JP2011184689A - 液体組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】光ラジカル硬化型インク組成物の不必要な硬化反応に起因する不具合を防止する液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物を提供する。
【解決手段】ラジカル重合禁止剤と、溶剤と、界面活性剤と、を含む液体組成物であって、該ラジカル重合禁止剤の含有量が0.1〜50重量%であることを特徴とする液体組成物及び光ラジカル硬化型インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出するステップと、該液体組成物の液滴を該光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が吐出された場所以外の場所に吐出するステップと、紫外線を照射して該記録媒体に付着した液滴を硬化させるステップと、を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物に関し、特に、光ラジカル硬化型インク組成物の不必要な硬化反応に起因する不具合を防止する液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物に関する。
インクジェット用顔料インク組成物を調製する場合、分散装置を用いて顔料を分散処理し、インク組成物中で顔料が安定に分散するように処理することが一般的である。光硬化型顔料インク組成物では、インク溶媒にモノマーと呼ばれる重合性化合物を用いるが、これは顔料と共に分散処理することが非常に困難である。その理由は、分散処理時に発生する熱やメカノケミカル的に発生するラジカルによりモノマーが重合反応を開始してしまい、粘度増加やゲル化といった望ましくない現象を引き起こすためである。またモノマーと呼ばれる重合性化合物を含有するインク組成物は、長期間の保存中、暗反応によって、粘度増加やゲル化が必然的に進行する事も知られている。
この不都合を改善するために、重合禁止剤を添加して、モノマーの重合反応を抑制する液体組成物やインクジェット記録方法がある。例えば、記録媒体に重合性化合物と光重合開始剤を含有する溶液(溶液1)と重合抑制剤を含有する溶液(溶液2)のいずれか一方に色材を含有させてインクとし、溶液1を付着させた後に溶液2を付着させて印字を行うことにより効率よく硬化反応を行うことができ、また、インク組成物の貯蔵安定性を向上させる旨が開示されている(特許文献1)。
特開2006−150665号公報
これらの方法により、保存期間の不必要な重合反応を抑制する事は可能であるが、これとは別に、記録装置の各機構や部品においても不必要な重合反応を抑制する必要がある。
ラジカル重合反応を利用する光ラジカル硬化型インク組成物は、インクジェット記録装置において、印刷用途に消費される場合のほか、印刷以外の用途でも消費される場合がある。例えば、ノズルメンテナンスのためフラッシング処理においてヘッドのキャップ部材、インク吸収材であるスポンジ部材上に吐出されることによる消費、クリーニングによりポンプで吸引されることによる消費、ワイパーブレードへの付着による消費、さらに、縁無し印刷においては、非印字部のインク吸収材であるスポンジ部材上に吐出されることによる消費などである。
しかしながら、光ラジカル硬化型インク組成物は紫外線等の光に晒されると硬化するという性質を有しているため、光ラジカル硬化型インク組成物が付着したヘッドのキャップ部材、ポンプの配管、ワイパーブレード、インク吸収材であるスポンジ部材に紫外線が照射されると光ラジカル硬化型インク組成物が硬化し、各部品の本来果たすべき機能が低下してしまうという問題が発生する。
また、一般に、光ラジカル硬化型インク組成物中には、インク組成物の保存安定性を付与するために紫外線照射下でのラジカル重合反応を阻害しない程度の少量の重合抑制剤が添加されている。加えて、ラジカル重合は空気中の酸素で阻害されることが知られているため、良好な硬化性を得る為に、光ラジカル硬化型インク組成物中には酸素によるラジカル重合反応の阻害を軽減するための方策を講じてある。一方、インクジェット用の光ラジカル硬化型インク組成物は、インクを液滴にして飛翔させるため、インク体積に対する表面積の割合が高くなる。そのため、インクジェット用の光ラジカル硬化型インク組成物は少量の重合抑制剤の効果や空気中の酸素の阻害効果があるにもかかわらず、紫外線が当たると空気中でも容易に硬化してしまうという問題があった。
本発明はかかる問題を解決するためになされたものであり、光ラジカル硬化型インク組成物の不必要な硬化反応に起因する不具合を防止する液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物を提供するものである。
上記の課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行ったところ、光ラジカル硬化型インク組成物とは別に、ラジカル重合禁止剤を大過剰量に含有し、光ラジカル硬化型インク組成物の硬化反応を防止するための液体組成物を用いることにより、不具合の発生を防止することが可能となるとの知見を得た。
本発明はかかる知見に基づきなされたものであり、以下の発明を提供するものである。
〔1〕ラジカル重合禁止剤と、溶剤と、界面活性剤と、を含む液体組成物であって、該ラジカル重合禁止剤の含有量が0.1〜50重量%であることを特徴とする液体組成物。
また、上記発明の好ましい形態は以下のとおりである。
〔2〕前記ラジカル重合禁止剤が、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類から選択された少なくとも1種類以上の化合物であることを特徴とする〔1〕に記載の液体組成物;
〔3〕前記ラジカル重合禁止剤が、カーボンブラック又は表面に重合防止官能基を導入した無機・有機微粒子であることを特徴とする〔1〕に記載の液体組成物;
〔4〕前記溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、炭素数が10以上のポリエチレングリコールのモノエーテル又はジエーテルから選択された1種以上の化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕のいずれか1に記載の液体組成物;
〔5〕前記界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系、ポリエステル変性シリコーン系、アセチレンジオール系界面活性剤から選択された1種以上の化合物であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれか1に記載の液体組成物;
〔6〕更に、ラクトン類を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体組成物。
また、本発明者らは以下の発明を提供する。〔7〕〔1〕〜〔6〕のいずれか1に記載の液体組成物と、光ラジカル硬化型インク組成物と、を含むインクセット。
また、本発明者らは以下の発明を提供する。〔8〕光ラジカル硬化型インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出するステップと、〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載の液体組成物の液滴を該光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所に吐出するステップと、紫外線を照射して該記録媒体に付着した液滴を硬化させるステップと、を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
上記発明の好ましい態様は以下のとおりである。〔9〕前記光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所が、インクジェット記録装置のキャップ、ワイパー、インク吸収材、チューブポンプの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法;
〔10〕前記光ラジカル硬化型インク組成物が、アミン化合物を更に含有することを特徴とする〔8〕及び〔9〕に記載のインクジェット記録方法;
〔11〕前記光ラジカル硬化型インク組成物が、ハイパーブランチポリマーを更に含有することを特徴とする〔8〕〜〔10〕のいずれか1に記載のインクジェット記録方法;
〔12〕前記光ラジカル硬化型インク組成物が、1液硬化型であることを特徴とする〔8〕〜〔11〕のいずれか1に記載のインクジェット記録方法;
〔13〕前記光ラジカル硬化型インク組成物が、2液硬化型である〔8〕〜〔11〕のいずれか1に記載のインクジェット記録方法。
また、本発明者らは以下の発明を提供する。〔14〕〔8〕〜〔13〕のいずれか1に記載のインクジェット記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
また、本発明者らは以下の発明を提供する。〔15〕〔1〕〜〔6〕のいずれか1に記載の液体組成物と、光ラジカル硬化型インク組成物と、該光ラジカル硬化型インク組成物用の光照射装置と、を備えたインクジェット記録装置。
上記発明の好ましい態様は以下のとおりである。〔16〕前記光照射装置から放射される光の波長が350〜450nmの範囲である〔15〕に記載の記録装置。
本発明の液体組成物、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物によれば、ラジカル重合禁止剤の含有量が従来のラジカル重合禁止剤に比べて多く含まれており、光ラジカル硬化型インク組成物のラジカル重合反応を効果的に阻害する。そのため、インクジェット記録装置内のいずれかの場所(部品など)に光ラジカル硬化型インク組成物が付着しても、本発明の液体組成物がその硬化を防止し、光ラジカル硬型インク組成物が硬化することに伴うインクジェット記録装置内の各部品の機能低下又は機能停止などの不具合を防止することが可能となる。
以下、本発明の好ましい形態について説明する。
[液体組成物]
本発明の実施例に係る液体組成物は、ラジカル重合禁止剤と、溶剤と、界面活性剤と、を含み、該ラジカル重合禁止剤の含有量が0.1〜50重量%である。
本実施形態において、「ラジカル重合禁止剤」とは、モノマーの重合を完全に防止するために大過剰量用いられるものであり、光ラジカル硬化型インク組成物中のモノマーの重合を抑制し、光ラジカル硬化型インク組成物の保存安定性を高めるために、光ラジカル硬化インク組成物中へ極少量、数十〜数百ppm程度の濃度で用いられる重合抑制剤とは、使用方法上区別される。
前記ラジカル重合禁止剤の含有量は、上記のように、0.1〜50重量%であり、吐出適性や効果・効率という観点から、10〜30重量%であることがより好ましい。
前記ラジカル重合禁止剤の含有量が0.1重量%に満たない場合は、光重合型インク組成物の硬化を許容するため本発明の効果を得ることができない。一方、前記ラジカル重合禁止剤の含有量が50重量%を超える場合は、温度変化に伴う結晶の析出により、配管が閉塞する等の不具合が発生する可能性があるため好ましくない。
前記ラジカル重合禁止剤は、ラジカル捕捉能力を有する化合物であれば何れも問題なく使用可能であるが、吐出適性や含有量に対して得られる重合防止効果、即ち効率という観点から、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類から選択された少なくとも1種類以上の化合物であることが好ましい。
前記ハイドロキノン類の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等を挙げることができる。
前記カテコール類の具体例としては、例えば、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等を挙げることができる。
前記ヒンダードアミン類の具体例としては、例えば、テトラメチルピペリジニル基を有する化合物等を挙げることができる。
前記フェノール類の具体例としては、例えば、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸アルキルエステル、ヒンダードフェノール等を挙げることができる。
前記フェノチアジン類の具体例としては、例えば、フェノチアジン等を挙げることができる。
前記縮合芳香族環のキノン類の具体例としては、例えば、ナフトキノン等を挙げることができる。
また、前記ラジカル重合禁止剤は、含有量に対して得られる重合防止効果、即ち効率という観点から、カーボンブラック又は表面に重合防止官能基を導入した無機・有機微粒子であることが好ましい。重合防止官能基の具体例としては、例えば、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、テトラメチルピペリジニル基、縮合芳香族環等を挙げることができる。
上記重合禁止剤は、チバ スペシャルティ ケミカルズ社のIrgastab UV10、UV−22の商品名で入手可能である。
前記溶剤は、低揮発性、低粘度という観点から、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、炭素数が10以上のポリエチレングリコールのモノエーテル又はジエーテルから選択された1種以上の化合物であることが好ましい。上記の条件を満たし、更に吐出特性という観点から、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレンジメチルエーテルが特に好ましい。
前記溶剤の添加量は、49.9〜99.9重量%であることが好ましい。
前記界面活性剤は、記録媒体に対する濡れ性向上という観点から、BYK−347、348、UV3500、UV3510、UV3570(ビックケミー・ジャパン社製)、サーフィノールE1010(日信化学社製)から選択された1種以上の化合物であることが好ましい。
前記界面活性剤の添加量は、0.01〜5.0重量%であることが好ましい。
本実施形態に係る液体組成物は、装置部材に対する濡れ性向上という観点から、更に、ラクトン類を含有することが好ましい。
前記ラクトン類の具体例としては、例えば、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
前記ラクトン類の添加量は、1.0〜30重量%であることが好ましい。
[インクセット]
本発明の実施例に係るインクセットは、液体組成物と、光ラジカル硬化型インク組成物と、を含むものである。なお、液体組成物は上述した液体組成物を使用する。
前記光ラジカル硬化型インク組成物は、例えば、重合性化合物と、ハイパーブランチポリマーと、重合開始剤と、重合促進剤と、顔料分散液と、を含むことができる。
前記光ラジカル硬化型インク組成物に使用される重合性化合物(モノマー)としては、特に制限されることなく、種々の重合性化合物を用いることができるが、例えば、N−ビニルフォルムアミド(以下「NVF」と称する。)エチレングリコールモノアリルエーテル(以下「AG」と称する)、APG−200(新中村化学工業社製)、ビスコート#360(大阪有機化学工業社製)等を挙げることができる。
前記重合性化合物の添加量は、50〜95重量%であることが好ましい。
前記光ラジカル硬化型インク組成物に使用されるハイパーブランチポリマーとしては、ジペンタエリスリトールをコアとして官能基を分岐させたハイパーブランチポリマーであることが好ましい。ここで、「ハイパーブランチポリマー」とは、多数の枝からなる樹木状の多分岐高分子のことをいう。ハイパーブランチポリマーは、大阪有機化学工業社製のビスコート #1000、STAR−501などが入手可能である。
また本発明では、ハイパーブランチポリマーとして、大阪有機化学工業製、「ビスコート #1000」、「STAR−501」を用いることが好ましい。この「ビスコート #1000」、「STAR−501」は、ジペンタエリスリトールをコアとして官能基を分岐させていったハイパーブランチポリマーであり、「ビスコート #1000」は希釈モノマーとして、エチレングリコールジアクリレートを含有し、粘度273mPa・s、官能基数14(アクリル基)のものであり、「STAR−501」は希釈モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを含有し、粘度:210Pa・s、官能基数20〜99(アクリル基)のものである。どちらも最外面にアクリロイル基を有しており、好適に使用可能である。
前記ハイパーブランチポリマーの添加量は、1.0〜30.0重量%であることが好ましい。
前記光ラジカル硬化型インク組成物に使用される重合開始剤としては、フォトポリマーハンドブック(フォトポリマー懇話会編 工業調査会発行1989年)の39〜56頁に記載の公知の光重合開始剤、特開昭64−13142号、特開平2−4804号に記載されている化合物を任意に用いることが可能である。
本実施形態の光ラジカル硬化型インク組成物に含まれる重合開始剤としては、例えば、200nm〜450nm程度の領域の紫外線又は可視光を吸収しラジカルまたはイオンを生成して重合性化合物の重合を開始させるものである。
前記光ラジカル硬化型インク組成物に用いられる重合開始剤は、代表的なものとしてラジカル発生型を挙げると、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、ベンジル、ジエトキシアセトフェノン、ベンゾフェノン、クロロチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、ポリ塩化ポリフェニル、ヘキサクロロベンゼン等が挙げられ、好ましくは、イソブチルベンゾインエーテル、1−フェニル−1,2−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムである。
また、Vicure 10、30(Stauffer Chemical社製)、Irgacure 184、127、500、651、2959、907、369、379、754、1700、1800、1850、1870、819、4265、OXE01、Darocur 1173、TPO、ITX(チバ スペシャルティ ケミカルズ社製)、Quantacure CTX、ITX(Aceto Chemical社製)、Kayacure DETX−S(日本化薬社製)、ESACURE KIP150(Lamberti社製)、Lucirin TPO(BASF社製)の商品名で入手可能な重合開始剤も使
用することができる。
前記重合開始剤の添加量は、0.5〜15重量%であることが好ましい。
前記光ラジカル硬化型インク組成物に使用される重合促進剤としては、例えば、アミン化合物からなる重合促進剤を挙げることができる。このアミン化合物としては、特に限定されないが、臭気の問題やインク組成物の硬化がより確実になることから、特にアミノベンゾエート誘導体が好ましい。これはアミノベンゾエート誘導体が、酸素による重合阻害を軽減する為である。
アミノベンゾエート誘導体は、350nm以上の波長域に吸収を持たないものが好ましい。このようなアミノベンゾエート誘導体の例としては、特に限定されないが、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−4−ジメチルアミノベンゾエート等が挙げられ、これは、Darocur EDB、EHA(チバ スペシャルティ ケミ
カルズ社製)の商品名で入手可能である。
前記重合促進剤の添加量は、0.01〜5.0重量%であることが好ましい。
また、照射する光を効率良く重合反応に使用する目的で増感剤を添加しても良い。増感剤としては、クマリン系、シアニン系、アントラセン系等の色素誘導体が挙げられる。
前記光ラジカル硬化型インク組成物に使用される顔料分散液としては、少なくとも、着色剤と、分散剤と、重合性化合物と、重合禁止剤と、を含むことができる。
前記顔料分散液に使用される着色剤としては、耐光性の観点から顔料を使用することが好ましい。顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用することができる。
無機顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、二酸化チタン、アルミナ、炭酸カルシウム等を使用することができる。
また、有機顔料として、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(たとえば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料等が挙げられる。上記顔料は1種単独でも、2種以上併用して用いることもできる。また、カラーインデックスに記載されていない顔料であってもインク組成物中にて不溶であればいずれも使用できる。
ブラック顔料としては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの具体例としては、三菱化学製の#2300、#900、HCF88、#33、#40、#45、#52、MA7、MA8、MA100、#2200B等、コロンビア社製のRaven5750、同5250、同5000、同3500、同1255、同700等、キャボット社製のRegal 400R、同330R、同660R、Mogul L、同700、Monarch 800、同880、同900、同1000、同1100、同1300、同1400等、デグッサ社製のColor Black FW1、同FW2V、同FW18、同FW200、Color Black S150、同S160、同S170、Printex 35、同U、同V、同140U、Specisal Black 6、同5、同4A、同4等を挙げることができ、これらの1種又は2種の混合物として用いてもよい。
イエロー顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、109、110、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180、185、213等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントイエロー74、109、110、128、138及び213からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
マゼンタ及びライトマゼンタ顔料としては、C.I.ピグメントレッド、5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、15:1、112、122、123、168、184、202、209及びC.I.ピグメントヴァイオレット19等が挙げられ、好ましくはC.I,ピグメントレッド122、202、209及びC.I.ピグメントヴァイオレット19からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
シアン及びライトシアン顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、2、3、15:3、15:4、15:34、16、22、60及びC.I.バットブルー4、60等が挙げられ、好ましくはC.I.ピグメントブルー15:3、15:4及び60からなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
ホワイトインクに使用される顔料として、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸バリウム、シリカ、アルミナ、カオリン、クレー、タルク、白土、水酸化アルミ、炭酸マグネシウム、白色中空樹脂エマルジョン等が挙げられ、好ましくはこれらからなる群から選択される1種又は2種以上の混合物である。
また、各色の顔料はその色調を調整する為に、互いに混合して用いる事も可能である。例えば、赤みのブラックの色調を青みに変える目的で、ピグメントブラック7とピグメントブルー15:3を混合する事も可能である。
本実施形態に使用される顔料は、その平均粒径が10〜500nmの範囲にあるものが好ましく、より好ましくは50〜300nm程度のものである。また、本実施形態に使用される顔料の配合量は、濃淡インク組成物等のインク組成物の種類に応じて適宜決定されてよいが、インク組成物中、1.5〜20重量%、好ましくは3〜10重量%である。
前記顔料分散液に使用される分散剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン(CN)−(PO)−(EO)−OH(上記式中、n、x及びyは、それぞれ1以上の整数を意味し、POはプロピレンオキサイドを意味し、EOはエチレンオキサイドを意味する。)を使用することができる。ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミンの具体例としては、例えば、ディスコール(Discole)N−503、N−506、N−509、N−512、N−515、N−518、N−520等を挙げることができる。
前記分散剤の添加量は、好ましくは0.1〜20重量%であり、より好ましくは0.5〜10質量%である。
前記顔料分散液に使用されるラジカル重合性化合物としては、通常光硬化型インクに用いられるものであれば特に限定されないが、好ましくはアリル化合物、更に好ましくはアリルエーテル化合物、エチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、グリセリンモノアリルエーテル、アリルグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールトリアリルエーテルが挙げられ、特に好ましくはエチレングリコールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンジアリルエーテル及び/又はN−ビニル化合物、特に好ましくはN−ビニルフォルムアミドを含有する。
エチレングリコールモノアリルエーテル及び/又はN−ビニルフォルムアミドは、単官能のラジカル重合性モノマーであり、保存中暗反応により、望まない重合が生じる傾向が低く、使用に当たって好適である。
特にエチレングリコールモノアリルエーテル(商品名アリルグリコール)、トリメチロールプロパンジアリルエーテル等のアリルエーテル化合物は、光ラジカル重合開始剤の分解によって生じる炭素ラジカルが存在しても、単独では重合しない特性を有している。
当該N−ビニルフォルムアミド及びエチレングリコールモノアリルエーテル以外の重合性化合物としては、光重合開始剤から生成するラジカルまたはイオンにより重合されるものであれば特に限定ない。このような重合性化合物とは、高分子の基本構造の構成単位となり得る分子をいう。このような重合性化合物は光重合性モノマーとも呼ばれ、単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマーが含まれる。なお、この単官能モノマー、二官能モノマー、多官能モノマーとしては、特に限定されないが、分子量が100〜3000程度(好ましくは100〜2000程度)のものを使用することができる。
このような重合性化合物の代表的なものとして、単官能モノマーとしては、フェノキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メトキシジエチレングリコールモノアクリレート、アクロイルモルホリン、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸シクロヘキシル、オキセタンメタアクリレート等を挙げることができる。
二官能モノマーとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレ−ト、ポリエチレングリコール#400ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、ヒドロキシピオペリン酸エステルネオペンチンルグリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート等を挙げることができる。
多官能モノマーとしては、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート、トリメチロールプロパンEO付加物トリアクリレート、トリメチロールプロパンPO付加物トリアクリレート、グリセリンEO付加物トリアクリレート、グリセリンPO付加物トリアクリレート、ペンタエリストールトリアクリレート、ジペンタエリストールヘキサアクリレート、ジペンタエリストールポリアクリレート、多官能モノマー間の反応を利用して作製されるデンドリマー等を挙げることができる。
前記重合性化合物の添加量は、5〜95重量%であることが好ましい。
前記顔料分散液に使用されるラジカル重合禁止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン光安定剤、リン系酸化防止剤、広く(メタ)アクリルモノマーに用いられるハイドロキノンモノメチルエーテルの他、ハイドロキノン、t−ブチルカテコール、ピロガロールなどを挙げることができる。
前記ラジカル重合禁止剤の添加量は、0.001〜0.5重量%であることが好ましい。
本実施形態の光ラジカル硬化型インク組成物には、水性溶媒を含んでいてもよい。更に任意の成分として、樹脂エマルジョン、無機酸化物コロイド、湿潤剤、pH調整剤、防腐剤、防かび剤、界面活性剤等を添加してもよい。
また、前記光ラジカル硬化型インク組成物は、1液硬化型であっても、2液硬化型であってもよい。
[記録方法]
上述の液体組成物及び光ラジカル硬化型インク組成物は、ペン等の筆記具類、スタンプ等に好適に使用することができるが、光ラジカル硬化型インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法においてさらに好適に使用できる。ここで、「インクジェット記録方法」とは、インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方法を意味する。具体例を以下に説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録方法は、光ラジカル硬化型インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出するステップと、上述した液体組成物の液滴を該光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所に吐出するステップと、紫外線を照射して該記録媒体に付着した液滴を硬化させるステップと、を有するものである。
ここで、「光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所」としては、例えば、インクジェット記録装置のキャップ、ワイパー、インク吸収材、チューブポンプの少なくとも1つを挙げることができる。光ラジカル硬化型インク組成物は紫外線が照射されると重合反応により硬化する。そのため、インクジェット記録装置のキャップ、ワイパー、インク吸収材、チューブポンプなど、光ラジカル硬化型インク組成物が付着した場所に紫外線が当たると、光ラジカル硬化型インク組成物はその場所で硬化してしまう。そして、硬化したインク(樹脂化した硬化物)の存在によって、これらの部品が機能低下や機能不全などの不具合を起こす。
これに対して、インクジェット記録装置のキャップ、ワイパー、インク吸収材、チューブポンプなどに上述した液体組成物を吐出すると、液体組成物に含まれるラジカル重合禁止剤が光ラジカル硬化型インク組成物の硬化反応を防止する。そのため、仮にキャップ、ワイパー、インク吸収材、チューブポンプなどに光ラジカル硬化型インク組成物が付着し、紫外線が照射された場合であってもインク(樹脂)は硬化しない。その結果、インクジェット記録装置は不具合を生じることなく、長期間にわたってその性能を維持することができる。
液体組成物の液滴を該光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所に吐出するステップは、例えば、クリーニングやメンテナンス動作中における液体組成物の吐出等の方法で行うことができる。
液体組成物を吐出するタイミングは、光ラジカル硬化型インク組成物が硬化する前であることが必要である。本実施形態で使用する液体組成物はあくまでも光ラジカル硬化型インクのラジカル重合反応を阻害するものであり、一旦硬化した後に樹脂を溶解させることはできない。
前記液体組成物の吐出量は、仮に光ラジカル硬化型インク組成物の吐出量を1とした場合に、0.1〜10であることが好ましい。
光ラジカル硬化型インク組成物を吐出する方法としては、以下に説明する方法が挙げられる。
第一の方法としては、静電吸引方式があり、この方式はノズルとノズルの前方に置いた加速電極の間に強電界を印加し、ノズルからインクを液滴状で連続的に噴射させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する方式、またはインク滴を偏向することなく印刷情報信号に対応して噴射させる方式である。
第二の方法としては、小型ポンプでインク液に圧力を加え、ノズルを水晶振動子等で機械的に振動させることにより、強制的にインク滴を噴射させる方式である。噴射したインク滴は噴射と同時に帯電させ、インク滴が偏向電極間を飛翔する間に印刷情報信号を偏向電極に与えて記録する。
第三の方法は圧電素子(ピエゾ素子)を用いる方式であり、インク液に圧電素子で圧力と印刷情報信号を同時に加え、インク滴を噴射・記録させる方式である。
第四の方式は熱エネルギーの作用によりインク液を急激に体積膨張させる方式であり、インク液を印刷情報信号に従って微小電極で加熱起泡させ、インク滴を噴射・記録させる方式である。
以上のいずれの方式も本実施形態のインクジェット記録方法に使用することができ、それぞれの方式のインクジェットカートリッジに充填することができる。
前記液体組成物の液滴を吐出した後、定法に従い、紫外線を照射して記録媒体に付着した液滴を硬化させる。
記録媒体としては、特に制限はなく、例えば、普通紙、インクジェット専用紙(マット紙、光沢紙)、ガラス、プラスチック、フィルム、金属、プリント配線基板等の種々の記録媒体を用いることができる。
紫外線の照射は、基板または記録媒体等の上に付着させたインク組成物量や厚さにより、適宜好ましい条件を選択することが好ましい。そのため、厳密には特定できないが、例えば、光照射装置から放射される光の波長が350〜450nmの範囲であることが好ましい。
また、紫外線の照射量は、10mJ/cm以上、10,000mJ/cm以下であり、また好ましくは50mJ/cm以上、6,000mJ/cm以下の範囲で行うことが好ましい。かかる程度の範囲内における紫外線照射量であれば、光ラジカル硬化型インク組成物の硬化反応を十分に行うことができる。
紫外線照射は、メタルハライドランプ、キセノンランプ、カーボンアーク灯、ケミカルランプ、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ等のランプが挙げられる。例えばFusion System社製のHランプ、Dランプ、Vランプ等の市販されているものを用いて行うことができる。
また、消費エネルギー低減の面から、紫外線発光ダイオード(紫外線LED)や紫外線発光半導体レーザ等の紫外線発光半導体素子により、紫外線照射を行うことが特に好ましい。
また、本実施形態のインクジェット記録方法では、紫外線光照射前、同時またはその後に加熱してもよい。加熱は、記録媒体に熱源を接触させて加熱する方法、赤外線やマイクロウェーブ(2,450MHz程度に極大波長を持つ電磁波)などを照射し、または熱風を吹き付けるなど記録媒体に接触させずに加熱する方法などが挙げられる。
[記録物]
実施形態の記録物は、前述の液体組成物及び光ラジカル硬化型インク組成物を用いて、上記インクジェット記録方法により記録が行われたものである。この記録物は、前述の液体組成物及び光ラジカル硬化型インク組成物を用いて上記インクジェット記録方法により得られたものであるため、印字品質が良好で、優れた印字安定性を示し、美麗な発色状態を呈し、しかもこの美麗な発色状態を長期間に亘って維持することができる。
[ラジカル重合防止液体組成物の調製]
下記の組成にて実施例1〜8及び比較例1〜5に係る重合防止液体組成物を調製した。即ち、溶剤、界面活性剤、ラジカル重合禁止剤を混合且つ完全に溶解し、5μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行い、ラジカル重合防止組成物を調製した。
(実施例1)ラジカル重合防止液体組成物1
ラジカル重合防止液体組成物1
ジエチレングリコールジエチルエーテル 59.5重量%
γ−ブチロラクトン
15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 10重量%
BYK−UV3500(ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤)0.5重量%
(実施例2)ラジカル重合防止液体組成物2
ジエチレングリコールジエチルエーテル 39.5重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 30重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(実施例3)ラジカル重合防止液体組成物3
ジエチレングリコールジエチルエーテル 66.5重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
Irgastab UV−10 3重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(実施例4)ラジカル重合防止液体組成物4
ジエチレングリコールジエチルエーテル 59.5重量%
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 30重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 10重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(実施例5)ラジカル重合防止液体組成物5
ジエチレングリコールジエチルエーテル 64.5重量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 25重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 10重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(実施例6)ラジカル重合防止液体組成物6
ジエチレングリコールジエチルエーテル 64.5重量%
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 25重量%
4−tert−ブチルカテコール 10重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(実施例7)ラジカル重合防止液体組成物7
ジエチレングリコールジエチルエーテル 59.8重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 10重量%
BYK−UV3570(ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤)0.2重量%
(実施例8)ラジカル重合防止液体組成物8
ジエチレングリコールジエチルエーテル 59.0重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 10重量%
サーフィノールE1010(アセチレンジオール系界面活性剤)1.0重量%
(比較例1)ラジカル重合防止液体組成物9
ジエチレングリコールジエチルエーテル 69.5重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(比較例2)ラジカル重合防止液体組成物10
ジエチレングリコールジエチルエーテル 69.45重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 0.05重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(比較例3)ラジカル重合防止液体組成物11
ジエチレングリコールジエチルエーテル 18.5重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 51重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
(比較例4)ラジカル重合防止液体組成物12
ジエチレングリコールジエチルエーテル 56.5重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
ハイドロキノンモノメチルエーテル 10重量%
BYK−UV3500 0.5重量%
イオン交換水 3重量%
(比較例5)ラジカル重合防止液体組成物13
ジエチレングリコールジエチルエーテル 70.0重量%
γ−ブチロラクトン 15重量%
テトラエチレングリコールジメチルエーテル 15重量%
Figure 2011184689
[顔料分散液の調製]
顔料分散液は下記に示す方法によって調製した。着色剤としてC.I.ピグメントブラック7(カーボンブラック;C.I.PBk7)15部、分散剤としてのディスコールN−509(大日精化工業社製)6.0部に、モノマーとしてのエチレングリコールモノアリルエーテル(日本乳化剤社製。以下「AG」と称する。)加えて全体を100部とし、混合攪拌して混合物とした。この混合物を、サンドミル(安川製作所社製)を用いて、ジルコニアビーズ(直径1.5mm)と共に6時間分散処理を行った。その後ジルコニアビーズをセパレータで分離しブラック顔料分散液1を得た。
以下同様にしてそれぞれの色に対応する顔料分散液、即ちイエロー顔料分散液2(C.I.ピグメントイエロー151;C.I.PY151)、マゼンタ顔料分散液3(C.I.ピグメントヴァイオレット19;C.I.PV19)、シアン顔料分散液4(C.I.ピグメントブルー15:3;C.I.PB15:3)、ホワイト顔料分散液5(C.I.ピグメントホワイト6;C.I.PW6)を調製した。顔料の種類及びその添加量(重量%)並びに分散剤の添加量(重量%)を表2に示す。
[光ラジカル硬化型インクセット1の調製]
モノマー、ハイパーブランチポリマー、光重合開始剤、重合促進剤、顔料分散液を表2に示す組成(重量%)になるように添加し、2液型光硬化カラーインクセットを調製した。
表2に示す組成にて光ラジカル硬化型インク組成物A1、B1〜B5を調製した。即ち、モノマー、光重合開始剤、重合促進剤、界面活性剤、重合禁止剤を混合且つ完全に溶解しインク組成物A1を調製した。次いで、同様にモノマー、重合促進剤、界面活性剤、重合禁止剤を混合且つ完全に溶解し、上記顔料分散液1を攪拌しながらインク組成物B1のインク溶媒中に徐々に滴下した。滴下終了後、常温で1時間混合攪拌しインク組成物B1とした。その後、5μmのメンブランフィルターでそれぞれインク組成物A1、B1をろ過し、所望の光ラジカル硬化型インク組成物A1、B1とした。また、光ラジカル硬化型インク組成物B1と同様の方法により、それぞれ上記顔料分散液2〜5を加えて、光ラジカル硬化型インク組成物B2〜B5を調製した。
表2において、「NVF」は荒川化学工業社製のN−ビニルフォルムアミドを意味し、「AG」は日本乳化剤社製のエチレングリコールモノアリルエーテルを意味し、「ビスコート #1000(V #1000と略す)」、「STAR−501」は大阪有機化学工業社製のハイパーブランチポリマーを意味し、「Irgacure 819」、「Irgacure 369」および「Irgacure 127」はチバ スペシャルティ ケミカルズ社製の重合開始剤を意味し、「Darocur EDB」は同社の重合促進剤を意味し、「BYK-UV3570」はビッグケミー・ジャパン社製のシリコーン系界面活性剤を意味し、「Kayacure DETX-S」は日本化薬社製の重合開始剤を意味し、「Irgastab UV10」はチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の重合禁止剤を意味する。なお、単位は重量%である。
Figure 2011184689
[信頼性試験1]
表2に示す各インク組成物とセイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタPM−G920を使用し、フルカラー画像印刷を実施した。このとき、インク組成物B1はフォトブラック列に、B2〜B4のそれぞれカラーインクはそれぞれ対応するカラー列に、インク組成物A1はグロスオプティマイザ列に、インク組成物B5はマットブラック列にそれぞれ充填した。
また、ラジカル重合防止液体組成物A1をレッド、ブルー列に充填し、常温・常圧下にてそれぞれのカラーインク滴は対応する位置に、インク組成物A1は画像領域全てを覆うような印字条件にてフルカラー画像印刷を実施した。ラジカル重合防止液体組成物は印刷動作及び定期メンテナンス動作にて、インクジェットプリンタのキャップ、ワイパー、インク吸収部材上に吐出を行った。印刷動作、定期メンテナンス動作、定期フラッシング動作及びクリーニング動作によってキャップ内に蓄積されたインク組成物及びラジカル重合防止液体組成物の混合物は廃液ポンプによる吸引によって適宜除去され廃液として排出された。
記録媒体にはA4サイズのOHPフィルム(富士ゼロックス(株)製、XEROX FILM<枠なし>)を用いた。そして記録ヘッド近傍に設置した、紫外線照射光源により、光量が波長365nm、380nm、395nmの波長ピークを有する紫外線LEDを用い、合計の照射光量が600mJ/cmになるような硬化条件で6時間の連続縁無し印字及び硬化処理を行い、以下のチェック項目について、キャップ、ワイパー、インク吸収部材、チューブポンプの動作を試験した。
チェック項目キャップ:密着不良による吸引不良があるか否か
ワイパー:硬化物の付着によるクリーニング不良があるか否か
インク吸収材:インク吸収材上での硬化による吸収不良による記録物の汚れがあるか否か
チューブポンプ:インク硬化物の閉塞による吸引不良があるか否か
そして、上記のチェック項目につき、以下の評価指標に基づいて評価を行った。
評価指標
A:特に問題は認められなかった。
B:光硬化インク組成物が増粘、ゲル化する事により、上記の何れかの機構に不具合を生じた。
C:光硬化インク組成物が硬化、結晶化する事により、上記の何れかの機構に不具合を生じた。
その結果を表3に示す。
Figure 2011184689
表3に示すとおり、実施例1〜8の液体組成物を使用して印刷を行えば、インクジェットプリンタのキャップ、ワイパー、インク吸収部材及び廃液ポンプのいずれの部品にも不具合を生じることなく、プリンタの性能を維持することができた。具体的には以下のとおりである。
キャップにおいては、ヘッドキャップに収納されているインク吸収材(スポンジ等)にも、該液体組成物を吐出および吸引することでヘッドキャッピング中の硬化による固化を防止することができる。
ワイパーにおいては、液体組成物を直接吐出することも可能であり、またクリーニング動作において、ノズルプレートについた光ラジカル硬化インク組成物と液体組成物の混合物が重合して固まることないため、ワイピングによってきれいに除去され、かつ、ワイパーに付着した光ラジカル硬化インク組成物と液体組成物の混合物も硬化しないため、ワイパーの劣化を防止できる。
インク吸収部材においては、ノズル詰まり防止を目的に印字中等においてインク吸収材に吐出する動作(フラッシング)をした際に、該液体組成物も同時に吐出することで、インク吸収材(スポンジ等)が硬化により固まることがない。
廃液ポンプにおいては、キャップに排出されたインクを吸引した後に、チューブ内に残ったインクが硬化により詰まるのを防止することができる。
[光ラジカル硬化型インクセット2の調製]
表4に示す組成にて、上記光ラジカル硬化型インク組成物B1と同様の方法により、それぞれ上記顔料分散液1〜5を加えて、光ラジカル硬化型インク組成物A2、B6〜10を調製した。
Figure 2011184689
[信頼性試験2]
表4に示す各インク組成物とセイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタPM−G920を使用し、フルカラー画像印刷を実施した。このとき、インク組成物B6はフォトブラック列に、B7〜B9のそれぞれカラーインクはそれぞれ対応するカラー列に、インク組成物A2はグロスオプティマイザ列に、インク組成物B10はマットブラック列にそれぞれ充填した。
また、対応するラジカル重合防止液体組成物をレッド、ブルー列に充填し、常温・常圧下にてそれぞれのカラーインク滴は対応する位置に、インク組成物A2は画像領域全てを覆うような印字条件にてフルカラー画像印刷を実施した。その他の条件は信頼性試験1と同様の条件にて実施した。
その結果を表5に示す。
Figure 2011184689
[光ラジカル硬化型インクセット3の調製]
表6に示す組成にて、上記光ラジカル硬化型インク組成物B1と同様の方法により、それぞれ上記顔料分散液1〜5を加えて、光ラジカル硬化型インク組成物B11〜15を調製した。その際、顔料分散液2のC.I.PY151に代えてC.I.PY213を用いた。
Figure 2011184689
[信頼性試験3]
表6に示す各インク組成物とセイコーエプソン株式会社製インクジェットプリンタPM−G920を使用し、フルカラー画像印刷を実施した。このとき、インク組成物B11はフォトブラック列に、B12〜14のそれぞれカラーインクはそれぞれ対応するカラー列に、インク組成物B15はマットブラック列にそれぞれ充填した。
常温・常圧下にてそれぞれのカラーインク滴は対応する位置に、フルカラー画像印刷を実施した。その他の条件は信頼性試験1と同様の条件にて実施した。
その結果を表7に示す。
Figure 2011184689
以上の結果から、本発明に係る液体組成物はインクジェット記録装置の性能を維持するメンテナンス用の液体組成物として有用であることが判明した。

Claims (16)

  1. ラジカル重合禁止剤と、溶剤と、界面活性剤と、を含む液体組成物であって、
    該ラジカル重合禁止剤の含有量が0.1〜50重量%であることを特徴とする液体組成物。
  2. 前記ラジカル重合禁止剤が、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類から選択された少なくとも1種類以上の化合物であることを特徴とする請求項1に記載の液体組成物。
  3. 前記ラジカル重合禁止剤が、カーボンブラック又は表面に重合防止官能基を導入した無機または有機微粒子であることを特徴とする請求項1に記載の液体組成物。
  4. 前記溶剤が、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、炭素数が10以上のポリエチレングリコールのモノエーテル又はジエーテルから選択された1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体組成物。
  5. 前記界面活性剤が、ポリエーテル変性シリコーン系、ポリエステル変性シリコーン系、アセチレンジオール系界面活性剤から選択された1種以上の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体組成物。
  6. 更に、ラクトン類を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体組成物と、光ラジカル硬化型インク組成物と、を含むインクセット。
  8. 光ラジカル硬化型インク組成物の液滴を記録媒体上に吐出するステップと、
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体組成物の液滴を該光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所に吐出するステップと、
    紫外線を照射して該記録媒体に付着した液滴を硬化させるステップと、
    を有することを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 前記光ラジカル硬化型インク組成物の液滴が画像を形成する目的で吐出される場所以外の場所が、インクジェット記録装置のキャップ、ワイパー、インク吸収材、チューブポンプの少なくとも1つであることを特徴とする請求項8に記載のインクジェット記録方法。
  10. 前記光ラジカル硬化型インク組成物が、アミン化合物を更に含有することを特徴とする請求項8及び9に記載のインクジェット記録方法。
  11. 前記光ラジカル硬化型インク組成物が、ハイパーブランチポリマーを更に含有することを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  12. 前記光ラジカル硬化型インク組成物が、1液硬化型であることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  13. 前記光ラジカル硬化型インク組成物が、2液硬化型である請求項8〜11のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法。
  14. 請求項8〜13のいずれか1項に記載のインクジェット記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
  15. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の液体組成物と、
    光ラジカル硬化型インク組成物と、
    該光ラジカル硬化型インク組成物用の光照射装置と、
    を備えたインクジェット記録装置。
  16. 前記光照射装置から放射される光の波長が350〜450nmの範囲である請求項15に記載の記録装置。
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