以下に、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置(以下、単にプリンタ装置で示す)の外観を説明する図である。
図1に示される、本発明の一実施形態に係るプリンタ装置1には、プリンタ装置1の稼動状態を示すLEDランプ2、プリンタ装置1を操作するための操作ボタン3、プリンタ装置1の状態を表示するディスプレー4、印刷物を排紙する排紙(フェイスダウン)5、及びプリンタ装置1の電源のオン及びオフを制御するメインスイッチ6が示されている。
図2は、本発明の一実施形態に係るプリンタ装置1の典型的な内部構成と、外部接続とを表すブロック図である。プリンタ装置1は、電源(例えば、ここではAC100V電源)と接続された主電源ユニット(MPS: Main Power Source)7を含み、主電源ユニットは電源からの電力を、プリンタ装置1に備えられた、例えば、IFCONT(インターフェース制御部)8、PRCONT(エンジン制御部)9やMDCONT(モータ制御部)10などの各部へと供給する。
IFCONT8は、例えば、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、及びUSB接続などを介して、例えば、インターネット及びホスト機器11などと接続される。IFCONT8は、ホスト機器(例えば、パーソナルコンピュータ)11から送られてくる印刷データを受信し、この受信した印刷データに基づいて、現像器12の印刷色毎に対応する画像データ(ビットマップデータ/ドット画像データ)をメモリに展開する。また、印刷データに含まれるコマンドをPRCONT9に送信する。IFCONT8はまた、オペレーションパネル部(操作部)13から入力されるコマンドも受信し、コマンドをPRCONT9に出力する。
PRCONT9は、MDCONT10やIFCONT8と接続されている。PRCONT9は、IFCONT8などから供給されるコマンドと、メモリに展開した画像データに基づいて、色(例えば、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)ブラック(K))毎に、印刷指令をヘッド14へと出力する。また、PRCONT9は、HVU15や給紙ユニット16へも制御信号を出力する。
MDCONT10は、例えば、駆動ユニット17やベルトユニット18等に備えられたモータなどの駆動部を制御する。オペレーションパネル13には操作画面や、プリンタ装置1のステータス情報などが表示される。ヘッド14は、例えば、ELやLEDなどの発光素子をアレイ状に並べたものを含み、印刷指令に基付いて感光体を露光する露光ユニットとして機能する。ベルトユニット18は記録色毎に設けられた複数の感光体上に形成されたトナー像が転写され画像合成される中間転写ベルトを備え、中間転写ベルトを駆動ユニット17が循環移動させる。
プリンタ装置1はまた、現像器(TS)12、ドラムセット(DS)19、HVU(high voltage unit:高圧部)15、及び定着ユニット20を含む。HVU15は、高電圧を供給する。現像器12は印刷色に対応した色のトナーを所定量(例えば、A4サイズの用紙に5%記録濃度で印刷した場合、約6000枚の印刷処理が可能なだけの量のトナー)封入している。現像器12には内部のトナー貯留室に保持されるトナーの残量を検出するためのトナーセンサ21が備えられている。トナー残量の検知は、例えば、特許公開2004−361752に示されるような手法を用いて行なうことができる。中間転写ベルト上で複数色のトナー像が重ね合わされた後、中間転写ベルトの二次転写部において、トナー像は用紙に転写され、このトナー像が付着した用紙は定着ユニット20に送られ、定着ユニット20は、熱や圧力を加えることで用紙にトナーを定着させる。
プリンタ装置1は、また、排紙ユニット22と、両面ユニット23とを含む。排紙ユニット22は、定着後の用紙を排紙トレーに排紙する。両面ユニット23は、両面印刷の際の用紙の再給紙などを制御する。
図3は、本発明の一実施形態に係るプリンタ装置とホスト機器を含む、コンピュータシステムを表すブロック図である。図3において、ホスト機器11は、LAN等のネットワークを介してプリンタ装置1と接続されている。
ホスト機器11には主記憶装置24が構築され、主記憶装置24はプリンタドライバ25、入力装置26で構成されている。入力装置26はキーボードやマウス等で構成され、ホスト機器11は入力装置26からの操作信号に基づいてアプリケーションプログラムに従って印刷データを生成し、プリンタドライバ25に送信する。ホスト機器はまた、情報を表示するための表示部27を備える。
プリンタドライバ25は、印刷ジョブごとに印刷データをプリンタ装置1に対応した中間コードに変換し、変換したデータをプリンタ装置1のIFCONT8に送信する。
図4は、本発明の一実施形態に係る、PRCONT9を表すブロック図である。PRCONT9とIFCONT8は、CPU28と接続されており、CPU28は、ROM29に格納されているシステムプログラムに従って、PRCONT9とIFCONT8を制御する。IFCONT8は、例えば、パーソナルコンピュータ等のホスト機器11から供給される印刷データをビットマップデータに変換し、画像データとしてSDRAM30に展開する。SDRAM30には、各色(例えば、CMYK)ごとに記憶エリアが設定されており、画像データは各色に対応するエリアに展開される。
SDRAM30に展開された各色ごとの画像データは、PRCONT9に出力され、PRCONT9からヘッド14等を含む画像形成部31へと出力される。画像形成部31において、受信された画像データに基づいて、ヘッド14はドラムセット(DS)19に含まれる感光体ドラムを露光する。また、PRCONT9には、変数等の書き込み/読み出しに使用されるEEPROM32も備えられている。
CPU28はまた、ヘッド14、HVU15、及びMDCONT10とも接続されており、各部の制御を行なっている。MDCONT10はドラムセット(DS)に含まれるDSモータ34を駆動する。CPU28は、トナーセンサ21などの各種センサ33とも接続されており、各センサからの情報を受信し、プリンタ装置1の状態を管理している。例えば、CPU28は、トナーセンサ21からの情報に基づいて、現像器に残るトナーの残量がわずかであり、所定のトナー残量を下まわっている状態を検出した場合に、「トナー無し予告」をオペレーションパネル13に表示するように指示する。
CPU28にはまた、オペレーションパネル13を介して、外部からの各種操作信号が入力される。CPU28はまた、後述するトナー使用後の残りの印刷可能ドット数の算出(印刷可能ドット数の更新)なども行なう。
本発明の一実施形態におけるトナー残量の管理について以下に説明する。
本願明細書において使用される用語「印刷可能ドット数」とは、初期値としては、現像器に残ったトナー剤の残量(重量もしくは体積)を用いてプリンタ装置が印刷することが可能な基準ドット画像の数のことである。本発明の一実施形態に係るトナー管理を行なうプリンタ装置1において、トナー残量は、トナーセンサ21が所定の残量を検知するまでは(従来式の)トナー残量検出方法で残量検知が行われる。所定残量以下になったことが検知されると、「トナー無し予告」アラームが表示されるとともに、トナーセンサ21により検知されたその残量(例えば5g)において、印刷することが可能なドット数が見積もられる。一実施形態においては、この見積もられた値が印刷可能ドット数の初期値としてEEPROMなどのメモリ(印刷可能ドット数記憶手段)に保持され使用される。その後は、印刷データをホスト機器から受信した際に、印刷データを印刷するためにビットマップデータ化された実際の有色記録ドット画像のデータ数を、印刷可能ドット数から差し引くことで、印刷可能ドット数は更新されていく。印刷可能ドット数は、初期値においてはトナーセンサによる残量の実測値に基づいて算出されたものであるが、その後は、印刷処理される画像データに含まれる有色記録ドット画像のデータ数を減算することで更新されていく。なお、印刷可能ドット数の初期値は、所定残量に対応したドット数として予めEEPROMなどのメモリに格納されていてもよい。
本願明細書において使用される用語「有色記録ドット画像データ数」とは、外部から入力する印刷データに基づいてIFCONT8が生成したビットマップデータに含まれる有色記録すべきドット画像のデータ数をカウントしたもので、印刷データを印刷するために必要となる記録すべき有色記録ドット画像のデータ数を各色の現像器毎に算出した値のことである。
例えば、解像度が例えば600dpi(dot/inch)(主走査及び副走査方向とも)のプリンタの場合、解像度をdot/mmで表記すると、23.6dot/mmになる。A4サイズの用紙を考えると用紙サイズは、210×297mmだから、
主走査方向1ラインには、210×23.6=4956≒5000dot
副走査方向1ラインには、297×23.6=7009.2≒7000dot
のドットが存在する。よって、A4サイズ用紙1面には、約3500万ドット存在することになる。
このA4サイズ用紙に印刷データを印刷する場合、A4サイズ用紙を所定の解像度を有する記録ヘッドにより記録できるドット数に合わせて、印刷データが色別にラスタライズされビットマップデータが生成される。このラスタライズされたビットマップデータに含まれる有色記録ドット画像のデータ数を、現像器12として備えられた各色(例えば、シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y),ブラック(K))ごとにカウントすることで、印刷データを印刷するために必要な有色記録ドット画像データ数を各現像器12のトナー色毎に算出することができる。この算出された各色ごとの数値が有色記録ドット画像データ数である。
有色記録ドット画像データ数とは、一実施形態においては、印刷ジョブ1件分に含まれる印刷データを印刷するために必要となる有色記録ドット画像データ数を各現像器12のトナー色毎にカウントした数のことである。別な実施形態においては、有色記録ドット画像データ数とは、複数の印刷ジョブに含まれる印刷データを全て印刷するために必要となる有色記録ドット画像データ数を、各現像器12のトナー色毎にカウントした数のことである。また、印刷データを印刷するために必要となる有色記録ドット画像データ数をカウントすることを、ドットカウントと呼称する。
本発明の一本実施形態に係るプリンタ装置1は、トナーセンサ21と印刷可能ドット数とにより、トナー残量管理を行う。概要としては、トナーセンサ21が所定の残量を検知するまでは(従来式の)トナー残量検出方法で残量検知を行う。トナーセンサ21が、現像器のトナー残量が所定残量以下になったことを検知すると、所定残量以下になった際の残量において印刷することが可能なドット数を、印刷可能ドット数の初期値としてEEPROM32などのメモリに保持する。その後は、印刷データをホスト機器11から受信すると、印刷データのドットカウントを行い、これにより得られた結果の有色記録ドット画像データ数を、印刷可能ドット数と比較する。印刷データの有色記録ドット画像データ数が、印刷可能ドット数よりも小さい場合は、トナーを節約する処理を行わず印刷データはそのまま印刷される。一方、印刷データの有色記録ドット画像データ数が、印刷可能ドット数よりも大きい場合は、トナーを節約するモード(以後、トナーセーブモードと呼称する)での印刷が行なわれる。印刷後、実際に印刷で記録した有色記録ドット画像データ数を、印刷可能ドット数から差し引くことで算出された、新しい印刷可能ドット数がEEPROM32に書き込まれることで印刷可能ドット数が更新される。
図6は、本発明の一本実施形態に係るプリンタ装置1のCPU28によって行なわれる動作フローを説明している。
本実施形態においては、例えば、モノクロ印刷のような単色の現像器12を備えるプリンタ装置を例にとり説明を進める。しかしながら、本発明に係る実施形態が、複数の色に対応した複数の現像器12を備えるカラーのプリンタ装置にも適用可能であることは当業者には明らかだろう(第二の実施形態を参照)。
図6において、本実施形態に係るプリンタ装置1は、起動されると、ステップS6−1において、現像器12のトナーの残量がチェックされる。ステップS6−2において、トナー残量が所定残量以下であるかどうかが判定される。
トナー残量が所定残量以下で無い場合は、Noと判定され、フローはステップS6−3へと進む。ステップS6−3において、プリンタ装置1は印刷データを受信するまで待機する。ステップS6−3において、印刷データを受信すると、フローはステップS6−4に進み、受信した印刷データを印刷する。
印刷データの印刷が終わると、ステップS6−5へと進み、印刷後の現像器に残るトナー残量をトナーセンサ21がチェックして、トナー残量が所定残量以下であるかどうかが判定される。ステップS6−5において、トナー残量が所定残量以下で無いと判定された場合、Noと判定され、フローはS6−3へと戻り、次の印刷データを受信するまで待機する。
ステップS6−5において、トナー残量が所定残量以下であると判定された場合は、Yesと判定され、フローはステップS6−6へと進む。
ステップS6−6において、トナー残量が無いかどうかが判定される。ステップS6−6において、トナーを使い切っており、トナー残量が無い場合には、Yesと判定され、フローはステップS6−14へと進み、「トナー無し」及び/若しくは「トナー交換」警告をIFCONT8に通知し、本フローは終了する。
一方、ステップS6−6において、トナーがまだ残っている場合は、Noと判定され、フローはステップS6−7へと進む。
ステップS6−7において、プリンタ装置1は、トナー残量が所定残量以下になったことを示す、「トナー無し予告」をIFCONT8へと通知する。また、トナーセンサ21により検出された残りのトナー残量で印刷が可能なドット数(印刷可能ドット数)を算出し、これもIFCONT8へと通知する。このステップから、フローは印刷可能ドット数によりトナーを管理するモードへと移行する。
なお、IFCONT8は「トナー無し予告」を通知されると、本発明の一実施形態に係るプリンタドライバ25を備えたホスト機器11から印刷データを受信した際に、ホスト機器11にプリンタ装置1が「トナー無し予告」中であることを通知する。
ステップS6−7において、「トナー無し予告」と、印刷可能ドット数をIFCONT8に通知すると、フローはステップS6−10へと進み、プリンタ装置1はそこで印刷データを受信するまで待機する。なお、IFCONT8に通知された印刷可能ドット数は、プリンタ装置1に備えられた、例えば、EEPROM32などのメモリに格納され、いつでも参照できるように保持される。
ステップS6−10において、印刷データを受信すると、フローはステップS6−11へと進み、印刷を実行する。印刷を実行すると、ステップS6−12へと進み、メモリを参照して印刷可能ドット数を取得する。取得した印刷可能ドット数から、印刷で記録した有色記録ドット画像データ数を差し引くことで、印刷可能ドット数を更新する。
更新された新たな印刷可能ドット数はIFCONT8に通知され、ステップS6−9で述べたのと同様に、メモリに格納されていつでも参照できるように保持される。再計算された印刷可能ドット数は、例えば、先にメモリに格納されている印刷可能ドット数を上書きする形でメモリに格納される方式でも、メモリの別な場所に保存される方式でもよい。
ステップS6−12において、更新された印刷可能ドット数が再計算されると、フローはステップS6−13へと進む。ステップS6−13において、トナー残量が無いかどうかが判定される。
ステップS6−13において、トナーを使い切っており、トナー残量が無い場合には、Yesと判定され、フローはステップS6−14へと進み、「トナー無し」及び/若しくは「トナー交換」警告をIFCONT8に通知し、本フローは終了する。
一方、ステップS6−13において、トナーがまだ残っている場合は、Noと判定され、フローはステップS6−10へと戻る。
また、ステップS6−2において、トナー残量が所定の残量以下である場合は、Yesと判定され、フローはステップS6−8へと進む。ステップS6−8において、トナー残量が無いかどうかが判定される。
ステップS6−8において、トナーを使い切っており、トナー残量が無い場合には、Yesと判定され、フローはステップS6−14へと進み、「トナー無し」及び/若しくは「トナー交換」警告をIFCONT8に通知し、本フローは終了する。
一方、ステップS6−8において、トナーがまだ残っている場合は、Noと判定され、フローは、ステップS6−9へと進む。ステップS6−9において、プリンタ装置1は、トナー残量が所定残量以下になったことを示す、「トナー無し予告」をIFCONT8へと通知する。また、残りのトナー残量で印刷することが可能なドット数(印刷可能ドット数)は、既にメモリに格納されているはずなので、メモリから印刷可能ドット数を読み出し、これもIFCONT8へと通知する。このステップから、フローは印刷可能ドット数によりトナーを管理するモードへと移行する。
以上で述べたように、また、図6からも分るように、ステップS6−7において、トナーセンサ21により検出されたトナー残量の実測値を用いて見積もられた、初期値の印刷可能ドット数は、ステップS6−11で印刷が実行されるたびに、ステップS6−12において印刷で記録された有色記録ドット画像データ数だけ減算されていく。ステップS6−10〜ステップS6−13までのループフローは、ステップS6−13において、トナー残量が無く、Yesと判定されるまで繰り返される。
次に、図5を参照して、本実施形態に係るホスト機器11のプリンタドライバによって実行される動作フローを説明する。図5において、ホスト機器11が、印刷データの印刷を開始すると、フローはステップS5−1へと進む。
ステップS5−1において、ホスト機器11のプリンタドライバ25は、プリンタ装置1に「トナー無し予告」中であるか否かを問い合わせる。問い合わせの結果、プリンタ装置1から「トナー無し予告」中では無いと通知された場合、Noと判定され、フローはステップS5−2へと進み、通常の印刷処理が行なわれ、ステップS5−13において印刷データがプリンタ装置1へと送信される。
ステップS5−1において、問い合わせの結果、プリンタ装置1から「トナー無し予告」中であると通知された場合、Yesと判定され、フローはステップS5−3へと進む。ステップS5−3において、送信する印刷ジョブ1件分の印刷データのラスタライズを行ない、ビットマップデータが取得される。
ステップS5−4において、取得したビットマップデータを用いて、印刷ジョブ1件分の印刷データを全ページにわたって印刷するのに必要となる有色記録ドット画像のデータ数をカウントし、有色記録ドット画像データ数を得る。次ぎに、ステップS5−5において、プリンタ装置1に印刷可能ドット数を問い合わせて、プリンタ装置1から印刷可能ドット数を受信する。
ステップS5−6において、受信した印刷可能ドット数を、算出した有色記録ドット画像データ数と比較し、トナーセーブが必要かどうかが判定される。印刷可能ドット数よりも有色記録ドット画像データ数の方が少なければ、トナーセーブは必要無くNoと判定され、フローはステップS5−2へと進む。
一方、印刷可能ドット数よりも有色記録ドット画像データ数の方が多ければ、トナーセーブが必要でありYesと判定され、フローはステップS5−7へと進む。
ステップS5−7において、トナーセーブ率の算出が行なわれる。トナーセーブ率の算出は、例えば、印刷可能ドット数を、有色記録ドット画像データ数で割って得た、100分率として算出されてもよい。その場合には、([印刷可能ドット数]/[有色記録ドット画像データ数])×100を計算することでトナーセーブ率がパーセントで求められる。さらに、トナーセーブ率には万が一にもトナーを使い切ってしまわないように、マージンが設定されていてもよい。
マージンとしては例えば、算出されたトナーセーブ率のパーセンテージから、2%低いトナーセーブ率を用いることや、トナーセーブ率の算出の際に、有色記録ドット画像データ数に、例えば、1000万ドット加えてから計算を行なうことなどが考えられる。
ステップS5−8において、トナーセーブ率が仕様範囲内であるか否かが判定される。ここで言う仕様範囲とは、予め設計段階で製品の特性に合わせてトナーセーブ率の最小値(許容値)を定めたものである。印刷を実行する上でトナーセーブ率を過剰に低めてしまうと、印刷した印刷物が読むことが困難なほど薄くなってしまったり、正式な文書資料として用いるのに適さない品質になったりする可能性がある。そのため、本実施形態においては、トナーセーブ率に最小値が定められている。
トナーセーブ率の最小値は、例えば、30%、42%、及び50%などであってよいが、その他のさまざまな値を取り得ることが当業者には理解されるであろう。トナーセーブ率の最小値は、例えば、プリンタ装置1に予め設定されているものであってもよいし、あるいはユーザーが好みに応じて設定したものであってもよい。
ステップS5−8において、トナーセーブ率が仕様範囲内に無い場合、Noと判定され、フローはステップS5−9へと進む。ステップS5−9において、プリンタドライバ25は、例えば、ホスト機器11に備えられた表示部27上に「完全な印刷ができません」や、「トナーを交換して下さい」などの警告を表示するなどして、ユーザーに印刷ができないことを通知する。
ステップS5−10において、印刷を続行するか否かの判定が行なわれる。ユーザーより、入力装置26を介して印刷を続行するとの入力を受けた場合は、ステップS5−11へと進み、印刷データの作成が行なわれる。ここでの印刷データの作成は、完全な印刷は既にできないと判定されているため、トナーセーブ率などはユーザーの好みに合わせて様々な値が使用され得る。
例えば、トナーセーブ率としては、ステップS5−7において算出したトナーセーブ率を用いてもよいし、又はステップS5−8において用いられる、トナーセーブ率の最小値であってもよいし、或いはトナーセーブせず通常の印刷処理を行なってもよい。作成された印刷データは、ステップS5−13において、プリンタ装置1へと送信される。
また、ステップS5−8において、トナーセーブ率が仕様範囲内であると判定された場合は、フローはステップS5−12へと進む。
ステップS5−12において、ステップS5−7で算出したトナーセーブ率を用いて、印刷データを作成する。作成された印刷データは、ステップS5−13において、プリンタ装置1へと送信される。
以上で述べたように、本実施形態に係るプリンタ装置1では、プリンタ装置1が「トナー無し予告」中である場合、印刷可能ドット数と、有色記録ドット画像データ数とを比較し、比較の結果、印刷可能ドット数よりも有色記録ドット画像データ数の方が大きい場合は、プリンタの印刷可能ドット数の範囲内に入るように、印刷される有色記録ドット画像データ数をトナーセーブにより減らして印刷を行なうため、印刷ジョブ1件分の印刷データの印刷が終了する前にトナー切れとなることが防止される。
また、トナーセーブ率に下限値が設定されているため、トナーセーブをしても印刷品質が保たれる。
また、本実施形態においては、図5に示される処理(例えば、印刷ジョブ1件分の印刷データを印刷するのに必要な有色記録ドット画像データ数の算出、印刷可能ドット数と有色記録ドット画像データ数との比較、トナーセーブ率の算出、及び算出したトナーセーブ率での印刷データの生成)がホスト機器11によって行なわれる例を説明したが、これらの処理はプリンタ装置1で行なわれてもよいことが当業者には理解されるだろう。
以下は、本発明の第二の実施形態に係る複数色のトナーを備えたカラープリンタ装置1を説明する。
図8は本実施形態におけるカラープリンタ装置1のCPU28によって行なわれる動作フローを表す。図8は、大まかには図6に示される動作フローと対応しているが、図8においては、それぞれの処理が各色の現像器12毎に行なわれる点で異なる。例えば、図8のステップS8−1では、プリンタ装置に備えられた複数の現像器それぞれに対して、トナー残量のチェックが行なわれる。
また、図8に示されるように、本実施形態においては、プリンタ装置1に備えられた現像器のいずれかの色の現像器12が、所定残量以下になったときに、印刷可能ドット数によりトナーを管理するモードへと移行する(ステップS8−2,S8−6)。
ステップS8−2,S8−6において、同時に複数の色の現像器12が所定残量以下になる場合も考えられるが、その場合はそれぞれの所定残量以下になった色に対して、「トナー無し予告」がIFCONT8に送信され、トナーが所定残量以下になった色毎にそれぞれ、印刷可能ドット数が計算されて、メモリ(例えば、EEPROM32など)に保持される(ステップS8−7,S8−9)。また、ステップS8−12における、有色記録ドット画像データ数の取得は、トナーが所定残量以下になっている色それぞれに対して行なわれ、そのそれぞれの色ごとに、印刷可能ドット数から有色記録ドット画像データ数を差し引くことで、印刷可能ドット数が更新されIFCONT8に送信される。
本実施形態においては、ステップS8−13がNoであった場合に、ステップS8−15へと進むフローが追加されている。これは、本実施形態に係るプリンタ装置1は、現像器12を複数含むため、ステップS8−2若しくはステップS8−6において、いずれかの色(複数でもよい)のトナーが所定残量以下になり印刷可能ドット数によりトナーを管理するモードに移行した後で、ステップS8−13において、それらの色の現像器12がトナーを使い切る前に、別な色の現像器12が新たに所定残量以下になる可能性があるためである。
そのため、ステップS8−15において、新たにトナー残量が所定残量以下となった現像器12があるか否かが判定される。新たにトナー残量が所定残量以下となったものが無い場合は、Noと判定され、フローはステップS8−10へと戻る。
一方、新たにトナー残量が所定残量以下となった色の現像器12がある場合には、ステップS8―15において、Yesと判定される。ステップS8−16において、新たに所定残量以下となった色の現像器12の印刷可能ドット数が算出され、算出された印刷可能ドット数が「トナー無し予告」と共に、IFCONT8へと送信される。
送信された印刷可能ドット数と「トナー無し予告」は、IFCONT8において各色の現像器12毎に管理され、メモリに保存される。ステップS8−16の処理が終わると、フローは、ステップS8−10へと戻り、プリンタ装置1が次の印刷データを受信するまで待機する。
図7は、本実施形態係る、ホスト機器におけるプリンタドライバ25の動作フローを説明する。
図7は、大まかには図5に示される動作フローと対応しているが、図7においては、いくつかの処理が各色の現像器12毎に行なわれる点で異なる。
図7においては、プリンタドライバ25は、印刷を開始すると、ステップS7−1において、プリンタ装置1のいずれかの色の現像器12が「トナー無し予告」中であるか否かを問い合わせる。そして、ステップS7―3〜S7−5までの処理は、「トナー無し予告」中の色の現像器12それぞれに対して行なわれる。ステップS7−6において、「トナー無し予告」中の色の現像器12それぞれに対して、印刷可能ドット数と、有色記録ドット画像データ数との比較が行なわれ、トナーセーブが必要であるか否かが判定される。
「トナー無し予告」中のすべての色の現像器12について、印刷可能ドット数よりも有色記録ドット画像データ数のほうが小さく、トナーセーブが不要であると判定された場合は、フローはステップS7−2へと進み、通常の印刷処理が行なわれる。
「トナー無し予告」中のいずれかの色の現像器12において、印刷可能ドット数よりも有色記録ドット画像データ数のほうが大きいものがあり、トナーセーブが必要だと判定された場合は、ステップS7−7へと進む。ステップS7−7において、印刷可能ドット数よりも有色記録ドット画像データ数のほうが大きく、トナーセーブが必要であると判定された色の現像器12それぞれに対して、トナーセーブ率が計算される。
ステップS7−14において、トナーセーブが必要であると判定された色の現像器ごとに算出されたトナーセーブ率を比較し、もっとも低いトナーセーブ率(即ち、最も濃度を低くしてトナー消費率を少なくする設定値)が選択される。ステップS7−8において、選択されたトナーセーブ率が仕様範囲内にあるか否かが判定される。
仕様範囲内にある場合は、ステップS7−12へと進み、選択されたトナーセーブ率を用いて、印刷データの作成が行なわれる。なお、印刷データの作成の際に、選択されたトナーセーブ率は、色バランスを保つために全ての色に対して共通に適用される。
以上で述べたように、本実施形態に係るプリンタ装置1では、印刷可能ドット数と、有色記録ドット画像データ数とが、プリンタ装置1に備えられた現像器12毎(色毎)に管理されてトナーセーブ率が決定されており、本発明に係る実施形態は、カラープリンタ装置1においても有効に適用され得ることが理解されただろう。トナーセーブ率が各色の現像器12毎に計算されるため、複数の現像器12を備えるプリンタ装置においても、印刷ジョブ1件分の印刷データを印刷している最中に、トナー切れを起こすことが防止される。また、トナーセーブ率が各色の現像器12毎に計算されるため、色の使用頻度に偏りがある環境においても、また、使用された色に偏りがある印刷データを受信した際にも、適切にトナーセーブ率を定めることができる。
本実施形態によれば、複数の色を出力することが可能なカラープリンタ装置1において、それぞれの色の現像器12毎に、有色記録ドット画像データ数がプリンタの印刷可能ドット数の範囲内に入るように、トナーセーブ率を変更して、印刷される有色記録ドット画像データ数を減らして印刷を行なうため、印刷ジョブ1件分の印刷が終了する前にトナー切れとなることが防止される。
また、トナーセーブ率に下限値が設定されているため、トナーセーブをしても印刷品質が保たれる。
図9は、本発明の第三の実施形態に係る、仕様範囲の判定の動作フローを説明する図である。
図9に示される、トナーセーブ率を、濃度を測定して決定する動作フローは、例えば、図5のステップS5−8や、図7におけるステップS7−8に代替して使用することができる。
図9に示されるように、本実施形態においては、トナーセーブ率の下限はパッチチェックによって、実際に濃度測定を行なうことで定められる。パッチチェックとは、例えば、特開2001−272832に示されるもののことであり、搬送ベルト上に、トナーを濃度の異なるパッチ状の画像を記録し、記録されたパッチ画像のトナー濃度をトナー濃度センサにより検出する。記録されたパッチのトナー量と、トナー濃度センサが検出した濃度とを対応付けることで、印刷物の濃度を推定するための基準濃度が設定される。
図5のステップS5−7や、図7のステップS7−14において、トナーセーブ率が決定されると、本フローは開始する。ステップS9−1において、トナーセーブ率が必要だと判定された色の現像器についてのパッチチェックが行なわれる。
ステップS9−2において、例えば、ステップS5−7で決定された、又はステップS7−14で選択されたトナーセーブ率において印刷を行なった場合に、印刷物のトナーの濃度が最低濃度レベル以上であるか否かが、パッチチェックの結果に基づいて判定される。最低濃度レベル未満である場合は、トナーセーブ率が大きすぎて印刷品質に問題があることを表し、ステップS9−3において、選択されたトナーセーブ率が仕様範囲外であると判定され、フローは「No」で終了し、この後フローは、例えば、図5のステップS5−9や、図7のステップS7−9へと続く。
一方、最低濃度レベル以上である場合には、ステップS9−4において、選択されたトナーセーブ率が仕様範囲内であると判定され、フローは「Yes」で終了し、この後フローは、例えば、図5のステップS5−12や、図7のステップS7−12へと続く。
本実施形態においては、仕様範囲内にあるか否かの判定が実際に測定した濃度に基づいて行なわれるため、トナーセーブが必要であると判定された際の印刷物の品質をより適切に維持できるようになる。
本発明に係る第四の実施形態を説明する。本発明の第四の実施形態においては、ホスト機器11のプリンタドライバ25は、プリンタ装置1においていずれかの色が「トナー無し予告」中であると通知された場合に、ホスト機器11に備えられた表示部27上に、例えば、「印刷ジョブをスタックするか否か」を表示する。
ユーザーが入力装置26を介してスタックしないと選択した場合には、先で述べたのと同様に図7に示されるステップS7−3以降の処理が実行される。
一方、ユーザーが入力装置26を介してスタックすると選択した場合には、プリンタドライバ25は処理を一時停止し、ユーザーが更に印刷ジョブを入力するのを待機する。
ユーザーは印刷が必要な複数の印刷ジョブを全て入力したのちに、プリンタドライバ25に処理の再開を指示する。すると、プリンタドライバ25は、スタックされている全ての印刷ジョブをラスタライズして、「トナー無し予告」中の各色の現像器12ごとに、全ての印刷ジョブを印刷するのに必要となるドット数をカウントする(即ち、スタックされた各印刷ジョブの有色記録ドット画像データ数を合計した値を算出する)。
この全て印刷ジョブの合計の有色記録ドット画像データ数を用いて、図7に示されるステップS7−5以降に示される処理が行なわれ、トナーセーブ率が決定される。
本発明に係る第四の実施形態においては、複数の印刷ジョブの有色記録ドット画像データ数を合計した有色記録ドット画像データ数を用いて処理が行なわれる。この様に構成することで、ユーザーが連続して複数のドキュメントの印刷ジョブを流したい場合に、途中の印刷ジョブが終了した時点でトナーを使い果たし、印刷できなくなってしまうことが防止される。
上述のいくつかの例においては、トナーセーブとして、印刷するドット数を変更する(トナーセーブ率に応じて有色記録ドット画像のデータ数を間引く)例を述べたが、本発明に係る実施形態はこれに限定されるものではなく、トナーセーブは、ヘッド14の光量やヘッド14による感光体ドラムの露光時間、及び感光体の帯電電圧を調節することでも行なわれ得ることは、当業者には明らかであろう。この場合、トナーセーブ率と、露光時間等を対応付けたテーブルがメモリ(例えば、EEPROM等)に記録されていてもよい。
また、上述の例においては、印刷データを印刷するのに必要な有色記録ドット画像データ数の算出、印刷可能ドット数と有色記録ドット画像データ数との比較、トナーセーブ率の算出、及び算出したトナーセーブ率での印刷データの生成などが、ホスト機器11によって行なわれる例を説明したが、これらの処理はプリンタ装置1で行なわれてもよいことが当業者には理解されるだろう。
本発明の一実施形態によれば、「トナー無し予告」が発生した後も、トナーを交換せずに継続して使用した場合に、印刷ジョブの印刷途中でトナー切れを起こすことが無くなる。
本発明の一実施形態によれば、印刷する前に、トナーが無くなることが前もって予測できるようになる。
本発明の一実施形態によれば、「トナー無し予告」が発生した後も、トナー残量が正確に管理される。また、印刷を行なう前に、トナーセーブが必要か否かを判断することができる。また、同時に、「トナー無し予告」中においても無理にトナーセーブを行なわなくてもよくなる。
本発明の一実施形態によれば、トナーセーブ率には下限が設けられているため、印刷可能ドット数と、有色記録ドット画像データ数とからトナーセーブ率を可変に定めたとしても、一定以上の印刷品質が保たれる。
本発明の一実施形態によれば、トナー残量に合わせて、印刷データの印刷に使用するトナー量を最適にトナーセーブして印刷することが可能となる。
本発明に係るいくつかの実施形態について、説明してきた。しかしながら、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。これらの実施形態は、例示的なものとして提供されており、本発明に係る実施形態のほんの一部であり、本発明の範囲を逸脱すること無く、上述の実施形態に対してあらゆる変更、追加及び代替が成され得ることが当業者には理解されるであろう。本発明の範囲は添付の特許請求の範囲とその均等物によってのみ画定されることが意図される。