JP2011185430A - 無段変速機の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】目標油圧の変化に対する実際の油圧の変化の遅れを抑制することのできる無段変速機の制御装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる電子制御装置300は、油圧制御部200に対して、無段変速機100のプライマリプーリ130における油圧Pin及びセカンダリプーリ150における油圧Poutの目標値である目標油圧Pintrg,Pouttrgに基づいた駆動指令を出力することにより、各プーリ130,150における油圧Pin,Poutを操作して変速比γを制御する。電子制御装置300は、急変速が要求されているときに、目標油圧Pintrg,Pouttrgに対して油圧Pin,Poutの応答遅れを相殺するための補正値を加算した指示油圧Pinord,Poutordを算出し、算出された指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に対して出力する急変速制御を実行する。
【選択図】図1

Description

この発明は一対のプーリに巻き掛けられたベルトの巻き掛け半径を変更することにより変速比を変化させる無段変速機の制御装置に関し、特に各プーリに供給されている油圧を制御することによって変速比を制御する無段変速機の制御装置に関する。
車両に搭載される無段変速機として、内燃機関の駆動力が伝達されるプライマリプーリと、車輪に連結されたセカンダリプーリと、これら一対のプーリに巻き掛けられたベルトとを備え、各プーリにおけるベルトの巻き掛け半径を変化させることにより変速比を連続的且つ無段階に変更するベルト式の無段変速機が知られている。
こうしたベルト式の無段変速機は、各プーリに設けられた油圧室内の油圧を変更して各プーリがベルトを挟む力である推力を変更することにより各プーリにおけるベルトの巻き掛け半径を変更し、変速比を制御する。
具体的には、変速比を小さくする場合には、プライマリプーリの油圧室の油圧を上昇させてプライマリプーリにおける推力を増大させるとともに、セカンダリプーリの油圧室の油圧を低下させてセカンダリプーリにおける推力を減少させる。これにより、プライマリプーリにおけるベルトの巻き掛け半径が大きくなる一方、セカンダリプーリにおけるベルトの巻き掛け半径が小さくなり、変速比が小さくなる。
一方で、変速比を大きくする場合には、プライマリプーリの油圧室の油圧を低下させてプライマリプーリにおける推力を減少させるとともに、セカンダリプーリの油圧室の油圧を上昇させてセカンダリプーリにおける推力を増大させる。これにより、プライマリプーリにおけるベルトの巻き掛け半径が小さくなる一方、セカンダリプーリにおけるベルトの巻き掛け半径が大きくなり、変速比が大きくなる。
こうした無段変速機の制御装置として、特許文献1には、実際の変速比を目標変速比に近づけるように、変速比を変更している過渡状態のときに、現在の変速比を目標変速比に一致させるために必要とされる変速速度を算出し、算出された変速速度を達成するために必要な油圧をプーリに供給するものが記載されている。
特開平3‐181659号公報
ところで、ダウンシフトやアップシフトの要求に伴って目標変速比が短期間の間に大幅に変更された場合には、現在の変速比と目標変速比との乖離が急激に大きくなる。そのため、変速比を目標変速比に一致させるために必要とされる変速速度が高くなり、この変速速度を実現するために各プーリの油圧を大幅に変化させる必要がある。
例えば、急なダウンシフトの要求に伴って目標変速比が急激に大きくなった場合には、図11に破線で示されるようにセカンダリプーリの油圧Poutの目標値である目標油圧Pouttrgが急激に増大する。
このとき、制御装置が、この目標油圧Pouttrgをそのまま指示油圧として設定し、この指示油圧に対応する駆動指令を各プーリの油圧を制御する油圧制御部に対して出力した場合には、図11に実線で示されるようにセカンダリプーリの油圧Poutが遅れて増大するようになる。尚、この油圧Poutの変化の遅れは、油圧制御部の応答遅れや、作動油の粘性による作動油の輸送遅れ等に起因するものである。
このように油圧Poutが目標油圧Pouttrgの変化に対して遅れて増大した場合には、目標とする変速速度を実現することができず、変速比の変化を目標変速比の変化に追従させること、すなわち要求に即した変速制御を実現することができなくなってしまう。
尚、こうした課題は、急なアップシフトの要求に伴って目標変速比が急激に小さくなった場合にも同様に生じ得る。すなわち、目標変速比が急激に小さくなった場合にはプライマリプーリの油圧Pinの目標値である目標油圧Pintrgが急激に増大する。このとき、制御装置が目標油圧Pintrgをそのまま指示油圧として設定し、この指示油圧に対応する駆動指令を油圧制御部に対して出力した場合には、プライマリプーリの油圧Pinが目標油圧Pintrgの変化に対して遅れて増大するようになってしまう。
この発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、目標油圧の変化に対する実際の油圧の変化の遅れを抑制することのできる無段変速機の制御装置を提供し、ひいては要求に即した変速制御を実現することにある。
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
請求項1に記載の発明は、一対のプーリに巻き掛けられたベルトの巻き掛け半径を変更することにより変速比を変化させることのできるベルト式の無段変速機を制御する制御装置であり、前記無段変速機の各プーリに設けられた油圧室内の作動油の油圧を制御する油圧制御部に対して各プーリにおける油圧の目標値である目標油圧に基づいた駆動指令を出力することにより、各プーリにおける油圧を操作して前記変速比を制御する無段変速機の制御装置において、急変速が要求されているときに、前記目標油圧に対して油圧の応答遅れを相殺するための補正値を加算した指示油圧を算出し、算出された前記指示油圧に対応する前記駆動指令を前記油圧制御部に対して出力する急変速制御を実行することをその要旨とする。
上記構成によれば、急変速が要求されたとき、すなわち変速比を短期間の間に大幅に変更することが要求されたときに、急変速制御が実行され、目標油圧に対して補正値を加算した値が指示油圧として算出されるようになる。そして、その指示油圧に対応する駆動指令に基づいて油圧制御部が駆動されるようになる。
そのため、プーリの油圧を速やかに変化させる必要のある急変速に際して、油圧の応答遅れを相殺するように油圧制御部が駆動されるようになり、実際の油圧の変化を目標油圧の変化に追従させることができるようになる。すなわち、上記請求項1に記載の発明によれば、目標油圧の変化に対する実際の油圧の変化の遅れを抑制することができるようになり、ひいては要求に即した変速制御を実現することができるようになる。
ところで、常に目標油圧に対して補正値を加算した値として算出された指示油圧に対応する駆動指令を出力して油圧制御部を駆動するようにした場合、すなわち急変速が要求されておらず、油圧の変化に遅れが生じるおそれがないときにも目標油圧に対して補正値を加算した値として指示油圧を算出するようにした場合には、制御装置の演算負荷が増大するとともに、プーリの油圧が安定しにくくなり、変速制御が不安定になってしまうおそれがある。
これに対して、上記請求項1に記載の発明にあっては、急変速が要求されているときに、急変速制御を実行し、目標油圧に対して補正値を加算した値を算出するようにしている。そのため、油圧の変化に遅れが生じるおそれのあるときにのみ、補正値が加算された指示油圧に基づいて油圧制御部が駆動されるようになる。したがって、上記請求項1に記載の発明によれば、遅れが生じる可能性に即した態様で指示油圧を算出することができ、上記のような演算負荷の増大や、変速制御の不安定化を抑制することもできるようになる。
尚、目標変速比を設定し、実際の変速比を設定された目標変速比に一致させるように変速比を変更するフィードバック制御を実行している場合には、急変速が要求されたときに、実際の変速比と目標変速比との乖離が大きくなる。そのため、急変速が要求されていることを判定する判定手段としては、請求項2に記載されているように、実際の変速比と目標変速比との乖離の大きさが基準値以上であるか否かを判定し、実際の変速比と目標変速比との乖離の大きさが基準値以上であるときに急変速が要求されていることを判定する構成を採用することができる。
こうした構成によれば、実際の変速比と目標変速比との乖離の大きさに基づいて容易に且つ適切に急変速が要求されていることを判定することができる。
また、プーリの回転速度の目標値である目標回転速度を設定し、プーリの実際の回転速度を目標回転速度に一致させるように変速比を変更するフィードバック制御を実行している場合には、急変速が要求されたときに、実際の回転速度と目標回転速度との乖離が大きくなる。そのため、急変速が要求されていることを判定する判定手段としては、請求項3に記載されているように、プーリの回転速度と目標回転速度との乖離の大きさが基準速度差以上であるか否かを判定し、実際の回転速度と目標回転速度との乖離の大きさが基準速度差以上であるときに急変速が要求されていることを判定する構成を採用することができる。
こうした構成を採用すれば、実際の回転速度と目標回転速度との乖離の大きさに基づいて容易に且つ適切に急変速が要求されていることを判定することができる。
変速比の変更に伴って一方のプーリにおける油圧を増大させた場合には、同プーリにおける推力が増大して、そのプーリにおけるベルトの巻き掛け半径が大きくなる。その結果、他方のプーリにはベルトの張力により同プーリを押し広げる力が作用するようになる。したがって、押し広げられたこのプーリにおけるベルトの巻き掛け半径が小さくなるとともに、そのプーリの油圧室からは作動油が排出されるようになる。
すなわち、変速比を変更する場合には、上記のようなベルトの張力による作用の分だけ、油圧室内の作動油を排出させる方向、すなわち油圧を低下させる方向への油圧操作が容易に進行するようになる。
そこで、急変速制御の実行に伴って目標油圧に対して補正値を加算した値として指示油圧を算出し、その指示油圧に対応する駆動指令に基づいて油圧制御部を駆動する場合には、請求項4に記載されているように、変速比の変更に伴って油圧を増大させる必要のあるプーリに対してこうした補正値を加算した指示油圧に基づく油圧操作を実施することが望ましい。
こうした構成を採用すれば、油圧を低下させる方向の油圧操作と比較して進行しにくい、すなわち油圧の変化に遅れが生じやすい油圧を増大させる方向の油圧操作に対して補正値を加算した指示油圧に基づく油圧操作が実施されるようになる。そのため、油圧の変化の遅れを好適に抑制することができるようになる。
具体的には、請求項5に記載されているように、前記変速比を小さくするときには、前記一対のプーリのうち、入力側のプーリに対する前記目標油圧に対して前記補正値を加算した値を算出することによって同入力側のプーリに対する前記指示油圧を算出する一方、出力側のプーリに対する前記目標油圧に対しては前記補正値を加算した値を算出することによる前記指示油圧の算出を実施せずに、同目標油圧をそのまま前記出力側のプーリに対する前記指示油圧として設定するといった急変速制御を実行する構成を採用することができる。
また、請求項6に記載されているように、前記変速比を大きくするときには、前記一対のプーリのうち、出力側のプーリに対する前記目標油圧に対して前記補正値を加算した値を算出することによって同出力側のプーリに対する前記指示油圧を算出する一方、入力側のプーリに対する前記目標油圧に対しては前記補正値を加算した値を算出することによる前記指示油圧の算出を実施せずに、同目標油圧をそのまま前記入力側のプーリに対する前記指示油圧として設定するといった急変速制御を実行する構成を採用することもできる。
尚、上記の補正値及び同補正値を加算した指示油圧の具体的な算出方法としては、請求項7に記載されているように、油圧制御部の遅れ特性を一次遅れの伝達関数によってモデル化するとともに、作動油の遅れ特性を一次遅れの伝達関数によってモデル化し、これらの伝達関数からなる遅れモデルを直列に並べた遅れモデルに対する補償器に基づく下記の数式(1)に示される関係を利用する方法を採用することができる。
Figure 2011185430
尚、上記の数式(1)における目標油圧「Ptrg」の一階微分を含む項と目標油圧「Ptrg」の二階微分を含む項との和が、上記補正値に相当するものである。
尚、上記の数式(1)における「s」はラプラス演算子であり、時定数「T1」及び時定数「T2」は予め実験等を行うことによって同定することができる。
また、請求項8に記載されているように、上記の数式(1)における目標油圧「Ptrg」の一階微分に対する係数を「A」にするとともに、目標油圧「Ptrg」の二階微分に対する係数を「B」にした下記の数式(2)に示される関係を利用して補正値及び同補正値を加算した指示油圧を算出する構成を採用することもできる。
Figure 2011185430
尚、この場合には、予め実験等を行い、その結果に基づいて「A」及び「B」の値を同定する必要がある。
作動油の温度が低い場合には、作動油の粘性が増大して作動油が流れにくくなるため、油圧の変化に遅れが生じやすくなる。そのため、請求項9に記載されているように作動油の温度を推定する推定手段を設け、推定手段によって推定された作動油の温度が低いときほど補正値を大きくする構成を採用することが望ましい。こうした構成を採用すれば、作動油の粘性が高くなり、油圧の変化に遅れが生じやすくなるときほど補正値が大きくなり、目標油圧の変化量に対する指示油圧の変化量が増大されるようになる。したがって、請求項9に記載の発明によれば、作動油の温度変化による作動油の遅れ特性の変化に即した油圧制御を実現し、油圧の変化の遅れをより好適に抑制することができるようになる。
この発明の一実施形態にかかる電子制御装置、並びに同電子制御装置の制御対象である無段変速機の概略構成を示す模式図。 (a)は無段変速機の各プーリの断面図、(b)は無段変速機の各プーリの側面図。 同実施形態にかかる変速制御ルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャート。 急変速制御にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 遅れモデルを説明するためのブロック図。 遅れを相殺することのできる指示油圧の算出方法を説明するためのブロック図。 急変速制御によるダウンシフトにおけるセカンダリプーリの目標油圧、指示油圧、並びに実際の油圧の変化を示すタイムチャート。 急変速制御によるアップシフトにおけるプライマリプーリの目標油圧、指示油圧、並びに実際の油圧の変化を示すタイムチャート。 変更例としての変速制御ルーチンにかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 同変更例の急変速制御にかかる一連の処理の流れを示すフローチャート。 従来の変速制御における目標油圧の変化と実際の油圧の変化との関係を示すタイムチャート。
以下、この発明にかかる無段変速機の制御装置を、車両を統括的に制御する電子制御装置300として具体化した一実施形態について、図1〜8を参照して説明する。
尚、図1は本発明の無段変速機の制御装置としての電子制御装置300、並びに同電子制御装置300の制御対象である無段変速機100の概略構成を示す模式図である。
図1に示されるように無段変速機100におけるトルクコンバータ110の入力軸は内燃機関400の出力軸に接続されている。一方で、同トルクコンバータ110の出力軸は、切替機構120の入力軸に接続されている。
この切替機構120は、ダブルピニオン型の遊星歯車機構であり、フォワードクラッチ121とリバースブレーキ122とを備えている。そして、切替機構120の出力軸は入力側のプーリであるプライマリプーリ130に連結されている。
これにより、フォワードクラッチ121を係合させる一方でリバースブレーキ122を解放しているときには、トルクコンバータ110を介して入力された内燃機関400の駆動力がそのままプライマリプーリ130に伝達される状態となる。これに対して、フォワードクラッチ121を解放する一方でリバースブレーキ122を係合させているときには、トルクコンバータ110を介して入力された内燃機関400の駆動力が反転されて逆回転の駆動力としてプライマリプーリ130に伝達される状態となる。
尚、この切替機構120にあっては、フォワードクラッチ121とリバースブレーキ122との双方を解放することにより、内燃機関400とプライマリプーリ130との間の駆動力の伝達が遮断されるようになっている。
プライマリプーリ130は、ベルト140によって出力側のプーリであるセカンダリプーリ150と連結されている。すなわち、図1の中央に示されるように平行に並べられたプライマリプーリ130とセカンダリプーリ150には、1本のベルト140が巻き掛けられており、このベルト140を介してプライマリプーリ130とセカンダリプーリ150との間で駆動力が伝達されるようになっている。
セカンダリプーリ150は、図1の下方右側の部分に示されるように減速ギア160を介してディファレンシャル170に連結されている。これにより、セカンダリプーリ150の回転は減速ギア160を介してディファレンシャル170に伝達される。そして、ディファレンシャル170に伝達された駆動力は、ディファレンシャル170を介して左右の駆動輪に伝達されるようになっている。
図2(a)の上方に示されるようにプライマリプーリ130は、固定シーブ131と、可動シーブ132とを備えている。可動シーブ132はハウジング133内に同ハウジング133に対して移動可能に組み込まれており、ハウジング133と可動シーブ132との間には油圧室134が区画形成されている。
また、図2(a)の下方に示されるようにセカンダリプーリ150も、固定シーブ151と可動シーブ152とを備えている。そして、プライマリプーリ130と同様に、セカンダリプーリ150における可動シーブ152もハウジング153内に同ハウジング153に対して移動可能に組み込まれている。これにより、セカンダリプーリ150におけるハウジング153と可動シーブ152との間にも、油圧室154が区画形成されている。
図2(a)及び図2(b)に示されるように、ベルト140はプライマリプーリ130とセカンダリプーリ150とに巻き掛けられている。そして、ベルト140は、プライマリプーリ130における固定シーブ131と可動シーブ132との間に挟み込まれているとともに、セカンダリプーリ150における固定シーブ151と可動シーブ152との間に挟み込まれている。
そのため、プライマリプーリ130における油圧室134内の油圧Pinを変化させることにより、プライマリプーリ130における固定シーブ131と可動シーブ132との間隔が変化し、プライマリプーリ130においてベルト140に作用する推力Wpriが変化するようになる。また、セカンダリプーリ150における油圧室154内の油圧Poutを変化させることにより、セカンダリプーリ150における固定シーブ151と可動シーブ152との間隔が変化し、セカンダリプーリ150においてベルト140に作用する推力Wsecが変化するようになる。
図2(a)に示されるように、各シーブ131,132,151,152には、ベルト140と接触する部分に勾配が設けられている。そのため、プライマリプーリ130における推力Wpriを変更するとともに、セカンダリプーリ150における推力Wsecを変更することにより、各プーリ130,150におけるベルト140の巻き掛け半径Rin,Routが変化するようになる。
具体的には、プライマリプーリ130における推力Wpriを増大させるとともに、セカンダリプーリ150における推力Wsecを減少させることにより、プライマリプーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが大きくなり、セカンダリプーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが小さくなる。一方で、プライマリプーリ130における推力Wpriを減少させるとともに、セカンダリプーリ150における推力Wsecを増大させることにより、プライマリプーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが小さくなり、セカンダリプーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが大きくなる。
無段変速機100にあっては、各プーリ130,150の油圧Pin,Poutを変更することにより、推力Wpri,Wsecを変更して各プーリ130,150におけるベルト140の巻き掛け半径Rin,Routを変更し、変速比γを制御する。
具体的には、変速比γを小さくするアップシフトの場合には、プライマリプーリ130の油圧室134の油圧Pinを上昇させてプライマリプーリ130における推力Wpriを増大させるとともに、セカンダリプーリ150の油圧室154の油圧Poutを低下させてセカンダリプーリ150における推力Wsecを減少させる。これにより、プライマリプーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが大きくなる一方、セカンダリプーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが小さくなり、変速比γが小さくなる。
一方で、変速比γを大きくするダウンシフトの場合には、プライマリプーリ130の油圧室134の油圧Pinを低下させてプライマリプーリ130における推力Wpriを減少させるとともに、セカンダリプーリ150の油圧室154の油圧Poutを上昇させてセカンダリプーリ150における推力Wsecを増大させる。これにより、プライマリプーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinが小さくなる一方、セカンダリプーリ150におけるベルト140の巻き掛け半径Routが大きくなり、変速比γが大きくなる。
図1に示されるように、各プーリ130,150の油圧室134,154は、油圧制御部200と接続されている。油圧制御部200は、電子制御装置300から出力される駆動指令に基づいて駆動される複数のソレノイドバルブを備えた油圧回路である。そして、作動油の油圧を調整して各油圧室134,154に作動油を供給したり、各油圧室134,154内の作動油を排出させたりすることにより、各油圧室134,154内の油圧Pin,Poutを調整する。
電子制御装置300は、内燃機関400の制御にかかる演算処理や、油圧制御部200を通じた無段変速機100の制御にかかる演算処理等を実行する中央演算処理装置(CPU)を備えている。また、電子制御装置300は、演算処理のための演算プログラムや演算マップ、そして各種のデータが記憶された読み出し専用メモリ(ROM)、演算の結果を一時的に記憶するランダムアクセスメモリ(RAM)等を備えている。
図1に示されるように電子制御装置300には、下記のようなセンサが接続されている。
アクセルポジションセンサ301は運転者によるアクセルペダルの踏み込み量を検出する。エアフロメータ302は内燃機関400に導入される空気の量である吸入空気量GA及び温度を検出する。クランク角センサ303は内燃機関400の出力軸であるクランクシャフトの回転角に基づいて機関回転速度NEを検出する。タービン回転速度センサ304は切替機構120の近傍に設けられてトルクコンバータ110のタービンの回転速度を検出する。プライマリプーリ回転速度センサ305はプライマリプーリ130の近傍に設けられてプライマリプーリ130の回転速度Ninを検出する。セカンダリプーリ回転速度センサ306はセカンダリプーリ150の近傍に設けられてセカンダリプーリ150の回転速度Noutを検出する。車輪速センサ307は各車輪の近傍に設けられて各車輪の回転速度をそれぞれ検出する。
電子制御装置300は、これらの各種センサ301〜307からの出力信号に基づいて、内燃機関400や無段変速機100を統括的に制御する。例えば、セカンダリプーリ回転速度センサ306によって検出されるセカンダリプーリ150の回転速度Noutに基づいて車速SPDを算出する。また、アクセルポジションセンサ301によって検出されるアクセルペダルの踏み込み量及び現在の車速SPDに基づいて要求トルクを算出する。そしてこの要求トルクを実現するように内燃機関400のスロットル弁の開度を調整して吸入空気量GAを調整する。また、電子制御装置300は、こうした吸入空気量GAの調整とあわせて、要求トルクを最も効率的に発生させることのできる変速比γとして目標変速比γtrgを算出し、実際の変速比γを算出された目標変速比γtrgに一致させるように油圧制御部200を駆動する変速制御を実行する。
尚、この変速制御にあっては、プライマリプーリ130の回転速度Ninとセカンダリプーリ150の回転速度Noutとに基づいて現在の変速比γを算出し、変速比γを目標変速比γtrgに近づけるために、プライマリプーリ130における油圧Pinを変更して推力Wpriを変更する。そして、プライマリプーリ130における推力Wpriを変更するとともに、ベルト140が各プーリ130,150に対して滑らないようにセカンダリプーリ150における油圧Poutを変更して推力Wsecを変更する。
そして、この変速制御に際して、電子制御装置300は、各プーリの油圧Pin,Poutの目標値である目標油圧Pintrg,Pouttrgを算出し、算出された目標油圧Pintrg,Pouttrgに基づいて油圧制御部200を駆動する。
ところで、ダウンシフトやアップシフトの要求に伴って目標変速比γtrgが短期間の間に大幅に変更された場合には、現在の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離が急激に大きくなる。そのため、変速比γを目標変速比γtrgに一致させるために必要とされる変速速度が高くなり、この変速速度を実現するために各プーリ130,150の油圧Pin,Poutを短期間の間に大幅に変化させる必要がある。
例えば、急なダウンシフトの要求に伴って目標変速比γtrgが急激に大きくなった場合には、プライマリプーリ130の油圧Pinの目標値である目標油圧Pintrgが急激に低下する一方で、セカンダリプーリ150の油圧Poutの目標値である目標油圧Pouttrgが急激に増大する。
このとき、電子制御装置300が、この目標油圧Pouttrgをそのまま指示油圧Poutordとして設定し、この指示油圧Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に対して出力した場合には、セカンダリプーリ150の油圧Poutが遅れて増大するようになる。
尚、この油圧Poutの変化の遅れは、油圧制御部200の応答遅れや、作動油の粘性による作動油の輸送遅れ等に起因するものである。
このように油圧Poutが目標油圧Pouttrgの変化に対して遅れて増大した場合には、目標とする変速速度を実現することができず、変速比γの変化を目標変速比γtrgの変化に追従させること、すなわち要求に即した変速制御を実現することができなくなってしまう。
尚、こうした課題は、急なアップシフトの要求に伴って目標変速比γtrgが急激に小さくなった場合にも同様に生じ得る。すなわち、目標変速比γtrgが急激に小さくなった場合には、目標油圧Pouttrgが急激に低下する一方で、目標油圧Pintrgが急激に増大する。このとき、電子制御装置300が目標油圧Pintrgをそのまま指示油圧Pinordとして設定し、この指示油圧Pinordに対応する駆動指令を油圧制御部200に対して出力した場合には、プライマリプーリ130の油圧Pinが目標油圧Pintrgの変化に対して遅れて増大するようになってしまう。
そこで、本実施形態の電子制御装置300は、急変速が要求されたときに、目標油圧Pintrg,Pouttrgに対して遅れを相殺するための補正を施した値を指示油圧Pinord,Poutordとして設定し、補正が施された指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を出力する急変速制御を実行するようにしている。
以下、本実施形態にかかる変速制御について図3及び図4を参照して詳しく説明する。尚、図3は本実施形態にかかる変速制御ルーチンの一連の処理の流れを示すフローチャートであり、図4は同変速制御ルーチンにおける急変速制御にかかる一連の処理の流れを示すフローチャートである。
この変速制御ルーチンは、電子制御装置300が稼働しているときに、同電子制御装置300によって所定の制御周期で繰り返し実行される。この変速制御ルーチンを開始すると、電子制御装置300は、図3に示されるようにまずステップS10において目標変速比γtrgを算出する。
ここでは、まず、現在の車速SPDとアクセルペダルの踏み込み量とに基づいて要求トルクを算出し、要求トルクに基づいて、上述したように内燃機関400に最も効率的に要求トルクを発生させることのできる変速比γとして目標変速比γtrgを算出する。
目標変速比γtrgを算出すると、このルーチンはステップS20へと進み、電子制御装置300は、ステップS20において急変速が要求されているか否かを判定する。
ここでは、プライマリプーリ130の回転速度Ninとセカンダリプーリ150の回転速度Noutとに基づいて現在の変速比γを算出し、算出された現在の変速比γと目標変速比γtrgとを比較する。そして、変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが予め設定された基準値以上であるときに、急変速が要求されている旨を判定する。
尚、このステップS20において使用される基準値は、変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさがこの基準値以上であることに基づいて、変速制御に遅れが生じるおそれがあること、すなわち油圧Pin,Poutの変化に遅れが生じるおそれがあることを推定することができるように実験等の結果に基づいてその大きさが設定されている。
ステップS20において、急変速が要求されていない旨の判定がなされた場合(ステップS20:NO)、すなわち変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが基準値未満である場合には、このルーチンはステップS30へと進み、通常の変速制御を実行する。
ステップS30において、電子制御装置300は、セカンダリプーリ150の目標油圧Pouttrgとプライマリプーリ130の目標油圧Pintrgを設定する。
ここでは、各プーリ130,150上でベルト140を滑らせずに変速比γを目標変速比γtrgに保持するために必要なセカンダリプーリ150の油圧Poutである定常油圧Poutblを算出し、この定常油圧Poutblの値を、セカンダリプーリ150における目標油圧Pouttrgとして設定する。
尚、定常油圧Poutblの算出は以下のような手順で行う。
まず、各プーリ130,150上でベルト140を滑らせずに変速比γを目標変速比γtrgに維持するために必要な最小限の推力である下限推力Wminを算出する。下限推力Wminは、下記の数式(3)によって示される関係を利用して算出することができる。
Figure 2011185430
尚、上記の数式(3)における「Tin」はベルト140を介して伝達するトルクであるプライマリプーリ130への入力トルクであり、上記の数式(3)における「Rin」は変速比γが目標変速比γtrgになっているときのプライマリプーリ130におけるベルト140の巻き掛け半径Rinである。また、「μ」はプライマリプーリ130とベルト140との間の摩擦係数であり、「α」は図2(a)に示されるようにプライマリプーリ130におけるベルト140が接触する部分の勾配の角度である。
次に、下記の数式(4)に示されるように、算出された下限推力Wminの値をセカンダリプーリ150の油圧室154における可動シーブ152の受圧面積Aoutの値で除することによって定常油圧Poutblを算出する。
Figure 2011185430
すなわち、定常油圧Poutblは、下限推力Wminの値を可動シーブ152の受圧面積で割った商である。尚、ここで、ベルト140の滑りをより確実に抑制するために、下限推力Wminの値に安全係数として「1.0」よりも大きな値を掛け、その積を可動シーブ152の受圧面積Aoutで割った商を定常油圧Poutblとして算出するようにしてもよい。
一方、プライマリプーリ130における目標油圧Pintrgは、各プーリ130,150上でベルト140を滑らせずに変速比γを目標変速比γtrgに保持するために必要なプライマリプーリ130の油圧Pinである定常油圧Pinblに、変速油圧Pindifとフィードバック油圧Pinfbを加算することによって算出される。
変速油圧Pindifは、変速比γを目標変速比γtrgに速やかに近づけるために設定される値である。この変速油圧Pindifは、現在の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさに基づいて、変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさに比例するように算出される。また、この変速油圧Pindifは、変速比γを大きくするダウンシフトのときには変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが大きいときほど目標油圧Pintrgを小さくするように負の値として算出される。一方で、変速油圧Pindifは、変速比γを小さくするアップシフトのときには変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが大きいときほど目標油圧Pintrgを大きくするように正の値として算出される。
フィードバック油圧Pinfbは、その時点までの実際の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離量を積分した値に基づいて算出される値であり、油圧制御部200や無段変速機100の特性のばらつきや、経年変化による特性の変化等に起因する変速比γと目標変速比γtrgとのずれを低減するための値である。
そして、定常油圧Pinblは、上記のセカンダリプーリ150における定常油圧Poutblを算出する際に使用した下限推力Wminと、目標変速比γtrgにおける推力比Rと、プライマリプーリ130の油圧室134における可動シーブ132の受圧面積Ainとに基づいて下記の数式(5)によって算出される。
Figure 2011185430
尚、推力比Rは、プライマリプーリ130における推力Wpriに対するセカンダリプーリ150における推力Wsecの比、すなわち推力Wsecを推力Wpriで除した商であり、無段変速機100にあっては、変速比γを保持するための推力比Rの値が、変速比γの値ごとに一義的に決まるようになっている。
例えば、変速比γがある値「γ1」になるときには、推力比Rがその変速比「γ1」に対応する推力比「R1」になる。そして、変速比γが「γ2」に変化した場合には、推力比Rがその変速比「γ2」に対応する推力比「R2」になる。
また、セカンダリプーリ150における定常油圧Poutblを算出する際に、下限推力Wminの値に安全係数として「1.0」よりも大きな値を掛けるようにした場合には、上記のように定常油圧Pinblを算出する際にも、下限推力Wminの値に同じ安全係数を掛けるようにする。
ステップS30にあっては、このようにして算出される定常油圧Pinblと、変速油圧Pindifと、フィードバック油圧Pinfbとを加算した値をプライマリプーリ130における目標油圧Pintrgとして設定する。
こうして目標油圧Pouttrg及び目標油圧Pintrgを設定すると、このルーチンはステップS40へと進み、電子制御装置300はステップS40において指示油圧Poutordと指示油圧Pinordを設定する。
ステップS40では、電子制御装置300は、目標油圧Pouttrgをそのままセカンダリプーリ150に対する指示油圧Poutordとして設定するとともに、目標油圧Pintrgをそのままプライマリプーリ130に対する指示油圧Pinordとして設定する。
そして、電子制御装置300は、こうして指示油圧Pinord,Poutordを設定すると、これら指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に出力し、この変速制御ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップS20において、急変速が要求されている旨の判定がなされた場合(ステップS20:YES)、すなわち現在の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが基準値以上である場合には、この変速制御ルーチンはステップS100へと進み、電子制御装置300は急変速制御を実行する。
急変速制御を開始すると、電子制御装置300は図4に示されるようにまずステップS110において、現在の変速操作がダウンシフトであるか否かを判定する。尚、ここでは、電子制御装置300は、目標変速比γtrgが現在の変速比γよりも大きいときに現在の変速操作がダウンシフトである旨の判定を行う。
ステップS110において、現在の変速操作がダウンシフトである旨の判定がなされた場合(ステップS110:YES)には、ステップS130へと進む。そして、電子制御装置300はステップS130において、上述した通常の変速制御におけるステップS30と同様の方法によって、セカンダリプーリ150における目標油圧Pouttrgとプライマリプーリ130における目標油圧Pintrgを設定する。
そして、ステップS140へと進み、電子制御装置300は、目標油圧Pintrgをそのままプライマリプーリ130に対する指示油圧Pinordに設定する。また、電子制御装置300は、ステップS140において目標油圧Pouttrgに油圧Poutの変化の遅れを相殺するための補正値を加算した値を算出し、その値を指示油圧Poutordとして設定する。
そして、電子制御装置300は、こうして指示油圧Pinord,Poutordを設定すると、これら指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に出力し、この変速制御ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップS110において、現在の変速操作がアップシフトである旨の判定がなされた場合(ステップS110:NO)には、ステップS135へと進む。そして、電子制御装置300はステップS135において、上述した通常の変速制御におけるステップS30と同様の方法によって、セカンダリプーリ150における目標油圧Pouttrgとプライマリプーリ130における目標油圧Pintrgを設定する。
そして、ステップS145へと進み、電子制御装置300は、目標油圧Pouttrgをそのままセカンダリプーリ150に対する指示油圧Poutordに設定する。また、電子制御装置300は、ステップS145において目標油圧Pintrgに油圧Pinの変化の遅れを相殺するための補正値を加算した値を算出し、その値を指示油圧Pinordとして設定する。
そして、電子制御装置300は、こうして指示油圧Pinord,Poutordを設定すると、これら指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に出力し、この変速制御ルーチンを一旦終了する。
尚、ステップS140における目標油圧Pouttrgに補正値を加算した値と、ステップS145における目標油圧Pintrgに補正値を加算した値は、下記の数式(6)に示される関係を利用して算出する。
Figure 2011185430
この数式(6)は、図5に示されるように変速制御における油圧Pin,Poutの変化の遅れを、油圧制御部200の遅れ特性による一次遅れと、作動油の遅れ特性による一次遅れとを直列に並べたモデルとしてモデル化することによって導かれたものである。
尚、図5おける油圧制御部200の遅れ特性を示す一次遅れの導関数における「T1」及び作動油の遅れ特性を示す一次遅れの導関数における「T2」は時定数であり、予め実験等を行うことによって同定することができる。また、図5に示される「s」はラプラス演算子である。
図5に示されるように、油圧制御部200に指示油圧Pordに対応する駆動指令が入力されると、油圧制御部200の遅れ特性による影響と、作動油の遅れ特性による影響とを受けて、油圧Pの変化に遅れが生じるようになる。
これに対して、図6に示されるように補償器を構成し、この補償器に目標油圧Ptrgを入力することによって出力される指示油圧Pordに対応する駆動指令を油圧制御部200に入力するようにすれば、油圧Pの遅れを解消することができる。
そこで、本実施形態の急変速制御にあっては、図6に示される関係に基づいて導かれる上記の数式(6)に目標油圧Pintrg,Pouttrgを入力することにより、補正値を加算した指示油圧Pinord,Poutordを算出するようにしている。
すなわち、上記のステップS140では、上記の数式(6)に目標油圧Pouttrgを入力することにより、目標油圧Pouttrgに補正値を加算した値に相当する指示油圧Poutordを算出する。そのため、こうして数式(6)に示される関係を利用して算出される指示油圧Poutordからの目標油圧Pouttrgを除いた値、すなわち、数式(6)の一階微分を含む項と二階微分を含む項とを加算した値が、ステップS140における補正値に相当することになる。
そして、上記のステップS145では、上記の数式(6)に目標油圧Pintrgを入力することにより、目標油圧Pintrgに補正値を加算した値に相当する指示油圧Pinordを算出する。そのため、こうして数式(6)に示される関係を利用して算出される指示油圧Pinordから目標油圧Pintrgを除いた値、すなわち、数式(6)における一階微分を含む項と二階微分を含む項とを加算した値が、ステップS145における補正値に相当することになる。
次に、上記のような変速制御ルーチンを通じて急変速制御を実行するようにした場合の作用について、図7及び図8を参照して説明する。
尚、図7は急変速制御によるダウンシフトにおけるセカンダリプーリ150の目標油圧Pouttrg、指示油圧Poutord、並びに実際の油圧Poutの変化を示すタイムチャートである。そして、図8は急変速制御によるアップシフトにおけるプライマリプーリ130の目標油圧Pintrg、指示油圧Pinord、並びに実際の油圧Pinの変化を示すタイムチャートである。
急変速によるダウンシフトの際には、図7に破線で示されるように、ダウンシフト要求に伴ってセカンダリプーリ150における目標油圧Pouttrgが急激に増大される。そして、図7に一点鎖線で示されるように、急変速制御を通じて指示油圧Poutordが算出され、この指示油圧Poutordに対応する駆動指令が油圧制御部200に対して出力されるようになる。
そのため、図7に示されるように指示油圧Poutordは、急変速制御を通じて加算される補正値の分だけ目標油圧Pouttrgよりも大きな値に設定されるようになる。これにより、この指示油圧Poutordに基づいて操作されたセカンダリプーリ150の油圧Poutは、図7に実線で示されるように目標油圧Pouttrgの変化に追従するように速やかに増大するようになる。
急変速によるアップシフトの際には、図8に破線で示されるように、アップシフト要求に伴ってプライマリプーリ130における目標油圧Pintrgが急激に増大される。そして、図8に一点鎖線で示されるように、急変速制御を通じて指示油圧Pinordが算出され、この指示油圧Pinordに対応する駆動指令が油圧制御部200に対して出力されるようになる。
そのため、図8に示されるように指示油圧Pinordは、急変速制御を通じて加算された補正値の分だけ目標油圧Pintrgよりも大きな値に設定されるようになる。これにより、この指示油圧Pinordに基づいて操作されたセカンダリプーリ150の油圧Pinは、図8に実線で示されるように目標油圧Pintrgの変化に追従するように速やかに増大するようになる。
以上説明した実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
(1)急変速が要求されたとき、すなわち変速比γを短期間の間に大幅に変更することが要求されたときに、急変速制御が実行され、目標油圧Pintrg,Pouttrgに対して補正値を加算した値が指示油圧Pinord,Poutordとして算出されるようになる。そして、その指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令に基づいて油圧制御部200が駆動されるようになる。
そのため、プーリ130,150の油圧Pin,Poutを速やかに変化させる必要のある急変速に際して、油圧Pin,Poutの応答遅れを相殺するように油圧制御部200が駆動されるようになり、実際の油圧Pin,Poutの変化を目標油圧Pintrg,Pouttrgの変化に追従させることができるようになる。すなわち、目標油圧Pintrg,Pouttrgの変化に対する実際の油圧Pin,Poutの変化の遅れを抑制することができ、ひいては要求に即した変速制御を実現することができるようになる。
(2)急変速が要求されておらず、油圧Pin,Poutの変化に遅れが生じるおそれがないときにも目標油圧Pintrg,Pouttrgに対して補正値を加算した値として指示油圧Pinord,Poutordを算出するようにした場合には、電子制御装置300の演算負荷が増大してしまう。また、各プーリ130,150の油圧Pin,Poutが安定しにくくなり、変速制御が不安定になってしまうおそれがある。
これに対して、上記実施形態にあっては、急変速が要求されているときに、急変速制御を実行し、目標油圧Pintrg,Pouttrgに対して補正値を加算した値を算出するようにしている。そのため、油圧Pin,Poutの変化に遅れが生じるおそれのあるときにのみ、補正値が加算された指示油圧Pinord,Poutordに基づいて油圧制御部200が駆動されるようになる。したがって、遅れが生じる可能性に即した態様で指示油圧Pinord,Poutordを算出することができ、上記のような演算負荷の増大や、変速制御の不安定化を抑制することもできる。
(3)上記実施形態のように目標変速比γtrgを設定し、実際の変速比γを設定された目標変速比γtrgに一致させるように変速比γを変更するフィードバック制御を実行している場合には、急変速が要求されたときに、実際の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離が大きくなる。これに対して上記実施形態にあっては、実際の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが基準値以上であるか否かを判定し、実際の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさが基準値以上であるときに急変速が要求されている旨を判定するようにしている。そのため、実際の変速比γと目標変速比γtrgとの乖離の大きさに基づいて容易に且つ適切に急変速が要求されていることを判定することができる。
(4)変速比γの変更に伴って一方のプーリにおける油圧を増大させた場合には、同プーリにおける推力が増大して、そのプーリにおけるベルト140の巻き掛け半径が大きくなる。その結果、他方のプーリにはベルト140の張力により同プーリを押し広げる力が作用するようになる。したがって、押し広げられたこのプーリにおけるベルト140の巻き掛け半径が小さくなるとともに、そのプーリの油圧室からは作動油が排出されるようになる。
すなわち、変速比γを変更する場合には、上記のようなベルト140の張力による作用の分だけ、油圧室134,154内の作動油を排出させる方向、すなわち油圧Pin,Poutを低下させる方向への油圧操作が容易に進行するようになる。
そこで、上記実施形態にあっては、急変速制御の実行に伴い、変速比γの変更に伴って油圧を増大させる必要のあるプーリに対して補正値を加算した指示油圧に基づく油圧操作を実施するようにしている。
具体的には、変速比γを大きくするダウンシフトのときには、セカンダリプーリ150における指示油圧Poutordを算出する際に、目標油圧Pouttrgに対して補正値を加算した値を算出し、その値を指示油圧Poutordにするようにしている。一方で、変速比γを小さくするアップシフトのときには、プライマリプーリ130における指示油圧Pinordを算出する際に、目標油圧Pintrgに対して補正値を加算した値を算出し、その値を指示油圧Pinordにするようにしている。
そのため、油圧を低下させる方向の油圧操作と比較して遅れが生じやすくなる油圧を増大させる方向の油圧操作に対して補正値を加算した指示油圧Pinord,Poutordに基づく油圧操作が実施されるようになり、油圧Pin,Poutの変化の遅れを好適に抑制することができる。
尚、上記実施形態は、これを適宜変更した以下の形態にて実施することもできる。
・急変速が要求されたときに、目標油圧Pintrg,Pouttrgに補正値を加算した指示油圧Pinord,Poutordを算出するものであれば、変速制御ルーチンの内容は適宜変更することができる。
上記実施形態にあっては、判定手段としてのステップS20において、急変速が要求されているか否かを判定してから、ステップS30、ステップS130、ステップS135においてそれぞれ目標油圧Pintrg,Pouttrgを算出する構成を示した。これに対して、例えば、図9に示されるように目標油圧Pintrg,Pouttrgを算出してから急変速が要求されているか否かを判定する構成を採用することもできる。
具体的には、図9に示されるようにステップS10において目標変速比γtrgを算出した後、ステップS30へと進み、上記実施形態と同様に目標油圧Pintrg,Pouttrgを算出する。そして、ステップS35へと進み、ステップS35において上記実施形態のステップS20と同様の方法で急変速が要求されているか否かを判定する。
ステップS35において、急変速が要求されていない旨の判定がなされた場合(ステップS35:NO)場合には、このルーチンはステップS40へと進む。そして、目標油圧Pouttrgをそのままセカンダリプーリ150に対する指示油圧Poutordとして設定するとともに、目標油圧Pintrgをそのままプライマリプーリ130に対する指示油圧Pinordとして設定する通常の変速制御を実行する。
そして、電子制御装置300は、こうして指示油圧Pinord,Poutordを設定すると、これら指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に出力し、この変速制御ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップS35において、急変速が要求されている旨の判定がなされた場合(ステップS35:YES)には、この変速制御ルーチンはステップS200へと進み、電子制御装置300は急変速制御を実行する。
この急変速制御を開始すると、電子制御装置300は図10に示されるようにまずステップS210において、上記実施形態における急変速制御のステップS110と同様に、現在の変速操作がダウンシフトであるか否かを判定する。
ステップS210において、現在の変速操作がダウンシフトである旨の判定がなされた場合(ステップS210:YES)には、ステップS240へと進む。そして、電子制御装置300は、上記実施形態における急変速制御のステップS140と同様に、目標油圧Pintrgの値をそのまま指示油圧Pinordとして設定するとともに、目標油圧Pouttrgに補正値を加算した値を算出し、その値を指示油圧Poutordとして設定する。
そして、電子制御装置300は、こうして指示油圧Pinord,Poutordを設定すると、これら指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に出力し、この変速制御ルーチンを一旦終了する。
一方、ステップS210において、現在の変速操作がアップシフトである旨の判定がなされた場合(ステップS210:NO)には、ステップS245へと進む。そして、電子制御装置300は上記実施形態における急変速制御のステップS145と同様に、目標油圧Pouttrgの値をそのまま指示油圧Poutordとして設定するとともに、目標油圧Pintrgに補正値を加算した値を算出し、その値を指示油圧Pinordとして設定する。
そして、電子制御装置300は、こうして指示油圧Pinord,Poutordを設定すると、これら指示油圧Pinord,Poutordに対応する駆動指令を油圧制御部200に出力し、この変速制御ルーチンを一旦終了する。
こうした構成を採用した場合にも、指示油圧Pinord,Poutordが、急変速制御を通じて加算された補正値の分だけ目標油圧Pintrg,Pouttrgよりも大きな値に設定されるようになるため、上記実施形態における(1)〜(4)と同様の効果を得ることができるようになる。
・上記実施形態にあっては、数式(6)に目標油圧Pintrg,Pouttrgを入力することにより、指示油圧Pinord,Poutordを算出する構成を示した。これに対して、上記の数式(6)における目標油圧「Ptrg」の一階微分に対する係数を「A」にするとともに、目標油圧「Ptrg」の二階微分に対する係数を「B」にした下記の数式(7)に示される関係を利用して補正値及び同補正値を加算した指示油圧Pinord,Poutordを算出する構成を採用することもできる。
Figure 2011185430
尚、この場合には、予め実験等を行い、その結果に基づいて「A」及び「B」の値を同定する必要がある。
・また、上記のように数式を用いて指示油圧Pinord,Poutordを算出するものに限らず、急変速が要求されているときに目標油圧Pintrg,Pouttrgに遅れを相殺するための補正値を加算した指示油圧Pinord,Poutordを算出するものであれば、急変速制御の内容は適宜変更することができる。
・作動油の温度が低い場合には、作動油の粘性が増大して作動油が流れにくくなるため、油圧Pin,Poutの変化に遅れが生じやすくなる。そのため、作動油の温度を推定する推定手段を設け、推定手段によって推定された作動油の温度が低いときほど補正値を大きくする構成を採用することが望ましい。
こうした構成を採用すれば、作動油の粘性が高くなり、油圧Pin,Poutの変化に遅れが生じやすくなるときほど補正値が大きくなり、目標油圧Pintrg,Pouttrgの変化量に対する指示油圧Pinord,Poutordの変化量が増大されるようになる。したがって、作動油の温度変化による作動油の遅れ特性の変化に即した油圧制御を実現し、油圧Pin,Poutの変化の遅れをより好適に抑制することができるようになる。尚、作動油の温度を推定する推定手段としては、例えば、油温センサを設け、油温センサによって作動油の温度を直接検出する構成を採用することができる。
・また、上記のように作動油の油温が低いときほど補正値を大きくするための具体的な構成としては、例えば、作動油の温度が低いときほど上記の数式(7)における係数「A」,「B」の値を大きくするといった構成を採用することができる。
・上記実施形態にあっては、各プーリ130,150の回転速度Nin,Noutに基づいて現在の変速比γを算出する構成を例示したが、変速比γの算出方法はこうした方法に限定されるものではない。例えば、各プーリ130,150における可動シーブ132,152の位置を検出するセンサをそれぞれ設け、これらのセンサによって検出される各可動シーブ132,152の位置に基づいて現在の変速比γを算出する構成を採用することもできる。
・また、上記実施形態における変速比γの制御態様は、変速比γの制御態様の一例であり、適宜変更することができる。すなわち、本発明は、油圧Pin,Poutの目標値である目標油圧Pintrg,Pouttrgが急激に変化した場合に、実際の油圧Pin,Poutの変化が遅れてしまうことを抑制するものであるため、変速制御を通じて目標油圧Pintrg,Pouttrgが変更されるものであれば本発明を適用することができる。
例えば、上記実施形態にあっては変速比γを目標変速比γtrgに一致させるようにフィードバック制御する構成を示したが、機関回転速度NEやプライマリプーリ130の回転速度Ninを、目標とする回転速度である目標回転速度に一致させるようにフィードバック制御する変速制御を実行する制御装置に本発明を適用することもできる。
・尚、回転速度Nin,Noutの目標値である目標回転速度を設定し、実際の回転速度Nin,Noutを目標回転速度に一致させるように変速比γを変更するフィードバック制御を実行している場合には、急変速が要求されたときに、実際の回転速度Nin,Noutと目標回転速度との乖離が大きくなる。そのため、この場合には、急変速が要求されていることを判定する判定手段として、回転速度Nin,Noutと目標回転速度との乖離の大きさが基準速度差以上であるか否かを判定し、実際の回転速度Nin,Noutと目標回転速度との乖離の大きさが基準速度差以上であるときに急変速が要求されていることを判定する構成を採用することができる。
こうした構成を採用すれば、実際の回転速度Nin,Noutと目標回転速度との乖離の大きさに基づいて容易に且つ適切に急変速が要求されていることを判定することができる。
・上記実施形態の急変速制御にあっては、ダウンシフトのときには目標油圧Pouttrgに補正値を加算した値を算出する一方、アップシフトのときには目標油圧Pintrgに補正値を加算した値を算出する構成を示した。すなわち、上記実施形態にあっては、一対のプーリ130,150のうち、油圧を増大させるプーリに対して補正値を加えた指示油圧を算出し、その指示油圧に対応する駆動指令を出力するようにしていた。
これに対して、油圧を低下させるプーリにおいて、補正値を加えた指示油圧を算出し、その指示油圧に対応する駆動指令を出力する構成や、油圧を増大させるプーリと油圧を低下させるプーリの双方において補正値を加えた指示油圧を算出し、その指示油圧に対応する駆動指令を出力する構成を採用することもできる。
・また、例えば、アップシフトのときには油圧を増大させるプーリにおいて補正値を加えた指示油圧を算出する一方、ダウンシフトのときには油圧を増大させるプーリと油圧を低下させるプーリの双方において補正値を加えた指示油圧を算出するといった構成を採用することもできる。
・また、同様に、アップシフトのときには油圧を増大させるプーリと油圧を低下させるプーリの双方において補正値を加えた指示油圧を算出する一方、ダウンシフトのときには油圧を増大させるプーリにおいて補正値を加えた指示油圧を算出するといった構成を採用することもできる。
・上記実施形態では、プライマリプーリ130における推力Wpriを変更することにより変速比γを変更し、プライマリプーリ130における推力Wpriの変化に合わせてセカンダリプーリ150における推力Wsecを変更することによりベルト140の滑りを抑制する変速制御を例示した。これに対して本発明は、こうした変速制御を実行するものに限定的に適用されるものではない。
例えば、上記実施形態とは反対にセカンダリプーリ150における推力Wsecを変更することにより変速比γを変更し、セカンダリプーリ150における推力Wsecの変化に合わせてプライマリプーリ130における推力Wpriを変更することによりベルト140の滑りを抑制する変速制御を実行するものに本発明を適用することもできる。
100…無段変速機、110…トルクコンバータ、120…切替機構、121…フォワードクラッチ、122…リバースブレーキ、130…プライマリプーリ、131…固定シーブ、132…可動シーブ、133…ハウジング、134…油圧室、140…ベルト、150…セカンダリプーリ、151…固定シーブ、152…可動シーブ、153…ハウジング、154…油圧室、160…減速ギア、170…ディファレンシャル、200…油圧制御部、300…電子制御装置、301…アクセルポジションセンサ、302…エアフロメータ、303…クランク角センサ、304…タービン回転速度センサ、305…プライマリプーリ回転速度センサ、306…セカンダリプーリ回転速度センサ、307…車輪速センサ。

Claims (9)

  1. 一対のプーリに巻き掛けられたベルトの巻き掛け半径を変更することにより変速比を変化させることのできるベルト式の無段変速機を制御する制御装置であり、前記無段変速機の各プーリに設けられた油圧室内の作動油の油圧を制御する油圧制御部に対して各プーリにおける油圧の目標値である目標油圧に基づいた駆動指令を出力することにより、各プーリにおける油圧を操作して前記変速比を制御する無段変速機の制御装置において、
    急変速が要求されているときに、前記目標油圧に対して油圧の応答遅れを相殺するための補正値を加算した指示油圧を算出し、算出された前記指示油圧に対応する前記駆動指令を前記油圧制御部に対して出力する急変速制御を実行する
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  2. 実際の変速比と前記変速比の目標値である目標変速比との乖離の大きさが基準値以上であるときに、急変速が要求されていることを判定する判定手段を備える
    請求項1に記載の無段変速機の制御装置。
  3. 前記プーリの回転速度と同回転速度の目標値である目標回転速度との乖離の大きさが基準速度差以上であるときに、急変速が要求されていることを判定する判定手段を備える
    請求項1又は請求項2に記載の無段変速機の制御装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の無段変速機の制御装置において、
    前記急変速制御は、前記一対のプーリのうち、前記変速比の変更に伴って油圧を増大させる必要のあるプーリに対して、前記補正値を加算した前記指示油圧に基づく油圧操作を実施するものである
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の無段変速機の制御装置において、
    前記急変速制御は、前記変速比を小さくするときに、
    前記一対のプーリのうち、入力側のプーリに対する前記目標油圧に対して前記補正値を加算した値を算出することによって同入力側のプーリに対する前記指示油圧を算出する一方、
    出力側のプーリに対する前記目標油圧に対しては前記補正値を加算した値を算出することによる前記指示油圧の算出を実施せずに、同目標油圧をそのまま前記出力側のプーリに対する前記指示油圧として設定するものである
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の無段変速機の制御装置において、
    前記急変速制御は、前記変速比を大きくするときに、
    前記一対のプーリのうち、出力側のプーリに対する前記目標油圧に対して前記補正値を加算した値を算出することによって同出力側のプーリに対する前記指示油圧を算出する一方、
    入力側のプーリに対する前記目標油圧に対しては前記補正値を加算した値を算出することによる前記指示油圧の算出を実施せずに、同目標油圧をそのまま前記入力側のプーリに対する前記指示油圧として設定するものである
    ことを特徴とする無段変速機の制御装置。
  7. 一次遅れの伝達関数によって前記油圧制御部の遅れ特性をモデル化するとともに、一次遅れの伝達関数によって前記作動油の遅れ特性をモデル化し、「T1」を前記油圧制御部の遅れ特性における時定数、「T2」を前記作動油の遅れ特性における時定数、「s」をラプラス演算子、「Ptrg」を前記目標油圧、「Pord」を前記指示油圧としたときに、下記の数式によって示される関係を利用して前記目標油圧に対して前記補正値を加算した前記指示油圧を算出する
    Figure 2011185430
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の無段変速機の制御装置。
  8. 一次遅れの伝達関数によって前記油圧制御部の遅れ特性をモデル化するとともに、一次遅れの伝達関数によって前記作動油の遅れ特性をモデル化し、「A」及び「B」を係数、「s」をラプラス演算子、「Ptrg」を前記目標油圧、「Pord」を前記指示油圧としたときに、下記の数式によって示される関係を利用して前記目標油圧に対して前記補正値を加算した前記指示油圧を算出する
    Figure 2011185430
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の無段変速機の制御装置。
  9. 前記作動油の温度を推定する推定手段を更に備え、
    同推定手段によって推定された作動油の温度が低いときほど前記補正値を大きくする
    請求項1〜8のいずれか一項に記載の無段変速機の制御装置。
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