JP2011183573A - 複合成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリウレタン部材に予め表面活性化処理を施さなくても、ポリウレタン部材とシリコーン部材とが充分に接着した複合成形体を提供すること。
【解決手段】100質量部のポリウレタンと前記ポリウレタン100質量部に対して0.1〜30質量部の芳香環含有ポリエステル樹脂とを含むポリウレタン組成物からなる部材、およびシリコーン組成物からなる部材を有し、前記ポリウレタン組成物からなる部材および前記シリコーン組成物からなる部材が接触してなる複合成形体。
【選択図】なし
【解決手段】100質量部のポリウレタンと前記ポリウレタン100質量部に対して0.1〜30質量部の芳香環含有ポリエステル樹脂とを含むポリウレタン組成物からなる部材、およびシリコーン組成物からなる部材を有し、前記ポリウレタン組成物からなる部材および前記シリコーン組成物からなる部材が接触してなる複合成形体。
【選択図】なし
Description
本発明は、携帯電話等の通信端末、各種計器、パソコン入力用キーボード、リモコンの操作部などに用いるキーパッドとして有用な複合成形体に関する。
近年、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステルエラストマー等の樹脂製のフィルムからなるキーパッド用フィルムから得られるキーパッドにキートップ(ボタンキー)を接着、印刷または印刷接着するなどして製造されたキーシートが、携帯電話等の通信端末、各種計器、パソコン入力用キーボード、リモコンなどの操作部に広く使用されている(例えば特許文献1および2等)。
また上記キーパッド用フィルムの素材の中でも、ポリウレタンが、適度なソフト感や優れたクッション性に加えて高い耐久性を有することから好適である。これまで、ポリウレタンを素材としたキーパッド用フィルムに関する技術が知られている。
例えば特許文献3は、ヘキサメチレンジイソシアネートまたは水添ジフェニルメタンジイソシアネートから選ばれるイソシアネートおよびポリオールを少なくとも合成成分として使用して合成された熱可塑性ポリウレタン樹脂からなるキーパッド用表面材を、ソフトな触感に優れ、黄変を起こさず、耐水性、耐熱性が高く、物性低下の少ないキーパッド用表面材として開示している。
また特許文献4は、ヘキサメチレンジイソシアネートを主成分とする有機ジイソシアネート;ポリカーボネートジオールを主成分とする高分子ポリオール;および炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主成分とする鎖延長剤を反応させて得られる樹脂ペレットを溶融成形することによって得られるポリウレタン樹脂製キーパッドを、二次成形性、耐オレイン酸性、耐変色性、透明性、印刷適性に優れたキーパッドとして開示している。
樹脂製キーパッド用フィルムを用いて、キーパッド、さらにキーシートを製造する際には、しばしば、樹脂製フィルムにシリコーン系の接着剤や印刷インキを塗布した後、それらを固化または定着させることや、樹脂製フィルムとシリコーン層とを積層させたりすることが行われる。しかし通常のポリウレタン製キーパッド用フィルムは、表面活性が不充分であるためシリコーンとの接着性が低い。そのためポリウレタン製フィルムとシリコーンとを良好に接着させるためには、ポリウレタン製フィルムに、事前にプライマー処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、オゾン処理、フレーム処理等の表面活性化処理を施す必要があり、作業効率が悪い。
表面活性化処理を施すことなく、熱可塑性樹脂とシリコーンゴムとの複合体を製造する技術として、特許文献5は、熱可塑性樹脂組成物を金型キャビティ内部に一次射出成形し、次いでこの熱可塑性樹脂成形物上に付加硬化型シリコーンゴム組成物を二次射出すると共に、このシリコーンゴム組成物を上記熱可塑性樹脂の軟化点以上融点未満の温度で硬化させて、このシリコーンゴム組成物の硬化物を上記熱可塑性成形物と接着一体化する製造方法を開示している。しかし特許文献5の段落[0008]では、熱可塑性樹脂としてABS樹脂等を例示しているが、ポリウレタンの開示は無い。また特許文献5の製造方法で、熱可塑性樹脂としてポリウレタンを使用しても、ポリウレタンとシリコーンとが良好に接着した複合体を得ることはできない。
本発明は上記のような事情に着目してなされたものであって、その目的は、ポリウレタン組成物からなる部材(以下「ポリウレタン部材」と略称することがある)に予め表面活性化処理を施さなくても、ポリウレタン部材とシリコーン組成物からなる部材(以下「シリコーン部材」と略称することがある)とが充分に接着した複合成形体を提供することにある。
上記目的を達成するため本発明者らが種々検討を重ねた結果、芳香環含有ポリエステル樹脂を特定量で含有するポリウレタン組成物をポリウレタン部材の形成に用いれば、ポリウレタン部材に予め表面活性化処理を施さなくても、ポリウレタン部材とシリコーン部材との接着性に優れる複合成形体を製造できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の複合成形体は、100質量部のポリウレタンと前記ポリウレタン100質量部に対して0.1〜30質量部の芳香環含有ポリエステル樹脂とを含むポリウレタン組成物からなる部材、およびシリコーン組成物からなる部材を有し、前記ポリウレタン組成物からなる部材および前記シリコーン組成物からなる部材が接触してなることを特徴とする。
前記の芳香環含有ポリエステル樹脂の融点は、好ましくは、150〜230℃である。
前記ポリウレタン組成物からなる部材は、好ましくは、厚さ10〜3000μmのポリウレタン組成物フィルムから形成したものである。
前記シリコーン組成物からなる部材は、好ましくは、前記ポリウレタン組成物からなる部材上で、シリコーン組成物を硬化させて形成したものである。
前記シリコーン組成物は、好ましくは、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含む組成物である。
本発明は、前記複合成形体からなるキーパッド、並びに前記キーパッドおよびキートップを有するキーシートも提供する。
本発明によれば、ポリウレタン部材に予め表面活性化処理を施さなくても、ポリウレタン部材とシリコーン部材とが充分に接着した複合成形体を得ることができる。本発明の複合成形体は、キーパッドやキーシートの製造に特に有用である。
以下、ポリウレタン部材およびシリコーン部材が接触してなる本発明の複合成形体について、まずポリウレタン部材から順に説明する。ポリウレタン部材に含まれるポリウレタンは、高分子ポリオールおよび有機ポリイソシアネート、および必要に応じて鎖伸長剤を反応させることによって製造することができる。
ポリウレタン製造には、従来から使用されているあらゆる高分子ポリオールを使用することができる。高分子ポリオールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。高分子ポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリカーボネートポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、水素添加されていてもよい共役ジエン重合体系ポリオール、ひまし油系ポリオール、ビニル重合体系ポリオール等を挙げることができる。
高分子ポリオールは、好ましくはポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、およびポリカーボネートポリオールからなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはポリエステルポリオールおよび/またはポリエーテルポリオール、さらに好ましくはポリエステルジオールおよび/またはポリエーテルジオールを含む。
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば常法に従って、ポリオールとポリカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体(例えばエステル、無水物等)とを、直接エステル化反応またはエステル交換反応させて得られるポリエステルポリオール(好ましくはポリエステルジオール);ポリオールを開始剤としてラクトンを開環重合することによって得られるポリエステルポリオール(好ましくはポリエステルジオール);などを挙げることができる。
ポリエステルポリオールの製造には、ポリエステルの製造で一般的に使用されているポリオールを用いることができる。ポリオールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2,7−ジメチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、2,8−ジメチル−1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール等の炭素数2〜15(好ましくは炭素数4〜10)の脂肪族ジオール(好ましくは直鎖状脂肪族ジオール);1,4−シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、シクロオクタンジメタノール、ジメチルシクロオクタンジメタノール等の脂環式ジオール;1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジオールなどの1分子当たり水酸基を2個有するジオールや、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、ペンタエリスリトール、ジグリセリン等の1分子当たり水酸基を3個以上有するポリオールなどを挙げることができる。
上記ポリオールの中でも、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の炭素数4〜10の脂肪族ジオールが好ましく;1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の炭素数4〜10の直鎖状脂肪族ジオールがより好ましい。これらのポリオールを用いれば、非粘着性であり、且つ溶融成形性、力学的特性(例えば引張応力や引裂強度)および耐熱性に優れるポリウレタンを得ることができる。
ポリエステルポリオールの製造には、ポリエステルの製造において一般的に使用されているポリカルボン酸およびその誘導体を用いることができる。ポリカルボン酸およびその誘導体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ポリカルボン酸およびその誘導体としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、メチルコハク酸、2−メチルグルタル酸、3−メチルグルタル酸、トリメチルアジピン酸、2−メチルオクタン二酸、3,8−ジメチルデカン二酸、3,7−ジメチルデカン二酸等の炭素数4〜12(好ましくは炭素数6〜12)の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸、水添ダイマー酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3官能以上のポリカルボン酸;あるいはそれらのエステル形成性誘導体などを挙げることができる。
上記ポリカルボン酸およびその誘導体の中でも、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸およびその誘導体が好ましく;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、およびこれらの誘導体がより好ましく;アジピン酸およびその誘導体がさらに好ましい。これらのポリカルボン酸またはその誘導体を用いれば、非粘着性であり、且つ溶融成形性、力学的特性(例えば引張応力や引裂強度)および耐熱性に優れるポリウレタンを得ることができる。
ポリエステルポリオールの製造に用いるラクトンとしては、例えば、ε−カプロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン等を挙げることができる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリオールの存在下に、環状エーテルを開環重合して得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリ(メチルテトラメチレングリコール)等を挙げることができる。これらポリエーテルポリオールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でもポリテトラメチレングリコールおよびポリ(メチルテトラメチレングリコール)が好ましい。これらを用いれば、非粘着性であり、且つ溶融成形性、力学的特性(例えば引張応力や引裂強度)および耐熱性に優れるポリウレタンを得ることができる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、ポリオールとカーボネート化合物との反応によって得られるものを挙げることができる。この反応に用いられるポリオールとしては、例えば、上述したものを挙げることができる。カーボネート化合物としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート;ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートなどを挙げることができる。
上記ポリエステルポリカーボネートポリオールとしては、例えば、(1)ポリオール、ポリカルボン酸またはその誘導体およびカーボネート化合物を同時に反応させて得られるもの;(2)まずポリエステルポリオールを合成し、次いでこれをカーボネート化合物と反応させて得られるもの;又は(3)まずポリカーボネートポリオールを合成し、次いでこれをポリカルボン酸またはその誘導体と反応させて得られるもの;などを挙げることができる。
上記高分子ポリオールの具体例としては、ポリ(1,4−テトラメチレン アジペート)ジオール、ポリ(3−メチル−1,5−ペンタメチレン アジペート)ジオール、ポリ(ε−カプロラクトン)ジオール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
高分子ポリオールの数平均分子量は、好ましくは500以上(より好ましくは600以上、さらに好ましくは800以上)、好ましくは8,000以下(より好ましくは5,000以下、さらに好ましくは3,500以下)である。好ましい数平均分子量を有する高分子ポリオールを用いることによって、非粘着性、溶融成形性、溶融接着性、耐摩耗性、力学的特性(例えば引張破断強度等)などの種々の特性に優れるポリウレタンが得られる。なお本明細書における高分子ポリオールの数平均分子量は、JIS K−1557に準拠して測定された水酸基価に基づいて算出した数平均分子量である。
高分子ポリオールの1分子当たりの水酸基数は、好ましくは2.0個以上、好ましくは2.1個以下(より好ましくは2.07個以下)である。好ましい水酸基数を有する高分子ポリオールを使用することによって、成形性、非粘着性、耐摩耗性、力学的特性などに優れるポリウレタンが得られる。
ポリウレタンの製造には、従来から使用されているあらゆる有機ポリイソシアネートを使用することができる。有機ポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。有機ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフチレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート等の脂肪族または脂環式ジイソシアネートなどを挙げることができる。これらの中でもMDIが好ましい。MDIを主として含む有機ポリイソシアネートを用いれば、非粘着性で、且つ溶融成形性、力学的特性および耐熱性に優れるポリウレタンを製造することができる。MDI含有量は、有機ポリイソシアネート中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
ポリウレタンの製造では、必要に応じて、鎖伸長剤(特に2個以上の活性水素原子を有する分子量400以下の低分子化合物)を使用することができる。鎖伸長剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。鎖伸長剤としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−シクロヘキサンジオール、ビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレート、キシリレングリコール等のジオール類(好ましくは炭素数2〜10の脂肪族ジオール);ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、キシリレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラジンあるいはその誘導体、フェニレンジアミン、トリレンジアミン、キシレンジアミン、アジピン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジアミン類;アミノエチルアルコール、アミノプロピルアルコール等のアミノアルコール類などが挙げられる。これらの中でも、炭素数2〜10の脂肪族ジオール(特に1,4−ブタンジオール)が好ましい。炭素数2〜10の脂肪族ジオールを主として含む鎖伸長剤を用いれば、非粘着性で、且つ溶融成形性、力学的特性および耐熱性に優れるポリウレタンを製造することができる。炭素数2〜10の脂肪族ジオール(特に1,4−ブタンジオール)の含有量は、鎖伸長剤中、好ましくは50モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
ポリウレタンの製造において、各成分(高分子ポリオールおよび有機ポリイソシアネート、および必要に応じて鎖伸長剤)の混合比率は、目的とするポリウレタンに付与すべき硬度、力学的性能などを考慮して適宜決定することができる。(反応系中に存在する活性水素原子):(イソシアネート中のイソシアネート基{−NCO})のモル比が、好ましくは1:0.9〜1.3(より好ましくは1:0.9〜1.1)となるような量で各成分を使用して、ポリウレタンを製造することが推奨される。なお前記の反応系中に存在する活性水素原子は、高分子ポリオールおよび任意の鎖伸長剤等に由来する。このようなモル比で各成分を使用することによって、耐摩耗性、力学的特性(例えば引張破断強度、引張破断伸度等)、耐水性、屈曲性、耐油性、弾性回復性などが優れたポリウレタンを得ることができる。
ポリウレタンの製造では、ウレタン化反応触媒を使用してもよい。ウレタン化反応触媒は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ウレタン化反応触媒の種類は特に制限されず、ポリウレタンの製造に従来から使用されているあらゆる触媒を使用することができる。ウレタン化反応触媒としては、例えば、有機スズ系化合物、有機亜鉛系化合物、有機ビスマス系化合物、有機チタン系化合物、有機ジルコニウム系化合物、アミン系化合物などを挙げることができる。
ポリウレタンの製造方法は、特に制限されず、あらゆる公知のウレタン化反応技術を採用することができ、またプレポリマー法またはワンショット法のいずれを使用してもよい。ポリウレタンの製造方法としては、実質的に溶剤の不存在下に溶融重合することが好ましく、多軸スクリュー型押出機を用いる連続溶融重合法がより好ましい。溶融重合する際の重合温度は、好ましくは180〜280℃である。
上記のようにして製造されたポリウレタン中のイソシアネート基由来の窒素原子の含有率は、好ましくは1.5質量%以上(より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは2.5質量%以上)、好ましくは6質量%以下(より好ましくは5質量%以下)である。好ましい窒素原子の含有率を有するポリウレタンは、シリコーンとの接着性に優れている。またこのようなポリウレタンを用いれば、耐摩耗性、力学的特性(例えば引張破断強度、引張破断伸度等)、屈曲性、耐油性、弾性回復性、耐水性、撥水性、耐熱性、耐寒性、離型性、電気絶縁性などに優れたポリウレタン部材が得られる。
下記実施例の条件で測定したポリウレタンの溶融粘度は、好ましくは1,000Pa・s以上(より好ましくは1,200Pa・s以上、さらに好ましくは1,500Pa・s以上)、好ましくは3,000Pa・s以下(より好ましくは2,800Pa・s以下、さらに好ましくは2,500Pa・s以下)である。
本発明は、特定量の芳香環含有ポリエステル樹脂を含むポリウレタン組成物を用いてポリウレタン部材を形成することを特徴とする。本発明で使用する芳香環含有ポリエステル樹脂は、ポリマー主鎖に芳香環とエステル結合とを有し、加熱溶融が可能なポリエステル樹脂である。このような芳香環含有ポリエステル樹脂は、(1)ジカルボン酸またはその誘導体とジオールとを主原料とする反応によって得られるポリエステル樹脂;又は(2)ヒドロキシカルボン酸またはその誘導体を重縮合することによって得られるポリエステル樹脂;等のいずれであってもよい。これらの中で、(1)ジカルボン酸またはその誘導体とジオールとを主原料とする反応によって得られるポリエステル樹脂;が好ましい。芳香環含有ポリエステル樹脂は、ジカルボン酸またはその誘導体およびジオールの少なくとも一方に芳香族化合物を使用することによって製造することができ、これら原料を用いる直接エステル化法またはエステル交換法のいずれでも製造することができる。
上記ジカルボン酸および誘導体は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ジカルボン酸および誘導体としては、例えば、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム、テトラブロモフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸;およびそれらのエステル形成性誘導体(例えば低級アルキルエステル、アリールエステル、炭酸エステル、および酸ハロゲン化物等)などを挙げることができる。
上記ジオールは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノンナジオール、1,10−デカンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオールなどの脂環式ジオール;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの分子量6000以下のポリアルキレングリコールなどから誘導されるジオール;および1,4−ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジオールなどを挙げることができる。
芳香環含有ポリエステル樹脂は、必要に応じて、1種または2種以上の3官能以上の化合物(例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸など)から誘導される構造単位を少量で含有していてもよい。
芳香環含有ポリエステル樹脂は、好ましくは、主たるジカルボン酸成分が芳香族ジカルボン酸からなるポリエステル樹脂であり、この具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステル、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)系ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリエステル、ポリエチレンナフタレート(PEN)系ポリエステル、ポリブチレンナフタレート(PBN)系ポリエステル等の芳香族ポリエステルが挙げられ、中でも、ポリエチレンテレフタレート(PET)系ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート(PBT)系ポリエステルが好ましい。
また芳香環含有ポリエステル樹脂は、例えば、芳香族ポリエステル(例えば上述した芳香族ポリエステル)を硬質成分(ハードセグメント)とし、脂肪族ポリエーテル(例えばポリアルキレングリコール)を軟質成分(ソフトセグメント)とするポリエステル・ポリエーテル系共重合体;または上述の芳香族ポリエステルを硬質成分とし、脂肪族ポリエステル(例えば、ポリカプロラクトン、ポリブチレンアジペート等)を軟質成分とするポリエステル・ポリエステル系共重合体;等であってもよい。
工業的に入手可能なポリエステル・ポリエーテル系共重合体としては、例えば、
芳香族ポリエステル(PBT)を硬質成分とし、脂肪族ポリエーテル{ポリテトラメチレングリコール(PTMG)}を軟質成分とするペルプレン(登録商標)P(東洋紡績株式会社製);芳香族ポリエステル(PBN)を硬質成分とし、脂肪族ポリエーテル{ポリテトラメチレングリコール(PTMG)}を軟質成分とするペルプレン(登録商標)EN、(東洋紡績株式会社製);および芳香族ポリエステル(PBN)を主な硬質成分とし、脂肪族ポリエーテル{ポリテトラメチレングリコール(PTMG)}を主な軟質成分とするハイトレル(登録商標)(東レ・デュポン株式会社製);などが挙げられる。工業的に入手可能なポリエステル・ポリエステル系共重合体としては、芳香族ポリエステル(PBT)を硬質成分とし、脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトン)を軟質成分とするペルプレンS(東洋紡績株式会社製)などが挙げられる。
芳香族ポリエステル(PBT)を硬質成分とし、脂肪族ポリエーテル{ポリテトラメチレングリコール(PTMG)}を軟質成分とするペルプレン(登録商標)P(東洋紡績株式会社製);芳香族ポリエステル(PBN)を硬質成分とし、脂肪族ポリエーテル{ポリテトラメチレングリコール(PTMG)}を軟質成分とするペルプレン(登録商標)EN、(東洋紡績株式会社製);および芳香族ポリエステル(PBN)を主な硬質成分とし、脂肪族ポリエーテル{ポリテトラメチレングリコール(PTMG)}を主な軟質成分とするハイトレル(登録商標)(東レ・デュポン株式会社製);などが挙げられる。工業的に入手可能なポリエステル・ポリエステル系共重合体としては、芳香族ポリエステル(PBT)を硬質成分とし、脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトン)を軟質成分とするペルプレンS(東洋紡績株式会社製)などが挙げられる。
芳香環含有ポリエステル樹脂中の芳香環含有量は、好ましくは5質量%以上(より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上)、好ましくは60質量%以下(より好ましくは50質量%以下)である。芳香環含有ポリエステル樹脂の数平均分子量は、好ましくは5,000以上(より好ましくは7,500以上)、好ましくは100,000以下(より好ましくは80,000以下)である。この数平均分子量は、昭和電工製GPC装置{溶媒:ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)}を用いたゲル浸透クロマトグラフ分析(GPC)によって測定することができる。
芳香環含有ポリエステル樹脂の融点は、好ましくは150℃以上(より好ましくは180℃以上、さらに好ましくは190℃以上)、好ましくは230℃以下(より好ましくは223℃以下、さらに好ましくは210℃以下)である。この融点は、DSC(示差走査熱量測定)によって測定できる。特に融点が180〜223℃の範囲内にある芳香環含有ポリエステル樹脂を使用することが好ましい。このような芳香環含有ポリエステル樹脂を使用すれば、ポリウレタン部材(例えばフィルム)のフィッシュアイを低減することができる。フィッシュアイを低減することができるメカニズムは定かではないが、本発明者らは、ポリウレタン部材の製造温度近傍の融点を有する芳香環含有ポリエステル樹脂を用いることによって、該樹脂とポリウレタンとの相溶性が高まり、均一なポリウレタン部材が形成されると推測している。
芳香環含有ポリエステル樹脂は、好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)およびポリブチレンナフタレート(PBN)、並びにペルプレンPタイプのP30B、P40B、P40H、P55B、P70B、P90B、P150B、P280B、E450BおよびP150Mからなる群から選ばれる少なくとも1種を含む。
芳香環含有ポリエステル樹脂の含有量は、ポリウレタン100質量部に対して、0.1質量部以上(好ましくは0.2質量部以上、より好ましくは0.3質量部以上、さらに好ましくは0.4質量部以上)、30質量部以下(好ましくは15質量部以下、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下)である。この含有量が0.1質量部よりも少ないと、複合成形体中のポリウレタン系部材とシリコーン部材との接着強度が低下する。一方、この含有量が30質量部より多くても、接着強度の向上効果が飽和すると共に、ポリウレタン部材の表面の凹凸が大きくなって外観が悪化する。
ポリウレタン組成物は、上述したポリウレタンおよび芳香環含有ポリエステル樹脂とは異なる他の成分を、さらに含有していてもよい。他の成分としては、例えば、芳香環含有ポリカーボネート樹脂、離型剤、補強剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、安定剤等の各種添加剤;ガラスビーズ、ガラス繊維、ポリエステル繊維等の各種繊維;タルク、シリカ等の無機物;各種カップリング剤などが挙げられる。但し他の成分の含有量は、ポリウレタン組成物中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であり、ポリウレタン組成物は、他の成分を含有しないことが特に好ましい。
ポリウレタン部材の製造方法は、特に制限されない。例えば、まず上述したポリウレタンおよび芳香環含有ポリエステル樹脂、並びに任意に他の成分を混合または溶融混練することによって、ポリウレタン組成物を調製し、次いで該組成物を公知の成形方法で成形することによって、ポリウレタン部材を製造することができる。成形方法としては、例えば、射出成形、押出成形、インフレーション成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形、注型などが挙げられる。ポリウレタン部材の形状としては、例えば、シート、フィルム、プレート、管状体、棒状体、中空成形体、各種容器、各種ブロック状成形体、各種型物などを挙げることができる。上記成形方法の中でも、射出成形、押出成形またはインフレーション成形を採用することが好ましく、単軸スクリュー型押出機を用いる押出成形またはインフレーション成形を採用することがより好ましい。この場合に、単軸スクリュー型押出機のシリンダー温度は、好ましくは180〜230℃の範囲内である。
次に本発明の複合成形体中に含まれるシリコーン部材(シリコーン組成物からなる部材)について説明する。シリコーン組成物は、シリコーンのみでもよく、シリコーンおよび他の成分を含有する組成物でもよい。他の成分としては、例えば、離型剤、補強剤、着色剤、難燃剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、耐加水分解性向上剤、防かび剤、抗菌剤、安定剤等の各種添加剤;ガラス繊維、ポリエステル繊維等の各種繊維;タルク、シリカ等の無機物;各種カップリング剤などが挙げられる。但し他の成分の含有量は、シリコーン組成物中、好ましくは50質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下であり、シリコーン組成物は、他の成分を実質上含有しないことが特に好ましい。なお「実質上含有しない」とは、他の成分が存在する場合、その含有量が触媒量であることを意味する。
シリコーン部材は、好ましくは硬化性シリコーン組成物を硬化させることによって、簡便に形成することができる。硬化性シリコーン組成物としては、例えば硬化性シリコーン組成物および加熱硬化性シリコーン組成物が挙げられる。硬化前は柔らかなペースト状または半流動状であり、取り扱い性に優れる硬化性シリコーン組成物が好ましい。硬化性シリコーン組成物を硬化することによって、シリコーンゴムまたはシリコーン樹脂を形成できる。シリコーン部材として、硬化性シリコーン組成物を硬化させて、シリコーンゴムを形成することが好ましい。
硬化性シリコーン組成物には、空気中の水分によって硬化する1液型のシリコーン組成物、および硬化剤によって硬化する2液型のシリコーン組成物がある。異種材料に対して優れた接着性を示し、且つ取り扱い性に優れる2液型の硬化性シリコーン組成物(特に硬化してシリコーンゴムを形成するもの)が好ましい。なお1液型の硬化性シリコーン組成物は、一般に、成形加工装置や異種材料に対して良好な接着性を有するが、離型性、取り扱い性に劣る傾向がある。
2液型の硬化性シリコーン組成物は、シリコーンが有する官能基の反応形式に応じて、縮合反応型と付加反応型との2種類に大別される。縮合反応型では、水酸基末端反応型ジオルガノポリシロキサンとアルコキシ基末端反応型ジオルガノポリシロキサンとを触媒(例えばスズ化合物)を用いて重合する。一方、付加反応型では、アルケニル基(例えばビニル基等)および/またはアルキニル基を有するオルガノポリシロキサンと、ケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(水素化ポリシロキサン)とを、ヒドロシリル化触媒(例えば白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム等の貴金属化合物など)を用いて、常温または加熱下(一般に150℃以下)で反応させる。付加反応型は、縮合反応型よりも好ましい。付加反応型の硬化性シリコーン組成物(以下「付加反応型シリコーン組成物」と略称する)を用いることによって、ポリウレタン系部材とシリコーン部材との接着強度が向上した複合成形体を円滑に製造することができる。
付加反応型シリコーン組成物としては、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含むシリコーン組成物が好ましい。このような組成物は、例えば、市販品を用いることができる。例えば、信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2030」のA液とB液とを混合することによって、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含むシリコーン組成物を調製することができる。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、ケイ素原子に結合した水素原子を1分子中に1個以上有するものを使用できる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、柔軟性、優れた弾性特性、入手容易性、硬化性等の観点から、ジオルガノポリシロキサンであって、該分子中のケイ素原子に結合した1価の有機基(オルガノ基)のうちの一つまたは二つ以上が水素原子で置き換わったジオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましく;ジメチルポリシロキサンであって、該分子中のケイ素原子に結合したメチル基の1個以上(特に2〜10個)が水素原子で置き換わったジメチルハイドロジェンポリシロキサンがより好ましい。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、アルケニル基および/またはアルキニル基(好ましくはアルケニル基)を有していてもよい。アルケニル基を有するオルガノポリシロキサンとしては、1分子中に1個以上のアルケニル基(例えばビニル基、アリル基等)を有するオルガノポリシロキサンを使用することができる。このようなものとして、柔軟性、優れた弾性特性、入手容易性、硬化性等の観点から、1個または2個以上のアルケニル基を有するジオルガノポリシロキサンが好ましく;ジメチルポリシロキサン分子中の1個以上(特に2〜10個)のメチル基がアルケニル基に置き換わったジメチルポリシロキサンがより好ましい。
ヒドロシリル化触媒は、従来から用いられているあらゆるヒドロシリル化触媒を使用することができる。ヒドロシリル化触媒としては、例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム等の貴金属の錯体;有機過酸化物;アゾ化合物などを挙げることができる。これらの中でも、反応性が高く、取り扱い性に優れる白金錯体が好ましい。特に、塩化白金酸のアルコール溶液;および塩化白金酸溶液を中和し、次いで中和で得られた塩化白金酸塩に脂肪族不飽和炭化水素基含有化合物を配位させたもの;がより好ましい。
ヒドロシリル化触媒の含有量は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの質量(場合によってはオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびアルケニル基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計質量)に対して、好ましくは1質量ppm〜1質量%程度、より好ましくは10〜500質量ppm程度である。
上述したシリコーン組成物は、シリコーン系接着剤またはシリコーン系印刷インキでもよい。
次に本発明の複合成形体の構成等について説明する。本発明の複合成形体は、ポリウレタン部材およびシリコーン部材のみからなるものでもよく、ポリウレタン組成物およびシリコーン組成物とは異なる他の材料からなる部材(以下「他の材料部材」と略称することがある)を含んでもよい。他の材料としては、例えば、ポリウレタン組成物とは異なるポリマー組成物、紙、布帛、金属、セラミック、および木材などを挙げることができる。ポリウレタン部材、シリコーン部材および他の材料部材のいずれも、一つだけでもよく、二つ以上であってもよい。
本発明の複合成形体において、ポリウレタン部材とシリコーン部材とは、両部材の少なくとも一部分で接触していればよい。複合成形体が、二つ以上のポリウレタン部材および/または二つ以上のシリコーン部材を有する場合には、少なくとも一つのポリウレタン部材と少なくとも一つのシリコーン部材とが、両部材の少なくとも一部分で接触していればよい。
本発明の複合成形体は、好ましくは、層状のポリウレタン部材(以下「ポリウレタン層」と略称することがある)と層状のシリコーン部材(以下「シリコーン層」と略称することがある)とが接着積層した複合成形体(以下「積層成形体」と略称することがある)である。積層成形体の層数は特に制限されず、2層、3層、4層、または5層以上のいずれでもよい。積層成形体は、ポリウレタン層およびシリコーン層に加えて、層状である他の材料部材(以下「他の材料層」と略称することがある)を有していてもよい。他の材料層を有する積層成形体において、ポリウレタン層および/またはシリコーン層と他の材料層とは、一つの面の全面で接着積層していてもよく、あるいは線接着、点接着または部分的な面接着などによって連続的または断続的に接着積層していてもよい。
積層成形体としては、例えば、ポリウレタン層/シリコーン層からなる2層成形体;シリコーン層/ポリウレタン層/シリコーン層からなる3層成形体;ポリウレタン層/シリコーン層/ポリウレタン層からなる3層成形体;ポリウレタン層/シリコーン層/ポリウレタン層/シリコーン層からなる4層成形体;他の材料層/シリコーン層/ポリウレタン層からなる3層成形体;シリコーン層/ポリウレタン層/他の材料層からなる3層成形体;シリコーン層/ポリウレタン層/シリコーン層/ポリウレタン層/他の材料層からなる5層成形体などを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されない。
積層成形体中に二つ以上のポリウレタン層が存在する場合は、これらのポリウレタン層は、ポリウレタンの種類、含有量、層の厚さ等に関して、互いに同じものでもよく、異なるものでもよい。積層成形体中に二つ以上のシリコーン層または他の材料層が存在する場合も同様である。
積層成形体の全体の厚さ、各ポリウレタン層の厚さ、各シリコーン層の厚さ、および必要に応じて存在する他の材料層の厚さは特に制限されず、積層成形体の用途等に応じて適宜設定することができる。
一つのポリウレタン層の厚さおよび一つのシリコーン層の厚さは、それぞれ、一般的に10μm以上である。積層成形体の製造し易さおよび層間接着力等の観点から、一つのポリウレタン層の厚さおよび一つのシリコーン層の厚さは、それぞれ、好ましくは20μm以上(より好ましくは50μm以上)、好ましくは3,000μm以下(好ましくは2,000μm以下)である。
ポリウレタン層は、製造の容易性、耐熱性、後加工の工程通過性等の観点から、ポリウレタン組成物フィルムから形成されることが好ましい。このフィルムの厚さは、好ましくは10μm以上(より好ましくは25μm以上、さらに好ましくは40μm以上)、好ましくは3000μm以下(より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下)である。
本発明の複合成形体の製造方法は特に制限されないが、ポリウレタン部材上でシリコーン組成物を硬化させることによって、シリコーン部材を形成する工程を含む製造方法が好ましい。このような製造方法として、例えば、(1)ポリウレタン部材上に硬化性シリコーン組成物を被覆し、硬化させる方法;(2)ポリウレタン部材を金型内に配置(インサート)し、次いで液状の硬化性シリコーン組成物を金型内に充填した後、これを硬化させて、ポリウレタン部材とシリコーン部材とを接着・一体化させる方法;(3)熱可塑性である硬化性シリコーン組成物を、ポリウレタン部材上に押し出した後、これらを接着・硬化・一体化させる方法などを採用することができる。またポリウレタン部材上にシリコーン系接着剤またはシリコーン系印刷インキを塗布し、これらを硬化させてもよい。さらに熱可塑性であるポリウレタン組成物と熱可塑性であるシリコーン組成物とを共押出成形し、接着・硬化・一体化させることによっても、本発明の複合成形体を製造することができる。
本発明の複合成形体は、ポリウレタン部材およびシリコーン部材の性質、並びに任意に含まれる他の材料部材の性質に応じて、種々の用途に使用することができる。本発明の複合成形体は、例えば、インストルメントパネル、センターパネル、センターコンソールボックス、ドアトリム、ピラー、アシストグリップ、ハンドル、エアバックカバー等の自動車内装部品;モール等の自動車外装部品;掃除機バンパー、冷蔵庫当たり、カメラグリップ、電動工具グリップ、家庭用調理器具、リモコンスイッチ、OA機器の各種キートップ、押しボタンスイッチ(携帯電話、家電製品、自動車部品、通信機器に使用されるものなど)に用いられる各種キーシートやキーボード、ハウジング等の家電部品;水中眼鏡等のスポーツ用品;各種カバー;耐摩耗性、密閉性、防音性、防振性等を目的とした各種パッキン付き工業部品;カールコード電線被覆;ベルト;ホース;チューブ;靴底;時計バンド;消音ギア;コンベアベルト;ラミネート品;各種容器;各種電気・電子部品;各種機械部品;各種制振材などに使用することができる。
本発明の複合成形体は、表面活性化処理を施さなくてもポリウレタン部材とシリコーン部材とが充分に接着したものとなることから、携帯電話等の通信端末、各種計器、パソコン入力用キーボード、リモコンの操作部などに用いるキーパッドを構成する素材として使用することが好ましい。従って本発明は、本発明の複合成形体からなるキーパッドも提供する。本発明のキーパッドは、上記複合成形体を、必要に応じて、裁断、打ち抜き、切削等によって、所望の寸法および形状に製造することができる。またキーパッドには、研削やレーザー等によって所望の溝や穴等を形成してもよい。この他、キーパッドには、キートップが配設されるための凹凸;キーシートの下面に設置されたキースイッチを押すための押し子が配設されるための凹凸;キーパッド自体がキートップや押し子等の機能を有することができるようにするための凹凸;などの各種凹凸が設けられていてもよい。これらの凹凸は、本発明の複合成形体に圧縮成形(プレス成形)、真空成形等を施すことによって形成することができる。
本発明は、上記キーパッドおよびキートップを有するキーシートも提供する。本発明のキーシートは、上記キーパッドの所定の位置にボタンキー等のキートップなどを配設することによって製造することができる。またキーシートは、上記キートップ以外にも、押し子等を有していてもよい。キーパッドへのキートップおよび押し子等は、化学反応形接着剤(シアノアクリレートを成分とする接着剤等)またはUV接着剤等の接着剤を用いて配設することができる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではない。
《測定方法》
以下の実施例および比較例において、ポリウレタンの溶融粘度、ポリウレタン部材とシリコーン部材との接着強度、フィッシュアイは、以下の方法によって測定・評価した。
以下の実施例および比較例において、ポリウレタンの溶融粘度、ポリウレタン部材とシリコーン部材との接着強度、フィッシュアイは、以下の方法によって測定・評価した。
(1)ポリウレタンの溶融粘度
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製)を使用して、80℃で2時間減圧乾燥(10Torr{1.3×103Pa}以下)したポリウレタンの溶融粘度を、荷重490.3N(50kgf)、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200℃の条件下で測定した。
高化式フローテスター(株式会社島津製作所製)を使用して、80℃で2時間減圧乾燥(10Torr{1.3×103Pa}以下)したポリウレタンの溶融粘度を、荷重490.3N(50kgf)、ノズル寸法=直径1mm×長さ10mm、温度200℃の条件下で測定した。
(2)ポリウレタン部材とシリコーン部材との接着強度
以下の実施例および比較例で得られた複合成形体を用いて、180度剥離試験におけるポリウレタン部材とシリコーン部材とを引き剥がすときの抵抗値(接着強度)を、株式会社島津製作所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を使用して、室温下、引張速度50mm/分の条件で測定した。この接着強度を接着性の指標とした。
以下の実施例および比較例で得られた複合成形体を用いて、180度剥離試験におけるポリウレタン部材とシリコーン部材とを引き剥がすときの抵抗値(接着強度)を、株式会社島津製作所製「オートグラフ測定装置IS−500D」を使用して、室温下、引張速度50mm/分の条件で測定した。この接着強度を接着性の指標とした。
(3)フィッシュアイ
以下の実施例および比較例で得られたポリウレタン部材(厚さ100μmのフィルム)の縦20cm、横20cmの範囲内(400cm2)に存在する0.05mm2以上のフィッシュアイの個数を目視で観察し、1cm2内に存在する個数に換算した値で評価した。なおフィッシュアイが0.05mm2以上であるか否かの判別は、JIS P8208(紙及び板紙のきょう雑物試験方法)に採用されている測定図表(独立行政法人国立印刷局製造)を用いて行った。
以下の実施例および比較例で得られたポリウレタン部材(厚さ100μmのフィルム)の縦20cm、横20cmの範囲内(400cm2)に存在する0.05mm2以上のフィッシュアイの個数を目視で観察し、1cm2内に存在する個数に換算した値で評価した。なおフィッシュアイが0.05mm2以上であるか否かの判別は、JIS P8208(紙及び板紙のきょう雑物試験方法)に採用されている測定図表(独立行政法人国立印刷局製造)を用いて行った。
《用いた化合物等》
実施例および比較例で用いた化合物等を列挙する。以下の実施例および比較例では、これらを略号で表示する。
実施例および比較例で用いた化合物等を列挙する。以下の実施例および比較例では、これらを略号で表示する。
(1)高分子ポリオール
POH:1,4−ブタンジオールおよびアジピン酸を反応させて製造したポリ(1,4−テトラメチレン アジペート)ジオール(1分子当たりの水酸基数:2.00、数平均分子量:1,000)
POH:1,4−ブタンジオールおよびアジピン酸を反応させて製造したポリ(1,4−テトラメチレン アジペート)ジオール(1分子当たりの水酸基数:2.00、数平均分子量:1,000)
(2)有機ポリイソシアネート
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
MDI:4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート
(3)鎖伸長剤
BD:1,4−ブタンジオール
BD:1,4−ブタンジオール
(4)ウレタン化反応触媒
SN:ジブチルスズジアセテート
SN:ジブチルスズジアセテート
(5)芳香環含有ポリエステル樹脂
TPEE(1):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP40B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:180℃)
TPEE(2):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP70B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:200℃)
TPEE(3):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP150B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:212℃)
TPEE(4):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP280B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:218℃)
TPEE(5):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンE450B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:222℃)
PBT:ポリブチレンテレフタレート(東レ株式会社製「トレコン1401−X06」、融点:225℃)
PET:ポリエチレンテレフタレート(SK Chemical製「PET−G S2008」、融点:255℃)
TPEE(1):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP40B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:180℃)
TPEE(2):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP70B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:200℃)
TPEE(3):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP150B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:212℃)
TPEE(4):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンP280B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:218℃)
TPEE(5):ポリエステルエラストマー(東洋紡株式会社製「ペルプレンE450B」、芳香族ポリエステル(硬質成分)および脂肪族ポリエーテル(軟質成分)からなる共重合体、融点:222℃)
PBT:ポリブチレンテレフタレート(東レ株式会社製「トレコン1401−X06」、融点:225℃)
PET:ポリエチレンテレフタレート(SK Chemical製「PET−G S2008」、融点:255℃)
(6)芳香環を含有しないポリエステル樹脂
PLA:ポリ乳酸(NatureWorks LLC製「3051D」、融点:170℃)
PLA:ポリ乳酸(NatureWorks LLC製「3051D」、融点:170℃)
(7)シリコーン組成物
SI:液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2030」{A液とB液とを混合した液})
SI:液状の硬化性シリコーン組成物(信越化学工業株式会社製「信越シリコーン KE−2030」{A液とB液とを混合した液})
《製造例1:ポリウレタンの製造》
ウレタン化反応触媒(SN)を10ppm含む高分子ポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POH:BD:MDI=1.00:2.75:3.75のモル比(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率は4.8質量%)で、且つこれらの合計供給量が200g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンを前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃で連続溶融重合させてポリウレタン形成反応を行った。得られた溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを得た。得られたペレットを80℃で4時間除湿乾燥することによってポリウレタンを製造した。このポリウレタンの溶融粘度は2300Pa・sであった。
ウレタン化反応触媒(SN)を10ppm含む高分子ポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POH:BD:MDI=1.00:2.75:3.75のモル比(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率は4.8質量%)で、且つこれらの合計供給量が200g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンを前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃で連続溶融重合させてポリウレタン形成反応を行った。得られた溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを得た。得られたペレットを80℃で4時間除湿乾燥することによってポリウレタンを製造した。このポリウレタンの溶融粘度は2300Pa・sであった。
《実施例1〜5、比較例1〜3》
製造例1で得られたポリウレタンおよびポリエステル樹脂の含有量が表1および2に示した値となるようにドライブレンドし、これをT−ダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)を用いて溶融混練後30℃の冷却ロール上に押し出し冷却してフィルム(厚さ100μm)とし、そのフィルムを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることによってポリウレタン組成物から構成されるフィルムを製造した。このフィルムで測定したフィッシュアイの結果を、表1および2に示す。
製造例1で得られたポリウレタンおよびポリエステル樹脂の含有量が表1および2に示した値となるようにドライブレンドし、これをT−ダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)を用いて溶融混練後30℃の冷却ロール上に押し出し冷却してフィルム(厚さ100μm)とし、そのフィルムを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることによってポリウレタン組成物から構成されるフィルムを製造した。このフィルムで測定したフィッシュアイの結果を、表1および2に示す。
得られた各フィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に硬化性シリコーン組成物(SI)を約100μmの厚さに塗布し、120℃の熱風乾燥機の中に3分間放置して、ポリウレタン部材とシリコーン部材とから構成される2層構造の複合成形体を得た。ポリウレタン部材とシリコーン部材との接着強度の測定結果を、表1および表2に示す。
《製造例2:ポリウレタン組成物の製造》
ウレタン化反応触媒(SN)を10ppm含む高分子ポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POH:BD:MDI=1.00:2.1:3.1のモル比(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率は4.4質量%)で、且つこれらの合計供給量が198g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンを前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃で連続溶融重合させてポリウレタン形成反応を行った。芳香環含有ポリエステル樹脂を2g/分となるようにして上記の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの後部に連続供給し、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と複合化させ、得られた溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを得た。得られたペレットを80℃で4時間除湿乾燥することによってポリウレタン組成物を製造した。このポリウレタン組成物の溶融粘度は1800Pa・sであった。
ウレタン化反応触媒(SN)を10ppm含む高分子ポリオール(POH)、鎖伸長剤(BD)および有機ポリイソシアネート(MDI)を、POH:BD:MDI=1.00:2.1:3.1のモル比(イソシアネート基由来の窒素原子の含有率は4.4質量%)で、且つこれらの合計供給量が198g/分となるようにして同軸方向に回転する二軸スクリュー型押出機(30mmφ、L/D=36;加熱ゾーンを前部、中央部、後部の3つの帯域に分けた)の加熱ゾーンの前部に連続供給して、260℃で連続溶融重合させてポリウレタン形成反応を行った。芳香環含有ポリエステル樹脂を2g/分となるようにして上記の二軸スクリュー型押出機の加熱ゾーンの後部に連続供給し、上記のポリウレタン形成反応による反応混合物と複合化させ、得られた溶融物をストランド状に水中に連続的に押し出し、次いでペレタイザーで切断してペレットを得た。得られたペレットを80℃で4時間除湿乾燥することによってポリウレタン組成物を製造した。このポリウレタン組成物の溶融粘度は1800Pa・sであった。
《実施例6〜11》
上記製造例2で得られたポリウレタン組成物をT−ダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)を用いて溶融混練後30℃の冷却ロール上に押し出し冷却してフィルム(厚さ100μm)とし、そのフィルムを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることによってポリウレタン組成物から構成されるフィルムを製造した。このフィルムで測定したフィッシュアイの結果を、表3に示す。
上記製造例2で得られたポリウレタン組成物をT−ダイ型押出成形機(25mmφ、シリンダー温度180〜200℃、ダイス温度200℃)を用いて溶融混練後30℃の冷却ロール上に押し出し冷却してフィルム(厚さ100μm)とし、そのフィルムを約2m/分の巻き取り速度で巻き取ることによってポリウレタン組成物から構成されるフィルムを製造した。このフィルムで測定したフィッシュアイの結果を、表3に示す。
得られた各フィルム(巻き取ったフィルム)から幅25mm、長さ100mmの試験片を切り出した。この試験片に硬化性シリコーン組成物(SI)を約100μmの厚さに塗布し、120℃の熱風乾燥機の中に3分間放置して、ポリウレタン部材とシリコーン部材とから構成される2層構造の複合成形体を得た。ポリウレタン部材とシリコーン部材との接着強度の測定結果を、表3に示す。
本発明によれば、ポリウレタン部材に予め表面活性化処理を施さなくても、ポリウレタン部材とシリコーン部材とが充分に接着した複合成形体を得ることができる。本発明の複合成形体は、携帯電話等の通信端末、各種計器、パソコン入力用キーボード、リモコンの操作部などに用いるキーパッドを構成する素材として特に有用である。
Claims (7)
- 100質量部のポリウレタンと前記ポリウレタン100質量部に対して0.1〜30質量部の芳香環含有ポリエステル樹脂とを含むポリウレタン組成物からなる部材、およびシリコーン組成物からなる部材を有し、
前記ポリウレタン組成物からなる部材および前記シリコーン組成物からなる部材が接触してなる複合成形体。 - 前記の芳香環含有ポリエステル樹脂の融点が、150〜230℃である請求項1に記載の複合成形体。
- 前記ポリウレタン組成物からなる部材が、厚さ10〜3000μmのポリウレタン組成物フィルムから形成したものである請求項1または2に記載の複合成形体。
- 前記シリコーン組成物からなる部材が、前記ポリウレタン組成物からなる部材上で、シリコーン組成物を硬化させて形成したものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合成形体。
- 前記シリコーン組成物が、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびヒドロシリル化触媒を含む組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合成形体。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合成形体からなるキーパッド。
- 請求項6に記載のキーパッドおよびキートップを有するキーシート。
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JP2010048309A JP2011183573A (ja) | 2010-03-04 | 2010-03-04 | 複合成形体 |
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JP2018172492A (ja) * | 2017-03-31 | 2018-11-08 | 東洋インキScホールディングス株式会社 | 接着剤組成物 |
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2010
- 2010-03-04 JP JP2010048309A patent/JP2011183573A/ja active Pending
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