JP2011193657A - 直流モータ用ブラシ - Google Patents
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Abstract
【課題】小型直流モータに組み込んだ際に、整流子に点接触させることで、より安定した接触状態を確保し、火花発生及び異常摩耗を減少させ、ブラシの接触部の摩耗が若干進んでも適切な電流の供給状態を維持できる、長寿命の直流モータ用ブラシを提供すること。
【解決手段】導電性かつ弾性の帯状金属板で構成した、側面から見て、全体としてほぼV字形の部材であり、V字を構成する屈曲部2の一方側が、直流モータの整流子5と接触する接触片3aとなり、他方側が端子片3bとなり、かつ接触片3aは、そのうち、整流子5と接触する部位を、丸め加工し、整流子5側に膨らむ接触片3aの長さ方向に長い半円筒状の膨出部3axに構成する。屈曲部2は、このブラシ1の長さ方向のほぼ中間部に位置し、その内側を向いた内角β1、β2を有する二つの順屈曲部2a、2bとその間に位置し、これらと逆向きの内角αを有する逆屈曲部2cとで構成する。
【選択図】 図1
【解決手段】導電性かつ弾性の帯状金属板で構成した、側面から見て、全体としてほぼV字形の部材であり、V字を構成する屈曲部2の一方側が、直流モータの整流子5と接触する接触片3aとなり、他方側が端子片3bとなり、かつ接触片3aは、そのうち、整流子5と接触する部位を、丸め加工し、整流子5側に膨らむ接触片3aの長さ方向に長い半円筒状の膨出部3axに構成する。屈曲部2は、このブラシ1の長さ方向のほぼ中間部に位置し、その内側を向いた内角β1、β2を有する二つの順屈曲部2a、2bとその間に位置し、これらと逆向きの内角αを有する逆屈曲部2cとで構成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、直流モータの回転子に配された電機子コイルに、これ及び整流子を介して電流を供給するために使用される直流モータ用ブラシ、特にバネ性の帯状金属板で構成した直流モータ用ブラシに関するものである。
この種の直流モータ用ブラシには種々の構成のものがある。
例えば、狭い設置空間に配して整流子に複数のそれを所定の角度間隔で接触するように配する観点、低回転領域から高回転領域まで安定した整流子への接触を確保する観点、整流子への接触圧力を一定に保持する観点、モータの組み立て時における組み込み作業性を向上させる観点、その他から種々の構成が採用されている。
例えば、狭い設置空間に配して整流子に複数のそれを所定の角度間隔で接触するように配する観点、低回転領域から高回転領域まで安定した整流子への接触を確保する観点、整流子への接触圧力を一定に保持する観点、モータの組み立て時における組み込み作業性を向上させる観点、その他から種々の構成が採用されている。
特許文献1ではその全体が直線状に構成されている帯状のブラシが提示されている。
このブラシは、コンミュテータに接触する先端部が複数に分割され、その一部を平坦なまま使用する平坦接触部に、他の一部を断面V字状の折曲接触部に、それぞれ構成したものである。両者を組み合わせることにより、平坦接触部のコンミュテータへの接触圧力を高めないと良好な接触安定性が得られない問題を線接触である折曲接触部によって解消し、折曲接触部によるコンミュテータへの食い込み現象を平坦接触部の面状の接触によって解消し、かつ各々は異なる共振点を有し、各々特定の回転数(コンミュテータの回転数)における振動安定性が不良になるが、両者を組み合わせたことにより、全体としてそれらを解消するようにしたとされるものである。
このブラシは、コンミュテータに接触する先端部が複数に分割され、その一部を平坦なまま使用する平坦接触部に、他の一部を断面V字状の折曲接触部に、それぞれ構成したものである。両者を組み合わせることにより、平坦接触部のコンミュテータへの接触圧力を高めないと良好な接触安定性が得られない問題を線接触である折曲接触部によって解消し、折曲接触部によるコンミュテータへの食い込み現象を平坦接触部の面状の接触によって解消し、かつ各々は異なる共振点を有し、各々特定の回転数(コンミュテータの回転数)における振動安定性が不良になるが、両者を組み合わせたことにより、全体としてそれらを解消するようにしたとされるものである。
特許文献2ではその全体が側面から見てほぼU字形に構成される帯状のブラシが提示されている。
このブラシは、以上のように、側面から見てほぼU字形に構成されているが、重要な点は、更にその途中に折曲部が構成され、これによって、一対のブラシを所定の取付方でモータに取り付けた場合に、相互のブラシの整流子に接する部位が平行になり、整流子への二つのブラシの接触部位が180度の角度間隔となるとされ、それ故、モータコイルへの電気通電タイミングが適切に保持されることになる。従って無駄なエネルギーの消費を解消し、可能な出力を確保し、電圧変動が小さくなるので、整流子の摩耗の進行を遅らせ、長寿命を確保できるとされている。
このブラシは、以上のように、側面から見てほぼU字形に構成されているが、重要な点は、更にその途中に折曲部が構成され、これによって、一対のブラシを所定の取付方でモータに取り付けた場合に、相互のブラシの整流子に接する部位が平行になり、整流子への二つのブラシの接触部位が180度の角度間隔となるとされ、それ故、モータコイルへの電気通電タイミングが適切に保持されることになる。従って無駄なエネルギーの消費を解消し、可能な出力を確保し、電圧変動が小さくなるので、整流子の摩耗の進行を遅らせ、長寿命を確保できるとされている。
特許文献3では側面から見てほぼL字形又はV字形の帯状のブラシが提示されている。
このブラシは、詳細には、側面から見てL字形又はV字形に屈曲した帯状の板バネとその基部側に固設された厚肉の金属板からなるターミナル部とで構成されている。このターミナル部は、板バネの基部から屈曲部まで延長して背後側を被覆する延設部を備えており、屈曲部を保護する状態になっている。それ故、モータへの組み込みの際、搬送の際、その他の種々の取り扱いの際に、該板バネの屈曲部の角度が変化してしまうような虞れがない。従って該板バネの先端部の整流子に対する摺接圧力にばらつきが生じ、板バネと整流子との摩耗が急速に進行したり、或いは導通不良を起こすというような様々な不具合を生じる虞を回避することができるとされている。
このブラシは、詳細には、側面から見てL字形又はV字形に屈曲した帯状の板バネとその基部側に固設された厚肉の金属板からなるターミナル部とで構成されている。このターミナル部は、板バネの基部から屈曲部まで延長して背後側を被覆する延設部を備えており、屈曲部を保護する状態になっている。それ故、モータへの組み込みの際、搬送の際、その他の種々の取り扱いの際に、該板バネの屈曲部の角度が変化してしまうような虞れがない。従って該板バネの先端部の整流子に対する摺接圧力にばらつきが生じ、板バネと整流子との摩耗が急速に進行したり、或いは導通不良を起こすというような様々な不具合を生じる虞を回避することができるとされている。
特許文献4では側面から見てほぼV字形の帯状のブラシが提示されている。
このブラシは、その一対がモータに組み込まれた場合に、引き続いて組み込まれる整流子によって該一対のブラシに永久変形が加えられることがないように、各々のブラシの整流子接触アーム部の先端側に内側に折曲した整流子導入折曲部を延設したものである。これによって整流子が組み込まれる際に、該整流子は、両側のブラシに適切な変形量を加えつつスムーズに所定の設置位置に導かれ、上記のように、永久変形を加えることがなくなるものである、とされ、特に直径5mm程度の小型のモータのブラシに適用するのに適するとされている。
このブラシは、その一対がモータに組み込まれた場合に、引き続いて組み込まれる整流子によって該一対のブラシに永久変形が加えられることがないように、各々のブラシの整流子接触アーム部の先端側に内側に折曲した整流子導入折曲部を延設したものである。これによって整流子が組み込まれる際に、該整流子は、両側のブラシに適切な変形量を加えつつスムーズに所定の設置位置に導かれ、上記のように、永久変形を加えることがなくなるものである、とされ、特に直径5mm程度の小型のモータのブラシに適用するのに適するとされている。
本発明は、小型の直流モータの電流供給部に整流子とともに取り付けて使用するブラシであって、直流モータに組み込んだ際に、整流子に対する接触を点接触とすることにより、より安定した接触状態を確保し、これによって火花発生の減少を図り、異常摩耗を減少させ、更にはブラシの接触部の摩耗が若干進んでも適切な電流の供給状態を維持することができる、長寿命の直流モータ用ブラシを提供することを解決の課題とするものである。
本発明の1は、導電性かつ弾性の帯状金属板で形成され、途中の屈曲部を挟んで一方側が整流子に接触する接触部であり他方側が端子部である、側面から見て、全体としてL字形又はV字形の直流モータ用ブラシであって、
前記接触部の整流子と接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い膨出部に構成した直流モータ用ブラシである。
前記接触部の整流子と接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い膨出部に構成した直流モータ用ブラシである。
本発明の2は、本発明の1の直流モータ用ブラシにおいて、前記接触部における膨出部の整流子に接触する側の表面を貴金属又はその合金で構成したものである。
本発明の3は、本発明の1又は2の直流モータ用ブラシにおいて、前記屈曲部を、その内側を内角とする二つの順屈曲部と該二つの順屈曲部の間に位置するこれらと逆向きの内角を有する一つの逆屈曲部とで構成したものである。
本発明の4は、本発明の3の直流モータ用ブラシにおいて、前記逆屈曲部の内角αと前記各順屈曲部の内の接触部側のそれの内角β1又は端子部側のそれの内角β2とを、α>β1及びα≧β2の関係になるようにそれぞれの角度を設定したものである。
本発明の1の直流モータ用ブラシによれば、その接触部の整流子に接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い膨出部、例えば、断面状態で、半円筒状、半楕円筒状又はV字状であるように構成したため、直流モータに組み込んで使用する場合に、その接触部の整流子に接触する可能性のある部分は、該接触部の長さ方向に長い線状の部位であり、接触相手の整流子は円柱状部材であるから、その接触する可能性のある部位は、該膨出部の前記線状の部位に対して交差する方向の線状の部位となる。こうして、このブラシの接触部と整流子との接触は両者の交差する線状の部位相互で行われることになるため、その交点に当たる部位での点接触であるということになる。
これによって、ブラシの跳ねが無くなり、ブラシの接触部及び整流子の異常摩耗及び火花発生の減少を図り、ブラシ及び整流子の長寿命化を図ることができる。
本発明の2の直流モータ用ブラシによれば、前記接触部の膨出部の表面を貴金属又はその合金で構成したため、接触部の電気抵抗を低く保持しながらその耐酸化性等を高く保持できるようになったものである。なかでもパラジウム又はその合金を用いれば、耐久性も高めることができる。
なお、該接触部の整流子と接触する部位は、断面半円筒状、半楕円筒状、V字状等に構成され、その表面にパラジウム又はその合金等の貴金属又はその合金の層が配されているものであるから、該部位が摩耗すると、面接触になり、徐々に該接触部の中央部の貴金属又はその合金層は失われるが、両側の貴金属又は貴金属層は最後まで残るので、非常に長寿命のブラシとなる。
なお、該接触部の整流子と接触する部位は、断面半円筒状、半楕円筒状、V字状等に構成され、その表面にパラジウム又はその合金等の貴金属又はその合金の層が配されているものであるから、該部位が摩耗すると、面接触になり、徐々に該接触部の中央部の貴金属又はその合金層は失われるが、両側の貴金属又は貴金属層は最後まで残るので、非常に長寿命のブラシとなる。
本発明の3の直流モータ用ブラシによれば、側面から見てほぼL字形又はV字形のそれの屈曲部を前記二つの順屈曲部とその間の前記一つの逆屈曲部とで構成することにより、直流モータに組み込んだ際に、接触部の整流子に対する接触圧力のバラツキを少なくしつつ、追従性を高めて確実な接触を確保することができることになる。前記のように、本発明の3では、接触部の整流子と接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い半円筒状、半楕円筒状、V字状等の膨出部に構成したため、剛性が高くなり、その結果、接触部の整流子に対する追従性がやや低下するが、屈曲部の二つの順屈曲部と一つの逆屈曲部の作用による追従性の向上により、その低下分を十分に補うことができることになる。
また整流子に接触する接触部位がモータの回転動作中にその長さ方向に若干変動しやすくなり、その結果、接触部の膨出部中の応力の生じる部位の固定化・集中化を回避し、これによって接触部位の短期の応力破壊を回避し、耐ヘタリ性を向上させ、高寿命化を図ることができる。更にまた、屈曲部を僅かに形状変更したことによって、弾性限界を拡大し、取付時や使用時のその変形により容易に永久変形を生じるようなことのない、耐ヘタリ性の向上を図ったものである。また屈曲部を僅かに形状変更したことによってその寿命の向上を図ったものでもある。
この直流モータ用ブラシの接触部に負荷を掛けると、最初に接触部側の順屈曲部が荷重支点となり、次に隣接する逆屈曲部に荷重支点が移動し、最後に、端子部側の順屈曲部に該荷重支点が移動する。これによって二つの順屈曲部及び一つの逆屈曲部に応力が分散され、それぞれの部位の応力が小さくなる。それ故、各部の劣化は容易に進まないものとなる。また、このことは、前記負荷による前記屈曲部の変形が各順屈曲部及び逆屈曲部に分散され、各々の順屈曲部又は逆屈曲部における個別の変形量が小さくなることを意味し、それ故、各々の順屈曲部又は逆屈曲部においては、容易に弾性限界を越えることがないことになる。前記屈曲部はこれらの総体であり、従来のそれのように単独の順屈曲部で構成された場合と比較して弾性限界が拡大されることになる。こうして耐ヘタリ性が向上することとなる訳である。またこれによって寿命を向上させることにもなるものである。
また荷重と変形の直線性も確保される。
なお、多くの場合、同一材質・同一寸法・同一屈曲部内角の従来品と比較して、同様の条件では、整流子への接触圧力が小さくなる傾向があるが、必要な接触圧力は十分に確保できるし、比較的低い接触圧力ながら安定した接触を確保できる。
更に、前記のように、この屈曲部形状により、ブラシの整流子への接触における追従性を高めることができることとなったため、従来は、多くの場合、整流子への接触部を3本等の複数本で構成していたものであるが、これを一本で対応可能とすることができる。本発明の3では、接触部の整流子と接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い膨出部に構成し、その結果、これらの部位の剛性が高まっているが、以上に述べ、前記したように、以上の屈曲部形状により、良好な追従性が得られ、整流子との十分に良好な接触が得られるため、やはり一本で対応可能となる。
なお、多くの場合、同一材質・同一寸法・同一屈曲部内角の従来品と比較して、同様の条件では、整流子への接触圧力が小さくなる傾向があるが、必要な接触圧力は十分に確保できるし、比較的低い接触圧力ながら安定した接触を確保できる。
更に、前記のように、この屈曲部形状により、ブラシの整流子への接触における追従性を高めることができることとなったため、従来は、多くの場合、整流子への接触部を3本等の複数本で構成していたものであるが、これを一本で対応可能とすることができる。本発明の3では、接触部の整流子と接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い膨出部に構成し、その結果、これらの部位の剛性が高まっているが、以上に述べ、前記したように、以上の屈曲部形状により、良好な追従性が得られ、整流子との十分に良好な接触が得られるため、やはり一本で対応可能となる。
このように、ブラシの接触部を一本で構成できることは、ブラシ及び整流子の接触部にはパラジウム等の貴金属が用いられている関係から、製造コスト上、大きなメリットとなる。
本発明の4の直流モータのブラシによれば、特に小型の直流モータのそれとして用いる場合に、それぞれの順及び逆屈曲部の角度の相互関係を適切に設定することにより、該屈曲部の耐ヘタリ性を最善なものとすることができる。
本発明の実施の形態を、実施例に基づき、図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施例の直流モータのブラシ1は、図1(a)に示すように、基本的に、導電性かつ弾性の帯状金属板で構成した、側面から見て、全体としてほぼV字形の部材であり、該V字を構成する屈曲部2からの一方側延長部が、直流モータの整流子5と接触する接触片(接触部)3aとなり、他方側延長部が端子片(端子部)3bとなり、かつ該接触片3aは、そのうち、整流子5と接触する部位を、丸め加工し、該整流子5側に膨らむ該接触片3aの長さ方向に長い半円筒状(部分円筒状)の膨出部3axに構成してあるものである。該屈曲部2は、このブラシ1の長さ方向のほぼ中間部に位置し、その内側を向いた内角β1、β2を有する二つの順屈曲部2a、2bとその間に位置し、これらと逆向きの内角αを有する逆屈曲部2cとで構成したものである。また該順屈曲部2aは、該接触片3aに接する部位に位置し、該順屈曲部2bは、端子片3bに接する部位に位置する。
前記導電性かつ弾性の帯状金属板としては、例えば、ベリリウム銅、リン青銅、洋白又は銅チタン合金等の直流モータ用ブラシに適する種々のそれを採用することが可能であるが、この実施例では、帯状のMX96(三菱電機株式会社の製品記号:合金番号C7270相当品)合金を採用した。また前記膨出部3axは、前記したように、この帯状金属板の該当部位を半円筒状に丸め加工して構成したものであり、該帯状金属板としては、接触片3aの膨出部3axを構成する部位の表面に、貴金属層として、パラジウム合金層pを施したものを用いる。従って、図1(b)に示すように、半円筒状の膨出部3axの表面はパラジウム合金層pである。
前記屈曲部2は、先に述べ、図1(a)に示すように、この実施例では、接触片3a側に位置する前記順屈曲部2aと、端子片3b側に位置する前記順屈曲部2bと、以上の両順屈曲部2a、2bの間に位置する前記逆屈曲部2cとで構成する。
前記接触片3a側に位置する順屈曲部2aの内角β1、前記端子片3b側に位置する順屈曲部2bの内角β2と、以上の両順屈曲部2a、2bの間に位置する逆屈曲部2cの内角αとは、α>β1及びα≧β2の関係になるようにそれぞれの角度を設定するのが適当であり、更に前記屈曲部2の内角β3と、前記順屈曲部2aの内角β1と、前記順屈曲部2bの内角β2とは、β3<β2及びβ1<β2であり、かつβ3=β1である関係になるように各々の角度を設定するのが好ましい。また以上に加えて、前記逆屈曲部2cの内角αと、前記順屈曲部2aの内角β1又は前記順屈曲部2bの内角β2との関係が、α/(β1又はβ2)≦1/0.6となるように各々の角度を設定するのがより好ましい。
また前記端子片3b側の順屈曲部2bの内角β2は、具体的には、90度を基準として設定するのが適当であり、前記逆屈曲部2cの内角αは90度を基準とし、+5度、−10度の範囲内で設定するのが適当である。
前記屈曲部2の内角β3、これを構成する、順屈曲部2a、2bの内角β1、β2及び逆屈曲部2cの内角α間の相互関係、及び前記端子片3b側の順屈曲部2bの内角β2と逆屈曲部2cの内角αの具体的な角度は、以上に説明したように設定するのが、耐ヘタリ性を向上させる観点でより好ましいが、その範囲を外れても有効性がなくなるわけではない。
この実施例では、前記の範囲で、前記屈曲部2の内角β3を69度に、接触片3a側の順屈曲部2aの内角β1を該屈曲部2の内角β3と同一の角度である69度に、端子片3b側の順屈曲部2bの内角β2を、屈曲部2の内角β3及び接触片3a側の順屈曲部2aの内角β1より大きい90度に、それぞれ設定した。また、前記逆屈曲部2cの内角αは、以上の関係より自ずと定まる90度に設定した。
この実施例の直流モータ用のブラシ1は、詳細には、その全長:2.5mm、接触片3a側の長さ:1.0mm、端子片3b側の長さ:1.5mmに設定したものであり、前記接触片3a側の順屈曲部2aの曲率半径R1及び前記端子片3b側の順屈曲部2bの曲率半径R2を0.15mmに設定し、前記逆屈曲部1cの曲率半径R3を0.28mmに設定した。なお、該順屈曲部2a、2bの曲率半径R1、R2は、最大で0.18mmが適当であり、逆屈曲部2cの曲率半径R3は最大で0.3mmが、それぞれ応力を集中させないようにする観点から適当である。前記のように、この実施例では、前記範囲で設定したものである。
なお、前記端子片3bには、その端部側から反対側途中までの間に、これと直交する向きに延長した導電性板状金属片からなる端子部材4が固設してある。ブラシ1は、図2に略示するように、その一対を、直流モータの整流子5の周りに、該整流子5の軸芯を対称の中心とする点対称となる位置関係に配し、それぞれの接触片3a、3aを該整流子5の外周面に180度の角度間隔で接触させるようにする。前記端子部材4は、端子としての機能に加えて、その取付対象の直流モータの該当する端部を閉じるケーシングのスリットに差し込んで、該ブラシ1を上記の状態に固定する役割も同時に果たしている。
この実施例の直流モータ用のブラシ1によれば、前記屈曲部2を前記一対の順屈曲部2a、2bと前記逆屈曲部2cとで構成することにより、その耐ヘタリ性を向上させることができたものであり、また前記接触片3aは、その内の前記整流子5と接触する部位を丸め加工し、該整流子5側に膨らむ接触片3aの長さ方向に長い半円筒状の膨出部3axに構成してあるため、前記したように、前記整流子5と点接触することになり、ブラシ1の跳ねが無くなり、接触片3a及び整流子5の対応する部位の異常摩耗及び火花発生の減少を図り得、これによってブラシ及び整流子の長寿命化を図り得ることとなったものである。
以上のように、この実施例の直流モータ用のブラシ1は、従来例と比較して異なる部位は、接触片3aの膨出部3ax及び屈曲部2のみであり、モータへの取り付け等に関して何らの影響を与えることもなく、従来のそれと同様に取り付けて使用することができる。
この直流モータ用のブラシ1は、前記し、図2に略示したように、その一対を、整流子5の周りに、その軸芯を対称の中心として点対称となる位置関係に配し、それぞれの接触片3a、3aの膨出部3ax、3axを該整流子5の外周面に180度の角度間隔で接触させるようにする。この実施例では、前記したように、各々の端子片3b、3bの端子部材4、4の先端側を、取付対象の直流モータの該当する端部を閉じるケーシングのスリットに差し込んで、各ブラシ1、1を以上の状態に固定した。
このように直流モータに取り付けて使用し、各接触片3a、3aの膨出部3ax、3axが整流子5に接触して負荷を受けると、最初に該接触片3a、3a側の順屈曲部2a、2aが荷重支点となり、次いで、中央の逆屈曲部2c、2cに荷重支点が移動し、更にその後に荷重支点が端子片3b、3b側の順屈曲部2b、2bに移動する。これによって各順屈曲部2a、2b及び逆屈曲部2cにおける応力が分散されて耐ヘタリ性が向上するものとなる。
また前記のように、各々の屈曲部2、順屈曲部2a、2bの内角β3、β1、β2の各々の大きさ及びそれらの関係、並びに逆屈曲部2cの内角αの大きさ、更にこれと順屈曲部2a、2bの内角β1、β2との関係を、前記のように設定したので、一層、耐ヘタリ性の向上が確実なものとなった。
更にまた接触片3aの整流子5と接触する部位付近は、前記したように、ブラシ1を構成する帯状金属板の該当部位を半円筒状に丸め加工して膨出部3axに構成したものであり、かつ該膨出部3axを構成する部位の表面にはパラジウム合金層pを施してある。
従って、図2に示すように直流モータに組み込んで使用する場合に、該膨出部3axは、前記し、図に示すように、該接触片3aの長さ方向に長い半円筒状であり、他方、整流子5は円筒状であるから、同図に示すように、交差状態に配される相互は点接触状態となる。そのため、ブラシ1の接触片3aの跳ねが無くなり、ブラシ1の接触片3a及び整流子5の異常摩耗及び火花発生の減少を図り得、ブラシ1及び整流子5の長寿命化を図ることができる。
該膨出部3axを半円筒状に構成したことにより、この部位の剛性が高くなり、整流子5の回転動作時に、その動きに対する追従性が若干低下する傾向を生じるが、これは、前記のように、屈曲部2を二つの順屈曲部2a、2bと一つの逆屈曲部2cとによって構成したことにより、容易に解消できている。
また、前記のように、膨出部3axの表面はパラジウム合金層pに構成してあるため、電気抵抗が小さく、かつ耐久性も高いが、その部位の構成が半円筒状であることにより、前記の理由に加えて、一層長寿命となっている。
ブラシ1を、直流モータに組み込んだ当初は、該膨出部3axは、その整流子5との接触部も摩耗していないため、図3(a)に示すように、該整流子5に点接触状態で接触している。該膨出部3axが、長期の使用によって摩耗すると、図3(b)に示すように、いずれその正面中央のパラジウム合金層pは失われてしまう可能性があるが、このように摩耗しても、該膨出部3axは、半円筒状に構成してあり、かつその表面にパラジウム合金層pが施してあるので、両側に残存するパラジウム合金層pが接点として有効に機能し、整流子5との電気的に良好な接触状態を確保し続ける。それ故、ブラシ1は、長期にわたってその機能を保持し得る、極めて長寿命のものとなる。
ブラシ1を、直流モータに組み込んだ当初は、該膨出部3axは、その整流子5との接触部も摩耗していないため、図3(a)に示すように、該整流子5に点接触状態で接触している。該膨出部3axが、長期の使用によって摩耗すると、図3(b)に示すように、いずれその正面中央のパラジウム合金層pは失われてしまう可能性があるが、このように摩耗しても、該膨出部3axは、半円筒状に構成してあり、かつその表面にパラジウム合金層pが施してあるので、両側に残存するパラジウム合金層pが接点として有効に機能し、整流子5との電気的に良好な接触状態を確保し続ける。それ故、ブラシ1は、長期にわたってその機能を保持し得る、極めて長寿命のものとなる。
<バネ荷重試験>
この実施例及び比較例についてバネ荷重試験を行った。
この実施例の直流モータ用のブラシ1を5本用意し、その各々について、図4に示すように、接触片3aの先端に、矢印Aに示す方向に力を加え、その方向の変位を生じさせ、0.02mmの変位毎にバネ荷重を測定し、それらの5本の平均値を算出し、後記の表1に該平均値を示した。
この実施例及び比較例についてバネ荷重試験を行った。
この実施例の直流モータ用のブラシ1を5本用意し、その各々について、図4に示すように、接触片3aの先端に、矢印Aに示す方向に力を加え、その方向の変位を生じさせ、0.02mmの変位毎にバネ荷重を測定し、それらの5本の平均値を算出し、後記の表1に該平均値を示した。
この実施例の直流モータ用のブラシ1と同材質で同サイズの従来例のブラシを比較例として5本用意し、その各々について、上記実施例のブラシ1に関して行ったのと同一の試験を行い、バネ荷重を測定し、それらの5本の平均値を算出し、後記の表1に該平均値を示した。
実施例のブラシ1と比較例とを比較すると、バネ荷重が僅かに小さいことが分かるが、整流子5への接触圧力は十分に取れることが分かる。また変位と荷重の直線性は保持されている。
実施例のブラシ1の屈曲部2のバネ荷重が小さくなったのは、荷重が屈曲部2の二つの順屈曲部2a、2b及び一つの逆屈曲部2cに分散され、それ故、個々の変形量が小さくなり、従って、個々の部位の応力も小さくなったからであると考えられる。また個々の屈曲部2の全体としての変形量は同一でありながら、個々の部位の変形量が小さくなったことにより、全体としての弾性限界を拡大させ、耐ヘタリ性を向上させたものでもある。またこれによって寿命を向上させ得るものと考えられる。
また接触片3aの整流子5と接触する部位付近を半円筒状の膨出部3axとしたことによるこの面での不都合は特に生じていないことも分かる。
実施例のブラシ1の屈曲部2のバネ荷重が小さくなったのは、荷重が屈曲部2の二つの順屈曲部2a、2b及び一つの逆屈曲部2cに分散され、それ故、個々の変形量が小さくなり、従って、個々の部位の応力も小さくなったからであると考えられる。また個々の屈曲部2の全体としての変形量は同一でありながら、個々の部位の変形量が小さくなったことにより、全体としての弾性限界を拡大させ、耐ヘタリ性を向上させたものでもある。またこれによって寿命を向上させ得るものと考えられる。
また接触片3aの整流子5と接触する部位付近を半円筒状の膨出部3axとしたことによるこの面での不都合は特に生じていないことも分かる。
本発明の直流モータ用ブラシは、直流モータの製造分野で利用することができる。
1 直流モータのブラシ
2 屈曲部
2a 接触片側の順屈曲部
2b 端子片側の順屈曲部
2c 逆屈曲部
3a 接触片(接触部)
3b 端子片(端子部)
3ax 膨出部
4 端子部材
5 整流子
A 矢印
α 逆屈曲部の内角
β1 接触部側の順屈曲部の内角
β2 端子片側の順屈曲部の内角
β3 屈曲部の内角
p パラジウム合金層
2 屈曲部
2a 接触片側の順屈曲部
2b 端子片側の順屈曲部
2c 逆屈曲部
3a 接触片(接触部)
3b 端子片(端子部)
3ax 膨出部
4 端子部材
5 整流子
A 矢印
α 逆屈曲部の内角
β1 接触部側の順屈曲部の内角
β2 端子片側の順屈曲部の内角
β3 屈曲部の内角
p パラジウム合金層
Claims (4)
- 導電性かつ弾性の帯状金属板で形成され、途中の屈曲部を挟んで一方側が整流子に接触する接触部であり他方側が端子部である、側面から見て、全体としてL字形又はV字形の直流モータ用ブラシであって、
前記接触部の整流子と接触する部位を、整流子側に膨らむ、該接触部の長さ方向に長い膨出部に構成した直流モータ用ブラシ。 - 前記接触部における膨出部の整流子に接触する側の表面を貴金属又はその合金で構成した請求項1の直流モータ用ブラシ。
- 前記屈曲部を、その内側を内角とする二つの順屈曲部と該二つの順屈曲部の間に位置するこれらと逆向きの内角を有する一つの逆屈曲部とで構成した請求項1又は2の直流モータ用ブラシ。
- 前記逆屈曲部の内角αと前記各順屈曲部の内の接触部側のそれの内角β1又は端子部側のそれの内角β2とを、α>β1及びα≧β2の関係になるようにそれぞれの角度を設定した請求項3の直流モータ用ブラシ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010058458A JP2011193657A (ja) | 2010-03-15 | 2010-03-15 | 直流モータ用ブラシ |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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2010
- 2010-03-15 JP JP2010058458A patent/JP2011193657A/ja active Pending
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