JP2011166159A - 熱硬化型ダイボンドフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】 被着体上に半導体素子をダイボンドする際に、その周縁部にマイクロボイドや局所的なヒケが発生するのを抑制し、その結果、半導体装置の製造歩留まりの向上が可能な熱硬化型ダイボンドフィルムを提供する。
【解決手段】 エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を少なくとも含み、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yが1〜5であり、120〜130℃における溶融粘度が500〜3500Pa・sの範囲内であり、アクリル共重合体は、10〜60重量%のブチルアクリレートと、40〜90重量%のエチルアクリレートとを含み、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体の合計100重量部に対し、70/3.9重量部以上80重量部以下のフィラーを含有する熱硬化型ダイボンドフィルム。
【選択図】 図1
【解決手段】 エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を少なくとも含み、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yが1〜5であり、120〜130℃における溶融粘度が500〜3500Pa・sの範囲内であり、アクリル共重合体は、10〜60重量%のブチルアクリレートと、40〜90重量%のエチルアクリレートとを含み、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体の合計100重量部に対し、70/3.9重量部以上80重量部以下のフィラーを含有する熱硬化型ダイボンドフィルム。
【選択図】 図1
Description
本発明は、例えば半導体チップ等の半導体素子を基板やリードフレーム等の被着体上に固着する際に用いられる熱硬化型ダイボンドフィルムに関する。また本発明は、当該熱硬化型ダイボンドフィルムとダイシングフィルムとが積層されたダイシング・ダイボンドフィルムに関する。
従来、半導体装置の製造過程に於いては、ダイシング工程で半導体ウェハを接着保持するとともに、マウント工程に必要なチップ固着用の接着剤層をも付与するダイシング・ダイボンドフィルムが使用されてきた(下記特許文献1参照)。このダイシング・ダイボンドフィルムは、支持基材上に粘着剤層及び接着剤層が順次積層されて構成されたものである。即ち、接着剤層による保持下に半導体ウェハをダイシングした後、支持基材を延伸し、半導体チップをダイボンドフィルムと共にピックアップする。更に、リードフレームのダイパッド上にダイボンドフィルムを介して半導体チップをダイボンドする。
しかし、近年、半導体ウェハの大型化・薄型化に伴い、半導体チップはダイボンディングの際に反った状態で接着される場合がある。この様な場合、半導体チップの周縁部では十分な圧力が加わらず、その結果、直径が10〜100μm程度の微小な気泡(マイクロボイド)を生じることがある。また、このマイクロボイドに起因して、半導体チップの周縁部には局所的なヒケ(窪み)も生じることがある。その結果、このマイクロボイドや局所的なヒケの存在により、半導体装置の製造歩留まりの低下を招来している。即ち、マイクロボイド等は、例えば、半導体関連部品の信頼性評価に用いられる耐湿はんだリフロー試験において剥離発生の原因となり、信頼性の低下を招いている。また、樹脂モールドの際に、マイクロボイド等が存在する半導体チップの周縁部にモールド樹脂が入り込み、当該半導体チップを破損させる原因となっている。
本発明は前記の問題点に鑑みなされたものであり、被着体上に半導体素子をダイボンドする際に、その周縁部にマイクロボイドや局所的なヒケが発生するのを抑制し、その結果、半導体装置の製造歩留まりの向上が可能な熱硬化型ダイボンドフィルムを提供することを目的とする。
本願発明者等は、前記従来の課題を解決すべく、熱硬化型ダイボンドフィルムについて検討した。その結果、熱硬化型ダイボンドフィルムの構成材料であるエポキシ樹脂及びフェノール樹脂の配合量を、従来と比較して多くすることにより、半導体チップを被着体上にダイボンドする際に、その周縁部においても密着性を向上させることを見出して、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明に係る熱硬化型ダイボンドフィルムは、半導体装置の製造の際に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を少なくとも含み、前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yが0.7〜5であることを特徴とする。
前記構成の様に、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の合計重量をアクリル共重合体の重量よりも多くすることで、液状の状態で被着体上に固着することが可能な熱硬化型ダイボンドフィルムが得られる。これにより、例えば、大型化・薄型化した半導体チップ等の半導体素子を被着体上にダイボンドする際にも、当該半導体素子の周縁部で密着性を向上させて行うことができる。その結果、微小な気泡(マイクロボイド)や局所的なヒケ(窪み)の発生を低減させることができる。これにより、半導体関連部品の信頼性評価に用いられる耐湿はんだリフロー試験においても熱硬化型ダイボンドフィルムの剥離の発生を防止することができ、信頼性の向上が図れる。また、樹脂モールドの際にも、半導体素子の周縁部にモールド樹脂が入り込むのを防止し、半導体素子の破損を防ぐことができる。
また前記構成に於いては、120〜130℃における溶融粘度が500〜3500Pa・sの範囲内であることが好ましい。これにより、例えば熱硬化型ダイボンドフィルム上に固着された半導体素子に対してワイヤーボンディングを行う際にも、超音波振動や加熱によりダイボンドフィルムと被着体との接着面でずり変形が生じるのを防止することができる。その結果、ワイヤーボンドの成功率を高め、歩留りを一層向上させて半導体装置を製造することが可能になる。
前記構成に於いて、前記アクリル共重合体は、10〜60重量%のブチルアクリレートと、40〜90重量%のエチルアクリレートとを含むことが好ましい。
また前記構成においては、前記アクリル共重合体のガラス転移点が−30〜30℃の範囲内であることが好ましい。これにより、例えば、封止工程において半導体素子が傾斜するのを防止し、また、はんだリフロー工程の際にダイボンドフィルムと被着体の間に剥離が生じるのを防止することができる。
前記構成に於いては、前記エポキシ樹脂の120〜130℃における溶融粘度が、0.05〜7Pa・sの範囲内であることが好ましい。また、前記構成に於いては、前記フェノール樹脂の120〜130℃における溶融粘度が、0.3〜35Pa・sの範囲内であることが好ましい。
また、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルムは、前記の課題を解決する為に、前記に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、ダイシングフィルム上に積層された構造であることを特徴とする。
半導体装置においては、被着体上にダイボンドした半導体素子の周辺部において微小な気泡や局所的なヒケ(窪み)は存在しないことが好ましい。本発明のダイシング・ダイボンドフィルムを用いて半導体装置を製造すると、その様な微小な気泡及び局所的なヒケ(窪み)の発生を低減できるので、当該半導体素子の破損を防止することができ、スループットの向上が図れる。
本発明は、前記に説明した手段により、以下に述べるような効果を奏する。
即ち、本発明によれば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を含み、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yを0.7〜5とすることにより、例えば、被着体上にダイボンドされた大型化・薄型化の半導体素子の周縁部において、微小な気泡(マイクロボイド)や局所的なヒケ(窪み)の発生を低減できる。その結果、耐湿はんだリフロー試験に対する耐久性が向上し、また樹脂モールドの際には、半導体素子の周縁部にモールド樹脂が入り込むのを防止して、半導体素子の破損を防ぐことができる。
即ち、本発明によれば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を含み、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yを0.7〜5とすることにより、例えば、被着体上にダイボンドされた大型化・薄型化の半導体素子の周縁部において、微小な気泡(マイクロボイド)や局所的なヒケ(窪み)の発生を低減できる。その結果、耐湿はんだリフロー試験に対する耐久性が向上し、また樹脂モールドの際には、半導体素子の周縁部にモールド樹脂が入り込むのを防止して、半導体素子の破損を防ぐことができる。
本発明の熱硬化型ダイボンドフィルム(以下、「ダイボンドフィルム」と言う)について、図1に示す様に基材1上に粘着剤層2が積層されてなるダイシングフィルム上に積層された態様を例にして以下に説明する。
本発明のダイボンドフィルム3、3’は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を少なくとも含み構成される。また、エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yが0.7〜5であり、0.8〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましい。X/Yを前記数値範囲内にすることにより、前記エポキシ樹脂、及びエポキシ樹脂の硬化剤として作用するフェノール樹脂を、アクリル共重合体よりも多く含有させる。これにより、溶融粘度を低下させ、被着体との濡れ性の向上を図ることができる。その結果、ダイボンドフィルム3、3’の120〜130℃における溶融粘度を3500Pa・s以下にすることができ、被着体上にダイボンドされた半導体チップ(半導体素子)の周縁部における微小な気泡(マイクロボイド)や局所的なヒケ(窪み)の発生を低減することができる。尚、X/Yが5より大きいと、ダイボンドフィルム3、3’をフィルム状に加工し難いという不都合を生じる場合がある。
前記エポキシ樹脂は、接着剤組成物として一般に用いられるものであれば特に限定は無く、例えばビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオンレン型、フェノールノボラック型、オルソクレゾールノボラック型、トリスヒドロキシフェニルメタン型、テトラフェニロールエタン型等の二官能エポキシ樹脂や多官能エポキシ樹脂、又はヒダントイン型、トリスグリシジルイソシアヌレート型若しくはグリシジルアミン型等のエポキシ樹脂が用いられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのエポキシ樹脂のうちノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型樹脂又はテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が特に好ましい。これらのエポキシ樹脂は、硬化剤としてのフェノール樹脂との反応性に富み、耐熱性等に優れるからである。尚、エポキシ樹脂は、半導体素子を腐食させるイオン性不純物等の含有が少ない。
更に、前記フェノール樹脂は、前記エポキシ樹脂の硬化剤として作用するものであり、例えば、フェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert−ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらのフェノール樹脂のうち、下記化学式で表されるビフェニル型フェノールノボラック樹脂や、フェノールアラルキル樹脂が好ましい。半導体装置の接続信頼性を向上させることができるからである。
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の配合割合は、例えば、前記エポキシ樹脂成分中のエポキシ基1当量当たりフェノール樹脂中の水酸基が0.5〜2.0当量になるように配合することが好適である。より好適なのは、0.8〜1.2当量である。即ち、両者の配合割合が前記範囲を外れると、十分な硬化反応が進まず、エポキシ樹脂硬化物の特性が劣化し易くなるからである。
前記エポキシ樹脂の120〜130℃における溶融粘度は0.05〜7Pa・sの範囲内が好ましく、0.07〜5Pa・sの範囲内がより好ましく、0.1〜3Pa・sの範囲内が特に好ましい。また、前記フェノール樹脂の120〜130℃における溶融粘度は0.3〜35Pa・sの範囲内が好ましく、0.4〜20Pa・sの範囲内がより好ましく、0.5〜10Pa・sの範囲内が特に好ましい。
アクリル共重合体に用いるモノマー成分としては特に限定されず、例えば、ブチルアクリレート、エチルアクリレート等が挙げられる。本発明のアクリル共重合体に於いては、全モノマー成分に対し、10〜60重量%の範囲内のブチルアクリレートと、40〜90重量%の範囲内のエチルアクリレートとを含み構成される共重合体が好ましい。
また、前記モノマー成分と共重合可能な他のモノマー成分としては特に限定されず、例えば、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分の使用量は、全モノマー成分に対し1〜20重量%の範囲内であることが好ましい。当該数値範囲内の他のモノマー成分を含有させることにより、凝集力、接着性などの改質が図れる。
アクリル共重合体の重合方法としては特に限定されず、例えば、溶液重合法、隗状重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の従来公知の方法を採用することができる。
前記アクリル共重合体のガラス転移点(Tg)は、−30〜30℃であることが好ましく、−20〜15℃であることがより好ましい。ガラス転移点が−30℃以上にすることにより耐熱性が確保され得る。その一方、30℃以下にすることにより、表面状態が粗いウエハにおけるダイシング後のチップ飛びの防止効果が向上する。
前記アクリル共重合体の重量平均分子量は、10万以上であることが好ましく、60万〜120万であることがより好ましく、70万〜100万であることが特に好ましい。重量平均分子量を10万以上にすることにより、配線基板等の被着体表面に対する高温時の接着性に優れ、かつ、耐熱性も向上させることができる。尚、重量平均分子量が120万以下にすることにより、容易に有機溶剤への溶解することができる。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロトマトグラフィー法(GPC)で標準ポリスチレンによる検量線を用いたポリスチレン換算値である。
前記フィラーとしては、無機フィラー又は有機フィラーが挙げられる。取り扱い性及び熱伝導性の向上、溶融粘度の調整、並びにチキソトロピック性の付与等の観点からは、無機フィラーが好ましい。
前記無機フィラーとしては特に限定されず、例えば、シリカ、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、三酸化アンチモン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、窒化ホウ素、結晶質シリカ、非晶質シリカ等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。熱伝導性の向上の観点からは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶質シリカ等が好ましい。また、ダイボンドフィルム3の接着性とのバランスの観点からは、シリカが好ましい。また、前記有機フィラーとしては、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリエステルイミド、ナイロン、シリコーン等が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記フィラーの平均粒径は、0.005〜10μmが好ましく、0.05〜1μmがより好ましい。フィラーの平均粒径が0.005μm以上であると、被着体に対する濡れ性を良好なものにし、接着性の低下を抑制することができる。その一方、前記平均粒径を10μm以下にすることにより、フィラーの添加によるダイボンドフィルム3に対する補強効果を高め、耐熱性の向上が図れる。尚、平均粒径が相互に異なるフィラー同士を組み合わせて使用してもよい。また、フィラーの平均粒径は、例えば、光度式の粒度分布計(HORIBA製、装置名;LA−910)により求めた値である。
フィラーの含有量は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体の合計100重量部に対し、0重量部を超えて80重量部以下であることが好ましく、0重量部を超えて70重量部以下であることがより好ましい。フィラーの含有量が0重量部であるとフィラー添加による補強効果がなく、ダイボンドフィルム3の耐熱性が低下する傾向がある。その一方、含有量が80重量部を超えると被着体に対する濡れ性が低下し、接着性が低下する傾向がある。
前記フィラーの形状は特に限定されず、例えば球状、楕円体状のものを使用することができる。
また、ダイボンドフィルム3には、必要に応じて他の添加剤を適宜に配合することができる。他の添加剤としては、例えば難燃剤、シランカップリング剤又はイオントラップ剤等が挙げられる。
前記難燃剤としては、例えば、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、臭素化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
前記シランカップリング剤としては、例えば、β−(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの化合物は、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
前記イオントラップ剤としては、例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス等が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を併用して用いることができる。
前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の熱硬化促進触媒としては特に限定されず、例えば、トリフェニルフォスフィン骨格、アミン骨格、トリフェニルボラン骨格、トリハロゲンボラン骨格等の何れかからなる塩が好ましい。
また、前記ダイボンドフィルム3の120〜130℃における溶融粘度は500〜3500Pa・sであることが好ましく、500〜3300Pa・sであることがより好ましく、500〜3000Pa・sであることが特に好ましい。溶融粘度を前記数値範囲内にすることにより、被着体上にダイボンドされた半導体素子の周縁部において微小な気泡(マイクロボイド)や局所的なヒケ(窪み)の発生を低減することができる。その結果、耐湿半田リフロー試験におけるダイボンドフィルム3の剥離や半導体素子の破損を防止し、高信頼性の半導体装置の製造を可能にする。
前記ダイボンドフィルム3の熱硬化後の260℃における貯蔵弾性率は0.5MPa以上であることが好ましく、0.5〜100MPaであることがより好ましく、0.5〜50MPaであることが特に好ましい。貯蔵弾性率を0.5MPa以上にすることにより、耐湿半田リフロー試験等においても高信頼性の半導体装置の製造を可能にする。
ダイボンドフィルム3の厚さ(積層体の場合は、総厚)は特に限定されないが、例えば、5〜100μm程度、好ましくは5〜50μm程度である。
尚、ダイボンドフィルムは、例えば接着剤層の単層のみからなる構成とすることができる。また、ガラス転移温度の異なる熱可塑性樹脂、熱硬化温度の異なる熱硬化性樹脂を適宜に組み合わせて、2層以上の多層構造にしてもよい。尚、半導体ウェハのダイシング工程では切削水を使用することから、ダイボンドフィルムが吸湿して、常態以上の含水率になる場合がある。この様な高含水率のまま、基板等に接着させると、アフターキュアの段階で接着界面に水蒸気が溜まり、浮きが発生する場合がある。従って、ダイボンドフィルムとしては、透湿性の高いコア材料を接着剤層で挟んだ構成とすることにより、アフターキュアの段階では、水蒸気がフィルムを通じて拡散して、かかる問題を回避することが可能となる。かかる観点から、ダイボンドフィルムはコア材料の片面又は両面に接着剤層を形成した多層構造にしてもよい。
前記コア材料としては、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス基板等が挙げられる。
また、ダイボンドフィルム3は、セパレータにより保護されていることが好ましい(図示せず)。セパレータは、実用に供するまでダイボンドフィルムを保護する保護材としての機能を有している。また、セパレータは、更に、ダイシングフィルムにダイボンドフィルム3を転写する際の支持基材として用いることができる。セパレータはダイボンドフィルム上にワークを貼着する際に剥がされる。セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤等の剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙等も使用可能である。
前記ダイシングフィルムとしては、例えば基材1上に粘着剤層2を積層したものが挙げられる。ダイボンドフィルム3は、粘着剤層2上に積層される。また図2に示すように、半導体ウェハ貼り付け部分にのみダイボンドフィルム3’を形成した構成であってもよい。
前記基材1はダイシング・ダイボンドフィルム10、11の強度母体となるものである。例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、基材1は紫外線に対し透過性を有するものが好ましい。
また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。
基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高める為、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。
前記基材1は、同種又は異種のものを適宜に選択して使用することができ、必要に応じて数種をブレンドしたものを用いることができる。また、基材1には、帯電防止能を付与する為、前記の基材1上に金属、合金、これらの酸化物等からなる厚さが30〜500Å程度の導電性物質の蒸着層を設けることができる。基材1は単層又は2種以上の複層でもよい。
基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。
尚、基材1には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、難燃剤等)が含まれていてもよい。
前記粘着剤層2は紫外線硬化型粘着剤を含み構成されている。紫外線硬化型粘着剤は、紫外線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、図2に示す粘着剤層2の半導体ウェハ貼り付け部分に対応する部分2aのみを紫外線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。
また、図2に示すダイボンドフィルム3’に合わせて紫外線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aにダイボンドフィルム3’が貼付けられる為、粘着剤層2の前記部分2aとダイボンドフィルム3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、紫外線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。
前述の通り、図1に示すダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いて、未硬化の紫外線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bはダイボンドフィルム3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に紫外線硬化型粘着剤は、半導体チップを基板等の被着体に固着する為のダイボンドフィルム3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシング・ダイボンドフィルム11の粘着剤層2に於いては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。前記被着体6としては特に限定されず、例えば、BGA基板等の各種基板、リードフレーム、半導体素子、スペーサ等が挙げられる。
前記紫外線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の紫外線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の紫外線硬化型粘着剤を例示できる。
前記感圧性粘着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。
前記アクリル系ポリマーとしては、アクリル酸エステルと、ヒドロキシル基含有モノマーとを含むモノマー組成物からなるものが挙げられる。但し、カルボキシル基含有モノマーは含まないことが好ましい。
前記アクリル酸エステルとしては、化学式CH2=CHCOOR(式中、Rは炭素数6〜10、より好ましくは炭素数8〜9のアルキル基である。)で表されるモノマーを用いることが好ましい。炭素数が6未満であると、剥離力が大きくなり過ぎてピックアップ性が低下する場合がある。その一方、炭素数が10を超えると、ダイボンドフィルムとの接着性又は密着性が低下し、その結果、ダイシングの際にチップ飛びが発生する場合がある。
前記化学式で表されるモノマーとしては、例えば、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソオクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ノニル、アクリル酸イソノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸イソデシル等が挙げられる。これらのモノマーのうち、前記アルキル基のRの炭素数が8〜9のモノマーが好ましく、具体的にはアクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソオクチルが好ましい。尚、前記に例示したモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記アクリル酸エステルの含有量は、全モノマー成分に対し50重量%〜99重量%が好ましく、70〜90重量%がより好ましい。含有量が50重量%未満であると、剥離力が大きくなり過ぎ、ピックアップ性が低下する場合がある。但し、99重量%を超えると、粘着性が低下しダイシングの際にチップ飛びが発生する場合がある。
前記アクリル系ポリマーは、前記化学式で表されるモノマー以外のアクリル酸エステルをモノマー成分として含んでもよい。この様なアクリル酸エステルとしては、前記化学式で表されるモノマー以外のアクリル酸アルキルエステルの他、芳香族環を有するアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸フェニル等のアクリル酸アリールエステル等)、脂環式炭化水素基を有するアクリル酸エステル(例えば、アクリル酸シクロペンチル、アクリル酸シクロヘキシル等のアクリル酸シクロアルキルエステルや、アクリル酸イソボルニル等)等が挙げられる。これらのモノマー成分のうち、前記アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸シクロアルキルエステルが好適であり、アクリル酸アルキルエステルが特に好適である。例示したアクリル酸エステルは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記化学式で表されるモノマー以外のアクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸s−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸ペンチル、アクリル酸イソペンチル等のアルキル基の炭素数が5以下のアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸ウンデシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸トリデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、アクリル酸エイコシル等のアルキル基の炭素数が11以上(好ましくは11〜30)のアクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。
尚、前記化学式で表されるモノマー等のアクリル酸アルキルエステルは、直鎖状、分岐状の何れの形態のアクリル酸アルキルエステルであってもよい。
前記アクリル系ポリマーは、前記アクリル酸エステルと共重合可能なヒドロキシル基含有モノマーを必須成分として含む。ヒドロキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前記ヒドロキシル基含有モノマーの含有量は、全モノマー成分に対し1〜30重量%の範囲内であることが好ましく、3〜10重量%の範囲内であることがより好ましい。含有量が1重量%未満であると、粘着剤の凝集力が低下し、ピックアップ性が低下する場合がある。その一方、含有量が30重量%を超えると、粘着剤の極性が高くなり、ダイボンドフィルムとの相互作用が高くなることにより剥離が困難になる。
前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記アクリル酸エステルやヒドロキシル基含有モノマーと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様な他のモノマー成分としては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸s−ブチル、メタクリル酸t−ブチル等のメタクリル酸エステル;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレン等のオレフィン又はジエン類;塩化ビニル等のハロゲン原子含有単量体;フッ素(メタ)アクリレート等のフッ素原子含有単量体;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
前記アクリル系ポリマーは、前述した通り、カルボキシル基含有モノマーを含まないことが好ましい。カルボキシル基含有モノマーを含むと、カルボキシル基とダイボンドフィルム3中のエポキシ樹脂のエポキシ基とが反応することにより、粘着剤層2とダイボンドフィルム3との接着性が大きくなり、両者の剥離性が低下するからである。この様なカルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等が挙げられる。
前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合(例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等)、乳化重合、塊状重合、懸濁重合、光重合(例えば、紫外線(UV)重合)等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは35万〜100万、より好ましくは45万〜80万程度である。
また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高める為、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、更には、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、更には0.1〜5重量部配合するのが好ましい。更に、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。
配合する前記紫外線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また紫外線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。
また、紫外線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の紫外線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の紫外線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の紫外線硬化型粘着剤は、低分子量成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まない為、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができる為好ましい。
前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。
前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計において容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の紫外線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。
これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。
前記内在型の紫外線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記紫外線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。紫外線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。
前記紫外線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1―プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。
また紫外線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。
前記粘着剤層2に前記部分2aを形成する方法としては、基材1に紫外線硬化型の粘着剤層2を形成した後、前記部分2aに部分的に紫外線を照射し硬化させる方法が挙げられる。部分的な紫外線照射は、半導体ウェハ貼り付け部分3a以外の部分3b等に対応するパターンを形成したフォトマスクを介して行うことができる。また、スポット的に紫外線を照射し硬化させる方法等が挙げられる。紫外線硬化型の粘着剤層2の形成は、セパレータ上に設けたものを基材1上に転写することにより行うことができる。部分的な紫外線硬化はセパレータ上に設けた紫外線硬化型の粘着剤層2に行うこともできる。
ダイシング・ダイボンドフィルム10の粘着剤層2に於いては、前記部分2aの粘着力<その他の部分2bの粘着力、となるように粘着剤層2の一部を紫外線照射してもよい。即ち、基材1の少なくとも片面の、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分以外の部分の全部又は一部が遮光されたものを用い、これに紫外線硬化型の粘着剤層2を形成した後に紫外線照射して、半導体ウェハ貼り付け部分3aに対応する部分を硬化させ、粘着力を低下させた前記部分2aを形成することができる。遮光材料としては、支持フィルム上でフォトマスクになりえるものを印刷や蒸着等で作製することができる。これにより、効率よく本発明のダイシング・ダイボンドフィルム10を製造可能である。
尚、紫外線照射の際に、酸素による硬化阻害が起こる場合は、紫外線硬化型の粘着剤層2の表面から酸素(空気)を遮断するのが望ましい。その方法としては、例えば粘着剤層2の表面をセパレータで被覆する方法や、窒素ガス雰囲気中で紫外線等の紫外線の照射を行う方法等が挙げられる。
粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や接着層の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、更には5〜25μmが好ましい。また、粘着剤層2は単層であってもよく、複数層が積層されたものであってもよい。
粘着剤層2の剪断貯蔵弾性率は、23℃及び150℃に於いて5×104〜1×1010Paであることが好ましく、1×105〜1×108Paであることがより好ましい。剪断貯蔵弾性率が5×104Pa未満であると、粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’の剥離が困難になる場合がある。その一方、剪断貯蔵弾性率が1×1010Paを超えると、粘着剤層2とダイボンドフィルム3、3’の間の密着性が低下する場合がある。粘着剤層2の剪断貯蔵弾性率は、次の通りにして得られる値である。即ち、先ず粘着剤層を厚さ約1.5mm、直径7.9mmの円筒状に成形する。次に、動的粘弾性測定装置としてレオメトリックサイエンティフィック社製のARES粘弾性測定装置を用いて、各粘着剤層をパラレルプレートの治具に取り付け、周波数1Hzのせん断歪を与えながら、23℃から150℃の温度範囲を昇温速度5℃/minで温度変化させる。このときの弾性率を測定することで23℃及び150℃での剪断貯蔵弾性率が得られる。尚、粘着剤層2が放射線硬化型である場合、前記剪断貯蔵弾性率の値は放射線硬化後の値である。また、剪断貯蔵弾性率は、例えば、外部架橋剤の添加により適宜調整することができる。
粘着剤層2のダイボンドフィルム3との貼り合わせ面における表面自由エネルギーは30mJ/m2以下であることが好ましく、15〜30mJ/m2であることがより好ましく、20〜28mJ/m2であることが特に好ましい。表面自由エネルギーが30mJ/m2を超えると、ダイボンドフィルム3に対する粘着剤層2の接着性が大きくなり過ぎ、ピックアップ性が低下する場合がある。粘着剤層2の表面自由エネルギーは、例えば、外部架橋剤の添加により適宜調整することができる。尚、表面自由エネルギーは、次の方法により算出することができる。即ち、粘着剤層の表面に対し水及びヨウ化メチレンを用いてそれぞれ接触角(θ(rad))を測定する。次に、この測定値と、接触角測定液体の表面自由エネルギー値として文献により既知の値とを用いて、下記式により表面自由エネルギー(γs)を算出する。
尚、文献により既知の表面自由エネルギーの値は以下の通りである。
水:分散成分(γL d) 21.8mJ/m2、極性成分(γL p) 51.0mJ/m2
ヨウ化メチレン:分散成分(γL d) 49.5mJ/m2、極性成分(γL p) 1.3mJ/m2
水:分散成分(γL d) 21.8mJ/m2、極性成分(γL p) 51.0mJ/m2
ヨウ化メチレン:分散成分(γL d) 49.5mJ/m2、極性成分(γL p) 1.3mJ/m2
また、粘着剤層2のダイボンドフィルム3との貼り合わせ面における水及びヨウ化メチレンの接触角の測定は、次の通りにして得られた値である。即ち、JIS Z8703に準じて、温度23±2℃、相対湿度50±5%Rhの環境下において、粘着剤層2の表面に約1μLの水(蒸留水)又はヨウ化メチレンの液滴を滴下する。次に、表面接触角計「CA−X」(FACE社製)を用いて、滴下30秒後に3点法(平均値を用いた)により接触角を測定した。
尚、粘着剤層2には、本発明の効果等を損なわない範囲で、各種添加剤(例えば、着色剤、増粘剤、増量剤、充填剤、粘着付与剤、可塑剤、老化防止剤、酸化防止剤、界面活性剤、架橋剤等)が含まれていてもよい。
(ダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法)
次に、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法について、ダイシング・ダイボンドフィルム10を例にして説明する。先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
次に、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムの製造方法について、ダイシング・ダイボンドフィルム10を例にして説明する。先ず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。
次に、基材1上に粘着剤組成物を塗布し、乾燥させて(必要に応じて加熱架橋させて)粘着剤層2を形成する。塗布方式としては、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、塗布は直接基材1上に行ってもよく、表面に剥離処理を行った剥離紙等に塗布後、基材1に転写してもよい。
一方、ダイボンドフィルム3を形成する為の形成材料を剥離紙上に所定厚みとなる様に塗布し、更に所定条件下で乾燥して塗布層を形成する。この塗布層を前記粘着剤層2上に転写することにより、ダイボンドフィルム3を形成する。また、前記粘着剤層2上に形成材料を直接塗布した後、所定条件下で乾燥することによってもダイボンドフィルム3を形成することができる。以上により、本発明に係るダイシング・ダイボンドフィルム10を得ることができる。
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施の形態に係るダイボンドフィルムを用いた半導体装置の製造方法について説明する。図3はダイボンドフィルムを介して半導体素子を実装した例を示す断面模式図である。
次に、本実施の形態に係るダイボンドフィルムを用いた半導体装置の製造方法について説明する。図3はダイボンドフィルムを介して半導体素子を実装した例を示す断面模式図である。
本実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、半導体チップ(半導体素子)5を被着体6上に、ダイボンドフィルム3のウェハ貼り付け部分3a(以下、ダイボンドフィルム3aという。)を介して固着する固着工程と、ワイヤーボンディングをするワイヤーボンディング工程とを有する。さらに、半導体チップ5を封止樹脂8で封止する樹脂封止工程と、当該封止樹脂8をアフターキュアする後硬化工程とを有する。
前記固着工程は、図1に示すように、半導体チップ5を、ダイボンドフィルム3aを介して被着体6にダイボンドする工程である。当該工程は、所定条件下での熱処理を行うことにより、ダイボンドフィルム3aを熱硬化させて半導体チップ5を被着体6上に完全に接着させる。熱処理を行う際の温度は、100〜200℃で行うのが好ましく、120℃〜180℃の範囲内で行うのがより好ましい。また、熱処理時間は0.25〜10時間で行うことが好ましく、0.5〜8時間で行うことがより好ましい。半導体チップ5を被着体6上に固着する方法としては、例えば被着体6上にダイボンドフィルム3aを積層した後、ダイボンドフィルム3a上に、ワイヤーボンド面が上側となる様にして半導体チップ5を順次積層して固着する方法が挙げられる。また、予めダイボンドフィルム3aが固着された半導体チップ5を被着体6に固着して積層してもよい。
前記ワイヤーボンディング工程は、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する工程である。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、80〜250℃、好ましくは80〜220℃の範囲内で行われる。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着エネルギーの併用により行われる。
前記樹脂封止工程は、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する工程である。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護する為に行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行う。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂を硬化させる。本発明においては、ダイボンド工程において、ダイボンドフィルム3aを熱硬化させる為に熱処理を行う場合にも、封止樹脂工程後において、ダイボンドフィルム3aと被着体6との間のボイドを消失させることができる。
前記後硬化工程に於いては、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる。本工程に於ける加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。
以上の様にして得られた半導体パッケージは、例えば耐湿半田リフロー試験を行った場合にも当該試験に耐え得る高信頼性を有する。耐湿半田リフロー試験は従来公知の方法にて行われる。
また、本発明のダイシング・ダイボンドフィルムは、図4に示すように、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。図4は、ダイボンドフィルムを介して半導体チップを3次元実装した例を示す断面模式図である。図4に示す3次元実装の場合、先ず半導体チップと同サイズとなる様に切り出した少なくとも1つのダイボンドフィルム3aを被着体6上に固着した後、ダイボンドフィルム3aを介して半導体チップ15を、そのワイヤーボンド面が上側となる様にして固着する。次に、ダイボンドフィルム13を半導体チップ5の電極パッド部分を避けて固着する。更に、他の半導体チップ15をダイボンドフィルム13上に、そのワイヤーボンド面が上側となる様にして仮固着する。
次に、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5及び他の半導体チップ15に於けるそれぞれの電極パッドと、被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5等を封止する封止工程を行い、封止樹脂を硬化させる。それと共に、ダイボンドフィルム3aにより被着体6と半導体チップ5との間を固着する。また、ダイボンドフィルム13により半導体チップ5と他の半導体チップ15との間も固着させる。尚、封止工程の後、後硬化工程を行ってもよい。
半導体チップの3次元実装の場合に於いても、ダイボンドフィルム3a、13の加熱による加熱処理を行わないので、製造工程の簡素化及び歩留まりの向上が図れる。また、被着体6に反りが生じたり、半導体チップ5及び他の半導体チップ15にクラックが発生したりすることもないので、半導体素子の一層の薄型化が可能になる。
また、図5に示すように、半導体チップ間にダイボンドフィルムを介してスペーサを積層させた3次元実装としてもよい。図5は、2つの半導体チップをスペーサを介してダイボンドフィルムにより3次元実装した例を示す断面模式図である。
図5に示す3次元実装の場合、先ず被着体6上にダイボンドフィルム3a、半導体チップ5及びダイボンドフィルム21を順次積層して仮固着する。更に、ダイボンドフィルム21上に、スペーサ9、ダイボンドフィルム21、ダイボンドフィルム3a及び半導体チップ5を順次積層して固着する。
次に、図5に示すように、ワイヤーボンディング工程を行う。これにより、半導体チップ5に於ける電極パッドと被着体6とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する。
続いて、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する封止工程を行い、封止樹脂8を硬化させる。これにより、半導体パッケージが得られる。封止工程は、半導体チップ5側のみを片面封止する一括封止法が好ましい。封止は粘着シート上に貼り付けられた半導体チップ5を保護するために行われ、その方法としては封止樹脂8を用いて金型中で成型されるのが代表的である。その際、複数のキャビティを有する上金型と下金型からなる金型を用いて、同時に封止工程を行うのが一般的である。樹脂封止時の加熱温度は、例えば170〜180℃の範囲内であることが好ましい。封止工程の後に、後硬化工程を行ってもよい。
尚、前記スペーサ9としては、特に限定されるものではなく、例えば従来公知のシリコンチップ、ポリイミドフィルム等を用いることができる。また、前記スペーサとしてコア材料を用いることができる。コア材料としては特に限定されるものではなく、従来公知のものを用いることができる。具体的には、フィルム(例えばポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリカーボネートフィルム等)、ガラス繊維やプラスチック製不織繊維で強化された樹脂基板、ミラーシリコンウェハ、シリコン基板又はガラス基板等を使用できる。
次に、プリント配線板上に、前記の半導体パッケージを表面実装する。表面実装の方法としては、例えば、プリント配線板上に予めハンダを供給した後、温風などにより加熱溶融しハンダ付けを行うリフローハンダ付けが挙げられる。加熱方法としては、熱風リフロー、赤外線リフロー等が挙げられる。また、全体加熱、局部加熱の何れの方式でもよい。加熱温度は240〜265℃、加熱時間は1〜20秒の範囲内であることが好ましい。
(その他の事項)
前記基板等上に半導体素子を3次元実装する場合、半導体素子の回路が形成される面側には、バッファーコート膜が形成されている。当該バッファーコート膜としては、例えば窒化珪素膜やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなるものが挙げられる。
前記基板等上に半導体素子を3次元実装する場合、半導体素子の回路が形成される面側には、バッファーコート膜が形成されている。当該バッファーコート膜としては、例えば窒化珪素膜やポリイミド樹脂等の耐熱樹脂からなるものが挙げられる。
また、半導体素子の3次元実装の際に、各段で使用されるダイボンドフィルムは同一組成からなるものに限定されるものではなく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。
また、前記実施の形態に於いては、基板等に複数の半導体素子を積層させた後に、一括してワイヤーボンディング工程を行う態様について述べたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、半導体素子を基板等の上に積層する度にワイヤーボンディング工程を行うことも可能である。
以下に、この発明の好適な実施例を例示的に詳しく説明する。但し、この実施例に記載されている材料や配合量等は、特に限定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例に過ぎない。また、部とあるのは、重量部を意味する。
(実施例1)
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY、溶融粘度0.7Pa・s)50部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800、溶融粘度 1.2Pa・s)50部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)70部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY、溶融粘度0.7Pa・s)50部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800、溶融粘度 1.2Pa・s)50部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)70部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
(実施例2)
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY、溶融粘度0.7Pa・s)120部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800、溶融粘度 1.2Pa・s)120部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、硬化触媒(北興化学(株)製、商品名;TPP−K)0.5部及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)70部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY、溶融粘度0.7Pa・s)120部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800、溶融粘度 1.2Pa・s)120部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、硬化触媒(北興化学(株)製、商品名;TPP−K)0.5部及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)70部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
(実施例3)
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY、溶融粘度0.7Pa・s)145部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800、溶融粘度 1.2Pa・s)145部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、硬化触媒(北興化学(株)製、商品名;TPP−K)0.5部及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)70部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、商品名;EPPN501HY、溶融粘度0.7Pa・s)145部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7800、溶融粘度 1.2Pa・s)145部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、硬化触媒(北興化学(株)製、商品名;TPP−K)0.5部及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)70部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
(比較例1)
エポキシ樹脂(JER(株)製、商品名;エピコート1001、溶融粘度1.5Pa・s)33部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7851、溶融粘度 3.4Pa・s)33部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)58部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
エポキシ樹脂(JER(株)製、商品名;エピコート1001、溶融粘度1.5Pa・s)33部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7851、溶融粘度 3.4Pa・s)33部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)58部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
(比較例2)
エポキシ樹脂(JER(株)製、商品名;エピコート1001、溶融粘度1.5Pa・s)13部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7851、溶融粘度 3.4Pa・s)13部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)75部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
エポキシ樹脂(JER(株)製、商品名;エピコート1001、溶融粘度1.5Pa・s)13部、フェノール樹脂(明和化成(株)製、商品名;MEH7851、溶融粘度 3.4Pa・s)13部、アクリル共重合体(ノガワケミカル(株)製、商品名;レビタルAR31、重量平均分子量70万、ガラス転移点−15℃)100部、及びフィラーとしての球状シリカ(アドマテックス(株)製、商品名;S0−25R、平均粒径0.5μm)75部をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度23.6重量%の接着剤組成物溶液を得た。
この接着剤組成物溶液を、シリコーン離型処理した厚さが50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムからなる離型処理フィルム(剥離ライナー)上に塗布した後、130℃で2分間乾燥させた。これにより、厚さ25μmの熱硬化型ダイボンドフィルムを作製した。
(重量平均分子量の測定方法)
カルボキシル基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは、TSK G2000H HR、G3000H HR、G4000H HR、及びGMH−H HRの4本のカラム(いずれも東ソ株式会社製)を直列に接続して使用し、溶雛液にテトラヒドロフランを用いて、流速1ml/分、温度40℃、サンプル濃度0.1重量%テトラヒドロフラン溶液、サンプル注入量500μlの条件で行い、検出器には示差屈折計を用いた。
カルボキシル基含有アクリル共重合体の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーは、TSK G2000H HR、G3000H HR、G4000H HR、及びGMH−H HRの4本のカラム(いずれも東ソ株式会社製)を直列に接続して使用し、溶雛液にテトラヒドロフランを用いて、流速1ml/分、温度40℃、サンプル濃度0.1重量%テトラヒドロフラン溶液、サンプル注入量500μlの条件で行い、検出器には示差屈折計を用いた。
(溶融粘度の測定)
作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムについて、それぞれ120〜130℃における溶融粘度を測定した。即ち、ダイボンドフィルムを厚さ2mmまで積層させた。次に、φ8mmに切り出し、固体粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、ARES)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於いて50〜150℃での溶融粘度を測定し、120〜130℃での溶融粘度の平均値を求めた。結果を下記表1に示す。
作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムについて、それぞれ120〜130℃における溶融粘度を測定した。即ち、ダイボンドフィルムを厚さ2mmまで積層させた。次に、φ8mmに切り出し、固体粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、ARES)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於いて50〜150℃での溶融粘度を測定し、120〜130℃での溶融粘度の平均値を求めた。結果を下記表1に示す。
また、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂の120〜130℃における溶融粘度については、これらの樹脂を固体粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、ARES)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於いて50〜150℃での溶融粘度を測定し、120〜130℃での溶融粘度の平均値を求めた。
(マイクロボイド発生の確認)
作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムをそれぞれ温度40℃の条件下で、10mm角、厚さ75μmの半導体チップに貼り付けた。更に、各ダイボンドフィルムを介して半導体チップをBGA基板にマウントした。マウント条件は、温度120℃、圧力0.1MPa、1秒とした。
作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムをそれぞれ温度40℃の条件下で、10mm角、厚さ75μmの半導体チップに貼り付けた。更に、各ダイボンドフィルムを介して半導体チップをBGA基板にマウントした。マウント条件は、温度120℃、圧力0.1MPa、1秒とした。
次に、半導体チップがマウントされたBGA基板を、乾燥機にて150℃、1時間熱処理し、その後封止樹脂(日東電工(株)製、商品名;GE−100)でパッケージングした。封止条件は加熱温度175℃、180秒とした。
続いて、封止後の半導体装置をガラスカッターで切断し、半導体チップの周縁部(幅0.5mmの枠状の領域)を赤外線顕微鏡で観察して、マイクロボイドの個数をカウントした。
(耐湿はんだリフロー性)
作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムをそれぞれ温度40℃の条件下で、10mm角、厚さ75μmの半導体チップに貼り付けた。更に、各ダイボンドフィルムを介して半導体チップをBGA基板にマウントした。マウント条件は、温度120℃、圧力0.1MPa、1秒とした。
作製した各熱硬化型ダイボンドフィルムをそれぞれ温度40℃の条件下で、10mm角、厚さ75μmの半導体チップに貼り付けた。更に、各ダイボンドフィルムを介して半導体チップをBGA基板にマウントした。マウント条件は、温度120℃、圧力0.1MPa、1秒とした。
次に、半導体チップがマウントされたBGA基板を、乾燥機にて150℃、1時間熱処理し、その後封止樹脂(日東電工(株)社製、GE−100)でパッケージングした。封止条件は加熱温度175℃、180秒とした。
その後、60℃、80%Rh、168時間の条件下で吸湿を行い、更に260℃以上で10秒間保持する様に設定したIRリフロー炉に、前記半導体チップをマウントしたBGA基板を載置した。その後、封止後の半導体装置をガラスカッターで切断し、その断面を超音波顕微鏡で観察して、各熱硬化型ダイボンドフィルムとBGA基板の境界における剥離の有無を確認した。確認は半導体チップ20個に対し行い、剥離が生じている半導体チップが1個以下の場合を○、1個以上の場合を×とした。結果を下記表1に示す。
(ガラス転移点(Tg)の測定)
各実施例及び比較例で使用したアクリル共重合体のガラス転移点は、粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、ARES)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於けるTan(G”(損失弾性率)/G’(貯蔵弾性率))から測定した。
各実施例及び比較例で使用したアクリル共重合体のガラス転移点は、粘弾性測定装置(Rheometic Scientific社製、ARES)を用いて昇温速度10℃/分、周波数1MHzに於けるTan(G”(損失弾性率)/G’(貯蔵弾性率))から測定した。
(結果)
下記表1の結果から分かる通り、比較例1及び2の様に、アクリル共重合体の含有量に対するエポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計の含有量の比(X/Y)が0.7未満であると、半導体チップの周縁部にマイクロボイドが多数発生することが確認された。また、耐湿リフロー性についても、熱硬化型ダイボンドフィルムとBGA基板との間に剥離が生じていることが確認された。
下記表1の結果から分かる通り、比較例1及び2の様に、アクリル共重合体の含有量に対するエポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計の含有量の比(X/Y)が0.7未満であると、半導体チップの周縁部にマイクロボイドが多数発生することが確認された。また、耐湿リフロー性についても、熱硬化型ダイボンドフィルムとBGA基板との間に剥離が生じていることが確認された。
これに対し、実施例1及び2の様に、前記X/Yが0.7以上であると、半導体チップの周縁部にマイクロボイドが全く発生しなかった。また、樹脂封止後の熱硬化型ダイボンドフィルムとBGA基板の間において剥離が生じず、耐湿リフロー性に優れていることが確認された。
1 基材
2 粘着剤層
2a 部分
2b 部分
3、3’、13、21 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
3a ダイボンドフィルム
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
9 スペーサ
10、11 ダイシング・ダイボンドフィルム
15 半導体チップ
2 粘着剤層
2a 部分
2b 部分
3、3’、13、21 ダイボンドフィルム(熱硬化型ダイボンドフィルム)
3a ダイボンドフィルム
5 半導体チップ
6 被着体
7 ボンディングワイヤー
8 封止樹脂
9 スペーサ
10、11 ダイシング・ダイボンドフィルム
15 半導体チップ
Claims (5)
- 半導体装置の製造の際に用いる熱硬化型ダイボンドフィルムであって、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体を少なくとも含み、前記エポキシ樹脂とフェノール樹脂の合計重量をXとし、アクリル共重合体の重量をYとした場合に、その比率X/Yが1〜5であり、
120〜130℃における溶融粘度が500〜3500Pa・sの範囲内であり、
前記アクリル共重合体は、10〜60重量%のブチルアクリレートと、40〜90重量%のエチルアクリレートとを含み、
エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びアクリル共重合体の合計100重量部に対し、70/3.9重量部以上80重量部以下のフィラーを含有する熱硬化型ダイボンドフィルム。 - 前記アクリル共重合体のガラス転移点が−30〜30℃の範囲内である請求項1に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
- 前記エポキシ樹脂の120〜130℃における溶融粘度が、0.05〜7Pa・sの範囲内である請求項1又は2に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
- 前記フェノール樹脂の120〜130℃における溶融粘度が、0.3〜35Pa・sの範囲内である請求項1〜3の何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルム。
- 請求項1〜4の何れか1項に記載の熱硬化型ダイボンドフィルムが、ダイシングフィルム上に積層された構造であるダイシング・ダイボンドフィルム。
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