JP2011169646A - ガス濃度算出装置およびガス濃度計測モジュール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】対象ガスが導入される導入空間を形成するガスセル10と、ガスセル10内に配置された光源20と、ガスセル10の一端に配置され、光源20から放射された光を回転により反射または透過する回転鏡30と、前記ガスセル10の他端に配置され、光源20から直接放射される直接光、および光源20から放射され且つ回転鏡30により反射される反射光を受光する受光部50と、回転鏡30により光が反射または透過された場合のそれぞれにおける、受光部50の受光エネルギー値の比に基づき、対象ガスの濃度を算出する算出回路3を備え、回転鏡30は、光源20から受光部50までの光路の方向と異なる方向で回転を行う。
【選択図】図1
Description
(ガス濃度算出装置1の全体構成)
まず、第1実施形態に係るガス濃度算出装置1の全体構成について説明する。図1は、ガス濃度算出装置1を示す概略断面図である。ガス濃度算出装置1は、光源20からの光を受光し、そのエネルギー値を測定するガス濃度計測モジュール2と、ガス濃度計測モジュール2による測定結果に基づいてガス濃度を算出する算出回路3(特許請求の範囲の「ガス濃度算出モジュール」に相当)と、算出回路3がガス濃度を算出する際に必要な情報を格納している格納部4(特許請求の範囲の「格納手段」に相当)とを含んで構成され、対象ガスの濃度を算出するものである。算出回路3によって算出されたガス濃度は、図示しない制御装置などに出力され、例えば空調システムなどの制御に利用される。なお、本実施形態では、ガス濃度計測モジュール2に導入されるサンプルガス60中の二酸化炭素を濃度算出の対象ガスとした場合の例について説明する。
図2は、本実施形態において、光路長や受光エネルギー値に差異を発生させるための仕組みを説明するための図である。図1同様、ガスセル10の中央底部に配置された光源20から出発し受光部50に到達する光の光路長および受光エネルギー値の変更は、回転鏡30の回転によって行われる。この説明では、説明の便宜のため、回転鏡30が全反射または全透過することにより、反射率を調整するものとして説明する。
次に、格納部4が格納する情報について説明する。格納部4には、回転鏡30により光が反射または透過された場合のそれぞれにおける、受光部50の受光エネルギー値の比と、対象ガスである二酸化炭素の濃度との相関関係を示すデータベースまたは近似式が予め格納されている。
I=I1(→)+I1(←)…(1)
I1(→)/I=x…(2)
I1(←)/I=1−x…(3)
ここで、Iは光源20から放射される赤外線のトータルのエネルギー値であり、I1(→)は直接光であって図3において光源20から右方向に放射される赤外線のエネルギー値であり、I1(←)は図3において光源20から左方向に放射される赤外線のエネルギー値であり、xはI1(→)とI1(←)の分配比率である。
I1(→)=xIexp(−KCL)…(4)
I1(←)=(1−x)Iexp(−KCL)…(5)
I2=(I1(←)Ron)exp(−2KCL)=(((1−x)Iexp(−KCL))Ron)exp(−2KCL)…(6)
Ion=I1(→)+I2=xIexp(−KCL)+(((1−x)Iexp(−KCL))Ron)exp(−2KCL)…(7)
ここで、Kは吸収係数であり、Cはガスセル10内に導入されたサンプルガス60中の二酸化炭素の濃度であり、Lは光源20から受光部50までの距離であり、2Lは回転鏡30(反射板31)から受光部50までの距離であり、I2は反射光であって光源20から左方向に放射され且つ回転鏡30(反射板31)により反射された赤外線のエネルギー値であり、Ronはこの状態における回転鏡30(反射板31)の反射率であり、Ionはこの状態において受光部50に到達する赤外線のトータルのエネルギーであって、直接光と反射光との合計エネルギー値である。
I1(→)=xIexp(−KCL)…(8)
I1(←)=(1−x)Iexp(−KCL)…(9)
I2=(I1(←)Roff)exp(−2KCL)=(((1−x)Iexp(−KCL))Roff)exp(−2KCL)…(10)
Ioff=I1(→)+I2=xIexp(−KCL)+(((1−x)Iexp(−KCL))Roff)exp(−2KCL)…(11)
ここで、Roffはこの状態における回転鏡30(穴32)の反射率であり、穴32なので基本的にはRoffは0である。Ioffは、この状態において受光部50に到達する赤外線のトータルのエネルギーであって、穴32の存在により反射光はなく、直接光のみのエネルギー値である。
Ion/Ioff=[xIexp(−KCL)+(((1−x)Iexp(−KCL))Ron)exp(−2KCL)]/[xIexp(−KCL)+(((1−x)Iexp(−KCL))Roff)exp(−2KCL)] …(12)
Ion/Ioff=(1+(Ron)exp(−2KCL))…(13)
C=f(Ratio(透明鏡))…(14)
ここで、Ratio(透明鏡)はRoff=0且つx=0.5の場合のIonとIoffの比であり、fは関数であり、Ratio(透明鏡)と濃度Cとの相関関係を示す近似式である。格納部4はこの式(14)の近似式fを示す情報を格納している。
次に、受光部50が受光した光のエネルギー値より、算出回路3が二酸化炭素の濃度を算出する処理の流れについて説明する。算出回路3は、回転鏡30により光が反射または透過された場合のそれぞれにおける、受光部50の受光エネルギー値の比(上記Ion/Ioff)に基づき、更に上記説明した近似式fや、図4のデータベース、または図5のグラフに基づき、当該比に相応する二酸化炭素の濃度を算出するものであって、CPU等を含んで構成された演算回路である。図6は、二酸化炭素濃度算出処理の流れを示すフローチャートである。
続いて、本実施形態にかかるガス濃度算出装置1の作用及び効果について説明する。本実施形態のガス濃度算出装置1によれば、受光部50が直接光および反射光の両方を受光するため、直接光および反射光をそれぞれ異なる受光部50で受光する場合や、回転鏡30により光が反射または透過された場合のそれぞれにおける光を異なる受光部50で別々に受光する場合の、受光部50の個体差による不具合が防止される。
引き続き、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態のガス濃度算出装置1Aでは、受光部50が受光する光における光路長の変化や受光エネルギー値の差異を発生させるための手段が回転鏡30の代わりにMEMSアクチュエータ70で構成されていることが、第1実施形態と主に相違している。以下ではこの相違点を中心に説明する。
図7(A)は、ガス濃度算出装置1Aを示す概略断面図である。MEMSアクチュエータ70は、ガスセル10の一端10a側に配置され、光源20から放射された光をミラー71を一定角度回転させるにより反射または透過するものである。ここで、「反射」とは光源20からの光をガスセル10内に反射することを意味し、「透過」とは光源20からの光をガスセル10内に反射せずガスセル10外に透過するか、またはガスセル10外に反射することを意味する。以下では、説明の便宜上、「透過」が光をガスセル10外に反射することを意味するものとして説明する。また、MEMSアクチュエータ70の回転とは、MEMSアクチュエータ70によるミラー71の回転を意味する。
図8は、第2実施形態において、光路長や受光エネルギー値に差異を発生させるための仕組みを説明するための図である。光源20から出発し受光部50に到達する光の光路長および受光エネルギー値の変更は、MEMSアクチュエータ70の回転によって行われる。この説明では、説明の便宜のため、MEMSアクチュエータ70が入力した光を全てガスセル10内または外に反射することにより、反射率を調整するものとして説明する。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、ガス濃度算出装置1,1Aによって二酸化炭素の濃度を算出する場合について説明したが、測定に使用する光の波長を変えることで、これ以外のガスの濃度を算出可能であることはいうまでもない。また、濃度を測定しようとするガスの種類や測定レンジ、更に測定精度等に応じて、光源の種類やガスセルの形状について適宜最適化を行うことができる。
Claims (10)
- ガス濃度計測モジュールおよびガス濃度算出モジュールを備え、対象ガスの濃度を算出するガス濃度算出装置であって、
前記ガス濃度計測モジュールは、
前記対象ガスが導入される導入空間を形成するガスセルと、
前記ガスセル内に配置された光源と、
前記ガスセルの一端に配置され、前記光源から放射された光を回転により反射または透過する回転機構と、
前記ガスセルの他端に配置され、前記光源から直接放射される直接光、および前記光源から放射され且つ前記回転機構により反射される反射光を受光する受光手段と、
を備え、
前記ガス濃度算出モジュールは、前記回転機構により前記光が反射または透過された場合のそれぞれにおける、前記受光手段の受光エネルギー値の比に基づき、前記対象ガスの前記濃度を算出し、
前記回転機構は、前記光源から前記受光手段までの光路の方向と異なる方向で前記回転を行う、
ことを特徴とするガス濃度算出装置。 - 前記回転機構は、反射板と穴からなる回転鏡であることを特徴とする請求項1に記載のガス濃度算出装置。
- 前記回転鏡は、前記光源から前記受光手段までの前記光路の方向と略垂直の方向で前記回転を行うことを特徴とする請求項2に記載のガス濃度算出装置。
- 前記回転機構は、微小電子機械システム(MEMS)アクチュエータであることを特徴とする請求項1に記載のガス濃度算出装置。
- 前記光源と前記受光手段との間の光路上に配置され、所定波長の光のみを通過させるバンドパスフィルタをさらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス濃度算出装置。
- 前記光源は、赤外線を放射するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス濃度算出装置。
- 前記対象ガスは二酸化炭素であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス濃度算出装置。
- 前記対象ガスの前記濃度と前記比との相関関係を示すデータベースまたは近似式を予め格納する格納手段を更に備え、
前記ガス濃度算出モジュールは、前記データベースまたは前記近似式に基づき、前記比に相応する前記濃度を算出する、
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス濃度算出装置。 - 前記対象ガスの異なる前記受光手段を複数備える前記ガス濃度計測モジュールと、複数の前記受光手段に対応する複数の前記ガス濃度算出モジュールを備える、
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のガス濃度算出装置。 - 対象ガスの濃度を算出するガス濃度算出装置におけるガス濃度計測モジュールであって、
前記対象ガスが導入される導入空間を形成するガスセルと、
前記ガスセル内に配置された光源と、
前記ガスセルの一端に配置され、前記光源から放射された光を回転により反射または透過する回転機構と、
前記ガスセルの他端に配置され、前記光源から直接放射される直接光、および前記光源から放射され且つ前記回転機構により反射される反射光を受光する受光手段と、
を備え、
前記回転機構は、前記光源から前記受光手段までの光路の方向と異なる方向で前記回転を行う、
ことを特徴とするガス濃度計測モジュール。
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