簡易な構造を有し、かつ、所望の磁性の範囲で微粒子群を磁力選別可能な微粒子の磁力選別装置およびこの装置を用いた微粒子の磁力選別方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、透明かつ非着磁性の材質により形成され、磁石の先端部に着脱自在に設けられる分離板を設けることにより、磁力選別装置を小型で簡易な構造とすることができ、かつ、所望の磁性の範囲で微粒子群の磁力選別が可能であることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明によれば、平坦な基板上に散布された微粒子群を、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とに選別する磁力選別装置であって、内部に1または2以上の貫通孔を有する柱状の磁石と、前記貫通孔内の圧力を、少なくとも負圧と大気圧との間で切り替えるように制御する圧力制御装置と、透明かつ非着磁性の材質により形成され、前記圧力制御装置による前記貫通孔内の圧力の切り替えに応じて、前記磁石の先端部に着脱自在に設けられる分離板と、を備える磁力選別装置が提供される。
ここで、前記磁力選別装置は、前記圧力制御装置により前記貫通孔内の圧力が負圧に維持されている状態で前記磁石の一端と前記分離板との間に位置するように前記磁石の先端部に取り付けられ、前記貫通孔の少なくとも1つと対応する位置に開口部を有するスペーサをさらに備えていてもよい。
また、前記磁力選別装置において、前記磁石は、前記分離板の前記微粒子群側の面における平均磁束密度が0.1T以上0.4T以下であることが好ましい。
また、前記磁力選別装置において、前記圧力制御装置は、前記貫通孔内の圧力をさらに正圧にも切り替え可能であってもよい。
また、前記磁力選別装置は、前記磁石と前記分離板とをそれぞれ複数備えていてもよい。
また、前記磁力選別装置において、前記微粒子群としては、例えば、高炉法による製鉄プラントから発生した降下煤塵からなるものを使用できる。
また、前記磁力選別装置において、前記基板は、ガラス板であることが好ましい。
また、前記磁力選別装置において、前記微粒子群は、揮発性の液体に浸された状態で前記基板上に散布されていてもよい。
また、本発明によれば、上述した磁力選別装置を用いて、平坦な基板上に散布された微粒子群を前記着磁性微粒子と前記非着磁性微粒子とに分離する磁力選別方法であって、前記貫通孔内の圧力を負圧に維持し、前記分離板を前記磁石の先端部に吸着させる第1の工程と、前記磁石を第1の基板上に散布された微粒子群に接近させ、前記着磁性微粒子を前記分離板の表面に付着させる第2の工程と、前記磁石を前記第1の基板から離隔させ、前記分離板の表面に付着した前記着磁性微粒子を第2の基板上に載置する第3の工程と、前記貫通孔内の圧力を大気圧または正圧に切り替える第4の工程と、前記磁石を前記第2の基板から離隔させ、前記分離板の表面に付着した前記着磁性微粒子を前記分離板とともに前記第2の基板上に留置する第5の工程と、を含む磁力選別方法が提供される。
ここで、前記磁力選別方法において、前記第1の基板上に散布された微粒子群を揮発性の液体に浸漬させた後、前記第2の工程を実施してもよい。
本発明によれば、磁力選別装置に、柱状の磁石の内部に形成された貫通孔内の圧力を少なくとも負圧と大気圧との間で切り替えるように制御する圧力制御装置を設け、さらに、透明かつ非着磁性の材質により形成され、圧力制御装置による磁石の貫通孔内の圧力の切り替えに応じて、磁石の先端部に着脱自在に設けられる分離板を設けることにより、磁力選別装置を小型で簡易な構造とすることができ、かつ、所望の磁性の範囲で微粒子群を磁力選別することが可能となる。
本発明の第1の実施形態に係る微粒子の磁力選別装置の全体構成を示す説明図である。 図1に示した磁力選別装置のうちA部分の拡大図である。 同実施形態に係る四方弁の構成を模式的に示した説明図である。 同実施形態に係る磁力選別方法における処理の流れを示すフローチャートである。 同実施形態に係る磁力選別装置を用いた磁力選別方法における各処理の具体的な方法の一例を示す説明図である。 同実施形態に係る湿式分離の方法を示す説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る微粒子の磁力選別装置の全体構成を示す説明図である。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
[本発明の概要および優位性]
本発明は、各種の工業的な分析に用いられる検体を分析するための予備処理に関するものである。具体的には、本発明は、平坦な基板上に散布された微粒子群を、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とに選別する磁力選別装置、および、この装置を用いて平坦な基板上に散布された微粒子群を着磁性微粒子と非着磁性微粒子とに分離する磁力選別方法である。このような本発明の好適な実施の形態について説明する前に、まず、本発明の基本となる技術思想や本発明の優位性について説明する。
(分析対象粒子の磁力選別の可能性)
本発明によれば、分析対象の粒子を、その粒子の磁気物性別に、磁石を用いて容易に分離することができる。その理由を以下に説明する。
一般に、着磁性の物質であっても、粗大な塊に磁力を付与する場合には、磁力は塊の表層にしか作用しないため、吸着できる物質の質量は塊の質量には比例しない。また、同一の磁気特性を有する塊であっても、より小さい塊やより平坦な形状の塊は、より弱い磁石であっても着磁しうる。即ち、塊の着磁性には、寸法や形状の依存性が強く現れる。従って、不定形で大きさの分布を有する粒子の磁気物性別の存在比を定量分析する際に、磁石への着磁性の有無のみで分類することは、これまでは行われてこなかった。例えば、テレビのブラウン管等におけるように、電子線等の極端に小さな粒子の分離には磁力が用いられることもあるが、少なくとも冶金工業的に扱われる粒径が数十μm以上の粒子に対しては実施されてこなかった。
しかし、磁力選別の対象が微粒子(冶金工業においては、粒径が数十μm〜数百μmの粒子が「微粒子」と認められている)の場合、高々数百μmのレベルの直径を有する微粒子に磁力を付与することになる。この場合、微粒子の直径が小さいため、微粒子直径に比べて十分大きい面積の磁石を用いれば、微粒子の表層と内部との間における磁力の変化が小さく、磁力は、微粒子全体でほぼ一定とみなすことができる。そのため、微粒子に付与される磁力は微粒子の体積に比例することとなる。一方、微粒子の質量も当該微粒子の体積に比例する。すなわち、微粒子にかかる重力も微粒子の体積に比例する。従って、磁力選別の対象が微粒子である限り、微粒子の磁気物性のみの影響により当該微粒子の着磁性の有無を決定することができる。この原理を応用して、本発明では、不定形で大きさの分布を有する微粒子群に磁石を直接作用させることにより、個々の微粒子の磁気物性のみに基づいて、着磁性の高い物性の微粒子と着磁性の低い物性の微粒子とを分離することができる。なお、本発明者は、粒径が数十μmから数百μmの粒子では、実質的に、磁石への着磁性は微粒子の大きさの影響を受けないことを確認した。
また、本発明者は、以下の各図に示すように、基板と分離板との間に粒子を挟み込み、分離板の背面に磁石の平面を配置することによって、磁石表面と粒子間の距離の粒子ごとの差異を、分離対象粒子中最大粒子の粒子径以下に保持する方法を考案した。さらに、この際、磁石の直径(円柱状の磁石の場合)を、分離対象粒子中最大粒子の粒子径の少なくとも10倍以上とすることによって、基板と分離板の間(即ち、分離対象粒子中最大粒子の粒子径相当の距離範囲)で磁石からの距離の違いによる磁束密度差が無視可能なレベルになることを本発明者は見出した。その結果、分離対象粒子中最大粒子の粒子径の少なくとも10倍以上の直径を有する磁石を以下の各図に示す方法で適用することにより、基板と分離板間に粒子が存在する限り、どの粒子にもほぼ一定の磁力を及ぼすことができ、同一の磁気特性を有する粒子を着磁、または、非着磁に峻別することが可能になった。
(操作の容易性)
本発明では、磁石を微粒子に直接接触させずに、透明の分離板(例えば、カバーグラス)を介して着磁性の微粒子を磁石に着磁させる。また、本発明では、微粒子と直接接触する透明の分離板は、例えば、微粒子が画像処理用の検体である場合には、微粒子とともに撮影の際に用いる基板上に留置し続けることができる。
従って、第1に、上記特許文献1〜6に記載された技術のように、微粒子を磁力選別する際に利用した磁石の洗浄や清掃等の作業が不要となる。特に、永久磁石に着磁した微粒子の除去は容易ではないため、特許文献1〜6に記載された技術等に対して非常に有利となる。
第2に、分離板に付着した微粒子も全て分析対象として使用できるので、上記特許文献1〜6に記載された技術で生じ得るような試料のロスが少ない。また、洗浄工程等を行う必要がないため、この工程を省略するための使い捨てピペットのような廃棄物も発生しない。なお、使い捨て型の接液ピペットを用いて磁力選別を行う場合には、洗浄作業は不要となるが、微粒子のピペットへの付着を避けることができないため、付着した微粒子はピペットとともに廃棄されてしまい、試料のロスとなる。特に、微量の検体を処理する場合には分析精度を大きく悪化させるおそれがある。
(装置の簡易性)
本発明では、磁力選別に用いる磁石として、原則として永久磁石を使用し、かつ、分離板(カバーグラス)を介して微粒子を磁石に着磁させるため、分離板を介して磁石に吸着した微粒子を磁石から離脱させるために、微粒子が付着した分離板から磁石を引き離す必要がない。具体的な方法は後述するが、分離板自身の重力を利用したり、必要に応じて、分離板の表面へポンプ等により圧力を付与したりすることによって、着磁性の微粒子を分離板ごと磁石から容易に離脱させることができる。従って、磁力選別装置を簡易な構造とすることができる。
また、本発明では、着磁性の微粒子は磁石の磁力により磁石に吸着し、分離板は内部に貫通孔を有する柱状(例えば、中心に貫通孔を有する筒状)の磁石の内部と外部との圧力差(磁石の外部の圧力は大気圧)を利用して磁石に吸着している。具体的には、磁石内部を吸引器等により吸引し、磁石内部を負圧にすることにより、分離板を磁石に吸着させている。このとき、磁石の内部と外部との圧力差を変更することにより、着磁性粒子が付着した分離板の磁石への吸着及び脱離を自由に制御することができる。このように、本発明では、従来のように、着磁性の微粒子を磁力により磁石に直接接触させていない。従って、磁力選別に用いる磁石として、磁力を変更不可能な永久磁石を用いることができ、この永久磁石を磁力選別装置に固定設置できることから、磁力選別装置の構造を簡易なものとすることが可能となる。
(材質の選択の自由度)
上述したように、本発明では磁石内外の圧力差(磁石外部は大気圧)を利用して、分離板を磁石に吸着している。ここで、仮に、磁石内外の圧力差を利用せずに分離板を磁石に付着させようとした場合には、次の2つの方法が考えられる。第1は、分離対象である着磁性粒子と磁石の間にはたらく磁力によって磁石と着磁性粒子の間にはさまれた分離板を固定、保持する方法である。第2は、分離板を着磁性の材料とすることで、分離板を磁石に直接、吸着させる方法である。しかし、第1の方法の場合、本発明で対象とする着磁性粒子はそもそも微量であるため、分離板の重量を支えうるような強力な磁力を磁石との間に発生させることは困難である。また、検査対象粒子のなかに常に着磁性粒子が含まれているとも限らない。従って、第1の方法は安定的に実現しえない。
また、第2の方法の場合、分離板の材質を着磁性の物質として磁石に直接吸着させることとなる。ただし、本発明における分離板は、画像処理の際に着磁性粒子上に留置したままの状態となる。そのため、分離板の材質は透明である必要がある。ここで、透明かつ着磁性の物質の種類は限られているだけでなく、例えば、酸化テレニウム等の極めて高価なものがほとんどである。
そこで、本発明では、分離板の材質として、透明かつ非着磁性の物質を使用しているが、このような物質の種類は、後述するように数多くあるため、分離板の材質の自由度を大きくすることができる。
(分析対象の検体の質量が大きい場合の不都合の解消)
上述したように、本発明で対象としているような微粒子の質量は小さいものが多いが、なかには、分析対象の微粒子群の中には、質量が大きな着磁性の粒子(検体)が含まれている場合もあり得る。このように質量の大きな検体がある場合には、吸着器等からの分離板の吸引を停止したとしても、磁石と着磁性の粒子との間に分離板が挟まれて、分離板が磁石から脱離しない場合もある。本発明では、このような場合でも、磁石内部を正圧にすることにより、分離板の表面に圧力を付与することができ、これにより、容易に分離板を磁石から脱離させることができる。
(分析時の誤差)
本発明における磁力選別の処理は、乾式、または、微量の添加液のみを用いた湿式処理であるので、添加液への分析対象の物質(微粒子)の溶解が無いか、極めて少ない。そのため、上記特許文献1〜4に記載された従来の湿式処理で生じるような問題、すなわち、マイクロウェル中で添加液中に懸濁させた着磁性粒子と非着磁性粒子とをピペットと磁石を用いて分離する、といった一般的な磁力選別法では、分析対象となる微粒子を懸濁させるために、分析の検体として必要な微粒子量に対して多量の添加液を供給する必要があり、添加液への微粒子の溶出が避けられず、分析時の大きな誤差になり得る、という問題を解消することができる。
(製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種の特定への適用)
また、本発明の磁力選別装置を用いた磁力選別の対象となる粒子群として、例えば、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵も含めることができる。このような降下煤塵によって引き起こされる、製鉄プラント構内に乗り入れる車両を汚損する等の問題への対策として、捕集された降下煤塵の煤塵種を特定することが有力であると考えられる。
降下煤塵の定義や煤塵種の具体例の詳細については後述するが、製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種を特定するためには、異なる煤塵種ごとに分離する必要があるが、この分離の方法として、本発明の磁力選別装置や磁力選別方法が有効である。製鉄プラント由来の降下煤塵に含まれる煤塵種のうち、鉄鉱石等由来の煤塵や転炉スラグ等由来の煤塵などは、強磁性または強い常磁性を有する微粒子である。本発明は、このような強磁性または強い常磁性を有する微粒子の磁力選別に適用することができ、本発明によれば、強磁性または強い常磁性を有する微粒子(着磁性微粒子)と、反強磁性または強い常磁性を有しない微粒子(非着磁性微粒子)とを容易に選別することができる。従って、本発明に係る磁力選別装置や磁力選別方法を適用すれば、製鉄プラント由来の降下煤塵のうち、少なくとも、鉄鉱石等由来の煤塵や転炉スラグ等由来の煤塵などからなる微粒子群と、それ以外(例えば、石炭やコークス由来の煤塵や高炉スラグ由来の煤塵など)からなる微粒子群とに分離することができる。
[第1の実施形態に係る磁力選別装置]
以上、本発明の先行技術に対する優位性について説明したが、続いて、図1及び図2を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る微粒子の磁力選別装置について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係る微粒子の磁力選別装置の全体構成を示す説明図である。また、図2は、図1に示した磁力選別装置のうちA部分の拡大図である。なお、図2では、中心線の左側を断面図で、中心線の右側を側面図で示している。
本実施形態に係る微粒子の磁力選別装置100は、平坦な基板1上に散布された微粒子Pの集合(微粒子群)を、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とに選別する磁力選別装置である。具体的には、磁力選別装置100は、図1に示すように、磁石110と、分離板130と、を主に備える。
(基板1について)
基板1の材質としては、硬質で平滑であり、かつ、静電気を保持しにくい物質が好適である。基板1の材質が軟質の物質の場合、分析対象の微粒子Pを基板1に押し付けて載置する際に、基板1に微粒子Pが食い込むため好適でない。また、基板1の材質が静電気を保持しやすい材質の場合、荷電粒子が吸着または飛散するので好適でない。
具体的には、基板1の材質として、ガラス、研磨した金属板、セラミックス等を用いることができ、金属板の上に薬包紙を貼付したものを用いてもよい。この中でも、上述した好適な性質(硬質、平滑、静電気の保持しにくさ)を全て備え、かつ、基板1の裏面からの照明や観察が可能で分析の自由度が高いことから、透明な素材であるガラス(例えば、ソーダガラス、ケイ石ガラス等)が特に好ましい。
(磁石110について)
磁石110は、図1に示すように、後述する真空ポンプ121により吸引された状態で先端に分離板130が吸着されており、また、後端(分離板130が吸着される側と反対側の端部)は磁石保持器111により保持されている。また、磁石保持器111は、配管123に接続されている。
<磁石110の形状および寸法>
また、磁石110は、内部に1または2以上の貫通孔を有する柱状(円柱、角柱など)、特に、図2に示すように、中心に貫通孔110aを有する円筒状の形状を有していることが好ましい。
また、磁石110の断面積(例えば、円柱の断面である円や角柱の断面である多角形の面積)が小さい場合には、磁石110の近傍における磁力線の二次元性が保ち難くなり、磁石110の近傍での磁力の空間分布が大きくなるので、磁石110の断面の直径(角柱等の場合には、等価円直径)は、測定対象粒子中最大粒子の粒径の10倍以上でなければならず、さらに、100倍以上であることが好ましい。例えば、円柱磁石の端面に直径0.3mmの球形粒子を着磁させることを想定した場合の磁石近傍での磁束密度を考える。磁石直径が1mm(即ち、測定対象粒子の約3.33倍)の場合、粒子の磁石への最遠点での磁束密度は、最近点での値の約48%(磁石表面に粒子が接する場合)に大きく低下し、着磁性に対する粒子径の影響は無視しえない。一方、磁石直径が3mm(即ち、測定対象粒子の約10倍)の場合、粒子の磁石への最遠点での磁束密度は、最近点での値の約80%に大幅に改善する。さらに、磁石直径が30mm(即ち、測定対象粒子の約100倍)の場合、粒子の磁石への最遠点での磁束密度は、最近点での値の約98%となり、着磁性に対する粒子径の影響はほとんど消失する。磁石110の断面積が大きくても磁力選別の性能上の問題はないが、磁石110の先端に吸着させる分離板130(例えば、カバーグラス)を薄いものにすることが難しくなり、真空ポンプ121による真空吸引が困難になる。そのため、磁石110の断面の直径(または等価円直径)は、100mm以下とすることが好ましい。
また、貫通孔110a等の磁石110の内部に形成される貫通孔の断面の形状は、円形であることが好ましい。磁石110の略中心に円形の孔を形成することで、磁石表面断面(またはスペーサの裏面)において、より一様な磁束密度を実現することが可能となる。貫通孔は、磁石110の内部に複数形成されていてもよい。さらに、貫通孔の断面積は、磁石110の磁力や機械的強度を担保する観点から、磁石110の断面積の0.05倍以上0.95倍以下であることが好ましい。
<磁石110の種類>
磁石110の種類としては、永久磁石と電磁石のいずれでもよいが、永久磁石であれば、ネオジウム磁石、サマリウムコバルト磁石、フェライト磁石等を使用することができる。このうち、ネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石は、分析対象の微粒子Pとして、強磁性材料だけでなく比較的強い常磁性材料まで含む場合に有効であり、フェライト磁石は、分析対象の微粒子Pとして強常磁性材料のみを含む場合に有効である。また、磁石110として電磁石を使用した場合には、一般には磁力選別装置100の構造が比較的複雑になるが、永久磁石では実現できない磁力を用いて、比較的弱い常磁性材料までを分離対象の微粒子Pとして含む場合に電磁石を使用することが有効である。
また、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種を特定するために磁力選別装置100を使用する場合には、磁石110は、分離板130の微粒子P側の面における平均磁束密度が0.1T以上0.4T以下であることが好ましい。すなわち、製鉄プラント由来の降下煤塵の代表的煤塵種の1つである鉄系煤塵及び製鋼スラグ系煤塵を磁石110に吸着させるための条件として、降下煤塵に磁力を付与する際の磁束密度が、少なくとも分離板130の微粒子P側の面において0.1T以上であることが好適である。一方、降下煤塵に付与する磁力が強力過ぎても、代表的煤塵種の1つである石炭系煤塵中に微量に含まれる鉄分によって、石炭系煤塵が鉄系煤塵等と同様に磁石に吸着してしまう場合があるため、このような現象を避けるための条件として、降下煤塵に磁力を付与する際の磁束密度が、分離板130の微粒子P側の面において0.4T以下であることが好適である。
以上のような好適な範囲の磁束密度の範囲を実現できる磁石の具体例としては、例えば、磁束密度が0.1T以上0.4T以下の範囲を実現できる電磁石がある。また、永久磁石では、磁束密度が0.1T以上0.4T以下の範囲の磁力を有するネオジウム磁石やサマリウムコバルト磁石等を使用できる。なお、代表的な永久磁石であるフェライト磁石は、磁力が弱いので、製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種の特定の際の磁力分離で使用する磁石としては好適でない。
<磁石保持器111>
磁石保持器111は、上述したように磁石110の後端部を保持しており、内部に貫通孔111aを有している。この貫通孔111aは、磁石110の内部の貫通孔110aと配管123とを連通させるように設けられている。また、磁石110の磁石保持器111への固定方法は特に限定はされないが、例えば、接着剤を用いて磁石110を磁石保持器111に固定してもよい。また、図2に示すように、強磁性材料(例えば、鋼等)製の固定具113を用いて磁石110を磁石保持器111に固定してもよい。すなわち、磁石保持器111の内部に強磁性材料製の固定具113を取り付け、この固定具113を磁石110の磁力を利用して磁石110に吸着させることにより、磁石110を磁石保持器111に固定してもよい。この場合は、真空ポンプ121による真空吸引を確実に行うために、磁石110と磁石保持器111との間にガスケット115等のシール材を設けることが好ましい。
また、着磁性微粒子が磁石110ではなく磁石保持器111に吸着されることを避けるために、磁石保持器111の材質としては、低い常時性、または、反強磁性の材料を用いることが好ましい。このときの「低い」磁性とは、例えば、ネオジウム磁石に全く着磁しない程度の磁性を意味する。このような材質の例としては、アルミニウム、真鍮、セラミックス、硬質塩化ビニル等の合成樹脂などが挙げられる。
<スペーサ140>
また、磁力選別装置100は、図2に示すように、磁石110の先端部に取り付けられるスペーサ140をさらに備えていてもよい。このスペーサ140は、真空ポンプ121により分離板130が吸引されて磁石110の先端部に吸着された状態で、磁石110の先端と分離板130との間に位置している。言い換えると、スペーサ140が設けられている場合には、分離板130は、スペーサ140を介して磁石110に吸着することとなる。
このスペーサ140の主な役割としては、第1に、磁石110と分離板130との間を緩衝材としての役割がある。詳しくは後述するように、磁石110に着磁性微粒子を吸着させた後に、磁石110に吸着した着磁性微粒子を分離板130ごと着磁性微粒子用の基板に押し付けて載置する。このとき、スペーサ140が緩衝材の役割を果たすことにより、着磁性微粒子を着磁性微粒子用の基板に押し付けた際に、磁石110からの押圧力により分離板130が割れたりするなどして破損することを防止できる。
また、スペーサ140の主な役割としては、第2に、分離板130の表面における磁力を均一化する役割がある。磁石110の貫通孔110aの直下における磁力は一般に小さい一方で、磁石110の周縁部の近傍の磁力は一般に大きいため、水平面内における磁束密度の勾配が大きくなり、着磁性微粒子を磁石110に均一に付着させることが困難になる。これに対して、基板1上に載置された微粒子群が、磁石110から一定距離下方に離れると、貫通孔110aの下方の磁力は水平面上の周囲と同程度の磁力になる。特に、磁石110として、先端部の断面積が小さな細い磁石を使用する場合には、磁石110の先端から離れるに従って水平面内における磁束密度の勾配が小さくなり、磁力が均一化する。従って、磁石110の先端にスペーサ140を設けることにより、微粒子Pが必要以上に磁石110の先端に近接しないようにすることができる。
このようなスペーサ140の材質としては、非着磁性のものであれば特に限定はされないが、上記の第1の役割を考慮すると、例えば、ゴムや塩化ビニル等の合成樹脂などの弾性を有する材料を使用することが好ましい。
スペーサ140は、磁石110の貫通孔の少なくとも1つ(例えば、貫通孔110a)と対応する位置に開口部を有している。すなわち、スペーサ140の開口部は、この開口部と貫通孔110aと貫通孔111aと配管123とが連通するように設けられている。このような開口部を有するスペーサ140の具体的な形状としては、図2に示すような略リング状の形状のもの等が挙げられる。また、スペーサ140の厚みは、特に限定されないが、薄すぎると上述した水平面内における磁力を均一化する効果が十分に得られなくなるおそれがあり、厚すぎると分離板130の表面での磁力が弱くなることから、0.3mm〜3mm程度であることが好ましい。
(圧力の設定および圧力制御装置120について)
本実施形態では、真空ポンプ121に接続された配管123内、貫通孔111a内および貫通孔110a内の圧力を設定して、磁石110の内部の貫通孔110a内の圧力を負圧にしたり正圧(または大気圧)にしたりする圧力の調整を行うことが必要である。そのため、磁力選別装置100の使用者は、手動で真空ポンプ121のスイッチや弁の切り替え等を行って、真空ポンプ121による真空吸引を作動させたり停止させたりすることにより、磁石110の内部の貫通孔110a内の圧力を調整する。
真空ポンプ121による吸引を作動させた場合には、真空ポンプ121に接続された配管123内、貫通孔111a内および貫通孔110a内の圧力が減圧され、磁石110の内部の貫通孔110a内の圧力が負圧に維持される。すると、磁石110の外部の圧力(大気圧)と磁石110の内部の貫通孔110a内の圧力(負圧)との間で圧力差が生じるため、分離板130が磁石110の先端に吸着する(図1の分離板130および図2の分離板130(二点鎖線で示したもの)を参照)。なお、真空ポンプ121による吸引動作を行っている間は、真空ポンプ121に接続された配管124(配管123とは異なるもの)から排ガスが排気される。
一方、真空ポンプ121による吸引を停止させた場合には、配管123内、貫通孔111a内および貫通孔110a内が減圧されなくなり、磁石110の内部の貫通孔110a内の圧力が大気圧に維持される。すると、磁石110の外部の圧力と磁石110の内部の貫通孔110a内の圧力との間の圧力差が無くなるため、分離板130が磁石110の先端から脱離する(図2の分離板130(実線で示したもの)を参照)。
なお、図1に示したように、真空ポンプ121に対して、別途、圧力制御装置120および各種センサ等を設け、上述のような真空ポンプ121の操作、および、真空ポンプ121の圧力調整を自動処理するようにしてもよい。
<真空ポンプ121>
真空ポンプ121としては、市販のものを使用でき、その方式としては、ダイヤフラム式、ピストン式等、特に限定はされない。また、真空ポンプ121の到達真空度は、分離板130を磁石110の先端部に吸着可能にするという観点から、絶対圧で1000〜70000Pa程度が好ましい。また、真空ポンプ121により吸引した際の、貫通孔110a内の空気の流量は、貫通孔110a1つ当たり1〜100NL/分程度であることが好ましい。
<配管123,124>
配管123,124としては、市販の真空機器用の配管、ホース等を使用することができ、この配管123,124には、市販の弁等を接続してもよい。このとき、後述するように、真空ポンプ121と磁石保持器111との間に四方弁(図3を参照)を設けると、分離板130の磁石110からの脱離時に、貫通孔110a内の圧力を正圧に維持して、分離板130の表面に空気を吐出して押圧力を付与することができる。一方、四方弁を設けない場合には、真空ポンプ121を用いて貫通孔110a内の圧力を正圧に維持することはできず、空気を吸引できるのみで吐出することはできない。従って、分離板130の脱離時には、真空ポンプ121による吸引を停止して貫通孔110a内の圧力を大気圧に戻して、分離板130への吸引力を0にする。
<正圧への切り替え>
上述したように、圧力制御装置120は、貫通孔110a内の圧力を正圧にも切り替えることができる。この場合の手段としては、例えば、上述したように、真空ポンプ121と磁石保持器111との間に四方弁を設ける方法がある。
ここで、図3を参照しながら、磁力選別装置100に四方弁を設けた場合の分離板130の着脱動作について説明する。図3は、本実施形態に係る四方弁の構成を模式的に示した説明図である。
図3に示すように、本実施形態に係る四方弁129は、真空ポンプ121と磁石保持器111との間に設けられており、磁石保持器111と四方弁129との間に接続された配管125、四方弁129と真空ポンプ121との間に接続された配管126、真空ポンプ121と四方弁129との間に接続された配管127、四方弁129と外部装置との間に接続された配管128という4つの配管の接続を切り替えるための弁である。なお、図3に示した例では、真空ポンプ121は、配管126を介して空気を吸引し、配管127を介して空気を排出(吐出)するように動作する。
このような四方弁129を用いて分離板130を磁石110に吸着させる場合には、図3(a)に示すように、配管125と配管126とが接続され、かつ、配管127と配管128とが接続されるように、四方弁129を切り替える。この状態で、圧力制御装置120が真空ポンプ121に吸引動作を行わせるように制御すると、真空ポンプ121に接続されている配管126、磁石保持器111に接続されている配管125を介して、貫通孔110a内の空気が吸引され、貫通孔110a内の圧力が負圧に維持されるため、分離板130は、磁石110の先端に吸着する。このとき、配管127からは排ガスが吐出(排気)され、四方弁129、配管128を通って外部に排出される。
一方、四方弁129を用いて分離板130を磁石110から脱離させる場合には、図3(b)に示すように、配管125と配管127とが接続され、かつ、配管126と配管128とが接続されるように、四方弁129を切り替える。この状態で、圧力制御装置120が真空ポンプ121に吸引動作を行わせるように制御すると、真空ポンプ121に接続されている配管126、外部装置に接続されている配管128を介して、貫通孔110a内の空気が吸引される。このとき、配管127からは排ガスが吐出される。吐出された排ガスは、配管127に接続されている配管125を通って、貫通孔110aから吐出され、貫通孔110a内が正圧に維持されるようになる。そして、貫通孔110aから吐出されるガスにより分離板130の表面に押圧力が付与され、分離板130は、磁石110の先端から脱離する。
以上のように、貫通孔110a内の圧力を正圧に維持することにより、分析対象の微粒子Pの大きさが大きく、磁石110と微粒子Pとの間の磁力により、真空ポンプ121による吸引を停止させただけでは、分離板130を磁石110から脱離できない場合であっても、分離板130を磁石110から容易に脱離させることができる。
なお、このように、分離板にガスを上方から吹き付けて分離板を磁石から分離させる場合には、分離板が磁石から分離した後にもある程度の時間、上方からガスの吹き付けが継続する。その結果、分離板を基板上で拘束しない場合、磁石から分離した後の分離板が吹き付けたガスによって水平方向に吹き流され、基板上の所定位置に留まらない問題を生じることがある。そこで、例えば、分離板の周囲の基板上に仮設の堤(分離板を中心部に収めることのできるゴム製リング等)を予め設け、この堤のなかで、分離板の磁石からの分離を行うことによって、磁石から分離した後の分離板の移動範囲を限定し、分離板を所定範囲内に保持することができる。
なお、四方弁129を用いた場合には、圧力制御装置120による貫通孔110a内の圧力の切り替え(負圧と正圧との切り替え)は、一端、真空ポンプ121を作動させた後は、四方弁129の切り替えを行うだけで、分離板130の着脱動作を自在に行うことができる。
(分離板130について)
分離板130は、透明かつ非着磁性の材質により形成され、圧力制御装置120による貫通孔内の圧力の切り替えに応じて、磁石110の先端部に着脱自在に設けられる。より詳細には、上述したように、圧力制御装置120により磁石110に形成された貫通孔110a内の圧力が負圧に維持されている場合に、磁石110の先端部に吸着される。
<分離板130の材質>
分離板130は、着磁性微粒子上に留置されて、そのまま着磁性微粒子の画像処理等の分析が行われる。そのため、留置した分離板17を通して着磁性微粒子のサンプルを撮像できるように、分離板130は、透明な材質である必要がある。また、上述したように、分離板130は繰り返して使用されるが、この際、分離板130の洗浄や清掃等の工程を不要とするために、着磁性微粒子が分離板130から容易に脱離するように、分離板130は、非着磁性の材質である必要がある。以上のような条件を満たす分離板130の材質の好適な例としては、透明ガラス、透明アクリル板、透明塩化ビニル板等の透明で平滑な板状のものが挙げられる。
<分離板130の形状および寸法>
分離板130は、磁石110の先端の断面を全て覆うことができる形状や寸法であることが好ましく、特に、磁石110の先端の断面積よりも5%〜50%大きい断面積を有することが好ましい。分離板130の具体的な形状としては、断面が略円形や略長方形等が好ましく、これに上述した開口部が形成されていることが必要である。また、分離板130の厚みは、微粒子Pに付与される磁力が弱くならないように、分離板130の機械的強度を維持できる範囲でなるべく薄い方が好ましい。具体的には、分離板130の厚みは、0.01mm以上1mm以下であることが好ましく、0.1mm程度であることがさらに好ましい。
(分析対象について)
上述した磁力選別装置100を用いた分析(磁力選別)の対象となる微粒子(検体)Pの第1の例としては、ステンレス鋼(SUS304等)製のボールミル等の破砕機で破砕することにより製造した高純度セラミックス粒が挙げられる。このセラミックス粒中には、通常、破砕作業時に破砕機から剥離するなどしてステンレス鋼粒を主体として不純物粒子が含まれる。また、例えば、ネオジウム磁石等の強力な磁石に対しては、SUS304等のステンレス鋼は着磁するが、セラミックス粒は着磁しない。従って、高純度セラミックス粒を分析対象とした場合には、磁力選別に用いる磁石として、ネオジウム磁石等を使用すれば、セラミックス粒と、当該セラミック粒中のステンレス鋼粒を主体とした不純物粒子とを磁力選別することができる。これを利用すれば、セラミックス粒中の不純物粒子の濃度の測定を行うことができる。
また、微粒子Pの第2の例としては、上述したように、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵がある。このような降下煤塵は、製鉄プラント構内に乗り入れる車両を汚損する等の問題があり、このような問題への対策が必要となる。そのためには、特定の地点で捕集された降下煤塵の発生源を特定する技術が必要であり、降下煤塵の発生源を特定するための手法として、捕集された降下煤塵の煤塵種を特定することが有力であると考えられる。
ここで、降下煤塵とは、大気中を浮遊する固体粒子のうち、大気中を平均的に沈降し得る比較的大径(概ねφ10μm以上)の粒子のことをいう。また、本発明における「煤塵種」とは、特に限定はされないが、上述した降下煤塵の発生源や構成成分等によって分類される煤塵の種類をいう。例えば、発生源によって分類する場合には、煤塵種は、鉄鉱石の原料ヤードから発生する鉄鉱石由来の煤塵、石炭の原料ヤードから発生する石炭由来の煤塵、高炉から発生する高炉スラグ由来の煤塵、転炉から発生する転炉スラグ由来の煤塵等に分類される。
このような分類によると、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種としては、主として、(1)主成分が炭素で共通する石炭やコークス等の石炭系煤塵や、(2)主成分が酸化鉄で共通する鉄鉱石と焼結鉱、酸化鉄粉(例えば、製鋼ダスト)等の鉄系煤塵や、(3)主成分が酸化ケイ素及び酸化カルシウムで共通し、かつ、溶融した原料から不純物を液体または固体として分離する点で工程が共通する高炉水砕スラグや高炉徐冷スラグ等の高炉スラグ系煤塵や、(4)主成分が酸化ケイ素、酸化カルシウム及び酸化鉄で共通し、かつ、溶融した原料から不純物を液体または固体として分離する点で工程が共通する転炉スラグや溶銑予備処理スラグ等の製鋼スラグ系煤塵がある。現代の高炉法による製鉄プラントにおける降下煤塵となり得る煤塵種は、上述した石炭系煤塵、鉄系煤塵、高炉スラグ系煤塵及び製鋼スラグ系煤塵でほぼ網羅することができる。
以上のような製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種を特定するためには、異なる煤塵種ごとに分離する必要があるが、この分離の方法として、本発明の磁力選別装置や磁力選別方法が有効である。上述した4種類の煤塵のうち、鉄系煤塵や製鋼スラグ系煤塵は、強磁性または強い常磁性(例えば、0.1T〜0.4T程度の磁束密度を有する磁石に着磁する。)を有する微粒子である。本発明は、このような強磁性または強い常磁性を有する微粒子の磁力選別に適用することができ、本発明によれば、強磁性または強い常磁性を有する微粒子(着磁性微粒子)と、強磁性または強い常磁性を有しない微粒子(非着磁性微粒子)とを容易に選別することができる。従って、本発明に係る磁力選別装置や磁力選別方法を適用すれば、製鉄プラント由来の降下煤塵のうち、少なくとも、鉄系煤塵及び製鋼スラグ系煤塵からなる微粒子群と、石炭系煤塵及び高炉スラグ系煤塵からなる微粒子群とに分離することができる。
なお、一般に、高炉スラグ系煤塵や製鋼スラグ系煤塵は白色系の明度の高い粒子(明色粒子)であり、石炭系煤塵や鉄系煤塵は黒色系の明度の低い粒子(暗色粒子)であることから、低倍率の光学顕微鏡を用いて撮影した画像に画像処理を施し、個々の煤塵粒子の明度の高低を識別することにより、鉄系煤塵と製鋼スラグ系煤塵との判別や、石炭系煤塵と高炉スラグ系煤塵との判別をすることができる。
ただし、本発明における磁力選別の対象となる微粒子Pとしては、以上に挙げた2つの例には限られず、所定の磁石を用いて、この磁石に着磁する微粒子と着磁しない微粒子とに分離される微粒子群であれば、任意の微粒子群が本発明の対象となり得る。
(湿式分離について)
また、上述したような微粒子(着磁性微粒子および非着磁性微粒子)は、揮発性の液体に浸された状態で基板上に散布されていてもよい。このような状態で磁力選別(湿式分離)が行われることにより、微粒子Pにおける静電気の影響を取り除くことができる。また、湿式分離には、揮発性の液体を添加することから、磁力選別が行われた後の微粒子Pを単に放置しておけば、添加した液体は自然に揮発して除去されるため、作業が容易となる、という利点もある。
[第1の実施形態に係る磁力選別方法]
以上、本実施形態に係る磁力選別装置100について詳細に説明したが、続いて、図4および図5を参照しながら、上述した磁力選別装置100を用いた本実施形態に係る磁力選別方法について詳細に説明する。図4は、本実施形態に係る磁力選別方法における処理の流れを示すフローチャートである。図5は、本実施形態に係る磁力選別装置を用いた磁力選別方法における各処理の具体的な方法の一例を示す説明図である。なお、図5では、図2で示したスペーサ140を使用しない場合の例を示している。
本実施形態に係る磁力選別方法は、上述した磁力選別装置100を用いて、平坦な基板1上に散布された微粒子P群を着磁性微粒子と非着磁性微粒子とに分離する方法であり、以下に説明する第1〜第5の工程を含む。
(分析用サンプルの加工)
まず、第1の工程を実施する前に、分析(磁力選別用のサンプルを加工する。具体的には、検体となる微粒子(例えば、製鉄所内の特定の場所で捕集された降下煤塵粒子)を第1の基板(図5に示した基板1)上に散布する。この際、各粒子同士がなるべく接触しないように、散布量を調整し、さらに、適宜、ヘラ等により散布された微粒子Pをならす。なお、第1の基板上に散布する微粒子Pの個数は特に限定されないが、試料のばらつきの影響を評価するためには、少なくとも100個以上の微粒子Pを分析用サンプルとして供用することが好ましい。
また、検体として、製鉄プラント由来の降下煤塵を用いる場合には、降下煤塵は、通常φ10μm以上の粗大な粒子であるので、降下煤塵粒子を散布する際には、降下煤塵粒子の大気中での自由落下を利用することができる。具体的には、例えば、捕集された降下煤塵を匙ですくって基板上に上方から落下させることにより、降下煤塵粒子を基板上に散布することができる。
以上のようにして作成された分析用サンプルを用いて以下の第1〜第5の工程を実施する。
(第1の工程)
まず、第1の工程では、図4および図5(a),(b)に示すように、圧力制御装置120により磁石110の貫通孔110a内の圧力を負圧に維持し、分離板130を磁石110の先端に吸着させる(S101)。すなわち、圧力制御装置120が、非吸引の状態である真空ポンプ121を作動させて吸引している状態となるように真空ポンプ121を制御した後に、磁石110の先端を分離板130に接触させることにより、分離板130を磁石110の先端に吸着させる。
(第2の工程)
次に、第2の工程では、図4および図5(b),(c)に示すように、磁石110を第1の基板(基板1)上に散布された微粒子群(着磁性微粒子Pmおよび非着磁性微粒子Pnが含まれた粒子群)に接近させ、着磁性微粒子Pmを分離板130を介して磁石110の先端に吸着させる。このとき、着磁性微粒子Pmは、分離板130の下面(磁石110またはスペーサ140がある側と反対側の面)に付着することになる(S103)。ここで、磁石110を微粒子群に接近させる際には、着磁性微粒子Pm同士の接触や重なりを極力少なくするために、磁石110の先端の平坦面を基板1の表面と平行な状態にすることが好ましい。また、着磁性微粒子Pmを磁石110に吸着させる際の着磁性微粒子Pmと分離板130との接触時間は、例えば1秒以上とすればよい。
の下面に付着させる際
(第3の工程)
次に、第3の工程では、図4および図5(c),(d)に示すように、磁石110を基板1から離隔させ、分離板130の下面に付着した着磁性微粒子Pmを第2の基板(基板2)上に載置する(S105)。ここで、磁石110を基板1から離隔させる際、分離板130を磁石110の先端に吸着させたままの状態で、磁石110を基板1の上方に引き上げる。このとき、基板1上に残留した微粒子が、非着磁性微粒子Pnのサンプルである(図5(d)を参照)。また、着磁性微粒子Pmを基板2上に載置する際には、着磁性微粒子Pmが吸着した磁石110を基板2に向けて下降させ、着磁性微粒子Pmと基板2とを接触させればよい。
(第4の工程)
次に、第4の工程では、図4および図5(d)に示すように、圧力制御装置120により磁石110の貫通孔110a内の圧力を大気圧または正圧に切り替える(S107)。ここで、貫通孔110a内の圧力の切り替え方法については上述したので、ここでは詳細な説明を省略するが、大気圧に切り替える場合には、例えば、圧力制御装置120により真空ポンプ121による吸引を停止すればよい。また、正圧に切り替える場合には、例えば、磁力選別装置100に四方弁127を設け、この四方弁127による配管の接続を切り替えればよい。
(第5の工程)
次に、第5の工程では、図4および図5(e)に示すように、磁石110を基板2から離隔させ、分離板130の下面に付着した着磁性微粒子Pmを分離板130とともに基板2上に留置する(S109)。すなわち、この第5の工程では、磁石110を分離板130(および着磁性微粒子P)から引き離す。具体的に、磁石110がネオジウム磁石等の永久磁石の場合には、分離板130を基板2上に固定し、磁石110のみを引き上げて、分離板130の下に着磁性微粒子Pmを残留させる。こうすることで、着磁性微粒子Pmを分離板130の重力によって上方から押さえ、着磁性微粒子Pmを永久磁石である磁石110から引き離すことができる。分離板130を固定するためには、分離板130の重力を利用して、単に、分離板130を基板2上に静置すればよい。一方、磁石110が電磁石の場合には、電磁石に流していた電流を切り(消磁機能のある装置では、消磁電量を供給した後に電流を切り)、そのまま、磁石110のみを引き上げて、着磁性微粒子Pmを基板2上に残留させる。
(湿式分離)
また、本実施形態に係る磁力選別方法では、図6(a)に示すように、基板1上に散布された微粒子群(着磁性微粒子Pmと非着磁性微粒子Pnとを含む。)を揮発性の液体Lに浸漬させた後に、図6(b)に示すように、上述した第2の工程(磁石110を用いた着磁性微粒子Pmと非着磁性微粒子Pnとの分離)を実施してもよい(湿式分離)。このような湿式分離を行うことにより、微粒子Pにおける静電気の影響を取り除くことができる。また、湿式分離では、揮発性の液体Lを添加することから、磁力選別が行われた後の微粒子Pを単に放置しておけば、添加した液体Lは自然に揮発して除去されるため、作業が容易となる、という利点もある。
<揮発性の液体Lの具体例>
微粒子群に添加する揮発性の液体Lとしては、特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の低級アルコールや、アセトン等のケトンや、灯油、ガソリン等の石油や、トルエン、ヘキサン等の環状炭化水素や、水などを用いることができる。ここで、分析対象の粒子種の範囲が予め判明している場合には、この粒子種と親和性の高い液体Lを用いればよい。例えば、分析対象の微粒子が親水性の高い粒子であれば、極性の高い液体(例えば、メタノール等)が親和性の高い液体Lとなり、分析対象の微粒子が親油性の高い粒子であれば、極性の低い液体(例えば、ヘキサン等)が親和性の高い液体Lとなる。
一方、分析対象の粒子種が不明な場合や極性の大きく異なる複数の粒子種を対象とする場合には、親水性および親油性をともに示す、エタノールやプロパノールなどを揮発性の液体Lとして使用すればよい。
ただし、分析対象の微粒子の揮発性の液体Lへの溶解度が極端に大きい場合には、微粒子の物性や形状等を保持するために、液体Lと微粒子Pとの混和性を若干犠牲にして、微粒子Pの極性とやや異なる液体Lを用いてもよい。
また、液体Lと微粒子Pとの混和性は、一般的には、粘性と表面張力の大きさで決まり、粘性と表面張力が小さな液体Lを使用することが、分析対象の微粒子Pと液体Lとの混和の観点から好ましい。
特に、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵を分析対象とする場合には、エタノールまたはプロパノールが好適である。例えば、安価で安全な液種である水を液体Lとして用いる場合、製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種の一つであるスラグ粒子が水に溶解するという問題を生じ、また、水は表面張力が大きいので、粒子を液中に分散させることは、水よりもエタノールやプロパノールの方が容易である。また、エタノールやプロパノールは、親水性と親油性をともに有するので、広い極性範囲の微粒子と混和しやすい点でも有利である。
[第2の実施形態に係る磁力選別装置]
次に、図7を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る磁力選別装置200について詳細に説明する。図7は、本実施形態に係る微粒子の磁力選別装置の全体構成を示す説明図であり、(a)は正面図であり、(b)は側面図である。
本実施形態に係る微粒子の磁力選別装置200は、上述した第1の実施形態に係る磁力選別装置100と基本的な構造は同様であるが、磁石110と分離板130とをそれぞれ複数備える点で、第1の実施形態の場合と異なっている。このように、磁石110と分離板130とをそれぞれ複数備えることにより、複数個のサンプル(微粒子群P)に対し、同時に磁力選別(磁力分離)を行うことが可能となる。
具体的には、磁力選別装置200は、図7に示すように、複数の磁石110と、圧力制御装置(図示せず。)と、複数の分離板130と、を主に備える。
磁石110は、例えば、図7に示すように一直線状に配列されていてもよく、あるいは、アレイ(格子)状となるように配列されていてもよい。また、個々の微粒子群Pは、磁石110の配置に合わせて、基板11上に所定間隔で配置される。
また、図7には、磁力選別装置200の構造をできるだけ簡易なものとするために、複数の磁石110が単一の磁石保持器211に保持されている例を示したが、コスト等に問題がなければ、磁石110の数と同数の磁石保持器を設けてもよいし、複数の(一部の)磁石110を保持する磁石保持器を複数設けてもよい。さらに、真空ポンプ(図示せず。)等の吸引器に接続される配管として、図7には、単一の磁石保持器211に接続された単一の配管223が設けられている例を示しているが、この配管が複数設けられていても差し支えない。
[第2の実施形態に係る磁力選別方法]
続いて、再び図7を参照しながら、磁力選別装置200を用いた本実施形態に係る磁力選別方法について説明する。
本実施形態に係る磁力選別方法についても、第1の実施形態に係る磁力選別方法と基本的な処理の流れは同様である。具体的には、複数の磁石110が一直線状に配置された磁力選別装置200を例に挙げて説明すると、磁石110の配置に合わせて、分離板載置場201に分離板130が一直線上に複数配置されており、まず、圧力制御装置により真空ポンプを吸引状態として、複数の分離板130を複数の磁石110に吸着させる。次に、磁石110の配置に合わせて、第1の基板(基板11)上に一直線上に配置された複数の微粒子群Pに複数の磁石110を接近させ、分離板130を介して、各微粒子群Pのうち着磁性微粒子を各磁石110に吸着させる。さらに、着磁性微粒子が吸着した複数の磁石110を基板11から離隔させて第2の基板(基板12)上に移動させる。次いで、着磁性微粒子を基板12上に載置して、分離板130とともに基板12上に留置する。その結果、基板11上には非着磁性粒子が残留し、基板12上には着磁性粒子が分離板130とともに載置される。このようにして、複数の微粒子群Pについて、同時に、着磁性粒子と非着磁性粒子とに分離することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
次に、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
(実施例1)
実施例1として、SUS製のボールミルで破砕して製造したアルミナ微粒子中の不純物粒子の分離(磁力選別)を行い、各種分析を行った。
<磁力選別方法>
磁力選別装置としては、上述した図1および図2に示すような装置を用いた。具体的には、磁石保持器111としては、真鍮製のものを使用し、炭素鋼製の固定具113により磁石110を磁石保持器111に固定した。また、磁石110としては、外径13mm、内径4mm、高さ10mmの円筒型のネオジウム磁石を使用した。分離板130としては、直径15mm、0.1mm厚のガラス製の板を使用した。スペーサ140としては、外径13mm、内径4mm、高さ1mmの円筒型の天然ゴム製のものを使用した。また、このスペーサ140の開口部の位置と磁石110の貫通孔110aの位置とを合わせて、スペーサ140を磁石110の先端に接着固定した。また、アルミナ微粒子を載置する基板としては、50mm角の正方形の形状で、5mm厚のソーダガラス製の基板を使用した。
分析サンプルの作成方法としては、平均直径30μmのアルミナ微粒子200μgをステンレス製のさじですくい、基板の上空10mmから基板上に散布した。その後、ステンレス製のヘラで基板上に散布された微粒子をならして粒子同士が重ならないようにした。
次に、上述した第1の実施形態に係る磁力選別方法における第1〜第5の工程を実施して(図4および図5を参照)、着磁性粒子と非着磁性粒子とに分離した。
最後に、分析のために、着磁性粒子が載置された基板と、非着磁性粒子が載置された基板をそれぞれエタノールで洗浄して洗浄液を回収し、メンブランフィルタで吸引濾過した後にメンブランフィルタ上に残留した着磁性微粒子と非着磁性微粒子をそれぞれ回収し、分析用のサンプルとした。
<分析方法>
分析としては、電子天秤を使用した着磁性微粒子と非着磁性微粒子のそれぞれの質量測定と、ICP質量分析装置を用いた着磁性微粒子と非着磁性微粒子のそれぞれの成分分析(Feの定量)を行った。
<分析結果>
その結果、着磁性微粒子と非着磁性微粒子との質量比(着磁物/非着磁物)は、0.12であり、着磁性微粒子中のFe量は85質量%であり、非着磁性微粒子中のFe量は90ppmであった。この結果から、実施例1では、Feを主体とするアルミナ微粒子中の不純物は、90%以上の量を着磁性微粒子として分離できたことがわかった。
以上のように、本発明に係る磁力選別装置および磁力選別方法を用いれば、サンプルとして採取したアルミナ微粒子中のFeを主体とする不純物の濃度を定量的に測定することができるという結果が得られた。
(実施例2)
実施例2として、高炉法による製鉄プラント由来の降下煤塵の煤塵種ごとの分離(磁力選別)を行い、各種分析を行った。
<磁力選別方法>
磁力選別装置としては、実施例1と同様の装置を使用した。
まず、分析用のサンプルとして、高炉法による製鉄プラントの敷地内で降下煤塵を市販のデポジットゲージで1週間捕集し、100mgの降下煤塵(平均直径20μm)を得た。この降下煤塵を屋内で3日間自然乾燥した後、降下煤塵の全量のうちの50μgを0.1mgのエタノール中に懸濁させ、マイクロピペットで懸濁溶液の全てを基板上に滴下した。
次に、実施例1と同様にして着磁性粒子と非着磁性粒子とに分離した。
最後に、着磁性粒子が載置された基板と、非着磁性粒子が載置された基板をそれぞれ開放大気中に10分間放置してエタノールを揮発させて、微粒子のみを基板上に残留させた。
<分析方法>
分析としては、実施例1と同様に、電子天秤を使用した着磁性微粒子と非着磁性微粒子のそれぞれの質量測定と、ICP質量分析装置を用いた着磁性微粒子と非着磁性微粒子のそれぞれの成分分析を行った。ただし、成分分析は、Feだけでなく、C、Si、Ca、Alの定量も行った。
<分析結果>
その結果、着磁性微粒子と非着磁性微粒子との質量比(着磁物/非着磁物)は、2.6であった。また、着磁性微粒子の成分は、質量%で、Fe:58、C:2、Si:31、Ca:3、Al:2(酸素除く)であった。また、非着磁性微粒子の成分は、質量%で、Fe:11、C:65、Si:19、Ca:0、Al:1(酸素除く)であった。
この結果から、本発明に係る磁力選別装置および磁力選別方法を用いれば、サンプルとして採取した製鉄プラント由来の降下煤塵は、鉄系降下煤塵(鉄鉱石や焼結鉱等)のものが大半であることがわかった。併せて、鉄系降下煤塵と石炭系降下煤塵(石炭やコークス等)の降下煤塵を、本発明に係る磁力選別装置および磁力選別方法により効率的に分離できることがわかった。
1、2、11、12 基板
100 磁力選別装置
110 磁石
110a 貫通孔
111 磁石保持器
111a 貫通孔
113 固定具
115 ガスケット
120 圧力制御装置
121 真空ポンプ
123、124、125、126、127、128 配管
129 四方弁
130 分離板
P 微粒子(検体)
Pm 着磁性微粒子
Pn 非着磁性微粒子

Claims (10)

  1. 平坦な基板上に散布された微粒子群を、磁力の付与により着磁する着磁性微粒子と着磁しない非着磁性微粒子とに選別する磁力選別装置であって、
    内部に1または2以上の貫通孔を有する柱状の磁石と、
    前記貫通孔内の圧力を、少なくとも負圧と大気圧との間で切り替えるように制御する圧力制御装置と、
    透明かつ非着磁性の材質により形成され、前記圧力制御装置による前記貫通孔内の圧力の切り替えに応じて、前記磁石の先端部に着脱自在に設けられる分離板と、
    を備えることを特徴とする、磁力選別装置。
  2. 前記圧力制御装置により前記貫通孔内の圧力が負圧に維持されている状態で前記磁石の一端と前記分離板との間に位置するように前記磁石の先端部に取り付けられ、前記貫通孔の少なくとも1つと対応する位置に開口部を有するスペーサをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の磁力選別装置。
  3. 前記磁石は、前記分離板の前記微粒子群側の面における平均磁束密度が0.1T以上0.4T以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の磁力選別装置。
  4. 前記圧力制御装置は、前記貫通孔内の圧力をさらに正圧にも切り替え可能であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁力選別装置。
  5. 前記磁石と前記分離板とをそれぞれ複数備えることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁力選別装置。
  6. 前記微粒子群は、高炉法による製鉄プラントから発生した降下煤塵からなることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の磁力選別装置。
  7. 前記基板は、ガラス板であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の磁力選別装置。
  8. 前記微粒子群は、揮発性の液体に浸された状態で前記基板上に散布されていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の磁力選別装置。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載の磁力選別装置を用いて、平坦な基板上に散布された微粒子群を前記着磁性微粒子と前記非着磁性微粒子とに分離する磁力選別方法であって、
    前記貫通孔内の圧力を負圧に維持し、前記分離板を前記磁石の先端部に吸着させる第1の工程と、
    前記磁石を第1の基板上に散布された微粒子群に接近させ、前記着磁性微粒子を前記分離板の表面に付着させる第2の工程と、
    前記磁石を前記第1の基板から離隔させ、前記分離板の表面に付着した前記着磁性微粒子を第2の基板上に載置する第3の工程と、
    前記貫通孔内の圧力を大気圧または正圧に切り替える第4の工程と、
    前記磁石を前記第2の基板から離隔させ、前記分離板の表面に付着した前記着磁性微粒子を前記分離板とともに前記第2の基板上に留置する第5の工程と、
    を含むことを特徴とする、磁力選別方法。
  10. 前記第1の基板上に散布された微粒子群を揮発性の液体に浸漬させた後、前記第2の工程を実施することを特徴とする、請求項9に記載の磁力選別方法。
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