JP2011185827A - 加振検査システムおよび加振検査方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業を効率させ、安全性の向上を図ることが可能な加振検査システムおよび加振検査方法を提供する。
【解決手段】ガイド波を架空地線100に伝播させる加振部150と、ガイド波の反射波を受信する受信部152と、受信部152が受信した反射波から架空地線の破損箇所を推定する状態推定部140と、架空地線を挟んで取り付けることが可能な筐体112と、架空地線を巻回して配置される電磁石を構成するコイル120と、架空地線に所定の磁場を印加するバイアス磁石122と、を備え、筐体112は、架空地線の軸線方向と平行に分割された複数の分割筐体112a、112bからなり、複数の分割筐体112a、112bには、複数の分割筐体112a、112bを架空地線に取り付けた際に互いに電気的に接続されてコイル120を構成する分割コイル120a、120bがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【選択図】図5
【解決手段】ガイド波を架空地線100に伝播させる加振部150と、ガイド波の反射波を受信する受信部152と、受信部152が受信した反射波から架空地線の破損箇所を推定する状態推定部140と、架空地線を挟んで取り付けることが可能な筐体112と、架空地線を巻回して配置される電磁石を構成するコイル120と、架空地線に所定の磁場を印加するバイアス磁石122と、を備え、筐体112は、架空地線の軸線方向と平行に分割された複数の分割筐体112a、112bからなり、複数の分割筐体112a、112bには、複数の分割筐体112a、112bを架空地線に取り付けた際に互いに電気的に接続されてコイル120を構成する分割コイル120a、120bがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【選択図】図5
Description
本発明は、ケーブルの状態を検査する加振検査システムおよび加振検査方法に関するものである。
送電線を支持する鉄塔(送電鉄塔)は全高100m前後におよぶ巨大な建造物である。鉄塔は鉄製の骨組み構造を有しており、その表面には腐食に耐えるための防錆加工が施されている。しかし、巨大な鉄製の建造物であることは、落雷を誘発し易いということでもある。鉄塔に落雷すればその電荷は地絡させることができるが、送電線が雷の直撃を受けると、送電線の断線や異常電流の発生により大規模な停電を発生させてしまうおそれがある。そのため、送電鉄塔には雷から送電線を守るための架空地線(グランドワイヤ)が設けられている。
架空地線とは、送電鉄塔間の最上部(送電線の上方)に架設された線であり、送電線の代わりに雷を受けることで送電線への雷の直撃を防止する線である。架空地線は、複数の素線がよりあわされた構造を有しており、素線の材質にはアルミ等の導電性の金属が用いられている場合が多い。架空地線は導電性を有することで、落雷による雷サージ(雷による異常高電圧)を地面に導いて放電している。
このように、架空地線が避雷針と同じ役割を担うことで送電線の断線等による停電の発生等を防止しているものの、架空地線自体には落雷による素線切れが発生する場合がある。架空地線に素線切れが発生すると架空地線自体の断線を招き、別の事故に繋がるおそれがある。そのため架空地線には定期的な保守点検が必要とされている。
従来の架空地線に対する保守点検は技術者の視認に頼るものであった。例えば架空地線上を自走する機材にカメラを搭載して点検範囲を撮影したり、ヘリコプターから点検範囲を撮影するなどを行った後、技術者が映像を確認して架空地線の点検を行なうなど、多大な労力および時間のかかる作業であった。そのため、さらに簡易かつ確実に架空地線の保守点検を行うことのできる技術が望まれている。
保守点検に用いる技術の候補として、磁歪効果により発生させたガイド波(振動波)の反射波を用いる技術がある。例えば、特許文献1にはガイド波を用いてコンクリート柱に埋め込まれた緊張鋼線の断線を検出する技術が開示されている。この技術によれば、ガイド波を用いることで複数の緊張鋼線のうちのどの緊張鋼線が断線しているのか、どの位置で断線しているのかを特定することが可能であるとされている。
また、特許文献2には、磁歪効果により発生したガイド波を用いて、吊橋のケーブル等の腐食検出を行う装置および方法が開示されている。
上記のような磁歪効果によるガイド波を用いれば、架空地線の素線切れを検出できる可能性はある。しかし、架空地線に対する保守点検においては、他にはない特殊性がある。すなわち、上記のように架空地線は巨大な鉄塔の最も高いところに架設されている。したがって作業員は加振装置を所持して高所まで登らなくてはならず、小型で軽量であることが望まれる。
また、加振装置を架空地線に取り付けるためには、鉄塔に架設された架空地線を伝って移動し、鉄塔から所定距離(2〜3m)離れた位置にプローブ(加振を行い、反射波を検出するユニット)を取り付ける必要がある。したがって、加振装置の架空地線に対する装着は、できる限り簡易であることが望まれる。
また、磁歪効果を生じさせる加振装置は、バイアス磁界をかけるための強力な永久磁石(バイアス磁石)が備えられている。そして鉄塔は磁石が吸着する鉄材にて形成されているため、作業員が加振装置を所持して鉄塔を昇降するときに、バイアス磁石が鉄塔に吸着してしまう場合がある。したがって加振装置を鉄塔自体に近づけないように取り扱わなくてはならず、取り扱いが面倒であるばかりか、高所で作業員が姿勢を崩してしまうおそれもある。
これらのことから、磁歪効果によるガイド波を利用するとしても、さらに実作業を効率化して安全性を向上させることが求められている。
本発明は、このような課題に鑑み、作業を効率させ、安全性の向上を図ることが可能な加振検査システムおよび加振検査方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するために、本発明の代表的な構成は、ケーブルの軸線方向に伝播されるガイド波を用いてケーブルの状態を検査する加振検査システムであって、ガイド波をケーブルに伝播させる加振部と、ガイド波の反射波を受信する受信部と、受信部が受信した反射波からケーブルの破損箇所を推定する状態推定部と、ケーブルを挟んで取り付けることが可能な筐体と、ケーブルを巻回して配置される電磁石を構成するコイルと、ケーブルに所定の磁場を印加するバイアス磁石と、を備え、筐体は、ケーブルの軸線方向と平行に分割された複数の分割筐体からなり、複数の分割筐体には、複数の分割筐体をケーブルに取り付けた際に互いに電気的に接続されてコイルを構成する分割コイルがそれぞれ設けられていることを特徴とする。
上記構成によれば、ケーブル(架空地線等)に分割筐体を取り付け、各分割筐体を互いに接続するという簡易な操作を行なうだけで、コイルとバイアス磁石を好適な位置に配置して、ケーブルにガイド波を伝播させることができる。これによって、ケーブルの保守点検のための作業を効率化させ、作業の安全性の向上を図ることができる。なお、ガイド波はバイアス磁石から生じるバイアス磁界と、コイルから生じる振動磁場を利用して発振される振動波であり、ケーブルの軸線方向に伝播する縦波である。
バイアス磁石は永久磁石であってもよい。この構成によれば、永久磁石は外部からの電気的エネルギーを必要としないため、バイアス磁界の発生源として容易に配置場所を確保できる。これによって、当該加振検査システムの小型化に資することが可能となる。ただし、バイアス磁石として電磁石を用いてもよい。その場合、より多くの電力は必要となるが、永久磁石を用いる場合よりも小型化および軽量化を図ることができる。
筐体は、軟磁性材料で構成された磁気シールドを有するとよい。この構成によれば、磁気シールドが磁路となってバイアス磁石から生じる磁界を閉じることで、筐体から検査対象たるケーブル以外の外部へ磁束が漏洩することを防止できる。これにより、特にバイアス磁石に永久磁石を用いた場合において、磁力による外部への影響(例えば鉄塔への吸着)を考慮することなく容易に作業を行なうことが可能となる。
本発明にかかる加振検査方法の代表的な構成は、複数の分割筐体をケーブルを挟んでケーブルに取り付けることにより、バイアス磁石をケーブルの周囲に配置すると共に、各分割筐体に備えられた分割コイルを電気的に接続させてケーブルを巻回するコイルを形成し、バイアス磁石とコイルを用いて振動磁場を生じさせてガイド波を発振し、ガイド波をケーブルに伝播し、ガイド波の反射波を検出し、反射波からケーブルの破損箇所を推定することを特徴とする。
上述した加振検査システムにおける技術的思想に対応する構成要素やその説明は、当該加振検査方法にも適用可能である。
本発明によれば、ケーブルの保守点検のための作業を効率化させ、作業の安全性の向上を図ることが可能となる。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値などは、発明の理解を容易とするための例示に過ぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
図1は検査対象たる架空地線を説明する図である。図1に示すように架空地線100は送電鉄塔102間の最上部に架設されている。架空地線100は最上部に架設されていることで、その下の送電線104に雷が直撃することを防止している。架空地線100の端部は送電鉄塔102へと繋がっており、落雷による雷サージは架空地線100から送電鉄塔102を伝って地絡する。
図2は架空地線の形状と断線を説明する図である。図2(a)は架空地線100の形状を説明するための図である。図2(b)は図2(a)のA−A断面図である。図2(c)は雷の直撃による断線を起こした架空地線100を説明するための図である。
図2(a)に示したように、架空地線100は複数の素線106(図2(b)参照)がよりあわさった構造を有している。この構造により架空地線100は、引張強度を担保しつつ可撓性を備えている。各素線106はアルミニウム線やアルミ覆鋼線等であり、導電性を有することで雷サージを導くことが可能となっている。
そして図2(c)に示すように、架空地線100は雷の直撃を受けると素線切れを起こしてしまう場合がある。素線106がこのような状態になってしまうと架空地線100の風雨に対する耐久力が低下して断線を招いてしまうおそれがある。送電鉄塔102間は最大400mほどにもなり、その間に架設されている架空地線100も相応の長さを有している。そのような架空地線100が断線を起こすと大事故に繋がるおそれがあり危険である。そのため、架空地線100には定期的な保守点検が必要となる。
以下、本実施形態にかかる加振検査システム110の構成を説明する。図3は加振検査システム110の使用態様を説明する図、図4は加振検査システム110の構成を説明する図である。
図3に示すように、本実施形態にかかる加振検査システム110は、プローブ111と、測定端末114とを有して構成される。プローブ111は架空地線100の鉄塔から2〜3mの位置に取り付けられる。測定端末114は鉄塔に設置され、作業員が操作してプローブ111を制御することにより測定を行う。なお、図3では鉄塔を省略している。
プローブ111は架空地線100を自体の内部に通過させて架空地線100に取り付けることができ、架空地線100の軸線方向にガイド波を伝播させ、そのガイド波の反射波を受信することが可能である。プローブ111は、図4に示すように、ケーブル溝118と、コイル120(分割コイル120a、120b)と、バイアス磁石122と、磁気シールド124と、スリーブ部材126と、筐体112(分割筐体112a、112b)を有して構成されている。
筐体112は、材質に非磁性の弾性体を用いたプローブ111の外装を構成する部材である。筐体112が弾性を有することで内部構成を設置作業に伴う衝撃から守り、また運搬の利便性を向上させることが可能となる。本実施形態において筐体112は、架空地線110の軸線方向と平行(図3参照)に分割された複数の分割筐体112a、112bから構成されている。
ケーブル溝118は分割筐体112a、112bの間に形成された、架空地線100を挿通させるための円筒形の空洞である。上記のコイル120やバイアス磁石122等は、ケーブル溝118を中心に配置される。
コイル120は、振動磁界を生じさせる電磁石を構成する。本実施形態ではコイル120としてフラットフレキシブルケーブル(FFC)を用いており、筐体112のケーブル溝118を取り囲むように配置されている。コイル120は、分割筐体112a、112bにそれぞれ分割コイル120a、120bが設けられている。分割コイル120a、120bは、分割筐体112a、112bをケーブルに取り付けた際に、互いに電気的に接続されてコイルを構成する。
バイアス磁石122は架空地線100に所定のバイアス磁界を生じさせる磁石である。バイアス磁石122は図4(a)に示すようにケーブル溝118を中心とした円周上に配列されている。またバイアス磁石122は永久磁石であるとよく、永久磁石は外部からの電気的エネルギーを必要としないため、容易に場所を確保することができる。これにより当該加振システムの小型化に資することが可能となる。なお、本実施形態ではバイアス磁石122は複数の永久磁石として図示しているが、電気磁石を用いることも可能である。
磁気シールド124は、バイアス磁石122およびコイル120から生じる磁速を収束することで、筐体112から検査対象たる架空地線100以外の外部への磁束の漏洩を防止している。磁気シールド124の材料としては、軟磁性材料を好適に用いることができる。なお、軟磁性材料とは外部磁場が無いときは磁性を有さず、外部磁場が存在するときはその外部磁場の方向に磁化する性質を持つ(保磁力が小さく透磁率が大きい)材料をいう。
スリーブ部材126は、架空地線100に取り付けられている。架空地線100が鉄を含む場合には磁歪性を有するため、直接に振動を与えることができる。しかし架空地線100がアルミニウム製などである場合には、ほとんど磁歪効果を得ることができない。その場合には、磁歪材料(ニッケルやフェライト)などで形成したスリーブ部材126を架空地線100に取り付けることによって、適切にガイド波を発生させることができる。なおスリーブ部材126は、接着剤を用いたり、スリーブ部材126をカシメて変形させたりすることにより、架空地線100に取り付けることができる。
次に、プローブ111の態様について説明する。図5はプローブ111の態様を説明する図、図6はコイル120の接続を説明する図である。上述したように、プローブ111の筐体112は複数の分割筐体112a、112bから構成されており、それぞれに分割コイル120a、120bが備えられている。
図5(a)は、分割筐体112a、112bが分離した態様である。この場合において、各分割筐体112a、112bの間のケーブル溝118に架空地線110を挟み、各分割筐体112a、112b同士を互いに結合することで、筐体112を架空地線100上に設置することが可能となる。従って、各分割筐体112a、112bを互いに接続するという簡易な操作を行なうだけで、コイルとバイアス磁石を好適な位置に配置することができる。
図5(b)は、分割筐体112a、112bの一端をヒンジによって接続し、開閉可能に構成したものである。そして分割筐体112a、112bを閉じることによってその間のケーブル溝118に架空地線110を挟み込むことができる。これにより、各分割筐体112a、112bを互いに接続する操作を、さらに簡易なものにすることができる。
また、図6に示すように分割筐体112a、112bの接合面には、分割コイル120a、120bを互いに接続するための接続子130と、コネクタ132を有している。接続子130とコネクタ132は、接触式でもよく、差し込み式でもよい。これにより、各分割筐体112a、112bを結合するだけで分割コイル120a、120bを接続し、架空地線100を取り巻くコイル120を構成することができる。
測定端末114はプローブ111の作動を制御し、プローブ111から得た情報を基にして架空地線100の破損箇所を測定することが可能である。図7は測定端末114の概略構成を説明するブロック図である。図7に示すように、測定端末114は、状態推定部140と、記憶部142と、表示部144と、操作部146とを含んで構成され、さらに状態推定部140は加振部150と、受信部152と、A/D変換器154と、距離取得部156とを含んで構成される。
状態推定部140は、中央処理装置(CPU)を含む半導体集積回路によりプローブ111を管理および制御する。記憶部142は、ROM、RAM、EEPROM、不揮発性RAM、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成され、状態推定部140で処理されるプログラムを記憶する。表示部144は、液晶ディスプレイ、EL(Electro Luminescence)、PDP(Plasma Display Panel)等で構成され、記憶部142に記憶されたアプリケーションのGUI(Graphical User Interface)を表示することができる。操作部146は、キーボード、十字キー、ジョイスティック等の複数のキー(スイッチ)およびマウスから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。
加振部150は、プローブ111に配置されているコイル120に通電させる電流を制御して所定の振動磁場を生じさせることが可能である。加振部150の制御により生じた振動磁場によってガイド波がスリーブ部材126または架空地線100内に発生する。このガイド波が架空地線100に伝播すると、架空地線100の破損箇所等で反射して反射波となる。
受信部152は、ガイド波の反射波によってコイル120に発生する起電力を検出することで、反射波を受信する。A/D変換器154は、受信部152によって増幅されたアナログ信号としての反射波をデジタル信号に変換する。
距離取得部156は、コイル120から受信部152、A/D変換器154を経て得た反射波の信号から、ガイド波に反射が起こった位置を推定する。すなわち、ガイド波を発振してから反射波を検知するまでの時間と、架空地線100内を進行するガイド波の速度とから、プローブ111から破損箇所までの距離を推定する。また、距離取得部156は得られた情報を表示部144に数値や波形図などによって視覚的に表示させることが可能である。
(加振検査方法)
以下、図8を用いて加振検査方法について説明する。図8は加振検査方法を説明するフローチャートである。
以下、図8を用いて加振検査方法について説明する。図8は加振検査方法を説明するフローチャートである。
まず、分割筐体112a、112bによって架空地線100を挟むことにより、プローブ111を架空地線100に取り付ける。このとき分割コイル120a、120bが電気的に接続されて、架空地線100を巻回するコイル120が形成される(S200)。これに伴って、プローブ111に内蔵されているバイアス磁石122も架空地線100の周囲に配置される。
つぎに、加振部150によりコイル120に所定の電流を通電し、振動磁場を発生させる(S210)。振動磁場が発生すると、スリーブ部材126または架空地線100に磁歪効果によって振動が生じ、この振動がガイド波となる(S220)。このガイド波が架空地線100を伝播し、架空地線100に破損箇所等が存在すると、ガイド波がその箇所で反射して反射波となる。
反射波がプローブ111の設置箇所に到達すると、そのガイド波の振動によりコイル120に起電力が発生する。この起電力を用いて受信部152が反射波を受信し(S230)、距離取得部156が受信部152が得た反射波の信号から破損箇所を推定し、表示部144に得られた情報を視覚的に表示させ(S240)、終了となる。また受信部152は受信した反射波を記憶部142に記憶させてもよく、距離取得部156は取得した破損箇所の位置(距離)を記憶部142に記憶させてもよい。
(試験結果)
以下、本実施形態にかかる加振検査システムによる試験結果について説明する。図9は加振検査システムによる試験結果の例を説明する図である。本試験は、約12mの架空地線100を用いて行った。プローブ111は架空地線100の一端から2.49mの位置に設置してガイド波を発振した。
以下、本実施形態にかかる加振検査システムによる試験結果について説明する。図9は加振検査システムによる試験結果の例を説明する図である。本試験は、約12mの架空地線100を用いて行った。プローブ111は架空地線100の一端から2.49mの位置に設置してガイド波を発振した。
図9(a)は正常な架空地線100から得た試験結果のグラフである。ガイド波は架空地線100内を伝播すると、送電鉄塔102等に支持されている端部に反射し、その反射波が波線として検出される。図9(a)には筐体から2.49mの位置にある一端部(手前側)と、筐体から9.5mの位置にある他端部(遠方側)が波線として検出されている。
図9(b)は、一端部から0.5mの位置に素線切れを発生させてある架空地線100に対する試験結果である。図9(a)と比較して、一端部および他端部の位置は変わらないが、一端部から0.5mの位置に素線切れ箇所からの反射波が検出されていることがわかる。このように当該加振検査システム110および加振検査方法を用いることで、架空地線100上の破損箇所を容易に検出することが可能となる。
上記説明した如く、本実施形態にかかる加振検査システムの構成によれば、ケーブル(架空地線100等)に分割筐体112a、112bを取り付け、各分割筐体112a、112bを互いに接続するという簡易な操作を行なうだけで、コイル120とバイアス磁石122を好適な位置に配置して、ケーブルにガイド波を伝播させることができる。これによって、ケーブルの保守点検のための作業を効率化させ、作業の安全性の向上を図ることができる。
なお、上記実施形態においては鉄塔に架設される架空地線について説明したが、本発明はこれに限定するものではない。例えば電柱に張架された電線や、地中埋設電線、さらにはエレベータ等のワイヤーなど、張架された様々なケーブルの状態を検査するために用いることができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
本発明は、ケーブルの状態を検査する加振検査システムおよび加振検査方法に利用することができる。
100…架空地線
102…送電鉄塔
104…送電線
106…素線
110…加振検査システム
111…プローブ
112…筐体
112a…筐体
112b…筐体
114…状態推定部
118…ケーブル溝
120…コイル
120a…コイル
120b…コイル
122…バイアス磁石
124…磁気シールド
126…スリーブ部材
130…接続子
132…コネクタ
140…制御部
142…記憶部
144…表示部
146…操作部
150…加振部
152…受信部
154…A/D変換器
156…距離取得部
102…送電鉄塔
104…送電線
106…素線
110…加振検査システム
111…プローブ
112…筐体
112a…筐体
112b…筐体
114…状態推定部
118…ケーブル溝
120…コイル
120a…コイル
120b…コイル
122…バイアス磁石
124…磁気シールド
126…スリーブ部材
130…接続子
132…コネクタ
140…制御部
142…記憶部
144…表示部
146…操作部
150…加振部
152…受信部
154…A/D変換器
156…距離取得部
Claims (4)
- ケーブルの軸線方向に伝播されるガイド波を用いてケーブルの状態を検査する加振検査システムであって、
前記ガイド波を前記ケーブルに伝播させる加振部と、
前記ガイド波の反射波を受信する受信部と、
前記受信部が受信した前記反射波から前記ケーブルの破損箇所を推定する状態推定部と、
前記ケーブルを挟んで取り付けることが可能な筐体と、
前記ケーブルを巻回して配置される電磁石を構成するコイルと、
前記ケーブルに所定の磁場を印加するバイアス磁石と、
を備え、
前記筐体は、ケーブルの軸線方向と平行に分割された複数の分割筐体からなり、
前記複数の分割筐体には、該複数の分割筐体を前記ケーブルに取り付けた際に互いに電気的に接続されて前記コイルを構成する分割コイルがそれぞれ設けられていることを特徴とする加振検査システム。 - 前記バイアス磁石は永久磁石であることを特徴とする請求項1に記載の加振検査システム。
- 前記筐体は、軟磁性材料で構成された磁気シールドを有することを特徴とする請求項1に記載の加振検査システム。
- 複数の分割筐体をケーブルを挟んで該ケーブルに取り付けることにより、バイアス磁石を該ケーブルの周囲に配置すると共に、各分割筐体に備えられた分割コイルを電気的に接続させて該ケーブルを巻回するコイルを形成し、
前記バイアス磁石と前記コイルを用いて振動磁場を生じさせてガイド波を発振し、
前記ガイド波を前記ケーブルに伝播し、
前記ガイド波の反射波を検出し、
前記反射波から前記ケーブルの破損箇所を推定することを特徴とする加振検査方法。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2017183188A1 (ja) * | 2016-04-22 | 2017-10-26 | 三菱電機株式会社 | ロープ損傷診断検査装置 |
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2010
- 2010-03-10 JP JP2010052987A patent/JP2011185827A/ja active Pending
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