JP2011168913A - インクジェット捺染用前処理剤、およびインクジェット捺染方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、発色性が高く、且つにじみが少ない印捺物が得られるインクジェット捺染用前処理剤、およびこれを用いたインクジェット捺染方法に関する。
【解決手段】インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とする捺染用前処理剤、これを用いたインクジェット捺染方法および印捺物。
【選択図】なし

Description

本発明は、発色性が高く、且つにじみが少ない印捺物が得られるインクジェット捺染用前処理剤、およびこれを用いたインクジェット捺染方法に関する。
インクジェット捺染は、従来の捺染とは異なり、版の作製・保管・洗浄等版に関する事柄が必要なく、オンデマンドで階調性に優れた画像を形成できる利点を有している。インクジェット方式により布帛に印捺する方法は、スクリーン捺染などの従来の印刷方法に比べて少量多品種生産に適していること、廃液処理の負荷が軽減されること、あるいは短納期化が可能なことなどの点において優位性を有する。
インクジェット方式で印捺する場合、インク粘度が吐出性の問題により通常は10mPa・s以下程度と低いこと、あるいは布帛がインクを速やかに吸収して定着する機能が不十分であることから、印字後の滲みを防止する観点から布帛にはあらかじめ専用の前処理を施すのが一般的である。例えば、布帛素材に染着させる染料に対して実質的に非染着性である水溶性高分子、水溶性塩類または水不溶性無機微粒子を、前処理剤として布帛に特定量付着させることで、シャープで鮮明なプリント画像が得られるとされているインクジェット染色用布帛が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、セルロース系繊維構造物を、高温型反応染料インクを用いたインクジェットによる捺染法で、予めセルロース系繊維構造物をアルカリ性物質、尿素及び非イオン性又はアニオン性を有する水溶性高分子物質によって前処理することにより、濃色を鮮明に且つにじみなく染色することができるとされているインクジェット捺染方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
上記開示されているいずれの方法も、その目的は画像のにじみ防止と高濃度で鮮明な染色物を得ることであるが、従来のスクリーン捺染法で得られる染色物に匹敵する色濃度や鮮明感を達成するにはいまだ至っていない。更に、これらの前処理は、通常、布帛にディッピングやコーティングなどの手段で前処理剤を付与するが、近年の印刷速度向上に伴い、にじみがより一層増大する傾向にあるため、にじみ防止を目的とした前処理処方の更なる改良が求められている。
一方、布帛への印捺におけるにじみ防止を目的として、様々な方法、技術の開示がなされている。例えば、インク中の成分と、布帛上での前処理による別の成分との間の相互作用を利用し、にじみを防止する方法が開示されている(例えば、特許文献3、4参照。)。これらの方法は、布帛に特別の前処理が必要という工程の増加を伴い、インクに新たな成分(例えば、ゲル化糊剤)などの添加が必要となり、インクの保存安定性を損なう点で課題がある。
また、インクの他に別の液体を用意し、両者間の相互作用を利用する技術が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。この方法では、布帛の前処理を必要とはしないが、十分なにじみ防止効果が得られないこと、及びインクの保存安定性を損なうという点で実用的ではない。従って、発色性が高く、にじみが少ない印捺物が得られるインクジェット捺染方法の開発が求められている。
特公昭63−31594号公報 特公平4−35351号公報 特開昭60−81379号公報 特開2003−55886号公報 特開2002−19263号公報
本発明は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果なされたものであり、その目的は、発色性が高く、且つインクにじみが少ない印捺物が得られるインクジェット捺染用前処理剤、インクジェット捺染用インク組成物、および、これを用いたインクジェット捺染方法、印捺物を提供することにある。
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するように、以下の適用例または形態として実現され得る。
(適用例1)インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とするインクジェット捺染用前処理剤。
(適用例2)前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする適用例1に記載のインクジェット捺染用前処理剤。
(適用例3)インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とするインクジェット捺染方法。
(適用例4)前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする適用例3に記載のインクジェット捺染方法。
(適用例5)前記前処理剤をインクジェット法により塗布し、該前処理剤の粒子径が1μm以下であることを特徴とする適用例3または4に記載のインクジェット捺染方法。
(適用例6)上記適用例1または2に記載のインクジェット捺染用前処理剤およびインクジェット捺染用インク組成物を用いることを特徴とする上記適用例3〜5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
(適用例7)前記インク組成物に用いる色材である顔料が自己分散型またはアクリル系樹脂により分散されていることを特徴とする上記適用例6に記載のインクジェット捺染方法。
本発明によれば、発色性が高く、且つインクにじみが少ない印捺物が得られるインクジェット捺染用前処理剤、インクジェット捺染用インク組成物、およびこれを用いたインクジェット捺染方法および印捺物を提供することができる。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討を行った結果、インクを該布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なうインクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることによって、発色性が高く、且つインクにじみが少ない印捺物が得られることを見出した。さらに、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛に、本実施形態で規定する構成からなる前処理剤を用いることにより、本発明の上記効果がより発現できることを見出した。
以下、本発明にかかる実施形態について詳細に説明する。
本実施形態において、インクジェット捺染用前処理剤を用いて、インクジェット捺染方法により形成された印捺物は、インクジェット捺染用前処理剤(以下、単に前処理剤ともいう)を用いて布帛に前処理を施した後、印捺することが可能な繊維が含有されている布帛上に、色材を含むインクを用いてインクジェット方式でインクを塗布した後、少なくとも熱処理を施すことによって布帛への捺染が完了して得られる。
まず、インクジェット捺染用前処理剤について説明する。
(インクジェット捺染用前処理剤)
前処理剤は、インクを該布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とする。
カチオン性高分子微粒子のガラス転位温度は、−10℃以下が好ましい。−10℃を超えると、布帛への定着性が低くなる。好ましくは−15℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。また、前処理剤に含有されるカチオン性高分子微粒子のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算質量平均分子量が10万以上100万以下であることが好ましい。この範囲内にあることにより、印捺物の顔料の定着性が向上する。より好ましくは10万〜30万である。さらに好ましくは13万〜20万である。10万未満では印捺物の洗濯堅牢性が低下する。さらに、前処理剤に含有されるカチオン性高分子微粒子の50nm以上5μm以下であることが好ましい。50nm以下では高分子粒子が共存するカチオンポリマーの影響により前処理剤の安定性が悪くなり、5μmを超えると布帛へのインクの乗りが悪くなり、定着性が劣化する。
カチオン性高分子微粒子が構成成分として含有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が1〜24のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数が3〜24の環状アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。その例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレートおよびベヘニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、上記アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートは、カチオン性高分子微粒子全体に対して70質量%以上含有されてなることが好ましい。印捺物の乾摩擦および湿摩擦双方における摩擦堅牢性並びにドライクリーニング性がより向上する。
前処理剤に用いることのできるカチオン性高分子微粒子の成分としてのカチオンモノマーとして、例えば、アリルアミン、アリルアミン硫酸塩、アリルアミン塩酸塩、ジアリルアミン、ジアリルアミン硫酸塩、ジアリルアミン塩酸塩、ジメチルアリルアミン、ジメチルアリルアミン硫酸塩、ジメチルアリルアミン塩酸塩、メチルジアリルアミンアミド、メチルジアリルアミンアミド硫酸塩、メチルジアリルアミンアミド塩酸塩等から選ばれた1種または2種以上を挙げることができる。
これらカチオン性高分子微粒子は、インク中の顔料の表面、分散ポリマーあるいはインクに含有される高分子微粒子のカルボキシル基に作用し、インクを凝集させる効果を有し、それによって、インクの布帛への浸透が抑えられ、インクが布帛表面に残るようになり発色性を向上させる効果を有している。従って、インク中の顔料の表面、分散ポリマーあるいはインクに含有される高分子微粒子のいずれかにはカルボキシル基を有するものを用いる必要がある。
カチオン性高分子微粒子の平均粒径は光散乱法で測定する。光散乱法によるカチオン性高分子微粒子の粒径は50nm以上500nm以下が好ましく、60nm以上300nm以下がより好ましい。50nm未満では印捺物の定着性が低下し、500nmを超えると分散安定が不安定になる。また、顔料定着液をインクジェット印刷する場合は、インクジェットヘッドからの吐出が不安定になりやすい。
前処理剤には水溶性有機溶媒を含有させることができる。例として、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン等)あるいはアセトニトリル等が挙げられる。
インクジェット捺染方法においては、前処理剤を布帛に塗布する方法としては、従来公知の塗布方法、例えば、スプレー法、コーティング法、パッディング法などで塗布することができる。あるいはまた、インクジェットヘッドを用いて前処理剤を布帛に塗布する方法も用いることができる。インクジェットヘッドを用いて前処理剤を布帛に塗布する場合は、カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上1μm以下であることが好ましい。1μmを超えるとインクジェットヘッドからの吐出安定性が悪くなる傾向がある。より好ましくは500nm以下である。
(インクジェット捺染方法)
次に、インクジェット捺染方法について説明する。
インクジェット捺染方法は、インクを該布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とする。
また、インクジェット捺染方法は、前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする。本実施形態において、上記布帛の中でも特に、綿、麻、レーヨン繊維およびアセテート繊維が発色性が高く、且つインクにじみが少なく、定着性も優れるという観点から好ましい。この中でも特に綿が最もよい。
前記綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛に前記前処理剤で処理する工程、インクジェット印刷する工程と、および該印捺された印刷物を、少なくとも110℃以上200℃以下で1分以上熱処理することによって完結する。インクジェット印刷する方法は、特に制限はなく公知の方法によって行なう。
印捺物の製造方法において、熱処理工程での加熱温度が110℃未満では印捺物の定着性が向上しにくい。また、200℃を超えると布帛や顔料やポリマー等自体が劣化してしまう。加熱温度は、好ましくは120℃以上170℃以下である。また、加熱時間は1分以上を要する。好ましくは2分以上である。

インクジェット捺染方法において使用する布帛を構成する素材としては、特に制限はないが、中でも、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることが好ましい。その中でも、少なくとも綿繊維が含有されている布帛が特に好ましい。布帛としては、上記に挙げた繊維を、織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。また、本実施形態で使用し得る布帛としては、混紡織布又は混紡不織布等も捺染用布帛として使用することができる。また、上記の様な布帛を構成する糸の太さとしては、10〜100デニールの範囲が好ましい。
インクジェット捺染方法の場合、均一な捺染物を得るために、画像記録の前に、布帛繊維に付着した油脂、蝋、ペクチン質、色素等の不純物、布帛製造過程で用いたのり剤等の薬剤の残留分、あるいは他の汚染物質等を洗浄しておくことが望ましい。洗浄に用いられる洗浄剤としては、公知のものでよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムといったアルカリ剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤といった界面活性剤、あるいは酵素等が挙げられる。
また、インク組成物を布帛に印刷する際は、ピエゾ素子のように、当該インク組成物が、加熱されない電歪素子を用いた方法により吐出されることが好ましい。サーマルヘッドのように当該インク組成物が加熱される場合は、顔料定着液中のカチオン性高分子微粒子や、インク組成物中の顔料の分散などに用いるポリマーが変質して吐出が不安定になりやすい。印捺物の製造のように、その工程において大量のインクを長時間に亘って吐出させることが要求される場合は、当該インク組成物が加熱されるヘッドは好ましくない。
(インクジェット捺染用インク組成物)
次に、インクジェット捺染用前処理剤、これを用いたインクジェット捺染方法および印捺物に適したインクジェット用インク組成物について説明する。インクジェット捺染用インク組成物は、前記インクに用いる色材である顔料が自己分散型またはアクリル系樹脂により分散されていることを特徴とする。特にブラックインクの場合は、表面酸化したカーボンブラックを用いて自己分散型の顔料とすることで発色性が向上する。カラーインクの場合は、有機顔料をアクリル系樹脂で分散することによって発色性と安定性が向上する。ここで、アクリル系樹脂とはアクリレート、メタクリレート等の(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを主体とする樹脂であって、スチレンなど他のビニルモノマーを用いてもよい。
《顔料分散体》
顔料分散体の平均粒径は光散乱法で測定する。顔料分散体の平均粒径が50nm未満では印刷物や印捺物の発色性が低下する。また、1μmを超えると定着性が低下する。ブラックおよびカラー顔料の場合は、より好ましくは70nm〜230nm、さらに好ましくは80nm〜130nmである。白顔料の場合は100nm〜600nmが好ましく、より好ましくは200nm〜500nmである。100nm未満では隠蔽性が低くなり、白色の発色性が低下する。1μmを超えると定着性が低下し、インクジェットヘッドからの吐出安定性が低下する。
顔料分散体としては、分散剤なしに水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下の自己分散カーボンブラックを含むことが好ましい。この自己分散カーボンブラックを用いることで、印捺物の発色性が向上する。分散剤なしに水に分散可能とする方法は、カーボンブラックの表面をオゾンや次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化する方法などがある。かかる自己分散カーボンブラック分散体の平均粒径は、50nm〜150nmが好ましい。50nm未満では発色性は得られにくい。また、150nmを超えると定着性が低下してくる。より好ましい粒径は70nm〜130nm、さらに好ましくは80nm〜120nmである。
また、顔料分散体としては、有機顔料をポリマーを用いて水に分散可能とした平均粒径が50nm以上300nm以下のものであり、当該ポリマーのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算質量平均分子量が10000以上200000以下であるものを含むことが好ましい。これにより、印捺物の顔料の定着性が向上し、顔料インク自体の保存安定性も向上する。すなわち、インク組成物とするときに用いるビヒクルの特性によりポリマーが脱離して悪影響を及ぼしやすい、具体的には、印字品質を向上させるための添加剤であるアセチレングリコール系、アセチレンアルコール系、シリコン系の各界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル若しくは1,2−アルキレングリコールあるいはこれら混合物と脱離したポリマーにより、ヘッドを構成する接着剤などをアタックしやすくなる。200000を超えるとインクの粘度が上昇しやすくなることと、安定な分散体を得ることが難しくなる。
上記分散に用いるポリマーは、2重結合を有するアクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基あるいはアリル基を有するモノマーやオリゴマー類を用いたポリマーを用いることができる。
上記分散に用いるポリマーは、親水性を付与するため、また、カチオン性高分子微粒子による凝集作用により発色性を向上させるためにカルボキシル基を備えていることが好ましい。カルボキシル基は、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマール酸等を用いることができる。これらは1種あるいは2種以上を組み合わせて用いることができるが、好ましくは、アクリル酸および/またはメタクリル酸である。
上記分散に用いるポリマーは、カルボキシル基含有モノマーとアクリレートおよび/またはメタクリレートとを主体とする共重合体であることが好ましい。また、アクリル酸およびメタクリル酸とアクリレートおよびメタクリレートの全モノマー質量に対する比率は80%以上であることが好ましい。
上記分散に用いるポリマーは、また、ベンジルアクリレートおよび/またはベンジルメタクリレートを全モノマー質量の40質量%以上80質量%(以下単に「%」ということもある。)以下含んでいることが好ましい。ベンジル基を有するアクリル系モノマー及びメタクリル系モノマーの総量が40%未満では印捺物の発色性が低下し、80%を超えると分散安定性を得られにくくなる。なお、ベンジル基含有水分散性ポリマーは、ベンジルアクリレートおよびベンジルメタクリレート以外のモノマーは、アクリル酸および/またはメタクリル酸と他のアクリレートおよび/またはメタクリレートであることが好ましい。これらのモノマーのみから共重合されていることが好ましい。なお、(メタ)アクリレートとしては、ブチル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
上記分散に用いるポリマーは、アクリレートとアクリル酸との全モノマー質量に対する比率が80%以上であるモノマー組成物の共重合体であることが好ましい。80%未満では、専用紙における定着性や光沢性が低下する。アクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルカルビトールアクリレート、フェノールEO変性アクリレート、N−ビニルピロリドン、イソボロニルアクリレート、ベンジルアクリレート、パラクミルフェノールEO変性アクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−フェノキシプロピルアクリレートなど市販のアクリレートを用いることができる。好ましくは、ベンジルアクリレートおよび/またはブチルアクリレートを用いる。さらに好ましくは、ベンジルアクリレートを全モノマー質量の40%以上80%以下含有するモノマーの共重合体である。
上記分散に用いるポリマーは、溶液重合や乳化重合等公知の方法により得ることができる。また、上記分散に用いるポリマーとは別に、インク中で顔料分散体を安定に分散させるために、分散安定剤として水分散性または水溶解性のポリマーや界面活性剤を添加することもできる。また、上記分散に用いるポリマーは、その構成成分として少なくとも70%以上が(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸の共重合によるポリマーであることが分散安定性の観点から好ましい。
顔料としては、黒色インク用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類が特に好ましいが、銅酸化物、鉄酸化物(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料を用いることもできる。
また、カラーインク用としては、C.I.ピグメントイエロー1(ファストイエローG)、3、12(ジスアゾイエローAAA)、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83(ジスアゾイエローHR)、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、128、138、153、155、180、185、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22(ブリリアントファーストスカーレット)、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ba))、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3(パーマネントレッド2B(Sr))、48:4(パーマネントレッド2B(Mn))、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81(ローダミン6Gレーキ)、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、202、206、209、219、C.I.ピグメントバイオレット19、23、C.I.ピグメントオレンジ36、43、64、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルーR)、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルーG)、15:4、15:6(フタロシアニンブルーE)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が使用できるこのように、色剤としては種々の顔料を用いることができる。
また、上記顔料は、分散機を用いて分散するが、分散機としては市販の種々の分散機を用いることができる。好ましくはコンタミが少ないという観点から、非メディア分散がよい。その具体例としては、湿式ジェットミル(ジーナス社)、ナノマーザー(ナノマーザー社)、ホモジナイザー(ゴーリン社)、アルティマイザー(スギノマシン社)およびマイクロフルイダイザー(マイクロフルイディクス社)などが挙げられる。
顔料の添加量は、0.5%〜30%が好ましく、1.0〜15%がより好ましい。0.5%以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、また30%以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
《インクに含有される高分子微粒子》
本実施形態に係る、インクジェット捺染用前処理剤を用いた、印捺方法による、印捺物は、高分子微粒子を含有されることが好ましい。以後この高分子微粒子を前処理剤のカチオン性高分子微粒子と区別するために、「インクに含有される高分子微粒子」と表現する。このインクに含有される高分子微粒子は布帛へのインクの定着性を向上させるために用いる。また、このインクに含有される高分子微粒子のガラス転位温度は、−10℃以下であることが好ましい。これにより印捺物の顔料の定着性が向上する。−10℃を超えると顔料の定着性が徐々に低下してくる。好ましくは−15℃以下であり、より好ましくは−20℃以下である。
インクに含有される高分子微粒子は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるスチレン換算質量平均分子量が10万以上100万以下であることが好ましい。この範囲内にあることにより、印捺物の顔料の定着性が向上する。
インクに含有される高分子微粒子の平均粒径は光散乱法で測定する。光散乱法によるインクに含有される高分子微粒子の粒径は50nm以上500nm以下が好ましく、60nm以上300nm以下がより好ましい。50nm未満では印捺物の定着性が低下し、500nmを超えると分散安定が不安定になる。また、顔料定着液をインクジェット印刷する場合は、インクジェットヘッドからの吐出が不安定になりやすい。
インクに含有される高分子微粒子が構成成分として含有するアルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートとしては、炭素数が1〜24のアルキル(メタ)アクリレートおよび/または炭素数が3〜24の環状アルキル(メタ)アクリレートが好ましい。その例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレートおよびベヘニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
また、上記アルキル(メタ)アクリレートおよび/または環状アルキル(メタ)アクリレートは、インクに含有される高分子微粒子全体に対して70質量%以上含有されてなることが好ましい。印捺物の乾摩擦および湿摩擦双方における摩擦堅牢性並びにドライクリーニング性がより向上する。
《1,2−アルキレングリコール》
本実施形態に係るインクは、1,2−アルキレングリコールを含んでなることが好ましい。1,2−アルキレングリコールを用いることで、印刷物や印捺物のにじみが低減し、印刷品質が向上する。1,2−アルキレングリコールの例としては、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオールのように、炭素数5または6の1,2−アルキレングリコールが好ましい。中でも、炭素数6の1,2−ヘキサンジオールおよび4−メチル−1,2−ペンタンジオールが好ましい。また、1,2−アルキレングリコールの添加量は0.3%〜30%が好ましく、より好ましくは0.5%〜10%である。
《グリコールエーテル》
本実施形態に係るインクは、グリコールエーテルを含んでなることが好ましい。これにより、印刷物や印捺物のにじみが低減する。グリコールエーテルとしては、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテルおよびジプロピレングリコールモノブチルエーテルから選択される一種または二種以上を用いることが好ましい。また、グリコールエーテルの添加量は、0.1%〜20%が好ましく、より好ましくは0.5%〜10%である。
アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤
インクは、アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を含んでなることが好ましい。アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を用いることで、さらににじみが低減し、印刷品質が向上する。また、これらの添加により、印字の乾燥性が向上し、高速印刷が可能となる。
アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールおよび2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのアルキレンオキシド付加物、2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールおよび2,4−ジメチル−5−デシン−4−オールのアルキレンオキシド付加物から選ばれた1種以上が好ましい。これらは、エアプロダクツ(英国)社のオルフィン104シリーズ、オルフィンE1010などのEシリーズ、日信化学製サーフィノール465あるいはサーフィノール61などとして入手可能である。
本実施形態においては、上記1,2−アルキレングリコールと、上記アセチレングリコール系界面活性剤および/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、上記グリコールエーテルとからなる群から選択される一種または二種以上を用いることでよりにじみが低減する。
《その他の成分》
上述した本実施形態に係るインクは、さらに多官能化合物を含むこともできる。印捺物の乾摩擦および湿摩擦双方における摩擦堅牢性並びにドライクリーニング性がより向上する。なお、かかる多官能化合物については、顔料定着液の成分として後述する。
また、インクセットは、インクおよび/または顔料定着液が含んでなるカチオン性高分子微粒子および/または多官能化合物の(合計)含有量(質量%)が、インクが含んでなる顔料の含有量(質量%)より多いことを特徴とする。これにより、印捺物の顔料の定着性が向上する。
また、本実施形態に係るインクは、その放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のため等の目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を適宜添加することもできる。
本実施形態に係るインクにおいては必要に応じて上記成分以外に、水溶性有機溶媒を用いてもよい。例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン等)、アセトニトリル等が挙げられる。水溶性有機溶媒量としては、全インク質量に対して1〜60質量%が好ましい。
本実施形態に係るインクにおいては必要に応じて上記成分以外に界面活性剤を用いることができる。陽イオン性、陰イオン性、両性、ノニオン性のいずれも用いることができる。
陽イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシル−N−メチルグリシン塩、N−アシル−N−メチル−β−アラニン塩、N−アシルグルタミン酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホ琥珀酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、硫酸化油、高級アルコール硫酸エステル塩、第2級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、第2級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩、アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、カルボキシベタイン型、スルホベタイン型、アミノカルボン酸塩、イミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル(例えば、花王株式会社製エマルゲン911)、ポリオキシエチレンステロールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン2級アルコールエーテル、ポリオキシエチレンラノリン誘導体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル(例えば、三洋化成株式会社製ニューポールPE−62)、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、硬化ヒマシ油、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアミンオキサイド等が挙げられる。
これらの界面活性剤を使用する場合、単独又は2種類以上を混合して用いることができ、インク全質量に対して、0.001〜1.0質量%の範囲で添加することにより、インクの表面張力を任意に調整することができ好ましい。
本実施形態ではカチオン性高分子微粒子あるいは顔料の平均粒径としては、光散乱法を用いた市販の粒径測定機により求めることができる。具体的粒径測定装置としては、例えば大塚化学株式会社製ELSシリーズ、日機装株式会社製マイクロトラックシリーズやナノトラックシリーズ、マルバーン社製ゼーターサイザーシリーズ、等を挙げることができる。
(印捺物)
本実施形態の印捺物は、上述した印捺物の製造方法により得られるものである。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限り種々の変更は可能である。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(実施例1)
(前処理剤1の調製)
(1)カチオン性高分子微粒子(エマルジョンA)の製造
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート15部、ブチルアクリレート6部、アリルアミン16部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、0.3μmのフィルターでろ過したカチオン性高分子微粒子水分散液を作製した。これに水を加えて濃度調整を行なって、固形分濃度40%のエマルジョンA(EM−A)とした。このカチオン性高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ190nmであった。
(2)前処理剤1の作製
EM−A(固形分40%) 25.0%
オルフィンE1010(日信化学製) 1.2%
プロキセルXLII(アーチ・ケミカルズ・ジャパン製) 0.3%
1,2−ヘキサンジオール 0.5%
トリエチレングリコール 0.5%
イオン交換水 残量
以上の各添加剤を順次混合し、攪拌した後、5μmフィルターでろ過して前処理剤1を調製した。
(インクジェット用ブラックインク1、シアンインク1、マゼンタインク1およびイエローインク1の調製)
(1)ブラックインク用顔料分散体Bk1の製造
顔料分散体1はカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880を用いた。特開平8−3498と同様な方法でカーボンブラックの表面を酸化して水に分散可能にし、分散体1とした。
(2)シアンインク用顔料分散体C1の製造
シアンインク用分散液1はC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、ベンジルアクリレート75部、アクリル酸2部、t−ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したベンジルアクリレート150部、アクリル酸15部、ブチルアクリレート5部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部および過硫酸ナトリウム1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させた。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の顔料分散ポリマー溶液Aを作製した。このポリマーの一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ40℃であった。
また、上記顔料分散ポリマー溶液Aを40部とC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合した。その後超高圧ホモジナイザー(株式会社スギノマシン製アルティマイザーHJP−25005)を用いて200MPaで15パスして分散した。その分散液を、別の容器に移してイオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌した。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整した。その顔料溶液を、3μmのメンブレンフィルターでろ過しイオン交換水で調整して顔料濃度が15%であるシアンインク用顔料分散液C1とした。
(3)マゼンタインク用顔料分散体M1の製造
顔料分散体M1はC.I.ピグメントレッド122(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体1と同様に作製した。
(4)イエローインク用顔料分散体Y1の製造
顔料分散体Y1はC.I.ピグメントイエロー180(ベンズイミダゾロン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体1と同様に作製した。
(5)ホワイトインク用顔料分散体W1の製造
顔料分散体W1はC.I.ピグメントホワイト6(ルチル型酸化チタン顔料ST410WB:チタン工業製)を用いて、分散剤としてビックケミージャパン製DISPERBYK−2015を顔料の質量の12%に調整して、顔料分散体1と同様に作製した。
(6)インクに含まれる高分子微粒子の作製
反応容器に滴下装置、温度計、水冷式還流コンデンサー、攪拌機を備え、イオン交換水100部を入れ、攪拌しながら窒素雰囲気70℃で、重合開始剤の過流酸カリを0.2部を添加しておき、イオン交換水7部にラウリル硫酸ナトリウムを0.05部、グリシドキシアクリレート4部、エチルアクリレート15部、ブチルアクリレート15部、テトラヒドロフルフリルアクリレート6部、ブチルメタクリレート5部およびt−ドデシルメルカプタン0.02部を入れたモノマー溶液を、70℃に滴下して反応させて1次物質を作製する。その1次物質に、過流酸アンモニウム10%溶液2部を添加して攪拌し、さらにイオン交換水30部、ラウリル硫酸カリ0.2部、エチルアクリレート30部、メチルアクリレート25部、ブチルアクリレート6部、アクリル酸5部、t−ドデシルメルカプタン0.5部よりなる反応液を70℃で攪拌しながら添加して重合反応させた後、水酸化ナトリウムで中和しpH8〜8.5にして0.3μmのフィルターでろ過したインクに含有される高分子微粒子水分散液を作製した。これに水を加えて濃度調整を行なって、固形分濃度40%のエマルジョンA1(EM−A1)とした。このインクに含有される高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−15℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は150000であった。
(7)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。インクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体1を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。
尚、全実施例および全比較例中の残量の水にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。
(印捺サンプル1の作製)
布帛として綿を用い、前処理剤1を用いて、PX−A650を用いたインクジェット法により塗布した後、インクジェット用ブラックインク1を用いてPX−A650を用いたインクジェット法により塗布し、160℃5分乾燥させて、印捺サンプル1を作製した。
(a)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
印捺サンプル1を用い、テスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重300gで200回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。
また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。同様に、実施例は4級以上あるものとした。
(b)発色性の測定
印捺サンプル1を用い、GRETAG SPECTROSCAN SPM−50を用いて発色性の指標としてブラックはOD値、シアン、マゼンタおよびイエローは彩度、ホワイトは白色度を評価した。結果を表1に示す。実施例はOD値が1.1以上、シアンとマゼンタの彩度が40以上、イエローの彩度が50以上、白色度は70以上とした。
(実施例2)
(前処理剤2の調製)
(1)カチオン性高分子微粒子(エマルジョンB)の製造
前記前処理剤1の調製において、アリルアミン16部をアリルアミン10部とジメチルアリルアミン6部に変更した以外は同様にして、前処理剤2を調製した。水を加えて濃度調整を行なって、固形分濃度40%のエマルジョンB(EM−B)とした。このカチオン性高分子微粒子水分散液の一部を取り乾燥させた後、示差操作型熱量計(セイコー電子製EXSTAR6000DSC)によりガラス転位温度を測定したところ−14℃であった。株式会社日立製作所製L7100システムのゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて、溶剤をTHFとして測定したときのスチレン換算分子量は160000であった。マイクロトラック粒度分布測定装置UPA250(日機装製)を用いて粒径を測定したところ180nmであった。
(インクジェット用ブラックインク2、シアンインク2、マゼンタインク2およびイエローインク2の調製)
(1)ブラックインク用顔料分散体Bk2の製造
ブラックインク用顔料分散体2は、実施例1におけるブラックインク用顔料分散体において、カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)である米国キャボット社製モナーク880の代わりに三菱化学製MA100を用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
(2)シアンインク用顔料分散体C2の製造
シアンインク用分散体2は実施例1におけるC.I.ピグメントブルー15:4(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)の代わりに、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いた以外は実施例1と同様にして作製した。
(3)マゼンタインク用顔料分散体M2の製造
マゼンタインク用分散体2は実施例1におけるC.I.ピグメントレッド122(キナクリドン顔料:クラリアント製)の代わりに、C.I.ピグメントバイオレット19(キナクリドン顔料:クラリアント製)を用いて顔料分散体1と同様に作製した。
(4)イエローインク用顔料分散体Y2の製造
イエローインク用顔料分散体2は実施例1におけるC.I.ピグメントイエロー74(縮合アゾ顔料:クラリアント製)の代わりに、C.I.ピグメントイエロー185(イソインドリン顔料:BASF製)を用いて顔料分散体1と同様に作製した。
(5)ホワイトインク用顔料分散体W2の製造
顔料分散体W1はC.I.ピグメントホワイト6(ルチル型酸化チタン顔料CR−EL:石原産業製)を用いて、分散剤としてビックケミージャパン製DISPERBYK−190を顔料の質量の12%に調整して、顔料分散体1と同様に作製した。
(6)インクジェット記録用インクの調製
以下、インクジェット記録用インクに好適な組成の例を表4に示す。本実施例のインクジェット記録用インクの調製は、上記の方法で作製した分散体2を用い、表4に示すビヒクル成分と混合することによって作製した。尚、インクに含まれるカチオン性高分子微粒子は実施例1と同じものを用いた。
(印捺サンプル2の作製)
布帛として綿を用い、前処理剤2を用いて、PX−A650を用いたインクジェット法により塗布した後、インクジェット用ブラックインク1を用いてPX−A650を用いたインクジェット法により塗布し、160℃5分乾燥させて、印捺サンプル2を作製した。
(a)耐擦性試験とドライクリーニング性試験
印捺物2を用い、テスター産業株式会社の学振式摩擦堅牢性試験機AB−301Sを用いて荷重300gで200回擦る摩擦堅牢性を行なった。インクのはがれ具合を確認する日本工業規格(JIS)JIS L0849によって、乾燥と湿潤の2水準で評価した。
また、同様にドライクリーニング試験をJIS L0860のB法によって評価した。耐擦性試験およびドライクリーニング試験の結果を表1に示す。
(b)発色性の測定
印捺サンプル2を用い、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定は実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(実施例3〜7)
実施例1において、公知の方法により攪拌速度を調整して、粒径が50nm(実施例3)、300nm(実施例4)、500nm(実施例5)、1μm(実施例6)、5μm(実施例7)の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンB1〜5(EM−B1〜5)を用い、前処理剤3−1〜3−5とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル3−1〜3−5を作製した。但し実施例7はインクジェット法では塗布できないので、パッディング法により塗布した。その印捺サンプル3−1〜3−5を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表1に示す。
(実施例8〜12)
実施例1において、公知の方法によりエチルアクリレート30部の部分をラウリルアクリレートに変更して、ガラス転移温度が−30度(実施例8)、−25℃(実施例9)、−20℃(実施例10)、−13℃(実施例11)、−10℃(実施例12)の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンC1〜C5(EM−C1〜C5)を用い、前処理剤4−1〜4−5とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル41〜45を作製した。その印捺サンプル4−1〜4−5を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表2に示す。
(実施例13〜17)
実施例1において、公知の方法により開始剤の量を調整して分子量が30万(実施例13)、20万(実施例14)、18万(実施例15)、13万(実施例16)、10万(実施例17)の高分子微粒子を作製し、高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンD1〜D5(EM−D1〜D5)を用い、前処理剤5−1〜5−5とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル5−1〜5−5を作製した。その印捺サンプル5−1〜5−5を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表3に示す。
(実施例18)
実施例1において、布帛を綿の代わりに、麻(印捺サンプル6)、レーヨン繊維(印捺7)、アセテート繊維(印捺サンプル8)、絹(印捺サンプル9)、ナイロン繊維(印捺サンプル10)、ポリエステル繊維(印捺サンプル11)を用いて各印捺物を作成した。その各印捺サンプル6〜11を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表5に示す。
(比較例1)
実施例1における前処理剤1において、カチオン性高分子微粒子の添加量をゼロにし、前処理剤6とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル12を作製した。その印捺サンプル12を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
(比較例2)
実施例1において、公知の方法によりエチルアクリレート30部をスチレン30部に変更して、ガラス転移温度が15℃のカチオン性高分子微粒子を作製し、カチオン性高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンE(EM−E)を用い、前処理剤7とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル13を作製した。その印捺サンプル13を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
(比較例3)
実施例1において、公知の方法により、開始剤の量を調整して質量平均分子量が8万のカチオン性高分子微粒子を作製し、カチオン性高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンE(EM−E)を用い、前処理剤7とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル13を作製した。その印捺サンプル13を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
(比較例4)
実施例1において、公知の方法により攪拌速度を調整して、粒径が6μmのカチオン性高分子微粒子を作製し、カチオン性高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンG(EM−G)を用い、フィルターによるろ過を行なわないで、前処理剤9とした。また、インクジェット法により塗布ができないので、パッディング法で塗布した以外は実施例1と同様に印捺サンプル15を作製した。その印捺サンプル15を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
(比較例5)
実施例1において、公知の方法により攪拌速度を調整して、粒径が30nmのカチオン性高分子微粒子を作製し、カチオン性高分子微粒子水溶液である固形分40%のエマルジョンH(EM−H)を用い、前処理剤10とした以外は実施例1と同様に印捺サンプル16を作製した。その印捺サンプル16を用いて、耐擦性試験、ドライクリーニング試験および発色性の測定を実施例1と同様に行なった。結果を表4に示す。
Figure 2011168913
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Claims (7)

  1. インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とするインクジェット捺染用前処理剤。
  2. 前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット捺染用前処理剤。
  3. インクを布帛に印捺する前に、該布帛に少なくとも、水、カチオン性高分子微粒子を含む前処理剤によって前処理を行なう、インクジェット方式で布帛に印捺するインクジェット捺染において、該カチオン性高分子微粒子のガラス転移温度が−10℃以下であり、該カチオン性高分子微粒子の質量平均分子量が10万以上であり、且つ該カチオン性高分子微粒子の光散乱法による粒子径が50nm以上5μm以下であることを特徴とするインクジェット捺染方法。
  4. 前記布帛が、綿、麻、レーヨン繊維、アセテート繊維、絹、ナイロン繊維、ポリエステル繊維から選ばれた1種類の繊維からなる布帛、または2種以上繊維の混紡からなる布帛であることを特徴とする請求項3に記載のインクジェット捺染方法。
  5. 前記前処理剤をインクジェット法により塗布し、該前処理剤の粒子径が1μm以下であることを特徴とする請求項3または4に記載のインクジェット捺染方法。
  6. 請求項1または2に記載のインクジェット捺染用前処理剤およびインクジェット捺染用インク組成物を用いることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項に記載のインクジェット捺染方法。
  7. 前記インク組成物に用いる色材である顔料が自己分散型またはアクリル系樹脂により分散されていることを特徴とする請求項6に記載のインクジェット捺染方法。
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