従来、電子写真方式の画像形成装置では、消耗品であるトナーを現像装置やプロセスカートリッジに供給する方法として、トナーとキャリアが所定比で混合された現像剤のスタート剤をシール部材で封入した封入容器を現像装置等に内包させ、現像装置等を使用開始する際に、このシール部材をユーザが引き抜いてスタート剤を現像装置等に供給する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
しかし、特許文献1に記載されている画像形成装置では、ユーザが現像剤シール部材142(シール部材)を引き抜き忘れて現像手段10(現像装置等)を画像形成装置にセットし、その状態で現像手段10を駆動させてしまうことが起こり得る。そうすると、現像剤が無いまま現像手段10を駆動させることとなり、濃度センサ等の異常を引き起こすおそれがあるという問題がある(特許文献1の図34等参照)。
また、このシール部材を引き抜き忘れるという問題を解決する方法として、特許文献2には、トナー収納容器31(ハウジング)の外部に、現像剤を封止するトナーシール61(シール部材)を自動で巻き取る巻き取り機構(連動部材62等)を設けたプロセスカートリッジBが開示されている(特許文献2の図1、図5等参照)。
しかし、特許文献2に記載のプロセスカートリッジでは、トナーシール61の巻き取り専用の巻き取り機構をトナー収納容器31の外に設けているため、装置の大型化は避け難いし、巻き取り機構を駆動するギア(第1アイドラギア63,第2アイドラギア64など)などがトナーシール61を巻き取る連動部材62近傍に露出しているため、トナーシール61などに付着していたトナー等が飛散してギアに固着し、動作不良を起こすおそれもあるという問題がある。
そして、装置の大型化を解決するために、特許文献3には、撹拌部材33の撹拌軸33aと同軸の延長部分にシールテープ16d(シール部材)を巻き取る巻き取り機構41を設けて、撹拌部材33の駆動系を巻き取り機構41の駆動に利用し、装置の小型化を実現したプロセスカートリッジBが開示されている(特許文献3の図1、図2参照)。
しかし、特許文献3に記載のプロセスカートリッジでは、巻き取ったシールテープ16dがそのまま残り、撹拌部材33の回転に伴って巻き取ったシールテープ16dが回転し、現像器22の周壁に当接する(ぶつかる)ことで異音や雑音が発生する問題がある。また、巻き取ったシールテープ16dを現像器駆動中回し続けるため、撹拌部材33の回転トルクが増大することや、シールテープ16dが引っ掛かって回転速度にムラが生じたりすることにより、現像剤の撹拌不良による出力画像の画像不良の問題も発生する。
また、この異音等の発生を防止するために、特許文献4には、トナーカートリッジ本体8aの端面から突出する撹拌部材11の駆動軸11aにシール部材70を巻き取るようにし、トナーカートリッジ本体8aの容積減少がなくなり、異音等が発生するおそれもなくなるトナーカートリッジ8及びそれと連結する現像装置4が開示されている(特許文献4の図6等参照)。
しかし、特許文献4に記載のトナーカートリッジでは、トナーカートリッジ本体8aの内壁と巻き取ったシール部材70との当接による異音等は考慮されているものの、巻き取ったシール部材70の端部処理が施されていないので、巻き取ったシール部材70が緩んでトナーカートリッジ外の他の部材に当接して異音等を発生させる問題や、巻き取ったシール部材70が引っ掛かって撹拌部材の回転トルクを増大させる問題、回転速度のムラが発生する問題については解消されていない。そのうえ、トナーカートリッジ本体8a外部に巻き取り軸を設けることで、トナーカートリッジ本体8aの容積減少を防いでいるものの、装置の小型化の要請には反すると共に、前述のトナー飛散等の問題も発生する。
そこで、本発明は、前記従来の現像装置の問題を解決するべく、巻き取り専用の駆動部品を追加せずに装置全体の小型化を図ることができ、装置外へのトナー飛散や駆動ギアなどの駆動部品へのトナー固着の心配がなく、且つ、巻き取ったシール部材がハウジングなどの他の部材に回転しながら当接することによる異音や雑音の問題が発生せず、撹拌部材(撹拌搬送部材)の回転トルク負担を軽減することができ、回転速度にムラが生じない現像装置、及び、それを備えたプロセスカートリッジ、並びに、それらのいずれかを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の現像装置の発明は、現像剤を収容するハウジングと、このハウジングに設けられた現像剤担持体と、前記ハウジングに軸支されて回転することで現像剤を撹拌する撹拌部材と、が備えられ、輸送中の現像剤の移動を封止する短冊状のシール部材が前記ハウジングに貼着されている現像装置において、前記シール部材は、前記ハウジングに貼着された貼着部と、この貼着部と長手方向に連続して貼着されずに折り返す余剰部と、からなり、前記撹拌部材は、現像剤を撹拌する撹拌部材本体と、この撹拌部材本体の回転軸上に延在し、前記余剰部の長手方向の端部が固着されたシール固着部と、を有し、前記ハウジングは、隔壁により、前記撹拌部材本体と現像剤を収容する現像剤収容部と、前記シール固着部を収容する巻き取り部と、に区画されており、前記撹拌部材は、前記シール固着部と前記撹拌部材本体とが分離可能に構成されていることを特徴とする。
請求項2に記載の現像装置の発明は、請求項1に記載の現像装置において、前記巻き取り部には、仕切り部材が設置され、この仕切り部材には、前記シール部材を挿通して前記シール固着部へガイドするガイドスリットが形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の現像装置の発明は、請求項2に記載の現像装置において、前記貼着部の長手方向の端部には、前記ガイドスリットを通過することができないアンカー部材が取り付けられ、前記シール固着部は、前記撹拌部材本体と螺合されており、前記アンカー部材が前記ガイドスリットに当接することで前記シール固着部が回転不能となり、その状態のまま前記撹拌部材が回転することにより前記螺合が解除されて前記シール固着部と撹拌部材本体とが分離することを特徴とする。
請求項4に記載の現像装置の発明は、請求項3に記載の現像装置において、前記ガイドスリットと前記アンカー部材とは、いずれか一方が磁性体、他方が磁石となっていることを特徴とする。
請求項5に記載の現像装置の発明は、現像剤を収容するハウジングと、このハウジングに設けられた現像剤担持体と、前記ハウジングに軸支されて回転することで現像剤を撹拌する撹拌部材と、が備えられ、輸送中の現像剤の移動を封止する短冊状のシール部材が前記ハウジングに貼着されている現像装置において、前記シール部材は、前記ハウジングに貼着された貼着部と、この貼着部と長手方向に連続して貼着されずに折り返す余剰部と、からなり、前記撹拌部材は、現像剤を撹拌する撹拌部材本体と、この撹拌部材本体の回転軸上に延在し、前記余剰部の長手方向の端部が固着されたシール固着部と、を有し、前記ハウジングは、隔壁により、前記撹拌部材本体と現像剤を収容する現像剤収容部と、前記シール固着部を収容する巻き取り部と、に区画されており、前記貼着部の長手方向の端部には、端部材が固着され、前記シール固着部と前記端部材は、いずれか一方が磁性体、他方が磁石となっていることを特徴とする。
請求項6に記載の現像装置の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置において、前記シール固着部には、前記シール部材の巻き取り時の幅方向の移動を規制する規制リブが形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の現像装置の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の現像装置において、前記巻き取り部には、前記シール部材の巻き取り方向を略直角に方向転換するガイド機構が設けられていることを特徴とする。
請求項8に記載の現像装置の発明は、請求項7に記載の現像装置において、前記ガイド機構は、前記撹拌部材の軸方向と直交する方向を長手方向として設置された円柱棒状のガイドビームを有し、このガイドビームには、前記シール部材の巻き取り時の幅方向の移動を規制するガイドリブが形成されていることを特徴とする。
請求項9に記載の現像装置の発明は、請求項7に記載の現像装置において、前記ガイド機構は、前記撹拌部材の軸方向と直交する方向を長手方向として設置された円柱棒状のガイドビームを有し、このガイドビームには、回転自在にガイドコロが嵌着され、このガイドコロには、前記シール部材の幅方向の移動を規制するガイドリブが形成されていることを特徴とする。
請求項10に記載のプロセスカートリッジの発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の現像装置が備えられていることを特徴とする。
請求項11に記載の画像形成装置の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の現像装置又は請求項10に記載のプロセスカートリッジが備えられていることを特徴とする。
この発明は、前記のようであって、請求項1の発明によれば、現像剤を収容するハウジングと、このハウジングに設けられた現像剤担持体と、前記ハウジングに軸支されて回転することで現像剤を撹拌する撹拌部材と、が備えられ、輸送中の現像剤の移動を封止する短冊状のシール部材が前記ハウジングに貼着されている現像装置において、前記シール部材は、前記ハウジングに貼着された貼着部と、この貼着部と長手方向に連続して貼着されずに折り返す余剰部と、からなり、前記撹拌部材は、現像剤を撹拌する撹拌部材本体と、この撹拌部材本体の回転軸上に延在し、前記余剰部の長手方向の端部が固着されたシール固着部と、を有し、前記ハウジングは、隔壁により、前記撹拌部材本体と現像剤を収容する現像剤収容部と、前記シール固着部を収容する巻き取り部と、に区画されており、前記撹拌部材は、前記シール固着部と前記撹拌部材本体とが分離可能に構成されているので、シール部材を撹拌部材のシール固着部に巻き取った後、撹拌部材の搬送部からシール固着部を分離することができ、巻き取ったシール部材が回転し続けることがなく、異音や雑音の問題が発生しない。また、シール固着部を切り離すので、撹拌部材の回転トルクの負担を軽減することができ、回転速度にムラが生じない。そのうえ、巻き取りの駆動装置として撹拌部材の駆動装置を利用するので、新たな駆動装置を追加せずに済み、装置全体の小型化を図ることができる。そして、シール部材をハウジングから引き剥がすピーリング動作を、全てハウジング内で行うため、装置外へのトナー飛散や駆動ギアなどの駆動部品へのトナー固着の心配がない。
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の現像装置において、前記巻き取り部には、仕切り部材が設置され、この仕切り部材には、前記シール部材を挿通して前記シール固着部へガイドするガイドスリットが形成されているので、前記作用効果に加え、ガイドスリットでシール部材を巻き取る際にガイドすることができ、シール部材が乱れるおそれが少なく、シール部材を巻き取る際の撹拌部材の回転トルク負担を軽減することができる。
請求項3の発明によれば、請求項2に記載の現像装置において、前記貼着部の長手方向の端部には、前記ガイドスリットを通過することができないアンカー部材が取り付けられ、前記シール固着部は、前記撹拌部材本体と螺合されており、前記アンカー部材が前記ガイドスリットに当接することで前記シール固着部が回転不能となり、その状態のまま前記撹拌部材が回転することにより前記螺合が解除されて前記シール固着部と前記撹拌部材本体とが分離するので、前記作用効果に加え、簡単な機構により、シール部材を巻き取る際の最後端となる貼着部の長手方向の端部に取り付けたアンカー部材をガイドスリットに当接させてシール固着部の回転を止め、その力で螺合を解除して、シール固着部と撹拌部材本体とを分離することができ、特に、分離する機構や装置を追加する必要がない。
請求項4の発明によれば、請求項3に記載の現像装置において、前記ガイドスリットと前記アンカー部材とは、いずれか一方が磁性体、他方が磁石となっているので、前記作用効果に加え、シール部材の端部をガイドスリットに磁着することができ、シール部材が撹拌部材に絡まるおそれが少なくなり、故障の発生を少なくすることができる。
請求項5の発明によれば、現像剤を収容するハウジングと、このハウジングに設けられた現像剤担持体と、前記ハウジングに軸支されて回転することで現像剤を撹拌する撹拌部材と、が備えられ、輸送中の現像剤の移動を封止する短冊状のシール部材が前記ハウジングに貼着されている現像装置において、前記シール部材は、前記ハウジングに貼着された貼着部と、この貼着部と長手方向に連続して貼着されずに折り返す余剰部と、からなり、前記撹拌部材は、現像剤を撹拌する撹拌部材本体と、この撹拌部材本体の回転軸上に延在し、前記余剰部の長手方向の端部が固着されたシール固着部と、を有し、前記ハウジングは、隔壁により、前記撹拌部材本体と現像剤を収容する現像剤収容部と、前記シール固着部を収容する巻き取り部と、に区画されており、前記貼着部の長手方向の端部には、端部材が固着され、前記シール固着部と前記端部材は、いずれか一方が磁性体、他方が磁石となっているので、シール部材がシール固着部に巻き取られると、その最終端が磁力によりシール固着部に引き寄せられることとなり、巻き取ったシール部材がハウジングの周壁に当接することによる異音等を防止することができる。また、分離する場合と比べると回転トルクは多少増えるものの、巻き取ったシール部材がバタつかないので、撹拌部材の回転トルクの負担を軽減することができ、回転速度にムラが生じない。そのうえ、巻き取りの駆動装置として撹拌部材の駆動装置を利用するので、新たな駆動装置を追加せずに済み、装置全体の小型化を図ることができる。そして、シール部材をハウジングから引き剥がすピーリング動作を、全てハウジング内で行うため、装置外へのトナー飛散や駆動ギアなどの駆動部品へのトナー固着の心配がない。
請求項6の発明によれば、請求項1ないし5のいずれかに記載の現像装置において、前記シール固着部には、前記シール部材の巻き取り時の幅方向の移動を規制する規制リブが形成されているので、前記作用効果に加え、シール部材をスムーズに巻き取ることができ、シール部材巻き取り時に掛かる撹拌部材の回転トルクの負担を軽減することができる。
請求項7の発明によれば、請求項1ないし6のいずれかに記載の現像装置において、前記巻き取り部には、前記シール部材の巻き取り方向を略直角に方向転換するガイド機構が設けられているので、前記作用効果に加え、シール部材をスムーズに巻き取ることができ、シール部材巻き取り時に掛かる撹拌部材の回転トルクの負担を軽減することができる。
請求項8の発明によれば、請求項7に記載の現像装置において、前記ガイド機構は、前記撹拌部材の軸方向と直交する方向を長手方向として設置された円柱棒状のガイドビームを有し、このガイドビームには、前記シール部材の巻き取り時の幅方向の移動を規制するガイドリブが形成されているので、前記作用効果に加え、更にシール部材をスムーズに巻き取ることができ、シール部材巻き取り時に掛かる撹拌部材の回転トルクの負担を軽減することができる。
請求項9の発明によれば、請求項7に記載の現像装置において、前記ガイド機構は、前記撹拌部材の軸方向と直交する方向を長手方向として設置された円柱棒状のガイドビームを有し、このガイドビームには、回転自在にガイドコロが嵌着され、このガイドコロには、前記シール部材の幅方向の移動を規制するガイドリブが形成されているので、前記作用効果に加え、更にシール部材をスムーズに巻き取ることができ、シール部材巻き取り時に掛かる撹拌部材の回転トルクの負担を軽減することができる。
請求項10の発明によれば、プロセスカートリッジに請求項1ないし9のいずれかに記載の現像装置が備えられているので、プロセスカートリッジにおいて前記作用効果を奏することができる。
請求項11の発明によれば、画像形成装置に請求項1ないし9のいずれかに記載の現像装置又は請求項10に記載のプロセスカートリッジが備えられているので、画像形成装置において前記作用効果を奏することができる。
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態について説明する。
[画像形成装置]
先ず、図1を用いて本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成について説明する。図中の符号1は、本発明の画像形成装置の一実施の形態として例示する4連タンデム型中間転写方式の画像形成装置であり、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のトナーからフルカラーの画像を形成可能なカラーレーザ複写機である。この複写機1は、画像形成装置の主要部であるプリンタ部100と、このプリンタ部100の下方に配置され、プリンタ部100を載置すると共に給紙装置としての機能を有する給紙部200と、プリンタ部100の上方に配置され、原稿を走査して読み込むスキャナ機能を有するスキャナ部300と、スキャナ部300の上方に開閉自在に取り付けられ、原稿をスキャナ部に自動搬送する自動搬送部400などから構成されている。
プリンタ部100は、後述の感光体ドラムY,M,C,K上に静電潜像を書き込む露光部2と、露光部2で作像した静電潜像をトナー像に現像する作像部3と、現像したトナー像をシート材に転写する転写部4と、転写したトナー像をシート材に定着する定着部5などから構成されている。
露光部2には、半導体レーザ(LD)や発光ダイオード(LED)などの図示しないレーザ光源や回転駆動可能なポリゴンミラー、fθレンズなどを有し、レーザ光源で発するレーザ光をポリゴンミラー、fθレンズなどで偏向・集光・走査して後述の感光体ドラムY,M,C,Kに照射し、一様に所定の極性に帯電させた感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面を露光して帯電レベルを減衰させて、静電潜像を形成する露光装置20が備えられている。
作像部3には、潜像担持体としてドラム形状の感光体である4つの感光体ドラムY,M,C,Kを中心とする前記4色のトナーに対応する4つのプロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kが備えられており、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kでは、収容するイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各トナーを使用して、それぞれ単色のトナー像が形成される。各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kは、感光体ドラムY,M,C,Kを一様に帯電させて初期化する帯電装置、感光体ドラムY,M,C,K外周表面上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置、1次転写後も感光体ドラム上に付着残留する付着トナーをクリーニングする感光体ドラムクリーニング装置、感光体ドラムY,M,C,K表面を除電する除電装置などから構成され、これらの装置が作像ユニットとして一体となって、画像形成装置本体から脱着可能となっている。なお、現像装置については、後で詳述する。
転写部4は、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kで形成した感光体ドラムY,M,C,K上の各色のトナー像を後述の中間転写ベルト40に重畳転写する中間転写ユニット41と、この中間転写ユニット41下方に設けられ、中間転写ベルト40上に形成した重畳トナー像をシート材に転写する2次転写装置42などから構成されている。この中間転写ユニット41は、中間転写体として半導電性の樹脂を基体として離型層などが設けられた多層構造の無端ベルトからなる中間転写ベルト40と、この中間転写ベルト40を支持・張架する3つの支持ローラ43,44,45と、前記4つの感光体ドラムY,M,C,Kとそれぞれ中間転写ベルト40を挟んで対向する4つの1次転写ローラ46などから構成されている。
この支持ローラ43は、駆動手段として図示しない駆動モータの駆動力が伝達可能に構成され、中間転写ベルト40を図の矢印方向に回転駆動する駆動ローラ43となっており、その他の支持ローラ44,45が、従動ローラとなっている。勿論、支持ローラのいずれか1つが駆動ローラとなっていればよく、図示する形態に限られないのは云うまでもない。
各1次転写ローラ46は、空隙放電を考慮し、各感光体ドラムY,M,C,Kと中間転写ベルト40を挟んで当接する正対位置から中間転写ベルト40の移動方向下流側へ少しずらした位置に配設され、図示しないバイアス電源に接続されている接触方式の転写バイアス(転写電圧)印加手段である。これらの1次転写ローラ46は、図示しない接離機構により中間転写ベルト40の内周面と接離可能に構成されており、この接離機構に押圧されて各感光体ドラムY,M,C,Kへ圧接されることによりそれぞれ1次転写ニップを形成し、これらの各1次転写ニップにおいて各感光体ドラム上のトナー像と逆極性の1次転写バイアスが印加されて転写電界が形成され、クーロン力によりトナー像を引き寄せて各感光体ドラムから中間転写ベルト40の外周表面にトナー像を転写する仕組みとなっている。
2次転写装置42は、支持ローラ44をバックアップローラとして支持ローラ44の外周において中間転写ベルト40に圧接されて2次転写ニップが形成され、図示しないバイアス電源に接続されており、トナー像と逆極性の2次転写バイアスを2次転写ニップに印加する接触印加方式の転写バイアス印加手段となっている。なお、本実施例では、転写バイアス印加手段として、転写チリの発生が少ない接触印加方式のものを採用したが、転写チャージャを用いた非接触方式のものでも構わない。
また、駆動ローラ43と中間転写ベルト40を挟んで対向する位置にクリーニングユニット47が設けられており、このクリーニングユニット47は、中間転写ベルト40の外周表面に付着した転写残トナーをクリーニングブレードで掻き取って回収し、ファーブラシ等で離型剤を塗布するクリーニング装置であり、回収した転写残トナーは、クリーニングユニット47内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送され、廃棄される。
定着部5は、無端状ベルトからなる定着ベルト50と、この定着ベルト50と図示しない付勢手段により付勢されて圧接する加圧ローラ51などから構成され、この定着ベルト50は、定着ベルト50を回転駆動する駆動ローラである定着ローラと、内部にハロゲンヒータからなる加熱手段を有して定着ベルト50を加熱する加熱ローラと、に張架され、定着ベルト50と加圧ローラ51とが定着ローラ外周で圧接されて密着し、定着ニップが形成される。そして、この定着ニップにおいて、搬送されてきたシート材に熱と圧力が加えられ、転写部4で転写されたトナー像がシート材に定着される。
給紙部200には、内部に所定の大きさの複数枚のシート材を束の状態で収容可能な給紙カセット60が、鉛直方向に複数重なるように配設されている。それぞれの給紙カセット60は、シート材の上部に給紙ローラ61が弾接し、給紙ローラ61を回転させることにより、一番上のシート材が用紙搬送路Rに向けて送り出される仕組みとなっている。この用紙搬送路Rには、複数の搬送ローラ対62が設けられ、その末端付近となる2次転写ニップ直前にレジストローラ対63が設けられている。
スキャナ部300は、原稿を載置する透明なコンタクトガラス70と、このコンタクトガラス70を通して原稿を読み取る光学読取装置71などから主に構成され、この光学読取装置71は、移動する露光ランプなどの光源、この光源と共に移動するミラーなどの移動光学系を有し、光源から原稿に光を照射し、反射光をミラー、結像レンズなどを介してCCDなどの画像読取素子に結像させて画像を読み取る画像読取装置となっており、読み取った画像情報を電気信号に変換して図示しない書き込み用の制御手段へ送信する。
自動搬送部400は、複写機本体に対してコンタクトガラス70を露出可能に開閉し、載置台80にセットした原稿をコンタクトガラス70上に自動搬送する自動原稿搬送装置としての機能を有し、自動搬送された原稿は、スキャナ部300の光学読取装置71により自動で読み取られるようになっている。
(画像形成動作)
次に、図1を用いて複写機1の画像形成動作について説明する。
先ず、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kにおいて、帯電装置により感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面が均一に所定の極性に帯電され、露光部2から画像情報に基いてレーザ光が照射され、一様に帯電された感光体ドラムY,M,C,Kの表面電位が照射された部分だけ低下することにより感光体ドラムに静電潜像が形成される。そして、後述の現像装置30Yで静電潜像がトナー像化(現像)され、このトナー像は、感光体ドラムの回転に伴って1次転写ニップに移動して行き、そこで、1次転写ローラ46から1次転写バイアスが印加され、クーロン力により中間転写ベルト40表面へトナー像が移動して転写される。また、1次転写後も感光体ドラムY,M,C,Kの外周表面に付着する1次転写残トナーが、クリーニング装置でクリーニングされ、再度の画像形成に備えられる。
各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3Kで形成された単色トナー像は、中間転写ベルト40の回転のタイミングに合わせてイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの順番で1次転写が行われ中間転写ベルト40上に重畳されて行き、フルカラーのトナー像が形成される。
一方、給紙部200から搬送されてきたシート材がレジストローラ対63により転写とのタイミングが調整されて2次転写ニップに送られる。そこで、2次転写装置42により2次転写バイアスが印加され、静電引力により中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー像がシート材上に転写される。次に、この未定着のトナー像を表面に担持したシート材が定着部5の定着ニップに送られ、熱と圧力が加えられて定着される。また、2次転写後の中間転写ベルト40の表面に転写後も付着する転写残トナーは、クリーニングユニット47により除去され、再度の画像形成動作に備えられる。そして、クリーニングユニット47で除去された転写残トナーは、図示しない廃トナータンクなどに運ばれ廃棄される。
[現像装置]
次に、図2〜図6を用いて本発明の実施例1に係る現像装置について説明する。
なお、各プロセスカートリッジ3Y,3M,3C,3K(図1参照)に設けられた現像装置は、使用するトナーの色が相違するだけで略同じ構成のため、イエロー色のプロセスカートリッジ3Yに設けられた現像装置30Yを例に挙げて説明し、他の構成は、説明を省略する。
現像装置30Yは、粉体状のトナーと磁性キャリアが所定の割合で混合されたプレミックスの2成分現像剤を2本の撹拌搬送部材で撹拌しながら搬送・循環する2軸搬送方式の現像装置である。図2に示すように、この現像装置30Yは、2成分現像剤を収容する装置全体のケーシングである現像ハウジング31Yと、この現像ハウジング31Yに軸支され、現像剤を磁力により担持して回転することで感光体ドラム(Y)上の静電潜像にトナーを供給する現像剤担持体としての現像ローラ32Yと、撹拌搬送部材として軸方向に沿って互いに逆方向に現像剤を搬送する2本の撹拌搬送スクリュー33Y,34Yと、現像ローラ32Y外周表面に所定間隔の間隙を介して突設され、その先端で現像ローラ32Yに担持される現像剤の層厚を規制する層厚規制部材としてのドクタブレード35Yと、2成分現像剤のトナー濃度を検知する濃度検知手段である図示しない濃度センサなど、から主に構成されている。
また、現像ハウジング31Yには、PET樹脂(ポリエチレン テレフタレート樹脂)などの高分子フィルムからなる短冊状の封止シールSが、熱可塑性樹脂などのホットシール材を介して熱溶着されており、この封止シールSにより、出荷時の輸送中における現像剤の移動が拘束され、収容する現像剤が現像ハウジング31Yの開口部から漏れないように封止されている。なお、現像ハウジング31Yへの封止シールSの貼着手段は、熱溶着に限られず超音波融着などの他の公知手段であっても構わない。
この封止シールSは、図4に示すように、現像ハウジング31Yの後述の第2の搬送路31Ybの上部に貼着された貼着部S1と、この貼着部S1と長手方向に連続して形成され、引き剥がし易いように貼着されずに図4の右端から折り返す余剰部S2と、からなり、貼着部S1の長手方向の端部には、永久磁石からなる円柱状のアンカー部材Anが固着され、余剰部S2の長手方向の端部は、後述の撹拌搬送スクリュー33Yのシール固着部33Ydに固着されている。
現像ハウジング31Yは、図2及び図3に示すように、後述の撹拌搬送スクリュー33Y,34Yの本体部分と現像剤を収容すると共に、現像剤を撹拌しながら搬送するスペースである現像剤収容部(31Ya,31Yb)と、撹拌搬送スクリュー33Y,34Yの後述のシール固着部(33Yd)を収容し、封止シールSを巻き取るスペースである巻き取り部31Ycとに、隔壁31Ydで区画されている。そして、現像剤収容部は、現像ローラ32Y側となり、撹拌搬送スクリュー33Yを収容する第1の搬送路31Yaと、図示しないトナー供給口が設けられ、撹拌搬送スクリュー34Yを収容する第2の搬送路31Ybとに、隔壁31Yeで更に区画されている。また、この隔壁31Yeの長手方向の両端付近には、第1の搬送路31Yaと第2の搬送路31Ybとを連通する2つの開口31Yf,31Ygが形成され、現像剤が両通路間を循環可能となっている。
現像ローラ32Yは、現像ハウジング31Yに対して固定され、複数の磁極が埋め込まれた円柱状の永久磁石であるマグネットローラMYと、このマグネットローラMYの外側に嵌め込まれ、図示しない駆動手段により図の矢印方向に回転する円筒状の金属製スリーブからなる現像スリーブSYと、から主に構成されている。この現像ローラ32Yは、現像ハウジング31Yの開口部から一部露出して感光体ドラム(Y)と近接対向配置されており、マグネットローラMYの磁力で磁性キャリアを引き付けて、現像スリーブSYの外周表面に現像剤を担持し、そのまま現像ローラ32Yを回転させることにより感光体ドラム(Y)と近接する現像領域に現像剤を搬送して、感光体ドラム(Y)の外周表面に担持された静電潜像にトナーを供給する機能を有している。
撹拌搬送スクリュー33Y,34Yは、本体部分となるスクリュー本体33Ya,34Yaを有し、このスクリュー本体33Ya,34Yaは、それぞれ回転軸33Yb,34Ybとスクリュー33Yc,34Ycとからなり、図示しない駆動手段の駆動力が駆動ギアで伝達されて図2の矢印方向に回転し、軸方向(図3の矢印方向)に沿ってスクリュー33Yc,34Ycで互いに反対方向に撹拌しながら搬送する撹拌部材と搬送部材の機能を併せ持っている。また、撹拌搬送スクリュー33Yの回転軸33Ybに延在する位置には、シール固着部33Ydが螺着され、このシール固着部33Ydには、封止シールSの長手方向の一端が固着されており、撹拌搬送スクリュー33Yを回転させることにより、封止シールSをシール固着部33Ydに巻き取れるようになっている。
なお、この封止シールSの巻き取り動作については、後で詳述する。
(現像動作)
次に、図2及び図3を用いて、現像装置の現像動作について説明する。
先ず、現像剤は、撹拌搬送スクリュー33Yの回転に伴って撹拌・帯電されながらスクリュー33Ycで押圧されて第1の搬送路31Yaを図3の矢印方向に搬送され、開口31Yfに達して方向転換し、撹拌搬送スクリュー34Yで同様に第2の搬送路31Ybを図3の矢印方向に搬送されて行く。そして、現像剤は、第2の搬送路31Ybを搬送されて行く間に、現像ローラ32YのマグネットローラMYの磁力により現像スリーブSYの外周表面に汲み上げられて行く。そして、現像スリーブSYに担持された現像剤は、ドクタブレード35Yの先端で堰き止められて、層厚が規制され、現像ローラ32Yと感光体ドラム(Y)とが近接対向する現像領域で現像バイアスが印加され、クーロン力によりトナーだけが感光体ドラム上の静電潜像に転移する。転移されずに現像ローラ32Yに担持されたままのトナーや磁性キャリアは、現像スリーブSYの回動に伴い、マグネットローラMYの磁界が発生しない領域に達することにより第2の搬送路31Ybに落下して回収される。そして、開口31Ygを通過して再び第1の搬送路31Yaに戻り、トナー供給口からトナーが供給・補充されて循環することとなる。
(ガイド機構)
次に、図4〜図6を用いて、実施例1に係る現像装置のガイド機構について説明する。なお、図6の斜視図は、仕切り部材W1を図示するとシール固着部33Ydが図示できなくなるので、仕切り部材W1を省略し、架空線を示す一点鎖線でガイドスリットWSのみを示している。
図4〜6に示すように、前述の現像ハウジング31Yの封止シールSを巻き取るスペースである巻き取り部31Ycには、封止シールSの巻き取り方向を略直角に方向転換しつつ封止シールSを撹拌搬送スクリュー33Yのシール固着部33Ydにスムーズに巻き取れるようにガイドするガイド機構Gが設けられている。このガイド機構Gは、撹拌部材であるの撹拌搬送スクリュー34Yの回転軸34Ybと直交する方向を長手方向として設置された円柱棒状のガイドビームGB1と、このガイドビームGB1と直交する方向を長手方向として設置された同じく円柱棒状のガイドビームGB2と、これらガイドビームGB1,GB2とシール固着部33Ydとを上下に区画する仕切り部材W1に設けられ、封止シールSを挿通してシール固着部33YdへガイドするガイドスリットWSなどから構成されている。
ガイドビームGB1は、その外周面の下端が、封止シールSが貼着された高さと略同位置かやや上方に水平に懸架され、ガイドビームGB2は、このガイドビームGB1と同位置か、それよりやや上方に水平に懸架されており、ガイドビームGB1の外周面の下端とガイドビームGB2の外周面の上端に摺接させて封止シールSを挿通し、円柱棒状の外周面で封止シールSを滑らかにガイドしつつ、ガイドビームGB1とガイドビームGB2とが直交した「ねじれの位置」に配置することにより、巻き取り方向を略直角に方向転換できるように構成されている。
仕切り部材W1は、ガイドスリットWSを設けるために設置された仕切りであり、少なくともガイドスリットWSの周辺には、永久磁石にくっ付く鉄・ニッケル・コバルトやこれらの合金などの強磁性体が設置され、シール固着部33Ydに封止シールSを巻き取る際に、封止シールSのバタつきを防いでスムーズに巻き取れるようにガイドすると共に、封止シールSを巻き取る際の最後端となる貼着部S1の長手方向の端部に固着された永久磁石からなるアンカー部材Anが、このガイドスリットWSの強磁性体に磁着して巻き取った封止シールSが他の部位に巻き付かないように仕切る機能を有している。
なお、図6等に示すように、ガイドビームGB1,GB2の封止シールSが摺接する部位、又はシール固着部33Ydの封止シールSを巻き取る部位には、封止シールSの巻き取り時の幅方向の移動を規制する規制リブであるガイドリブが設けられていると、封止シールSを巻き取る際に封止シールSが乱れないので好ましい。また、ガイドビームGB1,GB2の封止シールSが摺接する部位には、円柱棒状のガイドビームの外側にベアリングなどを介して嵌着されて回転自在なガイドコロを設けると、封止シールSを巻き取る際に撹拌搬送スクリュー33Yの駆動機構に掛かる負荷が軽減されてより好ましい。
以上のように、仕切り部材W1を水平に設置し、2つのガイドビームを有するガイド機構Gを実施例として説明したが、仕切り部材W1を鉛直方向に設置し、ガイドスリットWSの開口縁をガイドビームGB2の代わりに利用してガイドビームGB2を省略することもできる。その場合、封止シールSの摺接負荷は、多少増加するが、ガイド機構Gの構成を簡略化することができる。
(ピーリング動作)
次に、図6を用いて、実施例1に係る現像装置のシール部材を巻き取るピーリング動作について説明する。図に示すように、撹拌搬送スクリュー33Yは、スクリュー本体33Ya側にネジ山となる雄ネジが、シール固着部33Yd側にネジ溝となる雌ネジが形成されており、スクリュー本体33Yaの回転軸33Ycにシール固着部33Ydが螺合結合されている。このネジは、通常のネジとは、逆方向の逆ネジが切られており、図の矢印方向に回すと緩むようになっている。
また、前述のように、シール部材である封止シールSの余剰部S2の長手方向の端部が、撹拌搬送スクリュー33Yのシール固着部33Ydに固着され、もう一方の端部である貼着部S1の長手方向の端部には、アンカー部材Anが取り付けられており、このアンカー部材Anの厚みは、前述のガイドスリットWSを通過できない厚さに設定されている。
実施例1に係る現像装置30Yが工場から出荷される際は、輸送中に現像剤が現像ローラの周囲の開口から漏れ出さないように、封止シールSが現像ハウジング31Yに貼着されているが、現像装置30Yが前述のような画像形成装置にセットされ、初めて使用されるときには、余剰部S2の端部がシール固着部33Ydに固着されているので、撹拌搬送スクリュー33Yを図の矢印方向に回転させることにより、シール固着部33Ydに封止シールSを巻き取り始めることができる。このとき、画像形成装置にセットされた現像装置が新品か否かの検知は、別途図示しない新品検知手段を設けるとよい。
余剰部S2の端部から封止シールSがシール固着部33Ydに巻き取られて行くと、最後端となる貼着部S1の端部にはガイドスリットWSを通過できない厚さのアンカー部材Anが取り付けられているので、アンカー部材AnがガイドスリットWSに当接することにより、封止シールSのシール固着部33Ydへの巻き取りがストップする。その状態のまま、撹拌搬送スクリュー33Yの回転を続けると、螺合していたスクリュー本体33Yaとシール固着部33Ydとの結合部が緩み出し、最終的には、スクリュー本体33Yaからシール固着部33Ydが分離する。
このとき、撹拌搬送スクリュー33Yの回転トルクは、一時的には増加するので、封止シールSを撹拌搬送スクリュー33Yで巻き始めるイニシャルトルクにより、シール固着部33Ydとスクリュー本体33Yaとの螺合部分が緩まないようにする必要がある。本実施例では、ガイド機構Gやガイドリブにより封止シールSを巻き取る際の摺接摩擦を軽減する手段を設けることにより、螺合部分が緩まないようにしている。
以上のように、実施例1に係る現像装置30Yによれば、輸送中に現像剤が現像ローラの周囲の開口から漏れ出さないように封止していた封止シールSを撹拌搬送スクリュー33Yのシール固着部33Ydに巻き取って、巻き取りが完了した後は、シール固着部33Ydをスクリュー本体33Yaから分離することができるので、巻き取った封止シールSが回転し続けてパタパタと異音を発生させることがない。また、撹拌部材である撹拌搬送スクリュー33Yの回転トルクの負担を軽減することができ、回転速度にムラが生じない。そのうえ、巻き取りの駆動装置として撹拌部材の駆動装置を利用するので、巻き取り専用の機構や新たな駆動装置を追加せずに済み、装置全体の小型化を図ることができる。そして、封止シールSを現像ハウジング31Yから引き剥がすピーリング動作を、全て現像ハウジング31Yの巻き取り部31Ycで行うため、装置外へのトナー飛散や駆動ギアなどの駆動部品へのトナー固着の心配がない。
また、永久磁石からなるアンカー部材Anと、強磁性体を有するガイドスリットWSとが磁着して固定されるので、巻き取った後の封止シールSが撹拌搬送スクリュー34Yの回転軸34Ybなどに巻き付くおそれが少なく、現像装置を交換する際にカタカタと異音を発生させることもない。勿論、アンカー部材AnがガイドスリットWSに磁着する構成であればよく、永久磁石と強磁性体が入れ替わっていてもよい。但し、アンカー部材AnがガイドスリットWSに磁力により固定される構成は、本発明の必須要件ではなく、ガイドスリットWSにアンカー部材Anが当接してシール固着部33Ydの回転が止まり、螺合部分が緩んでスクリュー本体33Yaからシール固着部33Ydが分離する構成であればよいことは云うまでもない。その場合は、現像装置を交換するため画像形成装置から取り出して揺らした時にカタカタと音を立てることで封止シールが開封されたか否かが分り得る。
次に、図7及び図8を用いて本発明の実施例2に係る現像装置について説明する。実施例1に係る現像装置と相違する点は、以下の3つの相違点だけであるので、同一構成は同一符号を付して説明を省略し、相違点についてのみ説明する。
図7及び図8に示すように、実施例1に係る現像装置30Yとの相違点1は、巻き取り部31Ycには、前述の仕切り部材W1が設置されておらず、当然、ガイドスリットWSも形成されていない点であり、相違点2は、シール固着部33Yd’がスクリュー本体33Yaに螺着されているのではなく、スクリュー本体33Yaの回転軸33Ybと一体となっており、分離できない構成である点であり、相違点3は、実施例1のアンカー部材Anの形状とは相違し、実施例2の端部材An’は、円柱状ではなく薄い直方体状(短冊状)の永久磁石となっており、シール固着部33Yd’の図8の斜線部で示す部分には、少なくとも永久磁石にくっ付く鉄・ニッケル・コバルトやこれらの合金などの強磁性体が設けられている点である。
このため、実施例2に係る現像装置30Y’によれば、実施例1に係る現像装置と相違し、封止シールSを巻き取った後もシール固着部33Yd’を分離しないので、撹拌搬送スクリュー33Yを回転させるときは、常に封止シールSが巻き付いたシール固着部33Yd’も回転させることとなるため、実施例1に係る現像装置と比べると回転トルクは多少増えるものの、封止シールSの最終端に取り付けられた端部材An’が、磁力によりシール固着部33Yd’に固定されるので、巻き取った封止シールSがバタつかず、撹拌搬送スクリュー33Yの回転トルクの負担を軽減することができ、回転速度にムラが生じない。なお、当然、端部材An’がシール固着部33Yd’に磁着する構成であればよく、永久磁石と強磁性体が入れ替わっていてもよい。
そのうえ、実施例2に係る現像装置では、実施例1に係る現像装置で必須要件であった仕切り部材W1及びガイドスリットWSが不要となり、ガイド機構Gや現像ハウジング31Yを簡略化することができると共に、封止シールSの巻き取りルートのレイアウトの自由度も高まる。
なお、この発明の実施の形態に係る画像形成装置として、4連タンデム型の中間転写方式の複写機を例に挙げて説明したが、必ずしもこのようなものに限られず、ハウジングと現像剤を撹拌する撹拌部材を備え、輸送中の現像剤の移動を封止する短冊状のシール部材がハウジングに貼着されている現像装置、及びそれを備えた画像形成装置には、本発明を適用することができる。特に、シール部材である封止シールSを現像ハウジング31Yに貼着する場所を第2の搬送路31Ybに貼着する場合で説明したが、トナー供給口から現像剤が現像ハウジング31Yに入ってこないように封止するために、シール部材が第1の搬送路31Yaに貼着されている場合も適用できる。
そして、実施の形態の説明におけるプリンタ部100、給紙部200、スキャナ部300、自動搬送部400などは、あくまでも一例を示したものであって、他の公知の装置・手段などの構成を採用することができる。その場合でも、前記課題に対して同様の作用効果を奏することは明らかである。また、図面で示した各構成部材の形状や構造等も、あくまでも好ましい一例を示すものであり、特許請求の範囲内で適宜設計変更可能であることは云うまでもない。