JP2011194330A - 排水処理装置及び排水処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備の小型化及び総コストの低減が可能な窒素含有排水を生物学的に酸化処理する排水処理装置及び方法を提供する。
【解決手段】排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理する排水処理装置であって、硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体5を充填した密閉可能な硝化槽2と、該2の気相部12に高濃度酸素ガスを供給する酸素供給ライン10と、前記2内の12の気体を液相中に曝気させるブロア9と散気装置8を有する曝気手段14と、前記2の担体の流動性を維持するための攪拌手段13とを備えるものであり、前記2の前段に脱窒槽を設けることができ、また13は、曝気手段による担体の流動性を維持するために必要な散気量と必要酸素量を供給するための散気量の差を基に、動力を制御する制御装置を備えることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、アンモニア性窒素及び有機性窒素を含む排水を生物学的に酸化処理する排水処理装置及び排水処理方法に関する。
アンモニア性窒素を含む排水を生物学的に処理する方法として、硝化菌によってアンモニア性窒素を硝酸性窒素、亜硝酸性窒素に酸化する処理が一般的に行われている。硝化反応には、酸素が必要であり、処理方法としては、浮遊汚泥法、流動担体法、生物膜ろ過法などが挙げられるが、いずれも酸素源として空気が用いられている(例えば、特許文献1)。
アンモニア性窒素及び有機性窒素の硝化反応において、1kgの窒素を硝化するには、約4.6kgもの酸素が必要であるため、空気を酸素源とした従来の排水処理方法においては、硝化槽に大量の空気を供給しなければならい。さらに、有機物の酸化分解処理と共に硝化を効率的に進めるには、有機物の酸化分解処理だけを目的とする場合に比べて、硝化槽の溶存酸素濃度(DO)を高く維持する必要があり、酸素濃度が21%の空気を用いた場合は、設備の小型化や空気供給設備等の動力コストの低減には限界があった。このような問題点を解決する方法として、空気よりも酸素濃度を高めた酸素富化空気を硝化反応に必要な酸素源として用いる酸素活性汚泥法が用いられている(例えば、特許文献2)。
高負荷条件で硝化処理を行うためには、酸素の供給能力を上げると共に、硝化槽内に多量の硝化菌を保持しなければならない。そのためには、DOを高く維持して汚泥中の硝化菌の活性を高めると共に、浮遊汚泥濃度(MLSS濃度)を高くしなければならない。酸素活性汚泥法の場合、DOを高く設定できるメリットはあるものの、MLSS濃度をむやみに上げると、標準的な活性汚泥法と同様に、沈殿池で汚泥と処理水を分離しにくくなるといった問題が生じる。この固液分離に、膜を用いても良いが、高額な膜分離システムが必要になると共に、膜のつまりなど解決・改良すべき課題も多い。さらに、MLSS濃度を上げることで曝気槽や沈殿池でのスカム発生を助長し、運転管理が煩雑になるといった問題点もある。これらの問題を解決する方法の一つとして、微生物を固定した担体を用いる方法があり、硝化処理では広く普及している。
酸素供給能力に優れた酸素活性汚泥法と、硝化能力が優れた担体硝化法とを組み合わせることによって、コンパクトな設備で硝化処理を進めることができ、装置構造や方法が種々検討されている(例えば、特許文献2)
酸素活性汚泥法では、硝化槽の曝気方法として表面曝気法が採用されている。しかし、特許文献2にも記載があるとおり、曝気用の攪拌によって、硝化担体が磨耗したり、崩壊するといった問題が生じる場合があった。
この問題を解決するために、表面曝気法のかわりに循環ブロアを介して高濃度酸素ガスを曝気槽内で循環散記する方法(ガス循環散気法)があり、この方法で硝化を行っている例もある(例えば、非特許文献1)。
しかしながら、ブロアを用いて循環散気する方式では、反応に必要な酸素量を供給すれば良いというわけではなく、担体の流動性を維持するための動力を散気によってまかなわなければならい。そして、担体を流動させるだけの散気をおこなうと、表面曝気法よりも動力がかかってしまう。このように、酸素溶解効率が高いために曝気のための動力が少なくてすむという酸素活性汚泥法の最大の利点を活かすことができなかった。
特開2000−312898号公報 特開平8−173983号公報 住山ら、第30回下水道研究発表会講演集,p524(1993)
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硝化槽を高負荷、小型にすること及び省エネルギー化が可能な窒素含有排水を生物学的に酸化処理する排水処理装置と方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明では、排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理する排水処理装置であって、硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽と、該硝化槽の気相部に高濃度酸素ガスを供給する酸素供給ラインと、前記硝化槽内の気相部の気体を導いて液相中に曝気させるブロアと散気装置を有する曝気手段と、前記硝化槽の担体の流動性を維持するための攪拌手段とを備えることを特徴とする排水処理装置、又は、排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理して、脱窒処理する排水処理装置であって、硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽と、該硝化槽の気相部に高濃度酸素ガスを供給する酸素供給ラインと、前記硝化槽内の気相部の気体を導いて液相中に曝気させるブロアと散気装置を有する曝気手段と、前記硝化槽の担体の流動性を維持するための攪拌手段とを備えると共に、前記硝化槽の前段に脱窒槽を設け、該脱窒槽に前記硝化槽の液相及び/又は汚泥を返送する返送ラインを設けることを特徴とする排水処理装置としたものである。
また、本発明では、排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理する排水処理方法であって、前記排水を酸化処理する硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽の気相部に、高濃度酸素ガスを供給すると共に、前記硝化槽内の気相部の気体をブロアと散気装置を介して液相部に曝気しながら、前記硝化槽内の担体の流動性を維持するために液相部の攪拌を行うことを特徴とする排水処理方法、又は、排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理して、脱窒処理する排水処理方法であって、前記排水を酸化処理する硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽の気相部に、高濃度酸素ガスを供給すると共に、前記硝化槽内の気相部の気体をブロアと散気装置を介して液相部に曝気しながら、前記硝化槽内の担体の流動性を維持するために液相部の攪拌を行うと共に、前記硝化槽の前段に設けた脱窒槽に、前記硝化槽の液相及び/又は汚泥を返送して脱窒処理することを特徴とする排水処理方法としたものである。
前記排水処理装置及び排水処理方法において、攪拌手段は、前記曝気手段による担体の流動性を維持するために必要な散気量と必要酸素量を供給するための散気量の差を基に、攪拌動力を制御する制御装置を備えることができる。
本発明の排水処理装置及び排水処理方法によれば、純酸素又は酸素富化ガスを硝化反応による排水処理に用いることができるので、排水処理の効率化、すなわち硝化槽の高負荷化ないしは小型化が可能である。しかも、必要量のみの純酸素又は酸素富化ガスを供給すれば良いので、ランニングコストも低く抑えることができ、総コストを低減することが可能となる。
以下、本発明について詳細に説明する。まず、従来から実績のある表面曝気法の問題点を明らかにするため、磨耗しにくい形状、材質の担体を用いて、表面曝気法とガス循環散気法の比較実験を行った。その結果、表面曝気法では、担体自体の損耗はない場合でも、曝気用の攪拌による硝化菌の担体表面への付着阻害が原因と推定される硝化性能不良が生じることを突き止めた。一方、これと同じ条件で曝気方式のみガス循環散気法にして行った実験では、良好な硝化性能が得たことにより、水理学的滞留時間(hydraulic retention time、HRT)の短い条件で効率良く硝化反応を進めるためには、曝気をガス循環散気で行うことが必須であることを見出した。そして、担体の流動性を攪拌手段を用いて維持することで、散気量が少なくて済むという酸素活性汚泥法の特長を活かすことに成功し、きわめて高い負荷で安定した硝化性能を、低ランニングコストで実現することを可能にした。
本発明には図1に示すような装置が使用できる。この装置は、硝化菌を表面に固定した硝化担体を投入した密閉型の硝化槽からなり、硝化槽には、酸素供給ライン、排ガスラインが接続されている。硝化槽の曝気は、循環ブロアと散気装置を用いたガス循環方式で行われ、担体の流動性を維持するため攪拌手段を備える。
本発明は、酸素活性汚泥法と担体硝化法を組み合わせることによって、省スペースかつ省コストで排水中の硝化を進めるものである。一般的に、酸素活性汚泥法の曝気は、エネルギー効率が高い理由で攪拌手段を用いた表面曝気方式が広く採用されているが、表面曝気法に硝化担体を用いると、表面曝気の攪拌による担体の磨耗・破損といった長期間使用時の問題点だけでなく、使用初期において、担体自体の損耗はなくても硝化菌の付着阻害があることが判明した。一方、図1に示すような循環ブロアと散気装置を用いた循環曝気式では、硝化菌の付着阻害が生じることもなく、酸素活性汚泥方法の高負荷条件で極めて高い硝化性能を発揮する。
酸素活性汚泥法で散気する際に、硝化槽を密閉して一旦散気されたガスを繰り返しブロアに供給して循環散気するのは、高濃度の酸素ガスを系外に逃がさず、供給された酸素を効率的に反応に利用するためである。
本発明に用いる散気装置は、硝化担体の磨耗・破損、硝化菌の付着阻害を生じないもの、そして、硝化槽の水面から出てくるガスを吸引して繰り返し散気することから、汚泥ミストや粉塵等による目詰まりを生じにくいものであれば制限はなく、多孔管、ディスクディフューザ、スパージャなどが用いられる。また、循環ガス中の汚泥ミストや、ほこり、微細なごみなどを除去するためのミストセパレータ、ガスろ過気などをブロアの吸い込み側に設置することによって、より酸素移動効率の高い微細気泡性の散気装置を用いることもできる。このような散気装置の例としては、セラミック製又は合成樹脂製の散気板及び散気筒、メンブレン式の散気装置などが挙げられる。
また、ブロアは、密閉性と長時間の連続運転に支障がないものであれば制限はないが、ルーツブロアが好適である。
高い硝化性能を発揮するためには、担体を槽内に十分行き渡るように流動させることが重要である。空気曝気法では、酸素濃度が低いので、反応に必要な分の酸素を液相に供給するためには、大量の散気をしなければならないため、同時に、担体の流動性も十分維持できる場合がほとんどであるのに対して、酸素活性汚泥法では、散気されるガスの酸素濃度が高いので、必要酸素量を確保するのに必要な散気量は相対的に低くて済む分、反応に必要な分の散気だけで担体の流動性を維持することができない場合が多い。そのため、酸素量は足りていても担体の流動性が不十分になる。本発明は、循環ブロアによる散気と、攪拌手段の組み合わせのメリットを見出したものであるので、適用範囲は、散気だけで担体の流動性を維持することが難しい散気条件であり、特に大きな効果が得られたのは、水槽平面積あたりの散気強度0.3m/(m・min)以下の条件で散気を行う場合であった。水相の構造や散気装置の種類、設置位置にもよるため、この条件に限定するものではないが、これより強い散気強度では、概して散気だけで十分に担体の流動性が確保できた。
本発明に用いる攪拌手段は、硝化担体の磨耗・破損、硝化菌の付着阻害を生じずに、硝化担体を流動させられるものであれば制限はない。縦軸攪拌手段のほか、横軸攪拌機、斜軸攪拌機、水中攪拌機、水中ポンプなどを用いることができる。また、攪拌翼は、硝化担体の磨耗・破損、硝化菌の付着阻害を生じずに、硝化担体を流動させられるものであれば任意の形状のものを用いることができ、プロペラ、平羽根、角度付平羽根、ピッチ付平羽根、平羽根ディスクタービン、湾曲羽根などを、任意の位置に必要に応じて枚数を選択して用いれば良い。
本発明では、表面曝気用の攪拌による硝化菌の担体表面への付着阻害が原因と推定される硝化性能不良が生じることにより、表面曝気のための攪拌は行ってはならない。しかし、水面付近にある表面曝気のための攪拌翼を取り外したり、あるいは、水没させることで、本発明の攪拌手段として利用することは可能である。
また、無酸素槽の攪拌を散気で行う場合などがあり、攪拌手段の定義には攪拌のための散気装置が含まれる場合もあるが、本発明の攪拌手段とは散気による攪拌を除いたものである。
攪拌条件は、担体の流動性を維持でき、かつ、担体に対して磨耗や破損などの障害を与えない範囲であれば制限はないが、本発明の効果が大きいのは、水槽容量あたりの動力密度で1〜100W/m及び/又は攪拌翼の周速1〜4m/secの条件である。これよりも弱い攪拌条件では、担体の流動性が十分でなく、逆に、強い条件では、担体の磨耗や破損、硝化菌の担体への固定阻害が生じる懸念がある。
また、担体の充填率は、硝化槽容積あたりの見かけ体積で10〜50%が好ましい。これより高いと、前記攪拌条件の範囲で担体が流動しづらくなる。逆に、これより低いと、担体による処理効果がわずかになる。本発明では、散気との組み合わせで担体の流動性を維持できれば良いことから、散気だけで足りない分の攪拌を行うのが好ましい。すなわち、散気量と攪拌強度の組み合わせが重要なのであって、散気量が比較的多い条件では弱い攪拌でよく、逆に、散気量が比較的少ない条件では強い攪拌が必要になる。このように、散気量によって攪拌強度の設定を変更したり、攪拌強度を散気量や担体の流動性(例えば担体濃度の指示値)の計測値に基づいて制御運転しても良い。また、攪拌と散気は、量、強度を加減しながら連続的に行っても良いし、間欠的に行っても良い。
次に、このような効率的な設定をするための、具体的な方法と装置について述べる。まず、散気量もしくは散気強度と担体の流動性の関係を実験などにより求める。図4(イ)に示した関係図は、硝化槽に担体を20%充填したときの散気強度と担体濃度の関係である。この実験では、散気強度0.3m/(m・min)以上で表層部の担体濃度は20%程度になっており、これが担体の流動性を維持するために必要な散気強度である。一方、散気強度0.3m/(m・min)よりも低い条件では、担体濃度は20%よりも低く大部分が底部に沈降しているものと推察される。この領域は、必要酸素量が少ない場合の“必要酸素量を供給するための散気量”を示している。
次に、各散気強度量に対して、担体の流動性を維持するための攪拌機の回転数を求める。通常、散気強度を下げるほど、担体を流動させるために必要な攪拌機の回転数は上がる(図4(ロ))。ここに示した散気強度や攪拌機の回転数は、水槽や散気装置の構造、用いる担体の性状、攪拌機の仕様によって大きく変わるものであるから、これらの値に限定されるものではないが、このような関係を基に、各散気量に対して必要な攪拌機回転数を割り付けて設定すれば、効率的な運転ができのるである。設定は手動で行っても良いが、プログラム設定などが可能な制御装置を用いることでより、綿密な低コスト運転が可能であった。また、散気状態を測定する風量計などによる散気量もしくは散気強度の検出結果を基に、攪拌機の回転数を制御することでさらに効率的な運転が実現できる。
上記の方法は、担体の濃度を測定する他、担体の単純沈降速度と必要酸素量を供給するための散気風量から求められる混合攪拌速度の差を基にして、攪拌機の回転数を設定する制御装置を用いて行うこともできる。この場合は、用いる担体の沈降速度を、実測もしくはStokesの式等から計算するなどして求める。そして、散気量もしくは散気強度と担体の流動性の関係を実験などにより求める(図5(イ))。さらに、攪拌機の回転数も実験等により求める(図5(ロ))。攪拌機の回転による上昇速度と散気による上昇速度の和が、担体の沈降速度と同等以上になるように、攪拌機の回転数を制御すればよい。例えば、担体の沈降速度が25cm/sec、必要酸素量を供給するための散気量が0.1m/(m・min)の時、図5(イ)より散気による液相の上昇速度は10cm程度であるから、足りない分の上昇速度10cm/secを攪拌機で補えばよい。この上昇速度を出すための攪拌機の回転数は80rpmである。なお、ここに示した担体の沈降速度、散気強度、攪拌機の回転数は、水槽や散気装置の構造、用いる担体の性状、攪拌機の仕様によって大きく変わるものであるから、これらの値に限定されるものではないが、このような関係を基に、必要な攪拌機回転数を割り付けて設定すれば効率的な運転ができのるである。設定は手動で行っても良いが、プログラム設定などが可能な制御装置を用いることで、より綿密な低コスト運転が可能であった。また、散気状態を測定する風量計などによる散気量もしくは散気強度の検出結果を基に、攪拌機の回転数を制御することでさらに効率的な運転が実現できる。
反応に必要な散気量が少ないほど攪拌手段の効果が高くなるが、特に本発明の効果が発揮されるのは、排水の負荷変動がある場合であり、この負荷変動に合わせて散気量を加減して処理する場合である。すなわち、本発明では、攪拌手段によって担体の流動性を維持するため、散気量は負荷変動に合わせて必要な分だけの酸素を供給するために設定すれば良い。設定の方法は、負荷のパターンによって手動で調整しても良いし、予め、曝気量が自動で変わるように設定しておいてもよい。また、排水の負荷や酸素の必要量を把握するための計測機器と連動させて自動制御しても良い。計測機器の例としては、水量計、窒素濃度計、BOD濃度計、窒素負荷量計、BOD負荷量計、酸素濃度計、溶存酸素濃度(DO)計などが挙げられる。ここで、負荷量計とは、濃度と水量を各々測定して計算した負荷を示す計器を指す。これらを、単独もしくは複数組み合わせて制御しても良い。このような制御のうち、硝化槽のDO値によって散気量を制御する方式が広く行われているが、本発明の方法では、特にこのDOで散気量を制御することによって特に大きなコストメリットが発揮される。
本発明では、硝化担体の硝化性能を高く維持するのには、2mg/L以上のDOが必要であった。一方、DOが高いほど、硝化性能が上がる傾向が顕著であったことから、なるべく高めのDOに設定した方が良いのであるが、DOが12mg/Lを超えると、硝化性能は頭打ちになる(図3)。したがって、本発明の効果が大きい硝化槽のDO条件は、2〜12mg/Lである。負荷条件や必要とする処理性能によって最適なDO値に設定すれば良く、負荷変動がある場合などには、DO値を一定値に固定するだけでなく、変動に合わせて調整したり、負荷の変動パターンが一定の場合は時間ごとにDO設定を変更したり、あるいは、負荷や酸素の必要量の指標を示す計測機器と連動させて必要なDO値を自動設定しても良い。
本発明に用いる担体は、担体の表面に硝化菌を付着させる結合固定化担体である。結合固定化担体は、硝化槽内で自然発生的に硝化菌が担体に付着し生物膜を形成するものであるから、硝化菌の付着性が好く、また、処理に十分な量の硝化菌を保持することができ、また、流動性、耐久性が良ければ、形状、材質、物性に制限はないが、形状は表面積が大きいこと、耐摩耗性が良い事ことから、粒状、さらには、球状が好ましい。また、大きさは、直径1〜10mmの粒状が好く、材質はポリエチレングリコール(PEG)又はポリエチレングリコールを含むものが好適である。また、比重は、0.90〜1.1の範囲であることが流動性の面で好ましい。
このような結合固定化担体は、表面曝気法では硝化菌の付着阻害により、高い硝化性能を発揮するのが難しいため、攪拌機による硝化菌の付着阻害を低減する方法として、担体の形状に窪みを付けたり中空の構造にして、内側の表面を付着部分として利用する方法があるが、担体の全表面を利用することができないことから効率が悪く、さらに、このような構造をとることによって、担体の耐久性を落とすことにもつながる。また、これを補うべく、ポリエチレンやポリプロピレンなど耐久性にすぐれた素材を使う方法もあるが、硝化菌の付着性があまり良くないといった問題点がある。
硝化菌を多量に保持できる担体として、結合固定化担体のほかに包括固定化担体がある。これは素材にゲルを用い、担体製造時にゲル内に硝化菌を閉じ込めるもので、担体内部にまで硝化菌を固定化できる上、立ち上げ当初に種菌を必要とせず、短い時間で高い性能を発揮することいった利点を有する。また、表面曝気を行っても、初期の硝化性能には大きな影響が出ないことがわかっている。これは、硝化菌がもともと担体内部に固定されているために、攪拌による付着阻害の懸念はなく、また脱離もしにくいことによる。
ところで、酸素活性汚泥法で硝化反応を進めると、硝化反応によるアルカリ度の消費と、高い二酸化炭素分圧によって、硝化液のpHは6以下、原水の性状や酸素ガスの供給条件によっては5.5程度以下まで低下する。一般的に、硝化の至適pHは、7〜8程度の中性もしくは弱アルカリ性の条件であるため、pH5.5程度といった酸性条件では、固定化された硝化菌の活性は著しく低下する。予め担体に包括固定された硝化菌は、このような低pHの条件には順応することができず、活性を維持するためには、別途水槽を設けて脱炭酸処理を行ったり、多量のアルカリ剤を用いてpHを中性付近に、少なくともpH6程度にまで調整しなければならず、設備コストや動力、薬品コストが莫大になる。
これに対して、本発明では、循環散気方式の装置に結合固定化担体を用いることで、立ち上げ当初に菌体が付着するまでの馴養期間が必要であるものの、pH6以下、場合によっては5.5程度以下といった極めて低い条件でも高い硝化性能を発揮できる。このような条件でも高い硝化性能を発揮できるのは、結合固定化担体では、この条件に適応した硝化菌が徐々に固定されるためである。さらに、本発明での詳細な条件は、アルカリ度が重要であって、具体的には硝化槽のpHが5〜6であって、アルカリ度は最低限、硝化に必要な量、好ましくは、硝化槽のアルカリ度10mg/L以上、さらに好ましくは硝化槽のアルカリ度30mg/L以上となる条件である。このような範囲に設定できれば、脱炭酸処理やpH調整剤を使用する必要はなく、pHがさらに低下したりアルカリ度が不足する場合は、不足分に見合うだけのアルカリ剤を注入したり、必要な分の脱炭酸処理をすればよい。このほか、図2に示すとおり硝化槽の前段に脱窒工程を設けて、硝化槽の液相及び/又は汚泥を返送し脱窒反応によるアルカリ度の上昇を利用しても良い。
本発明では、下水やその他産業排水等種々の排水で、硝化槽の前段に脱窒槽を設け、返送汚泥分に相当する程度の循環式硝化脱窒を行うだけでも、薬品を用いずに、硝化槽のアルカリ度は十分好適範囲に保つことが可能である。もちろん、硝化槽と脱窒槽に循環ラインを設けて循環させても良い。返送汚泥量を含んだ循環率は、原水量の0.3倍以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。このように脱窒工程を組み込むことによって、窒素除去の目的を達成するだけでなく、アルカリ度を好適に保つことによって硝化性能を安定させることを、薬品を用いずに実現できるのである。硝化槽の前段に脱窒槽を設置すること自体は、硝化脱窒方式として一般的な方法であるが、この方法は、本発明の硝化担体を用いた酸素活性汚泥法の条件に対して、低コストで性能を安定化させるために大きな効果をもたらす。
本発明の対象排水は、下水や産業排水に限らず、アンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を含む水であれば良く、含有濃度についても制限はない。例えば、硝化に必要なアルカリ度や、その他、硝化反応に必要なリンや鉄といった成分が不足している水の場合は、これらを添加すればよく、また、硝化反応を阻害する銅や硫化水素などが含まれる水については、別途除害処置を行うことで対象排水とすることができる。
硝化槽混合液の浮遊汚泥は、排水に共存するBODの除去や硝化性能を有している場合もあるので、担体と共に硝化槽に共存させる方が有利である。ただし、担体による硝化のみで処理を満足できる場合は、浮遊汚泥を用いなくても良い。このような場合は、返送汚泥ラインも不要であり、また、循環式硝化脱窒運転を行わない場合は、当然循環ラインも不要である。
本発明によれば、高い硝化性能を発揮することができるため、硝化槽容量のコンパクト化が可能であり、硝化槽あたりのHRT1.4〜2hr程度の極めて短い滞留時間で処理性能を満足することができた。
本発明では、液相に高濃度酸素ガスを散気するのであるが、散気されて水面から出てきた排ガスも大気に比べて酸素濃度は高いので、この排ガスを大気放出するのではなく、ブロアを介して繰り返して液相に散気することによって、酸素の利用効率を上げる方式である。したがって、一旦散気されたガスを槽外にそのまま排出するのではなく、排ガスとして排出する分以外の大部分を再度ブロアに供給して繰り返し散気できるような密閉可能な構造であれば良く、槽の形状、数、配置などに制限はない。槽構造を簡単にする場合は、単槽でも良く、また、担体の流動性などを考慮して槽を複槽に分けても良い。槽の分割は、原水の流入に対して並行にしても直列にしても良いが、特に酸素の利用効率を上げる場合は、直列多段の構造とし、原水の流入側の槽の気相部もしくは循環散気のラインに高濃度酸素を供給し、気相の連通部を介して順次上流側の槽から下流側の槽にガスが流れるように配置し、最下流の水槽から排ガスを系外に排出する方法が最も効率的である。
硝化槽に設置する担体分離用のスクリーンは、担体を分離できる形状で、担体を破損、磨耗するものでなければ制限はないが、酸素活性汚泥法では硝化槽が密閉構造であるためにメンテナンス性の良い仕様のものが適している。本発明では、特に洗浄用のノズルを設置し、回転することのできる円筒形の機械式スクリーンがもっとも好ましい。
本発明の方法に使用する高濃度酸素ガスは、空気よりも酸素濃度を高めた任意の酸素濃度のガスを用いることができる。このようなガスの例としては、酸素富化装置を用いて酸素ガス濃度を高めた酸素富化空気や、酸素濃度が100%に近い純酸素ガスが挙げられる。この高濃度酸素ガスを硝化槽の気相部や、循環散気配管に直接供給することができる。供給された酸素ガスは、硝化反応、有機物の酸化分解反応、微生物の呼吸などによって消費されるため系内の酸素ガス濃度は徐々に低下する。濃度が低下しすぎると、硝化槽のDOが低下したり、DOを維持するために過大な散気が必要になる。一方、酸素濃度が高すぎると排ガスとして排出される量が増え、酸素利用効率が低下する。硝化槽のDOを低動力で適正に維持することと、酸素利用効率を適正に維持するために、最下流の硝化槽の酸素濃度は30〜70%程度、さらには40%〜60%程度であることが好ましく、この設定で、80%以上の酸素利用効率を得られることが示された。このような酸素濃度になるように、高濃度酸素ガスを定量供給しても良いし、負荷変動がある場合は、効率好く酸素が供給されるような制御を組んでも良い。制御方法は、反応が進行すると気相部のガス量が減ることを利用して気圧で制御する方法が一般的であるが、水槽内のDO、気相の酸素濃度などを指標として制御してもよい。
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の排水処理装置の一例を示すフロー構成図である。図1に示すように排水処理装置は、硝化菌を付着させた硝化担体5が貯留されている密閉可能な硝化槽2と、沈殿池3、酸素ガス供給ライン10、排ガスライン11と、原水供給ライン1、処理水流出ライン4を備えている。
硝化槽2には、液面と硝化槽の天井部との間の硝化槽気相部ガス12をブロア9及び散気管8を介して循環散気するためのガス循環ライン14と、攪拌手段13を備えている。
次に、上述したような構成の排水処理装置を用いた排水処理方法について説明する。
まず、ライン1を経て、処理対象排水を硝化槽2に導入する。硝化槽2に導入された排水は、硝化槽2内の硝化菌が固定した担体と混合される。
次いで、ライン10を経て酸素ガスが硝化槽2内に供給され、気相部12を高濃度酸素で満たした状態とする。そして、ブロワ9を作動させることにより、気相部12内のガスを一旦吸引し、このガスを硝化槽2内の散気管8に送り込んで、硝化槽2内の排水中に散気する。
このようにして、ライン10から密閉可能な硝化槽2内へ供給された酸素は、空気に比してより効率的に硝化槽2内の排水中に溶解する。
次いで、攪拌手段13を運転し、硝化担体5を流動状態にする。この攪拌によって硝化担体の流動性が維持されるため、散気は反応に必要な量のみで行えばよく、ランニングコストの増加を防止することができる。
次に、本発明の排水処理装置及び排水処理方法の別の例について図2のフロー構成図を基に説明する。なお、図2において、図1と同一又は相当部分には同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図2は、硝化槽を隔壁で仕切って原水流入に対して直列の2段構造とし、硝化槽の前段に脱窒槽15を備えている。硝化槽は隔壁によって液相、気相とも仕切られているが、液相は担体分離用のスクリーン17を介して連通しており、一方気相にもガスの連通部18がある。また、硝化槽には、各々ガス循環ラインが備えられ、酸素供給ライン10は第一硝化槽に接続されている。
脱窒槽15は、導入された処理対象排水を、脱窒菌を主体とする活性汚泥を用いて生物処理するものであり、例えば浮遊する活性汚泥を脱窒槽15内に収容し、槽15内の排水を攪拌する攪拌装置16を備えている。
次に、上述したような構成の排水処理装置を用いた排水処理方法について説明する。
まず、ライン1を通して処理対象排水を脱窒槽15に導入する。脱窒槽15内に導入された排水は、活性汚泥と混合され、攪拌されることにより、原水から供給された有機物を水素供与体として、返送汚泥6から供給された硝酸性窒素を窒素ガスに分解する。また、ここで脱窒反応の進行によりアルカリ度が上昇し、後段の硝化槽へのアルカリ度補給工程として寄与する。
脱窒後の排水は、第一硝化槽2、第二硝化槽2’の順に送られ、硝化菌が付着した担体と混合されて硝化が進行する。
硝化後の排水は、沈殿池3に送られ、硝化後の排水から活性汚泥を沈殿分離する。活性汚泥を分離された上澄み排水は、処理水4として排出される。一方、沈殿分離された分離汚泥は、返送汚泥ライン6により脱窒槽に返送される。また、余剰分の分離汚泥は、余剰汚泥ライン7から系外に排出される。
酸素ガスは、ライン10から第一硝化槽2の気相部12に供給され、気相部12を高濃度酸素で満たされた状態とする。そして、ブロワ9を作動させることにより、気相部12内のガスを一旦吸引し、このガスを硝化槽2内の散気管8に送り込んで、硝化槽2内の排水中に曝気する。
次いで、第一硝化槽2から排出される残りの酸素ガスは、第二硝化槽2’の気相部12’に供給され、気相部12’を高濃度酸素で満たされた状態とする。そして、ブロワ9’を作動させることにより、気相部12’内のガスを一旦吸引し、このガスを硝化槽2’内の散気管8’に送り込んで、硝化槽2’内の排水中に曝気する。
このようにして、ライン10から密閉可能な硝化槽2、2’内へ供給された酸素は、空気に比してより効率的に硝化槽2、2’内の排水中に溶解する。さらに、硝化槽を直列多段とし、上流側の槽に酸素を供給することで、上流側から効率よく酸素が利用されて、下流側に向かって酸素濃度は低くなり、排ガスとして系外に排出される酸素量を低く抑え、効率的に酸素を利用することができる。
酸素ガスを、ライン10から第一硝化槽2の気相部12に供給するというのは、効率良く酸素を利用することが目的であるから、この目的が達成できれば、高濃度酸素ガスの注入点やガスの流れは、第一硝化槽2に限定されるものではない。例えば、第二硝化槽2’の気相部でも第一硝化槽2の気相部との境界付近に注入すれば、高濃度の酸素ガスは、一部が第二硝化槽2’から第一硝化槽2にも供給され、効率的な運転は可能であった。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。
以下、本発明を実施例により具体的に説明し、実験で得られた結果を表2に示す。
実施例1
図1に示したフローに基づく循環散気方式の処理装置(処理量13750m/日、硝化槽容量810m、水深5m、HRT 1.5hr、返送汚泥量6880m/日)に結合固定化法の硝化担体を投入して、表1に示すアンモニア性窒素(NH−N)濃度16〜25mg/L、有機性窒素(Org−N)濃度3〜11mg/Lの下水一次処理水(以下、原水)を対象に処理実験を行った。
装置の仕様は次のとおりである。
酸素ガス発生装置:PSA(pressure swing adsorption)
方式の装置
散気方式 :循環散気
ブロア :ルーツブロア
攪拌機 :縦軸攪拌機
攪拌羽根 :角度付平羽根(羽根数4枚、羽根径1.2m)
担体 :結合固定担体(球状PEG担体)
担体の充填率 :20%(硝化槽容積あたりの見かけ体積)
DO計 :蛍光式溶存酸素計
また、実験条件は次のとおりである。
供給した高濃度酸素ガスのO濃度:80〜90%
高濃度ガス供給量 :22〜46m/min
曝気量 :870〜2000m/h
曝気強度 :0.15〜0.30m/(m・min)
攪拌機回転数 :34rpm
攪拌羽根周速 :2.1m/sec
結果は、徐々に担体に付着した硝化菌は馴養されて、処理水のNH−N濃度は徐々に低下し、処理開始20日目には、0.2〜0.9mg/Lとなった。また、1年経過後の担体の磨耗・損耗はほとんどなく、ブロアと攪拌機の動力コストの合計を1とするとブロア0.65、攪拌機0.35であった。この間の硝化槽のpHは5.0〜5.2と低い値であったが、これは、少量の高濃度酸素ガスを注入させる密閉式であるため、硝化液の二酸化炭素分圧が高く、かつ、硝化の進行によってアルカリ度が消費されたためである(硝化槽のアルカリ度は10〜25mg/L)。
実施例2
図2に示したフローに基づく循環散気方式の装置(処理量13750m/日、硝化槽容量810m、水深5m、HRT 1.5hr、脱窒槽容量405m、返送汚泥量6880m/日)に結合固定化法の硝化担体を投入して、表1に示すアンモニア性窒素(NH−N)濃度16〜25mg/L、有機性窒素(Org−N)濃度3〜11mg/Lの下水一次処理水(以下、原水)を対象に、処理実験を行った。
その他の装置の仕様は実施例1と同じであり、主な実験条件は次のとおりである。
供給した高濃度酸素ガスのO濃度:80〜90%
高濃度ガス供給量 :20〜40m/min
曝気量 :740〜1800m/h
曝気強度 :0.15〜0.27m/(m・min)
攪拌機回転数 :27rpm
攪拌羽根周速 :1.7m/sec
本実施例でも、徐々に担体に付着した硝化菌は馴養されて、処理水のNH−N濃度は徐々に低下し、処理開始20日目には、0.2〜0.4mg/Lであり、実施例1よりもさらに良好な硝化性能であった。これは、脱窒反応によるアルカリ度の上昇により硝化槽のアルカリ度を常に30mg/L以上に維持することができたためである。なお、ブロアと攪拌機の動力コストの合計は実施例1と同等であった。
実施例3
水量計とアンモニア濃度計を用いてアンモニア性窒素の負荷量を算出し、溶存酸素の設定値をこのアンモニア負荷の値に基づいて段階的に設定したこと以外は、実施例2と同じ条件で実験を行った。
水量計は電磁流量計、アンモニア濃度計はイオン電極方式の装置を用い、その他の仕様は実施例1と同じである。また、実験条件は次のとおりである。
供給した高濃度酸素ガスのO濃度:80〜90%
高濃度ガス供給量 :14〜40m/min
曝気量 :330〜1800m/h
曝気強度 :0.066〜0.27m/(m・min)
攪拌機回転数 :5〜27rpm
攪拌羽根周速 :0.3〜1.7m/sec
本実施例では、アンモニア負荷が高い時間帯は散気量を上げて、DO設定を上げたため、硝化性能はさらに安定し、初処理水のNH−N濃度は0.1〜0.2mg/Lであった。一方、アンモニア負荷が低い時間帯には、散気量を下げてDO設定を下げた。さらに、各々の散気量に合わせて担体の流動性を維持するために、必要な攪拌機の回転数に設定したため、無駄な曝気動力がかからず、実施例2よりもさらに1割程度の動力コスト削減が可能であった。
比較例1
図6に示したフローに基づく処理装置を用い、硝化槽の攪拌機を用いない条件で行ったこと以外は、実施例2と同じ条件で処理実験を行った。
実験条件は次の通りである。
供給した高濃度酸素ガスのO濃度:80〜90%
高濃度ガス供給量 :20〜40m/min
曝気量 :2200m/h
曝気強度 :0.33m/(m・min)
この条件では、実施例2と同じく処理開始20日目以後の処理水NH−N濃度は0.2〜0.4mg/Lとなり良好な硝化性能を示した。しかし、担体を流動させるために、硝化に必要な酸素量とは無関係に常に2200m/hの曝気を行わなければならず、動力コストは実施例2の1.3倍かかった。処理性能に遜色はなかったものの、散気が少量で済むという酸素活性汚泥法の利点を活かすことができなかった。
比較例2
図8に示したフローに基づく処理装置を用い、散気を行わず攪拌機だけで処理実験を行った。実験条件は次のとおりである。
供給した高濃度酸素ガスのO濃度:80〜90%
高濃度ガス供給量 :20〜40m/min
曝気量 :0m/h
攪拌機回転数 :27rpm
攪拌羽根周速 :0.3〜1.7m/sec
この条件では、散気を行わなかったため、混合液のDOが常に1mg/L未満であったために硝化反応は進まず、処理不能であった。
ここで、本発明の実施例1、実施例2及び実施例3は、循環散気のみ行った比較例1と攪拌のみ行った比較例2を合わせた装置構成であるが、比較例1と比較例2の処理水質の点から見ても、動力コスト面から見ても、装置を組み合わせることによって特段の性能を発揮していることは明白であった。
これらの実験結果をまとめて表2に示す。
本発明の排水処理装置の一例を示すフロー構成図。 本発明の排水処理装置の別の一例を示すフロー構成図。 DOと硝化性能の関係を示すグラフ。 (イ)散気強度と担体濃度の関係、(ロ)散気強度と担体を流動させるために必要な攪拌機の回転数の関係を示すグラフ。 (イ)散気強度と液相の上昇流速の関係、(ロ)攪拌機の回転数と液相の上昇流速の関係を示すグラフ。 従来の排水処理装置の一例を示すフロー構成図。 従来例の排水処理装置の別の一例を示すフロー構成図。 比較例2で用いた排水処理装置の一例を示すフロー構成図。
1:原水供給ライン、2、2’:硝化槽、3…沈殿池、4…処理水流出ライン、5…硝化担体、6…返送汚泥ライン、7…余剰汚泥ライン、8、8’:散気管、9、9’:ブロア、10…酸素ガス供給ライン、11…排ガスライン、12,12’…硝化槽気相部ガス、13…攪拌手段、14…ガス循環ライン、15…脱窒槽、16…脱窒槽攪拌機、17、17’:スクリーン、18:気相連通部

Claims (6)

  1. 排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理する排水処理装置であって、硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽と、該硝化槽の気相部に高濃度酸素ガスを供給する酸素供給ラインと、前記硝化槽内の気相部の気体を導いて液相中に曝気させるブロアと散気装置を有する曝気手段と、前記硝化槽の担体の流動性を維持するための攪拌手段とを備えることを特徴とする排水処理装置。
  2. 排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理して、脱窒処理する排水処理装置であって、硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽と、該硝化槽の気相部に高濃度酸素ガスを供給する酸素供給ラインと、前記硝化槽内の気相部の気体を導いて液相中に曝気させるブロアと散気装置を有する曝気手段と、前記硝化槽の担体の流動性を維持するための攪拌手段とを備えると共に、前記硝化槽の前段に脱窒槽を設け、該脱窒槽に前記硝化槽の液相及び/又は汚泥を返送する返送ラインを設けることを特徴とする排水処理装置。
  3. 前記攪拌手段は、前記曝気手段による担体の流動性を維持するために必要な散気量と必要酸素量を供給するための散気量の差を基に、攪拌手段を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の排水処理装置。
  4. 排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理する排水処理方法であって、前記排水を酸化処理する硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽の気相部に、高濃度酸素ガスを供給すると共に、前記硝化槽内の気相部の気体をブロアと散気装置を介して液相部に曝気しながら、前記硝化槽内の担体の流動性を維持するために液相部の攪拌を行うことを特徴とする排水処理方法。
  5. 排水中のアンモニア性窒素及び/又は有機性窒素を、生物学的に硝酸性窒素及び/又は亜硝酸性窒素に酸化処理して、脱窒処理する排水処理方法であって、前記排水を酸化処理する硝化菌を表面に付着させた結合固定化担体を充填した密閉可能な硝化槽の気相部に、高濃度酸素ガスを供給すると共に、前記硝化槽内の気相部の気体をブロアと散気装置を介して液相部に曝気しながら、前記硝化槽内の担体の流動性を維持するために液相部の攪拌を行うと共に、前記硝化槽の前段に設けた脱窒槽に、前記硝化槽の液相及び/又は汚泥を返送して脱窒処理することを特徴とする排水処理方法。
  6. 前記攪拌は、曝気による担体の流動性を維持するために必要な散気量と必要酸素量を供給するための散気量の差を基に、最小の動力で硝化を行うように用いる攪拌手段の動力を制御して行うことを特徴とする請求項4又は5に記載の排水処理方法。
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