JP2011169613A - 流路切り替えバルブおよびそれを備えた流路切り替え装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブ、特に2つのステータでロータシールの両面を液密に挟んだ構造からなる流路切り替えバルブにおいて、小型かつ安定に流路の切り替えが可能な流路切り替えバルブ、およびそれを備えた流路切り替え装置を提供すること。
【解決手段】 ロータシールの外周部に歯車を設けた流路切り替えバルブ、および前記切り替えバルブと、駆動手段とロータシールの外周部に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段とを備えたロータシール回転手段と、を備えた流路切り替え装置により前記課題を解決する。
【選択図】 図13
【解決手段】 ロータシールの外周部に歯車を設けた流路切り替えバルブ、および前記切り替えバルブと、駆動手段とロータシールの外周部に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段とを備えたロータシール回転手段と、を備えた流路切り替え装置により前記課題を解決する。
【選択図】 図13
Description
本発明は、流路切り替えバルブおよびそれを備えた流路切り替え装置に関するものであり、たとえば液体クロマトグラフィの試料注入装置または前処理カラムの流路切り替え装置として好ましく使用することができる。
液体クロマトグラフィでは試料を分析カラムに注入する目的や、前処理カラムなどを切り替える目的で、流路切り替えバルブが多く用いられている。流路切り替えバルブは、ロータシールと呼ばれる複数の流路(溝や貫通孔など)を設けた摺動体と、ステータと呼ばれる流体の出入口を有し外部の流路と接続可能な部品と、を備えており、ロータシールを回転することで流路の切り替えを行なうことができる。従来から用いられる、6つの流路と接続可能なステータと、60度間隔で3箇所設けた溝を有するロータシールと、を備えた流路切り替えバルブ(六方バルブ)を試料注入バルブとして用いたときの流路構成を図1に示す。
前記六方バルブの構造の一例を図2に示す。固定ピン14によりロータシール13aを固定した回転軸(シャフト)11を回転することでロータシール13aを回転させ、流路の切り替えを行なう。前記切り替えを手動で行なう場合は、回転軸11にノブなどを取り付け、円周方向に手で回転することで切り替えればよい。一方、前記切り替えを自動的に行なう場合は、前記バルブに電気モータやアクチュエータなどの駆動手段を取り付けて切り替えるのが一般的である。
自動的な切り替え方法の第一の例は、ロータシールを固定した回転軸(シャフト)11と、モータなどの回転駆動装置18の回転軸19とをカップリング20を介して接続して、ロータシールを回転させる方法である(図3)。自動的な切り替え方法の第二の例は、ロータシールを固定した回転軸11とモータなどの回転駆動装置18の回転軸19にそれぞれプーリ21a・21bを取り付け、両者をベルト22で接続することで、ロータシールを回転させる方法である(図4および5)。自動的な切り替え方法の第三の例は、連続回転運動を断続回転に変換するゼネバ機構を用いた回転方法である(図6および7)。ロータシールを固定した回転軸11にスロット27を付けた従動車26を、モータなどの回転駆動装置18の回転軸19にピン25を付けた原動車24を、それぞれ取り付けてゼネバ機構を構築する。回転駆動装置18の回転軸19を左回りまたは右回りに回転して、ロータシールを固定した回転軸11を決められた角度で左右に回転させることで、流路の切り替えを行なう。前記第三の例は、回転角度の正確性が高いため、流路切り替えバルブを用いた流路切り替え方法として最も用いられる方法である。
近年、液体クロマトグラフィの分野ではカラムサイズの微小化が進んでいる。従来、内径4.6mm程度のカラムが用いられていたが、近年は内径2.1mmさらには内径数百μmのカラムが用いられるようになってきている。これに伴い、カラムへ導入する溶離液の流速も低流速化し、カラムへの試料負荷量、つまりカラムへの試料注入量も減少している。具体的には、従来のカラムでは試料注入量が数十から数百μL程度であったものが、数μLから数百nLまで減少している。数μLから数百nLといった微量の試料を注入する場合、図2に示すような従来の流路切り替えバルブでは対応できないことが多くなっている。
そこで、カラムサイズの微小化に対応した流路切り替えバルブが検討されており、一例として、特許文献1に示すようなサンドイッチ型の流路切り替えバルブがあげられる。前記バルブは、2つのステータで試料計量用の貫通孔を設けたロータシールの両面を液密に挟んだ構造となっている。サンドイッチ型の流路切り替えバルブを試料注入バルブとして用いたときの流路構成を図8に示す。
サンドイッチ型の流路切り替えバルブの構造の一例を図9および10に示す。流体の流路を切り替えるロータシール13bの両面を、固定ピン14を介して液密に挟むように配置したステータ16b・16cのうち、ステータ16bには溶離液の入口17bと試料の入口17aのための貫通孔が設けられており、ステータ16cには溶離液の出口17dと試料の出口17cのための貫通孔が設けられている(図9)。前記サンドイッチ型の流路切り替えバルブによる、流路の切り替えを手動で行なう場合は、ロータシール13bの側面に設けたノブ29を円周方向に回転することで行なえばよい(図10)。一方、流路の切り替えを自動的に行なおうとした場合、ロータシールを回転させるための回転軸を外部に延出させることができないため、従来の流路切り替えバルブで採用されている、ロータシールの回転軸に駆動系の伝達部材を接続して流路を切り替える方法(図3)では切り替えることができない。
前記サンドイッチ型の流路切り替えバルブによる流路の切り替えを自動的に行なう方法として、例えば図11に示すような、転造ネジ34と直線型ステッピングモータ35aとを備えた直線運動機構(スライダ)と、ロータシールの側面に設けたノブ29とを、ピン25を介して連結し、前記直線運動機構の上下運動により、ノブ29を回転させ、ロータシール13bを回転させる方法があげられる。しかしながら前記方法は、ノブ29の位置により回転半径が変化する問題がある。ノブ29が上端位置(図11(a))から下端位置(図11(c))へ移動する間、回転半径は連続的に変化する。回転半径は、ノブ29が水平位置(図11(b))にある場合が最小で、上端位置および下端位置にある場合が最大となる。ノブ29が水平位置にあったときの回転半径をrとし、前記直線運動機構の移動距離をxとした場合の、水平位置を基準としたノブの角度θに対する回転半径yの変化を図12に示す。例えば、rを50mmとし、切り替え角度Δθを120度とした場合、回転半径yは水平位置で最小の50mmとなり、上端位置および下端位置で最大の100mmとなる。つまり、回転半径は50mmから100mmまで変化するため、回転に必要なトルクも変化する。回転半径の変化率は切り替え角度Δθが大きいほど大きくなる。このため、図11に示す流路切り替え方法を採用する場合、最大トルクを考慮して設計する必要があり、前記直線運動機構を構成する直線型ステッピングモータ35aが大型となる傾向にある。また、ノブ29の回転により回転半径は連続的に変化し、上端位置および下端位置で最大となることから、ノブ29のサイズが長くなり、前記直線運動機構全体も大きくなる欠点がある。
本発明は、ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブ、特に2つのステータでロータシールの両面を液密に挟んだ構造からなる流路切り替えバルブにおいて、小型かつ安定に流路の切り替えが可能な流路切り替えバルブ、およびそれを備えた流路切り替え装置を提供することにある。
前記目的を達成するためになされた本発明は、以下の発明を包含する。
第一の発明は、ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブであって、ロータシールの外周部に歯車を設けた、流路切り替えバルブである。
第二の発明は、外周部に歯車を設けたロータシールの外径が、ステータの外径よりも大きい、第一の発明に記載の流路切り替えバルブである。
第三の発明は、
ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブが、
少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと、
第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと、
第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能なロータシールと、
を備えた流路切り替えバルブである、第一または第二の発明に記載の流路切り替えバルブである。
ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブが、
少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと、
第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと、
第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能なロータシールと、
を備えた流路切り替えバルブである、第一または第二の発明に記載の流路切り替えバルブである。
第四の発明は、
第一から第三の発明のいずれかに記載の流路切り替えバルブと、
駆動手段と、ロータシールの外周部に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段と、を備えたロータシール回転手段と、
を備えた流路切り替え装置である。
第一から第三の発明のいずれかに記載の流路切り替えバルブと、
駆動手段と、ロータシールの外周部に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段と、を備えたロータシール回転手段と、
を備えた流路切り替え装置である。
第五の発明は、ロータシールの外周部に設けた歯車、および前記駆動手段からの動力を伝達する手段に設ける噛合手段が平歯車である、第四の発明に記載の流路切り替え装置である。
第六の発明は、ロータシールの外周部に設けた歯車がはすば歯車であり、前記駆動手段からの動力を伝達する手段に設ける噛合手段がネジ歯車である、第四の発明に記載の流路切り替え装置である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、流路切り替えバルブにおいて、前記バルブを構成するロータシールの外周部に歯車を設けていることを特徴としている。ロータシールの外周部に歯車を設ける方法としては、ロータシールそのものを歯車状とする方法、平板リング状歯車の中空部にロータシールを嵌入し固定する方法、歯車の中空部に段差を設け当該段差に対応する段差を設けたロータシールを嵌入し固定する方法が例示できる。なお、歯車の中空部にロータシールを嵌入する方法でロータシールの外周部に歯車を設ける場合、ロータシール嵌入後、歯車の中空部付近とロータシール外縁部とを貫く貫通ピンを用いてロータシールと歯車を固定すると、歯車の回転運動とロータシールの回転運動とにずれが生じるリスクを軽減できるため、好ましい。歯車の材質は強度、加工性、耐食性のすぐれた材料であれば特に限定はないが、好ましい材料としては銅合金などの金属があげられる。ロータシールの材質は、本発明の流路切り替えバルブを液体クロマトグラフィで用いる場合、ポリエーテルエーテルケトンやポリイミドなどのエンジニアリングプラスティックが好ましい例としてあげられる。
本発明において、外周部に歯車を設けたロータシールの外径は、後述する前記歯車と噛合させてロータシールを回転させるロータシール回転手段により、ロータシールが回転可能であれば特に限定されないが、外周部に歯車を設けたロータシールの外径をステータの外径よりも大きくすると、ロータシール回転手段における前記歯車との噛合部分の製造が容易であり、より少ない力でロータシールを回転させることが可能なため、好ましい。
本発明は、四方バルブ、六方バルブ(図1および2)、八方バルブといった、従来の流路切り替えバルブに対しても適用可能であり、少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと、第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと、第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能なロータシールと、を備えた、サンドイッチ型の流路切り替えバルブ(例えば、図9や図20に示す流路切り替えバルブ)に対しても適用可能であるが、ロータシールの回転軸に駆動系の伝達部材を接続して流路を切り替えることが困難な、サンドイッチ型の流路切り替えバルブに対して本発明を適用した場合に、本発明の効果がより発揮される。
本発明の流路切り替え装置に備えるロータシール回転手段は、モータなどの駆動手段と、ロータシールの外周に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段とを備えている。前記駆動手段からの動力を伝達する手段としては、
(1)図4に示すようなロータシールの外周に設けた歯車と前記駆動手段の回転軸に設けた歯車との間を接続する前記二つの歯車と噛合可能なベルト(動力を伝達する手段)を備えた手段や、
(2)ロータシールの外周に設けた歯車と直接噛合する歯車を、前記駆動手段の回転軸に設けた手段、
が例示できる。
(1)図4に示すようなロータシールの外周に設けた歯車と前記駆動手段の回転軸に設けた歯車との間を接続する前記二つの歯車と噛合可能なベルト(動力を伝達する手段)を備えた手段や、
(2)ロータシールの外周に設けた歯車と直接噛合する歯車を、前記駆動手段の回転軸に設けた手段、
が例示できる。
前記(2)の手段における、ロータシールの外周に設けた歯車と、前記駆動手段の回転軸に設けた歯車との組み合わせの一例としては、前者の歯車、後者の歯車ともに平歯車からなる組み合わせがあげられる。また別の例としては、前者の歯車がはすば歯車からなり、後者の歯車がネジ歯車からなる組み合わせがあげられる。さらに別の例としては、例えば図19に示す、はすば歯車(図19a)、すぐばかさ歯車(図19b)、ゼロールかさ歯車(図19c)、まがりばかさ歯車(図19d)、フェースギヤ(図19e)、ハイポイドギヤ(図19f)を利用した組み合わせがあげられる。
本発明の流路切り替えバルブは、前記バルブの構成要素のうち、ロータシールの外周部に歯車を設けていることを特徴としている。本発明の流路切り替えバルブとロータシール回転手段とを備えた本発明の流路切り替え装置は、例えば液体クロマトグラフィにおける試料注入装置や前処理カラムの切り替え装置などに用いることができる。
特に本発明の流路切り替えバルブが、
少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと、
第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと、
第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能なロータシールと、
を備えたバルブである場合、六方バルブなど従来の切り替えバルブで用いられるロータシールの回転軸に駆動系の伝達部材を接続して流路を切り替えるのは困難であり、また図11および12に示す方法では回転半径の変化に伴うトルク変化を考慮して駆動系を設計する必要があったため、ロータシールへの伝達手段を含めた駆動系全体も大型化する問題があったが、本発明により過大なトルクが不要で、かつ安定した流路の切り替えが可能となり、流路切り替え装置全体の小型化も可能となる。
少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと、
第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと、
第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能なロータシールと、
を備えたバルブである場合、六方バルブなど従来の切り替えバルブで用いられるロータシールの回転軸に駆動系の伝達部材を接続して流路を切り替えるのは困難であり、また図11および12に示す方法では回転半径の変化に伴うトルク変化を考慮して駆動系を設計する必要があったため、ロータシールへの伝達手段を含めた駆動系全体も大型化する問題があったが、本発明により過大なトルクが不要で、かつ安定した流路の切り替えが可能となり、流路切り替え装置全体の小型化も可能となる。
以下図面を用いて本発明を詳細に説明する。
本発明の流路切り替え装置の一態様である、平歯車でロータシールを回転させることで流路を切り替える装置を図13に基づき説明する。図13に示すバルブは、
溶離液導入用の貫通孔17bおよび試料導入用の貫通孔17aを設けたステータ16bと、
溶離液排出用の貫通孔17dおよび試料排出用の貫通孔17cを設けたステータ16cと、
溶離液通過用の貫通孔28bと試料計量用の貫通孔28aを設けたロータシール13bと、
を備えている。ロータシール13bは、ステータ16b・16cの外径よりも大きな外径を有する平歯車30aの回転とともに回転できるよう、平歯車30aの中心部に設けた空洞に嵌入されている。ロータシール13bを嵌入した平歯車30aは、固定ピン14を介してステータ16b・16cと液密に挟まれている。なお、平歯車30aは固定ピン14を避けるための扇状の切り欠き31を2箇所設けている。ロータシール13bを嵌入した平歯車30aを回転させるための駆動手段は、ACモータやDCモータなどの回転駆動装置18と平歯車30bとを備えており、平歯車30bは回転駆動装置18の回転軸19に固定されている。回転駆動装置18の回転軸19に取り付けた平歯車30bは、ロータシール13bを嵌入した平歯車30aと噛合することで、回転駆動装置18からの動力の伝達を行なう。
溶離液導入用の貫通孔17bおよび試料導入用の貫通孔17aを設けたステータ16bと、
溶離液排出用の貫通孔17dおよび試料排出用の貫通孔17cを設けたステータ16cと、
溶離液通過用の貫通孔28bと試料計量用の貫通孔28aを設けたロータシール13bと、
を備えている。ロータシール13bは、ステータ16b・16cの外径よりも大きな外径を有する平歯車30aの回転とともに回転できるよう、平歯車30aの中心部に設けた空洞に嵌入されている。ロータシール13bを嵌入した平歯車30aは、固定ピン14を介してステータ16b・16cと液密に挟まれている。なお、平歯車30aは固定ピン14を避けるための扇状の切り欠き31を2箇所設けている。ロータシール13bを嵌入した平歯車30aを回転させるための駆動手段は、ACモータやDCモータなどの回転駆動装置18と平歯車30bとを備えており、平歯車30bは回転駆動装置18の回転軸19に固定されている。回転駆動装置18の回転軸19に取り付けた平歯車30bは、ロータシール13bを嵌入した平歯車30aと噛合することで、回転駆動装置18からの動力の伝達を行なう。
図13の流路切り替え装置を用いた流路の切り替えを図14に示す。図13の切り替え装置を試料注入装置として用いる場合、切り替え位置A(図14a)にて試料をロータシール13b内の貫通孔28aにロードし計量後、平歯車30aおよび平歯車30bでロータシール13bを切り替え位置B(図14b)の状態まで回転することで流路を切り替え、切り替え位置Bにおいて貫通孔28aにロードした試料を溶離液によって押し出すことで、試料を分析カラムへ送液する。なお、図15は、平歯車30aと平歯車30bとが噛合する部分を拡大した図である。
本発明の流路切り替え装置の別の態様である、はすば歯車(ウォームホイール)とネジ歯車(ウォームギア)でロータシールを回転させることで流路を切り替える装置を図16に基づき説明する。図16に示すバルブは図13に示すバルブと同様、
溶離液導入用の貫通孔17bおよび試料導入用の貫通孔17aを設けたステータ16bと、
溶離液排出用の貫通孔17dおよび試料排出用の貫通孔17cを設けたステータ16cと、
溶離液通過用の貫通孔28bと試料計量用の貫通孔28aを設けたロータシール13bと、
を備えている。ロータシール13bは、ステータ16b・16cの外径より大きな外径を有するはすば歯車(ウォームホイール)33の回転とともに回転できるよう、はすば歯車33の中心部に設けた空洞に嵌入されており、ロータシール13bを嵌入した、はすば歯車(ウォームホイール)33は固定ピン14を介してステータ16b・16cと液密に挟まれている。なお、はすば歯車33は固定ピン14を避けるための扇状の切り欠き31を2箇所設けている。ロータシール13bを嵌入した、はすば歯車33を回転させるための駆動手段は、ACモータやDCモータなどの回転駆動装置18とネジ歯車(ウォームギア)32とを備えており、ネジ歯車32は回転駆動装置18の回転軸19に固定されている。回転駆動装置18の回転軸19に取り付けたネジ歯車32は、ロータシール13bを嵌入した、はすば歯車33と噛合することで、回転駆動装置18からの動力の伝達を行なう。
溶離液導入用の貫通孔17bおよび試料導入用の貫通孔17aを設けたステータ16bと、
溶離液排出用の貫通孔17dおよび試料排出用の貫通孔17cを設けたステータ16cと、
溶離液通過用の貫通孔28bと試料計量用の貫通孔28aを設けたロータシール13bと、
を備えている。ロータシール13bは、ステータ16b・16cの外径より大きな外径を有するはすば歯車(ウォームホイール)33の回転とともに回転できるよう、はすば歯車33の中心部に設けた空洞に嵌入されており、ロータシール13bを嵌入した、はすば歯車(ウォームホイール)33は固定ピン14を介してステータ16b・16cと液密に挟まれている。なお、はすば歯車33は固定ピン14を避けるための扇状の切り欠き31を2箇所設けている。ロータシール13bを嵌入した、はすば歯車33を回転させるための駆動手段は、ACモータやDCモータなどの回転駆動装置18とネジ歯車(ウォームギア)32とを備えており、ネジ歯車32は回転駆動装置18の回転軸19に固定されている。回転駆動装置18の回転軸19に取り付けたネジ歯車32は、ロータシール13bを嵌入した、はすば歯車33と噛合することで、回転駆動装置18からの動力の伝達を行なう。
図16の流路切り替え装置を用いた流路の切り替えを図17に示す。図16の切り替え装置を試料注入装置として用いる場合、切り替え位置A(図17a)にて試料をロータシール13b内の貫通孔28aにロードし計量後、はすば歯車33およびネジ歯車32でロータシール13bを切り替え位置B(図14b)の状態まで回転することで流路を切り替え、切り替え位置Bにて貫通孔28aにロードした試料を溶離液で押し出すことで、試料を分析カラムへ送液する。なお、図18は、はすば歯車33とネジ歯車32とが噛合する部分を拡大した図である。
前記二つの態様いずれにおいても、回転駆動装置18の回転軸19を左回りまたは右回りに回転することで、ロータシール13bを嵌入した歯車を回転させることができる。
次に本発明を、図20に示すサンドイッチ型の流路切り替えバルブ(特願2009−275242号)に適用した例について詳細に説明する。
図20の流路切り替えバルブは、ロータシール13cを180度回転することにより、切り替え位置A(図20a)と切り替え位置B(図20b)とを切り替える。図20の切り替えバルブは、
円周上の0度の位置に貫通孔17eを、60度の位置(基準の位置(0度の位置)から左回りに60度の位置、以下同様)に貫通孔17fを、120度の位置に貫通孔17gを設けたステータ16dと、
回転可能なロータシール13cと、
円周上の0度の位置に貫通孔17hを、60度の位置に貫通孔17iを、120度の位置に貫通孔17jを設けたステータ16eと、
を備えている。また、ロータシール13cは、
上面から下面までを貫通する貫通孔28c・28d・28eと、
上面から中間位置までの流路28fと、
前記中間位置にある流路28fの先から円周に沿って水平方向に掘り進んだ溝15bと、
前記掘り進んだ溝15bの先から下方に下面まで達する流路28gと、
貫通孔17fと貫通孔17gとを連通させるために上面に設けた溝15aと、
貫通孔17hと貫通孔17iとを連通させるために下面に設けた溝15cと、
を設けている。
円周上の0度の位置に貫通孔17eを、60度の位置(基準の位置(0度の位置)から左回りに60度の位置、以下同様)に貫通孔17fを、120度の位置に貫通孔17gを設けたステータ16dと、
回転可能なロータシール13cと、
円周上の0度の位置に貫通孔17hを、60度の位置に貫通孔17iを、120度の位置に貫通孔17jを設けたステータ16eと、
を備えている。また、ロータシール13cは、
上面から下面までを貫通する貫通孔28c・28d・28eと、
上面から中間位置までの流路28fと、
前記中間位置にある流路28fの先から円周に沿って水平方向に掘り進んだ溝15bと、
前記掘り進んだ溝15bの先から下方に下面まで達する流路28gと、
貫通孔17fと貫通孔17gとを連通させるために上面に設けた溝15aと、
貫通孔17hと貫通孔17iとを連通させるために下面に設けた溝15cと、
を設けている。
図20の流路切り替えバルブを試料注入バルブとして使用する場合、ステータ16dに設けた貫通孔17eは溶離液2の導入口となり、貫通孔17gは試料8の導入口となり、貫通孔17fは試料8の排出口(廃液9への流路に接続)となる。また、ステータ16eに設けた貫通孔17i・17jは試料計量ループ7への接続口となり、貫通孔17hは分析カラム4への接続口となる。切り替え位置A(図20a)では、溶離液2はステータ16dに設けた貫通孔17e、ロータシール13cに設けた貫通孔28c、ステータ16eに設けた貫通孔17hを通過し、分析カラム4に流れる。一方、試料8は、ステータ16dに設けた貫通孔17g、ロータシール13cに設けた貫通孔28e、ステータ16eに設けた貫通孔17j、試料計量ループ7、ステータ16eに設けた貫通孔17i、ロータシール13cに設けた貫通孔28d、ステータ16dに設けた流路17fを通過することで、試料計量ループ7内に試料8が保持される。切り替え位置A(図20a)からロータシール13cを180度回転することで、切り替え位置B(図20b)に切り替えることができる。切り替え位置B(図20b)では、溶離液2はステータ16dに設けた流路17e、ロータシール13cに設けた流路28f−溝15b−流路28g、ステータ16eに設けた貫通孔17j、試料計量ループ7、ステータ16eに設けた貫通孔17i、ロータシール13cに設けた溝15c、ステータ16eに設けた貫通孔17hを通過し、分析カラム4に流れる。これにより、試料計量ループ7に満たされた試料8が分析カラム4へ導入される。一方、試料8は、ステータ16dに設けた貫通孔17g、ロータシール13cに設けた溝15a、ステータ16dに設けた貫通孔17fを通過し、廃液9へ流れる。
図20の流路切り替えバルブにおいて、はすば歯車(ウォームホイール)33の中心部に設けた空洞にロータシール13cを嵌入し固定することで、本発明の流路切り替えバルブを作製することができる。前記バルブの概略図を図21に、前記バルブと、はすば歯車33を回転させるための手段とを備えた流路切り替え装置の概略を図22および23に、それぞれ示す。図21に示す流路切り替えバルブは、
ステータ16dと、
ステータ16eと、
ステータ16d・16eの外径より大きな外径を有する、ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33と、
を備えている。ステータ16dは3つの貫通孔17(溶離液導入用貫通孔、試料導入用貫通孔、試料排出用貫通孔)とそれぞれ接続するための合計3つのポート38を設けており、ステータ16eにも3つの貫通孔(試料計量ループ接続用貫通孔(2つ)、分析カラム接続用貫通孔)とそれぞれ接続するための合計3つのポート38を設けている。ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33は、はすば歯車33の回転とともにロータシール13cを回転させることができ、ステータ16d・16eとは固定ピン14を介して互いに密着している。ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33の外径はステータ16d・16eの外径より大きい。そのため、図21に示す切り替えバルブは、はすば歯車33のうち歯の部分が飛び出した形状になる。ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33を回転させるためのロータシール回転手段は、ステッピングモータ35bと、ネジ歯車(ウォームギア)32と、を備えており、両者はカップリング20を介して連結している(図22および23)。図21に示す流路切り替えバルブにある、はすば歯車33と、前記手段のネジ歯車32とを噛合することで、ステッピングモータ35bからの動力の伝達が行なえるように組み立てる。ステッピングモータ35bで左回りまたは右回りに一定角度回転させると、はすば歯車33に嵌入されたロータシールが回転し、流路を切り替えることができる。
ステータ16dと、
ステータ16eと、
ステータ16d・16eの外径より大きな外径を有する、ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33と、
を備えている。ステータ16dは3つの貫通孔17(溶離液導入用貫通孔、試料導入用貫通孔、試料排出用貫通孔)とそれぞれ接続するための合計3つのポート38を設けており、ステータ16eにも3つの貫通孔(試料計量ループ接続用貫通孔(2つ)、分析カラム接続用貫通孔)とそれぞれ接続するための合計3つのポート38を設けている。ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33は、はすば歯車33の回転とともにロータシール13cを回転させることができ、ステータ16d・16eとは固定ピン14を介して互いに密着している。ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33の外径はステータ16d・16eの外径より大きい。そのため、図21に示す切り替えバルブは、はすば歯車33のうち歯の部分が飛び出した形状になる。ロータシール13cを嵌入した、はすば歯車33を回転させるためのロータシール回転手段は、ステッピングモータ35bと、ネジ歯車(ウォームギア)32と、を備えており、両者はカップリング20を介して連結している(図22および23)。図21に示す流路切り替えバルブにある、はすば歯車33と、前記手段のネジ歯車32とを噛合することで、ステッピングモータ35bからの動力の伝達が行なえるように組み立てる。ステッピングモータ35bで左回りまたは右回りに一定角度回転させると、はすば歯車33に嵌入されたロータシールが回転し、流路を切り替えることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
図23に示す本発明の流路切り替え装置を試料注入装置として液体クロマトグラフィに備え、試料の分析を行なった。
図23に示す本発明の流路切り替え装置を試料注入装置として液体クロマトグラフィに備え、試料の分析を行なった。
本実施例で用いた液体クロマトグラフィの全体構成を図24に示す。ポンプ1は東ソー製DP−8020を、検出器5は東ソー製UV−8020(マイクロセル、波長254nm)を、カラムオーブン3は東ソー製CO−8020をそれぞれ使用した。溶離液2はアセトニトリル/水(40/60)を、分析カラム4は逆相クロマトグラフィ用カラム(東ソー製TSK−GEL ODS−80Ts:粒径5μm、内径2mm、長さ150mm)をそれぞれ使用し、ポンプ1で毎分0.2mLの溶離液2を分析カラム4に送液した。試料8はp−ヒドロキシ安息香酸メチル(C1)、p−ヒドロキシ安息香酸エチル(C2)、p−ヒドロキシ安息香酸プロピル(C3)、p−ヒドロキシ安息香酸ブチル(C4)の混合物(濃度:各25μg/mL)を使用し、図23に示す流路切り替え装置を用いて0.5μLを分析カラム4に導入した。
前記条件で得られたクロマトグラムを図25に、各成分の溶出時間と高さの再現性の値(n=10)を表1に、それぞれ示す。
1:送液ポンプ
2:溶離液
3:カラムオーブン
4:分析カラム
5:検出器
6:試料注入バルブ
7:試料計量ループ
8:試料
9:廃液
10:バルブ筐体
11:回転軸(シャフト)
12:板バネ
13:ロータシール
14:固定ピン
15:溝
16:ステータ
17:ステータ貫通孔
18:回転駆動装置
19:回転駆動装置の回転軸(シャフト)
20:カップリング
21:プーリ
22:ベルト
23:マーカ
24:原動車
25:ピン
26:従動車
27:スロット
28:ロータシール貫通孔または流路
29:ノブ
30:平歯車
31:切り欠き
32:ネジ歯車(ウォームギア)
33:はすば歯車(ウォームホイール)
34:転造ネジ
35:ステッピングモータ
36:回転駆動装置(伝達)側回転中心
37:ロータシール(受動)側回転中心
38:ポート
2:溶離液
3:カラムオーブン
4:分析カラム
5:検出器
6:試料注入バルブ
7:試料計量ループ
8:試料
9:廃液
10:バルブ筐体
11:回転軸(シャフト)
12:板バネ
13:ロータシール
14:固定ピン
15:溝
16:ステータ
17:ステータ貫通孔
18:回転駆動装置
19:回転駆動装置の回転軸(シャフト)
20:カップリング
21:プーリ
22:ベルト
23:マーカ
24:原動車
25:ピン
26:従動車
27:スロット
28:ロータシール貫通孔または流路
29:ノブ
30:平歯車
31:切り欠き
32:ネジ歯車(ウォームギア)
33:はすば歯車(ウォームホイール)
34:転造ネジ
35:ステッピングモータ
36:回転駆動装置(伝達)側回転中心
37:ロータシール(受動)側回転中心
38:ポート
Claims (6)
- ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブであって、ロータシールの外周部に歯車を設けた、流路切り替えバルブ。
- 外周部に歯車を設けたロータシールの外径が、ステータの外径よりも大きい、請求項1に記載の流路切り替えバルブ。
- ステータとロータシールとを備えた流路切り替えバルブが、
少なくとも2つの貫通孔を設けた第1のステータと、
第1のステータと同じ数の貫通孔を設けた第2のステータと、
第1のステータおよび第2のステータにより液密に挟まれ、かつ第1のステータと第2のステータに設けた貫通孔を連通可能なロータシールと、
を備えた流路切り替えバルブである、請求項1または2に記載の流路切り替えバルブ。 - 請求項1から3のいずれかに記載の流路切り替えバルブと、
駆動手段と、ロータシールの外周部に設けた歯車と噛合させて前記駆動手段からの動力を伝達する手段と、を備えたロータシール回転手段と、
を備えた流路切り替え装置。 - ロータシールの外周部に設けた歯車、および前記駆動手段からの動力を伝達する手段に設ける噛合手段が平歯車である、請求項4に記載の流路切り替え装置。
- ロータシールの外周部に設けた歯車がはすば歯車であり、前記駆動手段からの動力を伝達する手段に設ける噛合手段がネジ歯車である、請求項4に記載の流路切り替え装置。
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JP2010031095A JP2011169613A (ja) | 2010-02-16 | 2010-02-16 | 流路切り替えバルブおよびそれを備えた流路切り替え装置 |
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2010
- 2010-02-16 JP JP2010031095A patent/JP2011169613A/ja active Pending
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