JP2011192758A - 膜形成用組成物入り容器 - Google Patents

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【課題】パーティクルを生じにくい膜形成用組成物入り容器を提供すること。
【解決手段】本発明の膜形成用組成物入り容器は、分子内に、アダマンタン型のかご型構造を含む部分構造と、重合反応に寄与する重合性反応基とを有する重合性化合物を含む液状の膜形成用組成物を容器に収納してなるものであって、前記容器の前記膜形成用組成物を収納する収納部の収納量をV[cm]、前記収納部の内表面積をS[cm]としたとき、S/V≦0.85の関係を満足することを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、膜形成用組成物入り容器に関する。
電子材料分野においては、半導体デバイスの高集積化、高速化、高性能化が進むにしたがって、半導体集積回路の配線間抵抗の増大や電気容量の増大による遅延時間が大きな問題となってきている。この遅延時間を減少させ、半導体デバイスをより高速化させるためには、低誘電率の絶縁膜を回路に用いることが必要である。
絶縁膜の形成には、広く、有機材料を含む液状の組成物が用いられている。このような組成物を用いた場合、形成される絶縁膜にブツの発生等により、形成される絶縁膜の特性、信頼性を低下させることがあった。このような問題を解決する目的で、種々の膜形成用組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような組成物を用いた場合であっても、従来においては、輸送時や保存時等に、組成物中にパーティクルが発生し、このため、当該組成物を用いて形成される絶縁膜の特性、信頼性が十分に優れたものとすることが困難であった。
特開2007−161786号公報
本発明の目的は、パーティクルを生じにくい膜形成用組成物入り容器を提供することにある。
このような目的は、下記(1)〜(12)に記載の本発明により達成される。
(1) 分子内に、アダマンタン型のかご型構造を含む部分構造と、重合反応に寄与する重合性反応基とを有する重合性化合物および/または当該重合性化合物が部分的に重合した重合体を含む液状の膜形成用組成物を容器に収納してなる膜形成用組成物入り容器であって、
前記容器の前記膜形成用組成物を収納する収納部の収納量をV[cm]、前記収納部の内表面積をS[cm]としたとき、S/V≦0.85の関係を満足することを特徴とする膜形成用組成物入り容器。
(2) 前記重合性化合物の前記重合性反応基は、芳香環と、当該芳香環に直接結合するエチニル基またはビニル基とを有するものであり、
前記重合性化合物において、前記芳香環由来の炭素の数は、当該重合性化合物全体の炭素の数に対して、15%以上、38%以下である上記(1)に記載の膜形成用組成物入り容器。
(3) 前記芳香環は、前記かご型構造に直接結合したものである上記(2)に記載の膜形成用組成物入り容器。
(4) 前記重合性反応基は、2つのエチニル基またはビニル基を有し、一方の前記エチニル基または前記ビニル基は、他方の前記エチニル基または前記ビニル基のメタ位に存在するものである上記(2)または(3)に記載の膜形成用組成物入り容器。
(5) 2つの前記エチニル基または前記ビニル基は、いずれも、前記芳香環が前記かご型構造に結合する部位のメタ位に存在するものである上記(4)に記載の膜形成用組成物入り容器。
(6) 前記部分構造は、アダマンタン構造を有するものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
(7) 前記アダマンタン構造は、置換基としてメチル基を有するものである上記(6)に記載の膜形成用組成物入り容器。
(8) 前記重合性化合物は、下記式(1)または下記式(5)で示される構造を有するものである上記(7)に記載の膜形成用組成物入り容器。
Figure 2011192758
[式中、nは1〜5の整数を表す。]
Figure 2011192758
[式中、nは1〜5の整数を表す。]
(9) 前記部分構造は、ジアマンタン構造を有するものである上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
(10) 前記重合性化合物は、前記重合性反応基を2つ有し、前記部分構造を中心に、当該重合性反応基が対称的に結合した構造をなしているものである上記(1)ないし(9)のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
(11) 前記膜形成用組成物は、シランカップリング剤を含むものである上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
(12) 前記収納部の内表面は、20℃における水との接触角が65°以上の材料で構成されたものである上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
本発明によれば、パーティクルを生じにくい膜形成用組成物入り容器を提供することができる。
所定形状にパターニングされた層間絶縁膜を形成する方法の一例を示す縦断面図である。 半導体装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
<膜形成用組成物入り容器>
本発明の膜形成用組成物入り容器は、液状の膜形成用組成物を容器に収納してなるものである。
まず、容器内に収納される膜形成用組成物について詳細に説明する。
(膜形成用組成物)
本発明の膜形成用組成物入り容器は、分子内に、アダマンタン型のかご型構造を含む部分構造と、重合反応に寄与する重合性反応基とを有する重合性化合物および/または当該重合性化合物が部分的に重合した重合体を含む液状の膜形成用組成物を容器に収納してなるものであって、容器の膜形成用組成物を収納する収納部の収納量をV[cm]、収納部の内表面積(膜形成用組成物が接触可能な面積)をS[cm]としたとき、S/V≦0.85の関係を満足することを特徴とする。これにより、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生を効果的に防止することができ、安定した品質の膜の形成に用いることができる膜形成用組成物入り容器を提供することができる。上述したように、本発明の膜形成用組成物入り容器は、所定の液状の膜形成用組成物を容器に収納してなるものである。以下、膜形成用組成物について詳細に説明する。
(膜形成用組成物)
膜形成用組成物入り容器を構成する組成物(膜形成用組成物)は、上記のように、分子内に、アダマンタン型のかご型構造を含む部分構造Aと、重合反応に寄与する重合性反応基Bとを有する重合性化合物および/または当該重合性化合物が部分的に重合した重合体を含むものであればよいが、以下に述べるような重合性化合物Xおよび/または当該重合性化合物Xが部分的に重合した重合体を含むものであるのが好ましい。
[1]重合性化合物X
重合性化合物Xの重合性反応基Bが、芳香環と、当該芳香環に直接結合するエチニル基またはビニル基とを有するものであり、重合性化合物Xにおいて、前記芳香環由来の炭素の数は、重合性化合物X全体の炭素の数に対して、15%以上、38%以下であるのが好ましく、18%以上、27%以下であるのがより好ましい。これにより、低誘電率で、安定した絶縁性を示し、かつ、強度に優れ、膜厚や特性の不本意なばらつきが抑制された絶縁膜を提供することができる。
なお、重合性反応基Bが有するエチニル基またはビニル基は、重合性化合物同士が重合する際の重合性基であり、同一の機能を発揮するものであることから、以下では、重合性反応基Bがエチニル基を有する場合について代表的に説明する。
以下、部分構造Aおよび重合性反応基Bについて、それぞれ説明する。
[1.1]部分構造A
重合性化合物Xが有する部分構造Aは、アダマンタン型のかご型構造を含むものである。これにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)を、低密度のものとすることができ、形成される膜の誘電率を低いものとすることができる。また、後に詳述するような重合性反応基Bを備える重合性化合物Xの反応性を適切なものとすることができるため、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度を確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきを抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を優れたものとすることができる。さらに、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)を、所定形状にパターニングするためのエッチング工程におけるエッチングレートを比較的低くすることができる。
重合性化合物Xが有する部分構造Aとしては、例えば、アダマンタン、ポリアダマンタン(例えば、ビアダマンタン、トリアダマンタン、テトラアダマンタン、ペンタアダマンタン、ヘキサアダマンタン、ヘプタアダマンタン等)、ポリアマンタン(例えば、ジアマンタン、トリアマンタン、テトラマンタン、ペンタマンタン、ヘキサマンタン、ヘプタマンタン等)、これらの化合物を構成する水素原子の少なくとも一部をアルキル基またはハロゲン原子で置換した化合物等の二価基(上記化合物を構成する2つの水素原子を除いた部分の構造)や、これらの二価基を2つ以上備えたもの(例えば、ビ(ジアマンタン)骨格、トリ(ジアマンタン)骨格、テトラ(ジアマンタン)骨格等の複数のジアマンタン骨格が連なったもの(ポリ(ジアマンタン)骨格を有するもの);ビ(トリアマンタン)骨格、トリ(トリアマンタン)骨格、テトラ(トリアマンタン)骨格等の複数のトリアマンタン骨格が連なったもの(ポリ(トリアマンタン)骨格を有するもの);アダマンタン骨格(またはポリアダマンタン骨格)とポリアマンタン骨格とが連なったもの等)等が挙げられる。以下に、部分構造Aの例の一部を、化学構造式で示すが、部分構造Aはこれらに限定されるものではない。ただし、下記式(A−1)〜式(A−7)中、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ハロゲン基を示し、l、m、nは、それぞれ独立に、1以上の整数を表す。
Figure 2011192758
また、部分構造Aは、アダマンタン構造を有するものであるのが好ましい。これにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)の誘電率を特に低いものとすることができ、また、重合性化合物Xの反応性をより好適なものとすることができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。
また、アダマンタン構造は、置換基としてメチル基を有するものであるのが好ましい。これにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜の誘電率を特に低いものとすることができる。また、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生をより効果的に防止することができ、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)の品質の安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合性化合物Xの反応性をより好適なものとすることができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。
以上のことから、部分構造Aとしては、特に、下記式(2)で示される構造を有するものが特に好適である。なお、下記式(2)中、nは1以上の整数を表す。
Figure 2011192758
かかる構造を有するものを部分構造Aとして選択することにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)は、前述した効果をより顕著に発揮するものとなる。
なお、かかる構成の部分構造Aは、それ自体が対称性を有する構造のものであるのが好ましい。すなわち、上記式(2)中において、nは偶数であるのが好ましい。これにより、重合性化合物Xの反応性をより適切なものとすることができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。
また、部分構造Aは、ジアマンタン構造を有するものであってもよい。これにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜の誘電率を低いものとすることができる。また、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生をより効果的に防止することができ、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)の品質の安定性を特に優れたものとすることができる。また、重合性化合物Xの反応性をより好適なものとすることができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。
[1.2]重合性反応基B
重合性化合物Xは、上記のような部分構造Aに加え、重合反応に寄与する重合性反応基Bを有している。
重合性化合物Xは、この重合性反応基Bを、1つ有するものであってもよいが、2つ有し、これらが部分構造Aを中心に対称的に結合した構造をなしているのが好ましい。これにより、重合性化合物Xの反応性を適切なものとすることができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度を確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきを抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を優れたものとすることができる。
このように、重合性化合物Xが、部分構造Aとともに、2つの重合性反応基Bを有し、さらに、これらが、特定の配置を有することにより、特に優れた効果が発揮される。
重合性反応基Bを構成する芳香環としては、特に限定されないが、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ナフタセン環、フェナントレン環、クリセン環、ピレン環、ペリレン環、コロネン環、ビフェニル環、テルフェニル環、アズレン環等の炭化水素環式芳香環や、ピリジン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、オキサゾール環、インドール環、プリン環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、カルバゾール環、イミダゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、キノリン環、テルチエニル環等の複素環式芳香環等が挙げられる。中でも、芳香環としては、ベンゼン環が好ましい。これにより、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物の付与をより容易に行うことができる。また、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生をより効果的に防止することができ、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)の品質の安定性を特に優れたものとすることができる。また、膜形成用組成物を用いて形成される膜の弾性率を好適なものとすることができ、形成される膜の強度および耐熱性、前記部材(半導体基板等)への密着性等を特に優れたものとすることができる。
重合性反応基Bを構成する芳香環は、少なくとも1つの他の原子を介して部分構造Aを構成するかご型構造に結合したものであってもよいが、部分構造Aを構成するかご型構造に直接結合したものであるのが好ましい。これにより、重合性化合物Xの反応性をより好適なものとすることができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。
重合性反応基Bは、1つのエチニル基を有するものであっても良いが、2つのエチニル基を有し、上記のような芳香環に、2つのエチニル基が、直接、結合したものであるのが好ましい。また、重合性反応基Bが反応部位としてのエチニル基を2つ有することにより、重合性化合物Xについての初期の反応が起こりやすくなる。その一方で、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基が反応(重合反応)すると、芳香環についての電子状態が変化し、他方のエチニル基の反応性は、急激に低下する。このため、比較的穏やかな条件で、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基のみを選択的に反応させることができる。そして、重合性化合物Xは、好ましくは分子内に2つの重合性反応基Bを有しているため、重合性化合物Xの分子内に存在する2つの重合性反応基Bについて、それぞれ、一方のエチニル基のみを選択的に反応させることができ、この場合、例えば、下記式(3)に示すような反応により、複数の重合性化合物Xが一次元的に重合した重合体(鎖状のプレポリマー)が得られる。
Figure 2011192758
(式(3)中、Aは部分構造Aを示し、Arは重合性反応基Bを構成する芳香環を示す。また、nは、2以上の整数を表す。)
なお、重合性反応基Bがエチニル基に代えてビニル基を有する場合には、下記式(3’)に示すような反応により、複数の重合性化合物Xが一次元的に重合した重合体(鎖状のプレポリマー)が得られる。
Figure 2011192758
((3’)中、Aは部分構造Aを示し、Arは重合性反応基Bを構成する芳香環を示す。また、nは、2以上の整数を表す。)
上記のような反応が起こることにより、膜形成用組成物の保存時等において、重合性化合物Xが、過度に反応し、膜形成用組成物が極端に高粘度化すること(例えば、ゲル化すること)を確実に防止することができ、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに際し、当該膜形成用組成物の粘度を確実に好適なものとすることができる。その結果、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきの発生を確実に抑制することができる。
その一方で、上記のような反応により得られる重合体(部分的な重合反応により得られたプレポリマー)は、未反応のエチニル基を有しているため、後に詳述するような焼成条件(半導体基板上での加熱条件)において、残存するエチニル基を確実に反応させることができ、最終的に形成される膜中においては、三次元的に架橋反応した構造を有するものとなる。その結果、形成される膜は、特に耐熱性等に優れたものとなる。
上記のように、重合性化合物Xを構成する各重合性反応基Bは、2つのエチニル基を有するものである場合、重合性反応基Bにおいて、一方のエチニル基は、他方のエチニル基のメタ位に存在するものであるのが好ましい。これにより、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基が反応(重合反応)した状態において、芳香環等の電子的な効果がより顕著に発揮され、他方のエチニル基の反応性をより効果的に低下させることができるとともに、当該反応した部位が適度な立体的な障害となり、他方のエチニル基(未反応のエチニル基)の反応性をより好適に制御することができる。その結果、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基についての反応性(第1段目の反応についての反応性と第2段目の反応についての反応性)の選択性をより高いものとすることができるとともに、後に詳述するような焼成工程を、より好適な条件(半導体基板へのダメージを防止しつつ、優れた生産性で膜を形成することができる条件)で行うことができる。
また、重合性反応基Bが2つのエチニル基を有する場合、2つのエチニル基は、いずれも、芳香環がかご型構造に結合する部位のメタ位に存在するものであるのが好ましい。これにより、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基が反応(重合反応)した状態において、芳香環等の電子的な効果がより顕著に発揮され、他方のエチニル基の反応性をより効果的に低下させることができるとともに、当該反応した部位、および、前述した部分構造Aが適度な立体的な障害となり、他方のエチニル基(未反応のエチニル基)の反応性をより好適に制御することができる。その結果、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基についての反応性(第1段目の反応についての反応性と第2段目の反応についての反応性)の選択性をより高いものとすることができるとともに、後に詳述するような焼成工程を、より好適な条件(半導体基板へのダメージを防止しつつ、優れた生産性で膜を形成することができる条件)で行うことができる。
上記のような条件を満足する重合性化合物X、すなわち、部分構造Aおよび重合性反応基Bとして好ましいものが選択され、重合性化合物Xにおける芳香環由来の炭素が適正な数に設定されている重合性化合物Xとしては、例えば、下記式(1)で示される構造を有するものが挙げられる。なお、下記式(1)中、nは1〜5の整数を表す。
Figure 2011192758
[式中、nは1〜5の整数を表す。]
なお、重合性反応基Bがビニル基を有するものである場合には、上記のような条件を満足する重合性化合物Xとしては、上記式(1)で示される構造のうちエチニル基をビニル基で置き換えた構造、すなわち、下記式(5)で示される構造を有するものが挙げられる。
Figure 2011192758
[式中、nは1〜5の整数を表す。]
かかる構造を有するものを重合性化合物Xとして選択することにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)は、前述した効果をより顕著に発揮するものとなる。
なお、上記式(1)で示される構造を有する重合性化合物Xでは、2つの重合性反応基Bを2つ有するものを例示したが、その他、1つの重合性反応基Bを有する重合性化合物Xとしては、例えば、下記式(1’)で示される構造を有するものが挙げられる。なお、下記式(1’)中、nは1または2の整数を表す。
Figure 2011192758
なお、重合性化合物Xとして、重合性反応基Bがビニル基である化合物を用いる場合には、上記式(1’)中エチニル基をビニル基で置き換えた構造の化合物を用いることもできる。
また、重合性化合物Xは、部分構造A、および、重合性反応基B以外の部分構造を有するものであってもよい。
上記のような重合性化合物Xは、2つの重合性反応基Bを有し、この重合性反応基Bが2つのエチニル基を有するものである場合、例えば、以下のようにして合成することができる。
すなわち、部分構造Aに対応する化合物A’(二価基としてのAに水素原子が2つ接合した化合物)を臭素と反応させ、A’のジブロモ体(部分構造Aに2つのブロモ基が結合した化合物)を得る工程と、A’のジブロモ体をジブロモベンゼンと反応させ、A’のビス(ジブロモフェニル)体(部分構造Aに2つのジブロモフェニル基が結合した化合物)を得る工程と、A’のジブロモフェニル体をトリメチルシリルアセチレンと反応させ、A’のビス(ジ(トリメチルシリルエチニル)フェニル)体(部分構造Aに2つのジ(トリメチルシリルエチニル)フェニル基が結合した化合物)を得る工程と、A’のビス(ジ(トリメチルシリルエチニル)フェニル)体を加水分解(脱トリメチルシリル化)する工程とを有する方法により、目的とする重合性化合物Xを得ることができる。
なお、重合性反応基Bが2つのエチニル基に代えて2つのビニル基を有する場合には、重合性化合物Xは、例えば、以下のようにして合成することができる。
すなわち、上述した2つのエチニル基を有する重合性化合物Xを合成した後、特に限定されないが、水素ガスを用いたLindlar還元、ナトリウムと液体アンモニアを用いたBrich還元、ジイミドを用いたジイミド還元等を行うことで、目的とする重合性化合物Xを得ることができる。
膜形成用組成物は、上述したような重合性化合物Xを単独で含むものであってもよいし、例えば、重合性化合物Xが2つの重合性反応基Bを有し、および/または、重合性反応基Bが2つのエチニル基を有する場合、重合性化合物Xが部分的に重合した重合体(2つの重合性反応基Bのうち一方の重合性反応基Bのみが重合反応したプレポリマーや、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基のみが重合反応したプレポリマー)をさらに含むものであってもよい。膜形成用組成物が重合性化合物Xが部分的に重合した重合体(プレポリマー)を含むものであると、膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。また、形成すべき膜が比較的厚いものであっても好適に形成することができる。また、膜形成用組成物が重合性化合物Xのプレポリマーを含むものであると、部材(例えば、半導体基板)上に膜を形成する際に、当該部材上において加える熱量を少なくすることができるため、当該部材への加熱によるダメージをより確実に防止することができる。このような重合性化合物Xのプレポリマーを含む膜形成用組成物は、絶縁膜用ワニスとして好適に用いることができる。
重合性化合物Xを部分的に重合させプレポリマーとする工程は、例えば、触媒を用いないで加熱して反応させる熱重合による方法、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル開始剤を用いたラジカル重合による方法、光照射等を用いた光ラジカル重合による方法、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド及びテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)などのパラジウム触媒を用いた重合による方法、酢酸銅(II)などの遷移金属触媒を用いた重合による方法、塩化モリブデン(V)、塩化タングステン(VI)及び塩化タンタル(V)などの遷移金属塩化物を用いた重合による方法などを挙げることができる。これらの中でも、反応を制御しやすく所望の重合体が得られ、また、金属触媒等の残存による不純物除去が不要なことから、熱重合やラジカル開始剤を用いたラジカル重合による方法が望ましい。
前記熱重合の方法で調製する場合、熱処理の条件としては、加熱温度:120〜190℃、加熱時間:3〜11時間であるのが好ましく、加熱温度:140〜180℃、加熱時間:3〜9時間であるのがより好ましい。ラジカル開始剤を使用する場合は、熱処理の条件としては、加熱温度:40〜190℃、加熱時間:0.5〜11時間であるのが好ましく、加熱温度:60〜180℃、加熱時間:0.5〜9時間がより好ましい。また、前記工程で得られた組成物(重合性化合物を含む組成物)に対する加熱処理は、異なる条件を組み合わせて行ってもよい。例えば、熱重合においては、前記工程で得られた組成物(重合性化合物を含む組成物)に対しては、加熱温度:150〜190℃、加熱時間:1〜6時間という条件で行う第1の熱処理と、加熱温度:120〜160℃、加熱時間:2〜9時間という条件で行う第2の熱処理、あるいは、さらに多段階の熱処理を施すことも適宜選択できる。ラジカル開始剤を使用する場合においても、例えば、加熱温度:60〜190℃、加熱時間:0.5〜6時間という条件で行う第1の熱処理と、加熱温度:40〜160℃、加熱時間:0.5〜9時間という条件で行う第2の熱処理、あるいは、さらに多段階の熱処理を施すことも適宜選択できる。なお、上記のような加熱処理は、前記工程で得られた組成物(重合性化合物を含む組成物)を溶媒に溶解した状態で行うのが好ましい。また、上記のような加熱処理によるプレポリマーの合成は、調製すべき膜形成用組成物の構成成分としての溶媒中で行うものであってもよいし、膜形成用組成物の構成成分とは異なる組成の溶媒中で行うものであってもよい。すなわち、所定の溶媒を用いて重合性化合物を重合させプレポリマーを得た後、当該溶媒を、目的とする膜形成用組成物の構成成分としての溶媒に置換してもよい。重合性化合物が部分的に重合した重合体(プレポリマー)の合成に用いることのできる溶媒(反応溶媒)としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、アセチルアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ペンタノン、2−ヘプタノン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸ペンチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル系溶剤;ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、1,4−ジメトキシベンゼン等のエーテル系溶剤;ベンゼン、トルエン、メシチレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、プロピルベンゼン、ヘプタン、ヘキサン、n−オクタン等の芳香族および脂肪族炭化水素系溶剤;クロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化物系溶剤;N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、膜形成用組成物が重合性化合物Xのプレポリマーを含むものである場合、未反応の重合性化合物Xは精製により除去されている(未反応の重合性化合物Xが可能な限り含まれていない)のが好ましい。これにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜の強度等の諸特性を、より確実に優れたものとすることができる。
膜形成用組成物中における重合性化合物Xの含有率と重合性化合物Xが部分的に重合した重合体(例えば、2つの重合性反応基Bのうち一方の重合性反応基Bのみが重合反応したプレポリマーや、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基のみが重合反応したプレポリマー)の含有率との和は、1.0〜30wt%であるのが好ましい。
上記の説明では、重合性化合物として、芳香環と当該芳香環に直接結合するエチニル基またはビニル基とを有する重合性反応基を備えるもの(重合性化合物X)を用いる場合について代表的に説明したが、本発明において、重合性化合物は、アダマンタン型のかご型構造を含む部分構造と、重合反応に寄与する重合性反応基とを有するものであればよく、上記のような重合性化合物X以外のものであってもよい。例えば、本発明において、重合性化合物は、芳香環を備えていないものであってもよい。また、本発明において、重合性化合物は、重合性反応基として、エチニル基、ビニル基以外の官能基(例えば、エチニル基の水素原子が他の原子または原子団で置換されたものや、ビニル基を構成する水素原子のうち少なくとも1つが他の原子または原子団で置換されたもの等)を備えるものであってもよい。
またエチニル基に置換基を有するものである場合、前記トリメチルシリルアセチレンをプロピン、ブチン、ペンチンなどのようなアルキル基置換アセチレンや、フェニルアセチレントリルアセチレン、ナフチルアセチレン、フルオレニルアセチレンなどのようなアリール基置換アセチレン、さらにはシクロヘキシルアセチレン、アダマンチルアセチレンなどのようなシクロアルキル基置換アセチレンに変え、脱トリメチルシリル化以外の前記工程を行うことで対応する置換エチニル基を有する重合性化合物を得ることができる。
また、重合性化合物が置換ビニル基を有するものである場合、対応する置換ビニル基の合成方法は置換エチニル基に対して同様の前記還元反応を行えばよい。
[2]溶媒
膜形成用組成物は、液状をなすものであり、重合性化合物および/または重合性化合物が部分的に重合した重合体を含むものであればよいが、通常、これらを溶解する溶媒を含むものである。
溶媒の具体例としては、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アニソール等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、溶媒としては、シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンが好ましい。膜形成用組成物を構成する溶媒としては、例えば、重合性化合物の合成や上述した重合体(重合性化合物が部分的に重合したプレポリマー)の合成に用いた溶媒(反応溶媒)等を含むものであってもよい。
膜形成用組成物における溶媒の含有率は、特に限定されないが、70〜99wt%であるのが好ましい。
[3]その他の成分
膜形成用組成物は、上記以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、界面活性剤;シランカップリング剤等のカップリング剤;ラジカル開始剤、ジスルフィド類等の触媒等が挙げられる。
特に、膜形成用組成物は、シランカップリング剤を含むものであるのが好ましい。これにより、膜形成用組成物を用いて形成される膜の部材(膜を形成すべき部材)に対する密着性が向上し、半導体装置の信頼性をより向上することができ、また、半導体装置の生産性も特に優れたものとすることができる。また、従来においては、膜形成用組成物がシランカップリング剤を含むものであると、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生が特に生じやすく、当該膜形成用組成物を用いて形成される膜の信頼性が特に低いものとなるという問題が生じやすかったが、本発明においては、膜形成用組成物がシランカップリング剤を含む場合であっても、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。すなわち、膜形成用組成物がシランカップリング剤を含むものであると、本発明の効果がより顕著に発揮される。
また、膜形成用組成物は、感光剤としてのナフトキノンジアジド化合物等を含むものであってもよい。これにより、膜形成用組成物を、感光性を有する表面保護膜の形成に好適に用いることができる。
なお、本発明では、膜形成用組成物は、熱分解性により発泡し、形成される膜中に空孔を形成する空孔形成材を含まないものであるのが好ましい。従来、膜の誘電率を低下させる目的で空孔形成材が用いられることがあったが、このような空孔形成材を用いた場合、形成される膜の強度が低下したり、膜の各部位での不本意な厚さのばらつき、特性のばらつきを招く等の問題があったが、上述したような重合性化合物さらに、重合性化合物が2つの重合性反応基Bを有し、および/または、重合性反応基Bが2つのエチニル基を有する場合、重合性化合物が部分的に重合した重合体(2つの重合性反応基Bのうち一方の重合性反応基Bのみが重合反応したプレポリマーや、重合性反応基Bが有する2つのエチニル基のうち一方のエチニル基のみが重合反応したプレポリマー)を含むものであるため、空孔形成材を用いなくても、形成される膜の誘電率を十分に低いものとすることができる。そして、空孔形成材を含まないことにより、上記のような問題の発生を確実に防止することができる。
(容器)
次に、本発明の膜形成用組成物入り容器を構成する容器について説明する。
本発明の膜形成用組成物入り容器を構成する容器は、上述したような膜形成用組成物を収納するものである。
上述したように、本発明では、容器の膜形成用組成物を収納する収納部の収納量、すなわち容器に収納された膜形成用組成物量の体積をV[cm]、収納部の内表面積(膜形成用組成物が接触可能な面積)をS[cm]としたとき、S/V≦0.85の関係を満足すればよいが、0.25≦S/V≦0.85の関係を満足するのが好ましく、0.30≦S/V≦0.75の関係を満足するのがより好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮されるとともに、容器が大型化し、輸送が困難になる等の問題の発生を効果的に防止することができ、輸送や保管を好適に行うことができる。
容器の収納部の収納量Vは、特に限定されないが、80〜200000cmであるのが好ましく、400〜18000cmであるのがより好ましく、800〜18000cmであるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
また、容器の収納部の内表面積Sは、特に限定されないが、120〜20000cmであるのが好ましく、300〜4500cmであるのがより好ましく、500〜4500cmであるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果がより顕著に発揮される。
収納部の内表面は、液状の膜形成用組成物に対し、撥液性を示すものであるのが好ましい。これにより、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生をより効果的に防止することができ、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)の品質の安定性を特に優れたものとすることができる。
収納部の内表面は、20℃における水との接触角が、65°以上の材料で構成されたものであるのが好ましく、70°以上の材料で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、上記のような効果がより顕著に発揮される。なお、上記で、接触角の測定に水を用いているのは、膜形成用組成物を構成する溶媒としては、[2]溶媒の項で説明したようなものが好適であるが、これらの溶媒と重合性化合物等を含む本発明に係る膜形成用組成物は、接触角の測定において、水と高い相関性を示すためである。
収納部の内表面の構成材料としては、例えば、フッ素樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等が挙げられるが、中でも、フッ素樹脂、ポリエチレンがより好ましい。これにより、輸送時や保存時等におけるパーティクルの発生をより効果的に防止することができ、膜形成用組成物を用いて形成される膜(絶縁膜)の品質の安定性を特に優れたものとすることができる。
膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物は、そのまま、膜の形成に用いるものであってもよいが、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上に付与するのに先立ち、加熱処理に供されるものであってもよい。これにより、膜形成用組成物を、重合性化合物が部分的に重合した重合体(プレポリマー)を含むものとすることができ、膜形成用組成物の粘度をより確実に好適なものとし、形成される膜の各部位での厚さや特性の不本意なばらつきをより効果的に抑制することができるとともに、最終的に形成される膜の強度を特に優れたものとすることができる。また、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに先立って膜形成用組成物に加熱処理を施すことにより、形成すべき膜が比較的厚いものであっても好適に形成することができる。また、膜を形成すべき部材(例えば、半導体基板)上への膜形成用組成物を付与するのに先立って膜形成用組成物に加熱処理を施すことにより、当該部材上において加える熱量を少なくすることができるため、当該部材への加熱によるダメージをより確実に防止することができる。このような熱処理を施す場合、熱処理の条件としては、加熱温度:40〜190℃、加熱時間:0.5〜11時間であるのが好ましく、加熱温度:60〜180℃、加熱時間:0.5〜9時間であるのがより好ましい。また、上記のような加熱処理は、異なる条件を組み合わせて行ってもよい。例えば、加熱温度:80〜190℃、加熱時間:0.5〜6時間という条件で行う第1の熱処理と、加熱温度:60〜160℃、加熱時間:0.5〜9時間という条件で行う第2の熱処理とを施してもよい。
<絶縁膜>
膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を、半導体基板等の部材上に付与し、これに対し、加熱や活性エネルギー線の照射等の処理(焼成処理)を施すことにより、膜(絶縁膜)が形成される。
上記のような焼成処理を行うことにより、重合性化合物や重合性化合物が部分的に重合したプレポリマーが有する未反応の重合性反応基が重合反応し、重合体(硬化物)で構成された絶縁膜が得られる。前述したように、本発明の膜形成用組成物入り容器では、容器内でのパーティクルの発生が効果的に防止されているため、形成される絶縁膜は信頼性の高いものとなる。また、上記のような化学構造を有する重合体(硬化物)で構成された絶縁膜は、強度、耐熱性等に優れている。また、上記のようにして得られる絶縁膜は、誘電率が低いものである。また、上記のようにして得られる絶縁膜は、各部位での膜厚や特性についての不本意なばらつきが抑制されたものである。このようなことから、上記のような絶縁膜は、半導体装置を構成する絶縁膜として好適に用いることができる。
膜形成用組成物を部材上に付与する方法としては、例えば、スピンナーを用いた回転塗布、スプレーコーターを用いた噴霧塗布、浸漬、印刷、ロールコーティング等による方法が挙げられる。
焼成処理に先立ち、例えば、部材上に付与された膜形成用組成物から溶媒を除去する処理(脱溶媒処理)を施してもよい。このような脱溶媒処理は、例えば、加熱処理、減圧処理などにより行うことができる。
焼成処理は、例えば、処理温度:200〜450℃、処理時間:1〜60分間という条件で行うのが好ましく、処理温度:250〜400℃、処理時間:1〜30分間という条件で行うのがより好ましい。また、焼成工程では、異なる条件の加熱処理を組み合わせて行ってもよい。
また、かかる絶縁膜を、例えば、半導体基板に形成された配線層間を絶縁する層間絶縁膜に適用する場合、この半導体基板が備える配線層間を電気的に接続するビア(導体ポスト)が、前記層間絶縁膜の厚さ方向に貫通するように形成される。そのため、層間絶縁膜は、ビア(導体ポスト)の形状に対応してパターニングされた所定形状をなしている必要がある。
このように所定形状をなす層間絶縁膜は、例えば、次のようにして形成することができる。
図1は、所定形状にパターニングされた層間絶縁膜を形成する方法の一例を示す縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
まず、バリア膜あるいはエッチストパー膜として一般的なSiCN膜2が形成された半導体基板1を用意し、このSiCN膜2上に、層間絶縁膜3、ハードマスク層4およびフォトレジスト層8をこの順で形成する(図1(a)参照。)。
なお、層間絶縁膜3は、本発明の膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用いて上述した方法により形成される。
次に、フォトマスクを用いてフォトレジスト層8を露光・現像することにより、ビア(導体ポスト)または配線溝を形成する位置に開口部を有する形状にパターニングされたフォトレジスト層8を得る(図1(b)参照。)。
次に、処理ガスとしてCFのようなフッ素系ガス等のハードマスク材質のパターニングに一般的に用いられるガスによるリアクティブイオンエッチング法により、フォトレジスト層8をマスクとして用いてハードマスク層4をエッチングすることにより、所定形状をなすハードマスク層4を形成する(図1(c)参照。)。
次に、処理ガスとして有機膜等のエッチングに一般的に用いられる窒素と水素の混合ガス、またはアンモニアガス等を用いたリアクティブイオンエッチング法により、ハードマスク層4をマスクとして用いて層間絶縁膜3をエッチングすることにより、所定形状をなす層間絶縁膜3を形成する(図1(d)参照。)。
以上のようにして所定形状をなす層間絶縁膜3が得られるが、本発明では、上記のような膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用いて形成されているので、パーティクルの存在による信頼性の低下の問題の発生が確実に防止される。また、本実施形態では、層間絶縁膜3が上記のような膜形成用組成物を用いて形成されているので、層間絶縁膜3が高誘電率化してしまうのをより的確に抑制または防止することができ、この膜の特性を確実に維持させることができる。
さらに、絶縁膜は、SiOC、SiCNまたはSiOで構成された部材(例えば、半導体基板、中間膜等)に接触するものであるのが好ましい。これにより、当該部材に対する絶縁膜の密着性等を特に優れたものとすることができる。
絶縁膜の厚さは、特に限定されないが、当該絶縁膜を半導体用層間絶縁膜として用いる場合においては、0.01〜20μmであるのが好ましく、0.02〜10μmであるのがより好ましく、0.03〜0.7μmであるのがさらに好ましい。
また、絶縁膜を半導体用の保護膜として用いる場合においては、当該絶縁膜の厚さは、0.01〜70μmであるのが好ましく、0.05〜50μmであるのがより好ましい。
<半導体装置>
次に、半導体装置について好適な実施の形態に基づいて説明する。
図2は、半導体装置の一例を模式的に示す縦断面図である。
図2に示すように、半導体装置100は、素子が形成された半導体基板1と、半導体基板1の上側(図2上側)に設けられたバリア膜あるいはエッチストパー膜として一般的なSiCN膜2と、SiCN膜2の上に設けられた層間絶縁膜3およびバリアメタル6で覆われた銅配線層7を有している。本実施形態の半導体装置100は、前述した膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用いて形成された膜(絶縁膜)としての、層間絶縁膜3を備えている。
層間絶縁膜3には、配線すべきパターンに対応した凹部が形成されており、その凹部内には銅配線層7が設けられている。
また、層間絶縁膜3と、銅配線層7との間には、改質処理層5が設けられている。
また、層間絶縁膜3の上側(SiCN膜2と反対側面)には、ハードマスク層4が形成されている。
上記のような半導体装置100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
まず、上記絶縁膜で説明した方法を用いて、層間絶縁膜3とハードマスク層4とで構成される絶縁膜の所定の位置に、貫通したビアまたは配線溝が形成された所定形状をなす絶縁膜を形成する。
次に、前記配線溝の内面に、プラズマ処理等により、改質処理層5を形成し、さらにPVD法やCVD法等の方法により、Ta、Ti、TaN、TiN、WN等で構成されるバリアメタル6を形成する。
さらに、電解めっき法等により、配線層となる銅配線層7を形成し、その後、CMP法により配線部以外の銅配線層およびバリアメタルを研磨除去、平坦化することで、半導体装置100を得ることができる。
なお、層間絶縁膜3は、上記の絶縁膜についての説明で述べたような方法により形成することができるが、予め、樹脂膜のドライフィルムを用意し、これを半導体基板1のSiCN膜2の上に積層するように形成することもできる。より具体的には、予め、膜形成用組成物を用いて、部材上に樹脂膜を形成して乾燥し、ドライフィルムを得、このドライフィルムを前記部材から剥離し、これを、上記半導体基板1のSiCN膜2の上に、積層して、加熱および/または放射線を照射することにより、層間絶縁膜3を形成してもよい。
上記のような半導体装置は、上記のような層間絶縁膜(本発明の膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用いて形成された絶縁膜)を備えているため、パーティクルによる悪影響の発生が確実に防止され、信頼性の高いものとなっている。また、本実施形態では、上述したような膜形成用組成物を用いているので寸法精度に優れ、絶縁性を十分に発揮できるので、それにより接続信頼性が特に優れている。
また、上述したような層間絶縁膜は、配線層との密着性に優れるので、半導体装置の接続信頼性をさらに向上できる。
また、上述したような層間絶縁膜は、弾性率に優れているので、半導体装置の配線を形成するプロセス(例えば、焼成工程)に好適に適合することができる。
また、上述したように層間絶縁膜は、配線加工時のエッチングダメージを抑制・または防止することができるため、半導体装置作製時の絶縁膜の特性変化を抑制・防止することができる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、半導体装置の信号損失を低下することができる。
また、上述したような層間絶縁膜は、誘電特性に優れているので、配線遅延を低下することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、上記の説明においては、本発明の膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用いて形成された絶縁膜としての層間絶縁膜3をSiCN膜2の上に形成する例について代表的に説明したが、絶縁膜を形成する位置はこれに限定されない。
また、上述した実施形態では、本発明の膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用いて形成された絶縁膜として層間絶縁膜を備えたものについて代表的に説明したが、本発明の膜形成用組成物入り容器は、層間絶縁膜の形成以外に用いられるものであってもよい。
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
[1]重合性化合物の合成
(合成例1)
まず、1,3−ジメチルアダマンタンを用意し、温度計、撹拌機および還流管を備えた4つ口の2000mLフラスコに、四塩化炭素:700mL、臭素:35g(0.22mol)を入れ、撹拌しながら、用意した1,3−ジメチルアダマンタン:32.9g(0.2mol)を、少量ずつ添加した。添加中、内温は20〜30℃に保った。
添加終了後、温度が上昇しなくなってから、さらに1時間反応させた。
その後、冷水:約2000mLに注いで、粗生成物を濾別し、純水で洗い、乾燥した。
さらに粗生成物を、熱エタノールにより再結晶した。得られた再結晶物を、減圧乾燥することにより、生成物:37.4gを得た。IR分析によりブロモ基の吸収が690〜515cm−1に見られること、質量分析による分子量が322である結果より、生成物が3,5−ジメチル−1,7−ジブロモアダマンタンであることが示された。
次に、フラスコ内で、上記で得た3,5−ジメチル−1,7−ジブロモアダマンタン:33.2g(103.2mmol)および1,3−ジブロモベンゼン:1217g(5161.6mmol)を攪拌し、乾燥窒素下25℃において、臭化アルミニウム(III):24.8g(93.0mmol)を少量ずつ添加した。これを60℃に昇温して8時間攪拌した後、室温に戻し、反応液を得た。5%塩酸水溶液:700mlに、反応液を投入し、攪拌した。水層を除去し、有機層をアセトン:2000mlに投入した。析出物をろ過し、アセトン:1000mlで3回洗浄することにより、3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタン:57gを得た。質量分析による分子量が632である結果より、生成物が3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタンであることが示された。
次に、上記で得られた3,5,−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタン:39.8g(62.9mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム:3.53g(5.0mmol)、トリフェニルホスフィン:6.60g(25.2mmol)、ヨウ化銅(II):4.79g(25.2mmol)、トリエチルアミン:750mlをフラスコに添加し、攪拌した。これを75℃に昇温した後、トリメチルシリルアセチレン:37.1g(377.7mmol)をゆっくり添加した。これを75℃において7時間攪拌した後、120℃に昇温してトリエチルアミンを留去した。その後、室温に戻し、ジクロロメタン:1000mlを反応液に添加し、20分攪拌した。析出物をろ過により除去し、ろ液に5%塩酸水溶液:1000mlを加えて分液した。有機層を水:1000mlで3回洗浄した後、有機層の溶媒を減圧除去した。得られた化合物をヘキサン:1500mlに溶解させた。不溶物をろ過により除去し、ろ液部のヘキサンを減圧除去した。これにアセトン:1000mlを投入し、析出物をアセトンで3回洗浄することにより、3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタン:36.1gを得た。質量分析による分子量が701である結果より、生成物が3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタンであることが示された。
さらに、上記で得られた3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタン:32.3g(46.1mmol)と炭酸カリウム:1.46g(10.6mmol)とを、テトラヒドロフラン:600mlとメタノール:300mlとの混合溶媒中において、窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌させた。これを10%塩酸水溶液:1000mlに投入して、析出物をろ過し、得られた析出物を水:1000mlで洗浄、さらにアセトン:1000mlで洗浄したのち乾燥させることにより、重合性化合物Xとしての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタン:15.0gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):413(M+)
元素分析:理論値(/%)C;93.16、H;6.84、実測値(/%)C;93.11、H;6.82
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物Xとしての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンを実施例にて必要な量得た。
(合成例2〜5)
ジメチルアダマンタンに代えて、テトラメチルビアダマンタン、ヘキサメチルトリアダマンタン、オクタメチルテトラアダマンタン、デカメチルペンタアダマンタンを用意したこと以外は、前記合成例1と同様にして、重合性化合物Xを得た。
なお、合成例1〜5で得られた重合性化合物Xの構造式を下記式(1)に示す。下記式(1)中、nは1〜5の整数を表し、nの数は各合成例の番号に対応する。
Figure 2011192758
なお、上記式(1)中のn=2の重合性化合物X(合成例2)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):574(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.93、H;8.07、実測値(/%)C;91.87、H;8.00
また、上記式(1)n=3の重合性化合物X(合成例3)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):737(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.25、H;8.75、実測値(/%)C;91.21、H;8.77
上記式(1)n=4の重合性化合物X(合成例4)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):899(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.81、H;9.19、実測値(/%)C;90.75、H;9.16
上記式(1)n=5の重合性化合物X(合成例5)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):1062(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.51、H;9.49、実測値(/%)C;90.49、H;9.47
(合成例6)
まず、Journal of Organic Chemistry.,39,2987-3003(1974)に記載の合成法に従って、4,9−ジブロモジアマンタンを合成した。IR分析によりブロモ基の吸収が690〜515cm−1に見られること、質量分析による分子量が346である結果より、生成物が4,9−ジブロモジアマンタンであることが示された。
次に、合成例1での合成中間体としての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタンの合成において、3,5−ジメチル−1,7−ジブロモアダマンタンに代えて4,9−ジブロモジアマンタン:35.7g(103.1mmol)を用いた以外は、前記合成例1と同様な方法で反応させることにより、4,9−ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジアマンタン:56gを得た。質量分析による分子量が656である結果より、生成物が4,9−ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジアマンタンであることが示された。
次に、合成例1での合成中間体としての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタンの合成において、3,5,−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタンに代えて、上記で得られた4,9−ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジアマンタン:41.2g(62.8mmol)を用いた以外は合成例1と同様な反応で反応させることにより、4,9−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)ジアマンタン:35.5gを得た。質量分析による分子量が725である結果より、生成物が4,9−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)ジアマンタンであることが示された。
さらに合成例1での最終生成物としての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンの合成において、3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタンに代えて、上記で得られた4,9−ビス(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)ジアマンタン38.8g(53.5mmol)を用いた以外は合成例1と同様な反応で反応させることにより、重合性化合物Xとしての4,9−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)ジアマンタン:14.3gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が4,9−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)ジアマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):436(M+)
元素分析:理論値(/%)C;93.54、H;6.46、実測値(/%)C;93.46、H;6.38
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物Xとしての4,9−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)ジアマンタンを実施例にて必要な量得た。
(合成例7〜9)
ジブロモジアマンタンに代えて、ジブロモジ(ジアマンタン)、ジブロモトリ(ジアマンタン)、ジブロモテトラ(ジアマンタン)を用意したこと以外は前記合成例6と同様にして、重合性化合物Xを得た。
なお、合成例6〜9で得られた重合性化合物Xの構造式を下記式(4)に示す。下記式(4)中、nは1〜4の整数を表し、nの数は(各合成例の番号−5)に対応する。
Figure 2011192758
なお、上記式(4)n=2の重合性化合物X(合成例7)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):622(M+)
元素分析:理論値(/%)C;92.56、H;7.44、実測値(/%)C;92.53、H;7.41
また、上記式(4)n=3の重合性化合物X(合成例8)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):809(M+)
元素分析:理論値(/%)C;92.03、H;7.97、実測値(/%)C;92.01、H;7.94
上記式(4)n=4の重合性化合物X(合成例9)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):995(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.70、H;8.30、実測値(/%)C;91.67、H;8.28
(合成例10)
まず、温度計、攪拌器および還流管を備えた4つ口の2000mLフラスコに、3,5−ジメチル−1−ブロモアダマンタン:45.5g(187.1mmol)と1,3−ジブロモベンゼン:1217g(5161.6mmol)とを入れて攪拌し、乾燥窒素下25℃において、臭化アルミニウム(III):24.8g(93.0mmol)を少量ずつ添加した。これを60℃に昇温して8時間攪拌した後、室温に戻し、反応液を得た。
次に、5%塩酸水溶液:700mLに、反応液を投入し、攪拌した。水層を除去し、有機層をアセトン:2000mLに投入した。析出物をろ過し、アセトン:1000mLで3回洗浄することにより、3,5,−ジメチル−1−(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタン:51.4gを得た。質量分析による分子量が398である結果より、生成物が3,5,−ジメチル−1−(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタンであることが示された。
次に、上記で得られた3,5,−ジメチル−1−(3,5−ジブロモフェニル)アダマンタン:47.1g(118.4mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム:6.66g(9.5mmol)、トリフェニルホスフィン:179.5g(47.3mmol)、ヨウ化銅(II):248.7g(47.3mmol)、トリエチルアミン:750mLをフラスコに添加し、攪拌した。これを75℃に昇温した後、トリメチルシリルアセチレン:34.9g(355.2mmol)をゆっくり添加した。これを75℃において7時間攪拌した後、120℃に昇温してトリエチルアミンを留去した。その後、室温に戻し、ジクロロメタン:1000mLを反応液に添加し、20分攪拌した。析出物をろ過により除去し、ろ液に5%塩酸水溶液:1000mLを加えて分液した。有機層を水:1000mLで3回洗浄した後、有機層の溶媒を減圧除去した。得られた化合物をヘキサン:1500mLに溶解させた。不純物をろ過により除去し、ろ液部のヘキサンを減圧除去した。これにアセトン:1000mLを投入し、析出物をアセトンで3回洗浄することにより、3,5−ジメチル−1−(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタン:37gを得た。質量分析による分子量が432である結果より、生成物が3,5−ジメチル−1−(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタンであることが示された。
さらに上記で得られた3,5−ジメチル−1−(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)アダマンタン:36g(83.1mmol)および炭酸カリウム:2.7g(19.3mmol)を、テトラヒドロフラン:600mLとメタノール:300mLとの混合溶媒中において、窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌させた。これを10%塩酸水溶液:1000mLに投入して、析出物をろ過し、得られた析出物を水:1000mLで洗浄、さらにアセトン:1000mLで洗浄したのち乾燥させることにより、重合性化合物としての3,5−ジメチル−1−(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタン:19gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が3,5−ジメチル−1−(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):288(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.61、H;8.39、実測値(/%)C;91.59、H;8.37
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物Xとしての3,5−ジメチル−1−(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンを実施例にて必要な量得た。
(合成例11)
ジメチルブロモアダマンタンに代えて、テトラメチルブロモビアダマンタンを用意したこと以外は、前記合成例10と同様にして、重合性化合物Xを得た。
なお、合成例10、11で得られた重合性化合物Xの構造式を下記式(1’)に示す。下記式(1’)中、nは1〜2の整数を表し、nの数は(各合成例の番号−9)に対応する。
Figure 2011192758
なお、上記式(1’)n=2の重合性化合物X(合成例11)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):450(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.61、H;9.39、実測値(/%)C;90.59、H;9.36
(合成例12)
まず、温度計、攪拌器および還流管を備えた4つ口の2000mLフラスコに、4−ブロモジアマンタン:50g(187.1mmol)と1,3−ジブロモベンゼン:1217g(5161.6mmol)とを入れて攪拌し、乾燥窒素下25℃において、臭化アルミニウム(III):24.8g(93.0mmol)を少量ずつ添加した。これを60℃に昇温して8時間攪拌した後、室温に戻し、反応液を得た。
次に、5%塩酸水溶液:700mLに、反応液を投入し、攪拌した。水層を除去し、有機層をアセトン:2000mLに投入した。析出物をろ過し、アセトン:1000mLで3回洗浄することにより、4−(3,5−ジブロモフェニル)ジアマンタン:56gを得た。質量分析による分子量が422である結果より、生成物が4−(3,5−ジブロモフェニル)ジアマンタンであることが示された。
次に、上記で得られた4−(3,5−ジブロモフェニル)ジアマンタン:50g(118.4mmol)、ジクロロビストリフェニルホスフィンパラジウム:6.66g(9.5mmol)、トリフェニルホスフィン:179.5g(47.3mmol)、ヨウ化銅(II):248.7g(47.3mmol)、トリエチルアミン:750mLをフラスコに添加し、攪拌した。これを75℃に昇温した後、トリメチルシリルアセチレン:34.9g(355.2mmol)をゆっくり添加した。これを75℃において7時間攪拌した後、120℃に昇温してトリエチルアミンを留去した。その後、室温に戻し、ジクロロメタン:1000mLを反応液に添加し、20分攪拌した。析出物をろ過により除去し、ろ液に5%塩酸水溶液:1000mLを加えて分液した。有機層を水:1000mLで3回洗浄した後、有機層の溶媒を減圧除去した。得られた化合物をヘキサン:1500mLに溶解させた。不純物をろ過により除去し、ろ液部のヘキサンを減圧除去した。これにアセトン:1000mLを投入し、析出物をアセトンで3回洗浄することにより、4−(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)ジアマンタン:41gを得た。質量分析による分子量が456である結果より、生成物が4−(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)ジアマンタンであることが示された。
さらに上記で得られた4−(3,5−ジトリメチルシリルエチニルフェニル)ジアマンタン:40g(87.6mmol)および炭酸カリウム:2.7g(19.3mmol)を、テトラヒドロフラン:600mLとメタノール:300mLとの混合溶媒中において、窒素雰囲気下、室温で4時間攪拌させた。これを10%塩酸水溶液:1000mLに投入して、析出物をろ過し、得られた析出物を水:1000mLで洗浄、さらにアセトン:1000mLで洗浄したのち乾燥させることにより、重合性化合物としての4−(3,5−ジエチニルフェニル)ジアマンタン:23gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が4−(3,5−ジエチニルフェニル)ジアマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):312(M+)
元素分析:理論値(/%)C;92.26、H;7.74、実測値(/%)C;92.12、H;7.70
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物Xとしての4−(3,5−ジエチニルフェニル)ジアマンタンを実施例にて必要な量得た。
(合成例13)
ブロモジアマンタンに代えて、ブロモビ(ジアマンタン)を用意したこと以外は前記合成例12と同様にして、重合性化合物Xを得た。
なお、合成例12、13で得られた重合性化合物Xの構造式を下記式(4’)に示す。下記式(4’)中、nは1〜2の整数を表し、nの数は(各合成例の番号−11)に対応する。
Figure 2011192758
なお、上記式(4’)n=2の重合性化合物X(合成例13)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):498(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.51、H;8.94、実測値(/%)C;91.49、H;8.46
(合成例14)
5Lナスフラスコに、前記合成例1で得られた3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタン14.4g(34.9mmol)、キノリン67.4g(522mmol)、5%パラジウム−炭酸カルシウム0.37g(0.174mmol)、テトラヒドロフラン(1000mL)及び攪拌子を投入し、水素気流下、室温で攪拌を開始した。水素3.35L(139mmol)が消費された時点で、窒素を導入して反応を停止させた。反応液を濾過後、濾液を減圧留去し、得られた個体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製することで、重合性化合物Xとしての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジビニルフェニル)アダマンタン18.1gを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物が3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジビニルフェニル)アダマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):420(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.37、H;8.63、実測値(/%)C;91.35、H;8.60
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物Xとしての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジビニルフェニル)アダマンタンを実施例にて必要な量得た。
(合成例15〜22)
3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタンに代えて、前記合成例2〜9で得られた重合性化合物を用意した以外は、前記合成例14と同様にして重合性化合物Xを得た。
なお、合成例14〜18で得られた重合性化合物Xの構造式を下記式(5)に、合成例19〜22で得られた重合性化合物Xの構造式を下記式(6)に示す。また、式(5)中、nは1〜5の整数を表し、nの数は(各合成例の番号−13)に対応し、式(6)中、nは1〜4の整数を表し、nの数は(各合成例の番号−18)に対応する。
Figure 2011192758
Figure 2011192758
なお、上記式(5)n=2の重合性化合物X(合成例15)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):582(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.66、H;9.34、実測値(/%)C;90.63、H;9.31
また、上記式(5)n=3の重合性化合物X(合成例16)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):745(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.26、H;9.74、実測値(/%)C;90.24、H;9.70
上記式(5)n=4の重合性化合物X(合成例17)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):907(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.00、H;10.00、実測値(/%)C;89.96、H;9.97
上記式(5)n=5の重合性化合物X(合成例18)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):1069(M+)
元素分析:理論値(/%)C;89.82、H;10.18、実測値(/%)C;89.80、H;10.14
上記式(6)n=1の重合性化合物X(合成例19)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):444(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.84、H;8.16、実測値(/%)C;91.81、H;8.13
上記式(6)n=2の重合性化合物X(合成例20)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):630(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.37、H;8.63、実測値(/%)C;91.32、H;8.61
上記式(6)n=3の重合性化合物X(合成例21)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):817(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.12、H;8.88、実測値(/%)C;91.10、H;8.84
上記式(6)n=4の重合性化合物X(合成例22)の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):1003(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.96、H;9.04、実測値(/%)C;90.93、H;9.01
(合成例23)
ジメチルアダマンタンに代えて、ドデカメチルヘキサアダマンタンを用意したこと以外は、前記合成例1と同様に反応を行い、生成物を得た。
得られた生成物の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):1223(M+)
元素分析:理論値(/%)C;90.28、H;9.72、実測値(/%)C;90.26、H;9.70
これらのデータは、得られた生成物が式(1)のn=6で表される化合物であることを示している。
次に、前記エチニル体を前記合成例14と同様にして重合性化合物Xを得た。
以下に、生成物の外観、質量分析および元素分析の結果を示す。これらのデータは、上記で得られた化合物(重合性化合物X)が式(5)のn=6で表される化合物であることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):1231(M+)
元素分析:理論値(/%)C;89.69、H;10.31、実測値(/%)C;89.66、H;10.29
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物としての式(5)のn=6で表される化合物を実施例にて必要な量得た。
(合成例24)
マクロモルキュールズ( Macromolecules),5266(1991)に記載の合成法に従って、4,9−ジエチニルジアマンタンを合成した。
得られた生成物の外観、質量分析、及び元素分析の結果を示す。これらのデータは、得られた生成物が4,9−ジエチニルジアマンタンであることを示している。
外観:白色固体
MS(FD)(m/z):236(M+)
元素分析:理論値(/%)C;91.47、H;8.53、実測値(/%)C;91.45、H;8.57
上記のような反応を繰り返し行うことにより、重合性化合物としての4,9−ジエチニルジアマンタンを実施例にて必要な量得た。
[2]膜形成用組成物の調製および容器への収納
(実施例1)
上記合成例1で合成された重合性化合物としての3,5−ジメチル−1,7−ビス(3,5−ジエチニルフェニル)アダマンタン:5gを1,3−ジメトキシベンゼン:45gに溶解させ、乾燥窒素下170℃で3時間反応させ、反応液を一旦室温まで冷却した。GPCにより分子量測定を行ったところ、数平均分子量が46,000であった。再び反応液を加熱し、150℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノール/テトラヒドロフラン=3/1の混合溶媒に滴下して沈殿物を集めて乾燥し、2.8gのプレポリマーを得た(収率:56%)。
上記のような反応を繰り返し行うことにより、上記プレポリマーを実施例にて必要な量得た。
その後、得られたプレポリマー:750gおよびシランカップリング剤としての3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン:22.5gをシクロペンタノン:15リットルに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用ワニスとしての膜形成用組成物とした。
上記のようにして得られた膜形成用組成物を、表1に示すような内表面積を有する容器内に、表1に示す収納量を収納し、膜形成用組成物入り容器を得た。
(実施例2〜23)
重合性化合物として、合成例2〜23で合成したものをそれぞれ用い以外は、前記実施例1と同様にして重合反応を行い、プレポリマーを得、さらに、当該プレポリマーを用いて、シクロペンタノンを表1に示す溶媒種とした以外は前記実施例1で述べたのと同様の処理を施すことにより有機絶縁膜用ワニスとしての膜形成用組成物を得た。その後、表1に示すような内表面積を有する容器内に、表1に示す収納量を収納することにより、膜形成用組成物入り容器を得た。
(実施例24)
上記合成例24で合成された重合性化合物としての4,9−ジエチニルジアマンタン:5gを1,3−ジメトキシベンゼン45gに溶解させ、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)ジクロリド0.1gを添加し、乾燥窒素下190℃で6時間反応させ、反応液を、10倍の体積のメタノールに滴下して、沈殿物を生成させ、これを集めて乾燥し、3.0gのプレポリマーを得た(収率:60%)。
上記のような反応を繰り返し行うことにより、上記プレポリマーを実施例にて必要な量得た。
その後、得られたプレポリマー:750gおよびシランカップリング剤としての3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン:22.5gをシクロヘキサノン:15リットルに溶解させ、フィルターでろ過することにより、有機絶縁膜用ワニスとしての膜形成用組成物とした。
上記のようにして得られた膜形成用組成物を、表1に示すような内表面積を有する容器内に、表1に示す収納量を収納し、膜形成用組成物入り容器を得た。
(比較例1)
実施例23と同様の有機絶縁膜用ワニスとしての膜形成用組成物を用い、膜形成用組成物を収納する容器、膜形成用組成物の収納量を、表1に示すような条件のものに変更した以外は、前記実施例23と同様にして膜形成用組成物入り容器を得た。
(比較例2)
実施例24と同様の有機絶縁膜用ワニスとしての膜形成用組成物を用い、膜形成用組成物を収納する容器および膜形成用組成物の収納量を、表1に示すような条件のものに変更した以外は、前記実施例24と同様にして膜形成用組成物入り容器を得た。
表1には、各実施例および各比較例について、容器(収納部)の条件、および、膜形成用組成物の調製に用いた重合性化合物についての芳香環由来の炭素数、重合性反応基由来の炭素数、部分構造由来の炭素数および芳香環由来の炭素の割合を表1に示した。なお、表1中、ポリ四フッ化エチレンを「PTFE」、低密度ポリエチレンを「LDPE」、高密度ポリエチレンを「HDPE」、ポリプロピレンを「PP」、ポリエチレンテレフタレートを「PET」、ステンレス鋼を「SUS」で示した。また、表中、θは、収納部の内表面の20℃における水との接触角を示す。
Figure 2011192758
[3]パーティクルの発生状況の評価
前記各実施例および各比較例の膜形成用組成物入り容器について、振とう機を用いて、振とう数:200回/分、振幅:45mmという条件で6時間の振とう処理を施し、その後、18時間静置した。これを1サイクル(24時間)とし、このサイクルを10回繰り返した。
10サイクル目の処理(10回目の18時間の連続静置)が終わった時点の各サンプルについて、ワニス中のパーティクル測定を、リオン株式会社製、光散乱式液中粒子検出器KS−41を用いて評価した。流量10cm/min、測定サンプル量10cmで0.2μm以上のカウント値を測定した。同一ワニスで前記測定を3回繰返し、平均値を10で除した値を1cmあたりのパーティクル量とした。
[4]絶縁膜の形成(膜付き基板の作製)
上記[3]の処理が施された各膜形成用組成物入り容器内の膜形成用組成物を用い、以下のようにして絶縁膜を形成した。
まず、有機絶縁膜用ワニスとしての膜形成用組成物を、スピンコーターにより、シリコンウエハ上に塗布した。この際、熱処理後の絶縁膜の厚さが、100nmとなるように、スピンコーターの回転数と時間を設定した。
次に、上記のようにして塗膜が設けられたシリコンウエハを、200℃のホットプレート上に1分間置き、塗膜中に含まれる溶媒(シクロペンタノン)を除去した。
その後、乾燥した塗膜が設けられたシリコンウエハについて、400℃のオーブン中で窒素雰囲気下30分間の熱処理(焼成処理)を施すことにより、塗膜を構成するプレポリマーを硬化させ、絶縁膜を形成し、膜付き基板(絶縁膜付き基板)を得た。
[5]絶縁膜(膜付き基板)についての評価
[5.1]外観評価
前記各実施例および各比較例にかかる絶縁膜(膜付き基板)について、その表面の状態を観察し、以下の5段階の基準に従い評価した。
A:ブツの発生がまったく認められない。
B:ブツの発生がほとんど認められない。
C:ブツの発生がわずかに認められる。
D:ブツの発生がはっきりと認められる。
E:ブツの発生が顕著に認められる。
[5.2]誘電率
誘電率は、日本エス・エス・エム(株)製、自動水銀プローブCV測定装置SSM495を用いて評価した。
[5.3]破壊電圧
破壊電圧は、誘電率と同様に、日本エス・エス・エム(株)製、自動水銀プローブCV測定装置SSM495を用いて評価した。
破壊電圧は、1×10−2Aの電流が流れた時に印加した電圧を破壊電圧とし、電界強度(1×10−2Aの電流が流れた時に印加した電圧(MV)を膜厚(cm)で除した値。単位:MV/cm)で示した。
各膜形成用組成物を用い、各10サンプル絶縁膜を形成し、上記評価を行った。これらの結果を、表2に示した。誘電率、破壊電圧については、10サンプル間でのばらつき量(最大値と最小値の差)も示した。
Figure 2011192758
表2から明らかなように、本発明では、優れた結果が得られたのに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
1 半導体基板
2 SiCN膜
3 層間絶縁膜
4 ハードマスク層
5 改質処理層
6 バリアメタル
7 銅配線層
8 フォトレジスト層
100 半導体装置

Claims (12)

  1. 分子内に、アダマンタン型のかご型構造を含む部分構造と、重合反応に寄与する重合性反応基とを有する重合性化合物および/または当該重合性化合物が部分的に重合した重合体を含む液状の膜形成用組成物を容器に収納してなる膜形成用組成物入り容器であって、
    前記容器の前記膜形成用組成物を収納する収納部の収納量をV[cm]、前記収納部の内表面積をS[cm]としたとき、S/V≦0.85の関係を満足することを特徴とする膜形成用組成物入り容器。
  2. 前記重合性化合物の前記重合性反応基は、芳香環と、当該芳香環に直接結合するエチニル基またはビニル基とを有するものであり、
    前記重合性化合物において、前記芳香環由来の炭素の数は、当該重合性化合物全体の炭素の数に対して、15%以上、38%以下である請求項1に記載の膜形成用組成物入り容器。
  3. 前記芳香環は、前記かご型構造に直接結合したものである請求項2に記載の膜形成用組成物入り容器。
  4. 前記重合性反応基は、2つのエチニル基またはビニル基を有し、一方の前記エチニル基または前記ビニル基は、他方の前記エチニル基または前記ビニル基のメタ位に存在するものである請求項2または3に記載の膜形成用組成物入り容器。
  5. 2つの前記エチニル基または前記ビニル基は、いずれも、前記芳香環が前記かご型構造に結合する部位のメタ位に存在するものである請求項4に記載の膜形成用組成物入り容器。
  6. 前記部分構造は、アダマンタン構造を有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
  7. 前記アダマンタン構造は、置換基としてメチル基を有するものである請求項6に記載の膜形成用組成物入り容器。
  8. 前記重合性化合物は、下記式(1)または下記式(5)で示される構造を有するものである請求項7に記載の膜形成用組成物入り容器。
    Figure 2011192758
    [式中、nは1〜5の整数を表す。]
    Figure 2011192758
    [式中、nは1〜5の整数を表す。]
  9. 前記部分構造は、ジアマンタン構造を有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
  10. 前記重合性化合物は、前記重合性反応基を2つ有し、前記部分構造を中心に、当該重合性反応基が対称的に結合した構造をなしているものである請求項1ないし9のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
  11. 前記膜形成用組成物は、シランカップリング剤を含むものである請求項1ないし10のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
  12. 前記収納部の内表面は、20℃における水との接触角が65°以上の材料で構成されたものである請求項1ないし11のいずれかに記載の膜形成用組成物入り容器。
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