JP2011176982A - スロットレスモータ - Google Patents

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Abstract

【課題】 固定子製造工程が簡単にできるというインシュレータ方式の利点を活かしつつ、コイルスパンを1より大きくできないという問題点を解決したインシュレータ構造を有するスロットレスモータを提供する。
【解決手段】 円筒状の固定子コアと、前記固定子コアの内周側に装着された複数のコイルとを備えた固定子と、外周面に複数の永久磁石を備え、かつ前記固定子の軸線上に、空隙を介して対向するように配置された回転子とを有するスロットレスモータにおいて、前記固定子1は、内周側に開口部26を有するスロット24と外周側に開口部25を有するスロット24が円周方向に交互に配置された円筒リング状のインシュレータ2と、前記インシュレータ2の前記外周側開口部25を通り一つのスロット24を挟むように、外側から巻かれた外側コイル3a〜3cと、前記内周側開口部26を通り一つのスロット24を挟むように、内側から巻かれた内側コイル4a〜4cを有し、各相巻線は前記外側コイル3a〜3cと内側コイル4a〜4cを同数ずつ有することにある。
【選択図】 図1

Description

本発明は、インシュレータ構造を有するスロットレスモータに関する。
スロットレスモータの固定子構造として、樹脂等の絶縁物からなる円筒状インシュレータを使用したものや、巻線したコイルをモールド材により固定したものなどが知られている。
特許文献1には円筒状に形成された内周ヨーク部と該内周ヨーク部から外方へ放射状に突出する複数のティース部を有するインシュレータおよび展開方式のインシュレータが開示されており、特許文献2には間仕切り構造インシュレータおよび個別部屋構造インシュレータが開示されている。これらインシュレータに装着されるコイルは、特許文献1の図1、図5および特許文献2の図5(b)に示されているように装着されている。すなわち、特許文献1ではインシュレータの各ティース部に各コイルが巻線装着されており(特許文献1の図1、図5参照)、特許文献2ではインシュレータの間仕切り空間に巻線された各コイルが挿入装着されている(特許文献2の図5(b)参照)。
これらの場合、ひとつのコイルは周方向に隣接するコイル導体で構成されており、コイルスパン(巻線ピッチ)は最小の1となっている。
図6は特許文献1の方式を採用した場合の、1相分のコイル配置を示した図であり、インシュレータ100のスロット101にコイル102aを配置したもので、この場合のコイルスパンは前述のように最小の1となっている。
特開2007−336751号公報 特開2009−44825号公報 特開2001−333555号公報
そのため、特許文献1または2の技術では、回転子の極数によっては巻線係数が小さくなりアンペアターンが有効に利用できないという問題や、誘起電圧定数が小さくなるため、無負荷回転速度が高速になりやすく、所定の無負荷回転速度にするためには巻線の線径を細くして巻数を多くせざるを得ず、その結果巻線抵抗が高くなり、最大出力が低下するという問題があった。
そこで、コイルスパンを1より大きくしたい場合には、たとえば特許文献3にあるように、予め巻線したコイルを所定の位置関係に配置した状態で、モールド材で固定する方式等が採用されていた。
しかしこの場合には、固定子製造工程にモールド工程を含むため、時間を要し作業性が悪いという問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、上記問題点に鑑み、固定子製造工程が簡単にできるというインシュレータ方式の利点を活かしつつ、コイルスパンを1より大きくすることができるスロットレスモータを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するため、円筒状の固定子コアと、前記固定子コアの内周側に装着された複数のコイルとを備えた固定子と、外周面に複数の永久磁石を備え、かつ前記固定子の軸線上に、空隙を介して対向するように配置された回転子とを有するスロットレスモータにおいて、前記固定子は、内周側に開口部を有するスロットと外周側に開口部を有するスロットが円周方向に交互に配置された円筒リング状のインシュレータと、前記インシュレータの前記外周側開口部を通り一つのスロットを挟むように、外側から巻かれた外側コイルと、前記内周側開口部を通り一つのスロットを挟むように、内側から巻かれた内側コイルを有し、各相巻線は前記外側コイルと内側コイルを同数ずつ有することにある。
また、本発明は、前記固定子コアは径方向に分割されており、少なくとも前記外側コイルをインシュレータに巻回してから、前記固定子コアを前記インシュレータに装着したことにある。
さらに、本発明は、前記固定子コアは磁性薄帯よりなり、少なくとも前記外側コイルをインシュレータに巻回してから、前記固定子コアを前記インシュレータに巻装したことにある。
本発明によれば、固定子製造工程が簡単にできるというインシュレータ方式の利点を活かしつつ、コイルスパンを1より大きくできないという問題点を解決することができる。
本発明によるスロットレスモータの実施の形態を示し、(a)は固定子を示す平面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。 図1のインシュレータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B線断面図である。 図1の実施の形態のコイルスパンを説明する概念図である。 本発明によるスロットレスモータの第2の実施の形態を示し、(a)は固定子を示す平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。 図4のインシュレータを示し、(a)は平面図、(b)は(a)のD−D線断面図である。 従来方式のコイルスパンを説明する概念図である。
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(a)、(b)は、第1の実施の形態による固定子1を示したもので、固定子1は、円筒リング状のインシュレータ2に外側コイル3aないし3cおよび内側コイル4aないし4cの合計6個のコイルが図示のように巻線装着され、その外側に固定子コア5が取付けられている。そして、外側コイル3aと内側コイル4aで第1の相巻線、外側コイル3bと内側コイル4bで第2の相巻線、外側コイル3cと内側コイル4cで第3の相巻線を形成しており、全体で3相巻線を形成している。固定子1の軸線上には、固定子1と間隙をおいて絶縁された回転子6が設けられ、この回転子6には、所定数の永久磁石が固定されている。固定子コア5は半径方向に2分割に構成されている。
図2(a)、(b)は、前記インシュレータ2を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は、(a)のB−B線断面図である。インシュレータ2は、軸方向中間位置で上下に分割された、上下一対のインシュレータ構成部材2A,2Bを連結して形成されている。なお、インシュレータ2は、最初から一体物として成形しても良い。
前記インシュレータ2は、円筒体の軸方向にスリットを円周方向に一定間隔で所定数(図示例では3箇所)形成した円弧状の内周壁20と、この内周壁20と円周方向に60度づつずらせて形成し、図示しないモータケースとの絶縁を保ち、両側開口端から軸方向に一定長さで、かつ円周方向に一定間隔で内周壁20と対応する所定数(図示例では3箇所)形成した円弧状の外周壁21と、外周壁21の内側端部から中心方向に向けて一定幅延出され、固定子コア5の端面5aとの絶縁を保つ底面22と、これら底面22の内周面から中心方向に向けて延出され前記内周壁20を支持するとともに、円周方向に等分割に配置されて前記コイルの位置を規制するティース部23を備えている。前記内周壁20と外周壁21の間には、前記ティース部23により分割された6個のスロット24を有しており、該スロット24には、外周壁21に形成された外周側開口部25と内周壁20に形成された内周側開口部26が交互に配置されている。また各スロット24の外周側には固定子コア内周面との絶縁を保つ筒状の外周壁27が設けられており、この外周壁27は、底面22の内径側内周面から軸方向内側に向けて延出されている。前記外周壁27の一部分は、開口端側に向けて軸方向に延出されて、外側コイル案内壁28が形成され、この外側コイル案内壁28は、内周側開口部26を挟んで配置された内周壁20相互間を跨るようにして前記ティース部23相互間に設けられている。
前記外側コイル3aないし3cは、図1(a)に示すように、前記インシュレータ2の外周側開口部25を通して、スロット外周側に外側コイル案内壁28が設けられたスロット24aを挟んで巻線されている。前記内側コイル4aないし4cは、前記インシュレータ2の内周側開口部26を通して、前記外周側開口部25が設けられたスロット24bを挟んで巻線されている。
図3は前記6個のコイルを形成する12個のコイル導体30ないし41と、前記第1の相巻線を形成する外側コイル3aと内側コイル4aとの関係を示した図である。前記コイル導体は12等分に配置されており、この図からコイルスパンは3であることがわかる。
そこで、コイル導体数N=12、コイルスパンS=1およびS=3、回転子の極数をPとした場合の巻線係数を、Kw=sin{P×(S/N)×(π/2)}より計算してみると表1のようになる。
比較するために記載したコイルスパンS=1は、前述した特許文献3に記載されていた、予め巻線したコイルを所定の位置関係に配置した状態でモールド材によって固定する従来の方式で(図6参照)、前述のように作業性が悪いという問題点があった。
Figure 2011176982
これから、コイル導体数N=12で回転子の極数が2極、4極の場合には、コイルスパンS=1は、巻線係数が0.5以下と小さくなるため適さず、図3のコイルスパンS=3が適していることがわかる。
本実施の形態では、固定子1は、例えば以下のような工程で製造できるので、モールド工程やコイル巻線・成形工程などを必要とせず簡単に行うことができる。
(1)軸方向上下に2分割されたインシュレータを、内径基準で保持する治具と外周基準で保持する治具を使用して、図2のように組合わせ、外側コイル3aないし3cを外側から直に巻線する。前記2種類の治具には、外側コイルを前記外周壁21と前記外側コイル案内壁28および底面22で形成される溝部に誘導する傾斜部がそれぞれ設けられている。
(2)半径方向に2分割された固定子コアを外周側から嵌め合わせる。このとき、固定子コア5は磁性薄帯を巻き付けて構成してもよい。
また、この工程は(3)の後でもかまわない。
(3)前記内径ガイド治具および外周保持治具をはずし、内側コイル4aないし4cを内側から直に巻線する。
(4)リング状のプリント基板等を使用してコイルを結線する。
図4(a)、(b)は、本発明の第2の実施の形態で、固定子1´を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C線断面図である。そして図5(a)、(b)は第2の実施の形態のインシュレータ2´を説明する図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のD-D線断面図である。図1、図2と同一部分には同一符号を付して同一部分の説明は省略して説明する。
この実施の形態では、固定子コア5は半径方向に2分割する必要はなく、円筒リング状のものが使用されている。
この場合、外周壁27の軸方向の延長線上に外周壁21aを設け、固定子コア5を係止するストッパとして、突起部29を外周壁27と外周壁21aの境界部分の外周面に、円周方向に一定間隔で6箇所設けている。こうして、インシュレータ2´に設けられた突起部29により、固定子コア5の軸方向位置が規制される。
なお、実施の形態1ではn=3、6コイル−6スロット−3相の例を示したが、実施の形態2は、n=6、12コイル−12スロット−3相の例である。
前記外側コイル3aないし3cは、図4(a)に示すように、各一対ずつ互いに180度ずらせて対称位置に配置されている。前記内側コイル4aないし4cは、図4(a)に示すように、各一対ずつ互いに180度ずらせて対称位置に配置され、かつ前記外側コイル3aないし3cとは、それぞれ30度ずつ位置をずらせて、配置されている。前記外側コイル3aないし3cは、インシュレータ2´の外周壁21aに、円周方向に一定間隔で形成された外周側開口部25´から挿入されてそれぞれ一対のティース部23相互間に巻線されて、対応するスロット24内に設けられている。
前記内側コイル4aないし4cは、インシュレータ2´の内周壁20に形成された内周側開口部26´から挿入されてそれぞれ一対のティース部23相互間に巻線されて、対応するスロット24内に設けられている。
上記第2の実施の形態では、インシュレータ2´を用いることにより容易にコイルスパンを1より大きくすることができる。
1,1´ 固定子
2,2´ インシュレータ
2A インシュレータ上部部材
2B インシュレータ下部部材
3a,3b,3c 外側コイル
4a,4b,4c 内側コイル
5 固定子コア
6 回転子
20 内周壁
21,21a 外周壁
22 底面
23 ティース部
24 スロット
25,25´ 外周側開口部
26,26´ 内周側開口部
27 外周壁
28 外側コイル案内壁
29 突起部
30〜41 コイル導体

Claims (3)

  1. 円筒状の固定子コアと、前記固定子コアの内周側に装着された複数のコイルとを備えた固定子と、外周面に複数の永久磁石を備え、かつ前記固定子の軸線上に、空隙を介して対向するように配置された回転子とを有するスロットレスモータにおいて、
    前記固定子1は、内周側に開口部を有するスロットと外周側に開口部を有するスロットが円周方向に交互に配置された円筒リング状のインシュレータと、前記インシュレータの前記外周側開口部を通り一つのスロットを挟むように、外側から巻かれた外側コイルと、前記内周側開口部を通り一つのスロットを挟むように、内側から巻かれた内側コイルを有し、各相巻線は前記外側コイルと内側コイルを同数ずつ有するスロットレスモータ。
  2. 前記固定子コアは径方向に分割されており、少なくとも前記外側コイルをインシュレータに巻回してから、前記固定子コアを前記インシュレータに装着したことを特徴とする請求項1に記載のスロットレスモータ。
  3. 前記固定子コアは磁性薄帯よりなり、少なくとも前記外側コイルをインシュレータに巻回してから、前記固定子コアを前記インシュレータに巻装したことを特徴とする請求項1記載のスロットレスモータ。
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