JP2011167259A - 水変色性シート - Google Patents

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Abstract

【課題】幼児用お絵かきシートやお絵かきボードなどに用いられる、乾燥状態では不透明であるが、含水すると透明に変化する変色層を具備する水変色性シートにおいて、変色層の耐摩耗性を向上させて、従来耐摩耗性の問題で使用できなかった安価な炭酸マグネシウムを含めて含水変色顔料の種類に関わらず表面摩耗が生じにくい水変色性シートを提供すること。
【解決手段】含水変色顔料がバインダーで分散状態に固着された変色層と、前記変色層を支持する支持体とを少なくとも具備する水変色性シートにおいて、変色層に、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが、0.2〜13重量%含有されていること。
【選択図】なし

Description

本発明は、乾燥状態では不透明であるが含水状態では透明に変化する含水変色顔料を用いた水変色性シートに関する。
従来、乾燥状態では不透明であるが、含水すると透明に変化する化合物(含水変色顔料)を利用して、かかる含水変色顔料を含む変色層を具備する水変色性シートを用いたお絵かきシートやお絵かきボードといった玩具が提供されている。この玩具は、前記水変色性シートと、例えばペン先などに水などの液体を充填させた筆記具形態の塗布具とからなり、前記水変色性シートの表面を前記塗布具で筆記や描画すると、前記水変色性シート表面の含水部分が、乾燥するまでの間、その色調に変化が生じることで、筆記やお絵描きなどを楽しめるものである。
かかる水変色性シートの含水変色顔料を含む変色層としては、例えば特許文献1では、低屈折率顔料、なかでも湿式法で製造された微粒子状珪酸(湿式法微粒子状珪酸)をバインダー樹脂に分散状態に固着させた多孔質層が開示されている。しかし、湿式法微粒子状珪酸は、材料として高価であるため、コスト高の要因となっていた。一方、安価な含水変色顔料としては、以前より炭酸マグネシウムが知られていた(例えば特許文献2)。
ところで、水変色性シートの表面は、塗布具により繰り返し筆記や描画が行われるので、その表面が少しずつ摩耗するという問題があった。屋内の清浄な環境で使用する場合には問題はあまり大きくないが、本件の水変色性シートは、幼児向けのお絵かき用玩具であるお絵かきシートとしての用途があり、屋外など水変色性シート表面に小さな砂が付着しやすい場所で使用される場合も多い。この場合、筆記具と水変色性シートとの間に砂塵などが挟み込まれ、水変色性シート表面に肉眼では目視できない程度の小さな傷ができることがある。かかる理由から当該表面の傷より表面の摩耗が進むものと考えられる。ただし、含水変色顔料として湿式法微粒子状珪酸を用いている場合は、かかる表面摩耗は生じるものの、経年劣化として処理できる程度のものであったので、あまり問題視されてこなかった。
ところが、水変色性シートの含水変色顔料として安価な炭酸マグネシウムを用いる場合、この耐摩耗性の問題が大きくなるため、従来、含水変色顔料として用いることが困難であった。
特開2001−104661号公報
実開昭49−130913号公報
そこで本発明では、変色層の耐摩耗性を向上させて、含水変色顔料の種類によらず、表面摩耗が生じにくい水変色性シートを提供することを目的とする。
上記課題を解決する手段として、本発明の水変色性シートでは、含水変色顔料がバインダーで分散状態に固着されている変色層に、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが、0.2〜13重量%含有されていることを最も主要な特徴とする。
本発明の水変色性シートによれば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを所定割合含有させることで、水変色性シートの変色層表面の滑りを改善できるとともに、耐摩耗性も改善できる。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンによる耐摩耗性効果は、含水変色顔料の種類に関わらず発揮しうるため、従来、筆記や描画を繰り返し行うと表面が削れてしまう問題から用いることができなかった比較的安価な炭酸マグネシウムを含水変色顔料であっても水変色性シートの含水変色顔料として使用できる点は、本発明の大きな利点である。
その一方、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを所定量含有しても、水変色性シートとしての乾燥状態と含水状態との色調の変化、すなわち色差(ΔE)は十分大きいまま維持される。
〔構成の概要〕
水変色性シートの基本構成は、支持体の上に含水変色顔料をバインダー樹脂に分散状態で固着させた変色層を設けたものであるが、本発明では前記変色層にポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを0.2〜13重量%含有させることを特徴とする。
また前記支持体と前記変色層との間に、着色成分を含む着色剤層を設ける構成であってもよい。また、前記着色剤層と前記変色層との間に、両方の層の成分をともに含む混合層を更に設けてもよい。或いは前記変色層に白色以外の有色顔料を配合し、カラーバリエーションを付与した構成とすることもできる。また、前記変色層のバインダーを白色以外の有色染料で染めて該変色層にカラーバリエーションを付与した構成とすることもできる。
〔含水変色顔料〕
本発明にいう含水変色顔料とは、乾燥状態と含水状態で色調が変化する顔料である。一般的には乾燥状態では隠蔽性の白色であり、含水状態で透明化するという変化が生じる。本発明の水変色性シートでは、上記性質を具備しておれば含水変色顔料としては特段制限なく用いることができる。含水変色する具体的な化合物の例としては、湿式法微粒子状珪酸などの珪酸、珪酸アルミニウム、酸化アルミニウム、ベーマイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどを挙げることができる。また含水変色する化合物を数種類混合した含水変色顔料を用いることもできる。
なかでも、従来含水変色作用を示すことは知られていたが、耐摩耗性などの問題があるため、安価でありながら使用できなかった炭酸マグネシウムを含む含水変色顔料、さらには炭酸マグネシウムからなる含水変色顔料であっても用いることもできるようになった。
〔着色成分〕
本発明水変色性シートは、下地となる支持体に着色したり、変色層と下記支持体の間に着色剤層を設けたり、或いは変色層自身を着色したりするなどの方法で着色を行ってもよい。着色には、有色顔料・有色染料(白色以外の色を持つ顔料や染料)といった着色成分を用いることができる。有色の着色成分としては、公知の染料、顔料など各種のものが制限なく用いることができる。具体的には青色である製品名「POLYMO NAVY BLYE NT-231 ECO」(紀和化学工業株式会社製)、緑色である製品名「Ryudye-w Green F2G」(大日本インキ化学工業(株)製)、蛍光色である製品名「Lumikol」シリーズ(日本蛍光化学(株)製)などを挙げることができる。変色層に着色剤を配合させる様態において、着色剤として有色顔料を用いる際には、前記含水変色顔料とともに、下記バインダーを用いて分散状態で固着させることができる。一方、着色剤として有色染料を用いる場合には、下記バインダーの樹脂成分を予め染色させて用いることもできる。
〔バインダー〕
本発明で用いられるバインダーとしては、前記含水変色顔料、或いはそれとともに着色成分としての有色顔料を、分散状態で固着させうる樹脂エマルションを好適に用いることができる。具体的には、ウレタン系樹脂、ナイロン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、アクリル酸エステル共重合樹脂、アクリルポリオール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、スチレン共重合樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン共重合樹脂、ブタジエン樹脂、クロロプレン樹脂、メラミン樹脂、及び前記各樹脂エマルション、カゼイン、澱粉、セルロース誘導体、ポリビニルアルコール、尿素樹脂、フェノール樹脂などのエマルションが挙げられる。なかでもアクリル系樹脂或いはアクリル−酢酸ビニル系樹脂エマルションが好ましい。さらに前記樹脂エマルションに硬化剤を加えることもできる。
バインダーに用いられる樹脂エマルションの好適な濃度としては、分散させる被分散粒子、すなわち含水変色顔料や有色顔料の性状にも左右されるが、樹脂エマルション固形分濃度で2.3〜28重量%とすることが好ましく、さらには4.6〜23重量%とすることがより好ましい。樹脂エマルション固形分濃度が2.3重量%未満であると、被分散粒子が沈降し、また定着性の劣化が生じる。一方、樹脂エマルション固形分濃度が28重量%を超えると、変色層の隠蔽力が劣り、また水を変色層に塗布してからの変色スピードが遅くなる。
〔ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン〕
本発明の水変色性シートの変色層には、表面の滑り性改善と耐摩耗性改善のためにポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを0.2〜13重量%含有させる。含有割合が0.2重量%未満であると、本発明で必要なポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンによる耐摩耗性改善が十分に発揮されない。13重量%を超えて含有させても耐摩耗性改善効果は飽和するのでコストアップの要因となるだけである。
本発明で使用でき、市場から入手可能なポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンとしては、商品名「BYK−301/302」,「BYK−306」,「BYK−307」,「BYK−310」,「BYK−330」,「BYK−331」,「BYK−333」,「BYK−337」,「BYK−341」,「BYK−344」,「BYK−345/346」,「BYK−348」,「BYK−378」(以上、ビックケミー・ジャパン(株)製,なお「BYK」は登録商標)、「KF6004」,「X−22−4952」,「X−22−4272」,「X−22−6266」(以上、信越化学工業(株)製)、「BY16−201」「SF8427」(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)などを挙げることができる。
〔尿素〕
前記変色層には、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの他に、尿素を含有させることが好ましい。変色層に尿素を含有させることで、変色層の保湿性が向上し、これにより、筆記または描画の際に、水を塗布した変色層の変色スピードが速くなる。尿素の含有量は特に制限されるものではないが、変色層全構成成分に対して1.5〜37重量%が好ましく、3〜23重量%が更に好ましい。含有割合が1.5重量%未満であると変色スピードを速める効果がほとんど現れない。一方、含有割合が37重量%を超えると尿素を変色層中に均一に分散させることが困難になる。
〔積層方法〕
前記支持体に、変色層を、或いは着色剤層とさらにその上に変色層とを形成させる手段としては、例えば、シルク印刷などスクリーン印刷、オフセット印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷、転写等の印刷手段、刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等の公知の手段を適宜用いることができる。
〔作製用インキ〕
含水変色顔料をバインダー樹脂に分散状態で固着し、かつポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、好ましくは更に尿素を含有する変色層を、上記印刷の方法によって作製するためには、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、含水変色顔料及びバインダー樹脂、更には必要に応じて尿素や着色成分を含む作製用インキを調整する。作製用インキには、良好な印刷を実現するため、前記成分の他に、湿潤剤、消泡剤、増粘剤、粘性改質剤などを加えることが好ましい。また必要に応じて界面活性剤、造膜助剤、防腐剤、保水剤、可塑剤、分散剤などを加えることもできる。
〔粘性改質剤〕
粘性改質剤としては、ポリウレタン系の粘性改質剤が好ましい。ポリウレタン系の粘性改質剤としては、具体的には、(株)ADEKA社製の商品名「アデカノールUH」シリーズ、ローム・アンド・ハース社製の商品名「PRIMAL」シリーズの「RM−2020NPR」「RM−5000」「RM−6000」「RM−7」「RM−5」、アクゾノーベル社製の商品名「BERMODOLPUR」シリーズなどを挙げることができる。なかでも「アデカノールUH」シリーズが最適である。
粘性改質剤の含有量は特に制限されるものではないが、作製用インキ全量に対して0.5〜30重量%(固形分濃度として0.2〜10重量%)が好ましく、1〜20重量%(固形分濃度として0.3〜7重量%)が更に好ましい。粘性改質剤の固形分濃度が0.2重量%未満であると粘性改質剤による曳糸性付与効果がほとんど現れない。一方、固形分濃度が10重量%を超えると作製用インキの流動性がなくなり、印刷が困難になる。
〔固形成分割合〕
前記作製用インキには、その成分である含水変色顔料をはじめ、バインダーや粘性改質剤などに、固形成分が含まれている。固形成分とは、水その他の溶媒成分を完全に除去した後に残留する成分である。本発明では作製用インキ中に含まれる固形成分の合計が、作製用インキ全量に対して35重量%以上であることが好ましい。固形成分の合計が35重量%未満であると作製用インキに適度な曳糸性を付与することが困難になり、塗面(変色層表面)に印刷ムラが生じやすくなるからである。さらに作製用インキ中に含まれる固形成分の合計が作製用インキ全量に対して60重量%未満であることがより好ましい。固形成分の合計が60重量%を超えると印刷用メッシュに版詰まりが生じやすくなり、不良率が増加するからである。
〔変色層〕
本発明における変色層を形成するための塗布量は、これを塗布する支持体の材質などにも左右され、特に限定されるものではない。ただし、該変色層に有色の着色成分を配合する様態とするか、該変色層に有色の着色成分は配合せず、別に着色剤層を設ける或いは支持体自体を着色する様態とするかによって好適な塗布量は変化する。まず変色層に有色の着色成分を配合しない様態では、塗布量を5〜50g/m2とすることが好ましい。塗布量が50g/m2を超えると含水状態でも下層の着色剤層または着色した支持体の色が見えにくくなり、また水を塗布した際の変化が分かりにくくなるため好ましくない。さらに好適な塗布量は10〜20g/m2である。
また、本発明の水変色性シートで、変色層に有色の着色成分を配合する様態では、該着色層の厚みを厚くするほど、含水させたときの色差(ΔE)は大きくなる。着色剤を配合した変色層を形成するための塗布量は特に制限されないが、濃淡の変化を明確にするには、5g/m2以上であることが好ましく、より好ましくは20g/m2以上である。塗布量が5g/m2未満であると、色調の濃淡の差が小さくなるだけでなく、表面から下地の支持体が透ける場合がある。一方、塗布量が多すぎると、シルク印刷などの簡便な方法による変色層の形成が困難となるので、200g/m2以下、より好ましくは100g/m2以下である。最も好ましい塗布量は30〜50g/m2である。
〔支持体〕
本発明の水変色性シート支持体としては、印刷などの方法によってその表面に変色層などを積層させることのできるものであれば特に制限されないが、ポリエステルなどの織布、編物、不織布、シルク等の布帛の他、耐水性処理を施した紙素材などが好適に使用できる。また有色(白色以外)に着色した支持体を用いることもできる。
〔水不浸透体〕
前記水変色性シートには、前記支持体の背面(変色層側の反対面)に、ポリオレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂等の軟質化プラスチックなど、水が浸透せず、かつ可撓性を有する材料による水不浸透体を適宜貼り付け、或いは積層させてもよい。水不浸透体はシート状でもよいし、発泡体など適度な厚みを有するものであってもよい。かかる水不浸透体を設けることにより、床などに本発明の水変色性シートを敷いて使用した場合でも、床が筆記による水で汚れることがない。
〈評価方法〉
〔色差評価〕
下記各実施例、比較例で得られた各塗布量の水変色性シートについては、表面乾燥状態と含水状態との色差(ΔE)により、色調変化の評価を行った。色差の測定にはJIS Z8729に規定される、CIE1978(L)表色系を用いた。なおLは、色の明るさ(明度)を示し、クロマティクネス指数aは、彩度を示す。色差測定装置としては顕微色差計「CR−241」(コニカミノルタセンシング(株)製)を用いた。測定手順は次のとおりである。
1.顕微鏡のファインダー視度を調節する。
2.測定径を1.8mmに設定する。
3.表色モードLabにして、白色校正板で校正する。
4.汚れのない位置を確認して乾いた状態の水変色性シート表面の(L)を測定する。これを(L)とする。
5.水を含んだペンで線幅約2.0mmの線を筆記(水を塗布)し、表面が乾かないうち(5秒以内)に水変色性シート表面の(L)を測定する。これを(L)とする。
6.得られた測定値から下記式〔数1〕により、色差ΔEを求める。
Figure 2011167259
〔耐摩耗性評価〕
後述の実施例、比較例で得られる水変色性シートの表面について、水を充填した塗布具を角度65°、荷重50g、7cm/secの条件で同じ個所に500回筆記を繰り返した。なお塗布具のペン先は、ナイロン製直径4.5mmの砲弾削りであり、塗布具サイズは99×15mm(1辺15mm三角)である。筆記具には、筆記を繰り返す間、ペン先が水で十分充填された状態を維持できるだけの量の水を補充した。筆記終了後、筆記を行った後の表面の状態を画像解析ソフト「Win Roof」(三谷商事)で解析し、削れた表面の面積割合を算出した。
〔実施例1〜15〕
表1または表2記載の配合量で、湿潤剤、防腐剤、消泡剤、粘性改質剤、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、尿素、増粘剤をディゾルバーで攪拌混合した後、3本ロールミルにかけたものと、表1または表2記載の配合量の樹脂エマルションとを真空攪拌してベース液を調整した。このベース液に、ロールにかけた表1または表2記載の配合割合で含水変色顔料(表中では「変色顔料」と表記)を加え攪拌し、作製用インキを調整した。この作製用インキを、青色(L=35.9,a=38.7,b=−67.9)のポリエステル製布帛を支持体として、塗布量15g/m2で120メッシュのスクリーン印刷法で塗布し、塗膜を室温で1日乾燥させ、実施例1〜15の水変色性シートを得た。
得られた実施例1〜15の水変色性シートは、上記方法にて色差(ΔE)評価と耐摩耗性評価を行った。その結果を表1または表2に示す。
Figure 2011167259
Figure 2011167259
表1、表2及び表3(後掲)記載の成分の具体的な化合物名、商品名、製造メーカーは次のとおりである。
炭酸マグネシウム:「炭酸マグネシウム金星」(神島化学工業)
珪酸:「NO.57カープレックス」(シオノギ)
炭酸カルシウム:「軽微性炭酸カルシウム」(近江化学工業)
樹脂エマルション:アクリルエマルション「モビニールDM772」,固形分量46%(日本合成化学工業
湿潤剤:プロピレングリコール
防腐剤:ジチオ−2,2−ビス(ベンズメチルアミド)「テンシルP」(アーチケミカルジャパン)
消泡剤:破泡性ポリマー「BYK-012」(ビックケミー・ジャパン)
増粘剤:ヒドロキシエチルセルロース
粘性改質剤:ウレタン変性粘性改質剤「アデカノールUH-420」,固形分量30%(ADEKA)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンA:「BYK-307」
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンB:「BYK-378」
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンC:「BYK-345/346」
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンD:「BYK-348」
以上ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンにつき、全てビックケミー・ジャパン製。
表1〜表3には、作製インキ全量に対するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(S1)の配合割合を示すとともに、得られる水変色性シートの変色層における理論上の含有割合も示した。変色層におけるS1の理論上の含有割合は、作製インキにおける固形分量から算出した。
〔比較例1〜5〕
比較例として、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを加えない系(比較例1)および過少な系(比較例2〜5)について、水変色性シートを作製した。配合割合を表3記載のものに変更した以外は、実施例1〜15と同様の手順で比較例1〜5の水変色性シートを得た。
得られた実施例1〜15の水変色性シートは、実施例1〜15の水変色性シート同様、色差(ΔE)評価と耐摩耗性評価を行った。その結果を表3に示す。
Figure 2011167259
〔結果〕
変色層にポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンを加えない系(比較例1)では、耐摩耗性評価における削られた面積が60.0%であり、繰り返しの筆記や描画によって変色層表面が削り落ちていることが分かる。ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有割合が0.2重量%未満の系(比較例2〜5)では耐摩耗性の多少の改善がみられるが、実用的なレベルにはない。特に含水変色顔料が炭酸マグネシウム(比較例2)を用いた系では、耐摩耗性評価で38.0%であり、含水変色顔料の異なる比較例(比較例3〜5,耐摩耗性評価15〜18%)と比較しても、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの配合割合が同じであるにも拘わらず耐摩耗性に劣る。
一方、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンの含有割合が0.2重量%以上の系(実施例1〜15)であれば、耐摩耗性評価で0〜3%であり、含水変色顔料の種類に拘わらず、十分実用的レベルを満たすことが分かった。
本発明の水変色性シートは、ペン先などに水などの液体を吸液させることのできる筆記具形態の塗布具とともに、繰り返し使用できるお絵かきシートとして、そのまま、或いは背面に水不浸透体を設けて、玩具などの用途で利用できる。かかる玩具は、筆記に用いる液体が水であるため、着色インキなどを用いたお絵かきシートなどと比較して使用後の汚れがほとんどなく、特に幼児用の玩具として好適である。

Claims (4)

  1. 含水変色顔料がバインダーで分散状態に固着された変色層と、前記変色層を支持する支持体とを少なくとも具備する水変色性シートにおいて、変色層に、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンが、0.2〜13重量%含有されていることを特徴とする水変色性シート。
  2. 前記変色層の含水変色顔料が、炭酸マグネシウムを含む請求項1記載の水変色性シート。
  3. 前記変色層の含水変色顔料が、炭酸マグネシウムからなる請求項1記載の水変色性シート。
  4. 前記変色層に、さらに尿素が含有されている請求項1〜3いずれかの項記載の水変色性シート。
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