JP2011200640A - クライミング用ロープの制動装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】装置本体の姿勢が上下反転した場合であっても、クライミング用ロープの繰り出しを確実に停止させるとともに、片手で行う通常のロープの繰り出しのための操作性が極めて良好なクライミング用ロープの制動装置を提供すること。
【解決手段】板状本体4の軸挿通孔9に挿通された軸6を支点として揺動自在に取り付けられる揺動片8を備え、上端部A側へ向かうクライミング用ロープ16の走行を規制するためのクライミング用ロープの制動装置であって、案内通路18内に挿通されたクライミング用ロープ16が、板状本体4の上端部A側から急激に引き上げられた場合に、クライミング用ロープ16から揺動片8のロープ案内部10に付加される力により、操作部14が下方に向かって移動し、この移動に伴って操作部14が案内通路18の入口側開口19を閉塞し、これにより、前記クライミング用ロープ16の外方への繰り出しが規制されることを特徴とする。
【選択図】図4

Description

本発明はクライミング用ロープの制動装置に関し、詳しくは、単独登攀者(ソロクライマー)の安全を確保しつつ登攀距離を延ばす場合のロープの繰り出し装置として用いて好適なクライミング用ロープの制動装置に関する。
ロッククライミングでは、二人が一組になって登攀を行うパーティークライミングと、単独で山頂を目指すソロクライミングとがある。
パーティークライミングでは、腰に装着したハーネスをクライミング用ロープで互いに連結することにより安全を確保し、万が一、一方の登攀者が転落、滑落したとしても他方の登攀者がそのパートナーを救出することを可能にしている。一方、ソロクライミングでは、自分自身で滑落時の安全を確保しなければならない。そこで、単独登攀者は、クライミング用ロープを緊急に停止させることのできる制動装置をクライミング用ロープとともに身に付けることにより、緊急時の安全を確保するようにしている。
図13は、このような単独登攀を行う場合に使用される従来の制動装置1を示したもので、「ソロエイド」(WREN Industries社製)として市場に提供されている。この制動装置1は、短い取付け用ロープで登攀者の胸から腹部の前辺りに吊り下げられ、その下端も同様の取付け用ロープでハーネスに結びつけられて使用されている。
このような制動装置1では、クライミング用ロープ16の駆動を案内する揺動片5が、長尺状の一対の板材からなる板状本体1Aの間に揺動自在に収容されている。
この制動装置1では、揺動片5の一方の周面5aが板状本体1Aの一方の内壁1aから離反した姿勢をとることで、ロープ16のアンカー側への繰り出しが可能となる。
一方、この制動装置1では、揺動片5の他方の周面5bが板状本体1Aの他方の内壁1b側に強く押圧されることにより、この間に挟持されるロープ16の繰り出しが不能となる。なお、この状態すなわち図13において矢印B方向に強く押圧された状態が、緊急停止の姿勢である。
今、図13に示した制動装置1を使用した登攀者が、万が一滑落してしまった場合には、図13の姿勢から登攀者の自重がロープ16を介して揺動片5に作用することとなる。すると、揺動片5の他方の周面5bが矢印B方向に瞬時に揺動して板状本体1Aの他方の内壁1b側に強く押圧するため、ロープ16の移動が妨げられ、これにより、登攀者がロープ16で吊り下げられた状態となり、登攀者の安全が確保される。
ところで、上記の制動装置1を使用して、単独登攀者が次のハーケンまで登攀距離を延ばしていく場合には、先ず揺動片5を図13に示したように略横向きの姿勢(揺動片5の他方の周面5bが板状本体1Aの他方の内壁1bから離反した姿勢)とし、この姿勢からロープ16の自由端側からアンカー側への繰り出し作業を行って次の登攀のためのロープ長を確保している。その場合、クライミング用ロープ16の途中、図中例えば16a付近を手でつかみ、そのまま自由端側のロープの一部を横方向に一旦引き出し、次いで、この引き出されたループ部16cをアンカー側に少しずつ送り出していく。この2回の動作からなるロープの繰り出し作業を、登攀時には、岩盤を掴んでいない片方の手一本で行わなければならない。そのため、従来の制動装置1では、登攀時におけるロープ16の操作性が悪く、不安定な登攀体勢でのロープ操作に手間取ればその分滑落の危険も高まるため、その改善が求められていた。
本発明はこのような実情に鑑み、単独登攀を行うにあたり、常に安全を確保し、かつロープの繰り出し作業を容易に行うことのできるクライミング用ロープの制動装置を提供することを目的としている。
さらに、本発明の好適態様では、予め設定された長さのロープを、手を用いなくとも登攀に伴い自由に繰り出すことを可能とし、もし登攀途中で転落したとしても、予め設定された長さのロープが流出すると自動的に制動力が働き滑落停止し、より安全かつスムーズな登攀が行える、クライミング用ロープの制動装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明に係るクライミング用ロープの第1の制動装置は、
上端部A、下端部Bおよび左右の両側端部C、Dを有し、一方の側端部C側に開口する略円弧状の凹所2が形成された板状本体4と、
前記板状本体4に軸6を介して揺動自在に取り付けられるとともに、略円弧状に形成されたロープ案内部10並びに当該ロープ案内部10に一体的に形成され、かつ前記略半円状の凹所2から前記板状本体4の一方の側端部C側に突出して配置される操作部14を有し、前記操作部14に加えられる手動操作力あるいは前記クライミング用ロープ16を介して加えられる引張り力により上方あるいは下方のいずれかに揺動する揺動片8と、から構成され、
前記揺動片8は、
前記凹所2の弧状周壁部2aと前記揺動片8との間に画成された案内通路18内に案内された前記クライミング用ロープ16に、前記板状本体4の上端部A側に引き上げる力が作用した場合に、前記操作部14が前記板状本体4の前記案内通路18の入口側開口19を閉塞するように当接し、この案内通路18の閉塞状態を構成する前記操作部14の前記板状本体4に当接する位置をEとし、この位置Eから前記軸6の中心までの距離をL1とし、前記軸6の中心から前記ロープ案内部10の最大膨出部Fまでの距離をL2とし、前記位置Eと前記軸6の中心とを結ぶ直線上に、最大膨出部Fから垂線を下ろしたときの交点をUとし、前記軸6の中心からその交点Uまでの距離をLxとするとき、前記軸6の取り付け位置が、L1<Lxとなる位置に設定されており、
前記案内通路18内に挿通されたクライミング用ロープ16に対し、前記板状本体4の上端部A側から所定以上の引き出す力が急激に作用した場合に、当該クライミング用ロープ16に作用した力が前記揺動片8に伝達され、この揺動片8に伝達された力によって前記揺動片8が強制的に揺動し、この揺動動作に伴って前記操作部14が前記板状本体4の下端部B側に接近する方向に揺動し、これにより、前記案内通路18内に挿通された前記クライミング用ロープ16が前記操作部14と前記板状本体4とに挟持されて、前記クライミング用ロープ16の移動が阻止されることを特徴としている。
このようなクライミング用ロープの制動装置によれば、板状本体4の上端部A側であるアンカー側へのクライミング用ロープ16の繰り出し作業を行う場合には、既にロープ16に制動力が働き下方位置にある揺動片8の操作部14を上方に、好ましくは板状本体に対し略横向きの水平位置に引き上げることにより、クライミング用ロープに対する規制力を解除する。
揺動片の姿勢を板状本体に対し略横向きの姿勢に保持しつつ、クライミング用ロープ16を上方側(アンカー側)に引き上げれば、クライミング用ロープを操作する手の位置を略一定にしたままで、該ロープ16をスムーズに引き上げることができる。しかも、これらの一連の操作を片側の手のみでもスムーズに行うことができる。
なお、本発明に係るクライミング用ロープの上記第1の制動装置によれば、このアンカー側と反対の方向すなわちロープ16の自由端側である下方へロープを引き出す操作は、揺動片8の可動域の略全域でスムーズに行うことができる。
ロープ16をその自由端側に引き出す操作の際には、揺動片8の操作部14がアンカー側に回動しようとするが、揺動片8のロープ案内部10は、ロープ16がない状態でも板状本体4の最下方位H〜下端部G付近で当接するように設定されているため、ロープ16が案内通路18内にセットされていると、その分、揺動片8の操作部14のアンカー方向への回転は抑制され、しかも、その操作部14と板状本体4とはアンカー側出口では当接しないため、ロープ16をその自由端側に引き出してもロープ16の引き出しに摩擦抵抗がほとんど生じないためである。
一方、クライミング用ロープ16に板状本体4の上端部A側から外方であるアンカー側に引き出す大きな力が急に作用した場合には、クライミング用ロープ16から揺動片8に付加される力により、揺動片8の操作部14が、前記板状本体4の前記案内通路18の入口側開口19を閉塞するように瞬時に移動する。この移動により、操作部14が案内通路18の入口側開口19を閉塞し、これによりクライミング用ロープ16の走行が抑制される。その結果、揺動片8のロープ案内部10には、操作部14を押し下げる力が働き、クライミング用ロープ16の走行を益々強く抑制し、最終的にクライミング用ロープ16の移動を阻止することになる。
また、第1の発明では、揺動片8は、付勢手段の付勢力により、案内通路18の入口側開口19を閉塞する方向に付勢されていることがクライミング用ロープ16の直径Φが小さくても(例:7mm)十分な安全性の向上を図る上で好ましい。
また、本発明に係るクライミング用ロープの制動装置の好適態様を示す第2の制動装置は、
前記揺動片8の揺動を不能にする揺動片ロック手段11と、
前記揺動片ロック手段11を操作する揺動片操作手段13と、
前記クライミング用ロープ16の一方向への移動あるいは他方向への移動長さを機械的に検出するロープ移動検出手段15と、
前記ロープ移動検出手段15により前記クライミング用ロープ16の一方向への繰り出し長さが予め設定された長さに達したときに、前記揺動片ロック手段11の前記揺動片8に対する係合を解除する揺動片係合解除手段33と、を備えたことを特徴としている。
このような構成であれば、所定長さまでロープを自由に繰り出すことができるとともに、所定長さ繰り出された場合に、ロープの繰り出しを自動的に停止(ロック)することができる。
また、上記第2の発明では、前記揺動片ロック手段11は付勢手段11cの付勢力により、前記揺動片8に接近する方向に常時押圧されていることが好ましい。
このように設定すれば、揺動片ロック手段11が常に揺動片8を係止する方向に、あるいは常に離反する方向の何れかに押圧されるので、揺動片ロック手段11の係止部11aが揺動片8に係止した状態にセットすればその状態で、また、離反した状態にセットすれば離反した状態で安定させることができる。
さらに、ロープの繰り出し最中において、万が一滑落してしまった場合は、第1発明、第2発明の何れの発明においても、揺動片8がロープ6からの力の作用により揺動し、ロープの繰り出しを防止し、登攀の安全確保を行うことができる。
本発明に係る第1発明のクライミング用ロープ(単に、「ロープ」ともいう。)の制動装置によれば、クライミング用ロープを繰り出したい場合に、揺動片の姿勢を板状本体に対し略横向きの姿勢に配置すれば、クライミング用ロープの自由な走行を行わせることができる。これにより、従来例の安全装置のような、ロープを自由端側から安全装置の側方のループ部に一旦引き出す作業と、アンカー側に送り出す作業という2回の動作によるロープ引き出し操作が不要となる。すなわち、単にロープを横方向に引き出すだけで、ロープの繰り出しを行うことができる。
このように、第1発明によれば、単に一方向の動作で直ちにロープを引き出すことができるので、ロープに対する操作性が良好である。しかも、転落時には、何らの手動操作をしなくとも、直ちに自動的に制動力が働きロープの流出は止まり、墜落は最小限に抑制できる。
また、第2発明のクライミング用ロープの制動装置によれば、上記の効果に加えて、
1)予め設定された長さp(例えば5m)だけクライミング用ロープをより一層自由に引き出すことができる。しかも、予め設定された長さのロープ長pが引き出された場合は、自動的に揺動片が揺動可能となる。揺動が可能になると、揺動片はロープからの摩擦力に従って操作部が案内通路の入口側開口を閉塞するように揺動してその入口側開口を閉塞し、その結果、揺動片の軸を支点として揺動片は回動してさらに強い力で入口側開口を閉塞し、最終的にはこの操作部と板状本体とでロープを強く挟持するまで揺動するのでロープの移動が停止する。これにより、所定量以上のロープが引き出されることはない。
2)さらに、予め設定された長さpのロープを引き出している途中で、その引き出す操作を中断したい場合などには、揺動片操作手段の操作レバーを上方に引上げることにより、回転盤のピンと、揺動片係合解除手段の折り畳み片との係合を解除すればよい。
これにより、揺動片は、自由に揺動可能となり、ロープのアンカー方向への流出に伴い、揺動片の操作部がロープの流入する方向に直ちに移動し、この操作部と板状本体との間でロープを強く挟持し、ロープの移動を瞬時にストップさせることができる。
3)ロープを設定量p繰り出したところで、ロープに制動力が働き、その繰り出しがストップした場合に、さらにロープを自由に繰り出して登攀を継続するには、
蓋体から上方に移動してしまい回転盤のピンとの係合が解除された状態の折り畳み片を備えた操作レバーを、下方すなわち蓋体方向に引下げることにより、回転盤のピンが回転した場合に折り畳み片と係合可能にセットし、ロープ移動検出手段の情報を読み取り可能とすると共に、揺動片を板状本体の上下方向に対して略直角な略水平位置に回動させて、揺動片の孔内に揺動片ロック手段の係止部を没入させ、揺動片の移動を停止させればよい(このような一連の操作を「初期条件」ともいう。)。このように制動装置を初期条件にセットすることによりロープはアンカー方向へ設定量pの満了するまで再び自由に送り出すことができる。
4)第2の発明では、最後にクリップした支点(B1)から設定量pのロープを繰り出している途中で、万が一滑落が生じてしまったとしても、その支点(B1)から最大で設定量pだけロープが流出した時点で、ロープに機械的な制動が働き、ロープの移動が停止するので、滑落距離としては、最大でも所定長の2倍(2×p)までの落下で登攀者の安全を確保できる。また、このように不意に滑落した場合に、登攀者が手動でロープの移動を瞬時に停止させることもできる。すなわち、登攀者が、揺動片操作手段の操作レバーを蓋体に対して上方に回動させることにより、回転盤のピンと折り畳み片との係合を解除すれば、それと同時に、揺動片ロック手段の係止部は揺動片の孔内から離脱して、係止部と揺動片との係合も解除され、揺動片は揺動自在となり、揺動片の操作部は蓋体に対して下方に回動してロープの移動が瞬時に停止する。これにより、登攀者の安全を確保することができる。
図1は本発明の一実施例に係るクライミング用ロープの制動装置の斜視図である。 図2は図1に示した制動装置にクライミング用ロープを通した状態で蓋体を開いたときの斜視図である。 図3は図1に示した制動装置の使用状況図である。 図4は図1に示した制動装置の分解斜視図である。 図5は図1に示した制動装置の揺動片が可動域の略中間位置にあるときのクライミング用ロープとの関係を示した正面図である。 図6は図5に示した揺動片が下方向に移動してクライミング用ロープを挟持したときの正面図である。 図7(A)、(B)は、揺動片の一方および他方の可動域をそれぞれ示す正面図である。 図8は本実施例による制動装置の蓋体を開いたときの正面図である。 図9は本発明の他の実施例よる制動装置を示した斜視図である。 図10は図9に示した他の実施例の制動装置を一部分解して示した斜視図である。 図11は、図9に示した制動装置の要部を示した斜視図である。 図12(A)は図11に示した揺動片ロック手段を他の角度から見た概略側面図、図12(B)は、揺動片ロック手段、揺動片操作手段、及び、揺動片係合解除手段を構成する回転盤上のピンの関係を説明する動作図である。 図13は従来の制動装置を示した概略図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係るクライミング用ロープの制動装置について説明する。
<第1の制動装置>
図1は本発明の第1の実施例によるクライミング用ロープの制動装置30の斜視図で、図2は図1の制動装置30から蓋体22を開いてクライミング用ロープ16を通した状態を示す斜視図である。
図3は本実施例による制動装置30の使用状況を説明する図、図4は図1に示した制動装置30の分解斜視図、図5は図1に示した揺動片8が略水平位置にあるときの揺動片8とクライミング用ロープ16との関係を示す図である。
なお、本実施例の制動装置30は、図3に示したように短いロープ34により登攀者32の首にぶら下げられ、該制動装置の下端部はカラビナ39を介して短いガイドロープ40によりハーネス36に結び付けられる。したがって、以下の説明では、首にぶら下げられた姿勢を基本として、例えば、図1に示した上端部A側を上方、下端部B側を下方として説明するが、説明の都合上、例えば、図1において板状本体4の上に載っている蓋体22を板状本体4の上として、「上」「下」を記載する場合もある。
また、以下の説明では、本実施例のクライミング用ロープ16の制動装置30を、図3に示すように単独登攀者32が頂上に向かって岩壁を登攀する場合の安全を確保しつつ登攀距離を延ばすロープの繰り出し装置として使用する場合について説明するが、本発明の制動装置30は、登攀やトラバースの途中で撤退する場合や登攀を終えて岩壁を下る場合にも勿論使用可能である。
この制動装置30は、主たる要素が適宜な強度を備えた金属、例えばアルミニウム合金(ジュラルミン)、ステンレス、チタン合金、鋼鉄、鋳鉄等から形成され、あるいは、炭素繊維を熱硬化樹脂に浸し加熱して固めて作られたCFRPなど上記金属と同様な性能の素材から作成されたものであり、略矩形状の板状本体4と、この板状本体4に対し軸6により揺動自在に設置される揺動片8と、板状本体4にスライド自在に装着される蓋体22などから構成されている。板状本体4及び蓋体22は、通常、使用上より軽量化を図る観点から、例えばアルミニウム合金(ジュラルミン)、CFRP等で構成され、揺動片8も同様の素材で構成され、軸6は強度の高いステンレス、鋼鉄などで構成されることが望ましい。
上記板状本体4は、図4、図5などに示したように、上端部Aと下端部Bと一方の側端部Cと他方の側端部Dとを有し、一方の側端部C側に開口して略円弧状の凹所2が形成されている。また、板状本体4に凹所2が形成されることにより、板状本体4内には、弧状周壁部2aが上端部Aから下端部Bに向かって略半円を描くように形成されている。そして、クライミング用ロープ16は、この弧状周壁部2aに沿うように画成された案内通路18に沿って挿通され、その挿通方向は、任意であり、例えば、入口側開口19から出口側開口21に向かってあるいはその反対方向から挿通される。
なお、板状本体4の上端部A側に設けた出口側開口21の延長上がロープのアンカーであり、下端部B側に設けた入口側開口19の延長上がロープの自由端側である。
案内通路18の入口側開口19に臨むように形成された弧状周壁部2aの下端部Gは、図5に示したように、弧状周壁部2aの最下方位置Hより、長さTほど上端部A側に位置している。これにより、後述するように、図6において、操作部14のロープ16を押さえる位置Eと軸6の中心とを結ぶ直線Wにおいて、位置Eと軸6の中心との間の長さL1を短縮でき、また、軸6の中心と揺動片8の外周の最大膨出部Fとを結ぶ直線の長さL2のcos成分であるLxを大きく設定しやすくなる。なお、これは、最大膨出部Fから前記直線Wの延長上に垂線を下ろしたときの交点をU、前記軸6の中心からその交点Uまでの距離をLxとし、位置Eと上記最大膨出部Fとを結ぶ直線Vの長さをSとし、直線Vと直線Wとの狭角をαとするとき、比:Lx/L1=(Scosα−L1)/L1={(Scosα/L1)−1}の関係があることによる。
図6に示すように、弧状周壁部2aの下端部Gが、弧状周壁部2aの最下方位置Hより、長さTほど上端部A側に位置していることにより、クライミング用ロープ16は、案内通路18の最下方位置Hから入口側開口19に至るまでの部分は上方に向かって曲線状に案内され、ロープ16が上端部A側に急激に引かれた場合に、揺動片8の外周面とロープ16との接触による摩擦抵抗に基づく揺動片8の時計回りの僅かの回転力を生じさせ、揺動片8の操作部14が下方に移動し、ロープ16を下端部Gとの当接位置Eで挟持してロープ16の移動を抑制する。そのように一端Gと位置Eとで挟持され流動を抑制されたロープ16は、揺動片8に対して、軸6を中心として時計回りのY方向により強く回動させる力を生み、この力は揺動片8の操作部14で、てこの原理によりLx/L1に比例した強力な力を生み、入口側開口19でロープ16を強固に締め付けてロープ16の移動を抑制・停止することができる。
上記揺動片8は、軸6により板状本体4に対して揺動自在に取り付けられるもので、揺動ストッパー8cが存在しない状態では、図7(A)に示した上方位置から図7(B)に示した下方位置までを往復移動する。
この実施例では、揺動片8の操作部14が水平位置より上方向に揺動(回動)しないように、例えば、揺動片8の上面に揺動ストッパー8cが設けられている。この揺動ストッパー8cは、揺動片8の下面の対応する位置に設けてもよい。このように、揺動片8にストッパー8cが具備されていれば、揺動片8の操作部14が図6に示すような下方位置からX方向に回転して図5に示す略水平位置まで移動してきたとき、揺動ストッパー8cが蓋体22に当接するので、揺動片8のそれ以上の移動が阻止される。これにより、揺動片8を略水平位置に保ち易くなるので、アンカー側(Z方向)へのロープ6の片手での繰出しが容易となる。
なお、操作部14は、図6に示す下方位置ではロープ16が板状本体14の下端部Gと揺動片8の操作部14との間に挿通されているため、操作部14のそれ以上の下方向への移動が阻止される。しかし、ロープ16が案内通路18内に挿通されていない場合は、図7(B)に示したように、操作部14は位置Eで板状本体4の下端部Gに当接する。
また、上記揺動片8は、図2あるいは図6に示したように、板状本体4の弧状周壁部2aに対応して略円弧状に膨出して形成されたロープ案内部10と、板状本体4の側端部C側に突出して配置される棒状の操作部14とを有し、全体的には一方(ロープ案内部10)が円弧状に膨らんだ形状を呈している。そして、ロープ案内部10と棒状の操作部14との境界部付近に、図4に示したように軸挿通孔9が形成されている。また、揺動片8のロープ案内部10は、図6に示したように外周上の両端部、位置Mから位置Nまでの間は、軸6を中心として半径L2の曲線上に形成されている。
さらに軸6の取り付け位置である軸挿通孔9は、図6に示したように、操作部14のロープ16を押える位置Eと軸6の中心とを結ぶ直線Wの長さをL1、軸6の中心からロープ案内部10の最大膨出部Fまでの距離をL2とし、最大膨出部Fから前記直線W上に垂線を下ろしたときの交点をUとし、前記軸6の中心からその交点Uまでの距離をLxとするとき、前記軸6の取り付け位置が、L1<Lxとなる位置に形成されている。
なお、この図6では、揺動片8のロープ案内部10は、図6に示したように外周上の位置Mから位置Nまでの間は、軸6を中心として半径L2の曲線上に形成されており、ロープ案内部10の最大膨出部Fもこの曲線上にある。そのため、最大膨出部Fは、上記「位置E」と「軸6の中心」とを結ぶ直線W上に存在しているということができる。すなわち、図6では、ロープ案内部10の最大膨出部Fの位置は、交点Uと一致し、L2は、軸6からその交点Uまでの距離Lxと一致している。すなわち、前記Lx/L1の式における挟角α=0度である。
よって、この実施例では、上記したようにL1<Lx=L2となる位置に形成されている。したがって、揺動片8が軸6を支点として、図6において矢印Y方向に回動したとき、力のモーメントの関係で操作部14の位置Eにはロープの流出を阻止する強い力が作用することになる。
なお、L1<Lxなる関係は、上記した位置N〜位置Mまでのように、この関係が広い範囲で成立することが好ましい。例えば、位置M、軸6、位置Nを結ぶ角度が70〜180度、好ましくは、80〜160度程度に設定されることが望ましい。この関係がこのように広い範囲で成立すれば、ロープ16と揺動片8外周面との間に作用する摩擦力が大きくなるため、ロープ案内部10の時計回りY方向への回転に伴い、揺動片8の操作部14が下方であるY方向に回転して操作部14の位置Eで、板状本体14の下端部Gと協働してロープ16をより強く挟持し、更にこの挟持は、ロープ16による、揺動片8のY方向へのより大きな回転力を生むため、結果として、ロープ16に対してより大きな流動抑制力を確保することができる。また、位置M、軸6、位置Nを結ぶ角度が上記範囲にあると、墜落時に瞬時に大きなロープ制動が働きやすい。
しかしながら、ロープ案内部10の形状は上記実施例に何ら限定されない。例えば、揺動片8のロープ案内部10は、位置Mから位置Nまでの間の外周面の形状が軸6を中心とした半径Lx=L2の一定の曲線上にあってもよいが、また、例えば、L1<Lxを担保しつつ、位置N(Lxmin)から案内通路18の出口側開口21に近づくにつれてLxが大きくなる(Lxmax)形状であっても良い。また反対に、位置NでLxが最大(Lxmax)となり、出側開口21に近づくにつれてLxが小さくなる(Lxmin)形状であっても良い。これらの場合、L1<Lxmin≦Lx≦Lxmaxとなる。
本発明の特に好ましい態様では、図5、6に示す第1の実施例のように、位置F=Uであり、距離Lx=L2である。
このような位置に最大膨出部(Lxmax)が存在すると、ロープ16がアンカー方向Zに流出した際に図6の下方位置に操作部14が移動してロープ制動が働き易く、また揺動片8の操作部14を下方位置から水平位置に僅かな力で容易に復帰でき、しかも、揺動片8を水平姿勢に保持すればロープ16を容易にアンカー側、自由端側の何れの方向にもスムーズに繰り出すことができ、ロープ操作性が良い。よって、登攀途中からの撤退である岩壁下降時やトラバースからの撤退時に、アンカー側のロープをこの制動装置30を介してスムーズに手繰り寄せて自由端側に送り出し、万一の転落の際の転落距離を容易に最小限に低減できるために望ましい。
いずれの態様においても、少なくとも最大値(Lxmax)では、L1<Lxmaxを満たすことが必要であり、好ましくは位置N〜Mの全範囲、すなわち(Lxmin)〜(Lxmax)の全範囲において、L1に比してLxが大きいほど、ロープ16に対して制動力が強く安定して働く点で好ましい。よって、本発明では、好ましくはL1<Lx、さらに好ましくは比:Lx/L1は1.2以上、より好ましくは1.3以上を満たすことが望ましい。なお、比:Lx/L1の上限値は、特に限定されないが、登山者がこの制動装置30を装着して実使用する上での取り扱いの便宜や、通常使用されるロープ径(例:8〜11mmΦ)等を考慮すると、せいぜいLx/L1≦5程度、通常、Lx/L1≦3.5である。
また、登攀を行うための通常のロープ16の繰り出し作業性を考慮すれば、上述したように、図5に示したように操作部14を略水平位置にしてロープ16を引き出すことが好ましい。操作部14がこのような姿勢にあれば、入口側開口19側にロープ16を引っ張る場合にも、あるいは出口側開口21側にロープ16を引っ張る場合にも、操作部14がロープ16の引き出しに邪魔になることがない。例えば、板状本体4の側端部Cに対し略直角な右横方向にロープ16を引き出す場合であっても、邪魔になる部材が存在しない。したがって、操作部14が図5の略水平姿勢にあれば、片手であってもロープ16の引出し操作を容易に行うことができる。
また、ロープ16として例えばその径Φが11mmもある大径のロープを使用する場合であっても、そのロープ16が図5の姿勢にある揺動片8の下面8aに当接しないようにすることがアンカー方向へのロープのスムーズな繰り出し、あるいは自由端側へのスムーズな引き戻し上をする上で好ましい。これに対処するには、前記ロープ案内部10の位置Mから下面8aに向かって徐々に縮径させると共に、下面8aに相当する部分を若干切り欠いて、揺動片8の軸挿通孔9に至るまでの距離Pを短くすることが好ましい。このように前記ロープ案内部10の位置Mから下面8aに向かって徐々に縮径させると、ロープ16を自由端側に引き戻すとき、揺動片8とロープ16との間での摩擦抵抗が少なくなり、殆ど力を要せずスムーズにロープ16を自由端側に引き戻すことができ、トラバース時の撤退などをスムーズかつ安全に行うことができる。
また、揺動片8において、ロープ案内部10の外周面と、操作部14における位置Eの近傍、特にロープ案内部10の外周面には、厚さ方向に複数の溝24が所定間隔置きに形成され、これにより、ロープ16に対する摩擦面とされている。また、揺動片8には、突起状の揺動ストッパー8cが設けられ、この揺動ストッパー8cは、揺動片8の操作部14が水平位置となったときに蓋体22とそのC側面で当接し、それ以上操作部14がX方向に回動しないように規制している。
以下に、軸6による揺動片8と板状本体4との取り付けについて説明する。
上記軸6は、図4に示したように下方筒部6aを有し、その内部空間にバネ43が介在されている。
このような軸6は、板状本体4の凹所2に固定された筒体45内にバネ43とともに収容され、軸6の頭部6cは筒体45に形成された孔45aから通常は外方に突出して配置される。
これにより、筒体45内に下方筒部6aが収容され、孔45aから突出された軸6の頭部6cを、登攀者32が親指などで板状本体4側に押し込めば、軸6の下方筒部6aがバネ43の付勢力に抗して内方に押圧される。このように軸6の頭部6cが内方に押圧されれば、蓋体22と板状本体4との規制力を解除することができる。したがって、図1でカラビナ39を外し、図1の状態にある蓋体22を、板状本体4に沿って水平方向にスライド(ネジ部材29を中心に左に回動)させれば、図2に示したように蓋体22を開くことができる。また、これと反対に図8に示したように開いた状態にある蓋体22を矢印方向にスライドさせれば、軸6の頭部6cが一旦蓋体22の下面に没入した後、孔47に合致したときにバネ43の付勢力で頭部6cが孔47の外方に突出するので、蓋体22を板状本体4に対し閉じることができる。さらに、筒体45に対し、強い転倒、傾斜させるような外力が働いても筒体45あるいは軸6は、板状本体4と蓋体22とで支持されるため、板状本体4上に直立している筒体45が板状本体4の平面に対して傾くことがない。
また、本実施例の制動装置30では、図4に示したように、揺動片8と板状本体4との間に、揺動片8を案内通路18の入口側開口19に接近する方向に常時付勢する付勢手段が介在されている。すなわち、揺動片8の裏面の図示せぬ凹所内にコイルバネ41が介在されている。そして、このコイルバネ41は、揺動片8が常時、図6に示したY方向の付勢力を受けるように、そのコイル径を若干拡開した状態で、その一端部41aが板状本体4の小孔4a内に、他端部41bが揺動片8の小孔8b内に、それぞれ係止されている。
したがって、コイルバネ41が介在された本実施例では、揺動片8に外力が作用しない状態であっても、この揺動片8が常に図6の矢印Y方向の力を受けることなる。
上記蓋体22は、揺動片8およびロープ16などが外部に露出しないように外方を覆うためのもので、図4に示したように、貫通孔29aが形成されたネジ部材29により板状本体4の上端部A側に取り付けられる。また、板状本体4の下端部側には、図1に示したように、カラビナ39を通して、蓋体22を閉じた状態で蓋体22と板状本体4とを固定するための孔28が形成され、この孔28内にセットしたカラビナ39を介して図1に示したガイドロープ40はハーネス36と結び付けられている。
なお、蓋体22の回動支点となる上記ネジ部材29の貫通孔29a内には、制動装置30を首からつり下げるための短いロープ34が挿通される。
本実施例では、このような軸6および蓋体22を採用したため、図2に示したように蓋体22が開いた状態から蓋体22を閉じる方向にスライド操作を行えば、軸6の頭部6cが一旦蓋体22の下面に押されて下方に沈み込むとともに、その頭部6cが蓋体22の孔47の位置に到達すれば、頭部6cが元の突出した位置に復帰する。これにより、頭部6cが蓋体22の規制力となって蓋体22を移動不能に位置決めすることができる。
このように凹所2内に設置された本実施例の揺動片8は、揺動ストッパー8cが設けられていない場合には、図7(A)に示した上方位置と、図7(B)に示した下方位置との間を手動操作力あるいは外力が加わった場合に往復移動することができる。しかし、本実施例の揺動片8には、前記した所定位置に揺動ストッパー8cが設けられており、上方への移動が略水平位置で規制されており、この水平姿勢に揺動片を容易に保持してロープ操作を行うことができ、ロープ操作性がよい。
本実施例によるクライミング用ロープの制動装置30は上記のように構成されているが、以下にその作用について説明する。
本実施例の制動装置30は、主に登攀者が一人で山頂を目指すときのロープの制動装置として好適に使用される。なお、ロッククライミングでは、初めての開拓で山頂を目指す場合もあるが、通常は、既に、先人により登攀されている山を登るのが一般的であるため、以下の説明では、以前の登攀者により、予めハーケンなどが所定間隔置きに打ち込まれていることを前提として説明する。
図3は、この制動装置30が単独登攀者により使用されたときの様子を示したもので、クライミング用ロープ16は安全確保用のロープである。なお、単独登攀者32は、片手での制動装置30の操作時には、通常、残る片手で岩壁Rを掴んでいる。
単独で山頂を目指す登攀者32は、この制動装置30を身につけるにあたり、先ず首に短いロープ34をぶら下げ、このロープ34を介して制動装置30を胸から腹の前当たりに吊り下げる。また、腰に装着したハーネス36と制動装置30との間に、ガイドロープ40を連結するが、このガイドロープ40は、図1に示したように、制動装置30の孔28に取り付けたカラビナ39を介して連結する。
このように、孔28内にカラビナ39をセットし、このカラビナ39を介してガイドロープ40を装着すれば、使用途中に蓋体22が不用意に開いてしまうことがない。したがって、安全確保を向上させることができる。
ロープ16のアンカー側は、固定端として樹木などに結ばれる。一方、自由端側に存在する残りのロープはそのまま足下に垂らすか、背中などに背負われる。岩壁Rには、アンカーから始まり所定の間隔でハーケン46が打ち込まれて、このハーケン46にロープ16が図示せぬヌンチャクなどを介して係止されている。
今、図示したハーケン46を登攀者32に関連した最上位の終端B1とする。ロープ16がこのハーケン46(B1)に移動不能に係止されることにより、登攀者32の安全が確保されている。この状態から登攀者32が登攀距離を延ばす場合には、支点B1から次のハーケンまでの登攀距離に応じてその都度少しずつ、あるいは予め支点間距離分、ロープ16の他端16b側を制動装置30よりもアンカー側、すなわちハーケン46(B1)側に繰り出して、ハーケン46と制動装置30との間のロープ長を長くする。このようにハーケン46と制動装置30との間に確保したロープ長さを伸ばしながら、図示せぬ次の支点(B2)まで安全に登っていくことができる。
次に制動装置30によるロープの繰り出しについて説明する。
ハーケン46(B1)の打たれた支点B1から次のハーケン支点(B2)まで登攀距離を伸ばすためのロープ16の繰り出しには、登攀者32は、図3の姿勢から岩壁Rを掴んでいない右の手の指、例えば薬指と中指で操作部14を、図5に示したように中間位置にする。操作部14をこの中間位置に保つと、ロープの上下両方向への繰り出しを自由に行うことができるので、登攀に伴い右手の他の残りの指でロープ16をアンカー側すなわち図5に示した矢印Z方向に引き出せば良い。この引出し操作を数回繰り返すことにより、所定の登攀距離、例えば支点間距離(B1−B2)を確保することができる。そして、登攀者32は、この登攀距離に応じた長さ(高さ)だけ予め、あるいはその都度ロープ16をアンカー側に繰り出しつつ、岩壁Rを登っていき、上方の地点B2に打たれたハーケンにロープ16を結びつけることにより、安全を確保する。
次に、滑落などが生じた場合の制動装置1による安全確保について説明する。
今、登攀者32がハーケン46(B1)にロープを掛け、次のハーケン支点(B2)に向かって登攀している最中に、登攀者32が岩壁Rから滑落したと仮定する。すると、登攀者32の自重によりロープ16の他端16b側が急激に制動装置30を介してアンカー側に送り出される。すなわち、ロープ16が図3、図5において矢印Z方向に送り出される。このとき、制動装置30の安全機構が瞬時のうちに働くことになる。
この制動装置30の安全機構は以下のように考えられる。すなわち、揺動片8が図5のように略水平姿勢にあるとき、ロープ16にアンカー側(Z方向)への力が急激に作用しロープが流出すると、そのロープ16とロープ案内部10との間に生じる僅かな摩擦力により、揺動片8のロープ案内部10もロープの流出に随伴してY方向に回動する。その結果、操作部14もY方向に回動し、図6の姿勢となる。ここで、既に述べたように、操作部14のロープ16を押える位置Eと軸6の中心とを結ぶ直線の長さをL1、軸6から、ロープ16と接しているロープ案内部10までの最大距離(軸6の中心から最大膨出部Fまでの距離)をL2とし、L2のcos成分をLxとすると、図6では、この「位置E」と「軸6の中心」と「ロープ案内部10の最大膨出部F」とは直線上の位置にあり、L1<Lxとなる位置に軸6が配置されている。従って、揺動片8が図6の姿勢になると、この揺動片8の操作部14は、その位置Eで板状本体14の下端部Gと協働してクライミング用ロープ16を最初は緩く挟持し、ロープ16の流出を若干抑制する。E−G間で挟持され流出を抑制されたロープ16は、揺動片8のロープ案内部10において、揺動片8と最初よりも強く密接することになると共に、揺動片8のロープ案内部10に対して、軸6を支点とするてこの原理でY方向に回動しようとするより強い力を与えることになる。ロープ案内部10をY方向に回転させようとするこの力は、モーメントの関係で、位置Eでロープ16を最初より一層強く挟持する力となって現れる。その結果、アンカーZ方向へのロープの流出は益々抑制され、結果として、この図6に示す状態で位置Eには大きな力が作用するのでロープ16の矢印Z方向への自由走行は確実に阻止される。この制動装置30の上記安全機構は、制動装置30の姿勢の如何に拘らず、全体として瞬時に働く。
よって、このクライミング用ロープの制動装置30を、図3に示したように胸にセットした登攀者は、もし岩場から滑落したとしても、滑落時の姿勢の如何に拘らず、制動装置30からハーケン46(B1)までの間のロープ16が瞬時に緊張して滑落を阻止するから、登攀者32が大きな滑落を起すことはない。
要するに、単独登攀者32がもし墜落したとしても、2人一組で登攀する場合と同程度の墜落・墜落距離で留まり、ロープ16が係止されている終端(B1)から登攀最高地点までの距離の2倍程度は落下し得るとしても、終端(B1)のハーケン46で安全が確保されることになる。これは、2人一組で登攀する場合と同程度の墜落距離で済むことを意味する。
なお、終端(B1)より下方の墜落位置(BF)から再び体勢を整えて前記終端(B1)に向かって再登攀する場合には、再登攀に伴いロープ16のテンション(緊張力)は何らの操作をしなくとも自然に解消するので、この制動装置30の自由端側のロープ16を掴んで、終端(B1)と登攀者との間のロープ16の距離を短縮するようにスムーズに自由端側に送り出し、安全確保しながら終点(B1)まで登り返せばよい。墜落時に落下終点(BF)では図6の姿勢にあった揺動片8は、落下終点(BF)から終端(B1)まで登り返す間、ほぼその姿勢のままで保持される。
さらに、終端(B1)から上方に登攀距離を延ばすには、既に上述したが、図6の下方姿勢にある揺動片8の操作部14を手で掴んでX方向に回動し、操作部14を図5に示す横向きの水平姿勢に戻し、アンカー方向にロープ16をスムーズに繰出しながら登攀すればよい。この図6の姿勢から図5の横向き姿勢に至るまでの操作は、ロープにテンションが掛かっていない状態では、軽い力で容易に操作部14を図5の水平位置に戻すことができる。その理由は、揺動片8の操作部14を下方位置から水平位置に戻す操作が、ロープ16に対する挟持・制動を解除する方向への動作であり、しかも、板状本体14の下端部Gと、揺動片8の操作部14とがその位置Eで強く押合うことで極めて強く挟持されているだけであり、従来例のようにロープが溝に食込み流出不能に大きな摩擦力で挟持されることでロープ制動が掛かっているようなものではないことにある。揺動片8の操作部14を水平姿勢に保持すれば、ロープ16の流動に伴う摩擦抵抗が小さく、アンカー側、自由端側の何れの方向にもスムーズにロープ16を繰出すことができる。
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明は上記実施例に何ら限定されない。例えば、上記実施例では、単独登攀者32がこの制動装置30を使用する場合について説明したが、二人一組になって登攀する場合にも使用することができる。また、この制動装置は、アセンダーとしても利用でき、その場合に、図5に仮想線で示したように、板状本体4の例えば側端部Dに取っ手56などを設けておけば、アセンダーとしての利用可能性は向上する。
さらに、上記実施例では、揺動片8のロープ案内部10の周面と、操作部14の位置Eの近傍に複数の平行な溝24を設けているが、この溝24の設ける範囲は実施例に限定されない。
また、この制動装置の使用範囲や用途は、単独登攀でのリードクライミングやトップロープクライミング時の安全装置の用途に限らず、高所作業を行う人の安全確保のために使用することもできる。
上記第1の実施例では、制動装置30のA側を首に吊るし、B側を腰のハーネスに結び付けて使用する態様につき説明したが、本発明の制動装置30は、上下逆の態様、すなわち制動装置30のA側を下にしてハーネスと結び、B側を上にして首に結んで用いても良い。このような態様で用いれば、ロープがアンカー側に引かれた際に、ロープが接触している揺動片8の操作部14に対しても、Y方向に回動させる力が働くため、墜落時のロープに対する制動力も大きくなり、安全性に優れる。このように上下逆の態様で制動装置を使用できることは、下記の第2の制動装置50でも同様である。
<第2の制動装置>
上記第1の実施例では、案内通路18からアンカー側へどれだけの長さロープを繰り出すかは、登攀者によりその都度決定される事項であり、その長さにばらつきが生じるが、下記第2の実施例に示すように、この長さを機械的に常に略一定pに設定することも可能である。
すなわち、クライミング用ロープ16がハーケンに係止されている終端(B1)から図示せぬ次のハーケン位置(B2)に辿り着くために登攀者が行うロープの繰り出し作業において、ロープ繰り出し長さを予め一定の長さp(例:5m)に設定しておき、その長さpまでは自由にすなわち極めて容易にロープを繰り出すことを可能とし、その所定長さpだけロープが引き出された時点で、それ以上の引き出しができないようにロープの移動・流出を自動的に停止させるように設定することもできる。このように設定すれば、アンカー側へのロープ繰り出し長さを、登攀者の勘によらず常に一定にすることができる。すなわち、繰り出す量を予め所定長さpに設計・設定しておけば、その距離p(例:5m)未満の登攀をする間は、揺動片8の操作や手動でのロープの繰出し操作をしなくとも、登攀に伴い自動的に、あるいは僅かの力を加えるだけでロープはアンカー方向にスムーズに繰り出されるから登攀者は自由に登攀できる。
そして所定距離p登攀するとロープ流動は自動的にストップするため、それ以上の距離登攀を継続するには、制動装置の手動での停止解除と初期条件への再度のセットを必要とするが、容易にその操作を行い再び自由な登攀を継続できるように構成することもできる。
なお、もし、所定長pの登攀の途中で転落してしまっても、2人一組での登攀の場合と同様に、ハーケンにロープをクリップした終端(B1)の位置から登攀距離の2倍の範囲程度の転落で、自動的にロープ制動が働き滑落停止となる。
図9〜図12はこのような作用効果を有する第2の実施例に係る制動装置を示したものである。なお、図9〜図12では、図面の煩雑化を避けるために要部以外を一部省いた状態で示している。
例えば、図9に示した第2の実施例の制動装置では、本来蓋体22及び板状本体4のさらに外方に安全カバーが設けられるが、この最外方の安全カバーは図示していない。
また、以下の第2の実施例の説明では、説明の都合上、主として図9に示した姿勢で「上」、「下」を定める場合がある。例えば、蓋体22は板状本体4の上に位置している。
第2の実施例のクライミング用ロープの制動装置50では、板状本体4と、軸6を支点として揺動自在に装着される揺動片8とを備えている点、板状本体4と、揺動片8のロープ案内部10との間の案内通路18内に、クライミング用ロープ16が挿通される点などは、上述の第1の実施例と同様である。
一方、第2の実施例の揺動片8は、図11に明示されるように、下方の本体部8dと上方の上板部8eとの2部材により構成され、上方の上板部8eは下方の本体部8dに対して若干片側、すなわち板状本体4の下端部B側の案内通路18側に張り出すように形成されている点(a-1)、および揺動片8の上面であって、ロープ案内部10の最大膨出部F近傍に孔52が形成されている点(a-2)で上記実施例と異なっている。
本実施例では、まず、揺動片8の上板部8eがこのように板状本体4の下端部B側の案内通路18側に一部張り出して形成されているため、後述する図9に示すように、揺動片8がY方向あるいはX方向に回動しても、揺動片8上を、蓋体22の上方から押圧している係止部11aは上板部8eの上面に案内されて移動するので、係止部11aが孔52以外の部分でロープ案内通路18内に落ち込むことはない。よって、上板部8eは軽量で摩擦抵抗の少ない樹脂板、アルミ合金板などで平滑に形成されていることが好ましい。本発明では、この上板部8eは、平滑に形成されていれば、本体部8dと上板部8eとは、同一または異なる部材にて、一体に形成されていても良い。
また、本実施例では、孔52が、揺動片8の上面であって、ロープ案内部10の近傍、特に最大膨出部F近傍に形成されている。この孔52は、図11に示すように、軸6と最大膨出部Fとを通る直線上か、この直線上からあまり離れない位置に設けられ、揺動片8の操作部14を板状本体4の上下方向であるA−B方向に対して略直角な位置にしたときに、最大膨出部Fと、孔52と、軸6の中心と、揺動片8の操作部14とが略直線上に並びしかも略水平となる位置にあると、揺動片8の操作性がよい。すなわち、この実施例に示すように揺動片8の孔52は、揺動片8のロープ案内部10の近傍、より好ましくは、この最大膨出部Fの近傍に設けているので、後述する係止部11aを揺動片8の孔52に没入させた場合に、ロープ16の流動性を良好に保持しつつ、揺動片8の回転を少ない力でストップできるため望ましい。
本発明の第2の実施例では、前述の第1の実施例の構成に加えて、以下に詳述する部材が具備されることにより、これまで片手で何回も行われていたロープ16の引き出し操作を、機械的に設定した距離pの範囲内では自由に行うことが可能にされている。
なお、揺動片8には、図11に示すように、揺動ストッパー8cが設けられており、この揺動ストッパー8cは、上記第1の実施例の場合と同様に、揺動片8が、図6の下方位置から図5の水平位置の範囲で回動するように移動範囲を規制しており、これにより、孔52への係止部11aの没入位置決めを容易にすることが可能となっている。
以下に、このような本発明の第2の実施例の構成を説明する。
本実施例では、揺動片8の揺動を強制的に停止させる揺動片ロック手段11と、登攀のためのロープの繰り出し長さを検出するロープ移動検出手段15と、揺動片ロック手段11の係止部11aを手動又は自動的に操作する揺動片操作手段13と、揺動片ロック手段11の動作を自動で強制的に、あるいは手動で解除する揺動片係合解除手段33を備えている。
なお、ロープ移動検出手段15の突起体17a付き回転車17は、蓋体22と板状本体4との間に位置しているため、図9では点線で示され、詳細は、図10と図11に示されている。また、揺動片操作手段13の側方には、ウォームギア63などからなる力の伝達手段65が介在されている。
上記揺動片8の揺動を強制的に停止させる揺動片ロック手段11は、図10および図12に示したように、軸23bを支点として所定角度回動することが可能な、凸片11b付きのクチバシ状円板27と、係止部11aと、付勢手段11cとを有している。
この付勢手段11cは、バネ、ゴムなどの弾性部材からなり、制動装置50の体勢の如何に依らず、その付勢力により、前記揺動片8に接近する方向に常時押圧している。この付勢力を受けて、係止部11aは、図12(B)において実線で示すように、揺動片8の孔52内に没入した状態で安定化する。また、この係止部11aは、操作レバー51を操作して孔52から脱出・離反させれば、図12(B)において点線で示す上方位置で安定化する。また、安定する上記2つの位置の間では係止部11aは付勢手段11cの付勢力を受けて不安定となり、いずれかの安定な方向に移動しようとする。そのため、登攀時に不意に揺動片8が揺動自在となりロープ制動が働いたり、反対に、揺動片8が揺動不能となりロープ制動が解除されることはない。
なお、このクチバシ状円板27には、上記したように凸片11bが設けられているので、操作レバー51が軸23bを支点として上方に回動したときに、図12(B)中、附番11b(点線)で示すように、その回動の途中でクチバシ状円板27の凸片11bが蓋体22に当接する。この当接により、操作レバー51のそれ以上の上方への回動が規制される。もし、凸片11bがないと、付勢手段11cの付勢力がクチバシ状円板27に及ばなくなるまで操作レバー51は矢印E方向の上方位置まで回動し、例えば図12(B)中、附番11b(二点鎖線)で示す位置まで移動する。
なお、このように操作レバー51が点線で示す位置、二点鎖線で示す位置にあると、揺動片ロック手段11の動作を自動で強制的に解除する揺動片係合解除手段33は働かず、ロープの移動距離を検出して係止部11aを孔52から離反させることはできないが、この状態では、係止部11aが孔52から離脱しており、揺動片8が揺動自在なため、揺動片8が下方のY方向に回動してロープの流出は直ちにストップして登攀者の滑落を阻止する。
以上述べたことから明らかなように、付勢手段11cでは、クチバシ状円板27の先端部に設けた係止部11aが、蓋体22に設けた孔22aから揺動片8に設けた孔52内に選択的に没入あるいは離反可能に構成されており、しかもそれら何れの状態でも安定するので制動装置の安全性が高くなる。
上記ロープの繰り出し長さを検出するロープ移動検出手段15は、図11に示したように、周面に多数の突起体17aが形成された回転車17と、付勢部材17bとにより構成され、付勢部材17bは、この回転車17の突起体17aが、使用されるロープのロープ径に拘わらず、常に、ロープ16表面に突き刺さるように回転車17を付勢する。その結果、ロープ16の移動に伴い、回転車17の突起体17aがロープへの突き刺り部位を変えながら、回転車17は回転することになるので、回転車17の回転に伴うその外周面の移動距離すなわちロ−プの繰り出し長さを機械的に常に正確に検出することができる。この回転車17は、図11に示すように、揺動片8の回転面や板状本体4と平行な面である水平方向に移動可能なコ字状ブラケット25にピン23aを介して取付けられ、ブラケット25を介して揺動片8の外周面近傍に設置される。上記付勢部材17bは、例えば、このブラケット25と、蓋体22との間に掛け渡されている。この付勢部材17bにより付勢された、突起体17a付の回転車17は、ロープ16を揺動片8の外周面10に強く押圧することになり、前述した第1の実施例に比してこの第2の実施例では、ロープ16と揺動片8との摩擦力は増大している。そのため、ロープ16が例えば、アンカー側に流出すると、揺動片8には、軸6を中心として図11で矢印Yの方向に回動しようとする力がより強く働くことになる。
揺動片ロック手段11の係止部11aを手動で操作する上記揺動片操作手段13は、図9、10、12に示すように、クチバシ状円板27に一体に連結された操作レバー51により構成されている。この操作レバー51はクチバシ状円板27の軸23bにより、板状本体4に対し矢印E方向あるいはF方向に揺動自在であり、操作レバー51を図10において矢印E方向に操作すれば、クチバシ状円板27の係止部11aを上方に移動させることができ、これにより係止部11aを揺動片8から離反させ、揺動片8を回動自由にすることができる。一方、操作レバー51を図10において矢印F方向に操作すれば、クチバシ状円板27の係止部11aを下方に移動、すなわち、係止部11aを揺動片8の孔52内に没入させ、揺動片8の回転を阻止することができる。
上記揺動片係合解除手段33は、図9,10、12では、揺動片操作レバー51のクチバシ状円板27とは反対側の面に設けられている。この揺動片係合解除手段33は、揺動片8に対する係止部11aの係合を必要に応じて強制的に解除するために構成されたものである。なお、揺動片8に対する係止部11aの係合の強制解除は、既に述べたようにロープ移動検出手段15から回転盤67に伝達された力を利用して機械的に自動で、あるいは手動で直接、揺動片操作レバー51をE方向へ移動させることにより行われる。この揺動片係合解除手段33は、図12(A)に示したように、揺動片操作レバー51の側面に設置された折り畳み片35と、折り畳み片35に対して力を伝達するピン69との間に構成されている。
揺動片係合解除手段33を構成する折り畳み片35は、図9、図10、あるいは図12(A)中、附番35(実線)で示すように、操作レバー51に対して直角な第1姿勢、あるいは図12(A)中、附番35(二点鎖線)で示すように、揺動片操作レバー51に対して平行な第2姿勢の2つの位置のいずれかの位置を選択的に採ることができる。また、折り畳み片35は、引っ張りバネ37により上方に引っ張られることにより、通常は、揺動片操作レバー51に対して直角な第1姿勢となっている。
一方、揺動片係合解除手段33を構成する折り畳み片35が二点鎖線で示す第2姿勢であれば、図12(A)から明らかなように、折り畳み片35はピン69に当接することはない。したがって、揺動片係合解除手段33の折り畳み片35を手動操作により強制的にこのピン69に当接することのない第2姿勢、すなわち、図12(B)中、点線で示す位置、一点鎖線で示す位置に操作レバー51及び折り畳み片35を配置すれば、操作レバー51と回転盤67との力の伝達経路が遮断される。すなわち、上記したように、この操作レバー51を直接手で操作して、操作レバー51と回転盤67との力の伝達経路を遮断するE方向は勿論、この力の伝達経路を接続するF方向にも操作することができる。
上記伝達手段65は、ウォームギア63、回転盤67などから構成され、この伝達手段65の作用により、揺動片8の周面に配置された回転車17の回転した円周の長さに応じて、回転盤67に突設したピン69が徐々に移動する。
本実施例において、ロープの繰り出し長さの設定は、回転車17の直径φ、力の伝達手段65を構成するウォームギア63の減速比、回転盤67のピン69の個数などを調整することにより任意に定めることができる。
また、このクチバシ状円板27の係止部11aは、上記したように揺動片操作手段13を構成する操作レバー51により、手で直接操作することができるが、この他に、本実施例では、登攀者が登攀距離を延ばすために予め設定された繰り出し長さpが満了した時点で、機械的に自動で操作されるように構成されている。すなわち、本実施例では、ロープ16が予め設定された長さpだけ繰り出され、繰り出し長さが完了したときの機械的な信号により、操作レバー51を操作して、これにより係止部11aを上動させるように構成されている。
以下、ロープ16の繰り出し長さが予め設定された長さpだけ繰り出された場合に、どのようにして係止部11aが機械的に自動で操作されるかについて説明する。
すなわち、クライミング用ロープ16がアンカー側に自由に、低速又は高速で繰り出されていくと、その繰り出されたロープにより突起体17a付き回転車17が図11において矢印J方向に同じ距離正確かつ確実に回転する。この回転車17の矢印J方向への回転は、力の伝達手段65の各構成要素に伝達されていく。先ずウォームギア63に伝達され、さらにその減速比に応じて、回転盤67が図11において矢印K方向に大きなトルクで回転する。回転盤67の矢印K方向への回転動作により、回転盤67のピン69が周方向に徐々に移動する。
ピン69は、ウォームギアの軸64を中心として回転盤67上を周方向(K方向)に移動していくため、ピン69はロープ16の繰り出し長さに応じてK方向に位置を徐々に変えていく。そして、クライミング用ロープ16の繰り出し長さが設定長さp繰り出されたときに、これまで図11において矢印K方向に移動してきたピン69が、図12(B)に附番69-1で示すように、折り畳み片35の下部に当接し、折り畳み片35を上方向に大きな力で押圧する。そしてピン69が折り畳み片35に当接しながら位置69-2へと移動することにより、操作レバー51と一体に連結されている揺動片停止手段11の係止部11aが強制的に上方に押し上げられる。
すなわち、本実施例では、ロープ16の繰り出された長さに応じて回転盤67が回転する。そして、ロープ16の繰出しが予め設定された繰り出し長さの完了に近づいていく。これを、一つのピン69の動きに着目して説明すれば、図12(B)に附番69-1で示すように、操作レバーに一体的に取り付けられている折り畳み片35にピン69が当接し、当接した後しばらくは、この折り畳み片35とピン69とが一体的に移動する。すなわち、しばらくは軸23bを中心に動くクチバシ状円板27の係止部11aも孔52から上方へ徐々に移動する。このようにして、揺動片操作手段13を構成する操作レバー51が押し上げられることより、クチバシ状円板27の係止部11aも上方に移動する。そして、ピン69が位置69-3の手前付近まで移動すると、操作レバー51は十分に上に撥ね上がり、クチバシ状円板27の係止部11aは完全に孔52から離脱する。そして、この係止部11aは、このように揺動片8の孔52から完全に離反・脱出した状態で、付勢手段11cの付勢力を受けて安定する。同様に、操作レバー51も、付勢手段11cの付勢力を受けて図12(B)中、附番51の点線、あるいは一点鎖線で示す上方の位置にて安定する。上記のように係止部11aが揺動片8の孔52から完全に離反・脱出することにより、揺動片8の揺動が可能になる。次いで、ピン69は、附番69-3の位置に到達する。この位置69-3では、ピン69は、折り畳み片35との当接が解除されている。折り畳み片35とピン69との係合が解除されると、ピン69は、附番69-4の位置に折り畳み片35を伴わずに単独で移動していく。このように、ピン69が、附番69-3、附番69-4、附番69-1の各位置へと順次回動していく間は勿論のこと、以降、ピン69がさらに、再び附番69-2、附番69-3・・・と順次回動していく間も、クチバシ状円板27の係止部11aは完全に孔52から離脱した状態で安定しているので、揺動片8は揺動自在となる、そして、この揺動自在な状態は保持される。
付勢部材17bからの付勢力を常に受けつつ回転している回転車17は、前述したように、ロープ16を揺動片8の外周面10に強く押圧しているので、揺動片8が揺動自在な状態で、ロープ16がアンカー側に繰出されていくと、揺動片8にも、このロープ流出に伴い時計回りに強く回動しようとする力が働き、揺動片8の操作部14は下方に回動し、ロープ16を板状本体4との間で挟持する。そして、一端を挟持されたロープをアンカー側にさらに引き出そうとすると、その力は、モーメントの関係でより強く揺動片8を時計回りに回動させる力となり、挟持したロープ16をより一層強い力で挟持し、結果的にロープ制動が強く働く。なお、図9に示したように、ピン69が、回転盤67上に2個配置されていると、ピン69が1個の場合に比して半分のロープ流出距離(p/2)で制動が働くことになる。
このように本実施例の揺動装置50では、予め設定されたロープ16の繰り出し長さが完了した機械的な信号、すなわち、ピン69の位置が移動することによってクチバシ状円板27の係止部11aの位置を上方に移動操作することができ、これに基づいて揺動片8を移動可能にすることができる。
次に、ロープ16が制動装置50の自由端側に引き戻される場合について説明すると、ピン69はK方向と反対の方向に回転する。そのとき、揺動片係合解除手段33の折り畳み片35は、操作レバー51に対して図12(a)中、附番35の実線で示す直角な第1姿勢から、附番35の二点差線で示す平行な第2姿勢移行して、操作レバー51に対する作動力を逃がす。そのため、ピン69から折り畳み片35に対して力を伝達することができない。よって、揺動片8の孔52内に係止部11aが没入し、揺動片8が揺動不能な位置にあれば、スムーズにロープ16をアンカー側に手繰り寄せることができ、また、揺動片8の孔52内から係止部11aが離反・脱出し、揺動片8が揺動自在な位置にあれば、揺動片8はその操作部14が下方位置となり、スムーズにロープ16をアンカー側に手繰り寄せることができる。
本実施例の制動装置50は、上記のような構成を有しているが、以下に登攀時の作用について説明する。
先ず、本実施例では、次のハーケン位置に辿り着くために登攀者が行うロープの繰り出す作業におけるロープ繰り出し長さが一定の長さpに定められている。
そのため、図12(B)の実線で示すように、揺動片8の孔52に没入していた係止部11aは、登攀者が所定距離p登攀すると、図12(B)中、点線で示すように上方(E方向)へ離反し、揺動片8は揺動自在となる。その結果、揺動片8は、図11において時計回りのY方向に回転し、ロープ16の流出はストップする。
この状態で、さらに登攀距離を延ばす場合には、例えば、最初に登攀者は揺動片8の操作部14に対して力を加えて水平方向に回転させると共に、図10、12(B)において操作レバー51を強制的にF方向に駆動させ、制動装置50を初期条件にセットする。
すなわち、ロープ16を引き出す前に制動装置50を下記の「初期条件」にセットすれば、以後手を使わなくても自由にロープを繰出して所定距離pの登攀を行うことが可能にされている。すなわち、制動装置50の初期条件では、クチバシ状円板27の係止部11aが揺動片8の孔52内に没入しており、揺動片8は図11あるいは前記図5に示すような板状本体4の上下方向に対して略直角な位置で固定され、ロープ16の引き出し操作が制動装置50のアンカー側、自由端側の何れの方向へも自在になっている。この点、前記第1の実施例では、係る機構がないので、手を添えて操作部14を板状本体4の上下方向に対して略直角な位置に保持しないとロープ16をアンカー側に引き出すことは容易でない。
なお、制動装置50をこの初期条件にセットする方法について説明する。
今、滑落が生じ制動装置50が自動的に働くことにより、又は、操作レバーを手動で強制解除して一時休憩することなどにより、既に、操作レバー51が図12(B)中、点線で示すような上方にあり、係止部11aも揺動片8の孔52内から脱出・離反した状態にあり、揺動片8も板状本体4に対して下方位置C側にあると仮定する。
その場合には、揺動片8の操作部14を操作して、揺動片8を板状本体4に対して図11(図5)に示すような水平位置に戻し、係止部11aが揺動片8の孔52に没入可能な状態となる。
そして、揺動片係合解除手段33の折り畳み片35を、図12(A)中、附番35の二点鎖線で示すように、操作レバー51と平行な状態にして、折り畳み片35と、回転盤67のピン69との係合が生じないようにする。このように折り畳み片35を操作レバー51に平行な状態にして、操作レバー51を下方向(F方向)に押下げる。これにより、操作レバー51と一体に連結している揺動片ロック手段11の係止部11aを揺動片8の孔52に没入させ、揺動片8の回動を図5に示すような水平位置でストップさせればよい。このような「初期条件」に制動装置50をセットすれば再び自由登攀を続けることができる。なお、揺動片8の操作部14の操作と、操作レバー51の操作の操作順序は、任意である。
このように、揺動片の孔52と係止部11aの位置が合致した時点で、係止部11aを揺動片8の孔52内に没入させれば、これにより係止部11aを、図12(B)中、実線で示す下方の位置とすることができる。これにより、揺動片8は、図11に附番14で示すような略横向きの姿勢で揺動不能となる。これにより、ロープ16の自由な繰り出しが可能になる。この制動装置50は、前記第1の実施例に示す制動措置30と異なり、前記付勢部材17bにより、ロープ16と揺動片8との間に常に押圧力が働いているが、このロープ16の繰り出しの際には、上述したように、ロープ16を手で引っ張ることは特に必要ではなく、例えば、登攀者が登っていく最中に体をロープ16の自由端側に動かすなどすれば、その動きがロープ16に対し、ロープ16を引き出すに十分な程度の力として作用するので、結果としてロープ16をアンカー側に自由に引き出すことができる。
このようにロープ16を引き出していくとき、揺動片8は、揺動不能に陥っているため自由に移動することはない。
また、ロープ16を繰り出す際に、ロープ16から加えられる力により、ロープ移動検出手段15の回転車17はそれに伴って回転し、ウォームギア63などからなる力の伝達手段65を介してロープ16の引張り力が回転盤67に大きなトルクで伝達される。
回転盤67は、ロープ16の繰り出し長さに応じて回転していくが、これに伴ってピン69の位置も、回転盤67上をK方向に移動していく。
このような状態で登攀者によるロープ繰り出し長さが予め設定された長さp(例:5m)に達すると、回転盤67のピン69が折り畳み片35に到達する。これにより、ピン69から折り畳み片35に力が作用し、その機械的信号により、係止部11aが矢印E方向すなわち上方に移動し、これにより、係止部11aの揺動片8に対する係合が解除される。すると、揺動片8の揺動が可能となる。揺動片8の揺動が可能になると、揺動片8の操作部14が、ロープ16から加えられる摩擦力により、図11においてY方向に回動する。これにより、揺動片8の下面8aが板状本体4との間でクライミング用ロープ16を挟持することになり、ロープ16のそれ以上の繰り出しが不能になる。
これにより、ロープ16の所定長さの繰り出し作業が完了する。
登攀者は、このようにして一定量の自由な繰り出し長さpを予めセットすることができる。
なお、揺動片8の姿勢を略横向きの姿勢とし、この状態で操作レバー51を再度下方に操作し、これにより、揺動片8の揺動を不能にすれば、逆に一定量の範囲でロープの繰り出しを自由に行うことができる。
次に、登攀の途中、すなわち予め設定された繰り出し長さpを繰り出そうとしている最中に滑落が生じてしまった場合について説明する。
所定の繰り出し長さpを繰り出していく途中であれば、操作レバー51は、図12(B)中、実線で示す下方位置にある。この状態から滑落が生じると、クライミング用ロープ16を介して操作レバー51に力が作用し、ロープが所定距離p流出すると揺動片8は揺動自在となるので、ロープ流出は直ちにストップし、安全確保が行われることになる。
すなわち、図11においてアンカー側からクライミング用ロープ16に力が作用し、このロープ16を相対的にアンカー側に引っ張るように大きな力が作用する。
すると、ロープ移動検出手段15の付勢部材17bからの押圧を受けている揺動片8には、ロープ16を介して急激に大きな力が作用する。これにより、係止部11aと揺動片8との係合が強制的に解除される。揺動片8は、図11において軸6を中心に時計方向に揺動し、クライミング用ロープ16を板状本体4との間で挟持する。これにより、それ以上のロープ16の移動が阻止される。これにより、登攀者の安全が確保される。
なお、滑落が生じた後、再び、登攀を行う場合は、ロープ16をアンカー側から制動装置50を介して自由端側に自由に引き戻せばよい。この際に、制動装置50を初期条件に再セットする必要はない。
その理由は、以下のとおりである。
すなわち、この自由端側へのロープ16の引き戻し操作の際には、前述したように、揺動片8の操作部14が、軸6を中心として反時計周りに下方から上方に回動しようとする。
ここで、揺動片8のロープ案内部10は、図7(A)に示すように、ロープ16がない状態であっても板状本体4の最下方位H〜下端部G付近で当接するように設定されている。従って、図11に示すように、ロープ16が案内通路18内にセットされていると、その分、揺動片8の操作部14の反時計周りの回転は抑制され、その操作部14と板状本体4とはアンカー側出口では当接しない。従って、ロープ16をその自由端側に引き出してもロープ16の引き出しに際し、ロープ16は案内通路18内を揺動片8の側面で滑りながら流動し、摩擦抵抗がほとんど生じない。よって、自由端側にロープ16を引き戻す際には、制動装置50を、初期条件に再セットしなくとも、容易にロープ16を手繰り寄せることができる。
なお、元の最高地点(B1)まで登り返した後、さらに登攀を継続するには、安全確保の状態から操作レバー51を介して係止部11aを揺動片8の孔52に没入するように下方に移動させると共に、揺動片8の操作部14を下方位置から水平位置に戻せば、係止部11aは孔52に没入し、ロープを繰り出すための、最初の初期状態にセットすることができる。
さらに、本実施例では登攀を行っている最中、あるいは予め設定されたロープの繰り出しを行っている際中であっても、係合解除手段33を機能させることもできる。すなわち、登攀者がクチバシ状円板27の折り畳み片35を手動で操作して揺動片操作レバー51に対して平行な第2姿勢に設定すれば、回転盤67のピン69と、折り畳み片35とは係合解除され、図12(B)中、実線で示す位置から点線又は一点鎖線で示す状態まで、操作レバー51を上方(E方向)に自由に移動させることができ、それに伴いクチバシ状円板の係止部11aも孔52から上方に離脱し、かつ、操作レバー51との間の力の伝達も解除されるので、揺動片8の操作部14を自由に移動させることができる。
もし、墜落途中で、このように揺動片係合解除手段33を登攀者が自ら作動させた場合には、揺動片8は揺動自在となるため、ロープ制動が直ちに働き墜落ストップとなる。
このような本発明の第2の実施例によれば、登攀距離を延ばすために、岩壁の途中で片手で何回もクライミング用ロープ16を繰り出す操作をしなくても良い。また、予め設定された量pのロープを繰り出すまでは、ロープを自由に繰り出すことができる。勿論、どんな場合にも滑落が生じてしまった場合には、登攀者の安全を確保することができる。
2 凹所
2a 弧状周壁部
4 板状本体
6 軸
6c 頭部
8 揺動片
9 軸挿通孔
10 ロープ案内部
11 揺動片ロック手段
11a 係止部
11b 凸片
11c 付勢手段
13 揺動片操作手段
14 操作部(揺動片の操作部)
15 ロープ移動検出手段
16 クライミング用ロープ(ロープ)
17a 多数の突起体
17 回転車
18 案内通路
19 入口側開口
21 出口側開口
22 蓋体
24 溝
27 クチバシ状円板
30 本発明の第1の実施例に係る制動装置
32 登攀者
33 揺動片係合解除手段
35 折り畳み片
37 引張りバネ(付勢手段)
43 バネ
50 本発明の第2の実施例に係る制動装置
51 揺動片操作レバー
52 揺動片の孔
56 取っ手
63 ウォームギア
65 力の伝達手段
67 回転盤
69 ピン
A 上端部
B 下端部
C 一方の側端部
D 他方の側端部
E 位置(揺動片の操作部と、板状本体とが閉塞状態で当接する位置)
F 最大膨出部
G 下端部
H 最下方位置
M、N 位置
L1 位置Eから軸6までの距離
L2 軸6からロープ案内部10の最大膨出部Fまでの距離
Lx 距離L2の端点Fから、位置Eと軸6とを結ぶ直線上に垂線を下ろしたときの交点を(U)とし、前記軸6からその交点Uまでの距離
T 長さ

Claims (3)

  1. 上端部(A)、下端部(B)および左右の両側端部(C)、(D)を有し、一方の側端部(C)側に開口する略円弧状の凹所(2)が形成された板状本体(4)と、
    前記板状本体(4)に軸(6)を介して揺動自在に取り付けられるとともに、略円弧状に形成されたロープ案内部(10)並びに当該ロープ案内部(10)に一体的に形成され、かつ前記略半円状の凹所(2)から前記板状本体(4)の一方の側端部(C)側に突出して配置される操作部(14)を有し、前記操作部(14)に加えられる手動操作力あるいは前記クライミング用ロープを介して加えられる引張り力により上方あるいは下方のいずれかに揺動する揺動片(8)と、から構成され、
    前記揺動片(8)は、
    前記凹所(2)の弧状周壁部(2a)と前記揺動片(8)との間に画成された案内通路(18)内に案内された前記クライミング用ロープ(16)に、前記板状本体(4)の上端部(A)側に引き上げる力が作用した場合に、前記操作部(14)が前記板状本体(4)の前記案内通路(18)の入口側開口(19)を閉塞するように当接し、この案内通路(18)の閉塞状態を構成する前記操作部(14)の前記板状本体(4)に当接する位置を(E)とし、この位置(E)から前記軸(6)の中心までの距離を(L1)とし、前記軸(6)の中心から前記ロープ案内部(10)の最大膨出部(F)までの距離を(L2)とし、前記位置(E)と前記軸(6)の中心とを結ぶ直線上に、最大膨出部(F)から垂線を下ろしたときの交点を(U)とし、前記軸(6)の中心からその交点(U)までの距離を(Lx)とするとき、前記軸(6)の取り付け位置が、L1<Lxとなる位置に設定されており、
    前記案内通路(18)内に挿通されたクライミング用ロープ(16)に対し、前記板状本体(4)の上端部(A)側から所定以上の引き出す力が急激に作用した場合に、当該クライミング用ロープ(16)に作用した力が前記揺動片(8)に伝達され、この揺動片(8)に伝達された力によって前記揺動片(8)が強制的に揺動し、この揺動動作に伴って前記操作部(14)が前記板状本体(4)の下端部(B)側に接近する方向に揺動し、これにより、前記案内通路(18)内に挿通された前記クライミング用ロープ(16)が前記操作部(14)と前記板状本体(4)とに挟持されて、前記クライミング用ロープ(16)の移動が阻止されることを特徴とするクライミング用ロープの制動装置。
  2. 前記揺動片(8)の揺動を不能にする揺動片ロック手段(11)と、
    前記揺動片ロック手段(11)を操作する揺動片操作手段(13)と、
    前記クライミング用ロープ(16)の一方向への移動あるいは他方向への移動長さを機械的に検出するロープ移動検出手段(15)と、
    前記ロープ移動検出手段(15)により前記クライミング用ロープ(16)の一方向への繰り出し長さが予め設定された長さに達したときに、前記揺動片ロック手段(11)の前記揺動片(8)に対する係合を解除する揺動片係合解除手段(33)と、を備えたことを特徴とする請求項1に記載のクライミング用ロープの制動装置。
  3. 前記揺動片ロック手段(11)は付勢手段の付勢力により、前記揺動片(8)に接近する方向に常時押圧されていることを特徴とする請求項2に記載のクライミング用ロープの制動装置。
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