JP2011174275A - アレルゲン低減床材とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】アレルゲンの低減効率の高いアレルゲン低減床材、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】アレルゲン低減床材(10)は、床材(11)と、床材(11)の表面側に形成される塗膜(23)と、塗膜(23)内に含まれるアレルゲン低減剤(30)とを有する。アレルゲン低減床材(10)では、固体粒子状のアレルゲン低減剤(30)が塗膜(23)の表面に担持される。
【選択図】図2

Description

本発明は、アレルゲンを不活性化させる機能を有するアレルゲン低減床材と、このアレルゲン低減床材の製造方法に関するものである。
ダニや花粉等のアレルゲンは、アトピー性皮膚炎やアレルギー性鼻炎等の要因となっており、社会的にも問題視されている。このようなアレルゲンを低減させる技術として、特許文献1には、アレルゲンの低減機能が付与された床材(以下、単にアレルゲン低減床材という)が開示されている。
具体的に、特許文献1に開示のアレルゲン低減床材は、例えばフェノール性水酸基を有する非水溶性高分子の抗アレルゲン剤(アレルゲン低減剤)を光硬化性塗料に溶解させ、床材トップコート用光硬化性塗料を得た後、この床材トップコート用光硬化性塗料を木質系床材に塗布することで得られる。つまり、このアレルゲン低減床材では、床材の表面に抗アレルゲン剤を含む塗膜が形成される。このため、空気中のアレルゲンが床材表面に付着すると、このアレルゲンが塗膜中の抗アレルゲン剤によって不活性化される。
特開2008−239721号公報
特許文献1に開示されたアレルゲン低減床材では、アレルゲン低減剤を塗料内に溶解させている。このため、床材の表面に形成された塗膜中においては、アレルゲン低減剤が比較的均等に分散することになる。しかし、このようにしてアレルゲン低減剤が塗膜中で分散すると、塗膜の表面側だけでなく、この塗膜における背面側(床材側)にもアレルゲン低減剤が分布してしまう。ここで、塗膜の背面側に分布したアレルゲン低減剤は、床材表面のアレルゲンと接触することはないので、アレルゲンの低減にも寄与できない。従って、この種のアレルゲン低減床材では、アレルゲンを十分に低減できなかったり、アレルゲン低減剤を無駄に使用したりすることになり、アレルゲンの低減効率が低下してしまうという問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アレルゲンの低減効率の高いアレルゲン低減床材、及びその製造方法を提供することにある。
第1の発明は、床材と、該床材の表面側に形成される塗膜と、該塗膜内に含まれるアレルゲン低減剤とを有するアレルゲン低減床材を対象とする。そして、このアレルゲン低減床材は、上記アレルゲン低減剤が、固体粒子状に形成されて上記塗膜の表面に担持されることを特徴とする。
第1の発明では、固体粒子状のアレルゲン低減剤が、塗膜の表面に担持される。このため、塗膜の表面では、アレルゲンとアレルゲン低減剤との接触が促される。これにより、アレルゲンが効率良く不活性化される。
第2の発明は、第1の発明において、上記固体粒子状のアレルゲン低減剤の粒子径rが、上記塗膜の厚さdよりも大きく且つ該塗膜の厚さdの2倍以下であることを特徴とする。
第2の発明では、アレルゲン低減剤の粒子径rが塗膜の厚さdよりも大きくなる。このため、粒状のアレルゲン低減剤の少なくとも一部を、塗膜の表面から確実に露出させることができる。また、本発明では、アレルゲン低減剤の粒子径rが塗膜の厚さdの2倍以下となる。ここで、仮にアレルゲン低減剤の粒子径rを塗膜の厚さdの2倍よりも大きくすると、アレルゲン低減剤の半分以上の部位が塗膜から露出されるため、このアレルゲン低減剤を塗膜内に確実に保持できなくなる虞がある。これに対し、本発明では、アレルゲン低減剤の粒子径rを塗膜の厚さdの2倍以下としているため、このアレルゲン低減剤を塗膜内に確実に保持できる。
第3の発明は、アレルゲン低減床材の製造方法を対象としており、固体粒子状のアレルゲン低減剤を含む塗料を床材に塗布して該床材の表面側に塗膜を形成する工程を含むものである。
第3の発明では、固体粒子状のアレルゲン低減剤を含む塗料を床材に塗布して塗膜を形成することで、塗膜の表面側に固体粒子状のアレルゲン低減剤が担持される。
第4の発明は、第3の発明において、上記床材の表面側に形成された上記塗膜の表面を研磨する工程を含むものである。
第4の発明では、塗膜を研磨することで、アレルゲン低減床材を塗膜から確実に露出させることができる。具体的には、固体粒子状のアレルゲン低減剤を含む塗料を床材に塗布する場合、アレルゲン低減剤の表面が塗料(塗膜)によって覆われてしまうことがある。このようにしてアレルゲン低減剤の露出面積が小さくなると、アレルゲン低減剤とアレルゲンの接触効率が低下し、ひいてはアレルゲンの低減効果が低くなってしまう。そこで、本発明では、床材に塗料を塗布した後、塗膜表面を研磨するようにしている。これにより、アレルゲン低減剤の表面を覆う塗料を削ることができ、アレルゲン低減剤の露出面積を大きくできる。
第5の発明は、第3の発明において、上記床材の表面側に形成された塗膜の表面にフィルムを被せて圧締及び硬化処理を行った後、上記フィルムを剥がす工程を含むものである。
第5の発明では、床材の表面側に塗膜が形成された後、この塗膜表面にフィルムを被せて圧締及び硬化処理が行われる。これにより、アレルゲン低減剤を塗膜表面に確実に固定させることができる。この際、塗膜表面にフィルムを被せて圧締を行うことで、アレルゲン低減剤の表面に付着した塗料を取り除くことができる。従って、圧締及び硬化処理の後にフィルムを剥がすことで、アレルゲン低減剤の表面を確実に塗膜から露出させることができる。
本発明によれば、固体粒子状のアレルゲン低減剤を塗膜の表面に担持させているので、例えば水溶性のアレルゲン低減剤を塗膜内に溶解させる従来例と比較して、アレルゲン低減剤とアレルゲンとの接触効率を高めることができる。このため、アレルゲン低減剤の添加量を比較的少量としながら、アレルゲンを効果的に低減することができる。
特に第2の発明では、アレルゲン低減剤の粒子径rを塗膜の厚さdより大きくし且つ塗膜の厚さdの2倍以下としているため、アレルゲン低減剤の露出面積を十分に確保しながら、このアレルゲン低減剤を塗膜内に確実に固定させることができる。従って、長期に亘ってアレルゲンを十分に低減できるアレルゲン低減床材を提供することができる。
第3の発明では、塗膜の表面に固体粒子状のアレルゲン低減剤が担持されたアレルゲン低減床材を容易に製造することができる。また、第3の発明の製造方法では、得られたアレルゲン低減床材におけるアレルゲンの低減能力を容易に推定できる。この点について具体的に説明する。
アレルゲンの低減能力は、アレルゲンとアレルゲン低減剤との接触効率、即ちアレルゲン低減剤の露出面積に大きく支配される。ところが、従来例(アレルゲン低減剤を塗膜内に溶解させる構成)においては、塗膜内に溶解したアレルゲン低減剤が塗膜表面にどの程度露出されるかを把握することが困難である。このため、従来例においては、例えばアレルゲン低減剤が塗料内に均一に分散していると仮定することではじめて、アレルゲン低減剤が塗膜表面にどの程度露出しているかを推定でき、ひいてはアレルゲンの低減能力を推定できる。これに対し、本発明では、例えばアレルゲン低減剤の粒子径(例えば粒子径20μm)と、塗膜の厚さ(例えば10μm)とがわかれば、アレルゲン低減剤の露出面積を容易に推定できる(例えば、この場合には、アレルゲン低減剤の全体の表面積のうちの約50%が露出されると推定できる)。従って、本発明では、従来例と比較して、アレルゲンの低減能力を確実且つ容易に把握することができる。
また、第3の発明の製造方法では、その用途等に応じて、製造されるアレルゲン低減床材によるアレルゲンの低減能力を容易に変更できる。具体的には、本発明の製造方法では、アレルゲン低減剤の粒子径や形状、あるいは塗膜の厚み等を適宜調整することで、アレルゲン低減剤の露出面積を変更でき、ひいてはアレルゲンの低減能力を変更できる。これに対し、従来例では、アレルゲン低減剤を塗料に溶解させて塗膜を得ているため、例えばアレルゲンの添加量(塗料中のアレルゲン低減剤の濃度)を変更しないと、製品のアレルゲンの低減能力を容易に調整できない。以上のように、本発明に係る製造方法では、従来例の製造方法よりもアレルゲンの低減能力の調整するためのパラメータが多くなる。従って、本発明では、比較的広範囲のアレルゲン負荷に対応できるように、アレルゲン低減床材を製造でき、このアレルゲン低減床材の適用範囲を広げることができる。
第4の発明によれば、塗膜の表面を研磨することで、アレルゲン低減剤を確実に塗膜表面から露出させることができる。従って、アレルゲン低減剤の露出面積を増大でき、アレルゲンの低減能力を向上できる。また、このようにして、塗膜表面を研磨することで、アレルゲン低減床材の表面の平滑化を図ることができる。
第5の発明によれば、塗膜表面にフィルムを被せて圧締及び硬化処理を行った後、フィルムを剥がすることで、塗膜表面にアレルゲン低減剤を担持させている。これにより、塗膜表面にアレルゲン低減剤を強固に保持させることができ、且つアレルゲン低減剤を塗膜表面から確実に露出させることができる。従って、長期間に亘って十分にアレルゲンを低減できるアレルゲン低減床材を得ることができる。また、このようにして、塗膜表面を圧締/硬化処理することで、アレルゲン低減床材の表面の平滑化を図ることができる。更に、本発明では、例えば塗膜表面を研磨する場合と異なり、塗膜やアレルゲン低減剤が削られることもない。従って、アレルゲン低減床材を得るための原料の使用量を低減できる。
実施形態に係るアレルゲン低減床材の概略構成を示す断面図である。 実施形態に係るアレルゲン低減床材の製造工程を示す断面図である。 変形例1に係るアレルゲン低減床材の製造工程を示す断面図である。 変形例2に係るアレルゲン低減床材の製造工程を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものではない。
本実施形態に係るアレルゲン低減床材(10)は、室内等に設けられる床材(11)にアレルゲンの低減機能を付与したものである。
〈アレルゲン低減床材の構成〉
図1に示すように、アレルゲン低減床材(10)は、室内空間(S)に設置される床材(11)と、床材(11)の表面に形成される塗膜層(20)と、塗膜層(20)の表面に担持されるアレルゲン低減剤(30)とを有している。
塗装膜(20)は、下塗り層(21)、中塗り層(22)、表層(23)(上塗り層)とで構成されている。下塗り層(21)は床材の表面に形成され、中塗り層(22)は、下塗り層(21)の表面に形成される。表層(23)は、本発明に係る塗膜を構成しており、中塗り層(22)の表面に形成される。
本実施形態に係る表層(23)は、紫外線硬化樹脂を主成分とする基準塗料をベースとしている。アレルゲン低減剤(30)は、略球形状の固形粒子状の材料で構成されている。具体的に、本実施形態では、アレルゲン低減剤(30)として「N−122P」が用いられている。このアレルゲン低減剤(30)は、ポリマーの骨格自体に吸湿・放湿性の機能を付与したアクリル系微粒子の表面に、アレルゲン低減性能を有するアニオン性官能基を付与したものである。なお、本実施形態のアレルゲン低減剤(30)の材料は、単なる一例であり、固形粒子状であれば他の材料を用いることもできる。具体的に、アレルゲン低減剤(30)として、例えば固形粒子状の無機材料の表面にポリフェノール系の有機系抗アレルゲン剤が付与されたものを用いることができる。また、アレルゲン低減剤(30)の形状は、球形状以外にも、例えば円柱形や楕円形等、他の形状を採用することもできる。
本実施形態のアレルゲン低減剤(30)の平均的な粒子径rは、約20μmである。これに対し、表層(23)の平均的な厚さ(膜厚)dは、約10μmである。以上のように、本実施形態では、アレルゲン低減剤(30)の粒子径rが、塗膜を成す表層(23)の厚さdの2倍となっている(図1を参照)。これにより、アレルゲン低減剤(30)は、その一部(本実施形態では、約半分の部分)が表層(23)の外部へ露出する。その結果、アレルゲン低減剤(30)の露出面積を十分に確保でき、ひいては空気中のアレルゲンとアレルゲン低減剤(30)との接触効率を十分に確保できる。また、本実施形態のアレルゲン低減剤(30)は、その約半分が表層(23)の内部に埋設されている。これにより、アレルゲン低減剤(30)を表層(23)の内部に強固に担持させることができる。
以上のように、アレルゲン低減剤(30)の粒子径rは、表層(23)の厚さdよりも大きい方が好ましい。これにより、アレルゲン低減剤(30)を表層(23)の外部へ確実に露出させることができる。また、アレルゲン低減剤(30)の粒子径rは、表層(23)の厚さdの2倍以下である方が好ましい。粒子径rが、厚さdの2倍よりも大きくなると、表層(23)からアレルゲン低減剤(30)が剥がれ落ち易くなるからである。
なお、アレルゲン低減剤(30)の形状が、円柱形や楕円形である場合には、これらの形状における最も長い径(最大長さ)を粒子径rとして、この粒子径rを表層(23)の厚さdよりも大きく且つ厚さdの2倍以下とすれば良い。
〈アレルゲン低減床材の製造方法〉
アレルゲン低減床材(10)は、床材(11)の表面側にアレルゲン低減剤(30)を含む基準塗料を塗布することを基本として製造される。具体的には、まず、床材(11)の表面に所定の塗料を塗布し、この塗料を硬化させて下塗り層(21)を形成する(図2(A)を参照)。次いで、下塗り層(21)の表面に所定の塗料を塗布し、この塗料を硬化させて中塗り層(22)を形成する(図2(B)を参照)。なお、下塗り層(21)や中塗り層(22)としては、例えば紫外線硬化樹脂が用いられる。
次いで、中塗り層(22)の表面に表層(23)を形成するための塗料が塗布される。この塗料は、紫外線硬化樹脂から成る基準塗料95wt%に対して、アレルゲン低減剤(30)5wt%と、分散剤6.25wt%とを混合/撹拌することで得られる。本実施形態では、分散剤として酢酸エチルを用いているが、これ以外にも酢酸ブチル、イソプロピルアルコール、アセトン等を用いることができる。
以上のようにして得られた塗料は、中塗り層(22)の表面にロールコーターを用いて塗布される。次いで、塗布された塗料に紫外線を照射することで、この塗料が硬化して表層(23)が形成される。その結果、表層(23)の表面に固体粒子状のアレルゲン低減剤(30)が担持されたアレルゲン低減床材(10)が得られる(図2(C)を参照)。
なお、本実施形態では、床材(11)の単位面積あたりにおける上記表層(23)用塗料の塗布量が11.1g/mであり、床材(11)の単位面積あたりにおけるアレルゲン低減剤(30)の担持量(使用量)は約0.56g/mとなる。アレルゲン低減床材(10)では、アレルゲン低減床材(10)の粒子径rが20μmであり、表層(23)の膜厚dが10μmであるため、アレルゲン低減剤(30)の約50%が表層(23)の外部(即ち、室内空間(S)側)へ露出していることになる(図1を参照)。そうすると、アレルゲン低減床材(11)では、床材(11)の単位面積あたりにおけるアレルゲン低減剤(30)の露出量が、約0.28g/mとなる。
以上のように、本実施形態のアレルゲン低減床材(10)では、アレルゲン低減剤(30)を塗膜表面から露出させているため、床面近傍のアレルゲンとアレルゲン低減剤(30)との接触効率を促すことができる。従って、アレルゲン低減床材(10)では、アレルゲンを効果的に不活性化できる。
〈実施形態の効果〉
上記実施形態によれば、固体粒子状のアレルゲン低減剤(30)を床材(11)の表層(23)に担持させているので、例えばアレルゲン低減剤を塗膜内に溶解させる従来例と比較して、アレルゲン低減剤(30)とアレルゲンとの接触効率を高めることができる。このため、アレルゲン低減剤(30)の添加量を比較的少量としながら、アレルゲンを効果的に低減することができる。
また、このように固体粒子状のアレルゲン低減剤(30)を用いると、有機溶剤系の基準塗料であっても、アレルゲン低減剤(30)と基準塗料とを分離なく混合させることができる。即ち、例えば公知の水溶性のアレルゲン低減剤と、有機溶剤系の基準塗料とを混合させて塗料を作成すると、両者が反発/分離してしまう。従って、このような塗料を床材に塗布して硬化処理を行っても、両者が反発することに起因して良好な表面形状を得ることができない。これに対し、本実施形態では、アレルゲン低減剤(30)を固体粒子状としているため、有機溶剤系の塗料に対してアレルゲン低減剤(30)が反発することがない。従って、本実施形態のアレルゲン低減床材(10)では、有機溶剤系の基準塗料を用いても、良好な表面形状を得ることができる。
また、本実施形態の製造方法では、アレルゲン低減床材(10)におけるアレルゲンの低減能力を容易に推定できる。具体的に、アレルゲンの低減能力は、アレルゲンとアレルゲン低減剤(30)との接触効率、即ちアレルゲン低減剤の露出面積に大きく支配される。
ここで、本実施形態では、このアレルゲン低減剤の露出面積をアレルゲン低減剤(10)の粒子径r、及び表層(23)の厚さdから容易に算出することができる。従って、この算出結果から、アレルゲンの低減能力を推定できる。また逆に、本実施形態では、アレルゲン低減剤(10)の粒子径rや表層(23)の厚さdを変更することで、アレルゲンの低減能力を容易に変更できる。このため、同じ製造設備を利用して、アレルゲンの低減能力が異なる複数種のアレルゲン低減床材(10)を得ることができる。
《実施形態の変形例》
上記実施形態については、以下のような変形例としても良い。
〈製造方法の変形例1〉
変形例1に係るアレルゲン低減床材(10)の製造方法は、表層(23)の表面を研磨する工程を含んでいる。具体的には、まず、床材(11)の表面に下塗り層(21)及び中塗り層(22)を形成する(図3(A))。次いで、上記実施形態と同様にして、アレルゲン低減剤(30)を含んだ基準塗料を中塗り層(22)の表面に塗布して表層(23)を形成する(図3(B))。ここで、例えば基準塗料の粘性やアレルゲン低減剤(30)の添加量によっては、アレルゲン低減剤(30)の表面にまで塗膜が形成されてしまい、図3(B)に示すように、アレルゲン低減剤(30)の表面が表層(23)によって覆われてしまうことがある。そこで、変形例1では、塗膜を硬化処理して表層(23)を形成した後、この表層(23)の表面を研磨するようにしている。これにより、アレルゲン低減剤(30)の表面に形成された表層(23)が取り除かれ、アレルゲン低減剤(30)の表面の一部が露出されることになる。従って、変形例1では、アレルゲン低減剤(30)の露出面積を確実に確保でき、アレルゲン低減剤(30)によるアレルゲンの低減能力を十分得ることができる。また、このように研磨処理を行うことで、表層(23)の表面を平滑化することができる。
〈製造方法の変形例2〉
変形例2に係るアレルゲン低減床材(10)の製造方法は、中塗り層(22)の表面に形成された塗膜の表面にフィルム(40)を被せて圧締及び硬化処理を行った後、このフィルム(40)を剥がす工程を含んでいる。具体的には、まず、床材(11)の表面に下塗り層(21)及び中塗り層(22)を形成する(図4(A))。その後、中塗り層(22)にアレルゲン低減剤(30)を含んだ基準塗料を塗布する(図4(B))。この場合にも、図4(B)に示すように、例えば基準塗料の粘性やアレルゲン低減剤(30)の添加量によっては、アレルゲン低減剤(30)の表面にまで塗膜(23)が形成されてしまい、アレルゲン低減剤(30)が塗膜(23)によって覆われてしまうことがある(例えば図4(B)を参照)。そこで、変形例2では、このようにして形成した塗膜(23)の硬化処理を行う前に、塗膜(23)の表面にフィルム(40)を被せ、フィルム(40)に圧力を作用させて塗膜(23)を圧締する(図4(C))。これにより、アレルゲン低減剤(30)の表面の塗膜(23)を取り除くことができる。このようにフィルム(40)を被せた状態で、塗膜(23)に紫外線を照射して硬化処理を行い、表層(23)を形成する。そして、表層(23)を形成したにフィルム(40)を剥がす。その結果、図4(D)に示すように、アレルゲン低減剤(30)の表面の一部が露出されたアレルゲン低減床材(10)を得ることができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態や各変形例では、アレルゲン低減剤(30)を基準塗料に混合させて塗料を得た後、この塗料を床材(11)の表面側に塗布するようにしている。しかしながら、まず、床材(11)の表面側(中塗り層(22)の表面)にアレルゲン低減剤(30)を含まない塗料を塗布して塗膜を形成した後、この塗膜の表面に固体粒子状のアレルゲン低減剤(30)を散布するようにしても良い。この場合には、アレルゲン低減剤(30)が吹き付けられた状態の塗膜を硬化処理することで、表層(23)にアレルゲン低減剤(30)が担持されたアレルゲン低減床材(10)を得ることができる。
以上説明したように、本発明は、アレルゲンを不活性化させる機能を有するアレルゲン低減床材と、このアレルゲン低減床材の製造方法について、有用である。
10 アレルゲン低減床材
11 床材
23 表層(塗膜)
30 アレルゲン低減剤
40 フィルム

Claims (5)

  1. 床材と、該床材の表面側に形成される塗膜と、該塗膜内に含まれるアレルゲン低減剤とを有するアレルゲン低減床材であって、
    上記アレルゲン低減剤は、固体粒子状に形成されて上記塗膜の表面に担持されることを特徴とするアレルゲン低減床材。
  2. 請求項1において、
    上記固体粒子状のアレルゲン低減剤の粒子径rが、上記塗膜の厚さdよりも大きく且つ該塗膜の厚さdの2倍以下であることを特徴とするアレルゲン低減床材。
  3. 固体粒子状のアレルゲン低減剤を含む塗料を床材に塗布して該床材の表面側に塗膜を形成する工程を含むアレルゲン低減床材の製造方法。
  4. 請求項3において、
    上記床材の表面側に形成された上記塗膜の表面を研磨する工程を含むアレルゲン低減床材の製造方法。
  5. 請求項3において、
    上記床材の表面側に形成された塗膜の表面にフィルムを被せて圧締及び硬化処理を行った後、上記フィルムを剥がす工程を含むアレルゲン低減床材の製造方法。
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