JP2011198583A - 電子銃のコンディショニング法およびコンディショニング装置 - Google Patents

電子銃のコンディショニング法およびコンディショニング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】電子銃を構成する電極に存在する放電要因を効果的に除去し電子銃のコンディショニング時に発生する大きな放電を抑制する。
【解決手段】電子銃100のコンディショニング装置30は、電圧供給部11、電圧供給部11の出力電圧を調整する電圧調整部12、電子銃100の電極間のリーク電流を検出する電流検出部13を備える。そして、電子銃100内の減圧状態を調節するとともに所定のガスを導入して電子銃100内の圧力を制御する流量コントローラ21、真空排気部15、圧力検出部16を有する。そして、流量コントローラ21の制御により電子銃100内の前記ガスの圧力を自在に制御するとともに、電流検出部13で検出するリーク電流に基づき、電圧供給部11から電極間に印加される電圧を電圧調整部12で制御し、電子銃100の電極にある放電要因19を除去する。
【選択図】図4

Description

本発明は、電子銃のコンディショニング法およびコンディショニング装置に関し、例えば、電子ビーム描画装置に用いられるコンディショニング法およびコンディショニング装置に関する。
近年、大規模集積回路(LSI)の高集積化および大容量化に伴い、半導体素子に要求される回路線幅は益々狭く微細なものとなっている。半導体素子は、回路パターンが形成された原画パターン(マスクまたはレチクルを指す。以下では、マスクと総称する。)を用い、いわゆるステッパと呼ばれる縮小投影露光装置でウェハ上にパターンを露光転写して回路形成することにより製造される。こうした微細な回路パターンをウェハに転写するためのマスクの製造には、微細パターンを描画可能な電子ビーム描画装置が用いられる。また、レーザビームを用いて描画するレーザビーム描画装置の開発も試みられている。尚、電子ビーム描画装置は、ウェハに直接パターン回路を描画する場合にも用いられる。
電子ビームリソグラフィ技術は、利用する電子ビームが荷電粒子ビームであるために、本質的に優れた解像度を有している。このため、ウェハにLSIパターンを転写する際の原版となるマスクまたはレチクルの製造現場においても、電子ビームリソグラフィ技術が広く一般に使われている。さらに、電子ビームリソグラフィ技術を用いて、ウェハ上にパターンを直接描画する電子ビーム描画装置がDRAMを代表とする最先端デバイスの開発に適用されている他、一部ASICの生産にも用いられている。
電子ビームリソグラフィ技術を用いる電子ビーム描画装置では電子ビームを発するための電子銃を有する。
図8は、本発明を説明するための電子銃の一例を模式的に示す断面図である。
電子ビーム描画装置に使用される電子銃100は、図8の断面図に示すように、電子光学鏡筒101の上方部に配設され、一対の第1の電極102(102a、102b)、第2の電極103(コラム)および第3の電極104(引き出し電極)を有する。
ここで、電子ビーム描画装置の動作時には、電子銃100および電子光学鏡筒101の内部が高真空(例えば、1×10−7Pa程度)にされ、第1の電極102の先端に取り付けられたカソード105と電極107(アノード)の間に例えば50kV程度の高電圧が印加される。引き出し電極104(ウェネルトとも称される)には所望のビーム電流が放射されるよう、引き出し電圧が印加されている。そして、第1の電極102aと102b間に印加される電圧(図示しない)により、六硼化ランタン(LaB)から成るカソード105から熱電子が出射し上記高電圧により加速されて電子ビーム106として電子光学鏡筒101内に放出される。この電子ビーム106は、電子光学鏡筒101内に設けられた各種レンズ、各種偏向器、ビーム成形アパーチャ等(図示しない)により所要の形状に整形されて描画に用いられる。
上記の電子銃100において、引き出し電極104は高電圧源108の負極側に接続され、第1の電極102はバイアス電源109を介して上記高電圧源108の負極側に接続されている。そして、引き出し電極104が第1の電極102よりも例えば500V程度負側に高くなる。また、アノード107及びコラム103は高電圧源108の正極側に接続され接地電位にされる。ここで、図示しないが、例えばステンレス製の第1の電極102a、102b、コラム103、引き出し電極104の間は、例えばセラミックス絶縁体により絶縁分離されている。
上述したような電子銃100に上記高電圧が印加されると、その電極表面におけるバリや傷等の突起部、塵埃等の付着物などの放電要因に起因した異常放電が、上記電極間、特にアノード107と引き出し電極104間において発生することがある。あるいは、電極間の絶縁体表面における不純物、付着物等の放電要因に起因した大きな沿面放電の生じることがある。このような異常放電の発生頻度は、新しい電子銃の取り付け後、交換後、あるいは電子銃のメンテナンス後に、その電子銃の使用を開始してから数十時間の初期において高い。
この異常放電の発生は、例えば電子ビーム描画装置の高電圧源108の動作時に500V程度の電圧ドロップを引き起こし、その稼動を停止させる。そして、電子ビーム描画の工程における本来必要な電子ビームが消えてしまい描画精度の悪化により製品歩留まりの低下を引き起こすと共に、描画装置の稼動停止により稼働率低下を生じさせる。
そこで、このような異常放電の発生を抑制あるいは防止するために、新しい電子銃の取り付けあるいは交換後、また、電子銃のメンテナンス後において、電子銃のコンディショニング処理(ノッキング処理ともいう。)を施すことが一般的に行われる(特許文献1参照)。
次に、通常に行われるこのコンディショニング処理の方法について、図8および図9を参照して説明する。尚、以下に説明する
図9は、従来技術のコンディショニング法において電子銃の電極に印加される電圧の波形の一例を示したグラフである。このコンディショニング法は、真空コンディショニングと称されている。
例えば図8に示した電子銃100の真空コンディショニングでは、電子光学鏡筒101の下方側に設置されている真空排気装置(図示しない)により、電子光学鏡筒101およびこれに連通している電子銃100内を真空排気して高真空(例えば1×10−5Pa)にする。そして、第1の電極102aと102b間の電圧印加を停止しカソード105から熱電子の出射を止めたままにして、第1の電極102にはバイアス電源109を介して、引き出し電極104には直接に、それぞれ高電圧源108の負電圧を印加する。また、コラム103、アノード107は接地電位に固定する
ここで、高電圧源108の負電圧の絶対値は、図9に示すように時間の経過と共に一定の時間間隔で低い印加電圧から高い電圧にステップ状に徐々に増加させる。例えば、1分間隔で1kV〜5kVずつ昇圧する条件で印加電圧を増加させて、電子銃100のコンディショニング処理を行う。そして、印加電圧の最高値を電子銃の実使用電圧である例えば50kVの1.6倍程度すなわち80kVにし、所定時間たとえば10分間程度の間、この最高値の電圧を保持して異常放電の生じないことを確認して上記真空コンディショニングを終了する。この真空コンディショニングの終了判定において、異常放電が生じる場合は、所定の電圧まで降下させ、その降下させた電圧から再度真空コンディショニングを繰り返し、上述した異常放電が生じなくなるまで行う。
このようなコンディショニング処理すなわち電極放電加工を電子銃に施すことにより、第1の電極102、コラム103、アノード107、第3の電極104等の電極表面および上記絶縁体表面の上述した放電要因が除去され、電子銃の耐電圧特性が向上する。
特開2005−026112号公報
しかしながら、従来の電子銃の真空コンディショニングでは、このコンディショニング処理中に大きな放電(大放電と称する)が高い頻度で発生することがあり、この放電により電子銃の電極あるいは絶縁体の表面荒れ、クラック等の損傷の生じることがあった。例えば、上記大きな放電により電極面がクレータ状に破損し、その小さな破砕物が別のところに付着し残存するようになる。このため電子銃の寿命が短縮し易いという問題があった。
また、真空コンディショニングにおいて微小放電の要因となる微小な突起部、不純物あるいは付着物が充分に取りきれないと、電子銃の実使用時において上記微小放電の要因に起因するところの異常放電が発生し易いことが判明した。そして、従来の真空コンディショニングでは、上記破砕物を含む微小放電の要因が充分に除去できないために、電子銃の耐電圧特性の向上に限界があることが明らかになった。
このような問題は、上述したような電子ビーム描画装置に搭載される電子銃の場合に限らず、高電界により電子を放出するその他の電子源となる電子銃にあっても同様に生じる。
そこで、上述の真空コンディショニングの前に、ガスコンディショニングと称するコンディショニング処理を行い、その後、真空コンディショニングを行なうようにして、二種の異なるコンディショニング法を併用することが行われている。
このガスコンディショニングは、電子銃内を真空排気した後、放電が比較的に生じ易い所定ガスを電子銃内に導入して所定の圧力のガス雰囲気を形成し、コンディショニング処理を行うことを特徴とする。ガスとしては、窒素(N)ガス等が使用される。
したがって、このガスコンディショニングの後、電子銃内への窒素ガス供給を絞り、電子銃内が高真空となってから真空コンディショニングを行っている。
このとき、真空コンディショニングの開始に伴い、大放電が起きてしまうことがある。そして、その大放電の発生により、ウェネルト表面を大きく傷つけてしまうことがある。このような場合、再度、ガスコンディショニングの工程に戻る必要があり、電子銃を用いた電子ビーム描画装置のダウンタイムを増大させることがある。
このような真空コンディショニングの開始に伴う大放電の発生は、その前に行われるガスコンディショニング時に除去しきれずに残された微小突起等からは、ガスコンディショニングの条件である低真空下では電子放出が発生しないのであるが、真空度の向上された、所定の高真空条件下での真空コンディショニング実施時においては、電子放出が始まってしまい、その量が多い場合に、大放電を引き起こしてしまうことが原因であると解されている。
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、電子銃を構成している電極あるいは絶縁体の表面に存在する放電要因を効率的かつ効果的に除去し、電子銃の耐電圧特性を向上させるコンディショニング法およびコンディショニング装置を提供することを目的とする。
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
本発明の第1の態様は、電子銃内に所定のガスを導入して電子銃内のそのガスの圧力を第1の値に維持するガス導入工程と、電子銃を構成する電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、電極の表面または電子銃を構成する絶縁体の表面にある放電要因を除去する第1のガスコンディショニング工程と、電子銃内に導入されたガスを排気して電子銃内の真空度を高めるガス排気工程と、そのガスの排気された電子銃の電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、放電要因を除去するコンディショニング工程とを有する電子銃のコンディショニング法である。そして、第1のガスコンディショニング工程とガス排気工程との間に、電子銃内のガスの一部を排気し、そのガスによる圧力を一段低い値にする減圧工程と、そのガスの圧力が第1の値より一段低い値となった電子銃の電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、放電要因を除去する第2のガスコンディショニング工程とを有する電子銃のコンディショニング法に関する。
そして、その所定のガスは、窒素(N)ガスとアルゴン(Ar)ガスと六フッ化硫黄(SF)ガスとからなる群から選択された少なくとも一のガスであることが好ましい。
本発明の第2の態様は、電子銃内に所定のガスを導入して電子銃内のそのガスの圧力を第1の値に維持する工程と、電子銃を構成する電極に印加する電圧を所定の基準値までステップ状に増加させて、その電極の表面または電子銃を構成する絶縁体の表面に存在する放電要因を除去する工程と、電極に基準値である電圧を印加しながら、電子銃内に導入されたガスの圧力を第1の値から徐々に低下させ、放電要因を除去する工程とを有する電子銃のコンディショニング法に関する。この態様において、電子銃は電子ビーム描画装置に用いられる。
そして、電極に流れるリーク電流を検出し、そのリーク電流に基づいて電極に印加する電圧を制御することが好ましい。
本発明の第3の態様は、電子銃を構成する電極にステップ状の電圧を供給する電圧供給手段と、電圧の印加に伴う電極のリーク電流を検出するリーク電流検出手段と、リーク電流検出手段からの検出データを処理するデータ処理手段と、データ処理手段からの処理データに基づいて電圧供給手段から供給される電圧を調整する電圧調整手段とを有し、電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、電極の表面または電子銃を構成する絶縁体の表面に存在する放電要因を除去する電子銃のコンディショニング装置である。そして、電子銃は電子ビーム描画装置に用いられ、電子銃内に所定のガスを導入するとともにそのガスの導入量を徐々に変化させ、電子銃内のそのガスの圧力を制御するガス流量制御手段を有することを特徴とする。
本発明により、電子銃を構成している電極あるいは絶縁体の表面に存在する放電要因を効率的かつ効果的に除去し、電子銃の耐電圧特性を簡便に向上させることができる。
本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の第1の実施形態であるコンディショニング法で用いるコンディショニング装置の動作における印加電圧の波形の一例を示したグラフである。 本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング方法の効果を模式的に示す図である。 本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の一例を示す概略構成図である。 本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の動作を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の動作における印加電圧の波形および対応する電子銃内の真空度の一例を示したグラフである。 本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の動作における印加電圧の波形および対応する電子銃内の真空度の別の例を示したグラフである。 本発明を説明するための電子銃の一例を模式的に示す断面図である。 従来の真空コンディショニング法において電子銃の電極に印加される電圧の波形の一例を示したグラフである。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。図面において互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略することにする。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング法は、放電が比較的に生じ易い所定ガスを電子銃内に導入して、コンディショニング処理を行う、電子銃のガスコンディショニングに特徴を有する。図1は、本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の一例を示す概略構成図である。ここで、電子銃は、高電界により電子を放出する電子源であればよいが、以下の実施形態は、図8に示したように電子ビーム描画装置に取り付けられる電子銃の例で説明される。
図1に示すように、第2の実施形態の電子銃100のコンディショニング処理装置20には、電子銃100に高電圧を調整して供給するための電圧供給手段としての電圧供給部11、この電圧供給部11の電圧値を調整する電圧調整手段としての電圧調整部12が備えられている。そして、電子銃100の電極間に流れるリーク電流を検出するためのリーク電流検出手段としての電流検出部13が備えられている。ここで、電圧供給部11からは、接続部14により短絡される第1の電極102および引き出し電極104に負極の高い電圧が印加されるようになっている。
さらに、ガス供給部18が備えられ、例えば窒素(N)ガスのような所定ガスが電子銃100内に制御して供給させるようになっている。ここで、電子銃100内を上記所定ガスの雰囲気における減圧状態に調節するための真空排気部15および圧力検出部16が取り付けられている。尚、窒素ガスのほかに、例えばアルゴン(Ar)ガスや六フッ化硫黄(SF)ガスを選択して供給することも可能である。
そして、データ処理手段として、例えば制御用のパーソナルコンピュータ(制御PCと称する)17が備えられ、電流検出部13で検出する上記リーク電流あるいはその基準値との大小関係、圧力検出部16で検出する電子銃内の真空度等の検出データを用いた演算等のデータ処理を行い、また、コンディショニング装置20の全体の制御を行うように構成されている。
ガス供給部18は、雰囲気制御手段を構成する。そして、ガス流量計あるいはガスバルブ等を備えており、電子銃100内への所定ガスの導入量を制御して、電子銃100内での段階的な圧力設定が可能となるようになっている。ここで、電子銃100内部で例えばその上部から下部に向かうようなガスの流れ(ガスフロー)が生じるような構造になっていると好適である。
真空排気部15は、真空ポンプを備えた真空排気装置であり、電子銃100内の真空度を1×10−1Pa以下の低圧力で制御するものが好ましい。ここで、ガス供給部18から電子銃100に導入される所定ガスは、制御PC17を通して真空排気部15により圧力制御される。
制御PC17は、データ処理手段を構成し、例えばノートパソコンからなり、マイクロプロセッサー(MPU)を内蔵し、各種の演算等のデータ処理を行うと共に、メモリ部、入出力部、表示部を備えている。そして、このようなパーソナルコンピュータが、制御PC17として電子銃100のコンディショニング処理における全体の制御を簡便に行う。上述したように、制御PC17は、電流検出部13で検出するリーク電流あるいはリーク電流の基準値との大小関係等のデータを受けてデータ処理し、電圧調整部12に指令を与えて電圧供給部11の出力電圧が所要の電圧になるように制御する。ここで、制御PC17は、電流検出部13が検出したリーク電流とその基準値を比較しその大小関係を演算処理するようになっていてもよい。その詳細は後述されるが、上記リーク電流の基準値はPC17の入出力部から自在に指定される。
また、制御PC17は、圧力検出部16から供給される電子銃100内の真空度等の検出データに基づき、真空排気部15を制御して電子銃100内の真空度が例えば1×10−5Pa程度の一定圧力になるように制御する。
また、制御PC17は、内部にタイマーを備えておりコンディショニング処理の経過時間を制御する。
電圧供給部11は、電圧供給手段を構成し、負極の高電圧に昇圧できる直流の高電圧源を備えている。この高電圧源では、その負極側が接続部14を介して電子銃100の第1の電極102および引き出し電極104に接続され、その正極側が例えば放電保護用の抵抗体を介して接地されている。そして、第1の電極102および引き出し電極104と第2の電極103の間に、後述するような高電圧がステップ状に徐々に増加して印加されることが可能となっている。上記高電圧源は、例えばコンデンサを介して昇圧される周知の多段昇圧式構造になっている。ここで、高電圧源としては、電子銃100の実動作に使用される高電圧源がそのまま用いられてもよいし、この実動作用のものとは別個の電圧可変の高電圧源が使用されるようになっていても構わない。
電圧調整部12は、電圧調整手段を構成し、制御PC17からの指令により電圧供給部11の高電圧源からの直流の出力電圧を自在に昇圧あるいは降圧する。例えば、その出力電圧を、任意のタイミングで一段高い電圧にステップ状に昇圧するほか、ステップ状に一段あるいは数段低い電圧に降圧する。このようにして、その詳細は後述されるように、電子銃100の電極間の高電圧が任意のタイミングでステップ状に徐々に増加して印加される。
電流検出部13は、リーク電流検出手段を構成し、電流計を備えており、電子銃100の第1の電極102および引き出し電極104とコラム103の間に流れるリーク電流を検出する。そして、この電流検出部13は、A/D変換器を内蔵しリーク電流をA/D変換しデジタル信号にしてその検出データを制御PC17に供給するようになっている。あるいは、所定の時間間隔でリーク電流値をサンプリングしその検出データを制御PC17に供給するようになっていてもよい。また、電流検出部13は、予め設定したリーク電流の基準値と放電電流を比較することができ、その基準値との大小関係を判定することのできる回路構成を備えていてもよい。この場合、電流検出部13は制御PC17と共にデータ処理手段を構成する。
ここで、電流計は、上述した高電圧源の正極側の抵抗体に生じる電位を検出するものであってもよいし、例えば高電圧源の正極側が接地される導線と電磁結合した誘導コイルの電流を計測する構造になっていても構わない。そして、このリーク電流は、例えばオシロスコープのような装置で表示できるようになっていると好適である。
真空排気部15は、雰囲気制御手段を構成し、例えばイオンポンプ、ターボ分子ポンプ等の真空ポンプを備えた真空排気装置であり、電子銃100内の真空度を1×10−5Pa以下の低圧力で制御するものが好ましい。このような真空排気装置は、電子銃100が搭載される装置、例えば図8に示した電子ビーム描画装置の電子光学鏡筒101の減圧に使用される真空排気装置により兼用される。あるいは、それとは別個の真空排気装置が備えられても構わない。
圧力検出部16は、同様に雰囲気制御手段を構成し、通常のB−A真空計のような電離真空計を備え、電子銃100内の真空度を検出してその検出データを制御PC17に供給するようになっている。
本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング法について、図1および図2を用いて説明する。図2は、本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング法において、コンディショニング装置の動作における印加電圧の波形の一例を示したグラフである。
本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング法では、電子銃100内を例えばNガス雰囲気にする。そして、コンディショニング処理の第1段階として、その圧力を1×10−1Pa程度と、真空コンディショニングの真空条件(1×10−5Pa)の10倍程度の圧力にする。そして、電子銃100の電極間のリーク電流Iを基準にして、制御PC17による自動制御によって、図2に示すように、その電極間の印加電圧をステップ状に増加させ、電子銃100のコンディショニング処理を行う。
ここで、電子銃100の電極間のリーク電流Iについては、予め所定値である第1基準値(I)および第2基準値(I)が設定されている。尚、第1基準値Iは、大きな放電により電子銃100の電極表面に損傷が生じるのを抑制あるいは防止するために設定され、第2基準値Iは、印加電圧Vを一段高い電圧Vに昇圧するための基準として設定される。この電圧Vは、任意に設定される値であり、例えば1kV〜5kVの範囲で予め決められる。ここで、Iは例えば、10μAであり、Iは例えば、0.3μAである。
すなわち、リーク電流Iが予め設定してある所定値の第1基準値(I)より大きく、リーク電流I≧Iを満たすような放電が生じた場合には、印加電圧Vは所定電圧Vだけ降下する。ここで、Vは例えば1kVである。
また、例えば微小放電が続きリーク電流I<Iが満たされない場合は、その電圧において長い時間に保持される。逆に、リーク電流I<Iが短時間に満たされればその電圧における保持時間は短いものになる。このようにして、印加電圧Vは、その保持時間がリーク電流Iにより異なったものになり、VminからVmaxまでステップ状に増加する。上述したように、逆に電圧降下が生じる場合もある。尚、Vminは、電子銃100のコラム103を接地したままに、コンディショニング処理において絶対値が最小になる最小負電圧であり、予め制御PC17から設定入力した電圧値である。また、Vmaxは、コンディショニング処理において絶対値が最大になる最大負電圧である。
また、コンディショニング処理の終了判定は、印加電圧VがVmaxに達すると、一定の電圧Vmaxを電子銃100の電極間に印加し保持したままで、その電極間のリーク電流検出を行う。そして、リーク電流Iが予め決めた一定時間のあいだ所定の電流値以下に維持されれば、電子銃100のコンディショニング処理の第1段階が終了する。但し、印加電圧がVmaxでの維持時間は、例えば2時間程度にされる。
次に、第1段階のコンディショニング処理の終了判定の後、制御PC17に制御され、コンディショニング処理の第2段階として、その圧力を1×10−2Pa〜1×10−3Pa程度の、第1段階より低く設定された所定の圧力にする。そして、上述したコンディショニング処理の第1段階と同様に、電子銃100の電極間のリーク電流Iを基準にして、制御PC17による自動制御によって、図2に示すように、その電極間の印加電圧をステップ状に増加させ、電子銃100のコンディショニング処理を行う。
次に、第2段階のコンディショニング処理の終了判定の後、制御PC17に制御され、第3段階として、その圧力を1×10−4Pa〜1×10−5Pa程度の所定の圧力にする。そして、上述したコンディショニング処理の第1段階および第2段階と同様に、電子銃100の電極間のリーク電流Iを基準にして、制御PC17による自動制御によって、図2に示すように、その電極間の印加電圧をステップ状に増加させ、電子銃100のコンディショニング処理を行う。
以上のように、リーク電流を基準として、それを確認しながら、段階的に真空度を高くしていく。そして、段階的に小さくなっていく、異なる圧力の窒素ガス雰囲気の中で対応する複数回のコンディショニング処理を行う。そして、これら一連のコンディショニング処理からなるガスコンディショニングの後、電子銃100内への窒素ガス供給を完全に絞り、電子銃内を1×10−5Pa〜1×10−6Pa程度の所定の高真空状態とする。その後、真空コンディショニングを行って、電子銃100のコンディショニング処理を完了する。
図3は、本発明の第1の実施形態である電子銃のコンディショニング方法の効果を模式的に示す図である。図3においては、その効果を説明するため、アノード107(図3には示されない)と引き出し電極104間で生じる現象を模式的に図示している。
本発明の第1の実施形態では、図3(a)に示すように、電子銃100のコンディショニング処理において、第一段階では、窒素ガスの圧力は1×10−1Pa程度であり、電子銃100内での放電が生じ易く、放電要因の電極放電加工による除去が容易になる。
そして、図3(a)に示すように、アノード107が接地され、引き出し電極104及び第1の電極102に高い負電圧が印加された状態で、引き出し電極104の表面に突起部、付着物、不純物等の放電要因19が存在すると、この周りが高電界になり一次電子がこの放電要因19から出射する。そして、この一次電子は、この電極間に存在する所定ガスたとえば窒素(N)ガスに衝突し、Nガスを電離する。そして、正電荷を帯びた窒素イオンNは、上記高電界により放電要因19側に引きつけられ加速して上記放電要因19をスパッタリングで除去するようになる。この所定ガスの帯電により上記電極放電加工が促進されることになる。そして、図3(b)に示すように、電子銃100のコンディショニング処理の第1段階において、放電要因19の大きさは小さくなる。
そして、図3(c)に示すように、より窒素ガスの圧力が小さくなった、電子銃100のコンディショニング処理の第2段階において、同様の放電要因19のスパッタリング除去がなされ、図3(d)に示すように、放電要因19の大きさはさらに小さくなる。
こうして、窒素ガスの圧力が段階的に低下された複数回の電子銃100のコンディショニング処理により、電子銃100の引き出し電極104の表面における放電要因19の大きさは十分に小さいものとなる。そして、図3(e)に示されるように、放電要因19により、矢印で示す小さな放電が起きたとしても、それらの後に行われる電子銃100に対する真空コンディショニングの処理により、小さな放電を繰り返しながら、電極表面の微小な凹凸や付着物などの放電要因19を取り去り(焼き飛ばし)、電極の表面を清浄かつ滑らかに整える。したがって、図3(f)に示されるように大放電を生じることなく、放電要因19はほぼ消失することになる。
尚、上述のガスコンディショニング処理において発生する、上記Nガスの電離したNイオンは、例えばステンレス製の電極表面の鉄、クロム等の金属と反応し絶縁体の窒化膜を放電要因19の領域に形成する。この絶縁皮膜が放電を更に低減させるようになる。
また、窒素ガスを例とする所定ガスは、電子銃100の電極間に存在し、そのガスカーテン作用により破砕物の付着を抑制する効果を有する。例えば、電子銃100のコンディショニング処理において大きな放電が起こり、その放電による破砕物が電極間に飛散したとしても、これらの破砕物は所定ガスにより遮蔽されその付着が大きく低減するようになる。ここで、所定ガスに一定方向へのガスフローが生じていると、それに沿って破砕物が流され上記付着の低減効果が増大することができる。
以上の構成を有する、本発明の第1実施形態である電子銃100のコンディショニング法では、電子銃100のガスコンディショニングの後、真空コンディショニング開始時に、従来のコンディショニング処理で高い頻度で生じていた大きな放電による電子銃100の電極表面あるいは絶縁体表面の破損、それに伴う電子銃100の寿命短縮という問題は解消される。その結果、従来の場合に較べて効率的で効果的なコンディショニング処理が可能になる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング法は、放電が比較的に生じ易い所定ガスを電子銃内に導入してコンディショニング処理を行う、電子銃のガスコンディショニングに特徴を有する。図4は、本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の一例を示す概略構成図である。ここで、電子銃は、高電界により電子を放出する電子源であればよいが、以下の実施形態は、図8に示したように電子ビーム描画装置に取り付けられる電子銃の例で説明される。
図4に示すように、第2の実施形態の電子銃のコンディショニング装置30には、電子銃100に高電圧を調整して供給するための電圧供給部11、この電圧供給部11の電圧値を調整する電圧調整部12、および、電子銃100の電極間に流れるリーク電流を検出するための電流検出部13が備えられている。ここで、電圧供給部11からは、接続部14により短絡される第1の電極102および引き出し電極104に負極の高い電圧が印加されるようになっている。
さらに、電子銃100に供給するガスの流量を制御する、ガス流量制御手段としての流量コントローラ21が備えられ、例えば窒素(N)ガスのような所定のガスを電子銃100内に制御して供給させるようになっている。ここで、電子銃100内を上記所定ガスの雰囲気における減圧状態に調節するための真空排気部15および圧力検出部16が取り付けられている。
そして、例えば制御用のパーソナルコンピュータ(制御PCと称する)17が備えられ、電流検出部13で検出する上記リーク電流あるいはその基準値との大小関係、圧力検出部16で検出する電子銃内の真空度等の検出データを用いた演算等のデータ処理を行い、また、コンディショニング装置30の全体の制御を行うように構成されている。
流量コントローラ21は、雰囲気制御手段を構成し、ガス流量計あるいは圧力制御バルブ等を備えており、電子銃100内への所定ガスの導入量を制御するようになっている。ここで、電子銃内部で例えばその上部から下部に向かうようなガスの流れ(ガスフロー)が生じるような構造になっていると好適である。
すなわち、流量コントローラ21は、制御PC17に制御されて具備する圧力制御バルブの開閉を徐々に行うことが可能である。よって、電子銃100に供給する所定ガスの流量を制御することで、所定ガスの雰囲気の中で電子銃100の圧力の制御、特に圧力を徐々に変動させることが可能である。すなわち、上記第1の実施例では、窒素雰囲気の中、段階的に圧力の選択と調整とがなされたが、本実施形態においては、この流量コントローラ21の作用により、連続的な、徐々の圧力変化が可能とされている。
真空排気部15は、第1の実施形態で説明したのと同様に真空ポンプを備えた真空排気装置であり、電子銃内の真空度を1×10−1Pa以下の低圧力で制御するものが好ましい。ここで、ガス供給部18から電子銃100に導入される所定ガスは、制御PC17を通して真空排気部15により圧力制御される。
制御PC17は、データ処理手段を構成し、例えばノートパソコンからなり、マイクロプロセッサー(MPU)を内蔵し、各種の演算等のデータ処理を行うと共に、メモリ部、入出力部、表示部を備えている。そして、このようなパーソナルコンピュータが、電子銃100のコンディショニング処理における全体の制御を簡便に行う。上述したように、制御PC17は、電流検出部13で検出するリーク電流あるいはリーク電流の基準値との大小関係等のデータを受けてデータ処理し、電圧調整部12に指令を与えて電圧供給部11の出力電圧が所要の電圧になるように制御する。ここで、制御PC17は、電流検出部13が検出したリーク電流とその基準値を比較しその大小関係を演算処理するようになっていてもよい。その詳細は後述されるが、上記リーク電流の基準値は制御PC17の入出力部から自在に指定される。
また、制御PC17は、圧力検出部16から供給される電子銃100内の真空度等の検出データに基づき、真空排気部15を制御して電子銃内の真空度が例えば1×10−5Pa程度の一定圧力になるように制御する。
また、制御PC17は、内部にタイマーを備えておりコンディショニング処理の経過時間を制御する。
そして、その他の電圧供給部11、電圧調整部12、電流検出部13および圧力検出部16は、第1の実施形態で説明したのと同様な構成になっている。
本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング法では、連続した一連の効率の良いガスコンディショニングが可能であり、上述した放電要因の電極放電加工による除去を効率良く行うことが可能となる。
まず、本実施形態の電子銃のコンディショニング処理装置の動作について図4、図5、図6、図7および図8を参照して説明する。そして、本実施形態にかかる電子銃のコンディショニング処理方法は上記動作説明の中で示される。ここで、図4は、本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング装置の一例を示す概略構成図である。図5はこのコンディショニング装置の動作を示すフローチャートである。図6は上記コンディショニング装置の動作における印加電圧の波形および対応する電子銃内の真空度の一例を示したグラフである。図7は上記コンディショニング処理装置の動作における印加電圧の波形および対応する電子銃内の真空度の別の例を示したグラフである。
例えば電子銃100のコンディショニング法では、図4で説明した真空排気部15により、電子銃100内を真空排気して例えば1×10−5Paにする。次に、放電が比較的に生じ易い所定ガスとして窒素ガスを電子銃100内に導入して、電子銃100内を窒素ガス雰囲気にする。そして、圧力を例えば1×10−1Paとする。
そして、図5のステップS1において、図4の電圧供給部11からの出力電圧である印加電圧をV=Vminにして、電子銃100のアノード107を接地したままに、コンディショニング処理において絶対値が最小になる最小負電圧Vminを第1の電極102および引き出し電極104とアノード107およびコラム103との間に印加する。ここで、Vminは予め制御PC17から設定入力した電圧値である。例えば、Vminは5kVである。
そして、印加電圧をV=Vminに保持して、図5のステップS2において、電流検出部13により第1の電極102および引き出し電極104とアノード107およびコラム103との間のリーク電流Iを検出し、後述するような比較判定を行う。
通常、このようなリーク電流検出においては、リーク電流Iは、上記昇圧時からの時間経過とともに徐々に低下する。そこで、リーク電流Iの第1基準値Iおよび第2基準値Iを設定し、リーク電流Iと第1基準値Iおよび第2基準値Iとの大小関係を比較判定する。これらの判定は、上述したように、電流検出部13から供給されるリーク電流の検出データあるいは上記大小関係のデータを制御PC17においてデータ処理して行われる。
ここで、第1基準値Iは、大きな放電により電子銃の電極表面に損傷が生じるのを抑制あるいは防止するために設定され、第2基準値Iは、印加電圧Vを一段高い電圧Vに昇圧するための基準として設定される。この電圧Vは、任意に設定される値であり、例えば1kVである。そして、第1基準値Iは、例えば10μAであり、第2基準値Iは、例えば0.3μAである。
図5のステップS3において、リーク電流I≧Iか否かの判定がNO(N)であると、ステップS4において、リーク電流I<Iかどうかの判定を行い、その判定がNであると上記リーク電流検出は続行される。そして、リーク電流I≧Iかどうかの判定がYES(Y)であると、ステップS5において、制御PC17は、電圧調整部12に印加電圧Vの降圧の指令を直ちに送り、その指令により電圧供給部11の出力電圧を電圧Vだけ降下させ、印加電圧を(V−V)にして上記と同様なリーク電流検出を行う。
また、ステップS4において、リーク電流I<Iかどうかの判定を行い、その判定がYであるとステップS6において、印加電圧V=Vmaxかどうかの判定に移る。ここで、Vmaxは、コンディショニング処理において絶対値が最大になる最大負電圧である。このステップS6において印加電圧VがVmaxに達していないと、ステップS7において、制御PC17は、電圧調整部12に直ちに印加電圧Vの昇圧の指令を送り、その指令により電圧供給部11の出力電圧を電圧Vだけ増加させる。そして、印加電圧を(V+V)にして上述したのと全く同様のリーク電流検出を行う。
そして、図6に示すように、上記の繰り返しを行い、ステップS6において印加電圧VがVmaxに達すると、以下に説明するように、印加電圧Vmaxに固定したままで一定期間放電が起こらないことの確認がなされる。ここで、Vmaxは、電子銃の実使用電圧を50kVとすると、その電圧の1.6倍程度すなわち80kV程度である。
以上のように、本実施形態では、電子銃100のコンディショニング処理において、図6に示す電子銃100の電極間に印加するステップ状の高電圧は、その電極間のリーク電流に基づいた制御PC17による自動制御で行われる。そして、リーク電流I≧Iを満たすような放電が生じた場合には、印加電圧Vは電圧Vだけ降下する。また、例えば微小放電が続きリーク電流I<Iが満たされない場合は、その電圧において長い時間に保持される。逆に、リーク電流I<Iが短時間に満たされればその電圧における保持時間は短いものになる。このようにして、印加電圧Vは、その保持時間がリーク電流Iにより異なったものになり、VminからVmaxまでステップ状に増加する。上述したように、逆に電圧降下が生じる場合もある。
次に、図5に示したステップS6において印加電圧VがVmaxに達したことが判定された後、すなわち、YES(Y)判定された後、ステップ8において流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが開いているか閉まっているかの判定が行われる。
流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが閉じているか否かについて、NO(N)が確認された場合、すなわち、流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが開いていることが確認された場合、一定の電圧Vmaxを電子銃100の電極間に印加し保持したままで、図5のステップS13において、電流検出部13により第1の電極102および引き出し電極104とアノード107およびコラム103との間のリーク電流Iの検出が行われる。
そして、図5のステップS14において、一定の電圧Vmaxを電子銃の電極間に印加し保持したままで、リーク電流I≧Iか否かの判定がなされる。
ステップS14におけるリーク電流I≧Iか否かの判定がYES(Y)であると、制御PC17は電圧調整部12に印加電圧Vの降圧の指令を直ちに送り、その指令により電圧供給部11の出力電圧を電圧Vだけ降下させ、印加電圧を(Vmax−V)にして上記と同様なステップS2におけるリーク電流検出を行う。尚、Vdは、例えば1kVである。
そして、上述した工程が繰り返され、ステップS2でリーク電流検出を行い、ステップS3およびステップS4で、リーク電流I≧Iか否かの判定とリーク電流I<Iか否かの判定を行い、それら条件の満足を確認して、ステップS6で印加電圧V=Vmaxかどうかの判定に移る。そして、V=Vmaxを確認し、図5のステップS8において流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが開いていることの判定が行われ、ステップS13で上述した電流検出が行われ、再びステップS14の工程に進む。
ステップS14における、リーク電流I≧Iか否かの判定がNO(N)であると、次に、ステップS15において、リーク電流I<Iか否かの判定を行うことになる。尚、ステップS15での判定がNであるとステップS13に戻ってリーク電流検出は続行される。尚、第3基準値Iは、例えば10μAであり、第4基準値Iは、例えば0.3μAである。
また、ステップS15において、リーク電流I<Iか否かの判定がYES(Y)である状態が一定時間T1維持されることの確認がなされた場合、ステップS16で、制御PC17に制御されて、流量コントローラ21の動作が開始され、圧力制御バルブが時間をかけて徐々に閉められる。その結果、電子銃100への窒素ガス供給が連続的に徐々に絞られる。それにともない、電子銃100内における窒素雰囲気の中で圧力が徐々に低下して真空度が連続的に回復していく。ここで、時間T1は、例えば10分間である。
次に、印加電圧をV=Vmaxに保持して、図5のステップS17において、電流検出部13により第1の電極102および引き出し電極104とアノード107およびコラム103との間のリーク電流Iの検出を行う。
そして、図5のステップS18において、リーク電流I≧Iか否かの判定がなされる。その判定がYES(Y)の場合、図7に示すように、制御PC17は、流量コントローラ21の動作を停止させ、流量コントローラ21の有する圧力制御バルブを閉じるのを停止し、電子銃100内へ窒素ガス供給を絞ることを一端停止する。そして、流量コントローラ21の状態をそのまま維持する。
それと並行して、制御PC17は電圧調整部12に印加電圧Vの降圧の指令を直ちに送り、その指令により図7に示すように電圧供給部11の出力電圧を電圧Vだけ降下させ、印加電圧を(Vmax−V)にして上記と同様なリーク電流検出を行う。
そして、上述した工程を繰り返し、ステップS2でリーク電流検出を行い、ステップS3およびステップS4で、リーク電流I≧Iか否かの判定とリーク電流I<Iか否かの判定を行い、それら条件の満足を確認して、ステップS6で印加電圧V=Vmaxかどうかの判定に移る。そして、V=Vmaxが確認されてから、図5のステップS8において流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが開いていることの判定が行われ、ステップS13で上述した電流検出が行われ、再びステップS14の工程に進む。
また、そして、図5のステップS18において、リーク電流I≧Iか否かの判定がなされ、その判定がNO(N)であると、ステップS19において、リーク電流I<Iか否かの判定が行われる。そして、さらにその判定がNO(N)であると流量コントローラ21の圧力制御バルブ閉じることによる、窒素ガス供給を徐々に絞る動作は中断される。そして、ステップ13に戻り、リーク電流検出が続行され、上記の処理工程が繰り返される。
そして、ステップS19において、リーク電流I<Iか否かの判定がYES(Y)である状態が所定の時間C1の間維持された後、ステップS8に戻る。ここで、時間C1は、流量コントローラ21の圧力制御バルブが閉まりきるまでの時間である。そして、第5基準値Iは、例えば10μAであり、第6基準値Iは、例えば0.3μAである。
そして、ステップ8において流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが開いているか閉まっているかの判定が行われる。
そして、このとき、ステップS19において、流量コントローラ21の圧力制御バルブは閉じられており、ステップ8においては流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが閉まっているとの判定、すなわちYES(Y)判定が行われる。したがって、本処理工程はステップS9に進む。
次に、印加電圧をV=Vmaxに保持して、図5のステップS9において、電流検出部13により第1の電極102および引き出し電極104とアノード107およびコラム103との間のリーク電流Iを検出し、比較判定を行う。
そして、図5のステップS10において、リーク電流I≧Iか否かの判定がなされる。このリーク電流I≧Iか否かの判定がYES(Y)であると、制御PC17は電圧調整部12に印加電圧Vの降圧の指令を直ちに送り、その指令により図7に示すように電圧供給部11の出力電圧を電圧Vだけ降下させ、印加電圧を(Vmax−V)にして上記と同様なステップS2におけるリーク電流検出を行う。
そして、上述した工程が繰り返され、ステップS2でリーク電流検出を行い、ステップS3およびステップS4で、リーク電流I≧Iか否かの判定とリーク電流I<Iか否かの判定を行い、それら条件の満足を確認してから、ステップS6で印加電圧V=Vmaxかどうかの判定に移る。そして、V=Vmaxを確認してから、ステップS8において流量コントローラ21の有する圧力制御バルブが閉じていることの判定が行われる。そして、ステップS9で上述したリーク電流検出が行われ、再びステップS10の、リーク電流I≧Iか否かの判定がなされる。
また、図5のステップS10における、リーク電流I≧Iか否かの判定がNO(N)であると、ステップS11において、リーク電流I<Iか否かの判定が行われる。そして、その判定がNであるとステップS9に戻り、リーク電流検出は続行される。
そして、ステップS11における、リーク電流I<Iか否かの判定がYES(Y)である状態が一定時間T2維持された場合、本実施形態における電子銃100のガスコンディショニングは終了する。尚、YES(Y)判定のための時間T2は、例えば10分間である。そして、第7基準値Iは、例えば10μAであり、第8基準値Iは、例えば0.3μAである。
また、図6は、電子銃100内の所定のガスの圧力をその圧力を1×10−1Pa程度とし、上述のステップS1からステップS6までの工程で電極間の印加電圧をステップ状に増加させ、一定時間リーク電流検出を行った後、流量コントローラ21の有する圧力制御バルブを徐々に閉めていく場合の印加電圧の波形および対応する電子銃100内の真空度の一例を示したグラフである。図6に示す例は、上記ステップS8の後、流量コントローラ21の有する圧力制御バルブを徐々に閉めていくのに際し、S13、S17およびS9の各ステップで検出されたリーク電流Iが、それぞれのステップで満たすべき条件を全て満足した場合に対応する。
また、図7は、上述したように、ステップS16で流量コントローラ21の有する圧力制御バルブを徐々に閉めはじめた後、ステップS17でのリーク電流検出において、リーク電流I≧Iとなったため、圧力制御バルブを閉じるのを一端停止し、電極間の印加電圧を降圧し、その後、印加電圧と圧力制御バルブを閉じるのとを復活させた場合の例に対応する。
こうして、本実施形態である電子銃のコンディショニング法では、そのガスコンディショニングにおいて、連続的に電子銃内の窒素ガスの圧力を低下させる一連の電子銃100のガスコンディショニングにより、電子銃100の引き出し電極104の表面における放電要因19の大きさを十分に小さいものとし、ほぼ消失させることが可能となる。
以上の構成を有する、本発明の第2の実施形態である電子銃のコンディショニング法では、電子銃のガスコンディショニングの後、真空コンディショニングにおいて、従来のコンディショニング処理では高い頻度で生じていた大きな放電による電子銃の電極表面あるいは絶縁体表面の破損、それに伴う電子銃の寿命短縮という問題は解消される。その結果、従来の場合に較べて効率的で効果的なコンディショニング処理が可能になる。
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
また、本実施の形態の電子銃のコンディショニング法は、電子ビーム描画装置の電子銃に限られるものではなく、電子顕微鏡などにも好適である。
20、30 コンディショニング装置
11 電圧供給部
12 電圧調整部
13 電流検出部
14 接続部
15 真空排気部
16 圧力検出部
17 制御PC
18 ガス供給部
19 放電要因
21 流量コントローラ
100 電子銃
101 電子光学鏡筒
102、102a、102b 第1の電極
103 コラム
104 引き出し電極
105 カソード
106 電子ビーム
107 アノード
108 高電圧源
109 バイアス電源

Claims (5)

  1. 電子銃内に所定のガスを導入して前記電子銃内の前記ガスの圧力を第1の値に維持するガス導入工程と、
    前記電子銃を構成する電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、前記電極の表面または前記電子銃を構成する絶縁体の表面にある放電要因を除去する第1のガスコンディショニング工程と、
    前記電子銃内に導入された前記ガスを排気して前記電子銃内の真空度を高めるガス排気工程と、
    前記ガスの排気された前記電子銃の前記電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、前記放電要因を除去するコンディショニング工程とを有する電子銃のコンディショニング法であって、
    前記第1のガスコンディショニング工程と前記ガス排気工程との間に、前記電子銃内の前記ガスの一部を排気し、前記ガスによる圧力を一段低い値にする減圧工程と、
    前記ガスの圧力が前記第1の値より一段低い値となった前記電子銃の前記電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、前記放電要因を除去する第2のガスコンディショニング工程とを有することを特徴とする電子銃のコンディショニング法。
  2. 前記所定のガスは、窒素(N)ガスとアルゴン(Ar)ガスと六フッ化硫黄(SF)ガスとからなる群から選択された少なくとも一のガスであることを特徴とする請求項1に記載のコンディショニング法。
  3. 電子銃内に所定のガスを導入して前記電子銃内の前記ガスの圧力を第1の値に維持する工程と、
    前記電子銃を構成する電極に印加する電圧を所定の基準値までステップ状に増加させて、前記電極の表面または前記電子銃を構成する絶縁体の表面に存在する放電要因を除去する工程と、
    前記電極に前記基準値である電圧を印加しながら、前記電子銃内に導入された前記ガスの圧力を前記第1の値から徐々に低下させ、前記放電要因を除去する工程とを有し、
    前記電子銃は電子ビーム描画装置に用いられることを特徴とする電子銃のコンディショニング法。
  4. 前記電極に流れるリーク電流を検出し、前記リーク電流に基づいて前記電極に印加する電圧を制御することを特徴とする請求項3に記載の電子銃のコンディショニング法。
  5. 電子銃を構成する電極にステップ状の電圧を供給する電圧供給手段と、前記電圧の印加に伴う前記電極のリーク電流を検出するリーク電流検出手段と、前記リーク電流検出手段からの検出データを処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段からの処理データに基づいて前記電圧供給手段から供給される電圧を調整する電圧調整手段とを有し、
    前記電極に印加する電圧をステップ状に増加させて、前記電極の表面または前記電子銃を構成する絶縁体の表面に存在する放電要因を除去する電子銃のコンディショニング装置において、
    前記電子銃は電子ビーム描画装置に用いられ、
    前記電子銃内に所定のガスを導入するとともに前記ガスの導入量を徐々に変化させ、前記電子銃内の前記ガスの圧力を制御するガス流量制御手段を有することを特徴とする電子銃のコンディショニング装置。
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