JP2011167134A - スプールを備えた魚釣用リール - Google Patents

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Abstract

【課題】サミング操作が行い易く、巻乱れを防止することができるスプールを備えた魚釣用リールを提供する。
【解決手段】釣糸Lが巻き付けられる釣糸巻付部と、この釣糸巻付部の少なくとも一端に設けられたフランジ部とを有するスプール10を備えた魚釣用リール1であって、フランジ部の外側面10aに設けられ、繰り出された釣糸Lの中途部分L1を係脱可能に係止する釣糸係止部20を備え、釣糸係止部20は、外側面10aにおいて、フランジ部の外周よりも径方向内側位置に配置されている構成とした。
【選択図】図1

Description

本発明は、スプールを備えた魚釣用リールに関する。
従来、スプールを備えた魚釣用リールとして、例えば特許文献1に開示されているようなものが知られている。特許文献1の魚釣用リールは、ワカサギのような小魚を釣るために用いられるものであり、図8(a)に示すように、スプール60を構成するフランジ部61の外周に掛かるようにして、釣糸Lの中途部分を係止するための係止部62が設けられている。
この係止部62は、図8(b)に示すように、基端部63側が例えばフランジ部61の内側に延設されて、釣糸Lが巻き付けられる釣糸巻付部64等に固定されており、先端部62aがフランジ部61の外周(外周面)を越えて外側面61a側に折り返されている。
このようなスプール60を備えた魚釣用リールによるワカサギ釣り等の落し込み釣りでは、仕掛けを所望の深さまで落とした際に、スプール60から繰り出された釣糸Lの中途部分を係止部62の先端部62a側から係止部62に引っ掛けて係止することによって、いわゆる棚取りを行うことができる。つまり、釣糸Lの中途部分を係止部62に係止することにより、釣糸Lの巻き上げ後に再度仕掛けを落とす際に、係止部62に引っ掛けられた釣糸Lの中途部分までがスプール60から繰り出されるようになり、それ以上釣糸Lが繰り出されることが防止されて、前回と同じ棚位置に仕掛けを落とすことが可能となる。
また、このような係止部62を備えたスプール60として、図8(c)に示すように、係止部62の基端部63側が、スプール60の釣糸巻付部64をスプール60の軸方向に横断するように設けられたものも知られている。
特開2000−4726号公報
ところで、一般的に、ワカサギ釣り等の落し込み釣りにおいて、スプールから釣糸を繰り出して前記したように仕掛けを所望の深さにまで落とす際には、釣糸の繰り出し速度よりもスプールの回転速度が一時的に早くなるバックラッシュ現象が生じるおそれがある。このため、実釣時には、スプールに指を添える(接触させる)サミング操作を適宜行ってスプールに適度な制動を加えていた。
しかしながら、特許文献1のスプール60を備えた魚釣用リールには、前記したような係止部62がフランジ部61の外周(外周面)に掛かるように設けられていたので、サミング操作時に係止部62が指に当たり、サミング操作が行い難かった。
また、係止部62に係止した釣糸Lの中途部分が、釣糸巻き上げ時等の負荷によって、図8(b)に示すように、係止部62とフランジ部61との間を基端部63側に移動して、釣糸巻付部64に巻き付けられた釣糸L2の最外周部分L’にまで入り込んでしまうことがあり、棚位置を変更する際等に係止部62から釣糸Lを取り外し難いという問題があった。
さらに、場合によっては、釣糸Lの中途部分が、係止部62とフランジ部61との間をさらに基端部63側に移動して、釣糸L2の奥に隠れてしまうおそれがあり、スプール60の周方向のどちら側に向けて係止部62から釣糸Lを外せばよいのかを目視することができず、釣糸Lの取り外し難さが増すおそれがあった。
また、図8(c)に示したスプール60では、係止部62の基端部63側が釣糸巻付部64の巻き付け面に対して傾斜し易く、釣糸Lの巻き姿が部分的に偏る等、巻乱れやほつれが生じるおそれがあった。
本発明は、前記諸問題を解決するためになされたものであり、サミング操作が行い易く、巻乱れを防止することができるスプールを備えた魚釣用リールを提供することを目的とする。
このような課題を解決する本発明のスプールを備えた魚釣用リールは、釣糸が巻き付けられる釣糸巻付部と、この釣糸巻付部の少なくとも一端に設けられたフランジ部とを有するスプールを備えた魚釣用リールであって、前記フランジ部の外側面に設けられ、繰り出された前記釣糸の中途部分を係脱可能に係止する釣糸係止部を備え、前記釣糸係止部は、前記外側面において、前記フランジ部の外周よりも径方向内側位置に配置されていることを特徴とする。
このスプールを備えた魚釣用リールによれば、繰り出された釣糸の中途部分を係脱可能に係止する釣糸係止部は、フランジ部の外側面において、フランジ部の外周よりも径方向内側位置に配置されているので、実釣時における釣糸繰り出し時のバックラッシュ現象を回避するために、フランジ部の外周(外周面)に指を添えるサミング操作を行っても、指が釣糸係止部に触れることがない。
また、釣糸係止部はフランジ部の外側面に設けられているので、係止した釣糸の中途部分は、常に、フランジ部の外側面に位置することとなり、従来のように、係止部の基端部側がフランジ部の内側にて釣糸巻付部等に固定されたもののように、係止した釣糸の中途部分がフランジ部の内側へ移動するような事態が生じない。
したがって、釣糸の中途部分が、フランジ部における胴部側に移動して、スプールに巻き付けられた釣糸の奥に隠れることもない。
また、釣糸係止部は、フランジ部の外側面に設けられているので、従来のように、係止部の基端部側が、スプールの釣糸巻付部をスプールの軸方向に横断するように設けられたもののように、釣糸係止部が釣糸の巻き姿に影響を及ぼすような事態が生じない。
また、本発明は、前記外側面に形成された凹状部と、前記凹状部に嵌合可能な蓋部とを有し、前記釣糸係止部は、前記凹状部と蓋部との間に挟持されて固定される固定部と、前記固定部から前記蓋部の外側方に向けて突設された釣糸係止用のフック部と、を備えて構成されていることを特徴とする。
このスプールを備えた魚釣用リールによれば、外側面に形成された凹状部と、この凹状部に嵌合可能な蓋部との間に、固定部を挟持することで釣糸係止部をフランジ部の外側面に固定することができ、釣糸係止用のフック部をフランジ部の外側部(蓋部の外側方)に向けて突出させた状態に配置することができる。
また、本発明は、前記釣糸係止部が、環状部と、前記環状部の周方向に所定の間隔を空けて複数突設され、釣糸係止用のフック部と、を備えて構成され、前記フランジ部の前記外側面には、前記外側面の外側方に前記フック部を突出させた状態で前記環状部が嵌り込む溝部が形成されていることを特徴とする。
このスプールを備えた魚釣用リールによれば、フランジ部の外側面に形成された溝部に、環状部を嵌め込むことによって、フランジ部の外側面の外側方にフック部を突出させた状態で釣糸係止部を組み付けることができる。
また、環状部には、釣糸係止用のフック部が周方向に所定の間隔を空けて複数突設されているので、溝部に、環状部を嵌め込むことによって、複数のフック部を一度に、フランジ部の外側面に組み付けることができる。
また、本発明は、前記外側面に形成された凹状部と、前記凹状部に嵌合可能な蓋部と、前記蓋部に一体的に形成され、前記蓋部の外側方に突設されて前記釣糸係止部として機能するフック部と、を備え、前記フック部は、金型で成形する際、型割線を分割方向の略中心位置にして、前記釣糸巻付部の軸方向に分割された成型用金型により成形されるものであることを特徴とする。
このスプールを備えた魚釣用リールによれば、蓋部と一体的に成形されるフック部は、金型で成形する際、型割線を分割方向の略中心位置にして、前記釣糸巻付部の軸方向に分割された成型用金型により成形されるものであるので、フック部に対して釣糸の中途部分を係脱する際に、型割線に釣糸の中途部分が接触し難くなる。
本発明によれば、釣糸係止部は、フランジ部の外側面において、フランジ部の周縁部よりも径方向内側位置に配置され、釣糸繰り出し時のサミング操作において指が釣糸係止部に触れることがないので、サミング操作が行い易くなり、スプールに対して適度な制動を加えることができる。これによって、釣糸繰り出し時の扱い易さが向上されたスプールを備えた魚釣用リールが得られる。
また、行い易いサミング操作により、スプールに対して適度な制動を加えることができるので、棚位置に達したときに、釣糸係止部や釣糸に対して急激な負荷が作用するのを防止することができ、糸切れ等が生じるのを好適に抑制することができる。これにより、手返しがよくなり、釣果の向上に寄与する。また、糸切れ等が生じ難くなるので経済的である。
また、釣糸係止部は、フランジ部の外側面に設けられ、係止した釣糸の中途部分が、常に、フランジ部の外側面に位置することとなるので、釣糸係止部に対する釣糸の中途部分の係脱操作が簡単である。また、釣糸係止部に対してフランジ部の周方向のどちら側から釣糸の中途部分を掛けたのかを目視で確認することができるので、釣糸係止部から釣糸を取り外し易いという利点も得られる。
さらに、釣糸係止部は、フランジ部の外側面に設けられ、釣糸係止部が釣糸の巻き姿に影響を及ぼすような事態が生じないので、釣糸の巻き姿が部分的に偏る等、巻乱れやほつれが生じるおそれがない。したがって、スムーズな釣糸の巻き上げおよび繰り出しを実現することができる。したがって、手返しがよくなり、釣果の向上に寄与する。また、スムーズな釣糸の巻き上げおよび繰り出しを実現することができるので、糸切れ等が生じ難くなって経済的である。
また、外側面に形成された凹状部と蓋部との間に固定部を挟持することで釣糸係止部をフランジ部の外側面に固定する構成では、フランジ部の外側部に対する釣糸係止部の固定が簡単であり、釣糸係止部を備えたスプールを簡単に製造することができる。
また、フック部は、フランジ部の外側方(蓋部の外側方)に向けて突出しているので、フック部に対して釣糸の中途部分を引っ掛ける際や、棚位置の設定や変更、さらには解除をする際の係脱操作が行い易い。これにより、手返しがよくなり、釣果の向上に寄与する。
また、釣糸係止部が、環状部と、環状部の周方向に所定の間隔を空けて複数突設された釣糸係止用のフック部と、を備えて構成されたものにおいては、溝部に、環状部を嵌め込むことによって、フランジ部の外側面に釣糸係止部を組み付けることができるので、組み付けが簡単であり、釣糸係止部を備えたスプールを簡単に製造することができる。
また、溝部に、環状部を嵌め込むことによって、複数のフック部を一度にフランジ部の外側面に組み付けることができるので、これらを1つずつ組み付けた場合に比べて組み付け工数を削減することができ、製造コストを低減することができる。
また、フック部が、型割線を分割方向の略中心位置にして、釣糸巻付部の軸方向に分割された成型用金型により成形される構成では、フック部に対して釣糸の中途部分を係脱する際に、型割線に釣糸の中途部分が接触し難くなるので、釣糸のスムーズな係脱が可能となる。また、釣糸を係脱する際に、型割線に対して釣糸が接触し難いので、釣糸を傷めることもなくなり、糸切れ等が生じ難くなるので経済的である。
(a)は本発明の第1実施形態に係るスプールを備えた魚釣用リールを示した外観斜視図、(b)はスプール部分を取り外した状態の分解斜視図である。 (a)はスプールの側面図、(b)は同じく断面図である。 (a)はフック部を組み付ける際の手順を示した部分斜視図、(b)はフック部を組み付けた後の部分斜視図である。 (a)は釣糸繰り出し時におけるサミング操作の様子を示した斜視図、(b)は釣糸係止部に釣糸の中途部分を係止したときの様子を示した部分斜視図である。 (a)は本発明の第2実施形態に係るスプールを備えた魚釣用リールのスプールを示した分解斜視図、(b)〜(d)は釣糸係止部の変形例を示した斜視図である。 本発明の第3実施形態に係るスプールを備えた魚釣用リールのスプールを示した分解斜視図である。 (a)(b)はフック部を形成するための成形用金型の組み付け図、(c)は、フック部周りの部分断面図、(d)は型割線を示したフック部の拡大斜視図である。 (a)〜(c)は従来技術の説明図である。
以下、本発明に係るスプールを備えた魚釣用リールの実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、魚釣用リールとしてワカサギ釣り用の魚釣用リールに本発明を適用したものを例示するが、投げ、磯、船、ルアー釣りなど様々な釣りに用いられる魚釣用リールに本発明は適用可能であり、本発明のスプールを備えた魚釣用リールが適用される魚釣用リールの形態を限定する趣旨ではない。また、以下の説明において、「前後、左右、上下」を言うときは、図1(a)に示した方向を基準とする。
(第1実施形態)
本実施形態のスプール10を備えた魚釣用リール1は、図1(a)に示すように、前部側上面の中央部にスプール受け部4が設けられ、ここにスプール10が回転自在に軸支されている。また、魚釣用リール1の前端部に設けられた竿受け穴1aに、釣竿Rの元部R1が挿入されて扁平な釣竿Rが魚釣用リール1に取り付けられるようなっている。
また、魚釣用リール1の内部には、図示しない電動モータが設けられており、この電動モータを魚釣用リール1内に収容されたバッテリーによって駆動することで、スプール10が回転駆動され、スプール10から繰り出された釣糸Lの巻き上げを行うことができるようになっている。なお、スプール10の回転駆動は、魚釣用リール1の上面に突設されたクラッチレバー3を左右方向に傾倒操作することによって行われる。
魚釣用リール1は、その外郭を構成する筺体2を有して構成されている。筺体2は、可撓性および弾性を有する材料、例えばABS樹脂、ポリカーボーネート等の合成樹脂材料で形成された略偏平な箱形であり、釣人が片方の手で掴む(把持する)ことができる程度の大きさを有している。
筺体2は、ロアケース2aとトップカバー2bとで構成されており、ロアケース2aには、図示しない電動モータの他、電動モータの回転力をスプール10に伝達あるいは遮断するための図示しないクラッチ機構等が設けられている。なお、ロアケース2aの下面には、図示しない蓋体を介してバッテリーを収容するための収容部が凹設されている。
トップカバー2bは、上方に凸となるように前後方向に滑らかな円弧を描いて湾曲膨出する形状を呈しており、ロアケース2aに上方から被せられ、ねじ2c(図1(b)参照)や嵌め込み等の固定手段によってロアケース2aに固定される。このようなトップカバー2bは、ロアケース2aとの間に電動モータや前記したクラッチ機構等の収容空間を形成している。
トップカバー2bの前部側上面の中央部には、前記したようにスプール10が配置される有底円筒状のスプール受け部4が形成されている。
スプール受け部4の略中心部には、図1(b)に示すように、スプール10を回転自在に軸支するためのスプール軸5がナット5aに締め付けられて立設されている。スプール10は、このスプール軸5に挿通されて回転自在に支持され、スプール軸5に螺合されるスプール止めナット7で、スプール軸5から脱落不能に保持されている。
なお、スプール軸5は、スプール受け部4から鉛直方向に上向きに延びる例を示したが、これに限られることはなく、スプール受け部4の底部を前方ヘ向けて下り傾斜状に形成し、これに合わせて、鉛直方向から前傾する状態に傾斜をもたせてもよい。このように構成することによって、スプール軸5に支持されるスプール10を前傾させることができ、スプール10をトップカバー2bの円弧形状に沿う設置状態とすることができる。
スプール受け部4の底部における後端角部には、切欠き部4aが形成されている。この切欠き部4aには、図示しない電動モータの出力軸の先端部に取り付けられた合成ゴム等の伝導部材4bが出没可能に配置されている。図1(b)においては、切欠き部4aを通じて伝導部材4bがスプール受け部4内に突出した状態を示している。
本実施形態では、クラッチレバー3の傾倒操作によって、図示しないクラッチ機構が作動されることで、切欠き部4aを通じて伝導部材4bが出没するように構成されている。なお、伝導部材4bは、切欠き部4aを通じてスプール受け部4内に突出した状態で(図1(b)に示す状態で)、スプール10の下面に当接し、摩擦力をもってスプール10を回転駆動するようになっている。
トップカバー2bの上面の略中央部には、左右方向に向けてスリット2dが形成されており、このスリット2dを通じてクラッチレバー3がトップカバー2b上に突設配置されている。なお、クラッチレバー3は、スリット2dに沿って魚釣用リール1の左右方向(短手方向)に傾倒操作可能であり、例えば、左右方向の中央位置にあるときにスプール10を回転不能に保持するロック位置とすることができ、また、左側に傾倒された位置にあるときにスプール10を回転駆動して繰り出された釣糸Lを巻き上げる巻き上げ位置とすることができ、さらには、右側に傾倒された位置にあるときにスプール10のロックを解除して釣糸Lの繰り出しが可能となるフリー位置とすることができる。
なお、トップカバー2bの前端部におけるスプール受け部4の前方には、上端部が円環状とされた船べり停止ガイド6が突設されている。この船べり停止ガイド6は、釣糸Lの巻き過ぎを防止するストッパーとして機能する。すなわち、船べり停止ガイド6と釣竿R(図1(a)参照)のガイド等との間において、船べり停止ガイド6の円環部よりも大径のビーズBを釣糸Lに通しておくことにより、釣糸Lの巻き上げ時に、このビーズBが、巻き上げられてきたサルカンや、釣糸Lの結び目部分によって船べり停止ガイド6側に移動して当接し、その結果、釣糸Lの巻き上げが停止されることとなる。なお、サルカン等の締結具(船べり停止ガイド6の円環部よりも大径とされた部分を有する部材)を船べり停止ガイド6に直接当接させて釣糸Lの巻き過ぎを防止するようにしてもよい。
スプール10は、主たる部材が、例えばABS樹脂、ポリカーボーネート等の合成樹脂材料で形成されており、図2(a)に示すように、上フランジ部11と、下フランジ部12と、上フランジ部11と下フランジ部12との間に形成された胴部13とを有している。本実施形態では、上フランジ部11の内面(傾斜筒部11b)と胴部13の周面と下フランジ部12の内面(傾斜筒部12b)とによって、釣糸Lが巻き付けられる、側面視で略∨字形となる釣糸巻付部が構成されている。そして、上フランジ部11の外側面となる上面10a(図2(b)参照)には、繰り出された釣糸Lの中途部分L1(図1(a)参照)を係脱可能に係止するための釣糸係止部20が突設されている。
本実施形態のスプール10では、上フランジ部11に対して下フランジ部12の外径が大径とされており、後記するように仕掛けを所望の深さまで落とす釣糸繰り出し時において、上フランジ部11の周部11aに指を添えるサミング操作が行い易くなっている。
なお、胴部13は釣糸巻付け面が円筒に形成された、いわゆる糸巻き状の形態のものでもよい。
上フランジ部11は、図2(b)に示すように、円筒状の周部11aと、この周部11aと胴部13との間を接続する下り傾斜状の傾斜筒部11bとを含み、外側面側となる上面10a側が開口部(凹状部)11Aとされている。そして、この開口部11Aに、上蓋部(蓋部)30が装着されて開口部11Aが上蓋部30で塞がれるようになっている。
開口部11Aには、上蓋部30の周縁下部33が載置される載置部11cが形成され、また、傾斜筒部11bの胴部13側寄りとなる基端部には、ベアリング14を保持するための円筒状保持部11dが設けられている。円筒状保持部11dの外周面には、上蓋部30の下面から下方へ向けて突設された円筒部31の内面が嵌り込むようになっている。つまり、ベアリング14は、ベアリング14を直接保持する円筒状保持部11d、およびこの円筒状保持部11dの外周面に嵌合する円筒部31によって、スプール10の径方向に位置ずれすることが好適に抑えられる状態にスプール10内に組み付けられている。
なお、上フランジ部11の開口部(凹状部)11Aにおける底部の断面形状は、本実施形態で示したものに限られることはなく、上蓋部30の下面に対向する略平らな底面を有するものであってもよい。
また、上フランジ部11に開口部11Aを形成したが、これに限られることはなく、上フランジ部11の外側面を平らに形成して、外側面と上蓋部30との間に釣糸係止部20の固定部21が挟持されて固定される凹部を形成して釣糸係止部20を固定するようにしてもよい。
下フランジ部12は、図2(b)に示すように、上フランジ部11の周部11aよりも大径とされた円筒状の周部12aと、この周部12aと胴部13との間を接続する上り傾斜状の傾斜筒部12bとを含み、周部12aの内面側に形成される下部開口に、下蓋部17が装着されるようになっている。
周部12aは、下端外周がさらに径方向に膨出されて大径部12eとされている。このように、周部12aが大径部12eとされているので、前記したように、下フランジ部12の周部12aが、上フランジ部11の周部11aよりも大径とされていることと相俟って、スプール10に巻き付けられた釣糸が仮に脱落したような場合にも、下フランジ部12の下側(下蓋部17の下側)に釣糸が侵入し難くなり、スプール軸5に釣糸Lが絡み付くことが抑制されている。したがって、手返しのよいスプール10が得られる。
このような大径部12eの内面側には、下蓋部17の周縁部17aが接続される段部12cが形成されている。
また、傾斜筒部12bの胴部13側寄りとなる基端部には、ベアリング15を保持するための円筒状保持部12dが下方へ向けて突設されている。この円筒状保持部12dの外周面には、下蓋部17の上面から上方へ向けて突設された円筒部17dの内面が嵌り込むようになっている。つまり、ベアリング15は、ベアリング15を直接保持する円筒状保持部12d、およびこの円筒状保持部12dの外周面に嵌合する円筒部17dによって、スプール10の径方向に位置ずれすることが好適に抑えられる状態にスプール10内に組み付けられている。
なお、ベアリング14とベアリング15との間には、円筒状のスペーサ16が配置されている。スペーサ16の内径は、ベアリング14,15の内径よりも幾分大径とされており、スプール軸5(図1(b)参照、以下同じ)にスプール10が装着された状態で、その内面16aがスプール軸5の外周部との間に若干の隙間を有して配置されるようになっている。
また、スペーサ16の外周面は、若干の隙間をもって胴部13の内周面13aに保持されている。
ここで、ベアリング14は、上フランジ部11の円筒状保持部11dに嵌り込む外径を有し、ベアリング15は、下フランジ部12の円筒状保持部12dに嵌り込む外径を有している。
また、ベアリング14,15の内面14a,15aは、スプール軸5に対するスプール10の着脱を妨げない程度にスプール軸5に緩く外嵌される設定とされている。これによって、スプール軸5に対するスプール10の着脱を許容しつつ、ベアリング14,15を介したスプール10の好適な回転を実現している。
上蓋部30は、円環板状を呈しており、上フランジ部11の上面開口を塞ぐようにして上フランジ部11の開口部11Aに固定され、上フランジ部11との間に釣糸係止部20を挟持して固定するようになっている。
そのための構成として上蓋部30の周縁部には、図2(b)、図3(a)に示すように、釣糸係止部20を挿通配置するための切欠き部32が形成されている。切欠き部32は、釣糸係止部20の立上部22aに対応した角形状に切り欠かれており、図2(b)に示すように、上フランジ部11の開口内周面11eとの間に立上部22aを保持するようになっている。つまり、釣糸係止部20は、切欠き部32に保持される立上部22aを通じて、スプール10の径方向および周方向のいずれにおいても移動不能に固定されている。本実施形態の切欠き部32は、上蓋部30の周縁部において等間隔に計3個(図3(a)では1個のみ図示)形成されている。
このような上蓋部30は、図2(b)に示すように、上フランジ部11の載置部11cに周縁下部33が載置され、上フランジ部11の円筒状保持部11dの外周面に円筒部31の内面が嵌り込むようにして、上フランジ部11の開口部11Aに装着され、接着剤等により固定される。そして、このように固定された状態で、円筒状保持部11dの上端面およびベアリング14の径方向外側の上端面には、上蓋部30の中央に形成された貫通孔34の開口縁34aの下面が当接している。これによって、ベアリング14の軸方向のズレや移動が上蓋部30の装着によって好適に防止される構造となっている。
なお、上蓋部30の貫通孔34には、スプール止めナット7の下端小径部7aが挿通されるようになっており、下端小径部7aの下端面は、スプール軸5(図2(b)においては不図示)に対してスプール止めナット7を締め付けることによって、ベアリング14の径方向内側の上端面に当接するようになっている。このように下端小径部7aの下端面がベアリング14の前記上端面に当接した状態で、スプール止めナット7の下端小径部7aの段差部7bは、貫通孔34の開口縁34aとの間に所定の隙間を有して配置されるようになっており(開口縁34aに非接触状態となるようにされており)、これによって、スプール止めナット7を強く締め付けても、スプール10の回転が阻害されることがなくなり、スプール10の良好な回転が確保されるようになっている。
なお、スプール止めナット7の上端開口部には、スプール軸5(図2(b)においては不図示)を伝わってスプール10内に水滴が入り込むのを防止するためのシール部材(Oリング)7cが配置されている。
下蓋部17は、円環板状を呈しており、下フランジ部12の下面開口に形成された段部12cに周縁部17aが接続され、下フランジ部12の円筒状保持部12dの外周面に円筒部17dの内面が嵌り込むようにして、下フランジ部12の開口部12Aに接着剤等により固定されている。そして、このように固定された状態で、円筒状保持部12dの下端面およびベアリング15の径方向外周の下端面には、下蓋部17の中央に形成された貫通孔17bの開口縁に形成された段状面部17cがそれぞれ当接している。これによって、ベアリング15の軸方向のズレや移動が下蓋部17の装着によって好適に防止されている。
下蓋部17の下面には、不織布等からなる円環状の滑り止め部材17eが貼付されている。下蓋部17の下面には、滑り止め部材17eを介して、図示しない電動モータの出力時に取り付けられた伝導部材4b(図1(b)参照)が摩擦力をもって当接するようになっている。
なお、下蓋部17の貫通孔17b内には、ナット5aの上端が位置するようになっている。
釣糸係止部20は、図3(a)に示すように、固定部21と、フック部22とからなり、図2(b)に示すように、側面視で略コ字形状を呈している(図2(b)参照)。
固定部21は、略四角板状を呈しており、上フランジ部11の載置部11cと、上蓋部30の下面(切欠き部32の口縁部およびその近傍部)と、の間に挟持されて固定される厚さを有している。
フック部22は、固定部21から立ち上げられた立上部22aと、この立上部22aに連続する折曲部22bとを有して構成されている。立上部22aは、上蓋部30の切欠き部32に挿通配置される部分であり、図2(b)に示すように、切欠き部32に挿通配置された状態で上フランジ部11の開口内周面11eとの間に保持されるようになっている。折曲部22bは、立上部22aに連続して上蓋部30の外側面(上面)に沿うように折り曲げられており、上蓋部30の外側面との間に釣糸L(中途部分L1(図1(a)参照))を係脱可能に係止することができる隙間を隔てて設けられている。折曲部22bの先端は、全体的に丸みを有するように形成され、その下面には、円形状の突部22cが形成されている。この突部22cは、フック部22に係止された釣糸Lの脱落の抑制に寄与する。
このような釣糸係止部20は、例えば、次のようにして上フランジ部11に組み付けられる。はじめに、図3(a)に示すように、上蓋部30に形成された3個の切欠き部32(図3(a)では1個のみ図示)に釣糸係止部20の立上部22aをそれぞれ係合させ、上蓋部30に釣糸係止部20を組み付ける。そうすると、図2(b)に示すように、側面視コ字形状の釣糸係止部20の固定部21が上蓋部30の下面における切欠き部32の口縁およびその近傍部分に当接し、また、立上部22aが切欠き部32の内面に当接し、さらに、折曲部22bが上蓋部30の外側面(上面)における口縁およびその近傍部分に被さるように位置して、折曲部22bの突部22cが外側面(上面)に緩く当接する状態に組み付けられる。なお、突部22cは、上蓋部30の外側面に隙間を有して配置されるようにしてもよい。
次に、釣糸係止部20が組み付けられた上蓋部30を、予め接着剤等を塗布した開口部11Aに組み付け、上フランジ部11に上蓋部30を装着する。そうすると、釣糸係止部20の固定部21が上フランジ部11と上蓋部30との間に挟持され、釣糸係止部20が上フランジ部11に脱落不能に固定される。
なお、上蓋部30を上フランジ部11に固定することによって、上蓋部30の円筒部31の内面が上フランジ部11の円筒状保持部11dの外面に嵌合され、さらに、上蓋部30の貫通孔34の開口縁34aの下面が円筒状保持部11dの上端面および円筒状保持部11dに挿入されたベアリング14の径方向外側の上端面に当接するので、ベアリング14は、スプール10の径方向および軸方向に位置ずれすることが好適に抑えられる状態にスプール10内に組み付けられることとなる。
次に、本実施形態のスプール10を備えた魚釣用リール1を用いたワカサギ釣り等の落し込み釣りにおける作用について説明する。
はじめに、スプール10のロックを解除すべく、クラッチレバー3を釣糸Lの繰り出しが可能となるフリー位置に傾倒操作する(例えば、右側に傾倒操作する(図4参照))。そうすると、スプール10がフリー状態になり、仕掛けの先端に取り付けた錘の重さでスプール10から釣糸Lが繰り出される。この際、サミング操作を行い、トップカバー2bを掴む手の指等をスプール10の上フランジ部11の外周に添える(接触させる)。そうすることにより、スプール10に適度な制動が加わり、スプール10のバックラッシュ現象が回避される。
ここで、釣糸係止部20は、上フランジ部11の上面10a(外側面)において、上フランジ部11の外周よりも径方向内側位置に配置されているので、サミング操作を行っても、指が釣糸係止部20(フック部22)に触れることがない。したがって、スムーズなサミング操作を行うことができる。
その後、サミング操作で様子を見ながら仕掛けの先端に取り付けた錘を着底させる。例えば、着定位置からハリス分、上に位置させた状態を棚位置とする場合には、その分、スプール10を指で巻き上げ操作する。この操作は、上フランジ部11に添えた指で行うことができ、この場合にも、指が釣糸係止部20(フック部22)に触れることがないので、違和感なく行うことができる。
そして、その棚位置を記憶させる場合には、フック部22に、スプール10から船べり停止ガイド6に向けて繰り出された釣糸Lの中途部分L1を指で摘み、図4(b)に示すように、それをフック部22に引っ掛ける。このときフック部22は、周方向に複数設けられているので、船べり停止ガイド6側に一番近いフック部22’に中途部分L1を引っ掛ける。
そうすると、フック部22’に中途部分L1が引っ掛かった状態にて、釣糸Lが張られた状態となる。この状態で棚取りが可能となる。そして、この棚位置でスプール10を回転不能に保持するために、クラッチレバー3をロック位置に操作する(例えば、左右方向の中央位置に操作する)。
ここで、フック部22は上フランジ部11の上面10a(外側面)に設けられているので、係止した釣糸Lの中途部分L1は、常に、上フランジ部11の上面10aに位置することとなり、従来のように、係止部の基端部側がフランジ部の内側にて釣糸巻付部等に固定されたもののように、係止した釣糸Lの中途部分L1が上フランジ部11の内側へ移動するような事態が生じない。
したがって、釣糸Lの中途部分L1が、上フランジ部11の胴部13側(内側)に移動して、スプール10に巻き付けられた釣糸Lの奥に隠れることもない。
また、フック部22は、上フランジ部11の上面10a(外側面)に設けられているので、従来のように、係止部の基端部側が、スプールの釣糸巻付部をスプールの軸方向に横断するように設けられたもののように、フック部22が釣糸Lの巻き姿に影響を及ぼすような事態も生じない。
その後、釣糸Lを巻き上げる際には、クラッチレバー3を釣糸Lの巻き上げが可能となる巻上げ位置に傾倒操作する(例えば、左側に傾倒操作する)。そうすると、図示しない電動モータが駆動され、スプール10が巻き上げ方向に回転する。これにより、繰り出されていた釣糸Lが巻き上げられる。そして、釣糸Lに予め装着したサルカン等の図示しない締結具が巻き上げられてきてビーズB(図1(a)参照)を巻き上げ方向に押すと、押されたビーズBが船べり停止ガイド6に当接して、釣糸Lの巻き上げが停止される。
その後、巻き取った釣糸Lを、サミング操作しつつ再度繰り出すと、釣糸L(中途部分L1)がフック部22で係止された位置で停止し、それ以上釣糸Lがスプール10から繰り出されることが防止されて、所望の棚位置に仕掛けが落とされることとなる。
以上説明した本実施形態のスプール10を備えた魚釣用リール1によれば、釣糸係止部20(フック部22)は、上フランジ部11の上面10a(外側面)において、上フランジ部11の周部(外周面)よりも径方向内側位置に配置されているので、実釣時における釣糸繰り出し時のバックラッシュ現象を回避するために、上フランジ部11の周部11aに指を添えるサミング操作を行っても、指が釣糸係止部20(フック部22)に触れることがない。したがって、サミング操作が行い易くなり、スプール10に対して適度な制動を加えることができる。これによって、釣糸繰り出し時の扱い易さが向上されたスプール10を備えた魚釣用リール1が得られる。
また、行い易いサミング操作により、スプール10に対して適度な制動を加えることができるので、棚位置に達したときに、釣糸係止部20(フック部22)や釣糸Lに対して急激な負荷が作用するのを防止することができ、糸切れ等が生じるのを好適に抑制することができる。これにより、手返しがよくなり、釣果の向上に寄与する。また、糸切れ等が生じ難くなるので経済的である。
また、釣糸係止部20(フック部22)は、上フランジ部11の上面10a(外側面)に設けられ、係止した釣糸Lの中途部分L1が、常に、上フランジ部11の上面10aに位置することとなるので、釣糸係止部20(フック部22)に対する釣糸Lの中途部分L1の係脱操作が簡単である。また、釣糸係止部20(フック部22)に対して上フランジ部11の周方向のどちら側から釣糸Lの中途部分L1を掛けたのかを目視で確認することができるので、釣糸係止部20(フック部22)から釣糸Lを取り外し易いという利点も得られる。
さらに、釣糸係止部20(フック部22)は、上フランジ部11の上面10aに設けられ、釣糸係止部20が釣糸Lの巻き姿に影響を及ぼすような事態が生じないので、釣糸Lの巻き姿が部分的に偏る等、巻乱れやほつれが生じるおそれがない。したがって、スムーズな釣糸Lの巻き上げおよび繰り出しを実現することができる。したがって、手返しがよくなり、釣果の向上に寄与する。また、スムーズな釣糸Lの巻き上げおよび繰り出しを実現することができるので、糸切れ等が生じ難くなって経済的である。
また、上フランジ部11の開口部11A(凹状部)と上蓋部30との間に固定部21を挟持することで釣糸係止部20を上フランジ部11の上面10a(外側面)に固定することができるので、釣糸係止部20の固定が簡単であり、釣糸係止部20を備えたスプール10を簡単に製造することができる。
また、フック部22は、上フランジ部11の外側部(上蓋部30の外側方)に向けて突出しているので、フック部22に対して釣糸Lの中途部分L1を引っ掛ける際や、棚位置の設定や変更、さらには解除をする際の係脱操作が行い易い。これにより、手返しがよくなり、釣果の向上に寄与する。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態のスプールを備えた魚釣用リールについて説明する。本実施形態では、図5(a)に示すように、釣糸係止部20Aが、環状部24と、環状部24の周方向に所定の間隔を空けて複数突設されたフック部22と、により構成されており、環状部24が嵌り込む溝部18が上フランジ部11の上面10a(外側面)に形成されている点が異なっている。
環状部24は、円形状を呈しており、上フランジ部11に形成された溝部18に嵌合可能な大きさを有している。
フック部22は、環状部24と一体的に設けられており、本実施形態では環状部24の周方向に等間隔で3個設けられている。フック部22の立上部22aは、環状部24の上面から立ち上がっており、これに連続する折曲部22bは、環状部24の径方向内側に向けて折り曲げられている。
溝部18は、環状部24が嵌り込む円形状を呈しており、上フランジ部11の上面10a(外側面)において、上フランジ部11の周部11aよりも径方向内側位置、に形成されている。したがって、溝部18に環状部24を嵌め込むと、フック部22は、上フランジ部11の周部11aよりも径方向内側位置に配置されることとなる。
なお、環状部24は、接着剤等により溝部18に固定することができる。
本実施形態によれば、上フランジ部11の上面10a(外側面)に形成された溝部18に、環状部24を嵌め込むことによって、上フランジ部11の上面10a(外側面)の上方(外側方)にフック部22を突出させた状態で釣糸係止部20Aを組み付けることができる。したがって、サミング操作が行い易く、巻乱れを防止することができるとともに、組み付けが簡単である、釣糸係止部20Aを備えたスプール10を製造することができる。
また、環状部24には、フック部22が周方向に所定の間隔を空けて複数突設されているので、溝部18に、環状部24を嵌め込むことによって、複数のフック部22を一度に、上フランジ部11の上面10a(外側面)に組み付けることができる。したがって、これらを1つずつ組み付けた場合に比べて、組み付け工数を削減することができ、製造コストを低減することができる。
なお、環状部24の内側面に係合突部25を設け、この係合突部25が係合される受け部18aを上フランジ部11の上面10aに設けてもよい。
このように構成することによって、溝部18に環状部24を嵌め込む際に、受け部18aに対して係合突部を係合することができるので、上フランジ部11に対して釣糸係止部20Aを周方向に回り止めして取り付けることができる。したがって、別途、回り止め構造を設ける必要がなくなり、製造コストの低減を図ることができる。
図5(b)(c)は、釣糸係止部20Aの変形例を示した斜視図である。図5(b)に示した釣糸係止部20Aは、2つの直線状の環状部26a,26bを交互に組み合わせて環状部26を六角形状(正六角形に近い形状)の多角形としたものである。また、図5(c)に示した釣糸係止部20Aは、4つのフック部22を備え、これらを直線状の環状部27a,27bで接続して環状部27を略四角形としたものである。
なお、上フランジ部11の上面10aには、図示はしないが、これらの釣糸係止部20Aの環状部26,27に対応する形状の溝部18が設けられている。
このような釣糸係止部20Aを用いることによっても、前記した作用効果と同様の作用効果が得られる。また、環状部26,27が角形状であるので、上フランジ部11に対して釣糸係止部20Aを周方向に回り止めして取り付けることができる。したがって、別途、回り止め構造を設ける必要がなくなり、製造コストの低減を図ることができる。
また、図5(d)は、釣糸係止部20Bの変形例を示した斜視図である。図5(d)に示した釣糸係止部20Bは、上蓋部35に円弧状の切欠き36を形成し、この切欠き36の側方に、釣糸Lの中途部分L1(図1(a)参照)を係脱可能に係止することができる舌片状のフック部37を有して構成されている。
このような釣糸係止部20Bを用いることによっても、前記した作用効果と同様の作用効果が得られる。
また、円弧状の切欠き36を形成することによって、フック部37を形成することができるので、釣糸係止部20Bの形成が簡単である。したがって、釣糸係止部20Bを備えたスプール10を簡単に製造することができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態のスプールを備えた魚釣用リールについて説明する。本実施形態では、図6に示すように、上フランジ部11の外側面に形成された凹状部11gに嵌合可能な上蓋部38を備え、この上蓋部38に、上蓋部38の外側方に突設されて釣糸係止部として機能するフック部22を一体的に形成した点が異なっている。
本実施形態においても、フック部22は、上蓋部38から立ち上がる立上部22aと、この立上部22aから折れ曲がる折曲部22bとを有している。そして、上蓋部38は、折曲部22bに対向する部分に上面視で略半円形状の貫通孔39を有しており、上フランジ部11の凹状部11gには、貫通孔39に嵌合する上面視で略半円形状の嵌合突部11fが設けられている。つまり、上蓋部38を凹状部11gに装着すると、貫通孔39に嵌合突部11fが嵌合して、貫通孔39が塞がれるようになっている。
本実施形態では、上蓋部38が金型で形成されるようになっており、上蓋部38が成形される際にフック部22が一体的に成形されるようになっている。
ここで、図7各図を参照して、射出成形による上蓋部38の成形工程の一例について説明する。
図7(a)に示すように、成形金型は上型40と下型50とを備えて構成されている。上型40には、下型50との間にフック部22の立上部22aを成形するための凹部41が設けられており、また、この凹部41に連続してフック部22の折曲部22bの上側部分を成形するための凹部42が設けられている。
一方、下型50には、上型40内に入り込む突出部55を備えている。突出部55には、フック部22の折曲部22bの下側部分を成形するための凹部51が設けられている。また、凹部51には、折曲部22bの突部22cを形成するための凹部52が設けられている。
成形時には、図7(b)に示すように、図中の上下方向から上型40および下型50を組み合わせる。この際下型50の突出部55は、上型40により形成される上蓋部38の外側面38a(図7(b)参照)を越えて上蓋部38の反外側面側(下面側)から上型40内に進入する。これにより突出部55の凹部51が上型40の凹部42に合わさり、折曲部22bを成形するためのキャビティが形成される。また、その際に、突出部55の進入により、突出部55は上蓋部38の貫通孔39を形成する。つまり、下型50の突出部55を利用して貫通孔39が形成されるようになっている。
そして、このように組み合わせた後、型締めをし、図示しないゲートを通じて溶融樹脂を充填して、型内に射出圧力の付された溶融樹脂を満たす。そして、充填後の冷却によって、樹脂材が硬化すると、図7(c)に示すように、フック部22が一体的に形成された上蓋部38が成形される。
ここで、フック部22の折曲部22bは、前記したように上型40と下型50の突出部55とが合わさることによって成形されるので、図7(c)(d)に示すように、上型40と下型50との分割方向の略中心位置に、型割線X1が位置するように形成されることとなる。
本実施形態によれば、上蓋部38と一体的に成形されるフック部22(折曲部22b)は、成形時に、型割線X1を分割方向の略中心位置にして、分割された上型40と下型50とにより成形されるものであるので、フック部22に対して釣糸Lの中途部分L1を係脱する際に、型割線X1に釣糸Lの中途部分L1が接触し難くなる。
したがって、釣糸Lのスムーズな係脱が可能となる。また、釣糸Lを係脱する際に、型割線X1に対して釣糸Lが接触し難いので、釣糸Lを傷めることもなくなり、糸切れ等が生じ難くなるので経済的である。
また、成形時に下型50の進入を利用して簡易に貫通孔39を形成することができる。したがって、成形金型(上型40、下型50)の構成が簡単になる。
また、凹状部11gに上蓋部38を取り付ける際に、貫通孔39に対して嵌合突部11fを嵌合することができるので、凹状部11gに対して上蓋部38を周方向に回り止めして取り付けることができる。したがって、別途、回り止め構造を設ける必要がなくなり、製造コストの低減を図ることができる。
なお、前記各実施形態では、上フランジ部11と下フランジ部12とを有するスプール10について説明したが、これに限られることはなく、釣糸巻付部(胴部13)のいずれか一方の側にのみフランジ部を有して、これに釣糸係止部が設けられたものであってもよい。
また、前記第1実施形態では、1枚の上蓋部30によって各釣糸係止部20を挟持して固定するように構成したが、これに限られることはなく、各釣糸係止部20を別々に分割された蓋部で挟持して固定するように構成してもよい。
また、前記第2実施形態において、環状部24等の上面視形状は、三角形状、多角形状、楕円形状等であってもよい。
1 魚釣用リール
10 スプール
10a 上面
11 上フランジ部
11A 開口部(凹状部)
11a 周部
11b 傾斜筒部
11g 凹状部
12 下フランジ部
13 胴部
18 溝部
20,20A,20B 釣糸係止部
21 固定部
22 フック部
22a 立上部
22b 折曲部
24 環状部
26 環状部
27 環状部
30 上蓋部
35 上蓋部
37 フック部
38 上蓋部
38a 外側面
40 上型
50 下型
L 釣糸
L1 中途部分
X1 型割線

Claims (4)

  1. 釣糸が巻き付けられる釣糸巻付部と、この釣糸巻付部の少なくとも一端に設けられたフランジ部とを有するスプールを備えた魚釣用リールであって、
    前記フランジ部の外側面に設けられ、繰り出された前記釣糸の中途部分を係脱可能に係止する釣糸係止部を備え、
    前記釣糸係止部は、前記外側面において、
    前記フランジ部の外周よりも径方向内側位置に配置されていることを特徴とするスプールを備えた魚釣用リール。
  2. 前記外側面に形成された凹状部と、前記凹状部に嵌合可能な蓋部とを有し、
    前記釣糸係止部は、前記凹状部と蓋部との間に挟持されて固定される固定部と、前記固定部から前記蓋部の外側方に向けて突設された釣糸係止用のフック部と、を備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプールを備えた魚釣用リール。
  3. 前記釣糸係止部は、環状部と、前記環状部の周方向に所定の間隔を空けて複数突設され、釣糸係止用のフック部と、を備えて構成され、
    前記フランジ部の前記外側面には、前記外側面の外側方に前記フック部を突出させた状態で前記環状部が嵌り込む溝部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のスプールを備えた魚釣用リール。
  4. 前記外側面に形成された凹状部と、前記凹状部に嵌合可能な蓋部と、前記蓋部に一体的に形成され、前記蓋部の外側方に突設されて前記釣糸係止部として機能するフック部と、を備え、
    前記フック部は、金型で成形する際、型割線を分割方向の略中心位置にして、前記釣糸巻付部の軸方向に分割された成型用金型により成形されるものであることを特徴とする請求項1に記載のスプールを備えた魚釣用リール。
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