JP2011187320A - 電解質及び該電解質を備えた電気化学デバイス - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 イオン液体とアルギン酸とを含むことを特徴とする電解質などを提供する。
【選択図】 図2
Description
上記構成からなる電解質においては、アルギン酸によって流動性が抑制され且つ電気化学デバイスにおける電気的特性の低下が抑制されている。
該電解質は、イオン液体との親和性が高いアルギン酸を含むことから、電解質の流動性が抑制され、且つ、該電解質のイオン伝導性が前記イオン液体自体のイオン伝導性より低いものになることが抑制され得る。また、電気二重層キャパシタなどの電気化学デバイスに備えられた前記電解質は、該アルギン酸を含むことから、放電容量やクーロン効率などの電気的特性が前記イオン液体のみからなる電解質より低いものになることが抑制され得る。
前記フルオロアルキル基含有アニオンとしては、例えば、CF3CO2 -、パーフルオロアルキルスルホニル基含有アニオン等が挙げられる。
前記ピリジニウムとしては、例えば、1−プロピルピリジニウム、1−ブチルピリジニウム、1−エチル−3−(ヒドロキシメチル)ピリジニウム、1−エチル−3−メチルピリジニウム等が挙げられる。
前記ピロリジニウムとしては、例えば、N−メチル−N−プロピルピロリジニウム、N−メチル−N−ブチルピロリジニウム、N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウム等が挙げられる。
前記ピペリジニウムとしては、例えば、N−メチル−N−プロピルピペリジニウム等が挙げられる。
前記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム等が挙げられる。
前記ピラゾリウムとしては、例えば、1−エチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム、1−プロピル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム、1−ブチル−2,3,5−トリメチルピラゾリウム等が挙げられる。
また、前記イオン液体としては、入手しやすくイオン液体の有する電気的特性の低下が電気化学デバイスにおいてより抑制されるという点では、テトラフルオロボレート(BF4 -)アニオンを含むイオン液体が好ましい。
なお、斯かる粘度は、回転式粘度計(ブルックフィールド社製)により、RV−1スピンドルを用いて、20℃で回転数60rpm、測定時間1分の条件で測定したときの値である。
また、前記アルギン酸アルカリ土類金属塩としては、電気化学デバイスにおける電解質の電気的特性が比較的高温で優れたものになり得るという点で、アルギン酸カルシウム塩が好ましい。
また、前記アルギン酸は、1質量%以上のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることが好ましく、2質量%以上のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることがより好ましい。また、3質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることが好ましい。アルギン酸が1質量%以上3質量%以下、より好ましくは2質量%以上3質量%以下のアルギン酸一価塩の水溶液を用いて調製されたものであることにより、電気化学デバイスにおける電解質の電気的特性の低下がより抑制され得るという利点がある。
詳しくは、前記アルギン酸がアルギン酸架橋物(カルシウムによって架橋されたアルギン酸カルシウム塩、又は、硫酸によって架橋されたアルギン酸硫酸架橋物)である場合、前記電解質は、例えば、以下のようにして製造できる。
以下に示す原料を用いて、電気二重層キャパシタ用電解質を製造した。
・イオン液体 (1−エチル−3−メチルイミダゾリウム テトラフルオロボレート)
[以下、EMImBF4ともいう]
・アルギン酸ナトリウム
1(w/v)%水溶液粘度(20℃):1000mPa・s、
フードケミファ社製 商品名「ダックアルギンNSPH2」
具体的には、上記アルギン酸ナトリウムの1質量%水溶液をガラスプレート上にキャストし、キャストした該水溶液に1mol/L濃度の硫酸水溶液を加え、アルギン酸ナトリウムを硫酸架橋させた。そして、架橋により生成したアルギン酸架橋物を含むゲル状体をエタノールに浸漬したあと乾燥させることにより、水を取り除き、シート形状のアルギン酸架橋物を得た。その後、アルギン酸架橋物を上記イオン液体に浸漬し、ゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが2質量%濃度になるように水溶液を調製した点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが3質量%濃度になるように水溶液を調製した点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
硫酸水溶液に代えて3質量%の塩化カルシウム水溶液を用いることにより、カルシウムで架橋されたアルギン酸架橋物を得た点以外は、実施例1と同様にして、ゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが2質量%濃度になるように水溶液を調製した点、硫酸水溶液に代えて3質量%の塩化カルシウム水溶液を用いることにより、カルシウムで架橋されたアルギン酸架橋物を得た点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
原料として用いるアルギン酸ナトリウム水溶液が3質量%濃度になるように水溶液を調製した点、硫酸水溶液に代えて3質量%の塩化カルシウム水溶液を用いることにより、カルシウムで架橋されたアルギン酸架橋物を得た点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
実施例1で用いたアルギン酸ナトリウムに代えて下記のアルギン酸ナトリウムを用い、次のようにしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
・アルギン酸ナトリウム
1(w/v)%水溶液粘度(20℃):500mPa・s、
和光純薬社製 商品名「アルギン酸ナトリウム」
即ち、3質量%の上記アルギン酸ナトリウムの水溶液をガラスプレート上にキャストし、ガラスプレートごと−15℃に置いて水溶液を冷凍させた。該水溶液が冷凍したものに1mol/L濃度の硫酸水溶液を加え、その後、アルギン酸ナトリウムを硫酸架橋させつつ自然解凍させ、ゲル状体を得た。そして、アルギン酸架橋物を含むゲル状体をエタノールに浸漬して脱水操作を行い、アルギン酸架橋物を上記イオン液体(EMImBF4)に浸漬し、減圧下でエタノールを取り除き、ゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが3質量%濃度になるように水溶液を調製した点、イオン液体として下記のイオン液体を用いた点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
・イオン液体 (1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(フルオロ
スルフォニル)イミド) [以下、EMImFSIともいう]
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが2質量%濃度になるように水溶液を調製した点、硫酸水溶液に代えて3質量%の塩化カルシウム水溶液を用いることにより、カルシウムで架橋されたアルギン酸架橋物を得た点、イオン液体として上記のイオン液体[EMImFSI]を用いた点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが3質量%濃度になるように水溶液を調製した点、イオン液体として下記のイオン液体を用いた点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
・イオン液体 (1−エチル−3−メチルイミダゾリウム ビス(トリフルオロメチル
スルフォニル)イミド)
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが3質量%濃度になるように水溶液を調製した点、イオン液体として下記のイオン液体を用いた点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
・イオン液体 (N−メチル−N−プロピルピロリジニウム ビス(フルオロ
スルフォニル)イミド)
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが3質量%濃度になるように水溶液を調製した点、イオン液体として下記のイオン液体を用いた点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
・イオン液体 (N−メチル−N−プロピルピロリジニウム ビス(トリフルオロ
メチルスルフォニル)イミド)
原料として用いるアルギン酸ナトリウムが3質量%濃度になるように水溶液を調製した点、イオン液体として下記のイオン液体を用いた点以外は、実施例1と同様にしてゲル状且つシート形状の電解質を製造した。
・イオン液体(N−メチル−N−メトキシメチルピロリジニウム テトラフルオロ
ボレート)
イオン液体EMImBF4のみからなる電解質を製造した。
イオン液体EMImFSIのみからなる電解質を製造した。
実施例3,5の電解質及び比較例1の電解質(イオン液体自体[EMImBF4])におけるイオン伝導度をそれぞれ以下の方法によって測定した。
即ち、0〜80℃において開回路電圧でインピーダンス測定を行い、イオン伝導度の温度特性を調べた。インピーダンス測定においては、恒温槽内で電解質が所定温度に達してから計測を行い、その結果からイオン伝導度(σ:S/cm)を求めた。
以下の材料を用いて、電気二重層キャパシタを作製した。
・電解質(実施例1のゲル状の電解質)
・集電体(11φの白金板)
・電極(10φの活性炭繊維布ACFC 商品名「ACC-507-15」日本カイノール社製)
・フレーム(フッ素樹脂製)
即ち、実施例1の電解質を2枚の上記電極(活性炭繊維布)で挟み、さらに上記集電体(白金板)で挟み込んだ後、フッ素樹脂製フレームで固定し、電気二重層キャパシタを作製した。
実施例2〜7のゲル状の電解質をそれぞれ用いた点以外は、試験例1と同様にしてそれぞれの電気二重層キャパシタを作製した。
実施例8,9のゲル状の電解質(イオン性液体としてEMImFSIを含有)をそれぞれ用いた点以外は、試験例1と同様にしてそれぞれの電気二重層キャパシタを作製した。
ゲル状電解質に代えて、イオン液体[EMImBF4]のみからなる電解質(比較例1)を用いた点、セパレータとしてグラスファイバー(商品名「GB100R」 ADVANTEC社製)を用いた点以外は、試験例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
ゲル状電解質に代えて、イオン液体[EMImFSI]のみからなる電解質(比較例2)を用いた点、セパレータとしてグラスファイバー(商品名「GB100R」 ADVANTEC社製)を用いた点以外は、試験例1と同様にして電気二重層キャパシタを作製した。
試験例1〜11の電気二重層キャパシタについて、下記に示す条件で充放電試験を行った。
詳しくは、電圧範囲0〜2.5V(終止電圧2.5V)に設定し、充電及び放電における電流密度を2.5mAcm-2〜25mAcm-2の範囲で2.5mAcm-2ずつ変化させて定電流充放電試験を行った。ただし、2.5mAcm-2の電流密度で50サイクル後(プレサイクル後)に行った。温度条件は25℃、60℃、又は0℃とした。
試験例1〜3の電気二重層キャパシタについて、横軸を電流密度、縦軸を放電容量とした温度25℃における試験結果をプロットしたものを図1(a)に示す。また、試験例4〜6の電気二重層キャパシタにおける同様な条件での試験結果をプロットしたものを図1(b)に示す。
また、試験例3、5、10の電気二重層キャパシタについて、温度25℃、60℃、0℃の条件での試験結果をプロットしたものをそれぞれ図2(a)、図2(b)、図2(c)に示す。
また、試験例7、10の電気二重層キャパシタについて、温度25℃において行った試験結果をプロットしたものを図3に示す。
また、試験例8、9、11の電気二重層キャパシタについて、温度25℃で行った試験結果をプロットしたものを図4に示す。
図1〜図4から、イオン液体とアルギン酸とを含む電解質は、イオン液体の流動性を抑制するための高分子化合物を含んでいるにもかかわらず、該高分子化合物がアルギン酸であることにより、電気的特性(放電容量)が低下しにくいことが認識できる。また、イオン液体のみからなる電解質よりも電気的特性が優れたものになり得ることが認識できる。
試験例3、試験例5、及び試験例10の電気二重層キャパシタについて、電流密度2.5mAcm-2において行った、温度25℃、60℃、0℃での充放電曲線を表したものをそれぞれ図5(a)、図5(b)、図5(c)に示す。
試験例8、試験例9、及び試験例11の電気二重層キャパシタについて、温度25℃、電流密度2.5mAcm-2において行った、電圧範囲0〜2.5Vでの充放電曲線を表したものを図6に示す。
図5、図6から、イオン液体とアルギン酸とを含む電解質は、イオン液体の流動性を抑制するための高分子化合物を含んでいるにもかかわらず、該高分子化合物がアルギン酸であることにより、電気的特性が低下しにくいことが認識できる。また、電気的特性がイオン液体のみからなる電解質と同等なもの、又はそれより優れたものになり得ることが認識できる。
作製した電気二重層キャパシタを用いて、温度25℃、交流振幅10mV、周波数範囲20kHz〜10mHz、電圧範囲0〜2.5Vの測定条件おいて、交流インピーダンス測定を行った。X軸に実数のインピーダンス(Z’)、Y軸に虚数のインピーダンス(Z”)をとったNyquistプロット(Cole-Coleプロット)でその結果を示す。
試験例3及び試験例10の電気二重層キャパシタにおける結果を図7(a)に示す(拡大図を含む)。また、試験例7、及び試験例10の電気二重層キャパシタにおける結果を図7(b)に示す。
また、試験例8、試験例9、及び試験例11の電気二重層キャパシタについて、上記と同様な条件で測定した結果を図7(c)に示す(拡大図を含む)。
図7(a)と図7(c)とを比較することにより、ビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオン含有のイオン液体を含む電解質は、イオン拡散性能を反映する抵抗値がより低いという点で優れていると認識され、従って、斯かる電解質は、電気化学デバイスにおける放電出力の点で優れたものになり得るといえる。
作製した電気二重層キャパシタを用いて、電流密度12.5mAcm-2、電圧範囲0〜2.5Vの試験条件により、繰り返し充放電試験を行った。なお、特に記載のない限り温度条件25℃で行った。
縦軸が容量保持率、横軸が繰り返し回数(サイクル数)であるグラフに、試験例3及び試験例10の電気二重層キャパシタを用いて行った繰り返し充放電試験の結果をプロットしたものを図8に示す。なお、容量保持率は、プレサイクル後1サイクル目の放電容量に対する所定サイクル後の放電容量の百分率により算出した。
図8から、イオン液体とアルギン酸とを含む電解質は、イオン液体の流動性を抑制するための高分子化合物を含んでいるにもかかわらず、該高分子化合物がアルギン酸であることにより、電気的特性が低下しにくいことが認識できる。また、イオン液体のみからなる電解質よりも電気的特性が優れたものになり得ることが認識できる。
縦軸がクーロン効率、横軸が繰り返し回数(サイクル数)であるグラフに、試験例3及び試験例10の電気二重層キャパシタを用いて行った繰り返し充放電試験の結果をプロットしたものを図9に示す。
試験例3、試験例5、及び試験例10の電気二重層キャパシタを用いて、温度60℃及び0℃で行った繰り返し充放電試験の結果をプロットしたものをそれぞれ図10(a)、図10(b)に示す。
試験例8、試験例9、及び試験例11の電気二重層キャパシタを用いて、温度25℃で同様に行った繰り返し充放電試験の結果をプロットしたものを図11に示す。
試験例7及び試験例10の電気二重層キャパシタを用いて、温度25℃、電流密度2.5〜25mAcm-2(2.5mAcm-2ずつ増加)の試験条件で行った繰り返し充放電試験の結果を、縦軸がクーロン効率、横軸が電流密度であるグラフにプロットしたものを図12に示す。
図9〜図12から、イオン液体とアルギン酸とを含む電解質は、イオン液体の流動性を抑制するための高分子化合物を含んでいるにもかかわらず、該高分子化合物がアルギン酸であることにより、電気的特性(クーロン効率)がイオン液体のみからなる電解質と同等であることが認識できる。
作製した電気二重層キャパシタを用いて、電流密度2.5mAcm-2の条件で2.5Vまで充電したものを温度条件25℃、開回路で放置し、経時的に電圧を測定することにより、自己放電試験を行った。
試験例3及び試験例10の電気二重層キャパシタを用いて行った自己放電の結果を図13(a)に示す。
また、試験例7及び試験例10の電気二重層キャパシタを用いて同様に行った自己放電試験の結果を図13(b)に示す。
図13から、イオン液体とアルギン酸とを含む電解質は、イオン液体の流動性を抑制するための高分子化合物を含んでいるにもかかわらず、該高分子化合物がアルギン酸であることにより、電気的特性が低下しにくいことが認識できる。
作製した電気二重層キャパシタを用いて、温度条件25℃、4.0Vまでの様々な電圧で充電を行ったものについて、耐電圧試験を行った。
試験例3、試験例5、及び試験例10の電気二重層キャパシタについて、各充電電圧における時間−作動電圧曲線を表したものをそれぞれ図14(a)、図14(b)、図14(c)に示す。
図14から、試験例3及び試験例5の電気二重層キャパシタは、3.5Vの電圧まで曲線が安定しており、比較的高電圧の充電においても安定であることが認識できる。
また、二酸化炭素などの気体を吸収できるというイオン液体の有する特性を活かすべく、例えば、流動性が抑制されてゲル状となった電解質を気体吸収性ゲル膜に転用して用いることもできる。
Claims (4)
- イオン液体とアルギン酸とを含むことを特徴とする電解質。
- 前記アルギン酸が架橋されたアルギン酸である請求項1記載の電解質。
- 前記イオン液体がビス(フルオロスルフォニル)イミドアニオンを含むイオン液体である請求項1又は2記載の電解質。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の電解質を備えたことを特徴とする電気化学デバイス。
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