JP2011180568A - テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板及び電磁波処理装置 - Google Patents

テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板及び電磁波処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来テラヘルツ帯の光学素子として用いられているワイヤグリッド偏光板は、非常に高価であり、しかも破損しやすいので使用や保管の条件に制限があった。また、基材や母材を用いるワイヤグリッドや、グリッドに直交する横桟部を設けたワイヤグリッドでは光学性能に問題があった。
【解決手段】樹脂基材と、前記樹脂基材上に形成された樹脂皮膜と、前記樹脂皮膜上に形成された金属ワイヤとを包含するワイヤグリッド偏光板であって、前記樹脂皮膜は、高さが0.01μm〜20μmであり、少なくとも一方向のピッチが0.01μm〜20μmの範囲である規則的な凸凹構造を表面に有し、厚みが0.01μm〜3μmの光硬化性の成形体であって、0.5THz〜1.5THzの帯域における消光比が20dB以上であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明はテラヘルツ帯の光学素子として用いられるワイヤグリッド偏光板、及び該ワイヤグリッド偏光板を使用する電磁波処理装置に関するものである。
ワイヤグリッド偏光板は光学や電磁波の分野では一般的に用いられている光学素子であり(例えば、非特許文献1参照)、一例として、テラヘルツ帯の偏光解析装置にワイヤグリッドを用いることが開示されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載されているワイヤグリッドは、細長い金属線、例えば数十μm径のタングステンワイヤが、100μm程度のピッチで直径100mm程度のフレームに等間隔に固定されたものである。このようなワイヤグリッドは、張力によって金属線が切れたり、金属線の間隔が不揃いになったりする問題がある。また、部品として非常に高価であり、しかも破損しやすいので使用や保管の条件に制限があった。
このようなワイヤグリッド以外に、ガラス基材上に金属薄膜を形成し、金属薄膜をエッチング等で細線パターンとすることによって製造したワイヤグリッドが販売されている。また、樹脂やガラス等の母材内で細線化することで製造したワイヤグリッドも販売されている。これらのガラス基材上に細線パターンを形成したワイヤグリッドや母材内に金属を細線化させて設けたワイヤグリッドは、基材や母材の屈折率、反射率、吸収率などの物性によって多重反射や干渉などの好ましくない現象が生じるため、これらを回避するために特別な処置が必要になる。そのうえガラスのような基材の場合、破損しやすい問題があった。特許文献2には前記の課題を解決するために基材や母材を用いることなく、グリッドに直交する横桟部を設けたワイヤグリッドが開示されている。しかしながらこのような構造では十分な消光比が得られない問題があった。
特開2003−14620号公報 再公表WO2007/138813号公報
吉原邦夫著「物理光学」(共立出版、昭和41年初版)P.216
本発明の目的は、取り扱いや保管が容易であり、しかも良好な光学性能を有するテラヘルツ帯の光学素子として用いられるワイヤグリッド偏光板を安価に提供することにある。さらにワイヤグリッド偏光板の取り扱い性や保守性、信頼性が向上したことで機能及びメンテナンス性が大幅に向上した、電磁波処理装置を提供することにある。
本発明者らは検討の結果、特定の樹脂基材上に、特定の規則的な凸凹構造を表面に有する極めて厚みの薄い樹脂皮膜を形成し、この樹脂皮膜上に金属ワイヤを形成してなるワイヤグリッド偏光板は前記の課題を満足出来るうえ、曲げなどの物理的なストレスを受けても光学性能の低下が少なく、高信頼性であることから、これを用いて情報量の多い測定が可能で、分析精度及び再現性、メンテナンス性などの面でも優れた電磁波処理装置を構成出来ることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板は、樹脂基材と、前記樹脂基材上に形成された樹脂皮膜と、前記樹脂皮膜上に形成された金属ワイヤとを包含するワイヤグリッド偏光板であって、前記樹脂皮膜は、高さが0.01μm〜20μmであり、少なくとも一方向のピッチが0.01μm〜20μmの範囲である規則的な凸凹構造を表面に有し、厚みが0.01μm〜3μmの光硬化性の成形体であって、0.5THz〜1.5THzの帯域における消光比が20dB以上であることを特徴としている。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板において、金属ワイヤが格子状凸部の頂部より少なくとも上方に存在し、特定方向に垂直な断面において金属ワイヤの頂部を通り金属ワイヤの立設方向に沿う金属ワイヤ軸と、格子状凸部の頂部を通り格子状凸部の立設方向に沿う格子状凸部軸とがずれていることが好ましい。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板において、0.5THz〜1.5THzの帯域のパルス波を入射したときの、基材の内部での多重反射によるパルス波の強度が、観測対象のパルス波の強度の50%以下であることが好ましい。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板において、曲げ半径20mmの曲げストレスを加えた前後の消光比の変化率が5%以下であることが好ましい。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板において、金属ワイヤが保護膜により被覆されていることが好ましい。
本発明のテラヘルツ時間領域分光分析装置は、上記テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板を光学素子として使用することを特徴としている。
本発明の検査装置は、上記テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツパルス光を試料に照射する光源と、透過/反射パルス光を検出する手段と、透過/反射パルス光のテラヘルツ時間領域計測手段と組み合わせることによって構成されていることを特徴としている。
本発明の光線処理装置は、上記テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板を、可視光からテラヘルツ光までの任意の帯域の複数の光線の光軸を重畳させる光学素子として使用することを特徴としている。
本発明の検体情報取得装置は、上記テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツ波発生手段と、検体保持手段と、入射光と透過光と反射光を夫々検出する手段と、前記検出手段で検出された信号を処理して前記検体の情報を取得する処理手段を有することを特徴としている。
本発明の情報通信装置は、上記テラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツ波送信素子を備え受信機に向けてテラヘルツ波を放射するテラヘルツ波送信機と、テラヘルツ波受信素子を備え送信機から放射され空中を伝播してきたテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波受信機とを有することを特徴としている。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板は、ロールプロセスでのナノインプリント技術により製造されるため、消光比が高く面内均一性にも優れた製品を安価に提供できる。光学性能への影響が少ない低屈折率、低反射率、低吸収率の基材を選択できるので、取り扱いや保管が容易になると同時に多重反射や干渉などの問題が少なく高透過率の高性能のワイヤグリッド偏光板である。また、きわめて厚みの薄い樹脂皮膜で金属ワイヤを支持していることによって、曲げや衝撃などの物理的なストレスによる面内均一性や光学性能の低下がなく、装置の可動部に取り付けることも可能である。さらには任意の形状に裁断加工できる。また高信頼性を有する。そのうえ金属ワイヤを保護膜で被覆することができるので、ワイヤグリッド偏光板が汚染されてもクリーニングができる。
以上挙げた利点から、本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板を光学素子として使用する電磁波処理装置は、情報量の多い測定が可能で、分析精度及び再現性、さらにはメンテナンス性などの面でも優れた性能を有する。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一部を示す概略断面図である。 ワイヤグリッド偏光板1及び2の透過率を示す図である。 ワイヤグリッド偏光板1及び2の消光比を示す図である。 テラヘルツ時間領域分光分析装置の構成例を示す概略図である。 テラヘルツ分光透過率に基づく検査装置の構成例を示す概略図である。 テラヘルツ光や赤外光や可視光を重畳させる構成例を示す概略図である。 透過情報と反射情報をほぼ同時に取得できる検体情報取得装置の構成例を示す概略図である。
本発明について、以下具体的に説明する。まず、テラヘルツ帯光学素子用のワイヤグリッドの構成について説明する。
本発明のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板は、樹脂基材と、前記樹脂基材上に形成された樹脂皮膜と、前記樹脂皮膜上に形成された金属ワイヤとを包含するワイヤグリッド偏光板であって、前記樹脂皮膜は、高さが0.01μm〜20μmであり、少なくとも一方向のピッチが0.01μm〜20μmの範囲である規則的な凸凹構造を表面に有し、厚みが0.01μm〜3μmの光硬化性の成形体であって、0.5THz〜1.5THzの帯域における消光比が20dB以上である。
本発明の実施の形態に係るワイヤグリッド偏光板の一部を表す概略断面図を図1(A)に示す。図1(A)に示すワイヤグリッド偏光板は、樹脂基材151上に形成された樹脂皮膜152と、樹脂皮膜152上に誘電体層153を介して形成された金属ワイヤ154とを有している。また、樹脂皮膜152は表面に格子状凸部155からなる凹凸構造が形成されており、樹脂基材151と樹脂皮膜152との間には混合層156が形成されている。なお、図1(A)において、H1は凸凹構造(格子状凸部155)の高さ、H2は樹脂皮膜152の厚み、H3は金属ワイヤ154の高さ、Wは金属ワイヤ154の幅、Pは凸凹構造(格子状凸部155)のピッチを示す。
また、図1(B)に示すワイヤグリッド偏光板は、ワイヤグリッド偏光板の特定方向に垂直な断面において金属ワイヤ154の頂部を通り金属ワイヤ154の立設方向に沿う金属ワイヤ軸Aと、樹脂皮膜152の格子状凸部155の頂部を通り格子状凸部155の立設方向に沿う格子状凸部軸Bがずれる構造としてもよい。金属ワイヤ軸Aと格子状凸部軸Bをずらした構造とした場合、金属ワイヤ154の保持性が向上するので好ましい。これらの軸のずれは金属ワイヤ154の保持性及びワイヤグリッド偏光板の光学特性の面から、凸凹構造のピッチに対して0.1%〜50%の範囲であることが好ましく、0.1%〜40%の範囲であることがより好ましく、0.1%〜30%の範囲であることが特に好ましい。金属ワイヤ154の保持性が向上する理由は、金属ワイヤと誘電体被覆格子状凸部との界面の形状が平坦に近づくためにワイヤグリッド偏光板を曲げた場合や湿熱変形させた場合に伴うストレスの集中が抑制されるためであると推測される。
(樹脂基材)
ワイヤグリッド偏光板を構成する樹脂基材151としては、透明で屈曲性を有し、厚みの均一なフィルム材料が好ましく、またテラヘルツ帯で低屈折率、低反射率、低吸収率の材料が好ましい。特に、テラヘルツ時間領域分光分析装置用のワイヤグリッド偏光板の場合、パルス波を照射したときに樹脂基材の内部で多重反射すると、観測対象のパルス波とともに多重反射により遅れてあらわれるパルス波と重なり、これらをそのままフーリエ変換するとスペクトルに激しい干渉縞が現れ、データの解析を複雑にする問題がある。本発明のワイヤグリッド偏光板にはこのような測定を行ったときの多重反射によるパルス波の強度が小さい樹脂基材を用いることが好ましい。例えば、ワイヤグリッド偏光板に0.5THz〜1.5THzの帯域のパルス波を入射したときの、樹脂基材の内部での多重反射によるパルス波の強度が、観測対象のパルス波の強度の50%以下であることが好ましく、40%以下になることがより好ましく、30%以下になることがさらに好ましく、20%以下になることが特に好ましく、10%以下になることがより特に好ましく、5%以下になることが最も好ましく、実質的に多重反射が無いことが特に最も好ましい。ここでテラヘルツパルス波は従来公知の方法、例えば超短パルスレーザーを用いて半導体の光伝導スイッチ素子を励起する方法で発生させ、電流計と接続した光伝導スイッチをテラヘルツパルス波の検出器として評価することができる。
樹脂基材151として、例えば、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン樹脂(PP)、架橋ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、シクロオレフィン(COP)樹脂、シクロオレフィンコポリマー(COC)樹脂、ポリスチレン(PST)樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂(PA)、ポリイミド(PI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリサルフォン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリアセタール樹脂(POM)、ポリメタクリル酸メチル樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)樹脂などが価格や性能の面から好ましい。テラヘルツ帯での吸収が小さい点ではPE、PP、COP、COC、PET、PBT、PENがさらに好ましく、加工性や強度、耐熱性に優れる点ではPET、COP、COC、TACがさらに好ましい。テラヘルツ帯での吸収が小さく、加工性や強度、耐熱性に優れる点では、COP、COC、PETが最も好ましい。
樹脂基材151の厚みには特に制限が無く、通常4μm〜2mmの範囲のものが使用出来るが、製造の容易さや取り扱いの面から8μm〜500μmの範囲のものが好ましく、ワイヤグリッド偏光板を搭載する装置をより小型化できる面から15μm〜100μmの範囲のものが特に好ましい。樹脂基材151の強度と信頼性、価格等の面からPETなどの芳香族ポリエステル系の、厚みが4μm〜100μmの範囲のものが特に好ましい。
樹脂基材151には樹脂皮膜152との接着性を向上させる処理を施すことが好ましく、例えば、接着させる面に樹脂皮膜152との化学結合処理や、浸透などの物理的結合のための易接着コーティング、プライマー処理、コロナ処理、プラズマ処理、高エネルギー線照射処理、表面粗化処理、多孔質化処理などを施すことが好ましい。金属ワイヤ154を形成しない裏面は無処理でもよいが、テラヘルツ帯域あるいは可視光域の反射率を制御する目的で誘電体薄膜やモスアイ構造を形成することも好ましい。
樹脂基材151には目的に応じて可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料、難燃剤、ガスバリア機能を有する材料、粘着剤などを配合、あるいは積層体として複合化したものを使用することも好ましい。
(樹脂皮膜)
樹脂基材151上には、高さH1が0.01μm〜20μmの範囲であって、少なくとも一方向のピッチPが0.01μm〜20μmの範囲である規則的な凸凹構造を表面に有し、厚みH2が0.01μm〜3μmの範囲の光硬化性樹脂の成形体からなる樹脂皮膜152が形成されている。さらに樹脂皮膜152の凸凹構造の上には金属ワイヤ154が形成されている。
ワイヤグリッド偏光板の特性として、金属ワイヤ154のピッチが対象とする光の波長の4分の1以下である時に十分な偏光性能が得られ、さらにピッチが小さくなるほど偏光性能が向上することが知られている。テラヘルツ帯域の偏光特性を考慮した場合、金属ワイヤ154を支持する樹脂皮膜152表面の凸凹構造のピッチPは0.01μm〜20μmの範囲であることが好ましい。この波長域での偏光性能を安定させるとともに消光比を向上させる目的で、ピッチを小さくすることがより好ましい。本発明のワイヤグリッド偏光板は、テラヘルツ時間領域分光分析に使用される帯域で高い消光比を有することが好ましく、例えば0.5THz〜1.5THzの帯域における消光比が20dB以上であることが好ましい。また、消光比が25dB以上であることがより好ましく、30dB以上であることがさらに好ましく、35dB以上であることが特に好ましく、40dB以上であることが最も好ましく、45dB以上であることが特に最も好ましい。
樹脂皮膜152表面の凸凹構造及び金属ワイヤ154のピッチが150nm以下であるとテラヘルツ帯域の偏光特性に加え可視域までの偏光特性を併せもつことができ、120nm以下であると400nm近傍の短波長光までの偏光特性も併せもつことができ、ピッチが10nm程度であると紫外領域までの偏光特性も併せもつことができる。またこのようにピッチを小さくすることに対応していずれの波長域での消光比も一層向上するのでさらに好ましい。
樹脂皮膜152の表面の凸凹構造の高さH1は、光学性能を向上させるために金属ワイヤ154の周囲の空気を含む層を構成する目的と、金属ワイヤ154の間隔を一定に強固に保持させるために十分な強度をもたせる目的から、該凸凹構造のピッチPの0.5倍〜2.0倍の範囲、特に1.0倍〜2.0倍の範囲であることが好ましい。
樹脂皮膜152表面の凸凹構造の断面形状には制限はない。これらの断面形状は、台形、矩形、方形、プリズム状や、半円状などの正弦波状であってもよい。ここで、正弦波状とは凹部と凸部の繰り返しからなる曲線部をもつことを意味する。曲線部は湾曲した曲線であればよく、例えば、凸部にくびれがある形状も正弦波状に含める。また、樹脂皮膜152の凸部及びその側面の少なくとも一部を誘電体が覆いやすくする目的から、前記形状の端部又は頂点、谷は緩やかな曲率をもった湾曲形状にすることが好ましい。
樹脂皮膜152の厚みは薄ければ薄いほど、(a)樹脂皮膜での光の吸収を抑えることができ、透過率が向上する。(b)樹脂皮膜中の揮発性残留成分量を減らし、ブリードなどによる汚染を防ぐことができる。(c)光硬化性樹脂の硬化収縮により発生するカールを小さくし、ワイヤグリッド偏光板の平面性を向上させる。(d)樹脂皮膜の屈曲性が向上し、ワイヤグリッド偏光板を変形させたときのクラックの発生を抑制できる。(e)温度や湿度の変化により樹脂基材や金属ワイヤとの層間に発生する応力ストレスへの追従性が向上し、信頼性が増すなどの好ましい効果が認められた。その反面、ナノインプリント技術により樹脂皮膜の厚みを薄くして転写物を製造しようとすると、(f)光硬化性樹脂に混入している微小異物や、生産設備の周囲に浮遊している微小異物が転写面に混入したとき、異物の周囲にレンズ状欠陥が発生する頻度が高くなる。(g)塗り筋や、液ハジキなどの不具合により光硬化性樹脂を樹脂基材に均一に塗工することが困難で、転写欠陥が発生する頻度が高くなる。(h)光硬化性樹脂が酸素阻害を受け易くなり、未反応成分が残留して転写欠陥が発生する頻度が高くなるなど、歩留まりが低下する問題があった。本発明のワイヤグリッド偏光板は、後述するように光硬化性樹脂の組成と、反応条件の最適化と、転写プロセスによって、樹脂皮膜の厚みが0.01μm〜3μmの範囲で製造できる。
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板は、樹脂基材151上に形成されているため屈曲性を有するが、金属ワイヤ154を支持する樹脂皮膜152の厚みが3μm以下と極めて薄いことによって、ワイヤグリッド偏光板を変形させたときの品質低下が小さい。例えば、曲げ半径20mmの曲げストレスを加えた場合に樹脂皮膜152及び金属ワイヤ154が割れたり、折れたりといった損傷もなく、光学性能にも影響が現れないためには樹脂皮膜152の厚みが3μm以下であることが好ましく、曲げ半径5mmの曲げストレスに耐えるためには厚み1μm以下であることが好ましく、さらに好ましくは厚み0.5μm以下である。
このようにワイヤグリッド偏光板は曲げや振動などのストレスに強いので装置の可動部に搭載することが可能である。また裁断することも容易で、裁断線の周囲についても樹脂皮膜152部の割れや折れが広がらないので、任意の形状や数ミリ角の小片に切り分けることも可能であり、ワイヤグリッドを搭載する装置の小型化や量産性の面でも好ましい。
また樹脂皮膜152の厚みを薄く出来ることで、ワイヤグリッド偏光板は温度や湿度の変化に対しても高い信頼性を有していることが確認された。一般に材料の比表面積が増加する場合には信頼性は低下する傾向があるが、ワイヤグリッド偏光板の場合には、おそらく厚みを薄くしたことで樹脂基材や金属ワイヤとの層間に発生する応力ストレスへの追従性が向上した結果、逆に信頼性が増したと推測される。
樹脂皮膜152の厚みを薄くし、且つ転写欠陥の発生を少なくするためには、使用する光硬化性樹脂の粘度が低く、スタンパからの離型性が良く、樹脂基材との接着性が良いことが求められる。
光硬化性樹脂は、1分子中に3以上のアクリル基及び/またはメタクリル基を含有する1種以上の単量体を、20〜60重量%の範囲で含有すること、光硬化反応によって結合して固形となる成分が98重量%以上であること、25℃における粘度が10mPa・s以下であることを同時に満たす組成物であることが好ましい。さらに、N−ビニル化合物である単量体を、5〜40重量%の範囲で含有すること、アクリル基及び/またはメタクリル基を含有するシリコン化合物を0.1〜10重量%の範囲で含有すること、粘性の調整及び、硬化物の諸物性を調整する目的でさらに別の単量体を配合することがより好ましい。光硬化性樹脂組成物への光重合開始剤の配合比は0.1〜5.0重量%の範囲であることが好ましい。光硬化性樹脂組成物は、異物(パーティクル)が、ろ過などの手法で除去されているものが好ましい。ろ過の場合、捕捉出来る最小粒子径が1μm以下のフィルターを使用することが好ましく、樹脂皮膜を薄くしたときの歩留まりを向上させるには0.5μm以下のものがさらに好ましい。いずれの最小粒子径でも、フィルターの捕捉効率は99.9%以上であることが好ましい。
光硬化性樹脂組成物には、本来の目的を損なわない範囲で必要に応じて他の従来の添加物、例えば流動調整剤、レベリング剤、有機及び無機の染料及び顔料、増量剤、可塑剤、潤滑剤、補強剤、酸化防止剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、沈降防止剤、消泡剤、耐磨耗性付与剤、摩擦低減剤、帯電防止剤、防曇剤等を含むことが出来る。
樹脂皮膜152は、ロールプロセスでの光ナノインプリント技術により成形することが好ましく。例えば樹脂皮膜152表面の凸凹構造の反転形状となる凹凸構造を有するモールドに、光硬化性樹脂組成物を流し込み、光硬化させることで成形する。光硬化性樹脂組成物をモールドに流し込む方法としては、樹脂基材151に光硬化性樹脂組成物を薄膜状に塗布した後で、モールドと接触させ、モールドの凹凸構造と樹脂基材の間に充填する方法や、モールドの表面に光硬化性樹脂組成物を薄膜状に塗布した後、樹脂基材151と接触させることでモールドの凹凸構造と樹脂基材151の間に充填する方法が挙げられる。
光硬化性樹脂組成物を塗布する方法には特に制限は無く、例えば、ロールコーター法、(マイクロ)グラビアコーター法、エアドクタコーター法、ブレ−ドコーター法、ナイフコーター法、ロッドコーター法、カーテン(フロー)コーター法、キスコーター法、ビードコーター法、キャストコーター法、ロータリースクリーン法、浸漬コーティング法、スロットオリフィスコーター法、バーコード法、スプレーコーティング法、スピンコーティング法、押出コーター、ファウンテンコーター法などが挙げられる。
いずれの方法にせよ、モールドの凹凸構造内に気泡を混入させないこと、及びモールドと樹脂基材151間に保持した光硬化性樹脂組成物の厚みむらを小さくすることが重要である。
モールドの温度は25℃〜100℃の範囲で一定に調節されていることが好ましい。モールドの温度が25℃以上であると光硬化性樹脂の流動性が向上すると共に、樹脂皮膜152と樹脂基材151との接着力が向上する効果や、樹脂皮膜152の硬化反応後のモールドからの離型性が向上する効果があるので好ましい。またモールドの温度が100℃以下であると樹脂基材151の熱変形が少ないので好ましい。30℃〜80℃の範囲がより好ましく、35℃〜70℃の範囲がさらに好ましく、40℃〜65℃の範囲が特に好ましい。
樹脂皮膜152の厚みは、モールドへの光硬化性樹脂組成物の充填量と、樹脂基材とモールドを押し当てる圧力によって調整することが出来る。
また転写設備周辺のクリーン度はクラス10000以上であることが好ましく、クラス1000以上であることがより好ましく、クラス100以上であることがさらに好ましく、クラス10以上であることが特に好ましい。
(誘電体層)
樹脂皮膜152と金属ワイヤ154との密着性を向上させるために、金属ワイヤ154を形成する前に誘電体層153を樹脂皮膜152表面の凸部及び、その側面部の少なくとも一部を覆うように設けておくことが好ましい。誘電体層153を構成する誘電体は、ワイヤグリッド偏光板を使用する光の帯域で実質的に透明であることが好ましく、樹脂皮膜152及び金属ワイヤ154を構成する金属との密着力が強い材料が好ましい。例えば、珪素(Si)の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はその複合物や、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、イットリウム(Y)、ジルコニア(Zr)、タンタル(Ta)、チタン(Ti)、バリウム(Ba)、インジウム(In)、錫(Sn)、亜鉛(Zn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、銅(Cu)などの金属の酸化物、窒化物、ハロゲン化物、炭化物の単体又はそれらの複合物(誘電体単体に他の元素、単体又は化合物が混ざった誘電体)を用いることができる。誘電体層153の厚みは金属との密着力を向上させるためには0.1nm以上であることが好ましく、生産性を高めるためには30nm以下であることが好ましい。誘電体層153には金属ワイヤ154形成時に樹脂皮膜152からの揮発成分の放出を抑制する効果もあるが、樹脂皮膜152の厚みが3μm以下であると揮発成分量が少ないので誘電体層153の厚みが5nm未満であっても十分な効果を発揮できる。誘電体層153の厚みは4nm以下がより好ましく、3nm以下がさらに好ましい。
樹脂皮膜152上に誘電体層153を被覆させる方法としては、誘電体層153を構成する材料により適宜選択する。例えば、スパッタリング法、真空蒸着法などの物理的蒸着法を好適に用いることができる。密着強度の観点からスパッタリング法が好ましい。
(金属ワイヤ)
金属ワイヤ154を構成する金属としては、特に制限は無く、例えば、銀(Ag)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)、又はそれらの合金で構成されていることが好ましい。中でも、コストと耐久性の観点からは、アルミニウム又はその合金で構成されていることがより好ましい。また、消光比向上の観点からは、タングステンまたはその合金を用いることが好ましい。
金属ワイヤ154を樹脂皮膜152の上、好ましくは予め樹脂皮膜152の凸部及び、その側面部の少なくとも一部を覆うように形成された誘電体層153の上に形成する方法には特に制限は無く、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的蒸着法が好ましく、中でも、金属を凸部に選択的に、又は凸部の一方の側面に偏って選択積層できるような方法が好ましく、例えば、真空蒸着法が挙げられる。
金属ワイヤ154の幅は、図1のWで示されるようにワイヤグリッド面の法線方向から観測される最大幅であって、光学特性及びワイヤグリッドの構造強度の観点から樹脂皮膜152の表面の凸凹構造のピッチの0.2倍から0.6倍の範囲であることが好ましい。また、金属ワイヤ154の高さH3は、ワイヤグリッド偏光板の光学特性及び、ワイヤグリッドの構造強度及び、金属ワイヤ154と凸凹構造との密着力を考慮すると、20nmから220nmの範囲が好ましく、50nmから200nmの範囲がより好ましい。
ワイヤグリッド偏光板は、汚れ防止とクリーニング性を持たせる目的で、金属ワイヤ154を保護膜によって被覆することも好ましい。保護膜には特に制限はなく、例えば金属ワイヤ154面を樹脂などで表面コーティングする方法、別の樹脂フィルムと金属ワイヤ154面とを粘着材や接着材で貼りあわせる方法などが挙げられる。保護膜の材質としては、金属ワイヤ154に対し腐食性の小さなものが好ましく、また前記したようにテラヘルツ帯で低屈折率、低反射率、低吸収率の材料が好ましい。また保護膜の表面に、テラヘルツ帯域あるいは可視光域の反射率を制御する目的で誘電体薄膜やモスアイ構造を形成することも好ましい。
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板は、前記のように曲げや振動などのストレスに強いので被覆加工が容易である。また保護膜で被覆されたワイヤグリッド偏光板が汚染された場合にはワイピングクロスや綿棒などを用いてクリーニングすることができるし、クリーニングによって樹脂被覆層に割れが発生したり光学性能が低下したりすることもない。
(金属ワイヤの製造方法)
金属ワイヤ154の製造方法には特に限定は無いが、製造コストや生産性の観点から真空下における斜め蒸着法が好ましい。斜め蒸着法とは、格子状凸部155の延在方向と垂直に交わる平面内において、蒸着源が基材151の法線に対して入射角度αを持ちながら金属を蒸着、積層させていく方法である。入射角度αは、格子状凸部155と作製する金属ワイヤ154の断面形状から好ましい範囲が決まり、一般には入射角度αは5°〜40°が好ましく、より好ましくは10°〜30°である。さらに、蒸着中に積層した金属の射影効果を考慮しながら、入射角度αを徐々に減少または増加させることは、金属ワイヤ154の高さなど断面形状を制御する上で好適である。なお、このような製法から格子状凸部155と金属ワイヤの延在方向は等しくなる。
金属ワイヤ154の形状を達成するための金属蒸着量は、格子状凸部155の形状によって決まるが、一般には、平均蒸着厚みは50nm〜150nm程度である。ここでいう平均厚みとは、平滑ガラス基板上にガラス面に垂直方向から物質を蒸着させたと仮定した時の蒸着物の厚みのことを指し、金属蒸着量の目安として使用する。
光学特性の観点から、必要に応じ凹凸格子の凹部底部に積層する金属を、エッチングにより除去する。エッチング方法は、基材151や誘電体層153に悪影響を及ぼさず、必要量の金属が除去できる方法であれば特に限定は無いが、生産性や装置コストの観点から酸やアルカリの水溶液に浸漬させる方法が好ましい。
(電磁波処理装置)
上述したワイヤグリッド偏光板はテラヘルツ帯光学素子として好適に適用でき、例えば、テラヘルツ時間領域分光分析装置、検査装置(光線処理装置)、検体情報取得装置、情報通信装置用途として、好ましく用いられる。
(テラヘルツ時間領域分光分析装置)
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板は前記したようにテラヘルツ帯域から可視光域までの広い帯域で良好な偏光特性を有するうえ、易加工性、小型・薄膜、高信頼性、耐振動性、クリーニング性などの特徴を有しているので、テラヘルツ光を応用した広範な用途で好ましく使用できる。
代表的な用途としては、テラヘルツ時間領域分光分析装置が挙げられる。本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板はテラヘルツ帯域で良好な偏光特性を有するばかりでなく、金枠や保護枠のような重量のある付属部品が要らず、フィルム単体として使用できる。さらに易加工性で、小型・薄膜化も可能で、装置に固定する場合もケーシングなどに嵌め込んだり、粘着材や接着材で貼り付けたりといった軽易な方法を選べることから、小型で量産化にも適したテラヘルツ時間領域分光分析装置を構成できる。また本発明のワイヤグリッド偏光板は軽量で耐振動性にも優れるので、可動部品として着脱したり、高速で回転したり出来る。これによりビームスプリッタや、ビーム結合素子以外にも、光路切り換え手段や、偏光面の切り換え手段として利用できるので、たとえば1台の装置で透過測定と反射測定の両方の測定が出来、装置コストを低減したり設置面積を小さくしたりすることが出来る。また、例えば、試料で反射したs偏光及びp偏光の振幅と位相差の情報を得ることで複素光学定数スペクトルをリファレンス測定無しで導出するなどの高度な分析が出来る。さらにクリーニング性を有していることから、屋外での分析や、経時的に再現性のある分析が可能などの利点があるテラヘルツ時間領域分光分析装置を構成できる。テラヘルツ時間領域分光分析装置の構成例のひとつを図4に示す。
図4に示すテラヘルツ時間領域分光分析装置は、レーザ光源1、ビームスプリッタ2、10、光伝道アンテナ3、曲面鏡4、7、12、ワイヤグリッド偏光板5、回転装置5A、反射鏡6、11、光検出器8、13、可動鏡9、測定回路30、制御・演算処理部31、表示部32で構成されている。なお、T1〜5はテラヘルツパルス光、L1〜5はパルス光を示す。
該装置は、光伝導アンテナ3から放射されるテラヘルツ光をワイヤグリッド偏光板5を回転することによって、透過測定用の試料(S1)に導く状態と、反射測定用の試料(S2)に導く状態を切り換え可能であって、透過テラヘルツ光を受光する光検出器(8)と、反射テラヘルツ光を受光する光検出器(13)を備えている。このようにワイヤグリッド偏光板を可動部品として用いる場合、従来のワイヤを金枠で保持するタイプの偏光板では、ワイヤの強度が不十分で容易に破損してしまうので特性が安定しない。重量やサイズが大きくなり大型の回転装置が必要になる。ワイヤの強度や重量やサイズの問題で高速に回転させて使用することが出来ないなどの問題があった。これに対し、本発明のワイヤグリッド偏光板は大面積であっても軽量且つ十分な強度や信頼性を有している。例えば直径100mmのワイヤグリッド偏光板の円板を、中心軸の回りに1000rpmの回転数で10分間回転させた前後でワイヤグリッド偏光板の外観や光学特性に変化は認められなかった。
ここではワイヤグリッド偏光板が光路切り換え手段として用いられる例を示しているが、これ以外にもビームスプリッタ(2、10)としても使用でき、前記のように装置の軽量化、小型化、信頼性向上などの種々の利点がある。
(検査装置)
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板は、テラヘルツパルス光を試料に照射する光源と、透過/反射パルス光を検出する手段と、透過/反射パルス光のテラヘルツ時間領域計測手段と組み合わせることによって、分光透過率に基づく検査装置を構成できる。検査装置は、試料の不純物濃度などの分析対象を、空間的分布としてニ次元、三次元に画像化する画像処理手段を備えることがより好ましい。検査装置は、半導体材料の不純物濃度検査や不良解析の用途、農作物・食品の生育状態や鮮度や残留農薬や産地特定などの品質管理の用途、隠匿された危険物や禁止薬物を探知する用途、電子機器内の電子分布(稼動状態)を評価する用途、材料内部の繊維構造や構造欠陥の評価用途、さらには宇宙からの地球資源探索などにも利用できる。これは既に前記したような利点に加え、周波数帯域が異なる複数のテラヘルツ光を利用した計測や、テラヘルツ光と赤外光及び可視光を同時に利用した計測が出来るので、これらの検査光を重畳させることで、様々な測定目的に利用できる利点や、テラヘルツ光を可視光と重畳させて擬似的に目視可能に出来る利点や、テラヘルツ分光情報、赤外分光情報、可視画像を位置精度良く組み合わせた多面的な分析ができる利点や、検査において従来のワイヤグリッド偏光板のようにワイヤの破断や基材の欠けなど、自らが汚染源になる問題が無い利点による。検査装置の構成例のひとつを図5に示す。
図5において、検査装置は、レーザ光源501、ビームスプリッタ502、503、光伝道アンテナ504、半導体部材505、ワイヤグリッド偏光板506、514、曲面鏡507、508、512、513、試料ホルダー509、テラヘルツ波発生装置510、テラヘルツ検出部520、駆動機構511、523、反射鏡521、524、525、526、可動鏡522、光検出器527、測定回路530、制御・演算処理部531、表示部532、光路長変更部540で構成されている。Sは試料、T1〜4はテラヘルツパルス光、L1〜3はパルス光を示す。
該検査装置では、レーザ光源501から放射されたパルス光(L1)がビームスプリッタ(502)で2つのパルス光(L2とL3)に分割される。パルス光(L1)は中心波長が780〜800nm、繰り返し周期が1kHz〜100MHz、パルス幅が10〜150fsの直線偏光のパルス光である。パルス光(L2)は、さらにビームスプリッタ(503)で2つのパルス光(L4とL5)に分割される。一方のパルス光(L4)は、光伝導アンテナに照射される。パルス光(L4)は、光伝導アンテナを励起してテラヘルツパルス光を発生させるためのポンプ光(励起光)となり、光伝導アンテナからテラヘルツパルス光(T1)が発生する。他方のパルス光(L5)は、GaAs基板にGaAsエピタキシャル膜を形成した半導体部材に照射される。パルス光(L5)は、半導体部材を励起してテラヘルツパルス光を発生させるためのポンプ光となり、半導体部材からテラヘルツパルス光(T2)が発生する。
光伝導アンテナ504および半導体部材505は、いずれもテラヘルツ光源であるが、放射するテラヘルツパルス光の周波数帯域が異なる。なお、ビームスプリッタ(503)と光伝導アンテナ504との間およびビームスプリッタ(503)と半導体部材505との間に、それぞれ集光レンズを介挿してパルス光(L4,L5)の光束を絞ってもよい。テラヘルツパルス光(T1とT2)は、0.01×1012〜100×1012ヘルツ(0.01THz〜100THz)の周波数領域に含まれる光である。テラヘルツパルス光(T1)は、ワイヤーグリッド(506)を透過して、曲面鏡(507、508)を経て試料に到達する。テラヘルツパルス光(T2)は、ワイヤーグリッド(506)で反射して、曲面鏡(507、508)を経て試料に到達する。すなわち、テラヘルツパルス光(T1)と(T2)は、ワイヤーグリッド(506)により合成されてテラヘルツパルス光(T3)となって試料に到達する。
曲面鏡(507、508)としては、例えば、放物面鏡や楕円鏡等が用いられる。試料を透過したテラヘルツパルス光(T4)は、曲面鏡(512,513)、ワイヤーグリッド(514)を順次経由してテラヘルツ光検出器に入射する。ワイヤーグリッド(514)とテラヘルツ光検出器は、テラヘルツ光検出部を構成する。テラヘルツ光検出器にテラヘルツパルス光(T4)が入射すると、電場が生じた状態になる。この部分にプローブ光を照射すると、電場強度に応じた光電流が流れ、これを測定回路で測定することにより、その瞬間にテラヘルツ光検出器に到達したパルス光の電場強度を得ることができる。
プローブ光は以下の光路でテラヘルツ光検出器に入射する。ビームスプリッタ(502)で分割された他方のパルス光(L3)がプローブ光である。パルス光(L3)は、反射鏡(521)で光路を曲げられ、2枚または3枚の反射鏡からなる移動可能な可動鏡に入射する。パルス光(L3)は、可動鏡で反射し、反射鏡(524,525,526)を順次経由してテラヘルツ光検出器に入射する。なお、反射鏡(526)とテラヘルツ光検出器との間に集光レンズを介挿してパルス光(L3)の光束を絞ってもよい。可動鏡を駆動機構によって図5中矢印Aのように移動させることにより、可動鏡の移動量に応じてパルス光(L3)の光路長を変化させることができる。この結果、パルス光(L3)がテラヘルツ光検出器へ到達する時間が遅延する。
駆動機構は、制御・演算処理部からの制御信号によって制御される。このように、遅延時間を変更しながらテラヘルツ光検出器で検出される光の電場強度を測定することにより、時系列テラヘルツ分光が可能となる。さらに、この結果から、制御・演算処理部で所定の理論式に基づいて演算することにより、試料の電気的特性や不純物濃度等が得られる。また、測定値等は、必要に応じてディスプレイに表示してもよい。制御・演算部からの出力信号で駆動装置を制御し、試料を保持するホルダーを(T3)の光軸に垂直な面内で二次元的に走査することもできる。
複数のテラヘルツ光源からの光を合成する方法についてさらに詳細に説明する。
テラヘルツパルス光(T1)はワイヤグリッド偏光板(506)を透過し、テラヘルツパルス光(T2)はワイヤグリッド偏光板(506)で反射し、両者は合成されてテラヘルツパルス光(T3)となる。このとき、ワイヤグリッド偏光板(506)のワイヤ方向を基準に、テラヘルツパルス光(T1,T2)の偏光方向をそれぞれ透過効率、反射効率が100%となるように調整しておくと、合成されたテラヘルツパルス光(T3)の損失を低減することができる。テラヘルツパルス光(T3)は、テラヘルツパルス光(T1)と(T2)の両者の周波数帯域の光を含んでいる。例えば、テラヘルツパルス光(T1)が0.1〜1.8THzの周波数領域、テラヘルツパルス光(T2)が1.5〜3.0THzの周波数領域をもっているとすると、テラヘルツパルス光(T3)は、0.1〜3.0THzと広い周波数領域をもつ。
テラヘルツパルス光(T1,T2)が直線偏光の光である場合、両者の合成について説明する。
テラヘルツパルス光(T1)の偏光方向は、光伝導アンテナ504のアンテナパターンの向きによって決まる。従って、光伝導アンテナ504を光軸AX1周りに回転することによりテラヘルツパルス光(T1)の偏光方向を調整することができる。不図示の回転機構により、光伝導アンテナ504を保持するホルダーを回転させることにより、放射するテラヘルツパルス光(T1)の光軸周りに光伝導アンテナ504を回転させることができる。光伝導アンテナ504は、ダイポール型であるが、ボウタイ型パターン、ストリップライン型パターンの場合も同様に、テラヘルツパルス光の偏光方向を調整することができる。
一方、半導体部材505では、レーザ光(L5)(ポンプ光)が半導体表面に入射したときに発生するテラヘルツパルス光(T2)の偏光方向は、レーザ光(L5)の入射角度に依存する。レーザ光(L5)の入射方向に対するテラヘルツパルス光(T2)の偏光方向は一定なので、例えば、偏光方向を90°回転するには、半導体部材505の表面をYZ面に垂直、且つ紙面に対して45°の角度に設定し、紙面に垂直な方向からレーザ光を半導体部材505へ入射させる。このように、Y方向に対して45°の角度を維持して半導体部材505の向きを変え、発生するテラヘルツパルス光(T2)がワイヤグリッド偏光板(506)に向かうようにレーザ光を半導体部材505へ入射させれば、テラヘルツパルス光(T2)の偏光方向を任意に変えることができる。
また、テラヘルツ光源として非線形光学結晶部材を用いている場合は、非線形光学結晶部材に入射する励起レーザ光(ポンプ光)の偏光方向を変えることにより、放射するテラヘルツパルス光の偏光方向を調整することができる。この場合、ビームスプリッタ(503)と非線形光学結晶部材との間に不図示の偏光方向変換素子を配置して、非線形光学結晶部材に入射するレーザ光の偏光方向を変える。偏光方向変換素子としては、例えば、1/2波長位相板等の波長位相板を単数、または複数組み合わせたもの、波長位相板と偏光子とを組み合わせたものが用いられる。非線形光学結晶部材に入射するレーザ光の偏光方向を変える際に、その偏光方向に応じて非線形光学結晶部材の結晶方位軸を合わせると、テラヘルツパルス光の発生効率が向上するのでより一層望ましい。
このように、テラヘルツパルス光(T1),(T2)の偏光方向を調整してワイヤグリッド偏光板(506)に入射させることにより、合成されたテラヘルツパルス光(T3)は、合成時の結合損失を低減しつつ広い周波数帯域を有することになる。
続いて、偏光成分を有するテラヘルツパルス光の検出について説明する。
テラヘルツパルス光(T1),(T2)が直線偏光の光であって、試料による偏光作用がないか、その作用が小さい場合、試料を透過したテラヘルツパルス光(T4)は、テラヘルツパルス光(T1とT2)に由来する互いに直交する2つの偏光方向の光を含んでいる。テラヘルツパルス光(T4)を検出する光伝導アンテナ504は、アンテナパターンに沿った偏光方向の光にのみ応答する。そこで、テラヘルツパルス光(T1)と(T2)のいずれの偏光方向にも応答するように、光伝導アンテナ504を光軸AX3周りに回転し、アンテナパターンに沿った方向、すなわち信号検出方向をいずれの偏光方向に対しても45°の角度になるように配置する。これにより、2つの偏光成分の光を等しく受光することができるようになる。
また、本実施の形態のように、テラヘルツパルス光(T1)と(T2)でテラヘルツ光源の機構が異なる場合には、例えば、(T1)に比べて(T2)が強いという状況が考えられる。その際に、前述の方法で各々のテラヘルツパルス光の偏光方向を調整し、強いテラヘルツパルス光(T2)の検出効率を抑え、且つ弱いテラヘルツパルス光(T1)の検出効率を向上させることによって、所望の周波数特性を得ることができる。
さらに、不図示の回転機構により、光伝導アンテナ504を保持するホルダーを光軸AX3周りに回転させることにより、テラヘルツパルス光(T1)と(T2)の偏光方向に対して光伝導アンテナ504のパターン方向(信号検出方向)を任意の角度に設定することにより、テラヘルツパルス光(T1)または(T2)の一方を所定の割合で重点的に検出することもできる。さらに、光伝導アンテナ504の前側にワイヤグリッド偏光板(514)を設けると、偏光方向を厳密に整えることができるので測定値がより正確になる。なお、ボウタイ型パターンの場合も同様に、アンテナパターンの信号検出方向を45°の角度にすることにより、より正確な測定値が得られる。
以上説明したように、複数のテラヘルツ光源からの光を合成することにより、単一のテラヘルツ光源からの光よりも広い周波数帯域の光を得ることができる。さらに、複数のテラヘルツパルス光の偏光方向を考慮することにより、合成時の結合損失を低減しつつ広い周波数帯域の光を得ることができる。さらに赤外光や可視光発生装置とも組み合わせて、これらの検査光を重畳させて使用する光線処理装置とすることも可能である。
テラヘルツ光や赤外光や可視光を重畳させる装置の構成例のひとつを図6に示す。図6に示す装置は、アパーチヤー601〜603、ワイヤグリッド偏光板604、テラヘルツ波発生装置610、テラヘルツ波611、赤外光や可視光(パイロット光)612、パイロット光導入ミラー621、622で構成される。該装置では、パイロット光612を、パイロット光導入ミラー(621)と(622)の設定角度調整により、テラヘルツ波の同軸上へ重畳させる。本処理において、ワイヤグリッド偏光板へのテラヘルツ波の軸上へ、パイロット光の光軸が重畳するようにパイロット光導入ミラー(621)と(622)の設定位置、設定角度等を調整する。この位置設定および角度調整により、テラヘルツ波の光軸上へパイロット光の光軸を重畳させる。
パイロット光の光軸調整は、Siボロメーターなどの検出器の出力信号を確認しながらの他に、可視光であるため目視で確認しながらの調整も可能である。本調整により、パイロット光の光軸とテラヘルツ光の光軸とを、同一軸とすることができる。パイロット光とテラヘルツ光とを同軸に重ねた後のテラヘルツ光の光軸は、模擬的・擬似的に可視状態となる。パイロット光とテラヘルツ光の合成においても前記の複数のテラヘルツパルス光を重畳される例と同様に偏光方向を考慮することにより、合成時の結合損失を低減しつつ広い周波数帯域の光を得ることができる。
(検体情報取得装置)
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板が既に前記したような利点に加え、高強度でクリーニング性にも優れており、検体と近接させても、または直接接触させても再現性のある分析ができる点、またロールプロセスにより大面積のものが製造できるという利点を有している。そのため、ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツ波発生手段と、検体保持手段と、入射光と透過光と反射光を夫々検出する手段と、前記検出手段で検出された信号を処理して前記検体の情報を取得する処理手段とを有し、構成が簡単で小型化が可能で、信頼性にも優れた、イメージング像などの透過情報と反射情報をほぼ同時に取得できる検体情報取得装置を構成できる。検体情報取得装置の構成例のひとつを図7に示す。
図7に示す検体情報取得装置は、検査部100(ワイヤグリッド偏光板)、検体103、電磁波発生部201、電磁波検出部202、⊥偏波成分信号204、//偏波成分信号205、演算処理部206で構成されている。該装置では、電磁波発生部201は、検査部に保持される検体に対して、電磁波を発生し、照射する部分である。本発明では、特に電磁波としてテラヘルツ波を用いる。本実施形態では、電磁波発生部201から発生するテラヘルツ波の偏波方向(偏波状態)は、検査部100に用いられている偏光子の偏光軸に対して相対的に回転する。そのため、電磁波発生部201から発生するテラヘルツ波は、円偏波信号とみなすことができる。
テラヘルツ波の発生方法としては、例えば、半導体基板上に形成したアンテナ構造を用いることができる。本実施形態では、半導体基板として、表面に厚さ1.5μmのLT−GaAsエピタキシャル成長層を有する厚み100μmのGaAs基板を用いる。
また、アンテナ構造として、中心に5μmの間隙を有するダイポールアンテナ構造を用いる。このダイポールアンテナ構造のアンテナ長は30μmで、金(AuGe/Ni/Au)を用い、通常の蒸着プロセスによって作製する。この場合、アンテナから発生するテラヘルツ波の偏波方向は、アンテナ構造のダイポール軸方向に規定される。そのため、このテラヘルツ波信号を円偏波信号とするために、不図示の光学系を用いて、例えば、1/4波長板などの偏波状態を制御する機構が必要である。偏波状態の制御方法はこれに限らず、例えば、電磁波発生部から発生するテラヘルツ波の偏波方向と、検査部に用いる偏光子の偏光軸方向とが、相対的に変化する様に制御すればよい。例えば、電磁波発生部または検査部を機械的に回転させる機構(不図示)を用いる方法を採用できる。場合によっては、電磁波発生部と検査部を同時に制御する方式でもよい。これによれば、上記偏波状態を細かく微妙に調整することもできる。
また、当然のことであるが、アンテナ構造も上記のものに限らない。扱う電磁波の周波数特性や偏波特性によって、アンテナのサイズや形状は変化する。例えば、アンテナ構造として、スパイラルアンテナ構造を適応すると、発生するテラヘルツ波は円偏波信号となる。本実施形態では、上記の如きアンテナの間隙にバイアスを印加し、フェムト秒レーザを用いて間隙を光学的にゲートし、その時発生したテラヘルツ波を用いる。ただし、発生方法は、この方式に限るものではなく、例えば、レーザ波長が異なる二種類のレーザの差周波を用いてゲートする方法や、量子カスケードレーザや共鳴トンネルダイオードの様な負性抵抗素子を用いる方式でもよい。また、非線形光学結晶を利用した発振器や、BWO(Backward−Wave−Oscillator 後進波発振管)の様な電子管を用いた発振器でもよい。この様にして得られた円偏波信号は、上記した検査部の検体に照射される。
ここで、検査部の偏光子としてワイヤグリッドを用いた場合の、円偏波信号の動作を説明する。
ワイヤグリッドは偏光軸に垂直な電界成分のテラヘルツ波は透過する(⊥偏波成分信号)。そして、偏光軸に平行な電界成分のテラヘルツ波は反射する(//偏波成分信号)。上記テラヘルツ波は、偏光子の偏光軸に対して偏波面が相対的に回転する状態を想定しているが、必ずしもこの形態に限るものではない。例えば、上記テラヘルツ波の偏波面は直線偏波でもよい。上記ワイヤグリッドの偏光軸に対して、入射するテラヘルツ波の偏波方向を45°傾いた状態に制御すれば、入射テラヘルツ波を分岐することができる。
また、偏光軸に対する直線偏波の角度も、これに限定されない。検体の存在によって透過電磁波と反射電磁波の分岐比が変わる場合、この角度を調整して、分岐比が同等になる様に調整することもできる。また、透過電磁波と反射電磁波の分岐比が異なってもよい場合、角度を45°から変更しても、同様の動作は可能である。電磁波検出部は、これら⊥偏波成分信号と//偏波成分信号を夫々検出するものである。図7では、電磁波検出部は、1つで表現されているが、複数あってもよい。
テラヘルツ波の検出方法としては、例えば、次のものがある。ここでは、上記電磁波発生部と同様の構成を有しており、アンテナの間隙にバイアスを印加し、フェムト秒レーザを用いて間隙を光学的にゲートすることによって、テラヘルツ波を検出する。この時、フェムト秒レーザによってゲートされた瞬間のテラヘルツ波の任意点の強度を検出することになる。そのため、このゲートするタイミングを掃引することによって、時間領域のテラヘルツ波を取得することができる。勿論、この検出方式に限るものではない。例えば、ボロメータの様な熱検出器や、電気光学効果を利用する方式がある。また、ショットキーダイオードの様な半導体素子を利用する方式もある。
本実施形態では、検体に入射するテラヘルツ波は、偏光子の偏光軸に対して偏波方向が相対的に変化する円偏波信号である。そのため、これらの⊥偏波成分信号と//偏波成分信号の強度は、時間的に変化する(ただし、両者の時間変化は位相的に90°ずれている)。現在、テラヘルツ波領域の電磁波をリアルタイムに取得することは難しい。そのため、従来では、チョッパーなどを用いて、テラヘルツ波を変調し、検出している。本実施形態の場合、検体を経た後のテラヘルツ波は、偏光子によって、強度が変調される方式となる。そのため、従来必要であったチョッパーなどの変調機構が必要なくなり、装置構成が単純になり、小型化が実現できることになる。そして、この強度変調されたテラヘルツ波を検出することで、微小信号の検出が可能になるという効果がある。
演算処理部は、電磁波検出部で得られたテラヘルツ波の信号を用いて、検体の性状等を分析する部分である。例えば、演算処理部では、電磁波検出部から得られる信号を用いて、時間領域のテラヘルツ波を構築する。そして、このテラヘルツ波を、周波数領域の強度スペクトルに変換して、検体の周波数特性を取得する。こうして、例えば、検体の有無による位相変化や強度変化を比較することで、検体の複素屈折率などの諸特性を取得することができる。この時、演算処理部では、参照信号となる検体がない状態の信号が予め取得されていることが望ましい。また、検体の有無だけではなく、例えば、DNA、タンパク質、アミノ酸などの生体分子において、検体自体の構造変化や特性変化を検出することも可能である。また、演算処理部が、予め、検体に関するデータベースを有する場合、測定結果をデータベースと照合することで、検体の同定を行うこともできる。
この様に、本実施形態では、検体保持部に偏光子を用いることで、従来、別個に行っていた透過測定と反射測定を同時ないし同時並行的に行うことができる。そのため、検体の性状や測定環境が経時変化を伴う場合であっても、ほぼ厳密に同じ条件下での測定が可能になる。また、透過測定と反射測定を同時に行うものであるため、厳密に同じ位置での測定を同時並行的に行うことができる。
また、不図示の走査機構によって、検体上に照射されるテラヘルツ波を走査してもよい。不図示の走査機構として、例えば、検査部または電磁波発生部を動かすアクチュエータがある。また、電磁波発生部から発生するテラヘルツ波の光路を、光学的に変化させる光学系がある。また、電磁波発生部201から発生するテラヘルツ波の指向性を制御してもよい。要は、検体に入射するテラヘルツ波の位置を、入射電磁波の入射方向に対する検体の面内の方向に(例えば、入射方向に対して垂直な面内の方向に)、検体に対して相対的に変化させればよい。この様な手法を用いてテラヘルツ波を走査することによって、本実施形態では、透過イメージング像と反射イメージング像を同時に取得することができる。そのため、検体の厳密に同じ箇所の透過イメージング像と反射イメージング像が取得できる。
これに対して、例えば、個別に取得したこれらのイメージング像の比較を行う場合は、比較の前に、各イメージング像の位置合わせを行う必要がある。本実施形態の場合、これらのイメージング像を同時に取得できるため、位置合わせの工程が省略でき、測定速度が向上するという効果がある。
また、偏光子の周波数特性は、近傍に存在する物質によって変化する。これは、偏光子を取り巻く屈折率の状態が変化することに起因する。この現象を利用して、例えば、偏光子近傍に存在する検体による屈折率変化を、偏光子の周波数特性の変化として、検出する微量検出器に利用することができる。検出周波数を固定した場合、テラヘルツ波の透過強度の変化ΔIをモニタすることで、検体の微量検出を行う。または、検出する透過強度を固定した場合、所望の透過強度に対応する周波数の変化Δfをモニタすることで、検体の微量検出を行う。
以上に説明した様に、本実施形態の装置及び方法は、検体を保持する検体台に対し、偏光子の機能を付加し、検体に入射する電磁波を透過電磁波と反射電磁波に分岐して、夫々の電磁波を検出するものである。その結果、検体の透過測定と反射測定が同時にできるという効果があり、測定時間が短縮できる。また、透過測定と反射測定用の光学系を分ける必要がないために、装置の小型化が容易になるという効果がある。また、イメージング装置に適応した場合、透過イメージングと反射イメージングを同時に行うために、各イメージング結果の対応が簡易になるという効果がある。また、同一の検体に対して、透過測定と反射測定を同時に行うために、検体や測定環境の経時変化が除外できるという効果がある。そのため、検体間の差異や、実験条件の変化を考慮せずに、透過測定結果と反射測定結果を比較することができるため、実験精度が向上するという効果がある。
(情報通信装置)
本実施の形態で示すワイヤグリッド偏光板が既に前記したような利点に加え、大面積にしても軽量で耐振動性に優れる点、信頼性が高く広い温度・湿度環境下で使用できる点、クリーニング性に優れることから屋外での使用や、光学特性を一定に回復保持することが可能な点、テラヘルツ光と赤外光や可視光を重畳して利用することが出来る点などから、ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツ波送信素子を備え受信機に向けてテラヘルツ波を放射するテラヘルツ波送信機と、テラヘルツ波受信素子を備え送信機から放射され空中を伝播してきたテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波受信機からなる情報通信装置を構成できる。ワイヤグリッド偏光板は前記したように単純な構成でテラヘルツ光を発生させる手段や、光路を切り換える手段や、干渉防止などの目的で偏光面を切り換える手段や、視認性を持たせるなどの目的でテラヘルツ光と赤外光や可視光を重畳する手段などに利用出来る。前記受信機は前記送信機からのテラヘルツ波を集約するための集約器を備えることが好ましい。
次に、本発明を明確にするために行った実施例について説明する。
(実施例1)
(ワイヤグリッド偏光板の製造)
三官能以上のアクリレート化合物である単量体として、トリメチロールプロパントリアクリレートを32質量%、N−ビニル化合物である単量体としてN−ビニル−2−ピロリドンを32質量%、その他の単量体として1,9−ノナンジオールジアクリレートを33質量%、光重合開始剤として2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイドを2質量%、シリコンジアクリレートを1質量%配合したものをろ過して光硬化性樹脂を調整した。この粘度は7.9mPa・sであった。
厚み80μm、幅250mm、長さ200mのロール状のTAC樹脂フィルム上に連続的に上記光硬化性樹脂を塗布し、微細格子パターンを表面に有するロールスタンパと接触させながら紫外線硬化させることで、微細格子パターンを連続的に転写した。この転写フィルムの断面を電子顕微鏡により観察したところ微細格子パターンの形状はロールスタンパの正確な反転形状になっており、ピッチが140nm、高さが150nmのライン&スペース構造であることが確認できた。樹脂皮膜の厚みは0.3μmであった。
転写フィルムを連続製膜装置によって、転写フィルムの転写面側に窒化珪素薄膜を形成した。次いで窒化珪素薄膜の上にアルミニウムのワイヤを形成することでワイヤグリッド偏光板1を製造した。
また厚み50μmのPET樹脂フィルムの片面に厚み25μmのシリコーン粘着層が形成されてなる保護フィルムを、ワイヤグリッド偏光板1のアルミニウムのワイヤを形成した側の面に貼り付けることで、アルミニウムワイヤ部が保護されたワイヤグリッド偏光板2を製造した。
(ワイヤグリッド偏光板1及び2の評価)
(1)テラヘルツ帯域の偏光性能
前記のワイヤグリッド偏光板1及び2の透過率をテラヘルツ時間領域分光装置により、周波数0.2〜2.5THzの範囲で評価した。結果を図2と図3に示す。特に周波数0.5〜1.5THzでの消光比は45dB以上と良好なものであった。ここで消光比は10×log(TTM/TTE)と定義した。尚テラヘルツパルス波の時間波形には、TAC樹脂フィルム基材の内部での多重反射によるパルス波の存在は全く認められなかった。
(2)可視光域の偏光性能
前記のワイヤグリッド偏光板1及び2の可視光域での偏光性能を分光光度計(V-7100 日本分光製)により評価した。結果を表1に示す。可視光域での偏光性能も、光学解析用途や画像表示用途等に十分利用し得る良好なものであった。ここでは、直線偏光に対する平行ニコル、直交ニコル状態での透過光強度を測定し、偏光度、光線透過率は下記式より算出した。また、測定波長は550nmとした。
偏光度=[(Imax−Imin)/(Imax+Imin)]×100 %
光線透過率=[(Imax+Imin)/2]×100 %
Imaxは平行ニコル時の透過光強度であり、Iminは直交ニコル時の透過光強度である。
(3)曲げストレス耐久性
前記のワイヤグリッド偏光板1及び2の曲げストレス耐久性を評価するために半径が20mm、10mm、5mmの、3種類の円筒にワイヤグリッド偏光板を巻きつけた状態で20℃で50%RHの雰囲気下で24時間保持した後、ワイヤグリッド偏光板を円筒から解いて、ストレスを加えた前後での外観と偏光性能の変化の有無を評価した。このときワイヤグリッド偏光板の透過軸と円筒の長さ方向とのなす角はおよそ45度となるように巻きつけた。結果を表1に示す。ワイヤグリッド偏光板1及び2の外観及び偏光性能には有意な変化は認められず、従来のワイヤグリッド偏光板にくらべて取り扱い性が格段に向上されたことが確認出来た。
さらにSUS平板上にワイヤグリッド偏光板2を、TAC樹脂フィルムの面を上にして置き、綿棒で100gの荷重を加えながら1平方センチメートルの領域を輪を描くように100回擦った前後での外観と偏光性能の変化の有無を評価した。ワイヤグリッド偏光板2の外観及び偏光性能には有意な変化は認められず、万一ワイヤグリッド偏光板の表面に異物が付着しても性能にダメージを与えることなくクリーニングし得ることが確認出来た。
(4)裁断加工性
前記のワイヤグリッド偏光板1及び2の裁断加工性を評価するためにカッターナイフで碁盤目状に切り込み、1辺が5mmの正方形に切り分けたピース25個について、樹脂皮膜にクラックなどの異常が無いか倍率10倍のルーペを用いて評価した。結果を表1に示す。ワイヤグリッド偏光板1及び2のピースの周囲は滑らかに裁断されており、クラックや欠けは無かった。
このように本発明のワイヤグリッド偏光板は、樹脂皮膜が衝撃に強く、裁断線の周囲ですらクラックが発生しないこと。この特徴によって極めて小さなピースにも裁断できることが確認出来た。
(5)信頼性
前記のワイヤグリッド偏光板1及び2の信頼性を評価するために各辺がそれぞれ透過軸と略平行及び略直交するような3cm角の正方形に切り抜き、60℃、85%相対湿度条件下の恒温恒湿槽に1000時間保持した前後での外観と偏光性能の変化の有無を評価した。結果を表1に示す。ワイヤグリッド偏光板1及び2の変形及び偏光性能の変化は小さく、過酷な環境下での使用や保管に耐え得ることが確認出来た。
(比較例1)
(従来のワイヤグリッド偏光板)
米国MICROTECH instruments,inc.製のワイヤグリッド偏光板モデルG25×10−S(タングステンワイヤ径10μm、ワイヤ間隔25μm)をワイヤグリッド偏光板3とし、これについて、以下の評価を行った。
(ワイヤグリッド偏光板3の評価)
(1)テラヘルツ帯域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板3の透過率をテラヘルツ時間領域分光装置により、周波数0.5〜1.5THzの範囲で評価したところ消光比は27〜40dBの範囲であった。
(2)可視光域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板3は可視光域での偏光性能は有していなかった。
(3)曲げストレス耐久性
ワイヤグリッド偏光板3は金枠に固定されており屈曲性は有していなかった。タングステンワイヤの強度は弱く、接触によって容易に切断してしまうためにワイヤグリッド偏光板の表面に異物が付着した場合であっても、性能にダメージを与えることなくクリーニングすることは不可能であった。
(4)裁断加工性
ワイヤグリッド偏光板3はワイヤが40mm径の金枠に張られたものであり、裁断して使用することは不可能だった。ワイヤの強度が弱いために落下や振動程度の衝撃を加えただけでもワイヤが切断してしまった。
(比較例2)
(ワイヤグリッド偏光板の製造)
光硬化性樹脂を市販の光硬化性樹脂組成物PAK−01(東洋合成製)に代えて、実施例1と同様にしてワイヤグリッド偏光板の製造を試みた。この樹脂組成物の粘度は72.0mPa・sであった。しかしながら連続転写の工程において、樹脂の塗布厚みが不均一なうえロールスタンパと接触させたときに気泡が入りやすく、転写を開始した直後からロールスタンパが樹脂の付着残留物で汚染されてしまった。このため連続プロセスによる製造は断念し、あらためて厚み80μm、幅200mm、長さ200mmの正方形のTAC樹脂フィルム上に、バーコータを用いてPAK−01を塗付し、微細格子パターンを表面に有する幅100mm、長さ100mmの平板状のスタンパと接触させながら紫外線硬化させることで、微細格子パターンを転写したが、部分的にスタンパに樹脂の付着残留物が発生した。この転写フィルムの断面を電子顕微鏡により観察したところ、微細格子パターンの形状は概ねロールスタンパの反転形状になっており、ピッチが140nm、高さが150nmのライン&スペース構造が確認できたものの、スタンパに樹脂の付着残留物が発生した箇所においては平均径が50〜500μmの微細格子パターンの無い領域が多数存在した。また樹脂皮膜の厚みには若干のむらがあり5〜8μmの範囲であった。この転写フィルムを回分式の製膜装置を使用した以外は実施例1と同様にして、転写フィルムの転写面側に窒化珪素薄膜を形成した。次いで窒化珪素薄膜の上にアルミニウムのワイヤを形成することでワイヤグリッド偏光板4を製造した。
(ワイヤグリッド偏光板4の評価)
(1)テラヘルツ帯域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板4の透過率をテラヘルツ時間領域分光装置により、周波数0.5〜1.5THzの範囲で評価した。結果を表1に示す。消光比は測定箇所によって変動があり、19〜15dBの範囲であった。これはワイヤグリッド偏光板4の面内に微細転写パターンの無い領域が多数存在したためと考えられる。
(2)可視光域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板4の可視光域での偏光性能を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。偏光性能は測定箇所によって変動があり、5点測定での偏光度の中央データで示した。
(3)曲げストレス耐久性
ワイヤグリッド偏光板4の曲げストレス耐久性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。半径が最も大きい20mmの円筒での評価ですら、樹脂皮膜にクラックが入り、TAC樹脂フィルムから部分的に剥離してしまった。
(4)裁断加工性
ワイヤグリッド偏光板4の裁断加工性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。切断線の周囲では25個のピース全てについて樹脂皮膜にクラックが入り、TAC樹脂フィルムから部分的に剥離してしまった。
(5)信頼性
ワイヤグリッド偏光板4の信頼性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。試料は試験中に大きくカール変形し、樹脂皮膜がTAC樹脂フィルムから剥離してしまった。
(実施例2)
(ワイヤグリッド偏光板の製造)
光硬化性樹脂を実施例1で使用した光硬化性樹脂に代えた以外は比較例2と同様にして厚み80μm、幅200mm、長さ200mmの正方形のTAC樹脂フィルム上に、バーコータを用いて光硬化性樹脂を塗付し、微細格子パターンを表面に有する幅100mm、長さ100mmの平板状のスタンパと接触させながら紫外線硬化させることで、微細格子パターンを転写した。スタンパには樹脂の付着残留物は認められず、この転写フィルムの断面を電子顕微鏡により観察したところ、微細格子パターンの形状は平板状のスタンパの反転形状になっており、ピッチが140nm、高さが150nmのライン&スペース構造が確認できた。樹脂皮膜の厚みは2〜3μmの範囲であった。この転写フィルムを回分式の製膜装置を使用して、転写フィルムの転写面側に窒化珪素薄膜を形成した。次いで窒化珪素薄膜の上にアルミニウムのワイヤを形成することでワイヤグリッド偏光板5を製造した。
(1)テラヘルツ帯域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板5の透過率をテラヘルツ時間領域分光装置により、周波数0.5〜1.5THzの範囲で評価した。結果を表1に示す。消光比は測定箇所による変動が無く、45dB以上と良好なものであった。
(2)可視光域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板5の可視光域での偏光性能を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。偏光性能は測定箇所による変動が無く、良好なものであった。
(3)曲げストレス耐久性
ワイヤグリッド偏光板5の曲げストレス耐久性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。半径が最も小さい5mmの円筒での評価で、樹脂皮膜に長さ1mm以下のクラックが数点確認された。偏光性能には有意な変化は認められなかった。
(4)裁断加工性
ワイヤグリッド偏光板5の裁断加工性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。切断線の周囲では12個のピースについて樹脂皮膜に長さ1mm以下のクラックが確認された。
(5)信頼性
ワイヤグリッド偏光板5の信頼性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。わずかにカール変形したもののクラック発生は認められず、偏光性能の変化は小さかった。
(実施例3)
(ワイヤグリッド偏光板の製造)
ロールスタンパの微細パターン形状を変えた以外は実施例1と同様にして連続転写フィルムを作製した。この転写フィルムの断面を電子顕微鏡により観察したところ微細格子パターンの形状はロールスタンパの正確な反転形状になっており、ピッチが250nm、高さが270nmのライン&スペース構造であることが確認できた。樹脂皮膜の厚みは0.3μmであった。次いで実施例1と同様にして連続製膜することでワイヤグリッド偏光板6を製造した。
(1)テラヘルツ帯域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板6の透過率をテラヘルツ時間領域分光装置により、周波数0.5〜1.5THzの範囲で評価した。結果を表1に示す。消光比は測定箇所による変動が無く、43dB以上と良好なものであった。
(2)可視光域の偏光性能
ワイヤグリッド偏光板6の可視光域での偏光性能を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。偏光性能はワイヤグリッド偏光板1より低いものの、測定箇所による変動が無く良好なものであった。
(3)曲げストレス耐久性
ワイヤグリッド偏光板6の曲げストレス耐久性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。半径が最も小さい5mmの円筒での評価でも、外観や偏光性能に有意な変化は認められなかった。
(4)裁断加工性
ワイヤグリッド偏光板6の裁断加工性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。ワイヤグリッド偏光板6のピースの周囲は滑らかに裁断されており、クラックや欠けは無かった。
(5)信頼性
ワイヤグリッド偏光板6の信頼性を実施例1と同様にして評価した。結果を表1に示す。ワイヤグリッド偏光板6の変形及び偏光性能の変化は小さく、過酷な環境下での使用や保管に耐え得ることが確認出来た。
本発明は上記実施の形態に限定されず、種々変更して実施することが可能である。例えば、上記実施の形態における部材の材質、配置、形状などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。その他、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更して実施することが可能である。
本発明は、取り扱いや保管が容易であり、しかも良好な光学性能を有するテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板を安価に提供する。さらにワイヤグリッド偏光板の取り扱い性や保守性、信頼性が向上したことなどによって機能及びメンテナンス性が大幅に向上した、電磁波処理装置を提供する。

Claims (10)

  1. 樹脂基材と、前記樹脂基材上に形成された樹脂皮膜と、前記樹脂皮膜上に形成された金属ワイヤとを包含するワイヤグリッド偏光板であって、前記樹脂皮膜は、高さが0.01μm〜20μmであり、少なくとも一方向のピッチが0.01μm〜20μmの範囲である規則的な凸凹構造を表面に有し、厚みが0.01μm〜3μmの光硬化性の成形体であって、0.5THz〜1.5THzの帯域における消光比が20dB以上であることを特徴とするテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板。
  2. 前記金属ワイヤが格子状凸部の頂部より少なくとも上方に存在し、特定方向に垂直な断面において前記金属ワイヤの頂部を通り前記金属ワイヤの立設方向に沿う金属ワイヤ軸と、前記格子状凸部の頂部を通り前記格子状凸部の立設方向に沿う格子状凸部軸と、がずれていることを特徴とする請求項1に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板。
  3. 0.5THz〜1.5THzの帯域のパルス波を入射したときの、前記樹脂基材の内部での多重反射によるパルス波の強度が、観測対象のパルス波の強度の50%以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板。
  4. 曲げ半径20mmの曲げストレスを加えた前後の消光比の変化率が5%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板。
  5. 前記金属ワイヤが保護膜により被覆されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板。
  6. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板を光学素子として使用するテラヘルツ時間領域分光分析装置。
  7. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツパルス光を試料に照射する光源と、透過/反射パルス光を検出する手段と、透過/反射パルス光のテラヘルツ時間領域計測手段と組み合わせることによって構成された、分光透過率に基づく検査装置。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板を、可視光からテラヘルツ光までの任意の帯域の複数の光線の光軸を重畳させる光学素子として使用する、光線処理装置。
  9. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツ波発生手段と、検体保持手段と、入射光と透過光と反射光をそれぞれ検出する手段と、前記検出手段で検出された信号を処理して前記検体の情報を取得する処理手段と、を有する検体情報取得装置。
  10. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のテラヘルツ帯光学素子用ワイヤグリッド偏光板と、テラヘルツ波送信素子を備え受信機に向けてテラヘルツ波を放射するテラヘルツ波送信機と、テラヘルツ波受信素子を備え送信機から放射され空中を伝播してきたテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波受信機と、を有する情報通信装置。
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