JP2011174038A - 熱可塑性樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】
耐衝撃性、成形性のバランスに優れた人工大理石に似た特性を有する高比重スチレン系熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
ビニル系共重合体(A)および変性ビニル系共重合体(B)からなる樹脂100重量部に対し、ガラス強化材(C)10〜100重量部、比重が3以上である高比重無機充填材(D)10〜150重量部を含有し、比重が1.3以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であって、ビニル系共重合体(A)と前記変性ビニル系共重合体(B)の重量比率が30/70〜95/5の範囲内であり、且つ、(A)と(B)の100重量部に対して加えるガラス強化材(C)と高比重無機充填材(D)の合計量が200重量部以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
耐衝撃性、成形性のバランスに優れた人工大理石に似た特性を有する高比重スチレン系熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】
ビニル系共重合体(A)および変性ビニル系共重合体(B)からなる樹脂100重量部に対し、ガラス強化材(C)10〜100重量部、比重が3以上である高比重無機充填材(D)10〜150重量部を含有し、比重が1.3以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であって、ビニル系共重合体(A)と前記変性ビニル系共重合体(B)の重量比率が30/70〜95/5の範囲内であり、且つ、(A)と(B)の100重量部に対して加えるガラス強化材(C)と高比重無機充填材(D)の合計量が200重量部以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、人工大理石に似た特性を有する熱可塑樹脂組成物およびその成形品に関する。
住宅、建材用途において使用されている大理石や陶器は、高級感がある素材として広く使用されているが、加工性に難があり、コストダウンの観点から熱硬化性樹脂の比重を高めることにより作られる人工大理石やFRPにその市場の一部が置き換わっている。ただし、熱硬化性樹脂は、大理石や陶器に対してコストダウンは可能であるが、昨今環境保護が叫ばれる中、リサイクルができないという問題点がある。さらに熱硬化性樹脂は熱可塑性樹脂による射出成形と比較して、成形サイクルが長いことが問題点として指摘されて久しい。
一方、熱可塑性樹脂の一つであるスチレン系樹脂は、耐衝撃性、機械的強度および成形加工性、リサイクル性に優れていることから、住宅・建材用部品、家電部品、自動車部品の用途に幅広く利用されているが、大理石や陶器と比べて比重が低く、大理石や陶器の代替用途として使用することを目的としてスチレン系樹脂組成物を高比重化するためには、比重の高い無機充填材を添加することが必要となる。
スチレン系樹脂に高比重の充填材を添加した例として、硫酸バリウムなどの無機充填材を添加した樹脂組成物が開示されている(特許文献1〜3)。特許文献1は透明ABS樹脂に硫酸バリウムを添加し、光拡散性を改善するもので、人工大理石や陶器を代替材料として利用できることについて記載されていない。特許文献2では、スチレン系樹脂に硫酸バリウムを添加し飲料容器や医薬品用の容器への適用した例であるが、樹脂組成物の透明性を維持するため、無機フィラーの添加量が少なく、人工大理石や陶器の代替を意図したものではない。ABS樹脂を人工大理石や陶器の代替のために応用された検討例として、特許文献3にはABS樹脂に高比重の充填材を添加した樹脂組成物が開示されているが、比重が高く粒子径の細かい充填材を高濃度でABS樹脂に添加したため、樹脂組成物の耐衝撃性が極端に低く、射出成形時に取り出しができないという不具合が発生することがあり、仮に取出しができたとしても製品としての必要な衝撃強度を満足するものではなかった。
また、特許文献4にはポリエステル樹脂に硫酸バリウムなどの高比重の無機充填材を添加し、陶器を代替した樹脂組成物が開示されている。これは、射出成形後の成形品がそのまま製品になる場合は問題なく使用できるが、製品によっては成形品にフィルムの接着、印刷、塗装をいった二次加工が施される製品には用いることができず、また、結晶性樹脂の特性に起因した成形品肉厚部分のヒケによる外観不良により、製品の適用範囲が制限されていた。
本発明は、スチレン系熱可塑樹脂組成物において、無機充填材を高度に充填したとしても、耐衝撃性、成形性のバランスに優れた人工大理石に似た特性を有する高比重スチレン系熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記のような実状に鑑み、課題達成について鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(5)で構成される。
(1)少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)および芳香族ビニル系単量体(イ)を共重合させてなるビニル系共重合体(A)ならびに少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)、芳香族ビニル系単量体(イ)およびエポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)からなる単量体混合物を共重合してなる変性ビニル系共重合体(B)からなる樹脂100重量部に対し、ガラス強化材(C)10〜100重量部、比重が3以上である高比重無機充填材(D)10〜150重量部を含有し、比重が1.3以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であって、ビニル系共重合体(A)と前記変性ビニル系共重合体(B)の重量比率が30/70〜95/5の範囲内であり、且つ、(A)と(B)の100重量部に対して加えるガラス強化材(C)と高比重無機充填材(D)の合計量が200重量部以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
(2)前記ビニル系共重合体(A)が、シアン化ビニル系単量体(ア)1〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)0〜79重量%および共重合可能な他のビニル系単量体(エ)0〜79重量%からなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体である、(1)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(3)前記変性ビニル系共重合体(B)が、シアン化ビニル系単量体(ア)1〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜90重量%、エポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)0.1〜40重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(エ)0〜50重量%からなる単量体混合物を共重合してなる変性ビニル系共重合体である、(1)または(2)に記載の熱可塑性樹脂組成物。
(4)前記高比重無機充填材(D)の平均粒子径が0.4〜2.2μmであることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明の高比重スチレン系熱可塑性樹脂組成物は、熱可塑性樹脂組成物の加工性と人工大理石の特性を併せ持つ材料として利用できる。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物について、具体的に説明する。
本発明のスチレン系熱可塑性樹脂組成物は、ビニル系共重合体成分、変性ビニル系共重合体成分、ガラス強化材および高比重無機充填材を含み、ゴム質含有グラフト共重合体を含まないことを特徴とする。
本発明で用いられるビニル系共重合体(A)は、少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)と芳香族ビニル系単量体(イ)を共重合させてなるものであるが、他の単量体成分として、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)や共重合可能な他のビニル系単量体(エ)を共重合させてもよい。
シアン化ビニル系単量体(ア)としては、例えば、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルおよびエタアクリロニトリル等が挙げられるが、アクリロニトリルが好ましく用いられる。これらのシアン化ビニル系単量体(ア)は、必ずしも1種で使用する必要はなく2種以上混合して使用することもできる。
芳香族ビニル系単量体(イ)としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、o−エチルスチレン、o−クロロスチレンおよびo,p−ジクロロスチレン等が挙げられるが、特にスチレンとα−メチルスチレンが好ましく用いられる。これらの芳香族ビニル系単量体(イ)は、必ずしも1種で使用する必要はなく2種以上混合して使用することもできる。
また、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5,6−ペンタヒドロキシルおよび(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドキシペンチルなどが挙げられるが、特にメタクリル酸メチルが好ましく用いられる。これらの不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)は、必ずしも1種で使用する必要はなく2種以上混合して使用することもできる。
また、共重合可能な他のビニル系単量体(エ)としては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、イタコン酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、スチレン−p−グリシジルエーテル、p−グリシジルスチレン、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸モノエチルエステル、イタコン酸、無水イタコン酸、フタル酸、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸エチルアミノプロピル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N−ビニルジエチルアミン、N−アセチルビニルアミン、アリルアミン、メタアリルアミン、N−メチルアリルアミンおよびp−アミノスチレンなどを挙げることができる。これら他のビニル系単量体(エ)は、必ずしも1種で使用する必要はなく2種以上混合して使用することもできる。
ビニル系共重合体(A)における各単量体の構成比としては特に限定はないが、シアン化ビニル系単量体(ア)1〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)0〜79重量%および共重合可能な他のビニル系単量体(エ)0〜79重量%であることが好ましい。
ビニル系共重合体(A)中のシアン化ビニル系単量体(ア)の割合が1重量%未満では成形品の剛性や耐衝撃性が低下することがあり、一方、50重量%を超えると成形品の色調が悪化することがある。シアン化ビニル系単量体(ア)の量は、より好ましくは5〜40重量%であり、更に好ましくは10〜40重量%である。
また、成分(A)中の芳香族ビニル系単量体(イ)の割合が15重量%未満では成形性が悪化することがあり、85重量%を超えると耐衝撃性が低下することがある。芳香族ビニル系単量体(イ)の量は、より好ましくは25〜80重量%であり、更に好ましくは40〜80重量%である。
また、ビニル系共重合体(A)中の不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)の割合が79重量%を越えると耐衝撃性が低下することがある。また、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)が含まれる場合の重量比は5〜75重量%がより好ましく、20〜75重量%が更に好ましい。
また、ビニル系共重合体(A)中の共重合可能な他のビニル系単量体(エ)の割合が79重量%を超えると、耐衝撃性が低下することがあるため、共重合可能な他のビニル系単量体(エ)の量は、0〜79重量%が好ましい。また、共重合可能な他のビニル系単量体(エ)が含まれる場合の重量比は5〜75重量%がより好ましく、20〜75重量%が更に好ましい。
その他、ビニル系共重合体(A)のメチルエチルケトン0.4g/dlの濃度に調製した溶液の30℃における固有粘度は、0.30〜2.00dl/gであることが好ましく、より好ましくは0.32〜1.8dl/gであり、さらに好ましくは0.33〜1.50dl/gである。固有粘度が、0.30を下回る場合には、樹脂組成物の成形品の機械的強度、特に衝撃性が低下することがあり、一方2.00を越える場合には、射出成形時の流動性が損なわれ、大型の成形品では、成形できなくなる恐れがある。
ビニル系共重合体(A)の製造方法としては、乳化重合、懸濁重合、塊状重合および溶液重合等のいずれの重合方法によっても製造することができる。また、各単量体の仕込方法については特に制限はなく、初期一括仕込み、あるいは共重合体の組成分布を抑えるために仕込み単量体の一部または全部を連続的または分割して仕込みながら重合してもよい。
本発明で用いられる変性ビニル系共重合体(B)は、少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)および芳香族ビニル系単量体(イ)と、エポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)からなる単量体混合物を共重合させてなるものであり、分子鎖中にエポキシ基またはカルボキシル基を有するものであるが、他の単量体成分として、共重合可能な他のビニル系単量体(エ)を共重合させてもよい。
シアン化ビニル系単量体(ア)、芳香族ビニル系単量体(イ)および共重合可能な他のビニル系単量体(エ)については前述の通りであるが、ビニル系共重合体成分(A)と同じ成分であることが好ましい。
エポキシ基含有単量体(オ)としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジルおよびイタコン酸グリシジル等のエポキシ基を有する単量体が挙げられ、これらは必ずしも1種で使用する必要はなく、複数種混合して使用することもできる。
カルボキシル基含有単量体(カ)としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸、γ,γ´−アゾビス(γ−シアノバレイン酸)、過酸化サクシン酸が挙げられ、これらは必ずしも1種で使用する必要はなく、複数種混合して使用することもできる。
変性ビニル系共重合体(B)の構成比としては、シアン化ビニル系単量体(ア)1〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜90重量%、エポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)0.1〜40重量%、これらと共重合可能な他のビニル系単量体(エ)0〜50重量%およびであることが好ましい。
シアン化ビニル系単量体(ア)の割合が1重量%未満では成形品の剛性や耐衝撃性が低下することがあり、一方、50重量%を超えると成形品の色調が悪化することがある。シアン化ビニル系単量体(ア)の量は、より好ましくは5〜45重量%であり、更に好ましくは10〜40重量%である。
シアン化ビニル系単量体(ア)の割合が1重量%未満では成形品の剛性や耐衝撃性が低下することがあり、一方、50重量%を超えると成形品の色調が悪化することがある。シアン化ビニル系単量体(ア)の量は、より好ましくは5〜45重量%であり、更に好ましくは10〜40重量%である。
芳香族ビニル系単量体(イ)の割合が10重量%未満では成形性が悪化することがあり、90重量%を超えると耐衝撃性が低下することがある。芳香族ビニル系単量体(イ)の量は、より好ましくは15〜80重量%であり、更に好ましくは30〜80重量%である。エポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)の量が0.1重量%未満では添加した効果が低く、また、40重量%を越えると重合生産そのものが困難になったり、流動性が低下する場合がある。エポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)の量は、より好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは0.5から20重量%である。
共重合可能な他のビニル系単量体(エ)の量が50重量%を超えると、耐衝撃性が低下することがあるため、共重合可能な他のビニル系単量体(エ)の量は、0〜50重量%が好ましい。また、共重合可能な他のビニル系単量体(エ)が含まれる場合の重量比は5〜40重量%がより好ましく、10〜45重量%が更に好ましい。
その他、変性ビニル系共重合体(B)のメチルエチルケトンに0.4g/dlの濃度で調製した溶液の30℃における固有粘度は、成形加工性および耐衝撃性の点から、0.2dl/g〜1.5dl/gの範囲であることが好ましく、0.4dl/g〜1.0dl/gの範囲にあることが更に好ましい。固有粘度が0.2dl/g未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性向上効果が不十分であることがあり、一方1.5dl/gを超えると成形加工性が低下することがある。
変性ビニル系共重合体(B)の製造方法については特に制限はないが、通常、各単量体を混合して共重合する方法、上記のエポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)を重合開始剤として使用して少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)と芳香族ビニル系単量体(イ)を含む2種以上のビニル系単量体を重合する方法などを挙げることができる。変性ビニル系共重合体(B)を調製する際の重合方法については、懸濁重合、塊状重合、乳化重合および溶液重合等の方法が好ましく用いられる。
本発明でのビニル系共重合体(A)と前記変性ビニル系共重合体(B)の重量比率は30/70〜95/5の範囲であり、好ましくは40/60〜90/10、より好ましくは50/50〜85/15である。ビニル系共重合体(A)と前記変性ビニル系共重合体(B)の重量比率において、前記変性ビニル系共重合体(B)の比率が5重量%未満である場合には、機械的強度、特に衝撃性が低下するため好ましくない。一方、前記変性ビニル系共重合体(B)の比率が70重量%を越える場合には、材料の流動性が低下するため好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いるガラス強化材(C)は、主に人工大理石の特性である質感(打音感)の付与と、機械的物性の改良を目的に添加するものである。ガラス強化材の形状に制限はなく、繊維状ガラス、鱗片状ガラス、球状ガラスが使用できるが、衝撃強度を改良するうえでは繊維状ガラスが特に好ましい。また、繊維状ガラスの場合には、樹脂の強化用に用いるものならその種類に特に制限はなく、例えば長繊維タイプや短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバーなどから選択して用いることができる。
ガラス強化材(C)は、その表面を公知のカップリング剤(例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤など)、その他の表面処理剤で処理して用いることもでき、特に機械的強度および生産性などの面から、アミノシラン系化合物、エポキシラン化合物、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂およびアクリル樹脂等で予め表面処理し収束させたものを1〜20mmの範囲で切断したチョップドストランドとして使用することが好ましい。なお、前記変性ビニル系共重合体(B)がエポキシ基を含有している場合、ガラス強化材(C)はあらかじめアクリル樹脂で表面処理されたものが好ましく用いられ、前記変性ビニル系共重合体(B)がカルボキシル基を含有している場合、ガラス強化材はシラン系カップリング剤、好ましくはアミノシラン化合物で表面処理されたものが好ましく用いられる。また、ガラス強化材(C)としてガラス繊維を使用する場合、ガラス繊維はエチレン/酢酸ビニル共重合体などの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂で被覆あるいは集束されていてもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物におけるガラス強化材(C)の含有量は、前記成分(A)と成分(B)からなる樹脂100重量部に対し、10〜100重量部の範囲であり、好ましくは10〜75重量部、より好ましくは10〜50重量部である。ガラス強化材(C)の割合が10重量部未満である場合には、機械的特性、特に衝撃性が低下するばかりか、求める人工大理石の質感(打音感)が得られないため好ましくない。一方、100重量部を超える量添加する場合には、材料の流動性や、成形品の外観が悪くなるので好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に用いる高比重無機充填材(D)は、主に人工大理石の質感(重量感)の付与を目的に樹脂材料に添加されるものであり、前記成分(C)のガラス強化材とは区別されるものである。
高比重無機充填材(D)の具体例を例示すると、硫酸バリウム、チタン酸バリウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化亜鉛が挙げられ、さらに好ましくは硫酸バリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウムであり、特に好ましくは硫酸バリウムである。
また、高比重無機充填材(D)は、比重が3以上であることを特徴とし、好ましくは比重が3.5以上、より好ましくは4.0以上である。本発明の樹脂組成物からなる成形品は、後述の通り比重が1.3以上であることが好ましいが、高比重無機充填材(D)の比重が3未満である場合には、樹脂組成物全体の比重を1.3以上にするのに必要な高比重無機充填材を極端に多く使用する必要があり、成形性が損なわれるだけでなく、成形品の物性が低下することがある。なお、高比重無機充填材(D)の比重に関しては、後述の本発明の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品の特性である曲げ弾性率が5GPa以上、シャルピー衝撃強さが2.5kJ/m2以上、メルトフローレートが5g/10min以上を満足できる限り、比重の値に上限はない。
また、高比重無機充填材(D)は、平均粒子径が0.4〜2.2μmの球状粒子であることが好ましく、より好ましくは0.5〜1.5μm、さらに好ましくは0.6〜1.2μの範囲にある。平均粒子径が0.4μm未満である場合には、樹脂組成物の機械的特性、特に衝撃性が低下することがあり、一方2.2μmを超える場合には成形品の表面外観を悪化させることがある。
本発明で用いられる高比重無機充填材(D)は、成分(A)と成分(B)からなる樹脂100重量部に対し、10〜150重量部の範囲であり、好ましくは25〜110重量部、更に好ましくは35〜70重量%である。高比重無機充填材(D)の添加量が10重量部未満である場合には、熱可塑性樹脂組成物の比重が低いことから、人工大理石の質感を得ることが困難になることがあり、一方、150重量部を超える量を添加した場合には、熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性が低下することがあり好ましくない。
なお、本発明の熱可塑性樹脂組成物における、成分(C)と成分(D)の配合量は、成分(A)と成分(B)の100重量部に対し、成分(C)と成分(D)の合計量が200重量部以下であり、好ましくは、190重量部以下、更に好ましくは180重量部以下である。成分(A)と成分(B)の100重量部に対して配合する成分(C)と成分(D)の合計量が200重量部以上である場合、メルトフローレートが低下することがあるため、好ましくない。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の特性を損なわない範囲で成分(C)、成分(D)以外のフィラーを含有してもよい。成分(C)、成分(D)以外のフィラーの具体例としては、PAN系やピッチ系の炭素繊維、ステンレス繊維、アルミニウム繊維や黄銅繊維などの金属繊維、芳香族ポリアミド繊維などの有機繊維、石膏繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、ジルコニア繊維、アルミナ繊維、シリカ繊維、酸化チタン繊維、炭化ケイ素繊維、ロックウール、チタン酸カリウムウィスカー、チタン酸バリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、窒化ケイ素ウィスカーなどの繊維状、ウィスカー状充填剤、マイカ、タルク、カオリン、シリカ、炭酸カルシウム、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、クレー、二硫化モリブデン、ワラステナイト、モンモリロナイト、酸化チタン、ポリリン酸カルシウム、グラファイトなどが挙げられる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ヒンダードフェノール系、含硫黄化合物系、含リン有機化合物系などの酸化防止剤、フェノール系やアクリレート系などの熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系およびサクシレート系などの紫外線吸収剤、有機ニッケル系やヒンダードアミン系などの光安定剤、高級脂肪酸の金属塩類、高級脂肪酸アミド類などの滑剤、フタル酸エステル類、リン酸エステル類などの可塑剤、臭素化化合物やリン酸エステル、赤燐等の各種難燃剤、三酸化アンチモンや五酸化アンチモンなどの難燃助剤、アルキルカルボン酸やアルキルスルホン酸の金属塩、カーボンブラック、顔料および染料などを添加することもでき、また、各種充填材を配合することもできる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、樹脂成分中にゴム成分を含まないことを特徴とする。樹脂成分中にゴム成分が含まれると、求める人工大理石の質感(打音感)が得られないため好ましくない。したがって、本発明の熱可塑性樹脂組成物の性能を改良するに際して、本発明の目的を損なわない範囲で各種の熱可塑性樹脂を配合することができるが、その場合、ゴム成分を含まない熱可塑性樹脂を配合する必要がある。ゴム成分を含まない熱可塑性樹脂であって、本発明の熱可塑性樹脂組成物に好ましく配合されるものの具体例としては、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、ナイロン6やナイロン6,6等のポリアミド樹脂、変性PPE樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、あるいはそれらの変性物やエラストマー類が挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた成形品は、人工大理石に似た特性、つまり、製品を叩いたときの人工大理石のような打音感を有することを特徴とする。上記打音感を発現させるための特性としては、熱可塑性樹脂組成物の比重が1.3以上、且つ成形品をISO178に準拠して測定した場合の曲げ弾性率5GPa以上をともに満たす必要がある。比重と曲げ弾性率のそれぞれのより好ましい範囲としては、比重は1.5以上がより好ましく、更に好ましくは1.6以上である。また、曲げ弾性率のより好ましい範囲は6GPa以上であり、更に好ましくは7GPa以上である。
さらに、本発明の成形品において実用上問題のない衝撃強度は、ISO179に準拠したシャルピー衝撃強度において2.5kJ/m以上が好ましく、より好ましくは3.0kJ/m以上、更に好ましくは3.5kJ/mである。
また、本発明の成形品を製造する際に実用上問題のない流動性は、ISO1133に準拠したメルトフローレートにおいて5以上であることが好ましく、より好ましくは8以上、更に好ましくは10以上である。ここで、メルトフローレートの測定条件は265℃・98Nであり、単位はg/10minである。
本発明の成形品は、人工大理石や充填材含有の熱硬化性樹脂組成物が適している用途、すなわち建築部材、各種容器、日用品、生活雑貨および衛生用品など各種用途に利用することができる。本発明の樹脂組成物は、下記の具体的な用途に使用することができる。具体例としては、サッシ戸車、ブラインドカーテンパーツ、配管ジョイント、カーテンライナー、ブラインド部品、ガスメーター部品、水道メーター部品、湯沸かし器部品、浴室周辺部品、トイレ周辺部品、洗面台周辺部品、ルーフパネル、プラ束、天井釣り具、階段、ドア、床、壁部品などの建築部材、給水部品、玩具部品、ファン、パイプ、洗浄用治具、トレイ、茶碗、お椀、皿、カゴなどの容器・食器類などに好適に使用することができ、なかでも浴室周辺部品、トイレ周辺部品、洗面台周辺部品に使用することができる。
次に本発明の熱可塑性樹脂組成物およびその成形品の製造方法について詳細に説明する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は、本発明で規定する要件を満たす限り特に限定されるものではないが、例えば、本発明の樹脂組成物に用いる成分を単軸またはニ軸押出機で、均一に溶融混練する方法や、溶液中で混合した後に溶媒を除く方法などが好ましく用いられる。生産性の点で、一軸または二軸押出機で均一に溶融混練する方法が好ましく、流動性および機械特性に優れた樹脂組成物を得られるという点で、二軸押出機で均一に溶融混練する方法がより好ましい。なかでも、スクリュー長さをL,スクリュー直径をDとすると、L/D≧30の二軸押出機を使用して溶融混練する方法がより好ましい。ここで言うスクリュー長さとは、スクリュー根元の原料が供給される位置から、スクリュー先端部までの長さを指す。二軸押出機のL/Dの上限は特に制限はないが好ましくは150であり、より好ましくは100以下のものが使用できる。
また、本発明において二軸押出機で用いる場合のスクリュー構成としては、フルフライトおよびニーディングディスクを組み合わせて用いられるが、本発明の組成物を得るためにはスクリューによる均一的な混練が必要である。そのため、スクリュー全長に対するニーディングディスクの合計長さ(ニーディングゾーン)の割合は、5〜50%の範囲が好ましく、10〜40%の範囲であればさらに好ましい。
本発明において溶融混練する場合に、各成分を投入する方法は、例えば、投入口を2カ所有する押出機を用い、スクリュー根元側に設置した主投入口から樹脂成分および必要に応じてその他成分を供給する方法や、主投入口から樹脂成分およびその他成分を供給し、主投入口と押出機先端の間に設置した副投入口から無機充填材を供給し溶融混合する方法などが挙げられる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、通常公知の射出成形、押出成形、ブロー成形、プレス成形、紡糸などの任意の方法で成形することができ、各種成形品に加工し利用することができる。成形品としては、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、フィルム、シート、繊維などとして利用でき、フィルムとしては、未延伸、一軸延伸、二軸延伸などの各種フィルムとして、繊維としては、未延伸糸、延伸糸、超延伸糸など各種繊維として利用することができる。中でも本発明の樹脂組成物においては、金型のキャビティー表面が交互に加熱冷却されるヒートサイクル射出成形法によって成形することが、成形品の良外観性や以下に詳述する人工大理石に似た特性を発現するためには特に好ましい。
以下、本発明の熱可塑性樹脂組成物とその成形品を実施例で詳細に説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。まず、熱可塑性樹脂の特性等の評価方法を下記する。
(1)タイプA試験片作成
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度265℃に設定した住友重機製SE50DU成形機内に充填し、ISO294に準拠し、射出成形によりタイプA試験片を得た。
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、シリンダー温度265℃に設定した住友重機製SE50DU成形機内に充填し、ISO294に準拠し、射出成形によりタイプA試験片を得た。
(2)比重
上記タイプA試験片を用い、ISO1183に準拠した比重を測定した。
上記タイプA試験片を用い、ISO1183に準拠した比重を測定した。
(3)曲げ弾性率
上記タイプA試験片を用い、ISO178に準拠した曲げ弾性率(GPa)を測定した。
上記タイプA試験片を用い、ISO178に準拠した曲げ弾性率(GPa)を測定した。
(4)シャルピー衝撃強度
上記タイプA試験片を用い、ISO2818に準拠してVノッチ加工を施した試験片を用い、ISO179に準拠したシャルピー衝撃強度(kJ/m2)を測定した。
上記タイプA試験片を用い、ISO2818に準拠してVノッチ加工を施した試験片を用い、ISO179に準拠したシャルピー衝撃強度(kJ/m2)を測定した。
(5)メルトフローレート
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、ISO−1133に準拠し、265℃、98Nの条件で測定した。この値が大きいほど高い流動性を示し、成形加工性に優れる。
80℃熱風乾燥機中で3時間乾燥した熱可塑性樹脂組成物のペレットを、ISO−1133に準拠し、265℃、98Nの条件で測定した。この値が大きいほど高い流動性を示し、成形加工性に優れる。
(6)質感
質感とは、手に持ったときの感触や打音感で評価されるものであるが、成形品の比重と曲げ弾性率に置き換えて評価することができる。本発明での判定基準は、目標となる人工大理石の比重および曲げ弾性率の数値を5点とし、4〜1点は以下の基準で判定した。また、4点以上のものを合格点とした。
1点:比重1.20未満で曲げ弾性率3.0GPa未満である場合を1点と判定する。
2点:比重1.20以上1.25未満で曲げ弾性率4.0GPa未満である場合、または曲げ弾性率3.0GPa以上4.0GPa未満で比重1.25未満である場合を2点と判定する。
3点:比重1.25以上にて曲げ弾性率5.0GPa未満である場合、または比重1.30未満であっても曲げ弾性率4GPa以上である場合を3点と判定する。
4点:比重1.30以上1.50未満で曲げ弾性率5.0GPa以上である場合、または曲げ弾性率5GPa以上6GPa未満で比重1.30以上である場合を4点と判定する。
5点:比重1.50以上で曲げ弾性率6GPa以上(人工大理石の特性)を5点と判定する。
質感とは、手に持ったときの感触や打音感で評価されるものであるが、成形品の比重と曲げ弾性率に置き換えて評価することができる。本発明での判定基準は、目標となる人工大理石の比重および曲げ弾性率の数値を5点とし、4〜1点は以下の基準で判定した。また、4点以上のものを合格点とした。
1点:比重1.20未満で曲げ弾性率3.0GPa未満である場合を1点と判定する。
2点:比重1.20以上1.25未満で曲げ弾性率4.0GPa未満である場合、または曲げ弾性率3.0GPa以上4.0GPa未満で比重1.25未満である場合を2点と判定する。
3点:比重1.25以上にて曲げ弾性率5.0GPa未満である場合、または比重1.30未満であっても曲げ弾性率4GPa以上である場合を3点と判定する。
4点:比重1.30以上1.50未満で曲げ弾性率5.0GPa以上である場合、または曲げ弾性率5GPa以上6GPa未満で比重1.30以上である場合を4点と判定する。
5点:比重1.50以上で曲げ弾性率6GPa以上(人工大理石の特性)を5点と判定する。
[参考例1]ビニル系共重合体(A)の製造方法
<A−1>
バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、特公昭45−24151号公報の実施例1に記載の水中でのラジカル重合方法で製造したアクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部を、イオン交換水165部に溶解した溶液を入れて400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、スチレン,アクリロニトリル,メチルメタクリレートの合計100重量部とt−ドデシルメルカプタン:0.05部,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4部,脱イオン水:150部の混合溶液を攪拌下の系内に添加し、60℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、15分かけて反応温度を65℃まで昇温した後、50分かけて100℃の温度まで昇温した。以後、系内を室温まで冷却し、ポリマーの分離、洗浄および乾燥することでビニル系共重合体(A−1)を得た。
<A−1>
バッフルおよびファウドラ型撹拌翼を備えたステンレス製オートクレーブに、特公昭45−24151号公報の実施例1に記載の水中でのラジカル重合方法で製造したアクリル酸メチル/アクリルアミド共重合体0.05部を、イオン交換水165部に溶解した溶液を入れて400rpmで撹拌し、系内を窒素ガスで置換した。次に、スチレン,アクリロニトリル,メチルメタクリレートの合計100重量部とt−ドデシルメルカプタン:0.05部,2,2’−アゾビスイソブチロニトリル:0.4部,脱イオン水:150部の混合溶液を攪拌下の系内に添加し、60℃に昇温して重合を開始した。重合開始後、15分かけて反応温度を65℃まで昇温した後、50分かけて100℃の温度まで昇温した。以後、系内を室温まで冷却し、ポリマーの分離、洗浄および乾燥することでビニル系共重合体(A−1)を得た。
A−1はスチレン/アクリロニトリル=72/28の比率で調製した。得られたA−1の固有粘度は、0.53dl/gであった。
[参考例2]変性ビニル系共重合体(B)の製造方法
<B−1>
スチレン75部、アクリロニトリル20部およびメタクリル酸5部をビニル系共重合体(A)と同重合方法で、ビーズ状の変性ビニル系共重合体(B−1)を得た。その変性ビニル系共重合体(B−1)の固有粘度は、0.64dl/gであった。
<B−1>
スチレン75部、アクリロニトリル20部およびメタクリル酸5部をビニル系共重合体(A)と同重合方法で、ビーズ状の変性ビニル系共重合体(B−1)を得た。その変性ビニル系共重合体(B−1)の固有粘度は、0.64dl/gであった。
[参考例3]ガラス強化材(C)
<C−1>
日本電気硝子社製 チョップドストランド ECS03T−351(平均繊維径13μm)を使用した。
<C−1>
日本電気硝子社製 チョップドストランド ECS03T−351(平均繊維径13μm)を使用した。
[参考例4]高比重無機充填材(D)
<D−1>
堺化学工業株式会社製 硫酸バリウム B−55(比重4.4、平均粒子径0.7μm)を使用した。
<D−1>
堺化学工業株式会社製 硫酸バリウム B−55(比重4.4、平均粒子径0.7μm)を使用した。
[参考例5]ゴム含有グラフト共重合体(E)
<E−1>
窒素置換した反応器に、純水150重量部、ブドウ糖0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、硫酸第一鉄0.005重量部および重量平均ゴム粒子径が0.8μmとなるポリブタジエンラテックス60重量部を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン(28重量部)、アクリロニトリル(12重量部)および連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン混合物(0.2重量部)を4時間掛けて連続添加した。同時に並行して、重合開始剤クメンハイドロパーオキサイド(0.2重量部)およびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)をラテックス固形分100重量部に対して1部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で酸凝固後、水酸化ナトリウムで硫酸を中和し、洗浄濾過後、乾燥し、パウダー状のゴム含有グラフト共重合体(E−1)を得た。
<E−1>
窒素置換した反応器に、純水150重量部、ブドウ糖0.5重量部、ピロリン酸ナトリウム0.5重量部、硫酸第一鉄0.005重量部および重量平均ゴム粒子径が0.8μmとなるポリブタジエンラテックス60重量部を仕込み、撹拌しながら反応器内の温度を65℃に昇温した。内温が65℃に達した時点を重合開始として、スチレン(28重量部)、アクリロニトリル(12重量部)および連鎖移動剤t−ドデシルメルカプタン混合物(0.2重量部)を4時間掛けて連続添加した。同時に並行して、重合開始剤クメンハイドロパーオキサイド(0.2重量部)およびオレイン酸カリウムからなる水溶液を7時間掛けて連続添加し、反応を完結させた。得られたラテックスに、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)をラテックス固形分100重量部に対して1部添加し、続いて、このラテックスを硫酸で酸凝固後、水酸化ナトリウムで硫酸を中和し、洗浄濾過後、乾燥し、パウダー状のゴム含有グラフト共重合体(E−1)を得た。
[実施例1〜10]
上記で調製した成分(A)〜(D)を表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ二軸押出機PCM30(L/D=30)、樹脂温度260℃にて溶融混練し、実施例1〜10の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
上記で調製した成分(A)〜(D)を表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ二軸押出機PCM30(L/D=30)、樹脂温度260℃にて溶融混練し、実施例1〜10の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
実施例1〜10の結果から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、比重、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さ、メルトフローレートおよび質感の全てが優れていた。
[比較例1〜10]
上記で調製した成分(A)〜(D)および(E)を表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ二軸押出機PCM30(L/D=30)、樹脂温度260℃にて溶融混練し、比較例1〜10の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
上記で調製した成分(A)〜(D)および(E)を表1に示した配合比で混合し、ベント付き30mmφ二軸押出機PCM30(L/D=30)、樹脂温度260℃にて溶融混練し、比較例1〜10の熱可塑性樹脂組成物のペレットを得た。
表2の結果から判るように、比較例1と比較例5は、変性ビニル系共重合体(B)を含まないことから、シャルピー衝撃強さが実施例よりも劣っていた。
比較例2は、ビニル系共重合体(A)と変性ビニル系共重合体(B)の重量比率において、変性ビニル系共重合体(B)が本発明の範囲から外れることから、メルトフレローレートが実施例よりも劣っていた。
比較例3は、熱可塑性樹脂組成物の比重が本発明の要求を満たさないことから、質感が劣っていた。
比較例4は、(A)と(B)の100重量部に対して加えるガラス強化材(C)と高比重無機充填材(D)の合計量が本発明の範囲から外れるため、メルトフローレートが実施例よりも劣っていた。
比較例6は、ガラス強化材(C)の配合量が多く、本発明の範囲から外れるため、曲げ弾性率、シャルピー衝撃強さおよび質感は実施例と同等レベルであったが、メルトフローレートが実施例よりも劣っていた。
比較例7は、高比重無機充填材(D)の配合量が多く、本発明の範囲から外れるため、メルトフローレートおよび質感は実施例と同等レベルであったが、曲げ弾性率およびシャルピー衝撃強さが実施例よりも劣っていた。
比較例8は、ゴム含有グラフト共重合体(E)を含むため、シャルピー衝撃強さとメルトフローレートは実施例と同等レベルであったが、曲げ弾性率と質感が実施例よりも劣っていた。
比較例9は、高比重無機充填材(D)を含まないため、熱可塑性樹脂組成物の比重が1.3未満であるため、実施例よりも質感が劣っていた。
比較例10は、ガラス強化材(C)を含まないため、メルトフローレートは実施例と同等レベルであったが、曲げ弾性率およびシャルピー衝撃強さが実施例よりも劣っており、且つ、熱可塑性樹脂組成物の比重が1.3未満であるため、実施例よりも質感が劣っていた。
Claims (5)
- 少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)および芳香族ビニル系単量体(イ)を共重合させてなるビニル系共重合体(A)ならびに少なくともシアン化ビニル系単量体(ア)、芳香族ビニル系単量体(イ)およびエポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)からなる単量体混合物を共重合してなる変性ビニル系共重合体(B)からなる樹脂100重量部に対し、ガラス強化材(C)10〜100重量部、比重が3以上である高比重無機充填材(D)10〜150重量部を含有し、比重が1.3以上であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物であって、ビニル系共重合体(A)と前記変性ビニル系共重合体(B)の重量比率が30/70〜95/5の範囲内であり、且つ、(A)と(B)の100重量部に対して加えるガラス強化材(C)と高比重無機充填材(D)の合計量が200重量部以下であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
- 前記ビニル系共重合体(A)が、シアン化ビニル系単量体(ア)1〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(イ)15〜85重量%、不飽和カルボン酸アルキルエステル系単量体(ウ)0〜79重量%および共重合可能な他のビニル系単量体(エ)0〜79重量%からなる単量体混合物を共重合してなるビニル系共重合体である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記変性ビニル系共重合体(B)が、シアン化ビニル系単量体(ア)1〜50重量%、芳香族ビニル系単量体(イ)10〜90重量%、エポキシ基含有単量体(オ)またはカルボキシル基含有単量体(カ)0.1〜40重量%およびこれらと共重合可能な他のビニル系単量体(エ)0〜50重量%からなる単量体混合物を共重合してなる変性ビニル系共重合体である、請求項1または2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 前記高比重無機充填材(D)の平均粒子径が0.4〜2.2μmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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