JP2011175913A - 積層式電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】多段に積み重ねられた積層体間で抵抗値にバラツキが生じるのを効果的に抑制することが可能な積層式電池を提供すること。
【解決手段】複数枚の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された積層式電池において、正負各極板から延出した正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bを正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにそれぞれ複数枚積層した状態で接合して積層体10A、10Bを構成し、2体の上記積層体10A、10Bを積み重ね、各積層体10A、10Bの正負極集電端子55A、55B、56A、56Bを同一の外部接続端子である電極タブ(正負極タブ)53、54に並列に接続して、電極タブ53、54と各積層体10A、10Bとの間に上下2つに分岐した集電経路を形成し、上下2つの集電経路を正負極バスバー57、58により互いに接続する。
【選択図】 図5
【解決手段】複数枚の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された積層式電池において、正負各極板から延出した正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bを正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにそれぞれ複数枚積層した状態で接合して積層体10A、10Bを構成し、2体の上記積層体10A、10Bを積み重ね、各積層体10A、10Bの正負極集電端子55A、55B、56A、56Bを同一の外部接続端子である電極タブ(正負極タブ)53、54に並列に接続して、電極タブ53、54と各積層体10A、10Bとの間に上下2つに分岐した集電経路を形成し、上下2つの集電経路を正負極バスバー57、58により互いに接続する。
【選択図】 図5
Description
本発明は、ロボット、電気自動車、バックアップ電源などに使用される大容量でハイレート特性を有する積層式電池に関し、特に、積層枚数が多く、多数の極板リードタブと集電端子との接続を必要とし、かつ各極板との接続抵抗を均一化した大容量のリチウムイオン電池に関する。
例えばロボットや電気自動車の電源、バックアップ電源等は、大容量でハイレート特性を有すること等が要望される。このような要望を満足するものとして、近年、高エネルギー密度を有するリチウムイオン電池が注目されている。
このようなリチウムイオン電池の電池形態としては、大別して、正負極板をセパレータを介して捲回した電極体を外装体に封入した捲回式電池と称されるものと、方形状の正極板および負極板をセパレータを介して交互に積層してなる積層電極体を外装体に収容した、積層式電池と称されるものとがある。
上記2種の電池形態のうち、後者の積層式電池における積層電極体の具体的な構成は、正極板リードタブを延出させたシート状の正極板と、負極板リードタブを延出させたシート状の負極板とを、負極板と実質的に同形状の方形状のセパレータを介して必要な数だけ積層し、各極板から延出した極板リードタブを正負極の集電端子にそれぞれ接合した構造となっている。
上記特許文献1および特許文献2では、各極板から延出した極板リードタブが複数枚積層し重ねるようにして正負極の集電端子にそれぞれ超音波溶接により接合される構造となっているが、大容量でハイレートでの充放電を必要とする積層式電池の場合、大容量化のために積層枚数が増加する傾向にあり、また、集電端子は大電流を流すためには厚くなる。したがって、厚い金属板よりなる集電端子に金属箔よりなる極板リードタブを多数超音波溶接することが必要となるが、この場合、厚みの相違により、金属箔同士の溶接部よりも金属箔と金属板との溶接部の溶着性が劣悪となりやすく、溶着性が劣悪となると、各極板と集電端子との接続抵抗値が不均一となり、特にハイレートでの使用時に各極板に流れ込む電流値にバラツキを生じて、電池内で充放電状態の偏在を生じてしまい、部分的に過放電や過充電となることで、サイクル特性が低下することとなる。また、超音波溶接による溶着条件の限界を超えて過大な積層数の極板を溶接しようとすると、接合そのものが不可能となる。また、特許文献2においては多段の積層が可能となるが、集電端子から離れるほど極板は抵抗が大きくなって電流値にバラツキを生じることとなる。また、溶接部の面積が増大して電池全体の寸法が大きくなるという問題もある。
ここで、前述の捲回式電池の場合には、電極体が各1枚ずつの正極板および負極板より構成されているので、電池容量を増大させるには、各極板の長さを増大させて捲回の周回数を増加させればよく、各極板の枚数は増加させる必要はないため、上記のような電流値のバラツキは生じ難く、また、たとえ各極板に流れ込む電流値にバラツキが生じたとしても、各極板がそれぞれ1枚ものであるため、最終的にはあまり影響はない。これに対し、積層式電池の場合には、別個の極板が積層された構造となっているため、積層枚数が多くなるほど、接続部で抵抗値がばらついて各極板に入っていく電流値にバラツキが生じやすく、この結果、先に放電し終える極板とそれ以外の極板との違いが出ることになってサイクル特性が低下することとなる。
積層式電池において、上述のように溶接部の溶着性が劣悪となると、積層枚数に制約が生じることとなるため、この制約を超える積層数の極板を溶接しようとすると、制約以内の積層数で積層された積層体を一単位としてこれを更に多段に積み重ねていくようにすることが必要となる。この場合、単に各段の積層体から延出する極板リードタブを接続しただけでは、各段の積層体間で抵抗値にバラツキを生じることとなる。その結果、ハイレートでの充放電を行った際に、各段の積層体に流れ込む電流値が不均一となって、電池内で充放電状態の偏在が生じることとなり、部分的に過放電や過充電となることで、サイクル特性が低下することとなる。
本発明は、多段に積み重ねられた積層体間で抵抗値にバラツキが生じるのを効果的に抑制することが可能な積層式電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成する為に、本発明に係る積層式電池は、
複数枚の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された積層式電池であって、
各極板から延出した極板リードタブが正負極の集電端子にそれぞれ複数枚積層した状態で接合されて積層体が構成され、
複数の前記積層体が積み重ねられ、各積層体の集電端子が同一の外部接続端子に並列に接続されて、当該外部接続端子と各積層体との間に複数に分岐した集電経路が形成され、
前記複数の集電経路がバスバーにより互いに接続されていることを特徴とする。
複数枚の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された積層式電池であって、
各極板から延出した極板リードタブが正負極の集電端子にそれぞれ複数枚積層した状態で接合されて積層体が構成され、
複数の前記積層体が積み重ねられ、各積層体の集電端子が同一の外部接続端子に並列に接続されて、当該外部接続端子と各積層体との間に複数に分岐した集電経路が形成され、
前記複数の集電経路がバスバーにより互いに接続されていることを特徴とする。
本発明において、「外部接続端子」とは、各積層体の集電端子が並列に接続されて外部に導通する端子を意味するが、例えば、複数の集電端子のうちの1つと一体となったようなものであってもよい。この場合、換言すれば、外部接続端子が1つの集電端子の機能も兼ねるとも、あるいは1つの集電端子が外部接続端子の機能も兼ねるともいうことができる。
また、「集電経路」とは、外部接続端子と各積層体との間のいずれかの位置において各積層体の集電端子が互いに接合され一体化される接合部から各積層体まで延びる、複数に分岐した導通路を意味する。
また、「バスバー」とは、複数の集電経路を互いに接続してバイパスする導体を意味し、複数の集電経路同士を電気的に接続し得るものであれば任意のものを含意する。具体的には、例えば金属板、金属線等が含まれる。
積層枚数の制約を越えて極板を積層しようとすると、前述の通り、複数の積層体を積み重ねざるを得ず、この場合、必然的に各積層体を外部接続端子に並列に接続する複数の集電経路が形成されることになるが、極板の総積層枚数は一度に接合し得る範囲を超えているため、まず積層体ごとに極板リードタブを集電端子に一体に接続し、それから複数の集電端子を外部接続端子に一体に接続するという接続構造にならざるを得ない。したがって、各集電経路においては、積層体と外部接続端子との間に2点ないしそれ以上の接合部(溶接部)が必ず形成されることとなる。このとき、複数の集電経路の接続抵抗を等しくすることは困難であるから、必然的に各集電経路間で抵抗値にバラツキを生じて各積層体に流れ込む電流値が不均一となる。ここで、上記本発明の構成によれば、複数の集電経路がバスバーにより互いに接続されているので、このバスバーによって複数の集電経路をバイパスするバイパス回路が形成され、これにより、複数の集電経路における抵抗値のバラツキが吸収されて各積層体に流れ込む電流値が均一化されることとなる。
前記集電端子がレーザ溶接により外部接続端子に接続されていることが望ましい。
集電端子と外部接続端子との接続をレーザ溶接により行うようにすると、安定した溶着が可能となる。また、超音波溶接の場合にはワニ口状のホーンとアンビルとで溶接部を挟み込む必要があるが、集電端子や外部接続端子は、薄い箔とは異なってある程度の厚みを有する金属板となっており、これを挟み込むスペースを確保することは困難であるため、必然的にレーザによる外周溶接を用いることが好適である。
前記極板リードタブが超音波溶接により接合されていることが望ましい。
極板リードタブは基本的に薄い金属箔となっているので、最も安定して溶着することができる超音波溶接を用いることが好適である。
前記複数の集電経路が、前記集電端子においてバスバーにより互いに接続されていることが望ましい。
複数の集電経路同士は、電気的に接続し得る位置であればいずれの位置においてバスバーにより接続するようにしてもよいが、集電経路のうち、集電端子は金属板で構成することができる部位であるから、バスバーを接続しやすい。
前記複数の集電経路が、前記極板リードタブと集電端子との接合位置または該接合位置よりも極板に近い位置においてバスバーにより互いに接続されていることが望ましい。
上記構成によれば、複数の集電経路をより確実にバイパスすることができる。
前記積層式電池がリチウムイオン電池であることが望ましい。
高エネルギー密度を有するリチウムイオン電池を積層式電池として構成する場合、さらなる大容量化のために積層枚数が増加する傾向にあり、積層枚数が多くなるほど、積層体を多段に積み重ねていくことが必要となって複数の集電経路で抵抗値にバラツキを生じることが問題となるため、上述のような本発明による効果が一層発揮されることとなる。
前記極板リードタブと正負極の集電端子とが、端部同士で接合されていることが望ましい。
前記極板リードタブと正負極の集電端子との接合は、できるだけそれぞれの先端に近い位置同士で行うようにすると、複数の集電経路において、バスバーの接合に適する位置が1点(即ち極板リードタブと正負極の集電端子との接合点)に揃うようになってバスバーが接合しやすい。これに対し、極板リードタブと集電端子とがそれぞれの端部よりも内側に大きく入り込むように、即ち互いにより大面積で重なり合うようにして接合されるようになっていると、これにともなってバスバーを接合すべき位置も幅広となり、細幅のバスバーでは接合しきれない部分も形成されやすくなる。
前記バスバーが、前記積層体の積層方向に沿って(並行に)直線状に延びるように配置されていることが望ましい。
例えば湾曲したり屈曲したりしているバスバーを用いた場合、これを接続部に配置すると、幅方向に膨出したりして接続部の体積を増大させることともなるのに対し、上記のようにバスバーを積層体の積層方向に沿って(並行に)直線状に延びるように配置するようにすることにより、接続部の体積を最小限に抑えておくことができる。
前記積層体(1体あたり)における極板の積層枚数が50枚以下(負極板の場合は51枚以下)であることが望ましい。
極板リードタブを集電端子に接合する際に、極板リードタブの枚数が60枚程度までであれば、超音波溶接により安定した溶接条件で溶接することが可能であるが、50枚以下(負極リードタブの場合は51枚以下)であれば、さらに安定領域となり、より安全に溶接することができる。
前記各積層体の集電端子において前記極板リードが接合される部位に、部分的に貫通部を設けることにより、集電端子不在領域と集電端子残存領域とが、前記極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向に並ぶように形成され、
前記集電端子不在領域において前記複数の極板リードタブのみが第1の接合点で接合されるとともに、前記集電端子残存領域において前記極板リードタブが前記集電端子に第2の接合点で接合されていることが望ましい。
前記集電端子不在領域において前記複数の極板リードタブのみが第1の接合点で接合されるとともに、前記集電端子残存領域において前記極板リードタブが前記集電端子に第2の接合点で接合されていることが望ましい。
本発明において、「極板リードタブの接続方向」とは、極板リードタブが極板から延出して集電端子に接続されるまで、該極板リードタブが延びる方向のことである。
また、「貫通部」には、集電端子の端部を、凹入したり角落ちしたりする形状となるように切欠いたものや、集電端子に孔(開口)を穿設したもの等がいずれも含まれる。なお言うまでもなく、例えば集電端子を幅方向(極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向)に全体的に横断するように切欠いたものは、集電端子を長さ方向に2つに分離あるいは短縮したものに等しく、貫通部としては成立し得ない。換言すれば、貫通部は集電端子の幅方向において必ず部分的に形成される。
また、「集電端子不在領域」とは、集電端子において、上記貫通部を設けることによって集電端子が欠落して存在しなくなっている領域のことであり、「集電端子残存領域」とは、集電端子不在領域に対し、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向に隣接するようにして集電端子が存在する(欠落せずに残存している)領域のことである。なお、前述の通り貫通部は集電端子の幅方向において部分的に形成されるから、必然的に集電端子不在領域と集電端子残存領域とは集電端子の幅方向(即ち極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向)に並ぶように形成される。
また、「貫通部」には、集電端子の端部を、凹入したり角落ちしたりする形状となるように切欠いたものや、集電端子に孔(開口)を穿設したもの等がいずれも含まれる。なお言うまでもなく、例えば集電端子を幅方向(極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向)に全体的に横断するように切欠いたものは、集電端子を長さ方向に2つに分離あるいは短縮したものに等しく、貫通部としては成立し得ない。換言すれば、貫通部は集電端子の幅方向において必ず部分的に形成される。
また、「集電端子不在領域」とは、集電端子において、上記貫通部を設けることによって集電端子が欠落して存在しなくなっている領域のことであり、「集電端子残存領域」とは、集電端子不在領域に対し、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向に隣接するようにして集電端子が存在する(欠落せずに残存している)領域のことである。なお、前述の通り貫通部は集電端子の幅方向において部分的に形成されるから、必然的に集電端子不在領域と集電端子残存領域とは集電端子の幅方向(即ち極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向)に並ぶように形成される。
上記構成によれば、複数の極板リードタブのみが第1の接合点で接合されることで閉回路が形成され、これにより各積層体における複数の極板の接続抵抗が均一化される。したがって、ハイレートでの充放電時にも、各積層体において各極板に流れ込む電流値にバラツキが生じることもなく、良好なサイクル特性を得ることができる。
またこのとき、第1の接合点と第2の接合点とが、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向に沿って並ぶ集電端子不在領域および集電端子残存領域にそれぞれ配置されているので、これら第1および第2の接合点により構成される接合部の面積が、極板リードタブの接続方向に沿って増大することがなく、したがって電池寸法も増大せず体積エネルギー密度が良好なレベルに維持される。
前記第1の接合点および第2の接合点の少なくとも一方における接合が超音波溶接によりなされていることが望ましい。
上記接合は、例えば、接合対象部材を変形させるグサリ、カシメ等やネジ止め等のように、接合対象部材を機械的に接合する方法によって行うようにしても、上述の効果は発揮され、また簡易な設備で接合作業を行うことができてそのぶん電池の製造を容易かつ安価に行うことができるという利点もあるが、溶接によるほうが抵抗をより均一化できるため望ましい。
また、溶接方法としては、例えば抵抗溶接法やレーザ溶接法等も可能であるが、溶接強度等の点で超音波溶接が特に望ましい。
また、溶接方法としては、例えば抵抗溶接法やレーザ溶接法等も可能であるが、溶接強度等の点で超音波溶接が特に望ましい。
また、第1の接合点における接合が超音波溶接によりなされる場合には、薄い極板リードタブ同士を溶着するので(厚い集電端子が存在しない状態で溶着するので)、小さな出力で溶着することができる。この結果、溶着時の衝撃により極板リードタブが変形するのを抑制することができるので、極板リードタブ同士の密着性が向上して、接続抵抗値をより均一化することができる。
前記第1の接合点および第2の接合点の少なくとも一方における接合が複数点でなされていることが望ましい。
上記構成によれば、第1の接合点ないし第2の接合点における接合をより確実に行うことができて接続抵抗値をより均一化することができる。
前記正極板および負極板の積層枚数がそれぞれ30枚以上であることが望ましい。
正極板および負極板の積層枚数がそれぞれ30枚以上の場合には、集電瑞子と極板リードタブとの接合部の接合性が特に劣ることになり易いため、上述したような、複数の極板リードタブのみが第1の接合点で接合されることにより接続抵抗が均一化されるという効果が一層発揮されることになる。
本発明の積層式電池によれば、多段に積み重ねられた積層体間で抵抗値にバラツキが生じるのが効果的に抑制され、これにより、ハイレートでの充放電を行った際に、各集電経路から各積層体に流れ込む電流値が均一化されることとなってサイクル特性が向上する。
以下、本発明を図面を参照しながら更に詳細に説明するが、本発明は以下の最良の形態になんら限定されるものではなく、その趣旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能なものである。
〔正極の作製〕
正極活物質としてのLiCoO2を90質量%と、導電剤としてのカーボンブラックを5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを5質量%と、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合して正極用スラリーを調製した後、この正極用スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚み:15μm)の両面に塗布した。その後、溶剤を乾燥し、ローラーで厚み0.1mmにまで圧縮した後、図1(a)に示すように、幅L1=95mmおよび高さL2=115mmを有する矩形状となるように切断して、両面に正極活物質層1aを有する正極板1を作製した。この際、正極板1における一方短辺(図1(a)における上辺)の一方端部(図1(a)における左端部)から、幅L3=30mmおよび高さL4=20mmを有する矩形状の活物質未塗布部を延出させて正極リードタブ51Aとした。
正極活物質としてのLiCoO2を90質量%と、導電剤としてのカーボンブラックを5質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデンを5質量%と、溶剤としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)溶液とを混合して正極用スラリーを調製した後、この正極用スラリーを、正極集電体としてのアルミニウム箔(厚み:15μm)の両面に塗布した。その後、溶剤を乾燥し、ローラーで厚み0.1mmにまで圧縮した後、図1(a)に示すように、幅L1=95mmおよび高さL2=115mmを有する矩形状となるように切断して、両面に正極活物質層1aを有する正極板1を作製した。この際、正極板1における一方短辺(図1(a)における上辺)の一方端部(図1(a)における左端部)から、幅L3=30mmおよび高さL4=20mmを有する矩形状の活物質未塗布部を延出させて正極リードタブ51Aとした。
〔負極の作製〕
負極活物質としての黒鉛粉末を95質量%と、結着剤としてのポリフッ化ピニリデンを5質量%と、溶剤としてのNMP溶液とを混合して負極用スラリーを調製した後、この負極用スラリーを負極集電体としての銅箔(厚み:10μm)の両面に塗布した。その後、溶剤を乾燥し、ローラーで厚み0.08mmにまで圧縮した後、図2に示すように、幅L7=100mmおよび高さL8=120mmを有する矩形状となるように切断して、両面に負極活物質層2aを有する負極板2を作製した。この際、負極板2における一方短辺(図2における上辺)の一方端部(図2における右端部)から、幅L9=30mmおよび高さL10=20mmを有する矩形状の活物質未塗布部を延出させて負極リードタブ52Aとした。
負極活物質としての黒鉛粉末を95質量%と、結着剤としてのポリフッ化ピニリデンを5質量%と、溶剤としてのNMP溶液とを混合して負極用スラリーを調製した後、この負極用スラリーを負極集電体としての銅箔(厚み:10μm)の両面に塗布した。その後、溶剤を乾燥し、ローラーで厚み0.08mmにまで圧縮した後、図2に示すように、幅L7=100mmおよび高さL8=120mmを有する矩形状となるように切断して、両面に負極活物質層2aを有する負極板2を作製した。この際、負極板2における一方短辺(図2における上辺)の一方端部(図2における右端部)から、幅L9=30mmおよび高さL10=20mmを有する矩形状の活物質未塗布部を延出させて負極リードタブ52Aとした。
〔正極板が内部に配置された袋状セパレータの作製〕
図1(b)に示すように、幅L5=100mmおよび高さL6=120mmを有する2枚の方形状のポリプロピレン(PP)製のセパレータ3a(厚み30μm)の間に正極板1を配置した後、図1(c)に示すように、セパレータ3aの周辺部を融着部4で熱溶着して、正極板1が内部に収納・配置された袋状セパレータ3を作製した。
図1(b)に示すように、幅L5=100mmおよび高さL6=120mmを有する2枚の方形状のポリプロピレン(PP)製のセパレータ3a(厚み30μm)の間に正極板1を配置した後、図1(c)に示すように、セパレータ3aの周辺部を融着部4で熱溶着して、正極板1が内部に収納・配置された袋状セパレータ3を作製した。
〔積層体の作製〕
上記正極板1が内部に配置された袋状セパレータ3を50枚、負極板2を51枚調製し、図3に示すように、該袋状セパレータ3と負極板2とを交互に積層した。その際、両端面部に負極板2が位置するようにした。ついで、図4に示すように、この積層体の両端面を形状保持のための絶縁テープ26で接続して、積層体10Aを得た。
上記正極板1が内部に配置された袋状セパレータ3を50枚、負極板2を51枚調製し、図3に示すように、該袋状セパレータ3と負極板2とを交互に積層した。その際、両端面部に負極板2が位置するようにした。ついで、図4に示すように、この積層体の両端面を形状保持のための絶縁テープ26で接続して、積層体10Aを得た。
〔集電端子の溶接〕
図5および図6に示すように、積層された正極リードタブ51Aおよび負極リードタブ52Aのそれぞれの延出端部に、幅30mm、厚み0.5mmのアルミニウム板よりなる正極集電端子55Aならびに幅30mm、厚み0.5mmの銅板よりなる負極集電端子56Aを、それぞれ超音波溶接法により接合した。
図5および図6に示すように、積層された正極リードタブ51Aおよび負極リードタブ52Aのそれぞれの延出端部に、幅30mm、厚み0.5mmのアルミニウム板よりなる正極集電端子55Aならびに幅30mm、厚み0.5mmの銅板よりなる負極集電端子56Aを、それぞれ超音波溶接法により接合した。
〔積層体の積み重ね〕
図5および図6に示すように、上記積層体10Aと同一構成のもう1個の積層体10Bを作製し、これら両積層体10A、10Bを、極性を合わせ互いの位置決めを行いながら上下に積み重ね、形状保持のための絶縁テープ(図示省略)で接続して、積層電極体100を得た。
なお、以下の記述においては、これら両積層体10A、10Bを特に区別するため、一方(図5および図6における上側)の積層体10A、正負極リードタブ51A、52Aおよび正負極集電端子55A、56Aを、それぞれ「第1積層体10A」、「第1正負極リードタブ51A、52A」および「第1正負極集電端子55A、56A」のように称し、他方(図5および図6における下側)の積層体10B、正負極リードタブ51B、52Bおよび正負極集電端子55B、56Bを、それぞれ「第2積層体10B」、「第2正負極リードタブ51B、52B」および「第2正負極集電端子55B、56B」のように称する場合もある。
図5および図6に示すように、上記積層体10Aと同一構成のもう1個の積層体10Bを作製し、これら両積層体10A、10Bを、極性を合わせ互いの位置決めを行いながら上下に積み重ね、形状保持のための絶縁テープ(図示省略)で接続して、積層電極体100を得た。
なお、以下の記述においては、これら両積層体10A、10Bを特に区別するため、一方(図5および図6における上側)の積層体10A、正負極リードタブ51A、52Aおよび正負極集電端子55A、56Aを、それぞれ「第1積層体10A」、「第1正負極リードタブ51A、52A」および「第1正負極集電端子55A、56A」のように称し、他方(図5および図6における下側)の積層体10B、正負極リードタブ51B、52Bおよび正負極集電端子55B、56Bを、それぞれ「第2積層体10B」、「第2正負極リードタブ51B、52B」および「第2正負極集電端子55B、56B」のように称する場合もある。
〔電極タブの溶接〕
図5および図6に示すように、各積層体10A、10Bの正極集電端子55A、55B同士、ならびに負極集電端子56A、56B同士を、それぞれ先端部を対向方向へ直角に折曲して重ね合わせ、レーザ溶接により接合した。ついで、正極集電端子55A、55Bおよび負極集電端子56A、56Bの先端面(接合部)に、それぞれ幅30mm、厚み0.5mmの電極タブ53、54(正極タブ53:アルミニウム板、負極タブ54:銅板)の基端部を一方面側へ直角に折曲して重ね合わせ、レーザ溶接により接合した。このレーザ溶接において、溶接部はいずれも接合部外周部の全面とした。
図5および図6に示すように、各積層体10A、10Bの正極集電端子55A、55B同士、ならびに負極集電端子56A、56B同士を、それぞれ先端部を対向方向へ直角に折曲して重ね合わせ、レーザ溶接により接合した。ついで、正極集電端子55A、55Bおよび負極集電端子56A、56Bの先端面(接合部)に、それぞれ幅30mm、厚み0.5mmの電極タブ53、54(正極タブ53:アルミニウム板、負極タブ54:銅板)の基端部を一方面側へ直角に折曲して重ね合わせ、レーザ溶接により接合した。このレーザ溶接において、溶接部はいずれも接合部外周部の全面とした。
なお、図5およびその他の図面に示す参照符号S1は、後述する外装体60を熱封止する際の密閉性を確保するために電極タブ53、54にそれぞれ幅方向に沿って帯状に固着するように成形された樹脂封止材(糊材)を指示する。
〔バスバーの接続〕
図5および図6に示すように、正極集電端子55A、55Bおよび負極集電端子56A、56Bに、それぞれ正極バスバー57、負極バスバー58を接続した。これら正負極バスバー57、58はいずれも、長さ6.4mm、幅1.8mm、厚さ0.3mmの短冊状(長方形状)の金属板(正極バスバー57:アルミニウム板、負極バスバー58:銅板)で、正極集電端子55A、55Bおよび負極集電端子56A、56Bのそれぞれの両側縁における正極リードタブ51A、51Bおよび負極リードタブ52A、52B側端部に、レーザ溶接により接合した。このとき、正負極バスバー57、58の一方側長縁を正負極集電端子55A、55B、56A、56Bの一方側長縁(正負極板1、2側長縁)に揃え、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにおける正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bとの接合部を両側から覆うようにして、一方(図では上側)の正負極集電端子55A、56Aと他方(図では下側)の正負極集電端子55B、56Bとを架橋するように、即ち積層体10A、10Bの積層方向に沿って(並行に)配置した。
図5および図6に示すように、正極集電端子55A、55Bおよび負極集電端子56A、56Bに、それぞれ正極バスバー57、負極バスバー58を接続した。これら正負極バスバー57、58はいずれも、長さ6.4mm、幅1.8mm、厚さ0.3mmの短冊状(長方形状)の金属板(正極バスバー57:アルミニウム板、負極バスバー58:銅板)で、正極集電端子55A、55Bおよび負極集電端子56A、56Bのそれぞれの両側縁における正極リードタブ51A、51Bおよび負極リードタブ52A、52B側端部に、レーザ溶接により接合した。このとき、正負極バスバー57、58の一方側長縁を正負極集電端子55A、55B、56A、56Bの一方側長縁(正負極板1、2側長縁)に揃え、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにおける正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bとの接合部を両側から覆うようにして、一方(図では上側)の正負極集電端子55A、56Aと他方(図では下側)の正負極集電端子55B、56Bとを架橋するように、即ち積層体10A、10Bの積層方向に沿って(並行に)配置した。
〔外装体への封入〕
図7に示すように、あらかじめ電極体が設置できるように成形したラミネートフィルム59で構成した外装体60に、上記積層電極体100を挿入し、電極タブ53、54のみが外装体60より外部に突出するよう電極タブ53、54がある辺を熱融着するとともに、残りの3辺の内、2辺を熱融着した。
図7に示すように、あらかじめ電極体が設置できるように成形したラミネートフィルム59で構成した外装体60に、上記積層電極体100を挿入し、電極タブ53、54のみが外装体60より外部に突出するよう電極タブ53、54がある辺を熱融着するとともに、残りの3辺の内、2辺を熱融着した。
〔電解液の封入、密封化〕
上記外装体60の熱溶着していない1辺から、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とが体積比で30:70の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6が1M(モル/リットル)の割合で溶解された電解液を注入し、最後に熱溶着していない1辺を熱溶着することにより積層式電池を作製した。
上記外装体60の熱溶着していない1辺から、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)とが体積比で30:70の割合で混合された混合溶媒に、LiPF6が1M(モル/リットル)の割合で溶解された電解液を注入し、最後に熱溶着していない1辺を熱溶着することにより積層式電池を作製した。
(実施例1)
実施例の積層式電池としては、上記発明を実施する為の形態で説明した積層式電池と同様に作製したものを用いた。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A1と称す。
実施例の積層式電池としては、上記発明を実施する為の形態で説明した積層式電池と同様に作製したものを用いた。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A1と称す。
なお、以下の記述および図面において、上記発明を実施する為の形態ならびに図5および図6における部材ないし部位と同様の部材ないし部位には同一の符号を付し、不要な場合にはその説明を基本的に省略する。
(比較例1)
図8に示すように、正負極バスバーを接続しないようにした点以外は前記本発明電池A1の場合と全て同様にして、2体の積層体20A、20Bを作製し積み重ねて得た積層電極体200を備える積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、比較電池Z1と称す。
図8に示すように、正負極バスバーを接続しないようにした点以外は前記本発明電池A1の場合と全て同様にして、2体の積層体20A、20Bを作製し積み重ねて得た積層電極体200を備える積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、比較電池Z1と称す。
〔本発明電池A1の効果〕
1)上記本発明電池A1は、50枚の正極板1と51枚の負極板2とが袋状セパレータ3を介して交互に積層された積層式電池であって、正負各極板1、2から延出した正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにそれぞれ50枚、51枚ずつ積層した状態で接合されて積層体10A、10Bが構成され、2体の上記積層体10A、10Bが積み重ねられ、各積層体10A、10Bの正負極集電端子55A、55B、56A、56Bが同一の外部接続端子である電極タブ(正負極タブ)53、54に並列に接続されて、当該電極タブ53、54と各積層体10A、10Bとの間に上下2つに分岐した集電経路が形成され、上記上下2つの集電経路が正負極バスバー57、58により互いに接続された構成となっている。
1)上記本発明電池A1は、50枚の正極板1と51枚の負極板2とが袋状セパレータ3を介して交互に積層された積層式電池であって、正負各極板1、2から延出した正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにそれぞれ50枚、51枚ずつ積層した状態で接合されて積層体10A、10Bが構成され、2体の上記積層体10A、10Bが積み重ねられ、各積層体10A、10Bの正負極集電端子55A、55B、56A、56Bが同一の外部接続端子である電極タブ(正負極タブ)53、54に並列に接続されて、当該電極タブ53、54と各積層体10A、10Bとの間に上下2つに分岐した集電経路が形成され、上記上下2つの集電経路が正負極バスバー57、58により互いに接続された構成となっている。
上記本発明電池A1においては、積層枚数の制約である50枚(負極では51枚)を越えて正負極板1、2を積層するために、2体の積層体10A、10Bが上下に積み重ねられ、このため、各積層体10A、10Bを外部接続端子である電極タブ53、54に並列に接続する上下2つの集電経路、即ち正負極集電端子55A、55B、56A、56Bと電極タブ53、54との接合部(溶接部)から各積層体10A、10Bまで延びる、上下2つに分岐した導通路が形成されているが、正負極板1、2の総積層枚数は一度に接合し得る範囲である50枚(負極では51枚)を超えて100枚(負極板2は102枚)となっているため、まず積層体10A、10Bごとに正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bを正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにそれぞれ一体に接続し、それから上下2枚の正負極集電端子55A、55B、56A、56Bを電極タブ53、54にそれぞれ一体に接続するという接続構造になっている。したがって、各集電経路においては、積層体10A、10Bと電極タブ53、54との間に2点の接合部(溶接部)、即ち、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bと正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bとの接合部(溶接部)と、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bと電極タブ53、54との接合部(溶接部)と、の2点の接合部(溶接部)が形成されている。このとき、この接続構造のままでは、上下2つの集電経路の間には必ず接続抵抗の差が存在するから、必然的に各積層体10A、10Bに流れ込む電流値が不均一となるが、上記本発明電池A1の構成によれば、上下2つの集電経路が正負極バスバー57、58により互いに接続されているので、この正負極バスバー57、58によって上下2つの集電経路をバイパスするバイパス回路が形成され、これにより、上下2つの集電経路における抵抗値のバラツキが吸収されて各積層体10A、10Bに流れ込む電流値が均一化されるようになっている。
図9は、本発明電池A1の実態配線図である。同図において、R1〜R6はそれぞれ、以下に示すように、本発明電池A1における各部に対応する抵抗成分を表す。
R1:第1正極集電端子55A
R2:第2正極集電端子55B
R3:正極タブ53
R4:第2負極集電端子56B
R5:第1負極集電端子56A
R6:負極タブ54
R1:第1正極集電端子55A
R2:第2正極集電端子55B
R3:正極タブ53
R4:第2負極集電端子56B
R5:第1負極集電端子56A
R6:負極タブ54
図9に示すように、本発明電池A1においては、抵抗成分R3(正極タブ53)と、第1積層体10Aおよび第2積層体10Bのそれぞれとの間に、上下2つに分岐する導通路(以下、「第1正極集電経路」「第2正極集電経路」とも称す)が形成され、これら第1正極集電経路と第2正極集電経路とが、正極バスバー57によりバイパスされ、一方、抵抗成分R6(負極タブ54)と、第1積層体10Aおよび第2積層体10Bのそれぞれとの間に、上下2つに分岐する導通路(以下、「第1負極集電経路」「第2負極集電経路」とも称す)が形成され、これら第1負極集電経路と第2負極集電経路とが、負極バスバー58によりバイパスされている。
これに対し、比較電池Z1の場合には、上記本発明電池A1の構成において、第1正極集電経路と第2正極集電経路とが、正極バスバー57によりバイパスされず、また第1負極集電経路と第2負極集電経路とが、負極バスバー58によりバイパスされない構成となっているから、図10に示すように、抵抗成分R1(第1正極集電端子55A)と第1積層体10Aと抵抗成分R5(第1負極集電端子56A)とが直列に接続され(即ち、第1正極集電経路と第1負極集電経路とが直列に接続され)、抵抗成分R2(第2正極集電端子55B)と第2積層体10Bと抵抗成分R4(第2負極集電端子56B)とが直列に接続され(即ち、第2正極集電経路と第2負極集電経路とが直列に接続され)た回路となっている。
ここで、抵抗成分R1〜R6である比較電池Z1の各部において、両端に抵抗測定機の端子を接続するようにし、測定サンプル数を3として抵抗値を測定したところ、抵抗成分R1〜R6のそれぞれの実測値に、0.01〜0.03mΩのバラツキが出た。このときの実測値から、抵抗値の最大のバラツキは、抵抗成分R1(第1正極集電端子55A)、抵抗成分R2(第2正極集電端子55B)、抵抗成分R4(第2負極集電端子56B)および抵抗成分R5(第1負極集電端子56A)でそれぞれ0.05mΩ、0.09mΩ、0.07mΩおよび0.05mΩとなると考えられる。さらに、このときの実測値から、比較電池Z1に12Aの定電流を流したときの第1積層体10Aおよび第2積層体10Bのそれぞれに流れる電流値を計算したところ、それぞれ5.85A、6.15Aであった。即ち、上記抵抗成分R1、R2、R4およびR5における抵抗のバラツキにより、第1正負極集電経路よりも第2正負極集電経路のほうが抵抗が小さくなっており、このため、第1積層体10Aおよび第2積層体10Bに均等に電流が流れると仮定した場合に第1積層体10Aに流れるはずの電流値6Aのうち、2.5%に相当する0.15Aが第2積層体10Bに流れ、その結果、第1積層体10Aよりも第2積層体10Bのほうが0.3Aだけ多く電流が流れるようになっている。
一方、上記本発明電池A1の構成においては、第1正極集電経路と第2正極集電経路とが正極バスバー57によりバイパスされるとともに、また第1負極集電経路と第2負極集電経路とが負極バスバー58によりバイパスされることにより、図11に示すように、抵抗成分R3(正極タブ53)と抵抗成分R6(負極タブ54)との間の導通路において、抵抗成分R1(第1正極集電端子55A)と抵抗成分R2(第2正極集電端子55B)とが並列に接続され、第1積層体10Aと第2積層体10Bとが並列に接続され、かつ、抵抗成分R4(第2負極集電端子56B)と抵抗成分R5(第1負極集電端子56A)とが並列に接続された回路となっているので、抵抗成分R1、R2、R4およびR5における抵抗のバラツキが吸収され、これにより第1積層体10Aおよび第2積層体10Bに均等に電流が流れるようになっている。
2)また、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bがレーザ溶接により電極タブ53、54に接続されているので、安定した溶着が可能となっている。
3)また、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが超音波溶接により正負極集電端子55A、55B、56A、56Bに一体的に接合されているので、最も安定した溶着が可能となっている。
4)また、上下2つの集電経路は、いずれの位置でバスバーにより互いに接続するようにすることも可能ではあるが、上記本発明電池A1においては、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bにおいて正負極バスバー57、58により互いに接続されており、集電経路のうち、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bは金属板(アルミニウム板ないし銅板)で構成されているから、正負極バスバー57、58が接続しやすくなっている。
5)特に、上下2つの集電経路が、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bと正負極集電端子55A、55B、56A、56Bとの接合位置において正負極バスバー57、58により互いに接続されているので、上下2つの集電経路がより確実にバイパスされている。
6)また、本発明電池A1はさらなる大容量化の要望されるリチウムイオン電池を積層式電池として構成したものとなっており、上述の通り、積層枚数の制約である50枚(負極では51枚)を越えて正負極板1、2を積層する必要から、2体の積層体10A、10Bが上下に積み重ねられ、このままでは上下2つの集電経路の間に存在する接続抵抗の差により各積層体10A、10Bに流れ込む電流値が不均一となることが避けられない構成となっているので、上述のような、上下2つの集電経路を正負極バスバー57、58でバイパスすることにより各積層体10A、10Bに流れ込む電流値が均一化されるという本発明の効果が一層発揮される構成となっている。
7)また、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bと正負極集電端子55A、55B、56A、56Bとが端部同士で接合されているので、上下2つの集電経路において、正負極バスバー57、58の接合に適する位置が1点(即ち正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bと正負極集電端子55A、55B、56A、56Bとの接合点)に揃っていて正負極バスバー57、58が接合しやすくなっている。これに対し、極板リードタブと集電端子とがそれぞれの端部よりも内側に大きく入り込むように、即ち互いにより大面積で重なり合うようにして接合されるようになっていると、これにともなってバスバーを接合すべき位置も幅広となり、一定幅のバスバーでは接合しきれない部分も形成されやすくなる。
8)また、例えば湾曲したり屈曲したりしているバスバーを用いた場合であれば、これを接続部に配置すると、幅方向に膨出したりして接続部の体積を増大させることともなるのに対し、上記本発明電池A1の構成では、正負極バスバー57、58が、積層体10A、10Bの積層方向に沿って(並行に)直線状に延びるように配置されているので、接続部の体積が最小限に抑えられている。
9)また、各積層体10A、10B(1体あたり)における正負各極板1、2の積層枚数が50枚(負極板は51枚)となっているので、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bを超音波溶接により安定した溶接条件で安全に溶接することができるようになっている。
(実施例2)
図12に示すように、外部接続端子である電極タブ61、62が、一方(図では上側)の正負極集電端子の機能も兼ねる構成とした点以外は前記本発明電池A1の場合と全て同様にして、2体の積層体11A、10Bを作製し積み重ねて得た積層電極体110を備える積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A2と称す。
図12に示すように、外部接続端子である電極タブ61、62が、一方(図では上側)の正負極集電端子の機能も兼ねる構成とした点以外は前記本発明電池A1の場合と全て同様にして、2体の積層体11A、10Bを作製し積み重ねて得た積層電極体110を備える積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A2と称す。
上記本発明電池A2の電極タブ61、62は、基端部が一方面側へ直角に折曲されているのは前記本発明電池A1における電極タブ53、54の場合と同様であるが、その先端がさらに直角に折曲されて延出し、全体として側面視略S字状に屈曲した段状に構成され、その先端部に、一方(図では上側)の積層体11Aの正負極リードタブ51A、52Aが接合されている。電極タブ61、62の立ち上がり部(垂直片)には、他方(図では下側)の積層体10Bの正負極集電端子55B、56Bが接合されている。
上記構成においては、電極タブ61、62が、一方(図では上側)の正負極集電端子と一体となっている。換言すれば、外部接続端子である電極タブ61、62が一方(図では上側)の正負極集電端子の機能も兼ねる構成となっているとも、あるいは、電極タブ61、62を外部接続端子ではなく一方(図では上側)の正負極集電端子と見做して、これが外部接続端子の機能も兼ねる構成となっているともいうことができる。
上記本発明電池A2の構成によれば、電極タブ61、62と一方(図では上側)の正負極集電端子とが予め一体(連続する1枚の金属板)となっていることで、そのぶん溶接箇所が削減され、構成が簡略化されるとともに接続抵抗も低減されている。ただしこの場合でも、電極タブ61、62に他方(図では下側)の積層体10Bの正負極集電端子55B、56Bが接合され、したがって上下2つの集電経路、即ち上下2つに分岐した導通路が形成されていることには変わりがないが、前記本発明電池A1の場合と同様に、上下2つの集電経路が正負極バスバー57、58でバイパスされることにより各積層体11A、10Bに流れ込む電流値が均一化されるようになっている。
なおこの場合、下側の集電経路は、前記本発明電池A1の場合と同様に、正負極集電端子55B、56Bと電極タブ61、62との接合部(溶接部)から、正負極集電端子55B、56Bを経て下側の積層体10Bまで延びる導通路となっているのに対し、上側の集電経路は、正負極集電端子55B、56Bと電極タブ61、62との接合部(溶接部)から、電極タブ61、62を経て上側の積層体11Aまで延びる導通路となっている。
(実施例3)
図13に示すように、一方(図では下側)の集電端子にバスバーを一体的に形成するようにした点以外は前記本発明電池A2の場合と全て同様にして、積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A3と称す。
図13に示すように、一方(図では下側)の集電端子にバスバーを一体的に形成するようにした点以外は前記本発明電池A2の場合と全て同様にして、積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A3と称す。
上記本発明電池A3においては、一方(図13では下側)の正極集電端子65Bの両側縁における積層体側端部(図13では前側端部)にそれぞれ、両側へ短冊状に延出する延出片65Eが一体的に形成され、これら延出片65Eが、基端部で一方面側(図13では上面側)へ直角に折曲され、その先端部が正極タブ61の両側縁における積層体側端部(図13では前側端部)に接合されるようになっており、負極側においてもこれと同様の構成となっている(図示省略)。この構成によれば、溶接点数を削減することができ、バスバーを別に用意することも不要である。
(実施例4)
図14に示すように、バスバーをコの字形状に成形するようにした点以外は前記本発明電池A2の場合と全て同様にして、積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A4と称す。
図14に示すように、バスバーをコの字形状に成形するようにした点以外は前記本発明電池A2の場合と全て同様にして、積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A4と称す。
上記本発明電池A4においては、正負極バスバー66、67が、前記本発明電池A2の正負極バスバー57、58よりも長い短冊状(長方形状)の金属板を折曲して、前記本発明電池A2の正負極バスバー57、58に対応する寸法・形状を有する垂直片と、該垂直片の上下両端からそれぞれ同一方向に直角に延出する水平片とが一体的に形成され、全体としてコの字形状に成形されたものとなっている。正極バスバー66は、図14に示すように、第1正極リードタブ51Aの先端部と第2正極リードタブ51Bの先端部との間に、両側から水平片を挿入し、第1正極リードタブ51Aおよび第2正極リードタブ51Bの両側縁の位置に垂直片が位置するように(即ち、上下両水平片が第1正極リードタブ51Aおよび第2正極リードタブ51Bにそれぞれ内側から重なり、垂直片が第1正極リードタブ51Aの両側縁と第2正極リードタブ51Bの両側縁との間に架設されるように)配置され、上下両水平片が第1正極リードタブ51Aおよび第2正極リードタブ51Bにそれぞれ接合され、第1正極リードタブ51Aと第2正極リードタブ51Bと両側の正極バスバー66、66とが、全体として長方形状の周壁(枠)状に閉じるように接続された構成となっている。第1正極リードタブ51Aおよび第2正極リードタブ51Bには、前記本発明電池A2の場合と同様にして、正極タブ61および第2正極集電端子55Bがそれぞれ接合されている。また、負極側の構成も上記正極側の構成と同様となっている。
上記本発明電池A4の構成によれば、前記本発明電池A2の場合に比して、組付(接合作業)がやや難しくなるものの、正負極バスバー66、67の上下両水平片が第1正負極リードタブ51A、52Aおよび第2正負極リードタブ51B、52Bにそれぞれ同様に面的に接触して接合されることから、接続部のそれぞれにおける接続抵抗を低減することができるとともに、上下の接続部間の抵抗のバラツキによる影響をより受け難い構造とすることができる。
また、前記本発明電池A1のように正負極集電端子55A、55B、56A、56Bの両側縁に平板状の正負極バスバー57、58を接合する構成では、該正負極バスバー57、58の厚みのぶんだけ幅方向に突出して接続部の体積が増大することが避けられないのに対し、上記本発明電池A4の構成によれば、正負極バスバー66、67を幅方向に突出させないように(即ち正負極リードタブ51A、52A、51B、52Bの両側縁から幅方向に突出させないように)配置して接合することができるので、接続部の体積の増大をさらに抑制することが可能となっている。
(実施例5)
図15に示すように、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bと正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bとの接合構造を後述のように変更した点以外は前記本発明電池A1の場合と全て同様にして、2体の積層体12A、12Bを作製し積み重ねて得た積層電極体120を備える積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A5と称す。
図15に示すように、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bと正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bとの接合構造を後述のように変更した点以外は前記本発明電池A1の場合と全て同様にして、2体の積層体12A、12Bを作製し積み重ねて得た積層電極体120を備える積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、本発明電池A5と称す。
〔集電端子の溶接〕
上記本発明電池A5においては、前記本発明電池A1の場合と基本的に同様にして、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bに正負極集電端子63A、63B、64A、64Bを超音波溶接により接合した。
上記本発明電池A5においては、前記本発明電池A1の場合と基本的に同様にして、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bに正負極集電端子63A、63B、64A、64Bを超音波溶接により接合した。
このとき、図16に示すように、正極集電端子63A、63Bにおける一端縁部の中央に、矩形状に内側へ凹入するように切欠いて幅W1=10mm、深さD1=5mmの貫通部(ブランク)63Pを形成し、図17に示すように、正極集電端子63A、63Bの貫通部63P形成端縁部と正極リードタブ51A、51Bとを重ねた状態で、まず、貫通部63P内に位置する溶接点(以下、中央溶接点と称す)32Mで50枚の正極リードタブ51A、51Bのみを超音波溶接法により接合し、ついで、上記中央溶接点32Mに対し幅方向に沿って一方側(図17では左側)に隣り合う溶接点(以下、左側溶接点と称す)32Lならびに他方側(図17では右側)に隣り合う溶接点(以下、右側溶接点と称す)32Rでそれぞれ、50枚の正極リードタブ51A、51Bと正極集電端子63A、63Bとを超音波溶接法により接合するようにした。
一方、図18に示すように、負極集電端子64A、64Bにおいても、上記正極集電端子63A、63Bの場合と全く同様にして、貫通部64Pを形成し、中央溶接点33Mで51枚の負極リードタブ52A、52Bのみを超音波溶接法により接合し、ついで、左側溶接点33Lおよび右側溶接点33Rでそれぞれ、51枚の負極リードタブ52A、52Bと負極集電端子64A、64Bとを超音波溶接法により接合するようにした。
このときの溶接条件を下記表1に示す。
(比較例2)
図19に示すように、正極集電端子45A、45Bに貫通部を形成せず、該正極集電端子45A、45Bの一端縁部において幅方向に並ぶ3点の溶接点46で50枚の正極リードタブ41A、41Bと正極集電端子45A、45Bとを超音波溶接法により接合するとともに、正極板401と正極集電端子45A、45Bとの中間において幅方向に並ぶ3点の溶接点47で50枚の正極リードタブ41A、41Bのみを超音波溶接法により接合し、一方、この接合構造と全く同様の接合構造により負極集電端子と負極リードタブとを接合するようにした(図示省略)。これらの点以外は前記本発明電池A5の場合と全て同様にして、積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、比較電池Z2と称す。
図19に示すように、正極集電端子45A、45Bに貫通部を形成せず、該正極集電端子45A、45Bの一端縁部において幅方向に並ぶ3点の溶接点46で50枚の正極リードタブ41A、41Bと正極集電端子45A、45Bとを超音波溶接法により接合するとともに、正極板401と正極集電端子45A、45Bとの中間において幅方向に並ぶ3点の溶接点47で50枚の正極リードタブ41A、41Bのみを超音波溶接法により接合し、一方、この接合構造と全く同様の接合構造により負極集電端子と負極リードタブとを接合するようにした(図示省略)。これらの点以外は前記本発明電池A5の場合と全て同様にして、積層式電池を作製した。
このようにして作製した積層式電池を、以下、比較電池Z2と称す。
〔本発明電池A5の効果〕
上記本発明電池A5は、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bにおいて正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが接合される部位に、部分的に貫通部63P、64Pを設けることにより、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bが欠落して存在しない矩形状の集電端子不在領域と、該集電端子不在領域(貫通部63P、64P)に対し両側にそれぞれ隣接するようにして正負極集電端子63A、63B、64A、64Bが残存する矩形状の集電端子残存領域とが、上記正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bの接続方向に対し垂直な方向(幅L3、L9方向)に並ぶように形成され、上記集電端子不在領域において上記50枚ないし51枚の正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bのみが第1の接合点である中央溶接点32M、33Mで接合されるとともに、上記集電端子残存領域において上記正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが上記正負極集電端子63A、63B、64A、64Bに第2の接合点である左側溶接点32L、33Lおよび右側溶接点32R、33Rでそれぞれ接合された構成となっている。
上記本発明電池A5は、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bにおいて正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが接合される部位に、部分的に貫通部63P、64Pを設けることにより、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bが欠落して存在しない矩形状の集電端子不在領域と、該集電端子不在領域(貫通部63P、64P)に対し両側にそれぞれ隣接するようにして正負極集電端子63A、63B、64A、64Bが残存する矩形状の集電端子残存領域とが、上記正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bの接続方向に対し垂直な方向(幅L3、L9方向)に並ぶように形成され、上記集電端子不在領域において上記50枚ないし51枚の正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bのみが第1の接合点である中央溶接点32M、33Mで接合されるとともに、上記集電端子残存領域において上記正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが上記正負極集電端子63A、63B、64A、64Bに第2の接合点である左側溶接点32L、33Lおよび右側溶接点32R、33Rでそれぞれ接合された構成となっている。
上記本発明電池A5の構成によれば、50枚ないし51枚の正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bのみが第1の接合点である中央溶接点32M、33Mでそれぞれ接合されることで閉回路が形成されており、これにより、積層体12A、12Bの各1体内における50枚ないし51枚の正負極板1、2の接続抵抗が均一化されている。したがって、ハイレートでの充放電時にも正負極板1、2の1枚毎に流れ込む電流値にバラツキが生じることもなく、良好なサイクル特性が得られるようになっている。
またこのとき、第1の接合点である中央溶接点32M、33Mと第2の接合点である左側溶接点32L、33Lおよび右側溶接点32R、33Rとが、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bの接続方向に対し垂直方向すなわち幅L3、L9方向に沿って並ぶ集電端子不在領域および集電端子残存領域にそれぞれ配置されているので、これら第1および第2の接合点により構成される接合部の面積、即ち中央溶接点32M、33M、左側溶接点32L、33Lおよび右側溶接点32R、33Rの占有面積が、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bの接続方向に沿って増大せずに最小限に収まっており、したがって電池寸法も増大することなく体積エネルギー密度が良好なレベルに維持されている。これに対し、比較電池Z2においては、正極リードタブ41Aと正極集電端子45Aとが接合される3点の溶接点46と、正極リードタブ41Aのみが接合される3点の溶接点47とが、幅方向に沿って2列に並ぶように配置されており、したがってそのぶん、これら溶接点46、47の占有面積が正極リードタブ41Aの接続方向に沿って増大して本発明電池A5の場合よりも大となっている。
また、第1の接合点である中央溶接点32M、33M、ならびに、第2の接合点である左側溶接点32L、33Lおよび右側溶接点32R、33Rの双方における接合が超音波溶接によりなされている。第1の接合点ないし第2の接合点における接合は、例えば、グサリ、カシメ等やネジ止め等のような機械的接合法によって行うようにしてもよく、これによれば簡易な設備で接合作業を行うことができてそのぶん電池の製造を容易かつ安価に行うことができるという利点もあるが、本発明電池A5では溶接による接合としているので抵抗がより均一化されている。また、溶接方法としては、例えば抵抗溶接法やレーザ溶接法等も可能であるが、本発明電池A5では超音波溶接としているので、溶接強度等の点で特に望ましいものとなっている。
また、第1の接合点である中央溶接点32M、33Mにおいては、薄い正負極リードタブ51A、51B、52A、52B同士が超音波溶接により溶着され、厚い正負極集電端子63A、63B、64A、64Bが存在しない状態で溶着されているので、表1に示すように、第2の接合点でのエネルギー量50Jに対し、第1の接合点ではエネルギー量30Jと、小さな出力で溶着することができるようになっている。この結果、溶着時の衝撃により正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bが変形するのが抑制されているので、正負極リードタブ51A、51B、52A、52B同士の密着性が向上して、接続抵抗値がより均一化されている。
また、第2の接合点における接合が、左側溶接点32L、33Lと右側溶接点32R、33Rとの複数点(2点)でなされているので、第2の接合点における接合がより確実になされて接続抵抗値がより均一化されている。
また、本発明電池A5はリチウムイオン電池を積層式電池として構成したものとなっており、積層体12A、12Bの各1体あたり、正極板1が50枚、負極板2が51枚と積層枚数が多くなっているので、従来の構成によっては接続抵抗のバラツキが生じやすく、したがって上述のような接続抵抗の均一化、電池寸法の縮小といった効果が一層発揮される構成となっている。
また、積層体12A、12Bの各1体あたりの正極板および負極板の積層枚数がそれぞれ30枚以上の場合には、集電瑞子と極板リードタブとの接合部の接合性が特に劣ることになり易いため、正極板1および負極板2がそれぞれ50枚、51枚となっている本発明電池A5では特に、上述のような接続抵抗の均一化、電池寸法の縮小といった効果が一層発揮されるようになっている。
〔その他の事項〕
(1)上記本発明電池A1においては、正極バスバー57としてアルミニウム板、負極バスバー58として銅板がそれぞれ用いられているが、バスバーとしては、複数の集電経路同士を電気的に接続し得るものであれば任意のものが使用でき、例えば上記のような金属板以外にも、金属線等であってもよい。ただし、なるべく電気抵抗が低いものであることが望ましく、特に、上記本発明電池A1におけるように、少なくとも集電端子と同一の材質(例えば正極の場合はアルミニウム、負極の場合は銅またはニッケルとする等)よりなるものであることが望ましい。
(1)上記本発明電池A1においては、正極バスバー57としてアルミニウム板、負極バスバー58として銅板がそれぞれ用いられているが、バスバーとしては、複数の集電経路同士を電気的に接続し得るものであれば任意のものが使用でき、例えば上記のような金属板以外にも、金属線等であってもよい。ただし、なるべく電気抵抗が低いものであることが望ましく、特に、上記本発明電池A1におけるように、少なくとも集電端子と同一の材質(例えば正極の場合はアルミニウム、負極の場合は銅またはニッケルとする等)よりなるものであることが望ましい。
また、電気抵抗の観点からはバスバーの断面積はなるべく大きいほうがよいが、占有スペースの観点からはあまり大でないほうがよく、したがって、材質にもよるが例えば上述のようにアルミニウム、銅またはニッケルの場合、断面積としては約0.5〜1.0mm2程度であることが望ましい。また、例えば同一断面積であっても、接続抵抗や占有スペース、納まり等の観点からは金属線よりは金属板のほうが望ましい。
また、例えば、間隔をおいて配置された集電端子の間に金属等の導電性材料を充填することによっても、複数の集電経路を互いに接続してバイパスすることが可能ではあるが、作製の容易性等の点からは上述のようにバスバーを接合する構造とすることが望ましい。
(2)バスバーは、複数の集電経路同士を電気的に接続し得る位置であればいずれの位置に配置してもよいが、上記本発明電池A1におけるように、正負極集電端子55A、55B、56A、56Bに、特に、正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bと正負極集電端子55A、55B、56A、56Bとの接合位置に正負極バスバー57、58を配置、接合することが望ましい。ただし、例えば、正負極リードタブと正負極集電端子との接合位置よりも正負極板に近い位置、即ち正負極リードタブのみが存在する位置(正負極集電端子と重なり合っていない位置)にバスバーを配置、接合するようにしても、複数の集電経路を効果的にバイパスすることができる(図示省略)。
(3)上記本発明電池A1においては、2個の積層体10A、10Bが上下2段に積み重ねられているが、積層体は何段に積み重ねるようにしてもよい。ただし、バスバーで接続することによって積層体間の接続抵抗を十分かつ確実に均一化する上では積層体の段数ができるだけ少ないほうがよく、例えば3段以下、特に好適には2段とすることが望ましい。
(4)上記本発明電池A1〜A3においては、ラミネートフィルム59で構成した外装体60が用いられていたが、外装体としては、ラミネートフィルムよりなるもの以外にも、例えば金属板で構成されるもの(電池缶)等であってもよい。
(5)上記本発明電池A5においては、正負極集電端子63A、63B、64A、64Bに矩形状に内側へ凹入する貫通部(以下、凹入貫通部とも称す)63P、64Pが形成されているが、貫通部としてはこれ以外にも、例えば図20に示すような孔(開口)状の貫通部(以下、孔状貫通部とも称す)34P、図21に示すような角落ち状の貫通部(以下、角落状貫通部とも称す)35P等も可能である。
図20に示す孔状貫通部34Pは、集電端子34における一端縁部の中央に、矩形状(横長の長方形状)の孔(開口)を穿設することにより形成されている。この孔状貫通部34Pが形成された集電端子34には、上記凹入貫通部63P、64Pが形成された本発明電池A5の正負極集電端子63A、63B、64A、64Bの場合と全く同様にして極板リードタブが接合される。
この場合、孔状貫通部34Pを設けることにより、中央に集電端子34が欠落して存在しない矩形状の集電端子不在領域と、該集電端子不在領域(孔状貫通部34P)に対し両側にそれぞれ隣接するようにして集電端子34が残存する矩形状の集電端子残存領域とが、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向(幅方向)に並ぶように形成され、中央の集電端子不在領域(孔状貫通部34P)において複数枚の極板リードタブのみが第1の接合点で接合されるとともに、両側の集電端子残存領域において極板リードタブが集電端子34に第2の接合点でそれぞれ接合される。
この場合、孔状貫通部34Pを設けることにより、中央に集電端子34が欠落して存在しない矩形状の集電端子不在領域と、該集電端子不在領域(孔状貫通部34P)に対し両側にそれぞれ隣接するようにして集電端子34が残存する矩形状の集電端子残存領域とが、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向(幅方向)に並ぶように形成され、中央の集電端子不在領域(孔状貫通部34P)において複数枚の極板リードタブのみが第1の接合点で接合されるとともに、両側の集電端子残存領域において極板リードタブが集電端子34に第2の接合点でそれぞれ接合される。
図21に示す角落状貫通部35Pは、集電端子35における一端縁部の両端部すなわち隣り合う1組の角部を矩形状(横長の長方形状)に切欠くようにして角落ちさせることにより形成されている。この角落状貫通部35Pが形成された集電端子35に極板リードタブを接合する場合には、両側の角落状貫通部35Pの間に形成された中央の突起部35Eに第2の接合点が位置し、該第2の接合点に対し幅方向に沿って両側に隣り合う角落状貫通部35P内に第1の接合点が位置することとなり、両側の第1の接合点で接合を行った後、中央の第2の接合点で接合を行うようにする。
即ちこの場合、角落状貫通部35Pを設けることにより、両端部に集電端子35が欠落して存在しない矩形状の集電端子不在領域と、該両側の集電端子不在領域(角落状貫通部35P)に対し中央側に隣接するようにして集電端子35が残存する矩形状の集電端子残存領域(突起部35E)とが、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向(幅方向)に並ぶように形成され、両側の集電端子不在領域(角落状貫通部35P)において複数枚の極板リードタブのみが第1の接合点でそれぞれ接合されるとともに、中央の集電端子残存領域(突起部35E)において極板リードタブが集電端子35に第2の接合点で接合される。
即ちこの場合、角落状貫通部35Pを設けることにより、両端部に集電端子35が欠落して存在しない矩形状の集電端子不在領域と、該両側の集電端子不在領域(角落状貫通部35P)に対し中央側に隣接するようにして集電端子35が残存する矩形状の集電端子残存領域(突起部35E)とが、極板リードタブの接続方向に対し垂直な方向(幅方向)に並ぶように形成され、両側の集電端子不在領域(角落状貫通部35P)において複数枚の極板リードタブのみが第1の接合点でそれぞれ接合されるとともに、中央の集電端子残存領域(突起部35E)において極板リードタブが集電端子35に第2の接合点で接合される。
上記凹入貫通部63P、64P、孔状貫通部34Pおよび角落状貫通部35Pのいずれの場合にも、第2の接合点では厚い集電端子と極板リードタブとが接合されるため、先にこの第2の接合点で接合を行うと第1の接合点で極板リードタブのみを接合することが困難となるので、まず第1の接合点で極板リードタブのみを接合してから、第2の接合点で集電端子と極板リードタブとを接合するようにする。
上記凹入貫通部63P、64P、孔状貫通部34Pおよび角落状貫通部35Pのうち、接合の容易性の点では、凹入貫通部63P、64Pと角落状貫通部35Pとがほぼ同等であり、これに比して孔状貫通部34Pがやや劣るものとなっている。また、形成の容易性(加工性)の点では、凹入貫通部63P、64P、角落状貫通部35P、孔状貫通部34Pの順で優れるものとなっている。
(6)上記凹入貫通部63P、64P、孔状貫通部34Pおよび角落状貫通部35Pの構成では、1箇所または2箇所の集電端子不在領域と、2箇所または1箇所の集電端子残存領域との、計3領域が幅方向に1列に並ぶように配置されるが、例えば図22に示すように、集電端子不在領域と集電端子残存領域とが1箇所ずつ、計2領域が幅方向に並ぶように配置される構成としてもよい。同図に示す例では、集電端子36における一端縁部の一方側半部を矩形状(横長の長方形状)に切欠くようにして貫通部36Pが形成され、該貫通部36Pに隣接して突起部36Eが形成されて、当該端部が全体として鉤形状に成形されており、貫通部36P内に第1の接合点が位置し、該第1の接合点に対し幅方向に沿って側方に隣り合うように、突起部36E上に第2の接合点が位置するようになっている。この構成によれば、溶接点数を削減することができるが、集電端子不在領域(第1の接合点)および集電端子残存領域(第2の接合点)の配置が左右非対称となって偏りが生じる難点がある。これに対し、上記凹入貫通部63P、64P、孔状貫通部34Pおよび角落状貫通部35Pの構成ではいずれも、集電端子不在領域と集電端子残存領域とが左右対称に配置されるため、バランスの点でより好ましい。
(7)上記本発明電池A5においては、正極集電端子63A、63Bをアルミニウム板、負極集電端子64A、64Bを銅板でそれぞれ構成しているが、これらをニッケル板で構成しても良い。このように両集電端子に同一素材のものを用いれば、電池の生産コストが低減できる。またこの場合、異種金属同士(なぜなら、正極リードタブ51A、51Bはアルミニウム、負極リードタブ52A、52Bは銅から構成されている)の溶接となるため、溶接部の溶着性が悪くなり、両極板と両端子との間の接続抵抗値にバラツキを生じるという問題が一層顕在化するので、上記本発明電池A5の特徴構成、即ち、集電端子不在領域(貫通部63P、64P)と集電端子残存領域とを形成し、集電端子不在領域において正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bのみを第1の接合点(中央溶接点32M、33M)で接合するとともに、集電端子残存領域において正負極リードタブ51A、51B、52A、52Bを正負極集電端子63A、63B、64A、64Bに第2の接合点(左側溶接点32L、33Lおよび右側溶接点32R、33R)でそれぞれ接合する構成が特に有用となる。
(8)正極活物質としては、上記コバルト酸リチウムに限定されるものではなく、コバルト−ニッケル−マンガン、アルミニウム−ニッケル−マンガン、アルミニウム−ニッケル−コバルト等のコバルト、ニッケル或いはマンガンを含むリチウム複合酸化物や、スピネル型マンガン酸リチウム等でも構わない。
(9)負極活物質としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛以外にも、グラファイト・コークス・酸化スズ・金属リチウム・珪素・及びそれらの混合物等、リチウムイオンを挿入脱離できうるものであれば構わない。
(10)電解液としても特に本実施例で示したものに限定されるものではなく、リチウム塩としては例えばLiBF4、LiPF6、LiN(SO2CF3)2,LiN(SO2C2F5)2,LiPF6―x(CnF2n+1)x[但し、1<x<6、n=1又は2]等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上を混合して使用できる。支持塩の濃度は特に限定されないが、電解液1リットル当り0.8〜1.8モルが望ましい。また、溶媒種としては上記ECやMEC以外にも、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(GBL)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)等のカーボネート系溶媒が好ましく、更に好ましくは環状カーボネートと鎖状カーボネートの組合せが望ましい。
本発明は、例えばロボットや電気自動車等に搭載される動力、バックアップ電源などの高出力用途の電源に好適に適用することができる。
10A、10B:積層体
51A、51B:正極リードタブ(極板リードタブ)
52A、52B:負極リードタブ(極板リードタブ)
53:正極タブ(電極タブ;外部接続端子)
54:負極タブ(電極タブ;外部接続端子)
55A、55B:正極集電端子
56A、56B:負極集電端子
57:正極バスバー
58:負極バスバー
51A、51B:正極リードタブ(極板リードタブ)
52A、52B:負極リードタブ(極板リードタブ)
53:正極タブ(電極タブ;外部接続端子)
54:負極タブ(電極タブ;外部接続端子)
55A、55B:正極集電端子
56A、56B:負極集電端子
57:正極バスバー
58:負極バスバー
Claims (6)
- 複数枚の正極板と負極板とがセパレータを介して交互に積層された積層式電池であって、
各極板から延出した極板リードタブが正負極の集電端子にそれぞれ複数枚積層した状態で接合されて積層体が構成され、
複数の前記積層体が積み重ねられ、各積層体の集電端子が同一の外部接続端子に並列に接続されて、当該外部接続端子と各積層体との間に複数に分岐した集電経路が形成され、
前記複数の集電経路がバスバーにより互いに接続されていることを特徴とする積層式電池。 - 前記集電端子がレーザ溶接により外部接続端子に接続されている、請求項1に記載の積層式電池。
- 前記極板リードタブが超音波溶接により接合されている、請求項1または請求項2に記載の積層式電池。
- 前記複数の集電経路が、前記集電端子においてバスバーにより互いに接続されている、請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層式電池。
- 前記複数の集電経路が、前記極板リードタブと集電端子との接合位置または該接合位置よりも極板に近い位置においてバスバーにより互いに接続されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層式電池。
- 前記積層式電池がリチウムイオン電池である、請求項1から請求項5のいずれかに記載の積層式電池。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2010
- 2010-02-25 JP JP2010040064A patent/JP2011175913A/ja not_active Withdrawn
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