JP2011187611A - レーザ波長変換装置及びこれを用いた画像表示装置 - Google Patents

レーザ波長変換装置及びこれを用いた画像表示装置 Download PDF

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茂樹 緒形
Naoto Matsuo
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Abstract

【課題】小型化を実現しつつ、画像表示途中でのレーザ波長変換装置における共振器内部の光学素子接合体の剥離を防止し、その結果、安定して画像を表示することができるレーザ波長変換装置及びこれを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂26で被覆するようにした。
【選択図】図2

Description

本発明は、パソコン、TV等からのデータを、レーザを利用して投影により表示する画像表示装置及びこれに利用されるレーザ波長変換装置に関し、特に小型の画像表示装置及びこれに適したレーザ波長変換装置に関する。
近年、大画面表示が可能な画像表示装置の光源装置として、レーザ光を供給するレーザ光源を用いる技術が提案されている。レーザ光源はそのサイズが小型であることから、画像表示装置を小型化するために多く採用されている。画像表示装置の光源装置として従来用いられている超高圧水銀ランプ(UHPランプ)と比較すると、レーザ光源を用いる光源装置は、高い色再現性、瞬時点灯が可能、長寿命である等の利点がある。
画像表示装置用途に用いる光源は赤色(発振波長640nm近傍)、青色(発振波長450nm近傍)、緑色(発振波長530nm近傍)の3色の光源が必要である。赤色および青色光源としては半導体レーザが用いられている。一方、緑色発光を行う信頼性の高い半導体レーザが現状存在しないため、緑色光源としては、非線形光学結晶を用い、SHG(Second Harmonic Generation:第二高調波発生)と呼ばれる波長変換技術により高出力赤外レーザ光を緑色光に変換する技術が採用されている。この緑色レーザを得る装置として変換レーザ波長変換装置が提案されている。波長変換により緑色を得る方法としては種々の方式が開発されているが高出力および小型化の両立ができることから、内部共振器型のレーザ波長変換装置が有望である。
内部共振器型のレーザ波長変換装置は、非線形光学結晶を配設した共振器内部に固体レーザ結晶が設けられ、この固体レーザ結晶側の端面から半導体レーザなどから出射したレーザ光を入射させて固体レーザ結晶を励起し基本光を発生させる方法が用いられている。
この場合に、上述のレーザ波長変換装置は、共振器内部に配設された全ての光学素子をオプティカルコンタクト(特許文献1)又は樹脂接着(特許文献2)して、レーザ光の入力側の端面とレーザ光の出力側の端面とで共振器を形成している。
特開2008−16833号公報 特開2004−31683号公報
しかしながら、上記従来の技術には以下の課題がある。すなわち、オプティカルコンタクトは、基板表面の酸素による分子間力により強固に接合されているので、レーザが共振することで発熱し、異種材料光学素子の接合体に熱膨張差による剥離やクラックが発生し、レーザ発振が不安定となり、画像表示が安定しないという課題がある。
また、固体レーザ結晶と非線形光学結晶とを樹脂接着させたレーザ光源は、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張係数の差異があるため、レーザ発振中に、固体レーザ結晶自体が発熱したり、接着部が熱を吸収したりすると、接着剤が劣化し、接着していたレーザ結晶と非線形光学結晶とが剥離し、レーザ発振が停止してしまい、その信頼性に課題がある。さらに、効率の悪いKTiOPO4(KTP)を非線形光学結晶として用いているため、50〜60mW程度の出力しかないため高画質の画像が得られないという課題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、小型化を実現しつつ、画像表示途中でのレーザ波長変換装置における共振器内部の光学素子接合体の剥離を防止し、その結果、安定して画像を表示することができ、信頼性に優れたレーザ波長変換装置及びこれを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明によるレーザ波長変換装置は、赤外半導体レーザからの励起光により励起される固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶により励起される光の波長を変換する非線形光学結晶と、前記固体レーザ結晶及び前記非線形光学結晶の前記赤外半導体レーザが入射する面及び出射する面に形成された反射層とを備え、前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂で被覆するようにしたものである。
また、本発明による画像表示装置は、赤外光を出力する赤外半導体レーザと、青色レーザを出射する青色レーザと、赤色レーザを出射する赤色レーザと、前記赤外半導体レーザからの赤外光により励起される固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶により励起される光の波長を変換する非線形光学結晶と、前記固体レーザ結晶及び前記非線形光学結晶の前記赤外半導体レーザが入射する面及び出射する面に形成された反射層とを備え、前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂で被覆するようにしたものである。
以上の構成により、本発明のレーザ波長変換装置は固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張係数の差異から、レーザ発振中に生じる熱により、接合していた固体レーザ結晶と非線形光学結晶が剥離してしまうことを防止し、その結果、小型化を実現しつつ常にビームを安定して出力させることができる。
本発明の一実施例における画像表示装置の概略構成図 本発明の一実施例における画像表示装置に備えられた緑色レーザ光源の概略構成図 本発明の一実施例におけるレーザ波長変換装置の作製プロセスを示す状態遷移図 本発明の別の実施例におけるレーザ波長変換装置を示す概略構成図 本発明の別の実施例におけるレーザ波長変換装置を示す概略構成図 本発明の別の実施例におけるレーザ波長変換装置を示す概略構成図
本発明のレーザ波長変換装置は、赤外半導体レーザからの励起光により励起される固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶により励起される光の波長を変換する非線形光学結晶と、前記固体レーザ結晶及び前記非線形光学結晶の前記赤外半導体レーザが入射する面及び出射する面に形成された反射層とを備え、前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂で被覆するようにしたことにより、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張係数の差異から、レーザ発振中に生じる熱により、接合していた固体レーザ結晶と非線形光学結晶が剥離してしまうことを防止し、その結果、小型化を実現しつつ常にビームを安定して出力させることができる。
また、本発明のレーザ波長変換装置は前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶の上面部及び下面部は接合された面に向かって傾斜させることにより前記接合体に溝部を形成するようにしたものである。
また、本発明のレーザ波長変換装置は前記溝部に前記接着樹脂を挿入することにより被覆するようにしたことにより、接着樹脂の定量塗布が可能で、接着強度が安定した接合体が得られる。さらに、接着樹脂の熱膨張方向を固体レーザ結晶や非線形光学結晶と合わせることができるため、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張を吸収することができる。
また、本発明のレーザ波長変換装置は、前記接着樹脂が固体レーザ結晶及び非線形光学結晶を含有するようにしたことにより、接着樹脂の熱膨張係数を前記固体レーザ結晶および前記非線形光学結晶の熱膨張係数に近づけることができる。
また、本発明のレーザ波長変換装置は、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部に溝部を形成し、該溝部に前記接着樹脂を挿入することにより被覆するようにしたことにより、接着樹脂の定量塗布が可能で、かつ少ない接着樹脂でも接着強度が安定した接合体が得られる。
さらに、本発明の画像表示装置は、赤外光を出力する赤外半導体レーザと、青色レーザを出射する青色レーザと、赤色レーザを出射する赤色レーザと、前記赤外半導体レーザからの赤外光により励起される固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶により励起される光の波長を変換する非線形光学結晶と、前記固体レーザ結晶及び前記非線形光学結晶の前記赤外半導体レーザが入射する面及び出射する面に形成された反射層とを備え、前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂で被覆するようにしたことにより、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張係数の差異から、レーザ発振中に生じる熱により、接合していた固体レーザ結晶と非線形光学結晶が剥離してしまうことを防止し、その結果、小型化を実現しつつ常にビームを安定して出力させて、信頼性の高い画像を得ることができる。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施例による画像表示装置の概略構成図である。図1の画像表示装置100において、1は赤外光を生成し、これを緑色のレーザ光に変換し出射するレーザ光源、2及び3は赤及び青のレーザ光をそれぞれ出射するレーザ光源、4から6は緑、赤、青のレーザ光源より出射されたレーザ光を平行光束にするコリメータレンズ、7及び8はダイクロイックミラー、9は拡散板、10は前記レーザ光を収束ビームに変換するフィールドレンズ、11はビームスプリッタ、12は反射型の空間光変調素子、13は前記空間光変調素子12を反射したレーザ光をスクリーン15に照射するための投射レンズ、14は異常時に作動する安全装置であるサーモスタットである。また、画像表示装置100には、前記拡散板9を揺動させる不図示の拡散板揺動手段も有している。
ここで、前記レーザ光源1は、緑色レーザ光を出射する緑色レーザ光源である。緑の光源としては、現在1ワットを超える半導体レーザそのものの実現の目処はないため、赤外半導体レーザ励起ネオジム添加YVO4固体レーザの出力光(波長1064nm)の2次高調波(波長532nm)を利用した光源を用いている。赤外半導体レーザ励起ネオジウムドープYVO4固体レーザを励起するために、赤外半導体レーザ(波長808nm)を用いている。緑色レーザ光源の動作説明については後述する。
前記レーザ光源2は、赤色レーザ光を出射する赤色レーザ光源である。赤色レーザ光源として、640nmを出力する赤色半導体レーザを使用している。なお、本実施形態においては640nmの波長を出射するものを用いたが、赤色と認識できるものであれば、ピーク波長が610〜750nmの範囲で異なる波長領域のものを用いても良い。
前記レーザ光源3は、青色レーザ光を出射する青色レーザ光源である。青色レーザ光源として、450nmを出力する青色半導体レーザを使用している。なお、本実施形態においては450nmの波長を出射するものを用いたが、青色と認識できるものであれば、ピーク波長が435〜480nmの範囲で異なる波長領域のものを用いても良い。
次に画像表示装置100の動作について説明する。本実施形態において、赤、青、緑のレーザ光は、時分割制御を行っており、赤、青、緑のレーザ光が順次、空間光変調素子12を照射している。
赤色レーザ光に対応する光学系として、赤色レーザ光源から出射された光は、ダイクロイックミラー8を透過し、拡散板揺動手段により揺動する拡散板9で赤色レーザ光を拡散され、フィールドレンズ10で照度分布を均一化され、ビームスプリッタ11を介して、空間光変調素子12へ照射される。空間光変調素子12で反射された光は投射レンズ13を通して、スクリーン15へ拡大投射される。なお、ダイクロイックミラー8には、赤色レーザ光が透過するように赤色透過膜が塗布されている。
青色レーザ光に対応する光学系として、青色レーザ光源から出射された光は、ダイクロイックミラー7を透過し、ダイクロイックミラー8で90度曲げられた後、拡散板揺動手段により揺動する拡散板9で青色レーザ光を拡散され、フィールドレンズ10で照度分布を均一化され、ビームスプリッタ11を介して、空間光変調素子12へ照射される。空間光変調素子12で反射された光は投射レンズ13を通して、スクリーン15へ拡大投射される。なお、ダイクロイックミラー7には、青色レーザ光が透過するように青色透過膜が塗布されている。なお、ダイクロイックミラー8には、青色レーザ光が反射するように青色反射膜が塗布されている。
緑色レーザ光に対応する光学系として、緑色レーザ光源から出射された光は、ダイクロイックミラー7で90度曲げられ、さらにダイクロイックミラー8で90度曲げられた後、拡散板揺動手段により揺動する拡散板9で緑色レーザ光を拡散され、フィールドレンズ10で照度分布を均一化され、ビームスプリッタ11を介して、空間光変調素子12へ照射される。空間光変調素子12で反射された光は投射レンズ13を通して、スクリーン15へ拡大投射される。なお、ダイクロイックミラー7には、緑色レーザ光が反射するように緑色反射膜が塗布されている。なお、ダイクロイックミラー8には、緑色レーザ光が反射するように緑色反射膜が塗布されている。
ここで、緑色レーザ光源について説明する。図2は、本発明の一実施例における画像表示装置に備えられた緑色レーザ光源の概略構成図である。図2に示すレーザ光源1は、基本波である赤外光を波長変換して緑色レーザ光を発生させるものである。
レーザ光源1は、ゴミの進入を防止するカバー20と、赤外半導体レーザ21と、コリメートレンズ22と、固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27が相互に接合された後に接合部を含む側面を接着樹脂で被覆された接合体と、その接合体の各々の反対側の面に反射コート24が形成されてなるレーザ共振器28と、ガラスカバー29を備えている。
図2において、赤外半導体レーザ21から出射された赤外光は、コリメートレンズ22により平行ビームに変換され、フォーカシングレンズ23により固体レーザ結晶25に集光される。固体レーザ結晶25は、イットリウム・バナデート(YVO4)からなる厚み2mmの無機光学活性物質(結晶)にネオジム(Nd)を1%添加したものである。具体的には、固体レーザ結晶25は、母材であるYVO4のイットリウム(Y)に蛍光を発する元素であるNd3+を置換して添加したものである。非線形光学結晶27は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)に酸化マグネシウム(MgO)を添加したものである。接着樹脂26は、エポキシ系、アクリル系等、適宜好適に応じどれを使用しても良い。固体レーザ結晶25の入射端面の反射コート24は、赤外半導体レーザ21の波長(808nm)に対し無反射(AR)コートを施すとともに、発振波長(1064nm)および高調波の波長(532nm)に対し高反射(HR)コートを施している。また、非線形光学結晶27の出射端面の反射コート24は、波長1064nmに対しHRコート、および波長532nmに対しARコートを施している。固体レーザ結晶25の端面と非線形光学結晶27の端面で基本波1064nmのレーザ共振器28を構成している。共振器長は3mmである。これにより、共振器内部に挿入された非線形光学結晶27からなる波長変換装置で波長変換された緑色レーザ光(532nm)が得られる。
固体レーザ結晶25の端面と非線形光学結晶27の端面に基本波1064nmのHRコートを施して、1064nmの共振器を構成し、高い光強度の1064nmのレーザ光を得ることが可能となっているが、上記コート面にゴミが付着すると、高い反射率を維持できなくなり、1064nmの光強度も低下してしまう。結果として、高い光強度の緑レーザ光へと変換することもできなくなる。そのため、レーザ光源1は、その内部にゴミの侵入などを無くすため、カバー20で覆っている。なお、緑色レーザ光が出射される開口部は、透明なガラスカバー29で覆っている。
赤外半導体レーザ21は、LEDやランプなどの光源と比較して温度特性が悪く、赤外半導体レーザ21が高温になると赤外光の発光効率が低下してしまう。そこで、赤外半導体レーザ21をカバー20に接触配置させ、赤外半導体レーザ21から発生する熱を、カバー20を介して、レーザ光源1の外部へ放熱させている。そのため、カバー20は熱伝導率の高いアルミで形成している。なお、カバー20は、銅で形成してもよく、熱伝導率の高い金属と樹脂を組み合わせて形成するなど、適宜設計することができる。
なお、固体レーザ結晶25から出力される基本波光は、非線形光学結晶27で高調波光へと変換されるが、基本波光は100%変換されるわけではなく、若干量の赤外光も非線形光学結晶27の出射端面を透過し、レーザ光源1の外部へ出射されてしまう。しかし、これらの赤外光を特許文献1のように、レーザ光源1のカバーに照射させると、カバー20が高温になると同時に、赤外半導体レーザ21も高温になりやすく、結果として、赤外半導体レーザ21の発光効率が低下してしまう。そのため、基本波光などを、カバー20に吸収させることはできる限り避ける構成にした方が良い。
固体レーザ結晶25としてネオジウム添加イットリウム・バナデート(Nd:YVO4)結晶を使用しており、この結晶のa軸方向、c軸方向における各結晶軸の熱膨張係数は、αa=4.43×10−6/K、αc=11.37×10−6/Kである。また、非線形光学結晶27として、酸化マグネシウム添加ニオブ酸リチウム(MgO:LiNbO3)を使用しており、この材料のa軸方向、c軸方向における各結晶軸の熱膨張係数は、αa=2.0×10−6/K、αc=2.2×10−6/Kとなっている。
通常、固体レーザ結晶と、非線形光学結晶を、オプティカルコンタクト、拡散融着(ディフュージョンボンディング)、接着剤等により接合する場合、固体レーザ結晶から発せられる光の偏光方向と、非線形光学結晶に入射するべき光の偏光方向とを一致させるために、Nd:YVO4のc軸と、Mg:LiNbO3のc軸とを一致させて接合する。ところが、YVO4結晶と、LiNbO3結晶とのc軸方向の熱膨張率の差は5倍以上であるため、レーザ発振時にYVO4結晶が発熱して温度が100℃前後にまで至った際に結晶にクラックが入るという問題があった。そこで本発明では、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の接合面を弱い接合である水素結合31で接合した後に接合部を含む側面を接着樹脂で被覆しており、これにより異種材料の熱膨張差を吸収することができるため、レーザ発振時のクラックの発生を防止し、画像表示装置の信頼性を向上させることができる。
ここで固体レーザ結晶と非線形光学結晶の接合体の製造方法について図3を用いて説明する。図3は、本発明の一実施例におけるレーザ波長変換装置の作製プロセスを示す状態遷移図である。図3において、30は表面処理によって固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27の表面に形成された水酸基である。31は固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27表面の水酸基30を近接させたときに形成される水素結合である。32は硬化前の接着樹脂33を貯蔵するためのタンクである。
図3(a)においては、接合面を鏡面研磨した固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27を65℃〜70℃に昇温・維持したアンモニアと過酸化水素水の混合溶液に15分浸し、処理後に数分の純水リンスを行った後、窒素ブローにより結晶表面の水滴を除去すると、図3(b)に示すように、接合面に水酸基で覆われた状態となる。その他の親水性処理としては、UV照射、プラズマによる表面処理などが挙げられるが、表面の親水性を高める処理方法であれば特に限定されない。これらの中では比較的簡便な装置(ヒータ、ドラフト、アンモニア水、過酸化水素水、純水など)で処理可能であり、量産性に優れた手法であるという利点からアンモニア過水処理が好ましい。その後図3(c)に示すように、それぞれの結晶表面を近接させると水素結合31による弱い結合を形成する。なお、波長変換効率を高くする、あるいは水素結合31を効率よく形成させるために接合面の面粗さはRa<10nmが好ましい。次に図3(d)に示すように、接合面を含む上下側面部に接着樹脂33を塗布し、図3(e)に示すように、硬化させることで接着樹脂26を得る。接着樹脂26は、エポキシ系、アクリル系等、適宜好適に応じどれを使用しても良いが、異種材料の熱膨張差を完全に吸収するには接着樹脂の接着強度を安定化させるために定量塗布が必要であり、そのためには光硬化タイプの接着樹脂が好ましい。
次に固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27の接合体において、側面が傾斜したタイプについては図4、溝を形成したタイプについては図5を用いて説明する。
図4は、本発明の別の実施例におけるレーザ波長変換装置を示す概略構成図である。図4で示すレーザ波長変換装置は、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の接合体の接合面に向かって傾斜した対向する側面に接着樹脂33を流し込んで硬化させたものである。また、図5は、本発明の別の実施例におけるレーザ波長変換装置を示す概略構成図である。図5のレーザ波長変換装置は、固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27の接合体の接合部にかかるように対向する側面に溝を形成し接着樹脂33を流し込んで硬化させたものである。このような形状にすることによって接着樹脂33のレーザ入射面や出射面への流出を抑制でき、定量塗布が可能なことから安定した密着強度が得られることで異種材料の熱膨張差による接合体のクラックや剥離を防止できることと、また、接着樹脂26の熱膨張方向を固体レーザ結晶25や非線形光学結晶27と合わせることができ、異種材料の熱膨張差を完全に吸収することにより、画像表示装置の信頼性が向上する。ここでは、接着樹脂26を塗布する位置として対向する面に塗布しているが、これは今回用いた固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張差が大きく、1側面に塗布するだけでは熱膨張差を吸収しきれず、亀裂や剥離が発生する可能性があるからである。接着樹脂26を塗布する位置は、固体レーザ結晶と非線形光学結晶の熱膨張差や形状に応じて変えることができる。
次に固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27の接合体において、側面に塗布する接着樹脂26に固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27を含有したものについて図6を用いて説明する。
図6は、本発明の別の実施例におけるレーザ波長変換装置を示す概略構成図である。図6においては、接着樹脂に固体レーザ結晶25と非線形光学結晶27を含有しているため接着樹脂26の熱膨張係数を固体レーザ結晶25や非線形光学結晶27の熱膨張係数に近づけることができることにより、接合体の信頼性が向上し、安定したレーザ出力が可能になるため、安定で信頼性に優れた画像表示装置が得られる。接着樹脂に入れる固体レーザ結晶と非線形光学結晶の含有比率は、それぞれの材料の熱膨張差を吸収するためには1:1であることが好ましい。また、含有量は、接着樹脂のハンドリングや強度を考慮すると10〜65vol%の範囲が適当で、形状や環境によって変えることができる。
本発明にかかるレーザ波長変換装置及びこれを用いた画像表示装置は、緑色レーザ光源において、赤外半導体レーザ励起の固体レーザ結晶と非線形光学結晶を接合させた構成により、ビームが安定出力を保つことができるため、より安定かつ高い信頼性を持つ画像表示装置を提供することが可能となる。
1 レーザ光源(緑色レーザ光源)
2 レーザ光源(赤色レーザ光源)
3 レーザ光源(青色レーザ光源)
4 コリメータレンズ(緑色レーザ光源用)
5 赤色コリメータレンズ(赤色レーザ光源用)
6 青色コリメータレンズ(青色レーザ光源用)
7、8 ダイクロイックミラー
9 拡散板
10 フィールドレンズ
11 ビームスプリッタ
12 空間光変調素子
13 投射レンズ
14 サーモスタット
15 スクリーン
20 カバー
21 赤外半導体レーザ
22 コリメートレンズ
23 フォーカシングレンズ
24 反射コート
25 固体レーザ結晶
26 接着樹脂
27 非線形光学結晶
28 レーザ共振器
29 ガラスカバー
30 水酸基
31 水素結合
32 樹脂タンク
33 硬化前接着樹脂
100 画像表示装置

Claims (6)

  1. 赤外半導体レーザからの励起光により励起される固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶により励起される光の波長を変換する非線形光学結晶と、前記固体レーザ結晶及び前記非線形光学結晶の前記赤外半導体レーザが入射する面及び出射する面に形成された反射層とを備え、前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂で被覆するようにしたことを特徴とするレーザ波長変換装置。
  2. 前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶の上面部及び下面部は接合された面に向かって傾斜させることにより前記接合体に溝部を形成することを特徴とする請求項1記載のレーザ波長変換装置。
  3. 前記溝部に前記接着樹脂を挿入することにより被覆するようにした請求項2記載のレーザ波長変換装置。
  4. 前記接着樹脂は固体レーザ結晶及び非線形光学結晶を含有することを特徴とする請求項1から3記載のレーザ波長変換装置。
  5. 前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部に溝部を形成し、該溝部に前記接着樹脂を挿入することにより被覆することを特徴とする請求項1記載のレーザ波長変換装置。
  6. 赤外光を出力する赤外半導体レーザと、青色レーザを出射する青色レーザと、赤色レーザを出射する赤色レーザと、前記赤外半導体レーザからの赤外光により励起される固体レーザ結晶と、前記固体レーザ結晶により励起される光の波長を変換する非線形光学結晶と、前記固体レーザ結晶及び前記非線形光学結晶の前記赤外半導体レーザが入射する面及び出射する面に形成された反射層とを備え、前記固体レーザ結晶と前記非線形光学結晶とを水素結合により相互に接合して接合体を形成し、前記接合体の少なくとも接合部を含む少なくとも上面部あるいは下面部を接着樹脂で被覆するようにしたことを特徴とする画像表示装置。
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