JP2011173043A - 遠心分離機および細胞処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】濃縮工程時においても各遠心分離容器からの液漏れ等の異常の検知精度を向上することができる遠心分離機および細胞処理装置を提供する。
【解決手段】試料を収容するチャンバー11A,11Bと、チャンバー11A,11Bを揺動自在に支持し、これらチャンバー11A,11Bの中心位置に配置された軸線L回りに回転される回転軸13と、回転軸13を軸線L回りに回転させるモータ15と、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きを算出し、算出された傾きに基づいて試料の重量を算出する制御部16とを備える遠心分離機10を採用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、遠心分離機および細胞処理装置に関するものである。
細胞懸濁液から遠心分離することにより細胞の濃縮あるいは抽出を行う細胞処理装置が知られている。細胞処理装置では、生体組織を消化する消化工程、消化後の所望の細胞を濃縮する濃縮工程、濃縮後の上澄み液を廃棄する廃棄工程がある。消化工程および廃棄工程では、重量計を設置することで、溶液移送の状態を監視して、液漏れ等の異常をユーザに報知することができる。
しかしながら、濃縮工程を行う機構には、構造上、重量計を設置することは困難であるため、溶液移送の状態を監視することができない。これに対して、従来、各遠心分離容器内の試料の重量の大小関係を判断する細胞処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2009−39630号公報
しかしながら、上記の特許文献1に開示されている技術では、各遠心分離容器の重量の差異をエラーの基準として判別しているので、液漏れ等が発生していても、各遠心分離容器の重量が同じであれば異常として検知することができないという不都合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、濃縮工程時においても各遠心分離容器からの液漏れ等の異常の検知精度を向上することができる遠心分離機および細胞処理装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を採用する。
本発明の第1の態様は、試料を収容する複数の試料容器と、該複数の試料容器を揺動自在に支持し、これら試料容器の中心位置に配置された軸線回りに回転される回転支持部と、該回転支持部を前記軸線回りに回転させる駆動部と、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出する傾き算出手段と、該傾き算出手段により算出された傾きに基づいて前記試料の重量を算出する重量算出手段とを備える遠心分離機である。
本発明の第1の態様によれば、駆動部の作動により、複数の試料容器を揺動自在に支持する回転支持部が、複数の試料容器の中心位置に配置された軸線回りに回転させられる。これにより、各試料容器に収容されている試料が、回転軌跡の半径方向外方に向かって回転数に応じた遠心力を受け、その成分が比重毎に遠心分離される。
この際、試料容器は、回転支持部の軸線に対して、遠心力と重力との合力方向に傾く。この試料容器の傾きは、試料容器に収容されている試料の重量によって変化する。そこで、試料容器の傾きを傾き算出手段によって算出し、算出した傾きに基づいて重量算出手段により試料の重量を算出することができる。これにより、試料容器からの液漏れ等の異常を検出することができる。
上記態様において、前記試料容器の回転軌跡の半径方向外方に配置され、前記試料容器との距離を測定する距離センサを有し、前記傾き算出手段が、前記距離センサにより測定された距離に基づいて、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出することとしてもよい。
このようにすることで、回転支持部の軸線に直交する方向における距離センサと試料容器との距離を測定して、試料容器の傾きを算出することができ、算出した傾きに基づいて重量算出手段により試料の重量を算出することができる。
上記態様において、前記試料容器の回転軌跡の前記軸線に沿う方向に配置され、前記試料容器との距離を測定する距離センサを有し、前記傾き算出手段が、前記距離センサにより測定された距離に基づいて、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出することとしてもよい。
このようにすることで、回転支持部の軸線に沿う方向における距離センサと試料容器との距離を測定して、試料容器の傾きを算出することができ、算出した傾きに基づいて重量算出手段により試料の重量を算出することができる。
上記態様において、前記試料容器に設けられ、前記試料容器の加速度を測定する加速度センサを有し、前記傾き算出手段が、前記加速度センサにより測定された加速度に基づいて、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出することとしてもよい。
加速度センサにより試料容器の加速度を測定することで、試料容器の角速度が一定な場合における試料容器の回転軌跡の半径を算出することができる。この試料容器の回転軌跡の半径から、試料容器の傾きを算出することができ、算出した傾きに基づいて重量算出手段により試料の重量を算出することができる。
上記態様において、前記試料容器に設けられた識別部と、該識別部を判別する判別手段とを備え、前記重量算出手段が、前記傾き算出手段により算出された傾きおよび前記判別手段により判別された識別部に基づいて前記試料の重量を算出することとしてもよい。
このようにすることで、判別手段により識別部すなわち試料容器を判別した上で、試料容器毎に試料の重量を算出することができる。これにより、試料容器の重量誤差や試料容器の傾きやすさの差異を加味して試料の重量を算出することができ、試料の重量算出精度を向上することができる。
上記態様において、前記試料の重量を記憶する記憶部と、該記憶部に予め記憶された前記試料の重量と前記重量算出手段により算出された前記試料の重量とを比較して、異常を判定する異常判定部とを備えることとしてもよい。
このようにすることで、記憶部に予め記憶された試料の重量と重量算出手段により算出された試料の重量とを比較して、試料容器からの液漏れ等の異常を判定することができる。
上記態様において、前記異常判定部が異常と判定した場合に、前記駆動部の動作を停止させることとしてもよい。
このようにすることで、試料容器からの液漏れ等の異常が発生した場合に、駆動部の動作を停止させ、各試料容器の重量の差異によって生じる偏心荷重や、該偏心荷重による振動を抑制することができ、遠心分離機の故障等を防止することができる。
上記態様において、前記異常判定部が異常と判定したことを報知することとしてもよい。
このようにすることで、試料容器からの液漏れ等の異常をユーザに報知することができる。
本発明の第2の態様は、生体組織を洗浄する洗浄部と、該洗浄部により洗浄された生体組織を消化し、細胞を分離する消化部と、該消化部により分離された細胞を濃縮する上記の遠心分離機とを備える細胞処理装置である。
本発明の第2の態様によれば、上記の遠心分離機を採用しているため、消化部により分離された細胞を濃縮する濃縮工程においても、試料容器内の試料の重量を算出することができ、細胞を生体組織から取り出して濃縮する細胞処理を確実に行うことが可能となる。また、試料容器の傾きに基づいて複数の試料容器間の試料の量が均等になるように補正することで、回転支持部をスムーズに回転させ、試料の遠心分離を円滑に行うことが可能となる。
本発明によれば、濃縮工程時においても各遠心分離容器からの液漏れ等の異常の検知精度を向上することができるという効果を奏する。
本発明の第1の実施形態に係る細胞処理装置の概略構成を示す図である。 図1の制御部の機能ブロック図である。 図1の細胞処理装置の回転時における正常状態を示す図である。 図1の細胞処理装置の回転時における異常状態を示す図である。 図1の遠心分離機の遠心処理工程を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施形態に係る細胞処理装置の概略構成を示す図である。 図6の遠心分離機の遠心処理工程を示すフローチャートである。 図6の変形例に係る細胞処理装置の概略構成を示す図である。
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態に係る細胞処理装置について、図1から図5を参照して説明する。
本実施形態に係る細胞処理装置1は、図1に示すように、生体細胞を含む生体組織を洗浄する洗浄部3と、該洗浄部3により洗浄された生体組織を消化し、生体細胞を分離する消化部5と、該消化部5により分離された生体細胞を濃縮する遠心分離機10とを備えている。洗浄部3および消化部5としては、公知の装置を用いることができ、特に限定されるものではない。
遠心分離機10は、試料となる生体細胞を収容するチャンバー(試料容器)11A,11Bと、チャンバー11A,11Bを支持する回転軸(回転支持部)13と、回転軸13を軸線L回りに回転させるモータ(駆動部)15と、チャンバー11A,11Bに設けられた加速度センサ12A,12Bと、チャンバー11A,11Bに試料を供給する供給部14と、遠心分離機10の制御を行う制御部16と、遠心分離機10の異常状態をユーザに報知するブザー(報知手段)17とを備えている。
チャンバー11A,11Bは、有底円筒状に形成され、開口部が蓋部25A,25Bにより締結されるようになっている。チャンバー11A,11Bには、試料を供給するための試料供給路27A,27Bがそれぞれ蓋部25A,25Bを介して挿入されている。
加速度センサ12A,12Bは、チャンバー11A,11Bの加速度をそれぞれ検出し、検出した加速度を制御部16に送信するようになっている。
回転軸13は、その軸線Lがチャンバー11A,11Bの中心位置に配置されている。回転軸13は、T字状に形成され、チャンバー11A,11Bを揺動自在に支持する腕部28A,28Bを有している。具体的には、回転軸13のT字状に形成された一方の腕部28Aがチャンバー11Aの蓋部25Aと回転自在なピンを介して連結され、他方の腕部28Bがチャンバー11Bの蓋部25Bと回転自在なピンを介して連結されている。
また、回転軸13は、下方に配置されたモータ15の駆動軸(図示略)に取り付けられている。
モータ15は、回転軸13を軸線L回りに回転させることにより、回転軸13の腕部28A,28Bにより支持されるチャンバー11A,11Bを回転軸13の軸線L回りに回転させるようになっている。
モータ15は取り付け板23に載置されており、取り付け板23の下端には取り付けダンパ24が設置されている。ダンパ24は、モータ15が駆動されることにより発生する振動を吸収するようになっている。
供給部14とチャンバー11A,11Bとは、試料を流通させる接続チューブ26A,26Bにより接続されている。
供給部14は、接続チューブ26A,26Bへの流路をそれぞれ開閉するバルブ(図示略)を有しており、制御部16からの指示により該バルブを開閉するようになっている。
以下に制御部16の有する機能について図2を用いて説明する。
図2に示すように、制御部16は、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きを算出する傾き算出部(傾き算出手段)31と、チャンバー11A,11B内の試料の重量を算出する重量算出部(重量算出手段)32と、供給された試料の重量を記憶する記憶部34と、異常を判定する異常判定部33とを機能として有している。
傾き算出部31は、チャンバー11A,11Bに設けられた加速度センサ12A,12Bにより検出された加速度に基づいて、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きを算出するようになっている。
重量算出部32は、傾き算出部31により算出されたチャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きに基づいて、チャンバー11A,11B内の試料の重量を算出するようになっている。
以下に、重量算出部32による具体的な試料の重量の算出方法について説明する。
モータ15を回転させると、図3に示すように、チャンバー11A,11Bは、回転軸13の軸線Lに対して、遠心力f1と重力f2との合力F方向に傾く。このチャンバー11A,11Bの傾きは、tanΘ(=f1/f2)として表わされる。
このチャンバー11A,11Bの傾きは、チャンバー11A,11Bに収容されている試料の重量によって変化する。
例えば、チャンバー11Aから液漏れ等が発生し、チャンバー11Aに収容されている試料の重量が小さくなった場合には、図3に示すように、チャンバー11A内の試料の重心位置Pは、チャンバー11Aの底面方向の重心位置P’に変化する。この重心位置P’の軸線L周りの回転半径r’は、重心位置Pの回転半径rに比べて大きくなる。
ここで、重心位置にかかる遠心加速度は、回転半径×角速度で表わされる。したがって、角速度が一定の場合には、重心位置P’の遠心加速度は、重心位置Pの遠心加速度に比べて大きくなる。その結果、重心位置P’にかかる遠心力f1’(質量×遠心加速度)は、チャンバー11Aからの液漏れの質量分だけ小さくなるものの、遠心加速度の増加分だけ大きくなる。一方、重力加速度は重心位置に関わらず一定であるため、重心位置P’にかかる重力f2’(質量×重力加速度)は、チャンバー11Aからの液漏れの質量の分だけ小さくなる。すなわち、重力f2’に対する遠心力f1’の割合が増加することとなる。
その結果、図4に示すように、遠心力f1’と重力f2’との合力F’方向に、チャンバー11Aが移動させられて、チャンバー11Aの軸線Lに対する傾きが大きくなる。この際、チャンバー11Aの傾きは、tanΘ’(=f1’/f2’)と表わされる。
上記のように、チャンバー11A,11Bに収容されている試料の重量に反比例して、各チャンバーの軸線Lに対する傾きは大きくなる。そこで、重量算出部32は、傾き算出部31によって算出されたチャンバー11A,11Bの傾きに基づいて、各チャンバー内の試料の重量を算出することができる。
記憶部34は、供給部14からチャンバー11A,11Bに対して送液した試料の重量が記憶されている。
異常判定部33は、記憶部34に記憶された試料の重量と重量算出部32により算出された試料の重量とを比較して、チャンバー11A,11Bからの試料の漏れ等の異常を判定するようになっている。また、異常判定部33は、異常と判定した場合に、ブザー17を動作させてユーザに報知させるとともに、モータ15の動作を停止させるようになっている。
次に、上記構成を有する細胞処理装置1の動作について説明する。
生体細胞を含む生体組織は、まず、洗浄部3において洗浄され、消化部5へと送られる。続いて、消化部5において、洗浄後の生体組織が消化されて生体細胞が分離される。分離された生体細胞は、遠心分離機10へと送られて、遠心処理されることにより濃縮される。
遠心分離機10の動作について、図5のフローチャートを用いて以下に説明する。
濃縮される生体細胞は、遠心分離機10の供給部14に送られ、試料供給路27A,27Bを介して、試料としてチャンバー11A,11Bにそれぞれ供給される(ステップS1)。また、この際の送液量は、記憶部34に記憶される。
次に、モータ15を作動させることで、回転軸13が軸線L回りに回転させ、チャンバー11A,11Bを軸線L回りに回転させる(ステップS2)。この際、チャンバー11A,11B内の試料が受ける遠心力が、例えば1Gとなるようにモータ15を回転させる。これにより、チャンバー11A,11Bに収容されている試料が、回転の半径方向外方に向かって回転数に応じた遠心力を受け、その成分が比重毎に遠心分離される。
次に、加速度センサ12A,12Bにより、チャンバー11A,11Bの加速度を測定する(ステップS3)。そして、傾き算出部31により、チャンバー11A,11Bの加速度から、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きを算出する(ステップS4)。
次に、重量算出部32により、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きから、チャンバー11A,11B内の試料の重量を算出する(ステップS5)。そして、異常判定部33により、送液量すなわち記憶部34に予め記憶された重量と、重量算出部32により算出されたチャンバー11A,11B内の試料の重量との比較が行われる(ステップS6)。
ステップS6において、記憶部34に予め記憶された重量と算出された試料の重量との間に乖離がなかった場合には、異常なしと判断して遠心分離動作に移行する(ステップS7)。一方、記憶部34に予め記憶された重量と算出された試料の重量との間に乖離があった場合には、液漏れ等の異常が発生していると判断して、エラーを発生させる(ステップS8)。具体的には、ブザー17を動作させ、ユーザに確認させる。
以上説明したように、本実施形態に係る遠心分離機10によれば、加速度センサ12A,12Bによりチャンバー11A,11Bの加速度を測定することで、チャンバー11A,11Bの角速度が一定な場合におけるチャンバー11A,11Bの回転軌跡の半径を算出することができる。このチャンバー11A,11Bの回転軌跡の半径から、チャンバー11A,11Bの傾きを算出することができ、算出した傾きに基づいて重量算出部32により試料の重量を算出することができる。これにより、チャンバー11A,11Bからの液漏れ等の異常を検出することができる。
また、異常判定部33と記憶部34を備えることで、記憶部34に予め記憶された試料の重量と重量算出部32により算出された試料の重量とを比較して、異常判定部33によりチャンバー11A,11Bからの液漏れ等の異常を判定することができる。
また、異常判定部33が異常と判定した場合に、モータ15の動作を停止させることで、チャンバー11A,11Bからの液漏れ等の異常が発生した場合に、モータ15の動作を停止させ、各チャンバー11A,11Bの重量の差異によって生じる偏心荷重や、偏心荷重による振動を抑制することができ、遠心分離機10の故障等を防止することができる。
また、異常判定部33が異常と判定したことを報知するブザー17を備えることで、チャンバー11A,11Bからの液漏れ等の異常をユーザに報知することができる。
また、上記の遠心分離機10を備える細胞処理装置1によれば、消化部5により分離された細胞を濃縮する濃縮工程においても、チャンバー11A,11B内の試料の重量を算出することができ、細胞を生体組織から取り出して濃縮する細胞処理を確実に行うことが可能となる。
なお、供給部14が、チャンバー11A,11Bの傾きに基づいてバルブを動作させ、チャンバー11A,11B内の試料の量が均等になるように試料を供給することとしてもよい。このようにすることで、回転軸13をスムーズに回転させ、試料の遠心分離を円滑に行うことが可能となる。
また、チャンバー11A,11Bの少なくとも一方に識別部(図示略)を設け、該識別部を判別する判別部(判別手段)を備えるとともに、重量算出部32が、傾き算出部31により算出された傾きおよび判別部により判別された識別部に基づいて試料の重量を算出することとしてもよい。
このようにすることで、判別部により識別部すなわちチャンバー11A,11Bを判別し、チャンバー11A,11B毎に試料の重量を算出することができる。これにより、チャンバー11A,11Bの重量誤差やチャンバー11A,11Bの傾きやすさの差異を加味して試料の重量を算出することができ、試料の重量算出精度を向上することができる。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態に係る細胞処理装置2について、図6から図8を参照して説明する。
本実施形態に係る細胞処理装置2は、チャンバーの傾きを算出する方法が第1の実施形態に係る細胞処理装置1と異なる。
以下、第1の実施形態に係る細胞処理装置1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
本実施形態に係る細胞処理装置2は、図6に示すように、洗浄部3と、消化部5と、該消化部5により分離された生体細胞を濃縮する遠心分離機20とを備えている。
遠心分離機20は、試料となる生体細胞を収容するチャンバー(試料容器)11A,11Bと、チャンバー11A,11Bを支持する回転軸(回転支持部)13と、回転軸13を軸線L回りに回転させるモータ(駆動部)15と、チャンバー11A,11Bとの距離を測定する距離センサ18と、チャンバー11A,11Bに試料を供給する供給部14と、遠心分離機10の制御を行う制御部16と、遠心分離機20の異常状態をユーザに報知するブザー(報知手段)17とを備えている。
距離センサ18は、チャンバー11A,11Bの回転軌跡の半径方向外方に配置されており、距離センサ18とチャンバー11A,11Bとの距離を測定し、測定した距離を制御部16に送信するようになっている。
制御部16内の傾き算出部31は、距離センサ18により測定された距離センサ18とチャンバー11A,11Bとの距離に基づいて、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きを算出するようになっている。
制御部16内の重量算出部32は、傾き算出部31により算出されたチャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きに基づいて、チャンバー11A,11B内の試料の重量を算出するようになっている。
次に、上記構成を有する細胞処理装置2の動作について説明する。
生体細胞を含む生体組織は、まず、洗浄部3において洗浄され、消化部5へと送られる。続いて、消化部5において、洗浄後の生体組織が消化されて生体細胞が分離される。分離された生体細胞は、遠心分離機10へと送られて、遠心処理されることにより濃縮される。
遠心分離機20の動作について、図7のフローチャートを用いて以下に説明する。
濃縮される生体細胞は、遠心分離機20の供給部14に送られ、試料供給路27A,27Bを介して、試料としてチャンバー11A,11Bにそれぞれ供給される(ステップS11)。また、この際の送液量は、記憶部34に記憶される。
次に、モータ15を作動させることで、回転軸13が軸線L回りに回転させ、チャンバー11A,11Bを軸線L回りに回転させる(ステップS12)。この際、チャンバー11A,11B内の試料が受ける遠心力が、例えば1Gとなるようにモータ15を回転させる。これにより、チャンバー11A,11Bに収容されている試料が、回転の半径方向外方に向かって回転数に応じた遠心力を受け、その成分が比重毎に遠心分離される。
次に、距離センサ18により、距離センサ18とチャンバー11A,11Bとの距離を測定する(ステップS13)。そして、傾き算出部31により、チャンバー11A,11Bの距離センサ18との距離から、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きを算出する(ステップS14)。
次に、重量算出部32により、チャンバー11A,11Bの軸線Lに対する傾きから、チャンバー11A,11B内の試料の重量を算出する(ステップS15)。そして、異常判定部33により、送液量すなわち記憶部34に予め記憶された重量と、重量算出部32により算出されたチャンバー11A,11B内の試料の重量との比較が行われる(ステップS16)。
ステップS16において、記憶部34に予め記憶された重量と算出された試料の重量との間に乖離がなかった場合には、異常なしと判断して遠心分離動作に移行する(ステップS17)。一方、記憶部34に予め記憶された重量と算出された試料の重量との間に乖離があった場合には、液漏れ等の異常が発生していると判断して、エラーを発生させる(ステップS18)。具体的には、ブザー17を動作させ、ユーザに確認させる。
以上説明したように、本実施形態に係る遠心分離機20によれば、距離センサ18により回転軸13の軸線Lに直交する方向における距離センサ18とチャンバー11A,11Bとの距離を測定して、傾き算出部31によりチャンバー11A,11Bの傾きを算出することができる。そして、算出した傾きに基づいて重量算出部32により試料の重量を算出することができる。
〔変形例〕
本実施形態に係る遠心分離機20において、図8に示すように、距離センサ18をチャンバー11A,11Bの回転軌跡の軸線Lに沿う下方向に配置し、チャンバー11A,11Bとの距離を測定することとしてもよい。
このようにすることで、回転軸13の軸線Lに沿う方向における距離センサ18とチャンバー11A,11Bとの距離を測定して、チャンバー11A,11Bの傾きを算出することができ、算出した傾きに基づいて重量算出部32により試料の重量を算出することができる。
なお、本変形例に係る遠心分離機20において、距離センサ18をチャンバー11A,11Bの回転軌跡の軸線Lに沿う上方向に配置してもよい。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
例えば、各実施形態では、遠心分離機10,20が、2つのチャンバー11A,11Bを有していることとして説明したが、この例に限定されるものではなく、3つ以上のチャンバーを有していることしてもよい。
1,2 細胞処理装置
3 洗浄部
5 消化部
10,20 遠心分離機
11A,11B チャンバー(試料容器)
12A,12B 加速度センサ
13 回転軸(回転支持部)
14 供給部
15 モータ(駆動部)
16 制御部
17 ブザー(報知手段)
18 距離センサ
31 傾き算出部(傾き算出手段)
32 重量算出部(重量算出手段)
33 異常判定部
34 記憶部

Claims (9)

  1. 試料を収容する複数の試料容器と、
    該複数の試料容器を揺動自在に支持し、これら試料容器の中心位置に配置された軸線回りに回転される回転支持部と、
    該回転支持部を前記軸線回りに回転させる駆動部と、
    前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出する傾き算出手段と、
    該傾き算出手段により算出された傾きに基づいて前記試料の重量を算出する重量算出手段と
    を備える遠心分離機。
  2. 前記試料容器の回転軌跡の半径方向外方に配置され、前記試料容器との距離を測定する距離センサを有し、
    前記傾き算出手段が、前記距離センサにより測定された距離に基づいて、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出する請求項1に記載の遠心分離機。
  3. 前記試料容器の回転軌跡の前記軸線に沿う方向に配置され、前記試料容器との距離を測定する距離センサを有し、
    前記傾き算出手段が、前記距離センサにより測定された距離に基づいて、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出する請求項1に記載の遠心分離機。
  4. 前記試料容器に設けられ、前記試料容器の加速度を測定する加速度センサを有し、
    前記傾き算出手段が、前記加速度センサにより測定された加速度に基づいて、前記試料容器の前記軸線に対する傾きを算出する請求項1に記載の遠心分離機。
  5. 前記試料容器に設けられた識別部と、
    該識別部を判別する判別手段とを備え、
    前記重量算出手段が、前記傾き算出手段により算出された傾きおよび前記判別手段により判別された識別部に基づいて前記試料の重量を算出する請求項1に記載の遠心分離機。
  6. 前記試料の重量を記憶する記憶部と、
    該記憶部に予め記憶された前記試料の重量と前記重量算出手段により算出された前記試料の重量とを比較して、異常を判定する異常判定部とを備える請求項1に記載の遠心分離機。
  7. 前記異常判定部が異常と判定した場合に、前記駆動部の動作を停止させる請求項6に記載の遠心分離機。
  8. 前記異常判定部が異常と判定したことを報知する報知手段を備える請求項6に記載の遠心分離機。
  9. 生体組織を洗浄する洗浄部と、
    該洗浄部により洗浄された生体組織を消化し、細胞を分離する消化部と、
    該消化部により分離された細胞を濃縮する請求項1から請求項8のいずれかに記載の遠心分離機とを備える細胞処理装置。
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