JP2011198664A - 有機電界発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで長寿命化が可能な有機電界発光素子を提供する。
【解決手段】基板上に陽極と、陰極と、陽極と陰極との間の発光層を含む有機層とを有し、陽極が亜鉛、ガリウム、銅および酸素を含んでなる材料から構成され、陽極中の銅の混合量は、陽極を構成する金属元素である亜鉛、ガリウムおよび銅の総原子数の0.2〜2.3アトミック%の範囲である有機電界発光素子である。
【選択図】なし

Description

本発明は、有機電界発光素子に関する。
有機発光素子、特に電界発光機能を備えた有機電界発光素子(以下、「有機EL素子」と呼ぶ場合がある)は、次世代平面ディスプレイとして注目されている。この有機電界発光素子を用いることにより、例えば、低消費電力、広視野角、自発光、高速応答性などの特徴を有するフルカラーディスプレイの実現が可能である。
この有機EL素子の構成としては、基板上に設けた、正孔注入電極(陽極)/有機発光層/電子注入電極(陰極)の構成を基本とし、これに正孔注入層や電子注入層を適宜設けたもの、例えば、正孔注入電極/正孔注入層/有機発光層/電子注入電極や、正孔注入電極/正孔注入層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極、正孔注入電極/正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子注入層/電子注入電極などの構成のものが知られている。有機EL素子は、正孔注入電極から注入される正孔と、電子注入電極から注入される電子とが有機発光層中で再結合し、これにより有機発光材料が励起され、この発光材料が基底状態に戻る際に起こる発光現象を利用している。
このような有機EL素子において、耐久性を高めるための研究開発が行われている。
例えば、特許文献1には、外部に取り出せる光量が多い一方、駆動電圧が低くても、発光輝度が高く、しかも、耐久性に優れた有機EL素子を提供することを目的として、少なくとも陽極層、正孔注入層、有機発光層および陰極層を順次に積層した構造を有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、正孔注入層をn型無機半導体材料から構成するとともに、正孔注入層のフェルミエネルギーをΦ、陽極層のフェルミエネルギーをΦとしたときに、Φ>Φの関係を満足し、かつ、n型無機半導体材料の吸収係数を1×10cm−1以下の値とする有機エレクトロルミネッセンス素子が記載されている。特許文献1には、さらに、n型無機半導体材料は、酸化インジウムおよび酸化亜鉛あるいはいずれか一方の酸化物を含み、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化マグネシウム、酸化アンチモン、酸化珪素、酸化チタン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化モリブテン、酸化ルテニウム、酸化イリジウム、酸化レニウムからなる群から選択される少なくとも一つの酸化物をさらに含むことが記載されている。
しかし、特許文献1の技術では、陽極である透明電極成膜後、さらに正孔注入層を成膜する必要がある。正孔注入層の成膜には最低一つのスパッタリングターゲットもしくは蒸着源を設ける必要があり、さらに設備の拡張や製造工程の増加なども予想されるため、n型無機半導体材料として低価格の酸化亜鉛を用いても製造コストの増加は不可避である。
特開2000−223276号公報
本発明は、低コストで長寿命化が可能な有機電界発光素子である。
本発明は、基板上に陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間の発光層を含む有機層とを有し、前記陽極が亜鉛、ガリウム、銅および酸素を含んでなる材料から構成され、前記陽極中の銅の混合量は、陽極を構成する金属元素である亜鉛、ガリウムおよび銅の総原子数の0.2〜2.3アトミック%の範囲である有機電界発光素子である。
また、前記有機電界発光素子において、前記陽極中の銅の混合量は、0.6〜2.3アトミック%の範囲であることが好ましい。
また、前記有機電界発光素子において、前記陽極中の銅の混合量は、0.6〜1.2アトミック%の範囲であることが好ましい。
また、前記有機電界発光素子において、前記陽極の厚さは、10nm〜1,000nmの範囲であることが好ましい。
本発明では、陽極を亜鉛、ガリウム、銅および酸素を含んでなる材料から構成し、陽極中の銅の混合量を所定の範囲とすることにより、低コストで長寿命化が可能な有機電界発光素子を提供することができる。
本発明の実施形態に係る有機EL素子の一例の概略構成を示す断面図である。 (a)本発明の実施例2で作製した陽極上にα−NPDを10nm成膜し、70℃で1時間放置した試料の原子間力顕微鏡像を示す図である。(b)比較例1で作製した陽極上にα−NPDを10nm成膜し、70℃で1時間放置した試料の原子間力顕微鏡像を示す図である。
本発明の実施形態について以下説明する。本実施形態は本発明を実施する一例であって、本発明は本実施形態に限定されるものではない。
図1は、本実施形態に係る有機EL素子の一例の概略断面構成を示す。この有機EL素子1は、概略すると、基板10上に、正孔注入電極(陽極)12と、正孔輸送層14、発光層16、電子輸送層18を含む有機層と、電子注入層20と、電子注入電極(陰極)22とがこの順に形成されたものである。
ただし、本実施形態に係る有機EL素子はこのような構成でなくてもよく、例えば、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のうちのいずれか、または全部を有さない構成など様々な構成のものが採用可能である。また、正孔注入層を有する構成でもよい。
基板10としては、透明な基板であれば特に制限はないが、例えば、ガラスや、ポリエチレンテレフタレート、エステル樹脂基板、アクリル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂などが挙げられる。また、樹脂基板の表面にはSi、SiOなどを含むバリア膜が形成されていてもよい。
基板10上には、正孔注入電極(陽極)12が形成される。正孔注入電極12は、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)および酸素(O)を含んでなる材料から構成される。ガリウムを添加した酸化亜鉛電極は、低抵抗化は図れるが、その上に成膜する有機層との密着性が乏しく、素子の寿命に悪影響を与える場合があった。正孔注入電極への銅の添加は、正孔注入電極と有機層との密着性を改善し、有機EL素子の輝度劣化が抑制され、素子の長寿命化をもたらすものと考えられる。また、酸化亜鉛電極は、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)などの酸化インジウムを含有する透明電極に比べて、低コストである。
正孔注入電極12中の銅の混合量は、陽極を構成する金属元素である亜鉛、ガリウムおよび銅の総原子数の0.2〜2.3アトミック%の範囲である。正孔注入電極12中の銅の混合量が0.2アトミック%未満であると有機EL素子の長寿命化の効果がほとんど発現せず、2.3アトミック%を超えると膜の電気抵抗が大きくなり、有機EL素子の駆動中のジュール熱により素子の劣化が促進されてしまう。陽極中の銅の混合量は、0.6〜2.3アトミック%の範囲であることが好ましく、0.6〜1.2アトミック%の範囲であることがより好ましい。正孔注入電極12を構成する全金属元素(亜鉛、ガリウム、銅)の全原子数に対して銅の割合が上記範囲となるように、原料として用いる酸化銅等を成膜時に添加すればよい。
正孔注入電極12中のガリウムの混合量は、過去の報告例(例えば、M. Miyazaki et al., J. Non-Crystalline Solids, 218, page 323(1997)等)から考えると、酸化亜鉛と酸化ガリウムとの合計量に対して、酸化ガリウムを3〜10重量%程度(陽極を構成する亜鉛とガリウムの総原子数の2.6〜8.8アトミック%)添加するのが、電気抵抗の小さい電極を得るために適当であると考えられる。
正孔注入電極12中の亜鉛、ガリウムおよび銅の割合は、例えば、XPS法、EPMA法等の分析方法により、亜鉛、ガリウムおよび銅の金属元素の割合を測定することにより、求めることができる。
正孔注入電極12の膜厚は、10nm〜1,000nmの範囲であることが好ましく、100nm〜300nmの範囲であることがより好ましい。正孔注入電極12の膜厚が10nm未満であるとシート抵抗増加により有機EL素子の劣化を促進する場合があり、1,000nmを超えると膜の透過率が低下するため、光の取り出し効率が低下してしまう場合がある。
正孔注入電極12の成膜方法としては、特に制限はないが、例えば、スパッタリング法、電子ビーム蒸着法、イオンプレーティング法、パルスレーザ蒸着法などが挙げられる。これらのうち、量産性等の点から、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法においては、スパッタリングターゲットとして所望の組成となるように混合したターゲットを用いて成膜してもよいし、酸化亜鉛、酸化ガリウム、酸化銅をそれぞれ用意し、ターゲットに対する投入電力やターゲット面積を調整して成膜してもよい。
正孔輸送層14に用いる材料としては、正孔輸送機能を備えていれば特に限定されないが、例えば、トリフェニルアミンの多量体などのアミン化合物を使用すればよく、一例としては、α−NPD(4,4'-Bis[N-(1-naphthyl)-N-phenyl-amino]biphenyl)、TPTE(triphenylamine tetramer)などが挙げられる。正孔輸送層14の膜厚は、例えば、1nm〜300nmの範囲である。
発光層16は、目的とする発光色、輝度などに応じて最適な有機発光材料を含んでいる。この発光層16は、発光材料の単独層、発光材料がゲスト材料としてホスト材料中に少量ドープされた混合層、多色発光を実現するため、異なる発光材料層が積層された多層構造など、様々な構成が採用可能である。発光層16としては、蛍光を発する有機化合物を用いればよいが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、燐光を発する有機金属錯体などを使用してもよい。また、発光色度の調整や発光効率を増加させることを目的として、発光層16中に有機分子をドーピングすることも好適である。発光層16の膜厚は、例えば、1nm〜300nmの範囲である。
有機EL素子が白色発光素子のときは、例えば、発光材料として青および赤(オレンジ)の2層を用いて、加色により白色を得てもよい。また、RGB塗り分け方式の場合は、RGBそれぞれを発光する発光材料を使用すればよい。
発光材料としては、例えば、アルミキノリノール錯体(Alq:Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III))、DPVBi(4,4'-Bis[(2,2-diphenyl)vinyl-1-yl]-1,1'-biphenyl)、ADN(dinaphthylanthracene)などが挙げられる。あるいは、このAlqなどをホスト材料として他の発光色素のドーパント材料などを用いてもよい。もちろん、発光機能を備える他の材料を用いてもよい。
蛍光発光用のドーパント材料としては、青色蛍光用としては例えば、Bis[4-(N,N-diphenylamino)styryl]-9,10-anthrathene、ペリレンなどが挙げられる。オレンジ色蛍光用としては例えば、DCJTB(4-(dicyanomethylene)-2-t-butyl-6-(1,1,7,7-tetramethyljulolidyl-9-enyl)-4H-pyran)などが挙げられる。
また、発光材料としては、燐光発光用のホスト材料およびドーパント材料を使用してもよい。ホスト材料としては、カルバゾール基を含む化合物などが挙げられ、例えば、バイポーラ性の4,4’−N,N’−ジカルバゾール−ビフェニル(CBP:4,4'-N,N'-dicarbazole-biphenyl)を用いればよい。また、正孔輸送性の4,4’,4”−トリス(カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)を用いてもよい。ドーパント材料としては、青色燐光用としては例えば、FIrpic(Iridium(III)bis(2-(4,6-difluorophenyl)pyridinato-N,C2')picolinate)などが挙げられる。緑色燐光用としては例えば、Ir(ppy)(tris(2-phenylpyridine)iridium(III))などが挙げられる。赤色燐光用としては例えば、Ir(piq)(tris(2-phenylisoquinoline)iridium(III))などが挙げられる。
電子輸送層18に用いる材料としては、電子輸送機能を備えていれば特に限定されないが、例えば、上記アルミキノリノール錯体(Alq:Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III))、TPBA(2,2'-Bi(9,10-diphenylanthracene))などを使用すればよい。電子輸送層18の膜厚は、例えば、1nm〜200nmの範囲である。
また、必ずしも必要ではないが発光層16と電子輸送層18との間に正孔ブロック層を形成してもよい。正孔ブロック層の形成により、発光層16として例えば、TCTAなどの正孔輸送性材料を燐光発光のホストとして使用した場合に、発光層16から電子注入電極22側への正孔の流出をより確実にブロックすることができ、例えば、電子輸送層18にAlqなどを用いている場合に電子輸送層18に正孔が流れ込むことでこのAlqなどが発光したり、正孔を発光層16に閉じ込めることができずに発光効率が低下するなどといった問題を防止することができる。正孔ブロック層に用いる材料としては、TPBI(2,2',2''-(1,3,5-phenylene)tris(1-phenyl-1H-benzimidazole))や、バソクプロイン(BCP)や、BAlq(Aluminum(III)bis(2-methyl-8-quinolinato)-4-phenylphenolate)などが挙げられる。正孔ブロック層の膜厚は、例えば、0.1nm〜100nmの範囲、または、0.1nm〜30nmの範囲である。
有機層の上には、必要に応じて、LiF層などのアルカリ金属またはアルカリ土類金属のハロゲン化合物または酸化物を電子注入層20として形成してもよい。電子注入層20を形成することにより、電子注入障壁を小さくすることができる。電子注入層20の膜厚は、例えば、0.1nm〜1nmの範囲である。
電子注入層20の上には、Alなどの電子注入電極(陰極)22が形成される。電子注入電極22としては、Alの他にも、例えば、Mg−Ag合金、Al−Li合金などを使用してもよい。電子注入電極22は、真空蒸着法によって形成されることが好ましいが、スパッタリング法またはイオンプレーティング法などによって形成されてもよい。電子注入電極22の膜厚は、例えば、0.1nm〜100nmの範囲である。
このように、亜鉛(Zn)、ガリウム(Ga)、銅(Cu)および酸素(O)を含んでなる材料から構成されるZn−Ga−Cu−O薄膜を正孔注入電極(陽極)12として、少なくとも一層の発光層16を含む有機層と電子注入電極(陰極)22とを真空蒸着等により成膜し、有機EL素子とすればよい。なお、これらの工程はスピンコート法やインクジェット法などの湿式法によってもよい。
このような構成により、Zn−Ga−O薄膜を陽極とした有機EL素子に見られることがある陽極と有機層との間の密着性の欠如は改善され、有機EL素子の寿命を伸ばすことが可能となる。
素子全体を保護膜により封止してもよい。保護膜としては、防湿性が高いこと、曲げ応力耐性が高いことなどの点から、アモルファス窒化炭素膜やアモルファス窒化炭素膜と無機膜との積層膜(特開2003−282237号公報)、あるいは、気相成長無機膜と、有機化合物を少なくとも1種含む材料を用いて形成されたプラズマ重合膜と、が交互に積層され、かつ前記プラズマ重合膜が前記気相成長無機膜を挟んで形成されている積層膜(特開2004−87253号公報)などを用いればよい。
プラズマ重合膜は、アモルファス窒化炭素(a−CNx:H)、アモルファス炭素、ヘテロ五員環有機化合物プラズマ重合体、アクリル系有機化合物プラズマ重合体、フッ素系有機化合物プラズマ重合体、塩素系有機化合物プラズマ重合体、シリコン系有機化合物プラズマ重合体などのうち少なくとも1つを含んで構成すればよい。
無機膜あるいは気相成長無機膜は、窒化シリコン(Si膜)、窒化アルミニウム、窒化硼素などの窒化膜、酸化シリコン(SiO膜)、酸化アルミニウム(Al膜)、酸化チタン(TiO膜,TiCO膜など)などの酸化膜、アモルファスシリコン、ダイアモンド状カーボン(DLC)などのうち少なくとも1つを含んで構成すればよい。
アモルファス窒化炭素膜と無機膜との積層膜を保護膜として用いる場合、アモルファス窒化炭素膜/無機膜の2層構造でもよいし、無機膜/アモルファス窒化炭素膜の2層構造としてもよいし、さらに層数を増やしてもよい。
また、気相成長無機膜とプラズマ重合膜との積層膜を保護膜として用いる場合、プラズマ重合膜/気相成長無機膜/プラズマ重合膜の3層構造でもよいし、プラズマ重合膜/気相成長無機膜/プラズマ重合膜/気相成長無機膜の4層構造でもよいが、積層数は4層に限らず、4層以上でもよく、例えば10層程度またはそれ以上で防湿性能などを向上することができる。ただし、あまり層数を増やしても、保護機能は変わらないのに、製造コストが上昇するなど、あるいは透明であることが要求される場合に透過性の低下などが起きる可能性があるため、50層程度以下とすることが好ましい。
保護膜の膜厚は、0.1μm〜10μmの範囲であることが好ましく、0.5μm〜2μmの範囲であることがより好ましい。アモルファス窒化炭素膜と無機膜との積層膜を保護膜として用いる場合、無機膜は、少なくとも0.5μm以下の厚さとすることが好ましく、例えば0.15μm程度と薄くすることが好適である。アモルファス窒化炭素膜の膜厚については、0.5μm程度の厚さとすればよい。また、気相成長無機膜と、プラズマ重合膜との積層膜を保護膜として用いる場合、気相成長無機膜は、少なくとも0.5μm以下の厚さとすることが好ましく、例えば0.15μm程度と薄くすることが好適である。プラズマ重合膜の膜厚については、0.5μm程度の厚さとすればよい。少なくとも保護膜の総膜厚が有機EL素子の総膜厚程度(多くの場合0.5μm程度)の厚さを備えることが好ましく、また最大でも10μm程度あれば十分な保護効果が得られる。
なお、保護膜としては、例えば、アモルファスカーボン(特開昭63−259994号公報、特開平7−161474号公報)や、シリコン窒化膜やシリコン酸化膜(特開平4−73886号公報)、DLC(Diamond Like Carbon、特開平5−101885号公報)の他、無定型シリカ(特開平5−335080号公報)、SiZnO・SiZnON(特開平8−96955号公報)、有機材料としてポリパラキシレン(特開平4−137483号公報)、ポリ尿素(特開平8−222368号公報)などを用いてもよい。また、保護層を何層か積層させた構造であってもよく、例えば、気相法によって形成された層と光硬化性樹脂からなる層との積層構造(特開平4−267097号公報)や、無機保護膜と封止樹脂との積層構造(特開平11−40345号公報)などを用いてもよい。また、有機保護膜と、無機の酸素吸収膜や無機保護膜などとが積層した構造(例えば特開平7−169567号公報、特開平7−192868号公報、特開2000−068050号公報、特開2001−307873号公報)などを用いてもよい。さらに、「Barix」(DISPLAYS 22,65(2001))を用いてもよい。
保護膜の形成方法としては、プラズマ重合法、光による原料分解を利用した光重合法、触媒を利用したcat−CVD法(触媒化学気相成長法)などが挙げられるが、膜密度を考慮するとプラズマ重合法が好ましい。
なお、保護膜を形成する代わりに、ガラスや金属などの封止基材で素子全体を封止して、大気中の水分などの遮蔽を行ってもよい。また、保護膜と封止基材を併用してもよい。
本実施形態に係る有機EL素子は、表示素子、コンピュータ、テレビ、携帯電話、デジタルカメラ、PDA、カーナビゲーションなどの有機ELディスプレイ;バックライトなどの光源;照明;インテリア;標識;交通信号機;看板などに好適に使用することができる。
以下、実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<有機EL素子の作製>
(実施例1)
実施例1として、ガラス基板上に正孔注入電極(陽極)としてZn−Ga−Cu−O薄膜をスパッタリング法により形成した。ZnO−5.7wt%GaターゲットとCuOターゲットとを用いて、膜厚200nmのZn−Ga−Cu−O薄膜(Zn:Ga:Cu=94.5:4.9:0.6atom%)を作製した。その上に正孔輸送層としてα−NPD、発光層としてAlq、電子注入層としてフッ化リチウム(LiF)、電子注入電極(陰極)としてアルミニウム(Al)を用いて、各層を形成した。成膜は真空蒸着法によりin−situで行った。また、各層の膜厚は正孔輸送層:60nm、発光層:60nm、電子注入層0.5nm、電子注入電極:100nmとした。
(実施例2)
実施例1のZn−Ga−Cu−Oの組成をZn:Ga:Cu=94.0:4.8:1.2atom%に変更した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(実施例3)
実施例1のZn−Ga−Cu−Oの組成をZn:Ga:Cu=92.9:4.8:2.3atom%に変更した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例1)
実施例1のZn−Ga−Cu−Oの組成をZn:Ga:Cu=95.1:4.9:0atom%に変更した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
(比較例2)
実施例1のZn−Ga−Cu−Oの組成をZn:Ga:Cu=91.8:4.7:3.5atom%に変更した以外は、実施例1と同様にして有機EL素子を作製した。
<評価>
実施例1〜3および比較例1,2の素子を初期輝度1,000cd/mの条件で定電流駆動した際の、輝度30%減まで素子が劣化するのに要した時間を表1に示す。
すべての実施例の素子で比較例の素子よりも輝度30%減までの時間が長く、素子が長寿命化していることがわかる。実施例の素子が比較例1の素子よりも長寿命化した理由は、陽極と有機層との密着性が改善したためであると考えられる。
図2は、実施例2および比較例1で作製した陽極上にα−NPDを10nm真空蒸着法により成膜し、その後70℃に加熱した恒温層に1時間放置した試料を原子間力顕微鏡で観察した原子間力顕微鏡像である。なお、図2において、白く見える部分が、膜厚が大きい部分である。図2(b)の比較例1の陽極を用いた試料ではα−NPDが網目状に凝集しており、陽極との界面の密着力の欠如により有機層を構成する分子が熱により陽極表面を移動したものと思われる。これに対して図2(a)に示した実施例2の陽極を用いた試料では網目状の構造は顕著ではなく、陽極への銅の添加によって界面の密着力が改善したため、有機層を構成する有機分子が界面で固定されているものと考えられる。この結果、実施例では界面の安定性が増し、より長寿命の有機EL素子が得られたものと考えられる。
また、比較例2では実施例よりも素子の劣化が大きいが、これは陽極の電気抵抗に起因するものと思われる。表2に実施例1〜3および比較例1,2の陽極の比抵抗と1,000cd/mにおける駆動電圧を示すが、ともに比較例2で大きな値が見られていることから、陽極の配線抵抗による発熱が素子劣化を促進したものと考えられる。
このように、実施例1〜3の素子は、比較例1,2の素子よりも、寿命の点で優位性が見られた。
1 有機EL素子、10 基板、12 正孔注入電極(陽極)、14 正孔輸送層、16 発光層、18 電子輸送層、20 電子注入層、22 電子注入電極(陰極)。

Claims (4)

  1. 基板上に陽極と、陰極と、前記陽極と前記陰極との間の発光層を含む有機層とを有し、
    前記陽極が亜鉛、ガリウム、銅および酸素を含んでなる材料から構成され、
    前記陽極中の銅の混合量は、陽極を構成する金属元素である亜鉛、ガリウムおよび銅の総原子数の0.2〜2.3アトミック%の範囲であることを特徴とする有機電界発光素子。
  2. 請求項1に記載の有機電界発光素子であって、
    前記陽極中の銅の混合量は、0.6〜2.3アトミック%の範囲であることを特徴とする有機電界発光素子。
  3. 請求項2に記載の有機電界発光素子であって、
    前記陽極中の銅の混合量は、0.6〜1.2アトミック%の範囲であることを特徴とする有機電界発光素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子であって、
    前記陽極の厚さは、10nm〜1,000nmの範囲であることを特徴とする有機電界発光素子。
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