JP2011176485A - 復調器及び復調方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号をディジタル信号処理により復調する復調器及び復調方法を提供する。
【解決手段】本発明の復調器は、正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と、第1予測信号又は第N予測信号との予測誤差を求める第1又は第N線形予測手段と、第1又は第N線形予測手段による予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第1又は第N比較手段と、予測対象以外の信号を受信したときに、第1又は第N比較手段による比較結果の誤判定を回避する第1又は第N保護論理手段と、第1保護論理手段からの信号と第N保護論理手段からの信号とが同時に真とならないように排反論理を行う排反論理手段と、排反論理手段から出力信号を受け取り、データ伝送の最小単位のデータを識別して元のデータを再生する識別再生手段とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、復調器及び復調方法に関し、例えば、ITU‐T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号をディジタル信号処理により復調する復調器及び復調方法に適用し得るものである。
従来から搬送波周波数を信号によって変調する周波数偏移変調方式(FSK:Frequency Shift Keying)が広く利用されている。
例えば、ITU−T勧告V.23では、一般公衆網における交換接続回線用のモデムでの周波数偏移変調方式が規格されている(非特許文献1参照)。また、ITU−T勧告V.23に規格されている周波数偏移変調方式は、例えば、NTTのアナログ電話サービスで提供されているモデムダイヤルインと発信者番号通知サービスで利用されている(非特許文献2参照)。
非特許文献2に記載のサービスの規格を以下に示す。
通信方式:半二重片方向通信方式
同期方式:調歩同期方式
伝送速度:1200bps
線路周波数:F 1700Hz(中心周波数)
1300Hz(1,マーク)
2100Hz(0,スペース)
周波数偏差:±10Hz
通信開始前の事前トレーニング:未実施
送達確認/再送処理:未実施
例えばモデムダイヤルインと発信者番号通知サービス(非特許文献2参照)は、上記の規定に従って、2値のバイナリデータ(1又は0)で変調し、音声帯域アナログ信号として、加入者交換機からアナログ電話端末に向けて送出されることになる。
次に、周波数偏移変調信号を復調する従来技術を説明する。
(零交差法)
零交差法は、受信した周波数偏移変調信号の零交差の時間間隔ならびに零交差回数を測定することで、元のバイナリデータに復調する方法である。この零交差法に関する従来技術としては、例えば特許文献1に記載の技術がある。
(波形予測法)
波形予測法は、前もって用意された正規化された波高値の正弦波テーブルを参照して所望の周波数の正弦波を生成する方法を応用したものである。まず、周波数偏移変調信号の受信レベルを測定し、受信信号の波高値が前述した正弦波テーブルの波高値と等しくなるように、受信信号を正規化する。次に、ある時点で受信後に正規化された標本値から次に受信することになる正規化された標本値を正弦波テーブルから参照して予測することができる。この予測結果に基づいて、元のバイナリデータに復調する方法である。
(帯域通過/帯域阻止法)
帯域通過法は、周波数偏移変調で使用する2種類の正弦波を中心周波数とする帯域通過ファイルタを2種類用意する。受信信号をこれら帯域通過フィルタに入力し、これらフィルタの出力レベルを測定することで、2種類の正弦波のいずれを受信しているかを判定し、元のバイナリデータに復調するものである。
帯域阻止法は,上記の帯域通過フィルタの替わりに帯域阻止ファイルタを利用する方法であり、帯域通過法と本質的な差異はない。
この帯域通過/帯域阻止法に関する従来技術としては、例えば特許文献2に記載の技術がある。
(周波数解析法)
周波数解析法は、周波数偏移変調で使用する2種類の正弦波を離散的フーリエ変換を用いて検出する方法であり、本質的には上記した帯域通過法と同等の技術である。
(位相差検出法)
位相差検出法は、受信した周波数偏移変調信号と復調部で発生させた中心周波数の正弦波との積を取り、低域遮断フィルタを通して、中心周波数と線路周波数の差分の周波数成分を抽出し、その位相差を標本ごとに算出し、元のバイナリデータを再生する方法である。この位相差検出法に関する従来技術としては、例えば特許文献3に記載の技術がある。
特開2004−129207号公報 特開平8−274824号公報 特開2002−247118号公報
ITU−T勧告V.23,"一般交換電話網用に標準化された600/1200ボーモデム" 西日本電信電話株式会社 技術参考資料,"電話サービスのインタフェース",第1.0版,P.33〜P.86,2008年3月28日 関清三著、"わかりやすいディジタル変復調の基礎",オーム社,平成13年9月25日発行
ところで、一般に、アナログ回路は、動作安定性、経年変化、部品実装面積においてディジタル回路に劣る傾向があり、かつ、近年のLSI技術の進歩によりディジタル信号処理回路も安価になっていることから、アナログ電話サービスで採用されているITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号をディジタル信号処理により復調することが望まれている。
ITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号をディジタル信号処理により復調する場合、以下のことを留意することが必要となる。
(伝送速度と線路周波数の関係)
伝送速度が1200bpsなので、1bitを伝送するのに要する時間は(1/1200)sである。
バイナリデータの「1」を伝送するときは線路周波数F1300Hzなので、1300Hzの正弦波を(13/12)周期だけ送出することになる。同じく、バイナリデータの「0」を伝送するときは線路周波数F2100Hzなので、2100Hzの正弦波を(7/4)周期だけ送出することになる。いずれの場合でも、1bit当たり線路周波数の正弦波を2周期弱程度しか送出できない。
(伝送速度と標本化周波数の関係)
伝送速度1200bpsに対して、加入者交換機とアナログ電話端末で使用されている標本化周波数は8000Hzなので、データ1bit当たりの標本数は(8000/1200)=(20/3)個である。換言すると、1bit当たりの標本数は6個または7個である。さらに換言すると、3bit当たりの標本数は20個である。
(調歩同期を採用していること)
一般に、加入者交換機とアナログ電話端末で使用するクロックは非同期である。アナログ電話端末で使用されるクロック源の水晶の周波数偏差は通常100ppmオーダなので、加入者交換機とアナログ電話端末間の相対的な周波数偏差も当該オーダである。
これに対して、ITU−T勧告V.23に規定する周波数偏移変調は、調歩同期を採用している。調歩同期とは例えばデータ8bitの前後にスタートビットとストップビットを挿入することで送受信のタイミングを合わせる方式であり、例えば100ppmオーダのクロック偏差があっても支障なくデータを受信することができるようになっている。
(トレーニング/送達確認について)
ITU−T勧告V.23に規定する周波数偏移変調は、トレーニングと送達確認は未実施であるから、極力簡易かつ応答の早い復調処理が望まれる。
上記のことを考慮して、従来の復調方法を評価する。
(零交差法)
零交差法については、線路周波数F1300HzとF2100Hzの半周期当たりの標本数は、それぞれ、(8000/1300/2)=(40/13)と(8000/2100/2)=(40/21)であることから、1bit当たりの零交差数は、図11に示すような結果となる。
図11において、1bit当たりの標本数が6回の場合、1bit当たりの零交差数は、線路周波数F1300Hz(マーク)で「1回または2回」であり、線路周波数F210Hz(マーク)で「3回または4回」となる。
また、1bit当たりの標本数が7回の場合、1bit当たりの零交差数は、線路周波数F1300Hz(マーク)で「2回または3回」であり、線路周波数F210Hz(マーク)で「3回または4回」となる。
そのため、1300Hz(マーク)と2100Hz(スペース)とで、1bit当たりの零交差数が接近しているため、周波数の識別が困難となる。中でも特に、1bit当たりの標本数が7個の場合、零交差数が3回だとすると、1300Hz(マーク)と2100Hz(スペース)の識別は不可能となる。
以上から、零交差法はITU‐T勧告V.23に準拠した変調信号の復調には適していない。
(波形予測法)
波形予測法については、実際にデータを伝送する前に1300Hz(マーク)と2100Hz(スペース)の両方の受信レベルが判明しておれば適用可能とも考えられるが、アナログ電話サービスの通信規定(非特許文献2)では、1300Hz(マーク)のみ通信開始前に60ms以上送出するように規定されているので、事前学習が可能となり受信レベルを正規化することが可能となるが、2100Hz(スペース)には事前学習の機会が与えられていない。したがって、加入者交換機と電話端末間の2線伝送路の周波数特性が1300Hzと2100Hzに対して異なっていると、線路周波数F2100Hzの復調が困難になる。
(帯域通過/帯域阻止法)
帯域通過/帯域阻止法については、受信信号を帯域通過フィルタや帯域阻止フィルタに通すことになるが、1bitの当たりの標本数が6〜7個でしかないことから、フィルタ出力は過渡応答が支配的となり、復調器としての動作マージンを小さくする傾向がある。なお、これを回避するために、オーバサンプリングにより1bit当たりの標本数を増加させることが考えられるが、しかし、これは復調器の部品点数の増大もしくはソフト処理する場合は処理サイクル数が増大し、コストアップ要因となる。
(周波数解析法)
周波数解析法においては、1bit当たりの標本数が6〜7個であることから、離散的フーリエ変換を施しても周波数分解能が1000Hzを超過することになり適用は不能である。これを回避するために、オーバサンプリングにより1bit当たりの標本数を増加させることが考えられるが、しかし、これは復調器の部品点数の増大もしくはソフト処理する場合は処理サイクル数が増大し、コストアップ要因となる。
(位相差検出法)
位相差検出法においては、波形予測法と同様にマーク信号(1300Hz)とスペース信号(2100Hz)の受信レベルが判明している必要がある。通信中に受信レベルを正規化する適応制御を施しても、再送処理およびスペース信号に対する事前トレーニングがサポートされていないアナログ電話サービス(非特許文献2)ヘの適用は困難となる。
上記以外の周波数偏移変調信号の復調方法には、非特許文献3によると、周波数検波/遅延検波/同期検波などがあるが、これらはアナログ信号処理の用途であったり、ITU−T勧告V.23の変調指数には適用不可であったりする。
そこで、本発明は、ITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号をディジタル信号処理により復調する復調器及び復調方法を提供する。
かかる課題を解決するために、第1の本発明の復調器は、入力された周波数偏移変調信号を復調する復調器において、(1)正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第1予測信号との予測誤差を求める第1線形予測手段と、(2)第1線形予測手段による予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第1比較手段と、(3)第1比較手段からの論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、第1比較手段による比較結果の誤判定を回避する第1保護論理手段と、(4)正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第N(Nは2以上の整数)予測信号との予測誤差を求める第N線形予測手段と、(5)第N線形予測手段による予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第N比較手段と、(6)第N比較手段からの論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、第N比較手段による比較結果の誤判定を回避する第N保護論理手段と、(7)第1保護論理手段からの出力信号と、第N保護論理手段からの出力信号とが同時に真とならないように排反論理を行う排反論理手段と、(8)排反論理手段から出力信号を受け取り、データ伝送の最小単位のデータを識別して元のデータを再生する識別再生手段とを備えることを特徴とする。
第2の本発明の復調方法は、入力された周波数偏移変調信号を復調する復調方法において、(1)第1線形予測手段が、正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第1予測信号との予測誤差を求める第1線形予測工程と、(2)第1比較手段が、第1線形予測手段による予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第1比較工程と、(3)第1保護論理手段が、第1比較手段からの論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、第1比較手段による比較結果の誤判定を回避する第1保護論理工程と、(4)第N線形予測手段が、正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第N(Nは2以上の整数)予測信号との予測誤差を求める第N線形予測工程と、(5)第N比較手段が、第N線形予測手段による予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第N比較工程と、(6)第N保護論理手段が、第N比較手段からの論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、第N比較手段による比較結果の誤判定を回避する第N保護論理工程と、(7)排反論理手段が、第1保護論理手段からの出力信号と、第N保護論理手段からの出力信号とが同時に真とならないように排反論理を行う排反論理工程と、(8)識別再生手段が、排反論理手段から出力信号を受け取り、データ伝送の最小単位のデータを識別して元のデータを再生する識別再生工程とを有することを特徴とする。
本発明によれば、線形予測フィルタを用いることにより、ITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号をディジタル信号処理により復調することができる。
実施形態の復調器の構成を示す構成図である。 実施形態のF線形予測器及びF線形予測器の構成を示す構成図である。 実施形態の比較器の構成を示す構成図である。 実施形態の保護論理器における処理を示す遷移状態図である。 実施形態の排反論理器の構成を示す構成図である。 実施形態の識別/再生論理器が対象とするデータのデータフォーマットを説明する説明図である。 実施形態の標本数と受信ビット数との関係を示す標本数−受信ビット数対応テーブルの構成を示す構成図である。 実施形態の識別/再生論理器における処理を示す状態遷移図である。 図8の状態遷移図における変数の定義を説明する変数説明図である。 実施形態の復調器における動作を説明する説明図である。 従来の零交差法を用いてITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移変調信号を復調する場合の1bit当たり零交差数を説明する説明図である。
(A)実施形態
以下では、本発明の復調器及び復調方法の実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。
この実施形態は、ITU−T勧告V.23に準拠した周波数偏移信号をディジタル信号処理で復調する復調器に本発明を適用する場合を例示する。
(前提条件1)
この実施形態で説明する復調器の処理は、ハードウェアで実現するようにしてもよいし、又はファームウェアで実現するようにしてもよい。さらに、ハードウェアとファームウェアとを組み合わせて実現するようにしてもよい。
(前提条件2)
この実施形態で現れる信号はすべて離散値系の信号である。例えば、信号x(n)と表記するとき、nは整数であり離散時間の現時刻を表す指標である。x(n−1)はx(n)の1つ前の過去の標本値を表しており、x(n+1)はx(n)の1つ後の未来の標本値を表している。
(A−1)実施形態の構成
(A−1−1)復調器の全体構成
図1は、この実施形態の復調器の構成を示す構成図である。図1において、復調器1は、受信端子101、F線形予測器102、絶対値化器103、比較器104、保護論理器105、F線形予測器106、絶対値化器107、比較器108、保護論理器109、排反論理器110、識別/再生論理器111、出力端子112を少なくとも有して構成される。
加入者交換機(図示しない)において、2値のバイナリデータが周波数偏移変調され、音声帯域アナログ信号としてアナログ電話端末(図示しない)に送信される。この音声帯域アナログ信号は、アナログ電話端末で受信され、図示しないA/D変換器(アナログ/ディジタル変換器)によりディジタル信号に変換される。
A/D変換器によりディジタル変換されたディジタル信号は、図1に示す復調器1に与えられる。
受信端子101は、A/D変換器からディジタル信号を入力し、F線形予測器102及びF線形予測器106に入力したディジタル信号を与えるものである。
線形予測器102は、線形周波数F1300Hz(1、マーク)の正弦波信号に関する線形予測器であり、F線形予測器106は、線路周波数F2100Hz(0、スペース)の正弦波信号に関する線形予測器である。F線形予測器102及びF線形予測器106はいずれも入力信号と予測信号との差分、つまり予測誤差を、絶対値化器103及び絶対値化器107に出力する。
絶対値化器103及び絶対値化器107は、F線形予測器102及びF線形予測器106から出力された予測誤差信号の絶対値を算出するものであり、比較器104および108に出力するものである。
比較器104及び比較器108は、絶対値化器103及び絶対値化器107から出力された予測誤差の絶対値を示す絶対予測誤差を受け取り、絶対予測誤差が閾値未満の場合には論理値「0」を、また絶対予測誤差が閾値以上の場合には論理値「1」を、保護論理器105及び保護論理器109に出力するものである。
保護論理器105及び保護論理器109は、比較器104及び比較器108から出力される論理信号を受け取り、これら論理信号に基づき比較器104及び比較器108の瞬間的な誤判定を防止するために保護論理を取るものである。これにより、後段の排反論理器110及び識別/再生論理器111の処理への影響を防止することができる。なお、保護論理器105及び保護論理器109における具体的な処理例は後述する。
排反論理器110は、保護論理器105及び保護論理器109からの出力信号を受け取り、F線形予測器102及びF線形予測器106の両方の予測結果が同時に真となることを防止するものである。
識別/再生論理器111は、排反論理器110からの出力信号を受け取り、8ビット単位のデータを識別して再生するものである。また、識別/再生論理器111により再生されたデータは出力端子112を介して復調器1の後段に与えられる。
(A−1−2)F線形予測器102及びF線形予測器106
線形予測器102及びF線形予測器106は、上述したように、正弦波信号に対する線形予測器であり、今回の標本値と予測値との差である予測誤差を出力するものである。
正弦波信号に対する線形予測の方法としては、正弦波信号に対する2つの連続する標本値から、その次の標本値を導出することができることを利用する。これは、正弦波信号が、以下に示す三角関数のn倍角の公式から明らかである。
Figure 2011176485
ここで、ωは角周波数であり、正弦波信号の周波数をfとすると、ω=2πfなる関係がある。また、Tは標本化間隔であり標本化周波数fの逆数である。従って、式(1)において、ωTは定数となることに留意する。また、nは変数であり、式(1)は、周波数fの正弦波信号に対する線形を予測することができることを示す。
また、式(1)を以下に示すように標本値を用いた表現に改める。
Figure 2011176485
ここで、x(n)は、今回入力した入力信号の標本値である。もし、x(n)が角周波数ωの正弦波信号であるならば、x^(n)=x(n)が成立することになるので、式(2)は、今回から過去2つの連続する標本値を用いて、今回の標本値を予測する予測器と解釈できるのである。
そのため、今回の標本値と、過去2つの連続する標本値から予測した予測値との差である予測誤差ε(n)は、式(3)のように示すことができる。
Figure 2011176485
線形予測器102及びF線形予測器106は、式(3)に示される処理を行う。式(3)に示される処理は、角周波数ωに零点を有する2次FIR(Finite Impulse Response)型ノッチフィルタとみなすことができる。そこで、F線形予測器102及びF線形予測器106の構成の一例として、図2に示すような構成を備える場合を説明する。
図2は、F線形予測器102及びF線形予測器106の構成例と、式(3)をシグナルフローで示した図である。
図2において、F線形予測器102及びF線形予測器106は、入力端子201、レジスタ202、レジスタ203、乗算器204、加算器205、加算器206、出力端子207を有する。
入力信号x(n)は、入力端子201を介して、レジスタ202と加算器206に与えられる。
レジスタ202及び203は、それぞれ1標本化期間だけ信号を格納して、1標本化期間だけ遅延を与えるものである。また、レジスタ202とレジスタ203とは縦続されている。そのため、レジスタ202には今回の入力信号x(n)に対して1つ前の標本値x(n−1)が格納され、レジスタ203には今回の入力信号x(n)に対して2つ前の標本値x(n−2)が格納される。また、レジスタ202は、乗算器204と接続している。さらに、レジスタ203は、加算器205と接続している。
乗算器204は、レジスタ202から出力された標本値x(n−1)に、定数(−2cosωT)を乗算して、その乗算結果を加算器205に出力するものである。
加算器205は、乗算器204からの乗算結果と、レジスタ203から出力された標本値x(n−2)とを加算し、その加算結果を加算器206に出力するものである。
加算器206は、入力端子201からの入力信号x(n)と加算器205からの加算結果とを加算し(すなわち、x(n)からx^(n)を減算し)その加算結果ε(n)を出力端子207に出力するものである。
なお、上述したようにレジスタ202とレジスタ203とは縦続しており、レジスタ202に格納されている標本値はレジスタ203に移動し、今回入力した標本値はレジスタ202に移動する。上記のような処理が繰り返し行なわれる。
図2に例示するF線形予測器102及びF線形予測器106は、2つの特徴を有している。
1つは、角周波数ωの正弦波信号が入力したとき、この正弦波信号は、順次、レジスタ202とレジスタ203とに格納される。すなわち、標本化周期をTとすると、2T経過後に、当該正弦波信号を正確に予測することができ、予測誤差を理想的には零にすることができる。つまり、正弦波信号の予測と予測誤差の修正を迅速にできる。ITU−T勧告V.23変調方式では、1200bpsの1bit当たり8kHz標本化周波数による標本数が6〜7個であることを考慮すると非常に望ましい性質である。また、図2に例示したF線形予測器102及びF線形予測器106の代わりに角周波数ωに零点を有する一般的なノッチフィルタを利用することも可能かもしれないが、この実施形態のように、2次FIR型予測器は角周波数ωの正弦波の除去に要する時間が前述したように2Tであり、これはあらゆる種類のノッチフィルタの中で最速となっている。
もう1つは、図2に例示したF線形予測器102及びF線形予測器106は、入力信号レベルに依存することなく正確に予想可能である。本性質は、加入者交換機とアナログ電話端末を接続するアナログ回線伝送路の周波数応答特性が1300Hzと2100Hzで異なるときには特に有用となるものである。
(A−1−3)比較器104及び比較器108
比較器104及び比較器108は、上述したように、絶対値化器103及び絶対値化器107から受け取った絶対予測誤差を閾値と比較するものである。
図3は、比較器104及び比較器108の内部構成を示す構成図である。図3において、比較器104及び比較器108は、入力端子301、閾値302、比較器303、出力端子304を有する。
比較器303は、入力端子301を介して、絶対値化器103及び107から出力された信号x(n)を入力する。また、比較器303は、閾値TH302を入力しており、入力信号x(n)と閾値THとを大きさを比較し、入力信号x(n)がTH未満のときは論理信号y(n)=0を出力し、入力信号x(n)がTH以上のときは論理信号y(n)=1を出力する。
比較器104及び比較器108は、F線形予測器102及びF線形予測器106による瞬間的な誤判定を防止するものである。瞬間的に誤判定をした場合、そのわずかな標本化期間だけ予測誤差は大きくなる。そこで、比較器104及び比較器108は、誤判定と判断するための閾値THを設定しておき、各絶対予測誤差が閾値TH以上か否かを判定することで、誤判定か否かを確認する。
従って、比較器303からの出力信号が「0」を継続するときは、F線形予測器102及びF線形予測器106の予測が的中していることを表しており、逆に「1」が継続するときは予測がはずれていることを表している。なお、予測がはずれるときは、閾値THを超える振幅(zero‐to‐Peak)の正弦波信号がF線形予測器102及びF線形予測器106の出力に現れるのであるが、正弦波信号なのでその瞬時値は閾値を下回ることがあるので、後段に保護論理器105及び109を用意する必要がある。
(A−1−4)保護論理器105及び保護論理器109
図4は、保護論理器105及び保護論理器109が行う保護論理の状態遷移図である。
図4では、保護論理の状態が3種類あり、それぞれの状態をState=0,1,2とする。また、図4においてx(n)は、保護論理器105及び保護論理器109の入力信号を示し、y(n)は、保護論理器105及び保護論理器109の出力信号を示す。
初期状態は、State=0になっており、出力信号y(n)=0を出力する。入力信号x(n)=0が継続する場合、State=0の状態を保持する。
そして、入力信号x(n)が「0」から「1」に変化するとき、状態はState=1に遷移し、出力信号y(n)=1を出力する。ここで、当該状態から入力信号x(n)が連続して2回以上「0」となるときのみ、状態はState=1からState=2を経由してState=0に遷移し、出力信号はy(n)=0となる。これ以外では、状態はState=1またはState=2に留まり、y(n)=1の出力を保持する。
ここで、状態がState=1からState=0に遷移するときのみ、入力信号x(n)=0が2回以上連続することを条件にしている理由は、例えば、1300Hzの正弦波信号のF線形予測器102に2100Hzの正弦波信号が印加されると、F線形予測器102の予測誤差には2100Hzの正弦波信号が現れ、予測誤差の絶対値が比較器104の閾値未満になることがあり得るので、保護論理を取ることで誤判定されることを防止している。
なお、状態遷移の保護段数は、周波数偏移変調の線路周波数や比較器104及び108の閾値THに依存するものであり、図4に示した保護段数は一例でしかない。また、図4に示す例では、State=0からState=1への遷移には保護を設けていないが、伝送路上に雑音が現れ誤動作が懸念されるのであれば、保護を設けるようにしてもよい。
(A−1−5)排反論理器110
周波数偏移変調信号が1300Hzから2100Hzに、または、その逆に遷移するとき、F線形予測器102及びF線形予測器106が追従するのに標本化間隔の2倍の時間を要することを先に説明した。
よって、この間のF線形予測器102及びF線形予測器106の判定結果は参照しないようにするべきである。
そこで、排反論理器110は、1300Hz用途のF線形予測器102と、2100Hz用途のF線形予測器106とが、ある入力信号に対して両方とも受信したとみなすことを回避するために設けている。
図5は、排反論理器110の内部構成を示す内部構成図である。図5において、排反論理器110は、入力端子501、入力端子502、NOTゲート503、NOTゲート504、ANDゲート505、ANDゲート506、出力端子507、出力端子508を有する。
入力端子501は、保護論理器105と接続しており、1300Hzの線形予測の保護論理出力Mark(n)を入力し、NOTゲート503とANDゲート506に供給するものである。また、入力端子502は、保護論理器106と接続し、2100Hzの線形予測の保護論理出力Space(n)を入力し、NOTゲート504とANDゲート505に供給するものである。
ここで、保護論理出力Mark(n)とSpace(n)とは負論理とする。ANDゲート505は、Mark(n)=0かつSpace(n)=1のときのみ、出力がMark_det(n)=1となり、出力端子507に供給する。また、ANDゲート506は、Mark(n)=1かつSpace(n)=0のときのみ、出力がSpace_det(n)=1となり、出力端子508に供給する。ここで、排反論理の出力Mark_det(n)とSpacq_det(n)は正論理であることに留意する。
(A−1−6)識別/再生論理器111
次に、識別/再生論理器111における詳細な処理を説明する。この識別/再生論理器111の処理を説明する前に、以下の留意事項を指摘する。
(留意事項1)
非特許文献2では、加入者交換機とアナログ電話端末間での周波数偏移変調方式によるデータ通信は調歩同期を用いることが規定されている。つまり、バイト単位の送信データの先頭にスタートビットと、その最後にストップビットが付加され、10ビット単位で送信されるようになっている。この様子を図6(A)に示す。さらに、通信開始時には、論理値1に対応するマークビットを60msec以上送出するように規定されている。
したがって、復調器1におけるデータ識別/再生論理器111は、スタートビットとストップビットに挟まれた8ビットのデータ毎に実施することが望ましい。これにより、加入者交換機とアナログ電話端末のクロック周波数が非同期であっても、オーバフローやアンダーフローを起こすことなく通信することができるのである。スタートビットとストップビットが付加された10bitのバイナリデータのフォーマットを図6(A)に示す。
(留意事項2)
次に、データ識別/再生論理器111において留意すべきことは、伝送速度1200bpsに対して電話網で採用されている標本化速度が8kHzとなっていることである。つまり、1200bpsの伝送符号1bit当たりの標本数は6個または7個となり、別の表現をすると、伝送符号3bit当たりの標本数は20個であり、伝送符号のビット境界が判然としていないことである。ビット境界が判然としないまでも、例えば、図6(B)に示すように、データ8bitが「1/0」の繰り返しパターンの場合は、F線形予測器102及びF線形予測器106の判定結果がデータの1bit毎に反転するので伝送符号を識別/再生可能となる。
ところが、例えば、図6(C)に示すように、データ8bitが全て「0」の場合、F線形予測器102及びF線形予測器106の判定結果は「0」受信を継続的に示すことになるのだが、データ識別/再生論理器111は、ビット境界がないので、符号「0」が何ビット連続しているのか容易には分からない。
これを解決するには、ゼロに初期化した標本化周期でカウントアップする標本数カウンタを用意しておき、スタートビット検出後に当該カウンタをイネーブル状態とし、同一符号を受信中はカウントアップさせる。符号が反転するごとに当該カウンタ値から同一符号の受信ビット数を算出すると同時に、当該カウンタに1をセットする。
図7は、カウンタ値と受信ビット数との関係を示す標本数−受信ビット数対応テーブルの構成を示す構成図である。図7は、例えば、先に説明した伝送速度1200bpsの標本化速度8kHzの関係から導出されたものである。
上記の2点の留意事項を織り込んだ識別/再生論理器111に詳細な処理について図8を参照しながら説明する。
図8は、識別/再生論理器111における状態遷移を示す状態遷移図である。ここでは、スタートビット+8ビットデータ+ストップビットの合計10bitを識別/再生する場合を例示する。また、応用に際しては、必要な回数だけ繰り返せばよい。
なお、図8では、処理内容をC言語で表記されている。しかしながら、これはファームウェアでの処理を指定するものではなく、実現はハードウェアとファームウェアのいずれでも可能である。
図9は、図8に現れる変数と定数とを説明する説明図である。図9に示すように、「Space_det」は、図5に示す排反論埋出力信号のSpace_det(n)のことである。「Mark_det」は、図5に示す排反論理出力信号のMark_det(n)のことである。
「State」は、識別/再生論理器111の状態を示す変数であり、ここでは、次に示すような3種類の状態が存在する。
「State=0」:Start bitの受信待ち状態
「State=1」:Space bit(=0)受信中状態
「State=2」:Mark bit(=1)受信中状態
標本数カウンタ「smpl_cnt」は、Space bit(=0)またはMark bit(=1)受信中に標本化周期でインクリメントされるカウンタである。受信符号が変化する毎に「1」に初期化される。
ビット数カウンタ「bit_cnt」は、現時点までに識別/再生されたビット数を表すカウンタである。最大値は、Start bit、Data 8bit、Stop bitの合計10bitである。
T[smpl_cnt]は、図7における同一符号の連続回数(受信ビット数)に相当する。受信符号の反転時に、それまでの反転前の受信標本数であるsmpl_cntを引数にして受信bit数に変換する。
「space_bit」は、Space bit(=0)受信中の標本数を上記T[smpl_cnt]からSpacebit数に換算した値である。「mark_bit」は、Mark bit(=1)受信中の標本数を上記T[smpl_cnt]からMarkbit数に換算した値である。
「i」は、ループ処理におけるループカウンタである。bit[bit_cnt+i]は、Start bit、Data 8bit、Stop bitの合計10bitをbit単位にその値を格納する配列である。
図8において、識別/再生論理器111は、受信開始処理と同時に、State=0の状態となる。State=0では、Start bit(ここでは0とする)の受信待ち状態となる。
そして、受信データとして「0」を検出すると、つまり、識別/再生論理器111がSpace_det=1を受け取ると、次のように変数の値を更新し(ステップF101)、状態をState=1に遷移する。
smple_cnt=1;
bit_cnt=0;
State=1;
次に、状態state=1のときに、識別/再生論理器111がSpace_det=1を受け取ると、これは受信データ「0」を継続して受信している状態なので、標本数カウンタsmpl_cntの値をインクリメントする。なお、Space_det=1を連続して受け取る場合は、そのたびに標本数カウンタsmpl_cntの値をインクリメントする。C言語で表記すると、次のようになる。
Smpl_cnt++;
状態state=1のときに、識別/再生論理器111がMark_det=1を受け取ると、これは受信符号が反転したことを意味するので、この時点までに受信したSpace bit数を算出する必要がある(ステップF102)。
このとき、識別/再生論理器111は、図7に示す標本数−受信ビット数対応テーブルを参照して、Space bit受信中の標本数を表す「smpl_cnt」に対応する受信ビット数T[smpl_cnt]を求める。そして、この受信ビット数T[smpl_cnt]をSpace_bitに変換する。また、識別/再生論理器111は、受信したバイナリデータを記録するため、Space bit数分だけ配列bit[]に「0」を書き込む。次に、受信bit数を表すbit_cntにspace_bitを加算して更新する。さらに、Mark_det=1、つまり、「1」を受信したので、smpl_cntを1に初期化する。識別/再生論理器111は、上記のような変数の更新を行い、状態をstate=2に遷移させる。以上の処理をC言語で表記すると下記となる。
space_bit=T[smpl_cnt];
for(i=1;i<=space_bit;i++)
bit[bit_cnt+i]=0;
bit_cnt+=space_bit;
smpl_cnt=1;
state=2;
状態sate=2のときに、識別/再生論理器111がspace_det=1を受け取ると、これは受信符号が反転したことを意味するので、この時点までに受信したMark bit数を算出する必要がある(ステップF103)。
このとき、識別/再生論理器111は、図7に示す標本数−受信ビット数対応テーブルを参照して、Mark bit受信中の標本数を表すsmpl_cntに対応する受信ビット数を求める。そして、この受信ビット数(Mark bit数)をmark_bitとする。次に、識別/再生論理器111は、受信したバイナリデータを記録するため、Mark bit数分だけ配列bit[]に「1」を書き込む。次に、受信bit数を表すbit_cntにmark_bitを加算して更新する。さらに、space_det=1、つまり、「0」を受信したのでsmpl_cntを1に初期化する。そして、識別/再生論理器111は、上記のような変数の更新を行い、状態をstate=1に遷移させる。以上の処理をC言語で表記すると下記となる。
mark_bit=T[smpl_cnt];
for(i=1;i<=mark_bit;i++)
bit[bit_cnt+i]=1;
bit_cnt+=mark_bit;
smpl_cnt=1;
state=1;
状態sate=2のときに、識別/再生論理器111が、Mark_det=1を受け取ると、これは受信データ「1」を継続して受信している状態なので、smpl_cntをインクリメントする。
ただし、Stop bitを受信している可能性があるので、当該状態にあるときは常に受信ビット数を確認しなければならない。まず、識別/再生論理器111は、図7に示す標本数−受信ビット数対応テーブルを参照して、標本数smpl_cntからmark_bit数を算出し、これとそれまでに受信したビット数bit_cntを加算した値が10bitに到達したかどうかを確認する。
そして、10bitに到達していれば、これはStop bitを受信したことになるので、今回受信ビット数分だけ配列bit[]に1を書き込む。10bitに到達していないときは、標本数カウンタをインクリメントする。そして、受信ビット数が10になったときは、当該処理は終了する。以上の処理を下記にC言語で表記する。
smpl_cnt++;
mark_bit=T[smpl_cnt];
if(10<=(bit_cnt+mark_bit)){
for(i=1;i<=mark_bit;i++)
bit[bit_cnt+i]=1;
goto end_proc;

(A−2)実施形態の動作
次に、実施形態の復調器1における復調処理の動作を、図面を参照しながら説明する。
図10は、復調器1における復調処理の動作を示す動作説明図である。
図10(a)に示す信号は、周波数偏移変調される前の2値のバイナリデータである。ここでは、便宜上、8kHzの標本化周波数で標本化した形式で表現している。理由としては、前述したように、8kHzの標本化周波数が採用されている通信システムにおいては、伝送速度1200bpsのバイナリデータ1bit当たりの標本数は6個または7個、別の表現をすると,バイナリデータ3bit当たりの標本数は20個であり、このことを明示するためである。
図1の入力端子101に供給される周波数偏移変調信号である。
図10(b)に示す信号は、図10(a)に示すバイナリデータをITU−T勧告V.23に従って周波数偏移変調したときの波形である。黒のドットは標本値を示す。
なお、ここでの図は隣接する標本値を実線の直線で近似しているために歪んで見えるが、実際は、バイナリデータが「1」のときは1300Hzの正弦波であり、バイナリデータが「0」のときは2100Hzの正弦波である。
図10(c)に示す信号は、バイナリデータの「1」を表す1300Hz正弦波信号のF線形予測器102が出力する予測誤差信号である。1300Hzの正弦波信号が入力されているときは予測誤差信号は非常に小さくなるが、バイナリデータの「0」を表す2100Hzの正弦波信号が入力されるときには当該信号成分が予測誤差信号として現れる。
図10(d)に示す信号は、バイナリデータの「0」を表す2100Hz正弦波信号のF線形予測器106が出力する予測誤差信号である。上記の図10(c)と対照的な動作となっている。
図10(e)に示す信号は、比較器104の出力信号である。当該出力信号は論理信号であり、「0」のときは予測誤差が小さいとき、すなわち、バイナリデータの「1」を表す1300Hz正弦波信号を受信していることを示している。逆に当該出力信号が「1」のときは、1300Hz正弦波信号以外の信号を受信していることを表している。
図10(f)に示す信号は、比較器108の出力信号である。当該出力信号は論理信号であり、「0」のときは予測誤差が小さいとき、すなわち、バイナリデータの「0」を表す2100Hz正弦波信号を受信していることを示している。逆に当該出力信号が「1」のときは,2100Hz正弦波信号以外の信号を受信していることを表している。
図10(g)に示す信号は、保護論理器105の出力信号である。図10(e)の信号が「1」から「0」に遷移するときは、2回以上0が継続すると、図10(g)も「0」に遷移するが、逆に、図10(e)の信号が「0」から「1」に遷移するときは、図10(g)も同時に遷移していることが分かる。
図10(h)に示す信号は、保護論理器109の出力信号である。図10(f)の信号が「1」から「0」に遷移するときは、2回以上0が継続すると、図10(h)も「0」に遷移するが、逆に、図10(f)の信号が「0」から「1」に遷移するときは図10(h)も同時に遷移していることが分かる。また、図10(f)の信号「1→0→1」と遷移しても図10(h)は「1」を維持している。
図10(i)と図10(j)に示す信号は排反論理器110の出力信号であり、図10(i)は、図5の出力信号Mark_det(n)を表しており、図10(j)は、図5の出力信号Space_det(n)を表している。排反論理器110は、Mark_det(n)とSpace_det(n)の両方が同時に真とならないことを保証している。
(A−3)実施形態の効果
以上のように、この実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
この実施形態によれば、ITU−T勧告V.23に準拠して周波数偏移変調されたアナログ信号をAD変換器でディジタル信号に変換後、ディジタル信号処理により復調処理することができ、復調用途の専用アナログ回路を必要としない。
また、この実施形態によれば、復調処理に要求する標本化速度が電話交換網の標本化速度と同一の8kHzであり、これは、アナログ電話端末で音声処理にディジタル信号処理を採用している場合、音声処理用途のディジタル信号処理回路と復調処理用途のディジタル信号処理回路が共用できるという効果がある。
さらに、この実施形態によれば、正弦波信号の線形予測器には、2次FIR型フィルタを採用しているため、変調波信号の受信開始後、または、被変調バイナリデータの極性反転後の3つめの標本からは追従可能である。この高速な追従特性は、ITU‐T勧告V.23のようにバイナリデータの伝送速度(1200bps)と搬送周波数(1300Hzと2100Hz)が近接しているときに有利となるものである。
また、この実施形態による線形予測フィルタは、原理的に受信信号のレベルに依存せずに予測可能なので、マークとスペースを表す2つの線路周波数に対して、伝送路の周波数特性が異なっていても正しく復調可能である。つまり、両方の線路周波数に対する受信レベルの正規化処理を不要とする。この優位性は、NTT電話サービスのモデムダイヤルインやナンバディスプレイのように、通信開始前に1300Hzの線路周波数に対して受信レベルを正規化する契機があるものの、2100Hzの線路周波数に対して受信レベルを正規化する契機がない通信方式において顕著となる。
(B)他の実施形態
上述した実施形態では、正弦波信号に対する線形予測器を2つ具備して、ITU‐T勧告V.23で規定されている周波数偏移変調信号を復調する方法を提案したが、例えば、3つ以上の正弦波信号を使用して多値データを周波数偏移変調した信号に対しても、使用される正弦波に対応する線形予測器を必要な数だけ用意することで、多値データを復調することも可能である。
具体的には、図1における“線形予測器”、“絶対値”、“比較器”、“保護論理”を必要な数だけ並列に具備することで、多値データの復調器に容易に拡張可能である。
本発明は、NTTアナログ電話サービスのモデムダイヤルイン、ナンバディスプレイ、キャッチディスプレイサービスを受ける私設網内交換機(PBX)やアナログ電話端末に適用可能である。
1…復調器、101…入力端子、102…F線形予測器、106…F線形予測器、
103及び107…絶対値化器、104及び108…比較器、112…出力端子、
105及び109…保護論理器、110…排反論理器、111…識別/再生論理器、
201…入力端子、202及び203…レジスタ、204…乗算器、
205及び206…加算器、207…出力端子、
301…入力端子、302…閾値、303…比較器、304…出力端子、
501及び502…入力端子、503及び504…NOTゲート、
505及び506…ANDゲート、507及び508…出力端子。

Claims (3)

  1. 入力された周波数偏移変調信号を復調する復調器において、
    正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第1予測信号との予測誤差を求める第1線形予測手段と、
    上記第1線形予測手段による上記予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第1比較手段と、
    上記第1比較手段からの上記論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、上記第1比較手段による比較結果の誤判定を回避する第1保護論理手段と、
    正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第N(Nは2以上の整数)予測信号との予測誤差を求める第N線形予測手段と、
    上記第N線形予測手段による上記予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第N比較手段と、
    上記第N比較手段からの上記論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、上記第N比較手段による比較結果の誤判定を回避する第N保護論理手段と、
    上記第1保護論理手段からの出力信号と、上記第N保護論理手段からの出力信号とが同時に真とならないように排反論理を行う排反論理手段と、
    上記排反論理手段から出力信号を受け取り、データ伝送の最小単位のデータを識別して元のデータを再生する識別再生手段と
    を備えることを特徴とする復調器。
  2. 上記識別再生手段が、
    同一符号を受信しているときに、その区間中に受信した信号の標本数を計数するカウンタ部と、
    上記カウンタ部のカウント値と受信した符号のビット数とを対応付けた対応テーブルと
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の復調器。
  3. 入力された周波数偏移変調信号を復調する復調方法において、
    第1線形予測手段が、正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第1予測信号との予測誤差を求める第1線形予測工程と、
    第1比較手段が、上記第1線形予測手段による上記予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第1比較工程と、
    第1保護論理手段が、上記第1比較手段からの上記論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、上記第1比較手段による比較結果の誤判定を回避する第1保護論理工程と、
    第N線形予測手段が、正弦波信号のn倍角の公式に基づく線形予測処理により、入力信号と第N(Nは2以上の整数)予測信号との予測誤差を求める第N線形予測工程と、
    第N比較手段が、上記第N線形予測手段による上記予測誤差の大きさを閾値と比較して、その比較結果に応じた論理信号を出力する第N比較工程と、
    第N保護論理手段が、上記第N比較手段からの上記論理信号に基づき、予測対象以外の信号を受信したときに、上記第N比較手段による比較結果の誤判定を回避する第N保護論理工程と、
    排反論理手段が、上記第1保護論理手段からの出力信号と、上記第N保護論理手段からの出力信号とが同時に真とならないように排反論理を行う排反論理工程と、
    識別再生手段が、上記排反論理手段から出力信号を受け取り、データ伝送の最小単位のデータを識別して元のデータを再生する識別再生工程と
    を有することを特徴とする復調方法。
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