JP2011196858A - トルクセンサの故障検出方法、及びパワーステアリング装置 - Google Patents

トルクセンサの故障検出方法、及びパワーステアリング装置 Download PDF

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Abstract

【課題】検出信号が正常値より上昇又は低下する故障がトルクセンサに発生した場合でも、正常な検出信号を特定できるトルクセンサの故障検出方法、及びその故障検出方法で正常な検出信号を特定できるパワーステアリング装置を提供することを課題とする。
【解決手段】操舵トルクに応じて変化する第1検出信号の電圧V1及び第2検出信号の電圧V2の合計電圧Vtが所定の電圧となるトルクセンサの故障検出方法であって、Atan(V2/V1)で求められる特性角度θを算出するステップS411と、特性角度θの基準角度θSを算出するステップS416と、特性角度θから基準角度θSを減算して角度誤差Δθを算出するステップS417を有し、角度誤差θS及び合計電圧Vtに基づいて、合計電圧Vtが所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定することを特徴とする。
【選択図】図11

Description

本発明は、トルクセンサの故障検出方法、及びその故障検出方法でトルクセンサの故障を検出するパワーステアリング装置に関する。
トルクセンサが検出する操舵トルクに基づいた補助操舵力を発生して操舵をアシストするように構成された車両のパワーステアリング装置が知られている。
かかるパワーステアリング装置においては、トルクセンサが故障して操舵トルクを正確に検出できない状態になると、的確な補助操舵力を発生することができず操舵のアシストを停止する。したがって、トルクセンサの故障によって操舵フィーリングが低下するという問題がある。
この問題を解決するため、例えば、特許文献1には、複数の検出信号を発生するトルクセンサを使用し、トルクセンサの故障によって1つの検出信号に異常が発生したときには、異常が発生していない他の検出信号に基づいて操舵のアシストを継続する技術が開示されている。
特開2006−248354号公報
しかしながら、例えば特許文献1に開示される技術は、トルクセンサの検出信号が急激に変化した後に一定のレベルに固定するようにトルクセンサが故障した場合、又は、トルクセンサの故障によって検出信号が変化しなくなった場合は、異常が発生していない正常な検出信号を特定可能であるが、検出信号が正常値より上昇又は低下する故障がトルクセンサに発生すると正常な検出信号を特定できないという問題がある。
そこで、本発明は、検出信号が正常値より上昇又は低下する故障がトルクセンサに発生した場合でも、正常な検出信号を特定できるトルクセンサの故障検出方法、及びその故障検出方法で正常な検出信号を特定できるパワーステアリング装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、入力軸と出力軸を同軸上に連結するトーションバーに作用するトルクの変化に応じて変化する電圧を第1検出信号及び第2検出信号として出力するとともに、前記第2検出信号の電圧V2が前記第1検出信号の電圧V1と負の相関関係となり、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧となるように構成されるトルクセンサの故障検出方法とする。そして、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合に、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2から、arctan(V2/V1)で求められる特性角度を算出する第1ステップと、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合に、前記入力軸の回転角度と前記出力軸の回転角度の差に基づいて前記特性角度の基準角度を算出する第2ステップと、前記特性角度から前記基準角度を減算した角度誤差及び前記合計電圧に基づいて、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定する第3ステップと、を有することを特徴とする。
請求項1の発明によると、第1検出信号の電圧V1と第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧から外れて変化する場合であっても、第1検出信号と第2検出信号のうちの正常な信号を特定できる。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のトルクセンサの故障検出方法において、前記第3ステップは、前記合計電圧が前記所定の電圧より高い場合に前記角度誤差の正負に基づいて前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定する第4ステップと、前記合計電圧が前記所定の電圧より低い場合に前記角度誤差の正負に基づいて前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定する第5ステップと、を含んでいることを特徴とする。
請求項2の発明によると、第1検出信号の電圧V1と第2検出信号の電圧V2の合計電圧、及び第1検出信号の電圧V1と第2検出信号の電圧V2から算出される特性角度と基準角度の角度誤差の正負に基づいて第1検出信号と第2検出信号のうちの正常な信号を特定できる。
また、請求項3に記載の発明は、ステアリングホイールが取り付けられるステアリングシャフトとともに回転する入力軸と、転舵輪を転舵するラック軸に噛合するピニオン軸と、を同軸上に連結するトーションバーに作用するトルクの変化に応じて変化する電圧を第1検出信号及び第2検出信号として出力し、前記第2検出信号の電圧V2が前記第1検出信号の電圧V1と負の相関関係にあって、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧となるように構成されるトルクセンサと、前記第1検出信号の電圧V1及び前記第2検出信号の電圧V2を利用して前記操舵トルクを算出する制御装置と、を含んで構成されるパワーステアリング装置とする。そして、前記制御装置は、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2から、arctan(V2/V1)で求められる特性角度を算出し、前記ステアリングホイールの回転角度と前記ピニオン軸の回転角度の差に基づいて前記特性角度の基準角度を算出し、前記特性角度から前記基準角度を減算した角度誤差及び前記合計電圧に基づいて、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定することを特徴とする。
請求項3の発明によると、第1検出信号と第2検出信号の2つの信号を出力するトルクセンサを備えるパワーステアリング装置において、第1検出信号の電圧V1と第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧から外れて変化する場合であっても、トルクセンサに故障が発生したことを検出でき、さらに、第1検出信号と第2検出信号のうちの正常な信号を特定できる。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のパワーステアリング装置において、前記制御装置は、前記角度誤差及び前記合計電圧に基づいて、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定するとき、前記合計電圧が前記所定の電圧より高い場合と前記合計電圧が前記所定の電圧より低い場合のそれぞれで前記角度誤差の正負に基づいて、前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定することを特徴とする。
請求項4の発明によると、第1検出信号の電圧V1と第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧より高い場合と合計電圧が所定の電圧より低い場合のそれぞれで角度誤差の正負に基づいて、第1検出信号と第2検出信号のうちの正常な信号を特定できる。
本発明によると、検出信号が正常値より上昇又は低下する故障がトルクセンサに発生した場合でも、正常な検出信号を特定できるトルクセンサの故障検出方法、及びその故障検出方法で正常な検出信号を特定できるパワーステアリング装置を提供することができる。
パワーステアリング装置の構成を示す図である。 ステアリングボックスの構造を示す断面図である。 メイン信号TSM及びサブ信号TSSを示すグラフである。 (a)は、TSM上昇フェール及びTSS低下フェールを示す図、(b)は、合計電圧Vtが昇圧故障領域又は降圧故障領域にある状態を示す図である。 (a)は、特性角度θを示すグラフ、(b)は、基準角度θSを示すグラフである。 (a)は、TSM上昇フェールが発生したときの特性角度θの変化を示す図、(b)は、TSM上昇フェールが発生したときの基準角度θSの変化を示す図である。 (a)は、トルクセンサにTSM上昇フェール又はTSM低下フェールが発生したときの特性角度の変化を示す図、(b)は、トルクセンサにTSS上昇フェール又はTSS低下フェールが発生したときの特性角度の変化を示す図である。 故障判別マップの一例を示す図である。 故障検出手順を示すフローチャートである。 正常なトルク検出信号TSを特定する手順を示すフローチャートであり、図9のステップS4の詳細を示すフローチャートである。 角度誤差Δθを算出する手順を示すフローチャートであり、図10のステップS41の詳細を示すフローチャートである。
以下、本発明を実施するための形態について、適宜図を参照して詳細に説明する。
図1に示すように、本実施形態に係るパワーステアリング装置1は、車両の車幅方向(図1における左右方向)に延びるラックハウジング2内に、ラック軸3が車幅方向に往復動可能に収納されて構成される。
ラックハウジング2の両端部からはラック軸3の先端が突出し、図示しないタイロッドを介して左右の前輪FW(転舵輪)が取り付けられ、ラック軸3の車幅方向の往復動によって前輪FWが転舵するように構成される。
また、パワーステアリング装置1には、ステアリングホイール50が取り付けられるステアリングシャフト50aが、ラックハウジング2に備わるステアリングボックス4の入力軸5に接続されて備わり、さらに、入力軸5の回転角度、すなわち、ステアリングホイール50の回転角度を検出する舵角センサ50bが備わっている。
以下、ステアリングホイール50の回転角度を操舵角と称する。
図2に示すように、ステアリングボックス4の入力軸5は、出力軸となるピニオン軸7と同軸上に、トーションバー6を介して接続され、さらに、ピニオン軸7に形成されるピニオンギア7aが、ラック軸3(図1参照)の図示しないラック歯に噛合している。
入力軸5とピニオン軸7は、軸受部材4a等を介してステアリングボックス4に回転可能に支持され、ピニオン軸7は入力軸5の回転にともなって回転するように構成される。
したがって、入力軸5が回転するとピニオン軸7が回転し、ピニオンギア7aと噛合するラック歯を備えるラック軸3がピニオン軸7の回転に同期して車幅方向に往復動する。
入力軸5は、ステアリングシャフト50a(図1参照)を介して接続されるステアリングホイール50(図1参照)の回転にともなって回転することから、運転者がステアリングホイール50を回転(操舵)するとラック軸3(図1参照)が往復動し、ラック軸3に取り付けられる前輪FW(図1参照)が転舵する。
パワーステアリング装置1(図1参照)は、例えば、電動パワーステアリング装置(EPS)であり、ステアリングボックス4には、補助操舵力を発生して運転者の操舵をアシストするモータ(アシストモータ12)と、アシストモータ12の回転角度を検出するレゾルバ12a(図1参照)と、が補助操舵力発生装置として取り付けられている。
アシストモータ12の出力軸には、ピニオン軸7に備わるウォームホイールギア11と噛合するウォームギア10が取り付けられ、アシストモータ12の回転駆動によってピニオン軸7にトルク(補助トルク)を付与するように構成されている。
また、アシストモータ12に備わるウォームギア10とピニオン軸7に備わるウォームホイールギア11とで減速機構が構成され、アシストモータ12の回転速度が、ウォームギア10とウォームホイールギア11の構成によって決定される所定のギヤ比で減速されてピニオン軸7を回転駆動し、ピニオン軸7に補助トルクを付与する。
このように、アシストモータ12からピニオン軸7に付与される補助トルクが操舵補助力になる。
また、図1に示すように、パワーステアリング装置1には、好適な補助操舵力を発生するようにアシストモータ12を制御する制御装置として、EPSECU(Electric Power Steering Electronic Control Unit)60が備わっている。
EPSECU60は、アシストモータ12を駆動するためのモータ駆動回路60aと、CPU(Central Processing Unit)60bとを含んで構成される。
アシストモータ12は、例えば、3相ブラシレスモータであり、モータ駆動回路60aは、3相のFETブリッジ回路のようなスイッチング素子を備えて構成される。
そして、モータ駆動回路60aは、CPU60bから入力されるDUTY信号を用いて駆動電流Im(矩形波電流)を生成してアシストモータ12を駆動するように構成される。
EPSECU60のCPU60bは、図示しないメモリに記憶されているプログラムを実行し、例えば、ステアリングホイール50が操舵(回転)されることによってトーションバー6に作用するトルク(操舵トルク)、車両の速度、舵角センサ50bが検出するステアリングホイール50の操舵角等に基づいて好適な操舵補助力(補助トルク)を算出するとともに、算出した操舵補助力(補助トルク)が発生するようにアシストモータ12を駆動するための駆動電流Imをモータ駆動回路60aに発生させる。
アシストモータ12は、モータ駆動回路60aに発生する電流Imによって回転駆動し、この回転駆動によって発生するトルクを補助トルクとしてピニオン軸7に付与する。
この構成によってピニオン軸7は、ステアリングホイール50の回転によって発生する操舵トルクとアシストモータ12から付与される補助トルクで回転する。
このように、操舵トルクに応じた補助トルクをピニオン軸7に付与するため、パワーステアリング装置1(図1参照)は、操舵トルクを検出可能に構成されることが好適であり、本実施形態に係るステアリングボックス4には、図2に示すように、操舵トルクを検出するためのトルクセンサ20が備わっている。
トルクセンサ20は、例えば図2に示すように、入力軸5に備わる磁石21(多極マグネット)、ピニオン軸7に備わるヨーク22、及び磁気センサ23を含んで構成される。
入力軸5が回転すると、トーションバー6が捻れて入力軸5とピニオン軸7の間に相対変位が生じることから、磁石21とヨーク22にも相対変位が生じて磁束密度が変化する。磁気センサ23は磁束密度の変化を電圧の変化に変換し、トルク検出信号TSとして出力する。
本実施形態のパワーステアリング装置1(図1参照)に備わるトルクセンサ20には2つの磁気センサ23(23a、23b)が備わり、磁束密度の変化を2系統で検出している。
そして、磁気センサ23aと磁気センサ23bが出力するトルク検出信号TSは、電圧変化が互いに逆特性となるように構成されている。
例えば、入力軸5が回転せず、操舵トルクが発生しない状態の場合、磁気センサ23a、23bは、ともに等しい電圧をトルク検出信号TSとして出力する。
そして、入力軸5が右回転し右方向の操舵トルクが発生する場合、例えば、磁気センサ23aは操舵トルクの増加にともなって上昇する電圧をトルク検出信号TSとして出力し、磁気センサ23bは操舵トルクの増加にともなって低下する電圧をトルク検出信号TSとして出力する。
この場合、入力軸5が左回転して左方向の操舵トルクが発生すると、磁気センサ23aは操舵トルクの増加にともなって低下する電圧をトルク検出信号TSとして出力し、磁気センサ23bは操舵トルクの増加にともなって上昇する電圧をトルク検出信号TSとして出力する。
このように、本実施形態に係るトルクセンサ20は、操舵トルクの変化に応じて、互いに逆特性の電圧変化を示す2系統のトルク検出信号TS(以下、メイン信号TSMとサブ信号TSSと称する)を出力する。
例えば、図2に示す磁気センサ23aがメイン信号TSMを出力する場合、磁気センサ23bはサブ信号TSSを出力するように構成される。
そして、EPSECU60のCPU60b(図1参照)に、トルクセンサ20が出力する2系統のトルク検出信号TS(メイン信号TSM及びサブ信号TSS)が入力するように構成される。
例えば、メイン信号TSMは特許請求の範囲に記載される第1検出信号に相当し、右方向の操舵トルクの増加にともなって上昇し右方向の操舵トルクの減少にともなって低下する。すなわち、メイン信号TSM(第1検出信号)の電圧(以下、電圧V1)は、右方向の操舵トルクの値と正の相関関係にある。
この場合、メイン信号TSMの電圧V1は、左方向の操舵トルクの増加にともなって低下し左方向の操舵トルクの減少にともなって上昇する。すなわち、メイン信号TSM(第1検出信号)の電圧V1は、左方向の操舵トルクの値と負の相関関係にある。
また、サブ信号TSSは特許請求の範囲に記載される第2検出信号に相当し、その電圧(以下、電圧V2)は、メイン信号TSM(第1検出信号)の電圧V1が上昇すると低下し、メイン信号TSMの電圧V1が低下すると上昇する。すなわち、サブ信号TSSの電圧V2はメイン信号TSMの電圧V1と負の相関関係にある。
そして、EPSECU60のCPU60b(図1参照)は、メイン信号TSMの電圧V1及びサブ信号TSSの電圧V2を利用して操舵トルクを算出し、トルクセンサ20が検出する操舵トルクを取得するように構成される。
なお、サブ信号TSSが特許請求の範囲に記載される第1検出信号に相当し、メイン信号TSMが特許請求の範囲に記載される第2検出信号に相当する構成であってもよい。
CPU60bがメイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2を利用して操舵トルクを算出する方法は限定されるものではなく、例えば、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2と操舵トルクの関係を示すマップが図示しない記憶部に記憶される構成とすればよい。
CPU60bは、入力された電圧V1と電圧V2に基づいて当該マップを参照して操舵トルクを算出できる。
又は、CPU60b(図1参照)が実行するプログラムに、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2と操舵トルクの関係を示す関数を組み込み、当該関数に電圧V1と電圧V2を代入して、操舵トルクを算出する方法であってもよい。
図3に示すように、メイン信号TSMの電圧V1及びサブ信号TSSの電圧V2は、最大電圧VHlmtと最小電圧VLlmtの間で変化するように構成される。
図3は、横軸に操舵トルク、縦軸にトルク検出信号TSの電圧を示している。
横軸は、操舵トルクが「0」の状態、すなわち、ステアリングホイール50(図1参照)が操舵されていない状態を中点、右方向の操舵トルクをプラス、左方向の操舵トルクをマイナスとしている。
また、縦軸は電圧を示し、メイン信号TSMの電圧V1及びサブ信号TSSの電圧V2が、操舵トルクの変化にともなって、最大電圧VHlmtと最小電圧VLlmtの間で変化することを示している。
なお、最大電圧VHlmtは、トルクセンサ20(図2参照)がトルク検出信号TSとして出力可能な出力上限値よりわずかに低く、最小電圧VLlmtは、トルクセンサ20がトルク検出信号TSとして出力可能な出力下限値よりわずかに高く設定される。
例えば、トルクセンサ20の出力上限値や出力下限値の近傍では、トルク検出信号TSとしての出力電圧が不安定になって操舵トルクの検出精度が低下する場合がある。そこで、トルクセンサ20の検出精度が低下する範囲を回避するように最大電圧VHlmt及び最小電圧VLlmtを設定することが好適である。
図3に実線で示すように、トルクセンサ20(図2参照)が出力するメイン信号TSMは、操舵トルクのプラス方向への増加にともなって電圧V1が上昇する特性を有する。すなわち、入力軸5(図1参照)が右回転するとメイン信号TSMの電圧V1が上昇する。
また、図3に破線で示すように、サブ信号TSSの電圧V2は、メイン信号TSMの電圧V1と同じ最大電圧VHlmtと最小電圧VLlmtの間で変化するとともにメイン信号TSMと逆の特性を有し、操舵トルクのプラス方向への増加にともなって電圧V2が低下する特性を有する。すなわち、入力軸が右回転するとサブ信号TSSの電圧V2が低下する。
そして、中点ではメイン信号TSMとサブ信号TSSが等しい電圧(以下、中点電圧Vcと称する)となるように構成される。
中点電圧Vcは、例えば、最大電圧VHlmtと最小電圧VLlmtの中間の電圧((VHlmt+VLlmt)/2)となる。
さらに、操舵トルクの変化に対するメイン信号TSMの変化の割合とサブ信号TSSの変化の割合(絶対値)は等しく、同じ操舵トルクを示すメイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2を合計した合計電圧Vt(以下、単に合計電圧Vtと称する場合がある)が常に所定の電圧となる特性を有する。
本実施形態において、合計電圧Vtは、一定電圧「VHlmt+VLlmt」となるように構成され、「VHlmt+VLlmt」が所定の電圧になる。
例えば、トルクセンサ20(図2参照)が、0〜5Vの間の電圧値をトルク検出信号TSとして出力可能な性能を有する場合(すなわち、出力下限値が0Vで出力上限値が5Vの場合)に、メイン信号TSMの電圧V1及びサブ信号TSSの電圧V2の最大電圧VHlmtを4.5V、最小電圧VLlmtを0.5Vに設定すると、中点電圧は2.5V、所定の電圧(VHlmt+VLlmt)は5Vになる。
したがって、操舵トルクが「0」の中点では、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2は共に2.5Vを示し、操舵トルクがプラス方向に増加すると、メイン信号TSMの電圧V1は2.5Vから上昇し、サブ信号TSSの電圧V2は2.5Vから低下する。
また、電圧V1と電圧V2の合計電圧Vtは常に5Vになる。
運転者がステアリングホイール50(図1参照)を右方向に操舵し、図3に示すようにピニオン軸7(図1参照)に右方向の操舵トルクTq1が発生した場合、メイン信号TSMの電圧V1は中点電圧Vc(例えば、2.5V)から上昇して電圧V11を示し、サブ信号TSSの電圧V2は中点電圧Vcから低下して電圧V21を示す。
このとき、電圧V11と電圧V21の合計電圧Vt(V11+V21)は、所定の電圧(例えば、5V)になる。
そして、EPSECU60のCPU60b(図1参照)は、電圧V11と電圧V21を利用して操舵トルクTq1を算出できる。
さらに、本実施形態に係るEPSECU60(図1参照)は、メイン信号TSMとサブ信号TSSを利用して、トルクセンサ20(図2参照)の故障検出が可能に構成される。
なお、トルクセンサ20の故障には、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が一定のレベルに固定される故障(以下、固着故障と称する)及び、トルク検出信号TSが異常な電圧値で変化する故障(以下、信号異常故障と称する)がある。
トルクセンサ20(図2参照)に固着故障が発生すると、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が、出力上限値や出力下限値に固着する場合がある。
この場合、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が最大電圧VHlmtより高くなったときや最小電圧VLlmtより低くなったときに、EPSECU60は当該トルク検出信号TSが固着し、トルクセンサ20に固着故障が発生したことを判定できる。
又は、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が変化し他方が変化しない場合、EPSECU60は、変化しない一方のトルク検出信号TSが固着し、トルクセンサ20に固着故障が発生したことを判定できる。
トルクセンサ20(図2参照)に発生する信号異常故障には、メイン信号TSMの電圧V1が正常値より高い電圧で変化する故障(以下、TSM上昇フェールと称する)、メイン信号TSMの電圧V1が正常値より低い電圧で変化する故障(以下、TSM低下フェールと称する)、サブ信号TSSの電圧V2が正常値より高い電圧で変化する故障(以下、TSS上昇フェールと称する)、及びサブ信号TSSの電圧V2が正常値より低い電圧で変化する故障(以下、TSS低下フェールと称する)がある。
図4の(a)に実線(メイン信号TSM)及び破線(サブ信号TSS)で示すように、トルクセンサ20が正常に動作している場合、合計電圧Vtは、図4の(b)に実線で示すように、常に所定の電圧(VHlmt+VLlmt)になる。
しかしながら、図4の(a)に一点鎖線で示すように、トルクセンサ20にTSM上昇フェールが発生すると、図4の(b)に一点鎖線で示すように、合計電圧Vtが所定の電圧よりも高くなる。
また、図4の(a)に二点鎖線で示すように、トルクセンサ20にTSS低下フェールが発生すると、図4の(b)に二点鎖線で示すように、合計電圧Vtが所定の電圧よりも低くなる。
なお、トルクセンサ20にTSM低下フェールが発生した場合も、図4の(b)に二点鎖線で示すように、合計電圧Vtが所定の電圧よりも低くなり、トルクセンサ20にTSS上昇フェールが発生した場合も、図4の(b)に一点鎖線で示すように、合計電圧Vtが所定の電圧よりも高くなる。
そこで、本実施形態においては、合計電圧Vtが所定の電圧から外れた場合にトルクセンサ20(図2参照)に信号異常故障が発生したとする。
具体的には、誤差や脈動等による合計電圧Vtの変動を考慮して、図4の(b)に示すように、所定の電圧(VHlmt+VLlmt)より高い所定の上限基準値VHより高い領域を昇圧故障領域とし、所定の電圧より低い所定の下限基準値VLより低い領域を降圧故障領域とする。そして、EPSECU60(図2参照)は、合計電圧Vtが上限基準値VHと下限基準値VLの間に設定される電圧幅から外れた場合、すなわち、合計電圧Vtが昇圧故障領域又は降圧故障領域にある場合に、合計電圧Vtが所定の電圧から外れてトルクセンサ20に信号異常故障が発生したと判定する。
なお、トルクセンサ20(図2参照)に固着故障が発生し、メイン信号TSM又はサブ信号TSSの一方が出力上限値に固着した場合、合計電圧Vtは昇圧故障領域にあり、メイン信号TSM又はサブ信号TSSの一方が出力下限値に固着した場合、合計電圧Vtは降圧故障領域にある。したがって、EPSECU60(図2参照)は、合計電圧Vtが昇圧故障領域又は降圧故障領域にあることによって、固着故障がトルクセンサ20に発生したことも判定できる。
なお、図4の(b)の横軸は、メイン信号TSMの電圧V1からサブ信号TSSの電圧V2を減算した差「V1−V2」、縦軸は、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2の合計「V1+V2」であり、図4の(b)は「V1−V2」と「V1+V2」の関係を示すグラフである。
トルクセンサ20(図2参照)に故障が発生し、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2が正常値を示さない場合、操舵トルクが「0」の中点でメイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2が等しくならない。
すなわち、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2が等しくなる点が中点にならず、「V1−V2」が「0」になる点を基準とすることができない。
そこで、「V1−V2」が「0」になる点を基準にするため、横軸を「V1−V2」とする。
また、上限基準値VH及び下限基準値VLは、例えば、故障していないトルクセンサ20(図2参照)が出力するトルク検出信号TSの電圧値の誤差や不規則な変動(脈動)にともなって発生する合計電圧Vtの脈動の変動幅を考慮し、誤差や脈動によってトルクセンサ20が故障していないときの合計電圧Vtが昇圧故障領域及び降圧故障領域に入らないように適宜設定すればよい。
このように上限基準値VH及び下限基準値VLを設定すると、合計電圧Vtの誤差や脈動によって合計電圧Vtが昇圧故障領域及び降圧故障領域に入ることがなく、EPSECU60(図1参照)による、トルクセンサ20の信号異常故障の誤判定を防止できる。
そして、本実施形態においてEPSECU60は、合計電圧Vtが上限基準値VHより高いとき合計電圧Vtが所定の電圧より高いと判定し、合計電圧Vtが下限基準値VLより低いとき合計電圧Vtが所定の電圧より低いと判定する。
例えば、図4の(b)に一点鎖線で示すように、合計電圧Vtが上限基準値VHより高く昇圧故障領域にある場合、EPSECU60(図1参照)は、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が正常値より高くなっていると判定する。そして、EPSECU60は、トルクセンサ20(図2参照)にTSM上昇フェール又はTSS上昇フェールの少なくとも一方が発生していると判定する。
また、図4の(b)に二点鎖線で示すように、合計電圧Vtが下限基準値VLより低く降圧故障領域にある場合、EPSECU60(図1参照)は、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が正常値より低くなっていると判定する。そして、EPSECU60は、トルクセンサ20(図2参照)にTSM低下フェール又はTSS低下フェールの少なくとも一方が発生していると判定する。
また、前記したように、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が、最大電圧VHlmtより高い場合や最小電圧VLlmtより低い場合、EPSECU60(図1参照)はトルクセンサ20(図2参照)に固着故障が発生していると判定する。
このように、EPSECU60(図1参照)は、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2に基づいてトルクセンサ20(図2参照)に故障(固着故障、信号異常故障)が発生したことを判定できる。
しかしながら、前記の故障検出方法では、トルクセンサ20(図2参照)に信号異常故障が発生した場合、EPSECU60(図1参照)は、TSM上昇フェール、TSM低下フェール、TSS上昇フェール及びTSS低下フェールのいずれが発生してるかを判別できない。換言すると、EPSECU60は、メイン信号TSMとサブ信号TSSのうち、異常が発生している信号を判別することができず、正常なトルク検出信号TSを特定することができない。
そこで、本実施形態に係るEPSECU60(図1参照)は、トルクセンサ20(図2参照)に信号異常故障が発生した場合、トルクセンサ20から入力されるメイン信号TSMとサブ信号TSSのうちの正常なトルク検出信号TSを特定可能に構成される。
そのため、本実施形態においては、図5の(a)に示すように、メイン信号TSMの電圧V1を横軸、サブ信号TSSの電圧V2を縦軸にとった場合にメイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2がなす角(以下、特性角度θと称する)が定義されている。
図3に示すように、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2は、中点電圧Vcに対して対象となる逆特性を有し、合計電圧Vtが所定の電圧を示すことから、横軸にメイン信号TSMの電圧V1をとり縦軸にサブ信号TSSの電圧V2をとると、図5の(a)に示すように、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2の関係を示す特性線L1を得ることができる。
トルクセンサ20に故障(固着故障、信号異常故障)が発生せず、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2が共に正常な値を示す場合、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2は、ピニオン軸7(図2参照)に発生する操舵トルクの変化にともなって、図5の(a)に示す特性線L1に沿って変化する。
すなわち、図5の(a)に示すグラフ上において、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2を座標とする点Ptは、操舵トルクの変化にともなって特性線L1上を移動する。
この場合、特性線L1上の点Ptと原点(座標原点O)のなす角度を特性角度θとし、特性角度θは操舵トルクの変化にともなって変化する。
そして、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2が等しくなる中点(特性線L1上の点Ptc)は特性角度θが45°になる。
このように定義される特性角度θを縦軸にとり、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2の差(V1−V2)を横軸にとると、図5の(b)に示す特性曲線C1を得ることができる。
この特性曲線C1は、トルクセンサ20(図2参照)に故障が発生しないときの特性角度θの変化を示す曲線であり、特性角度θの基準となる角度(以下、基準角度θSと称する)を示している。
基準角度θSは、0〜90°の範囲で変化し、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2が等しく「V1−V2」が「0」になる点、すなわち、中点で45°になる。
例えば、図6の(a)に示すように、トルクセンサ20(図2参照)に故障が発生しないときに任意の操舵トルクを示すメイン信号TSMの電圧V1がV11、サブ信号TSSの電圧V2がV21の場合、メイン信号TSMの電圧V1に対するサブ信号TSSの電圧V2を示す点Pt1は特性線L1上にあり、特性角度θ1は、arctan(V21/V11)で示される。
以下、arctanをAtanと表記する。
そして、このように算出される特性角度θ1は、図6の(b)に示されるグラフを用いて「V11−V21」から算出される基準角度θS1と一致する。
すなわち、特性角度θ1から基準角度θS1を減算した角度誤差Δθ1は「0」になる。
例えば、トルクセンサ20(図2参照)にTSM上昇フェールが発生すると、メイン信号TSMの電圧V1が正常値より高く出力されるため、メイン信号TSMの電圧V1に対するサブ信号TSSの電圧V2を示す点Pt2は、図6の(a)に示すように、電圧V1が上昇する方向に特性線L1から外れる。
サブ信号TSSの電圧V2がV21で一定のままメイン信号TSMの電圧V1がV11からV12に上昇するため、図6の(a)に示すように特性角度がθ1からθ2に変化する。
また、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2の差(V1−V2)が、「V11−V21」から「V12−V21」に変化するため、図6の(b)に示されるグラフを用いて算出される基準角度もθS1からθS2に変化する。
基準角度θSは、メイン信号TSMの電圧V1に対するサブ信号TSSの電圧V2が図6の(a)に示す特性線L1上にあるときの特性角度θであることから、特性線L1から外れる点Pt2に対応するメイン信号TSMの電圧V1の値V12とサブ信号TSSの電圧V2の値V21の差(V12−V21)に基づいて算出される基準角度θS2は、点Pt2に対応する特性角度θ2と異なる。
すなわち、特性角度θ2から基準角度θS2を減算した角度誤差Δθ2は「0」にならない。
このように、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2の関係を示す特性線L1上の点Pt1の場合、特性角度θ1と基準角度θS1は一致するが、特性線L1から外れた点Pt2の場合、特性角度θ2と基準角度θS2は一致しない。
なお、トルクセンサ20(図2参照)に、TSM上昇フェールが発生した場合に限らず、TSM低下フェール、TSS上昇フェール、TSS低下フェールの何れかが発生すると、特性角度θと基準角度θSが一致しなくなる。
図7の(a)に示すように、トルクセンサ20(図1参照)にTSM上昇フェールが発生して特性線L1上の点Pt1が点Pt2に移動すると、そのときの特性角度θ2は、特性線L1上の点Pt1に対する特性角度θ1より小さくなる。
特性線L1上にある点Pt1の特性角度θ1は、トルクセンサ20に異常が発生していないときの基準角度θSであることから、特性角度θ2は基準角度θSより小さくなる。
一方、トルクセンサ20にTSM低下フェールが発生して点Pt1が点Pt3に移動すると、そのときの特性角度θ3は基準角度θSより大きくなる。
また、図7の(b)に示すように、トルクセンサ20にTSS上昇フェールが発生して特性線L1上の点Pt1が点Pt4に移動すると、そのときの特性角度θ4は、特性線L1の点Pt1に対する特性角度θ1(基準角度θS)より大きくなる。
一方、トルクセンサ20にTSS低下フェールが発生して点Pt1が点Pt5に移動すると、そのときの特性角度θ5は基準角度θSより小さくなる。
このように、トルクセンサ20(図1参照)にTSM上昇フェール又はTSS低下フェールが発生した場合、特性角度θが基準角度θSより常に小さく、特性角度θから基準角度θSを減算した角度誤差Δθ(以下、単に角度誤差Δθと称する場合がある)が常に負の値となる。
一方、トルクセンサ20にTSM低下フェール又はTSS上昇フェールが発生した場合、特性角度θが基準角度θSより常に大きく、角度誤差Δθが常に正の値となる。
そこで、本実施形態に係るEPSECU60(図1参照)は、トルクセンサ20(図2参照)から入力されるメイン信号TSM及びサブ信号TSSに基づいて算出する角度誤差Δθが負の値の場合、トルクセンサ20にTSM上昇フェール又はTSS低下フェールの一方が発生していると判定し、角度誤差Δθが正の値の場合、トルクセンサ20にTSM低下フェール又はTSS上昇フェールの一方が発生していると判定する。
また、前記したように、EPSECU60(図1参照)は、合計電圧Vtが図4の(b)に示す昇圧故障領域にあるときは、トルクセンサ20(図2参照)にTSM上昇フェール又はTSS上昇フェールの一方が発生していると判定することができ、合計電圧Vtが降圧故障領域にあるときは、トルクセンサ20にTSM低下フェール又はTSS低下フェールの一方が発生していると判定することができる。
以上のことより、例えば図8に示すように、角度誤差Δθと合計電圧Vtに基づいてトルクセンサ20(図2参照)に発生している故障種別を判別するための故障判別マップを設定できる。
ここでいう故障種別は、トルクセンサ20に発生する信号異常故障の種別(TSM上昇フェール、TSM低下フェール、TSS上昇フェール、及びTSS低下フェール)を示す。
図8に示す故障判別マップは、合計電圧Vtが図4の(b)に示す昇圧故障領域にあるときは、トルクセンサ20(図2参照)にTSM上昇フェール又はTSS上昇フェールの一方が発生し、合計電圧Vtが図4の(b)に示す降圧故障領域にあるときは、トルクセンサ20にTSM低下フェール又はTSS低下フェールの一方が発生していることを示している。
また、角度誤差Δθが正(Δθ>0)のときは、トルクセンサ20にTSM低下フェール又はTSS上昇フェールの一方が発生し、角度誤差Δθが負(Δθ<0)のときは、トルクセンサ20にTSM上昇フェール又はTSS低下フェールの一方が発生していることを示している。
このような故障判別マップを、EPSECU60(図1参照)の図示しない記憶部に記憶しておけば、EPSECU60は、合計電圧Vtが上限基準値VHより高く昇圧故障領域にあるときと、合計電圧Vtが下限基準値VLより低く降圧故障領域にあるときのそれぞれにおいて、角度誤差Δθの正負に基づいて故障判別マップを参照し、トルクセンサ20(図2参照)に発生している故障を判別できる。
例えば、合計電圧Vtが降圧故障領域にある場合、EPSECU60(図1参照)は、TSM低下フェール又はTSS低下フェールのいずれか一方がトルクセンサ20(図2参照)に発生していると判定する(判定1)。
また、角度誤差Δθが正である場合、EPSECU60は、TSM低下フェール又はTSS上昇フェールのいずれか一方がトルクセンサ20に発生していると判定する(判定2)。
そして、EPSECU60は、判定1と判定2に共通しているTSM低下フェールがトルクセンサ20に発生していると判定する(判定3)。
このように、本実施形態に係るEPSECU60(図1参照)は、合計電圧Vt及び角度誤差Δθに基づいて、図8に示す故障判別マップを参照し、トルクセンサ20(図2参照)に発生している故障種別を判別できる。
さらに、トルクセンサ20(図2参照)に発生している故障種別が判定できれば、EPSECU60(図1参照)は、メイン信号TSM及びサブ信号TSSのうち、正常なトルク検出信号TSを特定することができる。
つまり、トルクセンサ20(図2参照)にTSM上昇フェール又はTSM低下フェールが発生しているとき、EPSECU60はサブ信号TSSが正常であると判定する。
また、トルクセンサ20にTSS上昇フェール又はTSS低下フェールが発生しているとき、EPSECU60はメイン信号TSMが正常であると判定する。
そして、EPSECU60は、特定した正常なトルク検出信号TSに基づいて操舵補助力を算出し、さらにアシストモータ12(図1参照)を制御して、算出した補助操舵力を発生して運転者の操舵をアシストすることができる。
図9を参照して、EPSECU60(図1参照)がトルクセンサ20(図2参照)の故障を検出する手順(以下、故障検出手順と称する)を説明する(適宜図1〜8参照)。
なお、故障検出手順は、例えばEPSECU60のCPU60bが実行するプログラムに組み込まれ、所定の時間間隔(例えば、100msec間隔)で実行するように構成すればよい。
EPSECU60は故障検出手順をスタートすると、トルクセンサ20に固着故障が発生しているか否かを判定する(ステップS1)。
具体的にEPSECU60は、トルク検出信号TSの電圧値が最大電圧VHlmtより高い場合や、最小電圧VLlmtより低い場合(例えば、0Vになった場合)にEPSECU60は固着故障が発生したと判定する。
または、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2のいずれか一方が変化し、他の一方が変化しないとき、EPSECU60はトルクセンサ20に固着故障が発生したと判定する。
EPSECU60は、トルクセンサ20に固着故障が発生した場合は(ステップS1→Yes)、トルク検出信号TSの状態に基づいて正常なトルク検出信号TSを特定し(ステップS3)、車両に備わる図示しない警告灯を点灯する(ステップS5)。
例えば、EPSECU60は、ステップS3において、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2の一方が最大電圧VHlmtより高い場合、又は、最小電圧VLlmtより低い場合は他の一方が正常であると判定して、正常なトルク検出信号TSを特定する。
また、固着故障が発生したトルク検出信号TSは変化しないことから、EPSECU60は、メイン信号TSMの電圧V1又はサブ信号TSSの電圧V2のいずれか一方が変化したときに他方が変化しない場合、変化した一方が正常なトルク検出信号TSであると判定する構成であってもよい。
そして、EPSECU60はステップS3で特定した正常なトルク検出信号TSに基づいて操舵補助力を算出し、アシストモータ12を補助制御する(ステップS6)。
つまり、EPSECU60は、特定した正常なトルク検出信号TSを利用して操舵トルクを算出し、さらに、算出した操舵トルクに基づいて操舵補助力を算出する。さらに、EPSECU60は、算出した操舵トルクが発生するようにアシストモータ12を制御する。
この場合、EPSECU60は、特定した正常なトルク検出信号TSに、予め設定される所定の係数を掛け合わせて補正し、実際の操舵トルクよりわずかに小さな値を操舵トルクの検出値とするように構成してもよい。
EPSECU60は、操舵トルクの増加にともなって操舵補助力を大きく算出するように構成されていることから、実際の操舵トルクよりわずかに小さな値を操舵トルクの検出値とすることで、算出する操舵補助力を小さくすることができ、アシストモータ12が発生する操舵補助力を小さくできる。
アシストモータ12が発生する操舵補助力が小さくなると、運転者がステアリングホイール50から受ける操舵反力が大きくなることから、操舵補助力を好適に小さくすることで、運転者がステアリングホイール50から受ける操舵反力を、ステアリングホイール50の操舵に影響を与えない程度に大きくできる。
そして、操舵反力が大きくなることで、警告灯の点灯を再確認するための契機を運転者に与えることができ、運転者にトルクセンサ20の異常発生を確実に認知させることができる。
なお、所定の係数をトルク検出信号TSに掛け合わせて実際の操舵トルクより小さな値を操舵トルクの検出値とするため、所定の係数は、操舵トルクが発生していない状態に近づける方向にトルク検出信号TSを補正する値であることが好適である。
つまり、所定の係数は、トルク検出信号TSの電圧を中点電圧Vcに近づけるように補正する値が好適である。このような所定の係数は、実験等によって適宜設定すればよい。
また、所定の係数は固定値であってもよいし、車速等に応じて変化する変数であってもよい。
このように、EPSECU60が、トルク検出信号TSを所定の係数で補正してパワーステアリング装置1のアシストモータ12を制御することを補助制御と称する。
すなわち、EPSECU60は、正常なトルク検出信号TSを特定した後(ステップS3)、正常なトルク検出信号TSに基づいてアシストモータ12を補助制御する(ステップS6)。
説明をステップS1に戻して、固着故障が発生していない場合(ステップS1→No)、EPSECU60は、トルクセンサ20に信号異常故障が発生しているか否かを判定する(ステップS2)。
本実施形態においてEPSECU60は、合計電圧Vtが、所定の電圧(VHlmt+VLlmt)から外れたか否かによって信号異常故障が発生しているか否かを判定する。
具体的にEPSECU60は、合計電圧Vtが図4の(b)に示す上限基準値VHより高い場合、又は下限基準値VLより低い場合、合計電圧Vtが所定の電圧から外れてトルクセンサ20に信号異常故障が発生していると判定し(ステップS2→Yes)、故障判別マップに基づいて正常なトルク信号TSを特定して(ステップS4)、手順をステップS5に進める。
また、合計電圧Vtが上限基準値VH以下で下限基準値VL以上の場合、EPSECU60は、トルクセンサ20に信号異常故障が発生していないと判定して故障検出手順を終了する(ステップS2→No)。
トルクセンサ20に固着故障が発生せず(ステップS1→No)、信号異常故障が発生している場合(ステップS2→Yes)、EPSECU60は、ステップS4において、例えば、図10に示す手順で、故障判別マップを参照して正常なトルク検出信号TSを特定する。
図10に示すように、EPSECU60は、メイン信号TSMの電圧V1とサブ信号TSSの電圧V2を加算して合計電圧Vtを算出するとともに、算出した合計電圧Vtが昇圧故障領域にあるか否かを判定する(ステップS40)。
具体的にEPSECU60は、合計電圧Vtが上限基準値VHより高い場合に(ステップS40→Yes)、合計電圧Vtが昇圧故障領域にあると判定する。
そこで、合計電圧Vtが上限基準値VHより高い場合(ステップS40→Yes)、EPSECU60は、メイン信号TSM及びサブ信号TSSに基づいて算出する特性角度θと基準角度θSの角度誤差Δθ(特性角度θ−基準角度θS)を算出し(ステップS41)、算出した角度誤差Δθが0より大きければ(ステップS42→Yes)、角度誤差Δθが正であるとして、トルクセンサ20にTSS上昇フェールが発生したと判定し(ステップS43)、サブ信号TSSに異常が発生したと判定する。そして、メイン信号TSMが正常であることを特定する(ステップS50)。
また、角度誤差Δθが0以下であれば(ステップS42→No)、EPSECU60は、角度誤差Δθが負であるとして、トルクセンサ20にTSM上昇フェールが発生したと判定し(ステップS44)、メイン信号TSMに異常が発生したと判定する。そして、サブ信号TSSが正常であることを特定する(ステップS51)。
EPSECU60は、ステップS43を実行するときに故障判別マップを参照してトルクセンサ20にTSS上昇フェールが発生したと判定し、ステップS44を実行するときに故障判別マップを参照してトルクセンサ20にTSM上昇フェールが発生したと判定する。
なお、EPSECU60はステップS41において、例えば、図11に示す手順で角度誤差Δθを算出する。
図11に示すように、EPSECU60は、トルクセンサ20が検出するメイン信号TSMの電圧V1及びサブ信号TSSの電圧V2を読み込み(ステップS410)、Atan(V2/V1)を演算して特性角度θを算出する(ステップS411)。
なお、EPSECU60が特性角度θを算出するステップS411は、特許請求の範囲に記載の第1ステップに相当する。
次に、EPSECU60は、基準角度θSを算出する。
本実施形態のEPSECU60は、ステアリングボックス4に備わるトーションバー6のねじれ角に基づいて基準角度θSを算出する。
トーションバー6のねじれ角は、ステアリングホイール50の操舵角とピニオン軸7の回転角度(以下、転舵角と称する)の差として示される。
そこで、EPSECU60は、舵角センサ50bによってステアリングホイール50の操舵角を検出し(ステップS412)、さらに、アシストモータ12に備わるレゾルバ12aによってアシストモータ12の回転角度を検出してアシストモータ12の回転角度に基づいてピニオン軸7の転舵角を算出する(ステップS413)。
アシストモータ12の回転角度とピニオン軸7の転舵角との間には、一定の相関関係がある。
例えば、アシストモータ12の回転速度が予め設定される所定のギヤ比で減速されてピニオン軸7に伝達される場合、EPSECU60は、アシストモータ12の回転角度を所定のギヤ比で除すことによってピニオン軸7の転舵角を算出できる。
そして、EPSECU60は、ステアリングホイール50の操舵角からピニオン軸7の転舵角を減算してトーションバー6のねじれ角を算出する(ステップS414)。
さらに、EPSECU60は、算出したねじれ角に基づいてトーションバー6に作用するトルクを算出する(ステップS415)。
トーションバー6に作用するトルクは、トーションバー6の固有値であるバネレートを比例定数としてねじれ角と比例関係にあることから、EPSECU60は、算出したねじれ角にバネレートを乗算してトルクを算出する。
そして、EPSECU60は、算出したトーションバー6に作用するトルクに基づいて基準角度θSを算出する(ステップS416)。
ピニオン軸7はトーションバー6に作用するトルクに応じて回転することから、トーションバー6に作用するトルクによってピニオン軸7が理想的に回転したときの回転角度を基準角度θSとすることができる。したがって、EPSECU60は、例えば、トーションバー6に作用するトルクとピニオン軸7の理想的な回転角度との関係を示すマップを参照することによって、トーションバー6に作用するトルクに応じた理想的なピニオン軸7の回転角度を算出することができる。そして、EPSECU60は、このように算出したピニオン軸7の理想的な回転角度を基準角度θSとする。
このステップS416は、ステアリングホイール50の操舵角とピニオン軸7の転舵角の差に基づいて算出されるトーションバー6に作用するトルクから基準角度θSを算出するステップであり、特許請求の範囲に記載の第2ステップに相当する。
トーションバー6に作用するトルクとピニオン軸7の理想的な回転角度との関係を示すマップは、実験計測等によって容易に設定可能である。
このように、本実施形態に係るEPSECU60は、トーションバー6のねじれ角、すなわち、ステアリングホイール50の操舵角と、ピニオン軸7の転舵角の差に基づいて基準角度θSを算出する。
なお、ピニオン軸7の回転角度を計測する図示しない角度センサを備え、ピニオン軸7の回転角度を直接計測する構成としてもよい。
この場合、EPSECU60は、アシストモータ12の回転角度に基づいてピニオン軸7の回転角度を算出する必要がなくなる。
また、トーションバー6のねじれ角と基準角度θSの関係を実験計測等で求め、トーションバー6のねじれ角と基準角度θSの関係を示すマップを設定しておく構成としてもよい。この場合、EPSECU60は、トーションバー6に作用するトルクを算出することなく、トーションバー6のねじれ角に基づいて基準角度θSを算出できる。
EPSECU60は、以上のように基準角度θSを算出した後(ステップS416)、「特性角度θ−基準角度θS」を演算して角度誤差Δθを算出する(ステップS417)。
以上のように、EPSECU60は、メイン信号TSM及びサブ信号TSSに基づいて角度誤差Δθを算出する。
説明を図10のステップS40に戻して、合計電圧Vtが上限基準値VH以下のとき(ステップS40→No)、EPSECU60は合計電圧Vtが降圧故障領域にあるか否かを判定する(ステップS45)。
具体的にEPSECU60は、合計電圧Vtが下限基準値VLより低い場合に(ステップS45→Yes)、合計電圧Vtが降圧故障領域にあると判定する。
そこで、合計電圧Vtが下限基準値VLより低い場合(ステップS45→Yes)、EPSECU60は、メイン信号TSM及びサブ信号TSSに基づいて角度誤差Δθを算出し(ステップS46)、算出した角度誤差Δθが0より大きければ(ステップS47→Yes)、角度誤差Δθが正であるとして、トルクセンサ20にTSM低下フェールが発生したと判定し(ステップS48)、メイン信号TSMに異常が発生したと判定する。そして、サブ信号TSSが正常であることを特定する(ステップS52)。
また、角度誤差Δθが0以下であれば(ステップS47→No)、EPSECU60は角度誤差Δθが負であるとして、トルクセンサ20にTSS低下フェールが発生したと判定し(ステップS49)、サブ信号TSSに異常が発生したと判定する。そして、メイン信号TSMが正常であることを特定する(ステップS53)。
EPSECU60は、ステップS48を実行するときに故障判別マップを参照してトルクセンサ20にTSM低下フェールが発生したと判定し、ステップS49を実行するときに故障判別マップを参照してトルクセンサ20にTSS低下フェールが発生したと判定する。
なお、EPSECU60がステップS46で角度誤差Δθを算出する手順は、ステップS41で角度誤差Δθを算出する手順と同じであり、図11に示す手順になる。
説明を図9のステップS4に戻して、EPSECU60は、故障判別マップに基づいて正常なトルク検出信号TSを特定した後、特定した正常なトルク検出信号TSに基づいて操舵補助力を算出し、図示しない警告灯を点灯して(ステップS5)、アシストモータ12を補助制御する(ステップS6)。
以上のように、EPSECU60は、図9(図10)に示すステップS4において、メイン信号TSM及びサブ信号TSSが上限基準値VHより高い場合と下限基準値VLより低い場合のそれぞれで角度誤差Δθの正負に基づいて、トルクセンサ20に発生している故障の種別を判別し、メイン信号TSM及びサブ信号TSSのうちの正常な信号を特定する。
つまり、EPSECU60は、図9に示すステップS4において、合計電圧Vtと角度誤差Δθに基づいて、メイン信号TSM及びサブ信号TSSのうちの正常なトルク検出信号TSを特定する。
なお、EPSECU60が、合計電圧Vtと角度誤差Δθに基づいて、メイン信号TSMとサブ信号TSSのうちの正常なトルク検出信号TSを特定する図9のステップS4は、特許請求の範囲に記載の第3ステップに相当する。
そして、図10に示すステップS50及びステップS51は、合計電圧Vtが上限基準値VHより高い場合、すなわち、合計電圧Vtが所定の電圧より高い場合に角度誤差Δθの正負に基づいてメイン信号TSMとサブ信号TSSのうちの正常な信号を特定するステップであり、特許請求の範囲に記載の第4ステップに相当する。
また、図10に示すステップS52及びステップS53は、合計電圧Vtが下限基準値VLより低い場合、すなわち、合計電圧Vtが所定の電圧より低い場合に角度誤差Δθの正負に基づいてメイン信号TSMとサブ信号TSSのうちの正常な信号を特定するステップであり、特許請求の範囲に記載の第5ステップに相当する。
以上のように、本実施形態に係るパワーステアリング装置1(図1参照)のEPSECU60(図1参照)は、トルクセンサ20(図2参照)に固着故障や信号異常故障などの故障が発生した場合、メイン信号TSMとサブ信号TSSのうちの正常なトルク検出信号TSを特定できる。そして、特定した正常なトルク検出信号TSに基づいてパワーステアリング装置1のアシストモータ12を補助制御することができる。
したがって、トルクセンサ20に固着故障や信号異常故障が発生した場合であっても、運転者は、例えば、修理工場まで、操舵がアシストされた状態で車両を運転することができ、操舵フィーリングの低下を軽減できるという優れた効果を奏する。
また、運転者が車両を運転中にトルクセンサ20(図2参照)に故障が発生した場合に、EPSECU60(図1参照)がアシストモータ12(図1参照)の制御を停止すると、操舵反力が急増して操舵フィーリングが大幅に低下する。
本実施形態に係るパワーステアリング装置1(図1参照)は、運転者が車両を運転中にトルクセンサ20に故障が発生した場合、正常なトルク検出信号TSに基づいてアシストモータ12を補助制御可能であり、トルクセンサ20に故障が発生しても操舵反力が急激に増加することがない。
したがって、トルクセンサ20に故障が発生した場合の操舵フィーリングの低下を軽減できるという優れた効果を奏する。
なお、EPSECU60(図1参照)がアシストモータ12(図1参照)を補助制御中に運転者が図示しないエンジンを停止し、その後、エンジンを再始動した場合、EPSECU60がアシストモータ12の制御を停止するように構成してもよい。
この場合、運転者は、トルクセンサ20(図2参照)に故障が発生したことを認識してエンジンを停止するものであり、運転者は、エンジンの再始動後にアシストモータ12の制御が停止される状態、すなわち、操舵がアシストされない状態を予測できる。
つまり、EPSECU60は、運転者の予測の範囲においてアシストモータ12の制御を停止することができ、運転者に違和感を与えることなくアシストモータ12の制御を停止できる。
例えば、EPSECU60(図1参照)がアシストモータ12(図1参照)を補助制御しているとき、正常と特定した一方のトルク検出信号TSに対して他方のトルク検出信号TSは正確な電圧を示していない状態であり、EPSECU60は、2系統のトルク検出信号TSを利用したトルクセンサ20(図2参照)の故障検出ができない。したがって、正常なトルク検出信号TSに異常が発生すると、運転者はステアリングホイール50(図1参照)の操舵に大きな違和感を覚えて操舵フィーリングが低下する。
前記したように、エンジンの再始動後にEPSECU60がアシストモータ12の補助制御を停止する構成によって、運転者の予測の範囲においてアシストモータ12の補助制御を停止することができ、アシストモータ12の補助制御中に正常なトルク検出信号TSに異常が発生することによる操舵フィーリングの低下を防止できる。
なお、本実施形態は、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜設計の変更が可能である。
例えば、本実施形態に係るトルクセンサ20(図2参照)は、1つのセンサでメイン信号TSM及びサブ信号TSSの2系統のトルク検出信号TSを出力する構成であるが、出力信号の電圧が互いに負の相関関係にあり、出力信号の電圧の合計電圧が所定の電圧になる2つのトルクセンサを備える構成のパワーステアリング装置1(図1参照)にも本実施形態を適用できる。
この構成によると、2つのトルクセンサの一方に信号異常故障が発生した場合、EPSECU60(図1参照)は、2つのトルクセンサの出力信号の電圧に基づいて、図9〜図11に示す手順によって2つのトルクセンサの出力信号のうちの正常な信号を特定することができる。
したがって、2系統のトルク検出信号TSを出力する1つのトルクセンサ20(図2参照)を備える本実施形態と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態は、補助操舵力発生装置としてアシストモータ12(図1参照)が備わる電動パワーステアリング装置に備わるトルクセンサ20(図2参照)に基づいて説明したが、例えば、油圧で駆動する補助操舵力発生装置を備えるパワーステアリング装置1(図1参照)に備わるトルクセンサ20にも適用できる。
また、2系統の出力信号の電圧が互いに負の相関関係にあり、2系統の出力信号の電圧の合計電圧が所定の電圧(例えば、一定電圧)になるセンサであれば、トルクセンサに限定されず本実施形態に係る故障検出方法を適用できる。
1 パワーステアリング装置
3 ラック軸
4 ステアリングボックス
5 入力軸
6 トーションバー
7 ピニオン軸(出力軸)
12 アシストモータ
20 トルクセンサ
50 ステアリングホイール
50a ステアリングシャフト
60 EPSECU(制御装置)
FW 前輪(転舵輪)
TS トルク検出信号
TSM メイン信号(第1検出信号)
TSS サブ信号(第2検出信号)
θ 特性角度
θS 基準角度
Δθ 角度誤差

Claims (4)

  1. 入力軸と出力軸を同軸上に連結するトーションバーに作用するトルクの変化に応じて変化する電圧を第1検出信号及び第2検出信号として出力するとともに、
    前記第2検出信号の電圧V2が前記第1検出信号の電圧V1と負の相関関係となり、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧となるように構成されるトルクセンサの故障検出方法であって、
    前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合に、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2から、arctan(V2/V1)で求められる特性角度を算出する第1ステップと、
    前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合に、前記入力軸の回転角度と前記出力軸の回転角度の差に基づいて前記特性角度の基準角度を算出する第2ステップと、
    前記特性角度から前記基準角度を減算した角度誤差及び前記合計電圧に基づいて、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定する第3ステップと、
    を有することを特徴とするトルクセンサの故障検出方法。
  2. 前記第3ステップは、
    前記合計電圧が前記所定の電圧より高い場合に前記角度誤差の正負に基づいて前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定する第4ステップと、
    前記合計電圧が前記所定の電圧より低い場合に前記角度誤差の正負に基づいて前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定する第5ステップと、を含んでいることを特徴とする請求項1に記載のトルクセンサの故障検出方法。
  3. ステアリングホイールが取り付けられるステアリングシャフトとともに回転する入力軸と、転舵輪を転舵するラック軸に噛合するピニオン軸と、を同軸上に連結するトーションバーに作用するトルクの変化に応じて変化する電圧を第1検出信号及び第2検出信号として出力し、前記第2検出信号の電圧V2が前記第1検出信号の電圧V1と負の相関関係にあって、前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2の合計電圧が所定の電圧となるように構成されるトルクセンサと、
    前記第1検出信号の電圧V1及び前記第2検出信号の電圧V2を利用して前記トルクを算出する制御装置と、を含んで構成されるパワーステアリング装置であって、
    前記制御装置は、
    前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合、
    前記第1検出信号の電圧V1と前記第2検出信号の電圧V2から、arctan(V2/V1)で求められる特性角度を算出し、
    前記ステアリングホイールの回転角度と前記ピニオン軸の回転角度の差に基づいて前記特性角度の基準角度を算出し、
    前記特性角度から前記基準角度を減算した角度誤差及び前記合計電圧に基づいて、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定することを特徴とするパワーステアリング装置。
  4. 前記制御装置は、
    前記角度誤差及び前記合計電圧に基づいて、前記合計電圧が前記所定の電圧から外れた場合の前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定するとき、
    前記合計電圧が前記所定の電圧より高い場合と前記合計電圧が前記所定の電圧より低い場合のそれぞれで前記角度誤差の正負に基づいて、前記第1検出信号と前記第2検出信号のうちの正常な信号を特定することを特徴とする請求項3に記載のパワーステアリング装置。
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