以下、本発明の実施の形態による排気ガス浄化装置を油圧ショベルに搭載した場合を例に挙げ、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図10は本発明の第1の実施の形態を示している。この第1の実施の形態では、エンジンから排出される粒子状物質(PM)を粒子状物質除去フィルタ(DPF)によって除去する粒子状物質除去装置(以下、PM除去装置という)を、排気ガス浄化装置として用いた場合を例示している。
図1において、1は土砂の掘削作業等に用いられる建設機械の代表例としての油圧ショベルである。この油圧ショベル1は、自走可能なクローラ式の下部走行体2と、該下部走行体2上に旋回装置3を介して旋回可能に搭載され、該下部走行体2と共に車体をなす上部旋回体4と、該上部旋回体4の前側に俯仰動可能に設けられた作業装置5とにより大略構成されている。また、上部旋回体4は、後述の旋回フレーム6、キャブ7、エンジン8、排気ガス浄化装置21等により大略構成されている。
6は上部旋回体4の旋回フレームで、該旋回フレーム6は、旋回装置3を介して下部走行体2上に取付けられている。また、旋回フレーム6は、図2に示す如く、前,後方向に延びる厚肉な底板6Aと、該底板6A上に立設され、左,右方向に所定の間隔をもって前,後方向に延びた左縦板6B,右縦板6Cと、該各縦板6B,6Cから左,右方向の外向きに延びた複数本の張出しビーム6Dと、左,右方向の外側に位置して各張出しビーム6Dの先端に取付けられ、前,後方向に延びた左サイドフレーム6E,右サイドフレーム6Fとにより大略構成されている。
7は旋回フレーム6の左前側に搭載されたキャブ(図1参照)で、該キャブ7は、オペレータが搭乗するものである。また、キャブ7の内部には、オペレータが着座する運転席、各種操作レバー(いずれも図示せず)等が配設されている。
8は旋回フレーム6の後側に横置き状態で搭載された原動機としてのエンジンである。このエンジン8は、例えばディーゼルエンジンにより構成されている。また、エンジン8の右側には、図2に示すように、排気ガスを排出する排気ガス通路の一部をなす排気管9が設けられ、該排気管9には後述の排気ガス浄化装置21が取付けられている。
また、この場合のエンジン8は、高効率で耐久性にも優れているが、粒子状物質(PM:Particulate Matter)等の有害物質が排気ガスと一緒に排出されてしまう。そこで、排気管9に取付けられる後述の排気ガス浄化装置21は、例えば粒子状物質を捕集して除去する粒子状物質除去フィルタ34等を含んで構成されている。
10はエンジン8の右側に取付けられた油圧ポンプで、該油圧ポンプ10は、後述の作動油タンク12と共に油圧源を構成するものである。そして、油圧ポンプ10は、エンジン8によって駆動されることにより制御弁(図示せず)等に向けて圧油(作動油)を供給する。
ここで、油圧ポンプ10は、図3、図4に示すように、エンジン8に対面する左側の端部がフランジ部10Aとなり、このフランジ部10Aがエンジン8にボルト止め等の手段で着脱可能に固着されている。そして、油圧ポンプ10のフランジ部10Aは、後述の浄化装置支持ブラケット16と一緒にエンジン8側に取付けられるものである。
11はエンジン8の左側に位置して設けられた熱交換器で、この熱交換器11は、例えばラジエータ、オイルクーラ、インタクーラ等の熱交換用機器を前,後方向に並べて配置する構成となっている。
12は油圧ポンプ10の前側に位置して旋回フレーム6の右側に搭載された作動油タンクである。この作動油タンク12は、油圧ポンプ10に供給する作動油を貯えるものである。また、13は作動油タンク12の前側に設けられた燃料タンクで、この燃料タンク13は、内部にエンジン8に供給する燃料を貯えるものである。
14はエンジン8の後側に位置して旋回フレーム6の後端部に取付けられたカウンタウエイトで、該カウンタウエイト14は、作業装置5との重量バランスをとるものである。また、15はエンジン8等を外側から覆う建屋カバーを示している。
16はエンジン8の右側に位置して設けられた浄化装置支持ブラケットで、該浄化装置支持ブラケット16は、後述の排気ガス浄化装置21を支持する構造体を構成し、上部旋回体4の一部をなしている。そして、浄化装置支持ブラケット16は、後述の支持台17、防振体18、前側取付板19および後側取付板20を含んで構成されるものである。
即ち、浄化装置支持ブラケット16は、図3、図4に示すように油圧ポンプ10のフランジ部10Aと一緒にエンジン8に取付けられる支持台17と、該支持台17上に前,後方向に間隔をもって配置され、複数個の防振体18(2個のみ図示)を介して防振支持された前側取付板19、後側取付板20とにより大略構成されている。
次に、エンジン8の排気ガスに含まれる有害物質を除去して浄化する第1の実施の形態による排気ガス浄化装置21について、図2ないし図9を参照しつつ説明する。この第1の実施の形態の特徴は、排気ガス浄化装置をなすPM除去装置を、粒子状物質除去フィルタ34により構成したことにある。
即ち、21はエンジン8の上部右側に位置して排気管9に接続された排気ガス浄化装置を示し、該排気ガス浄化装置21は、排気管9と共に排気ガス通路を構成し、上流側から下流側に排気ガスが流通する間に、この排気ガスに含まれる有害物質を除去するものである。また、排気ガス浄化装置21は、前,後方向の前側が上流側となり、後側が下流側となるようにエンジン8の上部に縦置き状態に配置されている。
そして、第1の実施の形態による排気ガス浄化装置21は、図3、図4に示す如く、後述の上流筒体22と下流筒体28と中間筒体としてのフィルタ用筒体32とからなる3個の筒体を、例えばボルト38、ナット39等を用いて締結することにより組立てられる構成となっている。
22は排気ガス通路の上流側となる排気ガス浄化装置21の一側に設けられた上流筒体で、該上流筒体22は、排気ガスが流入する入口部分を構成している。即ち、上流筒体22は、図5ないし図9に示すように、後述の筒状ケース23と支持脚26等とにより構成されている。
23は上流筒体22の外形を構成する筒状ケースで、該筒状ケース23は、大径な円筒状の円筒部23Aと、該円筒部23Aの前側(上流側)端部を閉塞して設けられた蓋部23Bと、前記円筒部23Aの後側(下流側)の端部に拡径して設けられた環状のフランジ部23Cとにより構成されている。
ここで、フランジ部23Cは、図6、図9に示す如く平坦に形成された接続面23C1を有し、この接続面23C1側が、後述のガスケット35を介して隣合うフィルタ用筒体32(筒状ケース33)の前側フランジ部33Bと対面して接続されるものである。これにより、フランジ部23Cは、後述のボルト38、ナット39を外して締結を解除したときに、フィルタ用筒体32を径方向の上側に持上げて取外し可能な構造としている。また、筒状ケース23のフランジ部23Cには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔23Dが設けられ、該各ボルト挿通孔23Dにはそれぞれボルト38が挿通される。
また、筒状ケース23には、図3〜図5に示すように、円筒部23Aの後側寄り位置で、例えば右側に位置して圧力取出部23Eが設けられている。そして、該圧力取出部23Eは、排気ガス通路を流れる排気ガスの圧力のうち、粒子状物質除去フィルタ34の上流側の圧力を取出すもので、後述の圧力センサ40に上流側導管40Aを介して接続されている。
24は筒状ケース23の前側(上流側)に設けられた入口側消音パイプで、該入口側消音パイプ24は、筒状ケース23の円筒部23Aを直径方向に貫通している。また、入口側消音パイプ24の一端(基端)側は排気管9に向けて左側へと延び、その端部が排気管9に接続されるものである。一方、入口側消音パイプ24の他端(先端)側は、閉塞板24Aによって閉塞されている。
ここで、入口側消音パイプ24には、その先端側と基端側との間の途中部位で筒状ケース23の内部に配置される部位に全周にわたって多数の小孔25,25,…が径方向に穿設されている。これらの小孔25は、互いに同一な孔径を有し、後述する寸法B(図7参照)の範囲内で入口側消音パイプ24の周方向、軸方向にほぼ均一な間隔もって形成されている。そして、これらの小孔25は、排気ガスの消音・連通孔を構成している。即ち、各小孔25は、排気管9から導かれる排気ガスを筒状ケース23内に流入させると共に、このときに排気ガスを筒状ケース23内で瞬時に膨張させて音エネルギの低減化を図り、排気ガスの音量を下げて消音化するものである。
また、筒状ケース23の円筒部23Aを、図7に示すように寸法Aの内径に形成した場合に、各小孔25は入口側消音パイプ24の長さ方向で寸法Bの範囲内に形成され、この寸法Bは、寸法Aに対し下記の数1式による関係を満たすように設定されている。
26は上流筒体22の円筒部23Aの下側に設けられた支持部材としての支持脚で、該支持脚26は、図8に示す如く、後述の締結具41を用いて上流筒体22を浄化装置支持ブラケット16の前側取付板19に固定的に取付けるものである。なお、第1の実施の形態で採用した支持脚26は、板体を略W字状に折曲げて形成しているが、L字状、逆T字状等の他の形状としてもよいものである。
27,27は筒状ケース23のフランジ部23Cに設けられた2個の位置決め板(図9参照)で、該各位置決め板27は、フランジ部23Cの下側外周に所定の間隔をもって後側に突出するように取付けられている。そして、各位置決め板27は、後述のフィルタ用筒体32を構成する筒状ケース33の前側フランジ部33Bに下側から当接することにより、このフィルタ用筒体32の筒状ケース33を、上流筒体22とほぼ同軸となる位置に位置決めするものである。
28は排気ガス通路の下流側となる排気ガス浄化装置21の他側に設けられた下流筒体で、該下流筒体28は、前述した上流筒体22と反対側に位置して排気ガスが流出する出口部分を構成している。即ち、下流筒体28は、図5、図6に示すように後述の筒状ケース29と支持脚31等とにより構成されている。
29は下流筒体28の外形を構成する筒状ケースで、該筒状ケース29は、上流筒体22の筒状ケース23とほぼ同様に、大径な円筒状の円筒部29Aと、該円筒部29Aの後側(下流側)を閉塞して設けられた蓋部29Bと、前記円筒部29Aの前側(上流側)の端部に拡径して設けられた環状のフランジ部29Cとにより構成されている。
ここで、筒状ケース29のフランジ部29Cは、図5〜図7、図9に示すように平坦に形成された接続面29C1を有し、この接続面29C1側が、後述のガスケット37を介して隣合うフィルタ用筒体32(筒状ケース33)の後側フランジ部33Cと対面して接続されるものである。また、フランジ部29Cには、周方向に間隔をもって複数個のボルト挿通孔29Dが設けられている。
一方、円筒部29Aの後側位置には、例えば右側に位置して下流側の圧力取出部29Eが設けられ、該圧力取出部29Eは、排気ガス通路を流れる排気ガスの圧力のうち、粒子状物質除去フィルタ34の下流側の圧力を取出すもので、後述の圧力センサ40に下流側導管40Bを介して接続されている。
30は筒状ケース29に設けられた尾管と呼ばれる出口側パイプ(以下、出口側消音パイプ30という)で、該出口側消音パイプ30は、筒状ケース29の円筒部29Aを直径方向(例えば、上,下方向)に貫通している。そして、入口側消音パイプ30の下端は、図6に示すように閉塞板30Aによって閉塞され、出口側消音パイプ30の上端は、上方に突出して大気に開放されている。
ここで、出口側消音パイプ30は、筒状ケース29の内部で消音器筒体30Bを構成している。この消音器筒体30Bには、前述した入口側消音パイプ24とほぼ同様に多数の小孔30C,30C,…が全周にわたって穿設されている。そして、これらの小孔30Cは、筒状ケース29から出口側消音パイプ30内に向けて排気ガスを流出させると共に、このときに排気音を低減するものである。
31は下流筒体28の円筒部29Aの下側に設けられた支持部材としての支持脚で、該支持脚31は、前述した支持脚26と同様に、略W字状に屈曲して形成されている。そして、支持脚31は、後述の締結具41等により下流筒体28を浄化装置支持ブラケット16の後側取付板20に固定的に取付けるものである。
ここで、上流筒体22は、支持脚26によって浄化装置支持ブラケット16の前側取付板19に取付けることができ、下流筒体28は、支持脚31によって浄化装置支持ブラケット16の後側取付板20に取付けることができる。この状態では、上流筒体22と下流筒体28との間には、後述のフィルタ用筒体32を取付けるためのスペースを形成することができる。
32は上流筒体22と下流筒体28との間に直列状態で接続して設けられた中間筒体としてフィルタ用筒体で、このフィルタ用筒体32は、後処理装置を内蔵した浄化部筒体を構成している。また、フィルタ用筒体32は、図6、図7、図9に示すように、後述の筒状ケース33内に粒子状物質除去フィルタ34を収納して構成されている。そして、フィルタ用筒体32は、支持脚が設けられていない点で上流筒体22、下流筒体28とは相違している。
33はフィルタ用筒体32の外形を構成する筒状ケースで、該筒状ケース33は、上流筒体22の筒状ケース23とほぼ同様な直径(径方向寸法)をもった円筒状の円筒部33Aと、該円筒部33Aの前側(上流側)の端部に拡径して設けられた環状の前側フランジ部33Bと、前記円筒部33Aの後側(下流側)の端部に拡径して設けられた環状の後側フランジ部33Cとにより構成されている。
なお、第1の実施の形態によるPM除去装置では、フィルタ用筒体32の筒状ケース33に圧力取出部等の計器取付部分が設けられていない点で、この筒状ケース33は上流筒体22の筒状ケース23、下流筒体28の筒状ケース29と相違している。また、フィルタ用筒体32の筒状ケース33は、内部に後述の粒子状物質除去フィルタ34を収容するため、上流筒体22の筒状ケース23および下流筒体28の筒状ケース29よりも軸方向寸法(長さ寸法)が長尺に形成されている。
ここで、筒状ケース33の前側フランジ部33Bは、平坦な接続面33B1を有し、この接続面33B1は、前側に隣合う上流筒体22(筒状ケース23)のフランジ部23Cの接続面23C1と後述のガスケット35を介して対面する。また、前側フランジ部33Bには、ボルト挿通孔23Dに対応する位置に複数個のボルト挿通孔33Dが設けられている。
これと同様に、後側フランジ部33Cは、平坦な接続面33C1を有し、この接続面33C1は、後側に隣合う下流筒体28(筒状ケース29)のフランジ部29Cの接続面29C1と後述のガスケット37を介して対面する。また、後側フランジ部33Cには、ボルト挿通孔29Dに対応する位置に複数個のボルト挿通孔33Dが設けられている。
これにより、フィルタ用筒体32の筒状ケース33は、隣合う上流筒体22と下流筒体28とを浄化装置支持ブラケット16から取外すことなく、単品で取外して分解することができる。また、筒状ケース33は、上流筒体22と下流筒体28との間に接続して組立てることもできる。
さらに、各フランジ部33B,33Cの下側部位には、図6、図9に示すように、切欠部33Eが設けられている。この切欠部33Eは、後述のボルト38、ナット39を取外して地面等にフィルタ用筒体32を載置したときに、フィルタ用筒体32が周方向に回転したり、転動したりするのを防止するために例えば平坦面として切欠かれている。なお、切欠部33Eは、取外した状態のフィルタ用筒体32を安定的に載置することを目的としているため、例えば緩やかなV字形状、U字形状等の他の形状としてもよい。
34は筒状ケース33内に収容された粒子状物質除去フィルタ(通常、Diesel Particulate Filter、略してDPFとも呼ばれている)で、該粒子状物質除去フィルタ34は、本発明の構成要件である後処理装置を構成している。この粒子状物質除去フィルタ34は、エンジン8から排出される排気ガス中の粒子状物質(PM)を捕集しつつ、これを自己発火により燃焼して除去(再生)することにより、排気ガスを浄化するものである。また、粒子状物質除去フィルタ34は、例えばセラミックス材料等からなる多孔質な部材に軸方向に多数の小孔34Aを設けたセル状筒体からなり、各小孔34Aは、隣同士で交互に異なる端部が目封じ部材34Bによって閉塞されている。
これにより、粒子状物質除去フィルタ34は、一方から小孔34Aに流入する排気ガスを多孔質材料に通すことで粒子状物質を捕集し、隣の小孔34Aから他方に流出する。そして、捕集した粒子状物質は、自己発火により燃焼して除去されるが、その一部は灰となって小孔34A内に徐々に堆積する。また、その他の未燃焼残留物、例えばエンジンオイル中の重金属、カルシウム等も徐々に堆積する。そこで、粒子状物質除去フィルタ34は、後述の圧力センサ40によって上流側の圧力と下流側の圧力を計測し、その圧力差が所定の値(閾値)に達したときに、取外して堆積物をクリーニングする必要がある。
また、粒子状物質除去フィルタ34は、筒状ケース33の軸方向のほぼ中央部に配設されているから、取付けるときに上流と下流とを決める必要がない。これにより、フィルタ用筒体32の誤組付けを防止できる。また、積極的にフィルタ用筒体32の組付け方向を反転して使用することができる。
35は上流筒体22とフィルタ用筒体32との間を気密にシールするガスケットで、該ガスケット35は、図5〜図7、図9に示すように筒状ケース23のフランジ部23Cと筒状ケース33の前側フランジ部33Bとの間に介挿され、両者の接続面23C1,33B1 間を気密にシールするものである。ここで、ガスケット35は、耐熱性、防食性等を有した材料(例えば、ステンレス鋼板)により略円形の薄板体として形成され、上流筒体22とフィルタ用筒体32との間を仕切る仕切り板としても構成されている。
即ち、ガスケット35は、図10中に二点鎖線で示す仮想円の内側部分が仕切り板部35Aとして形成され、該仕切り板部35Aには後述の整流孔36が複数(多数個)にわたり穿設されている。また、ガスケット35には、仕切り板部35Aの外周側に複数のボルト挿通孔35Bが設けられ、これらのボルト挿通孔35Bは、前述したフランジ部23C,33Bのボルト挿通孔23D,33Dと対応して後述のボルト38が挿通されるものである。
また、ガスケット35の外周側には、図9に示すように、その下側部位に切欠部35Cが形成され、この切欠部35Cは、フィルタ用筒体32(筒状ケース33)の切欠部33Eに対応した形状を有している。そして、切欠部35Cは、ガスケット35を上流筒体22とフィルタ用筒体32との間に取付けるときに、取付方向を識別する上での目印とすることができ、ガスケット35の誤組付け防止機能を与えることができる。これによりガスケット35は、後述の各整流孔36による排気ガスの整流作用を確保できるものである。
36,36,…はガスケット35の仕切り板部35Aに穿設された多数の整流孔で、該各整流孔36は、図7中に白抜き矢印で示すように、入口側消音パイプ24から各小孔25を介して上流筒体22(筒状ケース23)内に流入した排気ガスをフィルタ用筒体32(筒状ケース33)内に向けて整流化しつつ、下流側に筒状ケース33内の全範囲(流路面積の全体)にわたり均一な流れとして流通させるものである。
この場合、入口側消音パイプ24は、上流筒体22の筒状ケース23内を径方向に延びる先端側が閉塞板24Aによる閉塞端となり、その途中部位に各小孔25(排気ガスの消音・流通孔)が全周にわたって穿設されている。そこで、ガスケット35の各整流孔36は、排気ガスを下流側で均一な流れとするため、前記パイプ24の閉塞端に近い位置では排気ガスの流路面積を小さくするように孔径の小さい複数の整流孔36Aとし、前記閉塞端から離れた位置では排気ガスの流路面積を大きくするように孔径の大きい複数の整流孔36Bとしている。
そして、ガスケット35の各整流孔36は、小孔径の各整流孔36Aと大孔径の各整流孔36Bとの間に位置して、中間の孔径をもった複数の整流孔36Cとして形成されている。即ち、図10中に示す閉塞板24Aに最も近い領域Xでは、小孔径の整流孔36Aを単位面積あたりに決められた個数をもって形成し、中間の領域Yでは、中間径の整流孔36Cを小孔径の整流孔36Aとほぼ同数形成し、中間の領域Yよりも右側の領域Zでは、大孔径の各整流孔36Bを中間径の整流孔36Cとほぼ同数形成している。なお、この中間径の各整流孔36Cは、小径の各整流孔36Aと大径の各整流孔36Bとの間で段階的に、その孔径を変化させる構成としてもよいものである。
このように、本実施の形態で採用したガスケット35の各整流孔36は、例えば図10に示すように、孔径の小さい複数の整流孔36Aと、孔径の大きい複数の整流孔36Bと、両者の間に位置する中間径の各整流孔36Cとにより構成されている。そして、孔径が小さい方の各整流孔36Aは、入口側消音パイプ24の閉塞板24Aに近い位置(図10中の左側寄りの位置)に配置され、孔径が大きい方の各整流孔36Bは、閉塞板24Aから離れた位置(図10中の右側寄りの位置)に配置されている。
37は下流筒体28とフィルタ用筒体32との間を気密にシールする他のガスケットで、該ガスケット37は、図5〜図7、図9に示す如く筒状ケース29のフランジ部29Cと筒状ケース33の後側フランジ部33Cとの間に介挿され、両者の接続面29C1,33C1 間を気密にシールするものである。ここで、ガスケット37は、耐熱性、防食性等を有した材料(例えば、ステンレス鋼板)により環状の薄板体として形成され、その内周側は筒状ケース29,33の内径に対応する貫通孔37Aとなっている。
また、ガスケット37には、貫通孔37Aの外周側に複数のボルト挿通孔37Bが設けられ、これらのボルト挿通孔37Bは、前述したフランジ部29C,33Cのボルト挿通孔29D,33Dと対応して後述のボルト38が挿通されるものである。さらに、ガスケット37の外周側には、図9に示すように、その下側部位に切欠部37Cが形成され、この切欠部37Cは、フィルタ用筒体32(筒状ケース33)の切欠部33Eに対応した形状を有している。
38は上流筒体22とフィルタ用筒体32との間および下流筒体28とフィルタ用筒体32との間に設けられたボルト、39は該ボルト38に螺着されるナットをそれぞれ示し、これらのボルト38とナット39とは、フランジ部23C,33B間、フランジ部29C,33C間の締結部材をそれぞれ構成するものである。
即ち、ボルト38は、上流筒体22(筒状ケース23)のフランジ部23Cに設けられたボルト挿通孔23D、フィルタ用筒体32(筒状ケース33)の前側フランジ部33Bに設けられたボルト挿通孔33D、およびガスケット35のボルト挿通孔35Bに挿通され、突出したねじ部にナット39を螺着することにより、各フランジ部23C,33B間をガスケット35を介して互いに分解可能に締結するものである。
また、他のボルト38は、下流筒体28(筒状ケース29)のフランジ部29Cに設けられたボルト挿通孔29D、フィルタ用筒体32(筒状ケース33)の後側フランジ部33Cに設けられたボルト挿通孔33D、およびガスケット37のボルト挿通孔37Bに挿通され、突出したねじ部にナット39を螺着することにより、各フランジ部29C,33C間をガスケット37を介して互いに分解可能に締結するものである。
40は上流筒体22の外周側に設けられた圧力センサで、この圧力センサ40は、粒子状物質、未燃焼残留物等の堆積量を推定するために、粒子状物質除去フィルタ34の上流側と下流側の圧力(圧力差)を検出するものである。そして、圧力センサ40は、その上流側導管40Aが上流筒体22(筒状ケース23)の圧力取出部23Eに接続され、下流側導管40Bが下流筒体28(筒状ケース29)の圧力取出部29Eに接続されている。
ここで、上流側導管40A,下流側導管40Bは、フィルタ用筒体32を上,下方向に取付け、取外しするときに邪魔にならないように、フィルタ用筒体32の径方向外側となる位置、即ち図2、図3に示す如くフィルタ用筒体32を横方向に避けた位置に配設されている。
41,41,…はボルト、ナット等からなる締結具で、該各締結具41は、例えば図8に示す如く、上流筒体22の円筒部23Aの下側に設けられた支持脚26を浄化装置支持ブラケット16の前側取付板19に固定的に取付ける。また、下流筒体28の円筒部29Aの下側に設けられた支持脚31についても、図3、図4に示すように締結具41により浄化装置支持ブラケット16の後側取付板20に固定的に取付けられるものである。
第1の実施の形態によるPM除去装置からなる排気ガス浄化装置21は、上述の如き構成を有するもので、次に、その組立作業について説明する。
まず、上流筒体22を形成する筒状ケース23のフランジ部23Cとフィルタ用筒体32を形成する筒状ケース33の前側フランジ部33Bとを、ガスケット35を挟んで軸方向(前,後方向)で対面させ、この状態で各ボルト挿通孔23D,33D,35Bにそれぞれボルト38を挿通し、突出したねじ部に各ナット39を螺着する。
同様に、下流筒体28を形成する筒状ケース29のフランジ部29Cとフィルタ用筒体32を形成する筒状ケース33の後側フランジ部33Cとを、ガスケット37を挟んで前,後で対面させ、この状態で各ボルト挿通孔23D,33Dにそれぞれボルト38を挿通し、突出したねじ部に各ナット39を螺着する。
これにより、上流筒体22と下流筒体28とフィルタ用筒体32とを、ほぼ同軸に位置するように直列に組立てることができる。そして、上流筒体22とフィルタ用筒体32との間は、フランジ部23C,33B間に介挿したガスケット35によって気密にシールする。また、下流筒体28とフィルタ用筒体32との間は、フランジ部29C,33C間に介挿したガスケット37により気密にシールする。一方、ボルト38、ナット39を緩めて取外したときには、例えば上流筒体22と下流筒体28との間からフィルタ用筒体32を上方に引抜く(取出す)ようにして分解することもできる。
そして、上流筒体22と下流筒体28とフィルタ用筒体32とにより排気ガス浄化装置21を組立てた段階では、この排気ガス浄化装置21を浄化装置支持ブラケット16の前側取付板19、後側取付板20上に載置する。この状態で、上流筒体22の支持脚26を締結具41を用いて前側取付板19に固定し、下流筒体28の支持脚31を他の締結具41を用いて後側取付板20に固定することにより、排気ガス浄化装置21を浄化装置支持ブラケット16(エンジン8)に取付けることができる。
次に、フィルタ用筒体32の粒子状物質除去フィルタ34に堆積した粒子状物質を除去するためのクリーニング作業を行う場合について説明する。
即ち、粒子状物質除去フィルタ34のクリーニング作業を行うためには、上流筒体22と下流筒体28との間からフィルタ用筒体32を取外す必要があり、上流筒体22とフィルタ用筒体32とを締結するボルト38、ナット39を取外すと共に、下流筒体28とフィルタ用筒体32とを締結するボルト38、ナット39も取外す。このときに、フィルタ用筒体32は、印籠嵌合のない平坦なフランジ接続で上流筒体22、下流筒体28に取付ける構成としているから、該フィルタ用筒体32は、上方へと持上げる(引上げる)ことにより上流筒体22、下流筒体28間から取外すことができる。
そして、取外したフィルタ用筒体32は、例えば作業台上に載せるが、該フィルタ用筒体32を形成する筒状ケース33の各フランジ部33B,33Cには、下側に切欠部33Eを設けているから、この切欠部33Eを作業台に接地させることにより、フィルタ用筒体32を転倒しないように安定した状態で載置することができる。これにより、フィルタ用筒体32内の粒子状物質除去フィルタ34に堆積した粒子状物質を例えば圧縮空気等を用いて除去することができる。
次に、第1の実施の形態が適用された油圧ショベル1の動作(操作)について説明する。
まず、オペレータは、上部旋回体4のキャブ7に搭乗し、エンジン8を始動して油圧ポンプ10を駆動する。これにより、油圧ポンプ10からの圧油は、制御弁を介して各種アクチュエータに供給される。そして、キャブ7に搭乗したオペレータが走行用の操作レバー(図示せず)を操作したときには、下部走行体2を前進または後退させることができる。一方、作業用の操作レバー(図示せず)を操作することにより、作業装置5を俯仰動させて土砂の掘削作業等を行うことができる。
また、エンジン8の運転時には、その排気管9から有害物質である粒子状物質等が排出される。このときに排気ガス浄化装置21は、粒子状物質除去フィルタ34によって粒子状物質を捕集し、捕集した粒子状物質を自己発火により燃焼して除去(再生)する。これにより、浄化した排気ガスを外部に排出することができる。
ところで、排気ガス浄化装置21の入口側を形成する上流筒体22内には、その径方向に延びる入口側消音パイプ24を設け、該入口側消音パイプ24に穿設した多数の小孔25(消音・流通孔)から上流筒体22内に排気ガスを流入させるときに、この排気ガスを上流筒体22内で瞬時に膨張させることにより、音エネルギの低減化を図り、排気ガスの音量を下げ排気音を消音できるようにしている。
しかし、この場合の入口側消音パイプ24は、例えばエンジン8の周囲(機械室内)での浄化装置21全体の設置スペースを小さくできるように上流筒体22の径方向に配置され、その先端を閉塞板24Aで塞ぐ構成としている。これにより、入口側消音パイプ24の各小孔25から上流筒体22の筒状ケース23内に流入する排気ガスは、図7中に白抜き矢印で示すように、入口側消音パイプ24の長さ方向で先端(閉塞板24A)側寄りの位置では流量が大となり、基端側寄りの位置では流量が小さくなる傾向がある。
この結果、フィルタ用筒体32内の粒子状物質除去フィルタ34には、上流筒体22内から排気ガスが不均一な流れの状態で導入され、粒子状物質除去フィルタ34の処理面(小孔34A内)に排気ガスを均等に導くことが難しくなることが考えられる。特に、DPFからなる粒子状物質除去フィルタ34の場合は、例えば排気ガス中の煤等からなる粒子状物質を捕集するときに、粒子状物質が部分的に偏って付着し捕集される可能性がある。
そこで、本実施の形態では、上流筒体22とフィルタ用筒体32との間に設けるガスケット35を仕切り板として形成し、該ガスケット35の仕切り板部35Aには多数の整流孔36を穿設すると共に、該各整流孔36を、入口側消音パイプ24の閉塞端(閉塞板24A)に近い位置では排気ガスの流路面積を小さくするように孔径の小さい複数の整流孔36Aとし、前記閉塞端から離れた位置では排気ガスの流路面積を大きくするように孔径の大きい複数の整流孔36Bとして形成している。また、小孔径の各整流孔36Aと大孔径の各整流孔36Bとの間には、中間径の各整流孔36Cを設ける構成としている。
この結果、入口側消音パイプ24から各小孔25を介して上流筒体22(筒状ケース23)内に流入した排気ガスは、図7中に白抜き矢印で示すように、ガスケット35の各整流孔36(小径の整流孔36A、大径の整流孔36B、中間径の整流孔36Cの組合せ)により整流化され、下流側のフィルタ用筒体32(筒状ケース33)内にほぼ均一な流れとなって流通するものである。
即ち、入口側消音パイプ24から上流筒体22(筒状ケース23)内に流入する排気ガスは、閉塞板24Aに近い方の位置で流量が大きく、閉塞板24Aから離れた位置では流量が小さくなる。しかし、この排気ガスは、上流筒体22からフィルタ用筒体32に向けて流通するときに、ガスケット35の各整流孔36で流量が調整され、下流側のフィルタ用筒体32内へと排気ガスを均一な流れとして導くことができる。これにより、粒子状物質除去フィルタ34の処理面(複数の小孔34A)に対して排気ガスを均等に導くことができ、排気ガスを安定して浄化処理することができる。
しかも、本実施の形態では、上流筒体22とフィルタ用筒体32との間に挟持して取付けられるガスケット35に、複数の整流孔36を設ける構成としているので、例えば現行品(従来技術の排気ガス浄化装置)に対してもガスケットを取り替えるだけで、容易に適用することができ、汎用性を高めることができる。そして、粒子状物質除去フィルタ34の各小孔34Aに対して排気ガスを均等に導くことにより、例えば排気ガス中の煤等からなる粒子状物質を粒子状物質除去フィルタ34で捕集するときに、粒子状物質(異物)が部分的に偏って捕集されるのを防止でき、装置の寿命を延ばし、信頼性を向上することができる。
また、第1の実施の形態によれば、上流筒体22,下流筒体28,フィルタ用筒体32の筒状ケース23,29,33には、平坦な接続面23C1,29C1,33B1,33C1を有するフランジ部23C,29C,33B,33Cを設け、ガスケット35を挟んで対面するフランジ部23C,33B間と、ガスケット37を挟んで対面するフランジ部29C,33C間とをボルト38、ナット39により締結している。この上で、フィルタ用筒体32を除いた上流筒体22と下流筒体28にエンジン8側の浄化装置支持ブラケット16に固定するための支持脚26,31を設ける構成としている。
従って、上流筒体22,下流筒体28は、支持脚26,31を用いて浄化装置支持ブラケット16に固定的に支持することができる。一方、フィルタ用筒体32は浄化装置支持ブラケット16に固定的に支持されていない。これにより、フィルタ用筒体32は、各ボルト38、ナット39を取外すことにより、上流筒体22、下流筒体28等を車体側に固定したままの状態で、クリーニング作業等が必要なフィルタ用筒体32だけを簡単に取外すことができる。
この結果、定期的なクリーニング作業、点検作業、修理作業等を行う場合に、フィルタ用筒体32は、各ボルト38、ナット39を弛めるという簡単な作業を行うだけで、上流筒体22、下流筒体28をエンジン8側に残した状態で取外すことができ、クリーニング作業、点検作業、修理作業等の作業性を向上することができる。
また、上流筒体22の筒状ケース23に圧力取出部23Eを設け、下流筒体28の筒状ケース29に圧力取出部29Eを設ける構成としたから、フィルタ用筒体32には圧力取出部等を設ける必要がなくなる。従って、フィルタ用筒体32を取外すときに、圧力センサ40の導管40A,40B、配線等の取外し作業を行う必要がなく、フィルタ用筒体32のみを簡単に取外すことができる。
また、フィルタ用筒体32の筒状ケース33の各フランジ部33B,33Cには、それぞれの下側に水平方向に延びた切欠部33Eを設けているから、この切欠部33Eを例えば作業台上に接地させることにより、フィルタ用筒体32の転動を防止して作業台に安定的に載置することができる。
一方、上流筒体22(筒状ケース23)の内部には、入口側消音パイプ24を径方向に貫通して設けることにより、入口側消音パイプ24と筒状ケース23との間で排気による騒音を低減することができる。また、下流筒体28(筒状ケース29)の内部には、出口側消音パイプ30を径方向に貫通して設けることができ、出口側消音パイプ30と筒状ケース29との間で排気による騒音をより一層低減することができる。
しかも、上記構成により、上流筒体22(筒状ケース23)に対して入口側消音パイプ24をコンパクトに組込むことができ、下流筒体28(筒状ケース29)に対しては出口側消音パイプ30をコンパクトに組込むことができる。これにより、排気ガス浄化装置21全体を小型化することができ、エンジン8周囲での設置スペースを小さくすることができる。
次に、図11は本発明の第2の実施の形態を示し、本実施の形態の特徴は、ガスケットに設ける各整流孔の間隔を変えることにより、排気ガスの流量調整を行う構成としたことにある。なお、第2の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
51は第2の実施の形態で採用したガスケットで、該ガスケット51は、第1の実施の形態で述べたガスケット35と同様に構成され、仕切り板部51Aの外周側に複数のボルト挿通孔51Bと切欠部51Cとが設けられている。しかし、この場合のガスケット51は、仕切り板部51Aに設けた後述の整流孔52が第1の実施の形態と異なるものである。
52,52,…はガスケット51の仕切り板部51Aに穿設された多数の整流孔で、該各整流孔52は、互いに等しい孔径をもって形成されているものの、互いの間隔を変える構成としている。即ち、図11中に示す中間の領域Qでは、単位面積あたりに決められた個数の整流孔52を形成し、入口側消音パイプ24の閉塞板24Aに最も近い領域Pでは、各整流孔52間の間隔を中間の領域Qよりも広げて疎に形成し、右側の領域R(閉塞板24Aから最も離れた領域R)では、各整流板52間の間隔を中間の領域Qよりも小さくして密に形成している。
これにより、ガスケット51の仕切り板部51Aに形成した多数の整流孔52は、前記パイプ24の閉塞端に近い位置では排気ガスの流路面積を小さくすることができ、前記閉塞端から離れた位置では排気ガスの流路面積を大きくすることができる。このため、ガスケット51の各整流孔52は、排気ガスを下流側へと均一な流れとして流通させることができる。
かくして、このように構成された第2の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第2の実施の形態では、ガスケット51に設ける各整流孔52の間隔を変えることにより、排気ガスの流量調整を容易に行うことができ、第1の実施の形態のように、整流孔の孔径を変更する必要がなくなる。
次に、図12は本発明の第3の実施の形態による排気ガス浄化装置を示し、本実施の形態の特徴は、排気ガス浄化装置を4つの筒体を用いて構成したことにある。なお、第3の実施の形態では、前述した第1の実施の形態と同一の構成要素に同一の符号を付し、その説明を省略するものとする。
図中、61は第3の実施の形態による排気ガス浄化装置を示し、該排気ガス浄化装置61は、第1の実施の形態で述べた排気ガス浄化装置21とほぼ同様に構成されている。しかし、この場合の排気ガス浄化装置61は、後述の上流筒体62とフィルタ用筒体32との間に酸化触媒用筒体64を設けている点で、第1の実施の形態とは異なっている。
62は排気ガス浄化装置61の上流側に設けられた上流筒体で、該上流筒体62は、第1の実施の形態で述べた上流筒体22と同様に、入口側消音パイプ24が径方向に貫通して設けられた筒状ケース63を有している。そして、該筒状ケース63は、第1の実施の形態で述べた筒状ケース23とほぼ同様に、円筒部63A、蓋部63B、フランジ部63C、ボルト挿通孔(図示せず)等により構成されている。
しかし、この場合の筒状ケース63は、円筒部63Aが短尺に形成されている点と、支持部材(支持脚)が設けられていない点とで、第1の実施の形態で述べた筒状ケース23とは異なるものである。また、筒状ケース63のフランジ部63Cは、平坦に形成された接続面63C1を有し、この接続面63C1側が、後述のガスケット68を介して隣合う酸化触媒用筒体64(筒状ケース65)の前側フランジ部65Bと対面して接続されるものである。
64は上流筒体62とフィルタ用筒体32との間に直列に接続して設けられた酸化触媒用筒体で、該酸化触媒用筒体64は、フィルタ用筒体32と共に中間筒体としての浄化部筒体を構成するものである。そして、酸化触媒用筒体64は、筒状ケース65内に後述の酸化触媒66を収納して構成されている。
ここで、筒状ケース65は、例えば第1の実施の形態で述べた筒状ケース33とほぼ同様に構成され、円筒部65A、前側フランジ部65B、後側フランジ部65Cおよび複数のボルト挿通孔(図示せず)等を有している。しかし、この場合の筒状ケース65は、各フランジ部65B,65Cの下側に切欠部(例えば、図6中の切欠部33E)等が形成されていない。また、円筒部65Aの上部には、2個の温度センサ取付口65Dが設けられ、これらの温度センサ取付部65Dには、後述の酸化触媒66が機能する温度であるか否かを確認するための温度センサ(図示せず)が取付けられるものである。
また、筒状ケース65の前側フランジ部65Bは、平坦な接続面65B1を有し、この接続面65B1が上流筒体62(筒状ケース63)のフランジ部63Cの接続面63C1との間で後述のガスケット68を挟んだ状態で、ボルト38、ナット39により筒状ケース63のフランジ部63Cに着脱可能に接続(固着)されている。
これと同様に、後側フランジ部65Cも、平坦な接続面65C1を有し、この接続面65C1が下流筒体28(筒状ケース29)のフランジ部29Cの接続面29C1との間で後述のガスケット69を挟んだ状態で、ボルト38、ナット39により筒状ケース33の前側フランジ部33Bに着脱可能に接続(固着)されている。
これにより、フィルタ用筒体32の筒状ケース33は、隣合う酸化触媒用筒体64と下流筒体28との間からボルト38、ナット39を取外すだけで容易に脱着することができる。即ち、フィルタ用筒体32を単品で取外して分解することができる。
66は酸化触媒用筒体64の筒状ケース65内に収容された酸化触媒で、該酸化触媒66は、排気ガスを浄化する後処理装置の1つを構成している。また、酸化触媒66は、例えば円筒部65Aの内径寸法と同等の外径寸法をもったセラミックス製のセル状筒体からなり、その軸方向には多数の貫通孔66Aが形成され、内面に貴金属等がコーティングされている。そして、酸化触媒66は、所定の温度下で各貫通孔66Aに排気ガスを流通させることにより、この排気ガスに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)等を酸化して除去し、窒素酸化物(NO)を二酸化窒素(NO2)として除去するものである。
ここで、酸化触媒66は、筒状ケース65の円筒部65A内に固定して収納されている。そして、酸化触媒66は、筒状ケース65の軸方向のほぼ中央部に配設されているから、酸化触媒用筒体64の取付け時には上流側と下流側とを反転しても使用可能である。これにより、酸化触媒用筒体64の誤組付けを防止することができる。
67は筒状ケース65の円筒部65Aの下側に設けられた支持部材としての支持脚で、該支持脚67は、第1の実施の形態で述べた支持脚26と同様に構成されている。しかし、この場合の支持脚67は、酸化触媒用筒体64の筒状ケース65を浄化装置支持ブラケット16の前側取付板19(図3、図4参照)に締結具41等により固定的に取付けるものである。
68は上流筒体62と酸化触媒用筒体64との間を気密にシールするガスケットで、該ガスケット68は、第1の実施の形態で述べたガスケット35と同様に構成され、その仕切り板部68Aには多数の整流孔36が穿設されている。しかし、この場合のガスケット68は、筒状ケース63のフランジ部63Cと筒状ケース65の前側フランジ部65Bとの間に介挿され、両者の接続面63C1,65B1 間を気密にシールするものである。
69はフィルタ用筒体32と酸化触媒用筒体64との間を気密にシールする他のガスケットで、該ガスケット69は、第1の実施の形態で述べたガスケット37(即ち、フィルタ用筒体32と下流筒体28との間に設けるガスケット37)と同様に構成され、その内周側は筒状ケース33,65の内径に対応する貫通孔69Aとなっている。しかし、この場合のガスケット69は、筒状ケース33の前側フランジ部33Bと筒状ケース65の後側フランジ部65Cとの間に介挿され、両者の接続面33B1,65C1 間を気密にシールするものである。
かくして、このように構成された第3の実施の形態においても、前述した第1の実施の形態とほぼ同様の作用効果を得ることができる。特に、第3の実施の形態では、排気ガス浄化装置61を上流筒体62、酸化触媒用筒体64およびフィルタ用筒体32、下流筒体28の4つの筒体により形成することができる。そして、酸化触媒用筒体64に設けた酸化触媒66によって、排気ガス中の炭化水素(HC)、窒素酸化物(NO)、一酸化炭素(CO)を酸化して除去することができる。
なお、前記第3の実施の形態では、上流筒体62と下流筒体28との間に設ける中間筒体を、酸化触媒用筒体64とフィルタ用筒体32(PM除去装置)とにより構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えば窒素酸化物(NOx)を尿素水溶液を用いて浄化するNOx浄化装置等を中間筒体の一部として設ける構成としてもよい。
この場合、上流筒体と下流筒体との間に後処理装置(例えば、PM除去装置、酸化触媒、NOx浄化装置等のいずれか1つ、または2つ以上の組合せ)を内蔵した中間筒体(浄化部筒体)を1個または複数個直列に接続する構成であればよく、各後処理装置の組合せ、組付け順序等は適宜に変更してもよいものである。
また、前記第3の実施の形態では、酸化触媒用筒体64をフィルタ用筒体32とを別体の中間筒体により構成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば1個の中間筒体(筒状ケース)内に酸化触媒66と粒子状物質除去フィルタ34とを一緒に収容する構成としてもよいものである。
また、前記第1の実施の形態では、排気ガスの消音・流通孔となる多数の小孔25を、図7に示すように入口側消音パイプ24の長さ方向で寸法Bの範囲内に形成する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図13に示す第1の変形例のように多数の小孔71,71,…を消音・流通孔として形成してもよい。即ち、筒状ケース23の円筒部23Aを内径が寸法Aとなるように形成した場合に、各小孔71は、入口側消音パイプ24の長さ方向で寸法Aの全範囲にわたって形成する構成としてもよいものである。
一方、前記第1の実施の形態では、上流筒体22,下流筒体28,フィルタ用筒体32の筒状ケース23,29,33にフランジ部23C,29C,33B,33Cを設け、対面するフランジ部23C,29C,33B,33C間を締結部材としてのボルト38、ナット39により締結する場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図14に示す第2の変形例による排気ガス浄化装置81のように、対面するフランジ部23C′,33B′間と、フランジ部29C′,33C′間とを囲繞する断面V字状のクランプ82,83をそれぞれ設け、これらのV字状のクランプ82,83をボルト等(図示せず)を用いて締付けることにより、筒状ケース23,29,33を互いに連結する構成としてもよい。この構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
また、前記第1の実施の形態では、出口側消音パイプ30を下流筒体28の筒状ケース29に対して直径方向に接続した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限らず、例えば出口側パイプは必ずしも消音機能を有する必要はない。そして、出口側パイプは筒状ケースに対して必ずしも径方向に接続して設ける必要はなく、例えば軸方向に接続する構成でもよい。これらの構成は、他の実施の形態にも同様に適用することができるものである。
さらに、前記各実施の形態(変形例を含む)では、排気ガス浄化装置21,51,81をクローラ式の下部走行体2を備えた油圧ショベル1に搭載した場合を例に挙げて説明した。しかし、本発明はこれに限るものではなく、例えばタイヤ等からなるホイール式の下部走行体を備えた油圧ショベルに搭載する構成としてもよい。それ以外にも、リフトトラック、油圧クレーン等の他の建設機械、作業車両にも広く搭載することができる。