JP2011165391A - 電池ユニット - Google Patents

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Masanori Konishi
政則 小西
Hiroaki Matsuoka
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

【課題】複数の二次電池が並設された組電池における各二次電池の温度分布が一様に加熱される電池ユニットを提供するとともに、寒冷地における氷点下の状況においても電池ユニットを所定温度に素早く均一に加熱することができる小型軽量の電池ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】電池ユニットは、炭素系物質を含む材料によりフィルムシート状に形成された複数の発熱体(13)を有する発熱シート(4)において、複数の発熱体(13)が組電池(20)における複数の二次電池ケース(11)に対応する位置にそれぞれ配設されており、当該発熱体(13)が組電池(20)における二次電池ケース(11)の位置に応じて設定温度が異なるように構成されている。
【選択図】図4

Description

本発明は、筐体内に並設された複数の二次電池を必要時に所定温度に加熱する発熱体を有する電池ユニットに関する。
地球温暖化問題及び化石燃料枯渇化問題への対応として、自動車においてはハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等の環境対応自動車が開発され、実用化されている。このような環境対応自動車においては、電源として二次電池が用いられており、二次電池の性能、大きさ、重量などの仕様は環境対応自動車の性能において大きなウエイトを占めている。
二次電池においては、低温時、特に寒冷地における冬期などの氷点下の状況では放電容量が極端に悪化し、所望の出力が得られないという大きな問題を有している。このようの問題を解決するために、並設された複数の二次電池を収容する筐体の外側に加熱手段としてのヒータを設けて筐体を加熱する構成が提案されている。
例えば、特許文献1には、複数の二次電池で構成された組電池と回路基板を収納した樹脂製の筐体の上下面にヒータが設けられた電池ユニットが開示されている。この特許文献1に開示されたヒータは二枚の絶縁シートの間にニクロム線などの抵抗金属線を挟んで構成したものである。
また、特許文献2及び特許文献3には、複数の二次電池であるニッケル水素蓄電池の組電池を収納した樹脂製の筐体と、その筐体の底面外側に加熱手段としてのヒータユニットを設けた電池ユニットが開示されている。特許文献2及び特許文献3に開示されたヒータユニットは、ジグザグに形成されたニッケル−クロム合金のヒータ素子を絶縁樹脂で挟着して、さらにアルミニウムの金属層で両側から挟み付けた構成である。このように構成されたヒータユニットが、筐体の底面外側に取り付けられて、筐体内の組電池に対して、筐体と組電池との間に形成された離間部の空隙を介して加熱するよう構成されている。特許文献2及び特許文献3に開示された電池ユニットは、ヒータユニットの熱が離間部の空気を加熱し、その加熱された空気が組電池に接触して、組電池の全体を一様に加熱する構成である。
特開2007−213939号公報 特開2008−077871号公報 特開2008−186621号公報
従来の電池ユニットにおいて、寒冷期の電池ユニットが複数の二次電池に並設されて構成された組電池の全体をヒータにより加熱している状態では、組電池の中央領域に配置された二次電池の温度が、組電池の両側領域に配置された二次電池の温度に比べて高くなっている。これは、両側領域の二次電池が中央領域の二次電池に比べて放熱面積が大きく、筐体のフレーム等を介して熱が放出されるためと考えられる。このように、組電池に対してヒータにより全体的に加熱した場合、組電池における二次電池の位置により温度が異なるという温度分布が存在する。二次電池においては、温度差が生じると出力特性が異なり、また二次電池の寿命においても長短が生じるという問題がある。したがって、並設された複数の二次電池において温度分布が一様になるように加熱することは、重要な課題であった。
上記のように、組電池における各二次電池の温度を一様に加熱にするためには、ヒータにより個々の二次電池に対する温度制御が必要である。しかし、特許文献1に開示されたような従来の電池ユニットにおいては、組電池の全体をヒータにより加熱する構成であるため、そのようなヒータでは組電池における二次電池個々に対する温度制御を行うことは不可能であった。
同様に、引用文献2又は引用文献3に開示された電池ユニットにおいても、空気を介して組電池の全体を加熱する構成であるため、各二次電池の個々に対して温度制御することは不可能であった。
また、従来の電池ユニットにおけるヒータは、金属抵抗線や金属抵抗体を熱源として用いているため、ヒータ自体の発熱立ち上がりが遅く、且つ発熱温度も低いものであった。前述のように、二次電池が環境対応自動車の電源として用いられて、寒冷地対策として上記のようなヒータが加熱手段として用いられている場合、従来の電池ユニットの構成においては、氷点下の状況でヒータにより加熱しても二次電池が所望出力を発揮する所定温度となるまでには長時間が必要であり、始動予定時間の数時間前に二次電池を予め加温する必要があった。このように、従来の電池ユニットを電源として用いた環境対応自動車においては、氷点下の環境で始動する場合には、その始動時間の数時間前から二次電池を収納する筐体を予め加熱しておくか、若しくは筐体を一定温度に終日保温しておく必要があった。
さらに、前述のように環境対応自動車に用いられる構成品の全ては、小型化、軽量化が重要な要素であるため、加熱手段においても小型化、軽量化は達成すべき重要な課題であった。
本発明は、従来の発熱体を有する電池ユニットにおける問題を解決するものであり、複数の二次電池が並設された組電池における各二次電池を一様な温度分布で加熱することができる電池ユニットを提供するとともに、寒冷地における氷点下の状況においても電池ユニットを所定温度に素早く均一に加熱することができる小型軽量の電池ユニットを提供することを目的とするものである。
本発明に係る第1の観点の電池ユニットは、
複数の二次電池を配列して構成された組電池と、
炭素系物質を含む材料によりフィルムシート状に形成された複数の発熱体を有し、前記複数の発熱体が前記複数の二次電池の各二次電池ケースに対応する位置に並設されて前記組電池における各二次電池ケースの一部に密着して取り付けられる発熱シート、及び
前記発熱シートにおける前記二次電池ケースに対向する面の裏面を覆うよう配設され、前記発熱体からの熱を遮断する断熱部材、を具備し、
前記発熱シートにおける前記複数の発熱体が前記組電池における取り付け位置により設定温度が異なるように構成されている。このように構成された本発明に係る電池ユニットは、複数の二次電池が並設された組電池における各二次電池の温度分布が一様に加熱されるとともに、寒冷地における氷点下の状況においても電池ユニットを所定温度に素早く均一に加熱することができる。
本発明に係る第2の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点における前記発熱シートにおいて、並設された前記二次電池ケースの組電池における少なくとも両端領域と中央領域の発熱体が、設定温度が異なるよう設定されている。このように構成された第2の観点の電池ユニットは、組電池において二次電池ケースの放熱状態が異なっても組電池における各二次電池を一様に加熱することができる。
本発明に係る第3の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点における前記発熱シートにおいて、並設された前記二次電池ケースの組電池における少なくとも両端領域と中央領域の発熱体が、異なる電流路パターンを有して、前記両端領域の発熱体が前記中央領域の発熱体より設定温度が高くなるよう設定されている。このように構成された第3の観点の電池ユニットは、組電池において両端領域の二次電池ケースの放熱量が中央領域の二次電池ケースの放熱量より多くても当該組電池における各二次電池を一様に加熱することができる。
本発明に係る第4の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点において、前記発熱シートの前記発熱体に流れる電流を検出して、当該発熱体の温度を検知し、前記発熱シートの温度制御を行うよう構成されている。このように構成された第4の観点の電池ユニットは、組電池に対する温度制御を簡単な構成で行うことが可能となる。
本発明に係る第5の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点において、前記発熱シートの前記発熱体に対する電源供給動作にオフ期間を設け、前記オフ期間において所定電圧を当該発熱体に印加して当該発熱体に流れる電流を検出して当該発熱体が密着している二次電池ケースの温度を検知し、前記発熱シートの温度制御を行うよう構成された請求項1に記載の電池ユニット。このように構成された第5の観点の電池ユニットは、組電池に対する温度制御を簡単な構成で高精度に行うことが可能となる。
本発明に係る第6の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点における前記組電池において、前記複数の二次電池ケースに対応する前記複数の発熱体が、前記発熱シートにおいて複数の領域に分割されており、前記領域毎に各発熱体の電流路パターンが異なるよう構成されて、当該領域毎に前記発熱体の設定温度が制御されるよう構成されている。このように構成された第6の観点の電池ユニットは、発熱シートにおいて複数の領域に分割された各発熱体を温度制御できるため、当該組電池における各二次電池を一様に加熱することが可能となる。
本発明に係る第7の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点の前記発熱シートにおいて並設された複数の発熱体が複数の領域に分割されており、前記複数の発熱体が、前記組電池において並設された二次電池ケースにおける少なくとも両端領域と中央領域で、異なる電流路パターンを有して、前記両端領域の発熱体が前記中央領域の発熱体より設定温度が高くなるよう設定されている。このように構成された第7の観点の電池ユニットは、発熱シートにおいて領域毎に分割された各発熱体を温度制御して、当該組電池における各二次電池を一様に加熱することができる。
本発明に係る第8の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点の前記発熱シートにおいて並設された複数の発熱体が複数の領域に分割されており、前記複数の発熱体が、前記領域毎に前記発熱体の設定温度を制御する制御部、をさらに具備する。このように構成された第8の観点の電池ユニットは、発熱シートにおいて領域毎に分割された各発熱体を確実に温度制御して、当該組電池における各二次電池を一様に加熱することができる。
本発明に係る第9の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点乃至第8の観点において、前記発熱シートにおける各発熱体が前記二次電池ケースの下側面となる底面に対向して配置されるよう構成してもよい。
本発明に係る第10の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点乃至第8の観点において、前記発熱シートと前記二次電池ケースとを、熱伝導性を有する接合材で形成された接合層を介して密着させる構成としてもよい。
本発明に係る第11の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点乃至第8の観点において、前記発熱シートが前記二次電池ケースの底面側に密着して取り付けられ、前記発熱体を前記二次電池ケースの少なくとも底面の全てを覆うよう配設してもよい。
本発明に係る第12の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点乃至第8の観点において、前記発熱体が、温度と抵抗の関係が正特性を有し、且つ設定温度範囲内において特性が変位するキュリー点がない特性を有するものを用いることが好ましい。
本発明に係る第13の観点の電池ユニットは、前記の第1の観点乃至第8の観点において、前記発熱シートと前記断熱ユニットが一体化されて加温ユニットが構成されており、前記加温ユニットは、前記二次電池ケースが複数個並設されて構成された組電池に対して、一体的に装着されるよう構成されていることが好ましい。
本発明によれば、複数の二次電池が並設された組電池に対して一様な温度分布となるよう加熱することが可能となり出力の安定及び長寿命化を図ることができるとともに、寒冷地における氷点下の状況においても電池ユニットを素早く加熱して、当該電池ユニットが所定出力を発揮する適正温度範囲内に短時間で到達することができる、小型軽量の電池ユニットを提供することができる。
本発明に係る実施の形態1の電池ユニットの内部構成を示す図 実施の形態1の電池ユニットの組電池における1つの二次電池(セル)を示す断面図であり、(a)が正面断面図、(b)が側面断面図 実施の形態1の電池ユニットにおける組電池の底面に設けられた加温ユニットを示す拡大断面図 実施の形態1の電池ユニットにおける発熱シート及び断熱ユニットで構成された加温ユニットを示す部分斜視図 実施の形態1の電池ユニットにおける発熱体の各種電流路パターンを示す図 実施の形態1の電池ユニットにおける発熱体の各種電流路パターンを示す図 実施の形態1の電池ユニットにおけるブロック毎に分割された発熱シートを示す平面図 実施の形態1の電池ユニットにおける発熱シートとPTCヒータとの比較実験結果を示すグラフ 実施の形態1の電池ユニットにおける温度制御に関する構成を示すブロック図
以下、本発明に係る好適な実施の形態として、環境対応自動車としての電気自動車に電源として搭載されたリチウムイオン電池の電池ユニットについて説明するが、本発明は以下の実施の形態に記載した構成に限定されるものではなく、実施の形態において説明する技術的思想と同様の技術的思想及び当技術分野における技術常識に基づいて構成される電池ユニットを含むものである。
リチウムイオン電池は、正極、負極、セパレータ、電解液で構成されており、リチウムイオンが正極と負極に出入りすることにより充放電が行われるものである。リチウムイオン電池は、軽量であり、且つ高出力が得られるため、自動車用電源やパーソナルコンピュータの電源として期待されている。以下の実施の形態において、外形が薄型で直方体形状のリチウムイオン電池を用いた例で説明するが、本発明はこのような形状に限定されるものではなく、例えば円筒形状、扁平形状等の各種形状に対応するものである。
《実施の形態1》
図1は、リチウムイオン電池である二次電池2を複数並設した状態で電気的に直列接続して所定の電力を出力するよう構成された本発明に係る実施の形態1の電池ユニット10の内部構成を示す図であり、筐体部分を断面にて示している。実施の形態1の電池ユニット10においては、二次電池2が50個直列に接続された組電池20が所定電圧を出力するよう構成されている。以下の説明において、組電池20を構成する複数の二次電池2における1つの二次電池を単に「セル」と称する。
図1に示すように、複数のセル2がセパレータ3を介して並設された組電池20が筐体である電池ユニットケース1の内部に収納されている。電池ユニットケース1は、上ユニットケース1Aと中ユニットケース1Bと下ユニットケース1Cで構成されており、各ユニットケース1A,1B,1Cは挟着手段18、例えばボルトとナット等により各ユニットケース1A,1B,1Cの各フランジ部21が挟着されてそれぞれが固着されている。
複数のセル2とセパレータ3で構成された組電池20は、長手方向(図1におけるX方向)の両端部分となるセパレータ3が締め付け手段7、例えばネジ棒及びナット等による挟み付けにより対向方向に押圧されて一体化されている。一体化された組電池20の下側には各セル2を所定温度に加温するための加温ユニット19(後述)が一体的に設けられている。
また、電池ユニットケース1には、組電池20の温度が上昇して高温となったときに電池ユニットケース1の内部を冷却する手段が設けられている。冷却手段としては、例えば、電池ユニットケース1における長手方向(図1のX方向)の対向する壁面に2つの開口部25,26を形成し、電池ユニットケース1の外気を取り込んで組電池20を冷却するためのファンを設けること等が考えられる。実施の形態1においては、一方の開口部26が組電池20の上側部分と対向する壁面位置に形成されて電池ユニットケース外部より外気を取り込み、他方の開口部25が組電池20の下側部分と対向する壁面位置に形成されている。開口部25の内側にはファン6が配設されおり、電池ユニットケース1の内部に外気を流して、組電池20を冷却する構成となっている。なお、上記のように組電池20の上側部分と対向する開口部26から外気を取り込み、組電池20下側部分と対向する開口部25より排気するように通気路を形成することで組電池20を効率よく冷却することが可能となる。
図2は、実施の形態1の電池ユニット10の組電池20における1つのセル2(二次電池)を示す断面図であり、図2の(a)が正面断面図であり、図2の(b)が(a)に示すセル2におけるA−A線による側面断面図である。図2において、セル2は、金属製のセルケース11を備えており、このセルケース11の内部には正極活物質層を有する長尺シートの正極シートと、負極活物質層を有する負極シートが、非水電解質を有するセパレータを介して交互に積層されて、扁平状に巻回された電極構成体22が封入されている。なお、図2において、リチウムイオン電池の正極シート、負極シート、セパレータ等の電極構成体22は図示を省略している。実施の形態1において、セルケース11はアルミニウム材を用いて形成した例で説明するが、セルケース11の材料としては、高い熱伝導性を有する金属材料であればよい。さらに、セルケース11としては、鉄にニッケルメッキを施したもの、アルミニウムと樹脂シートを重ね合わせて一体化したアルミラミネートフィルム等を用いることにより酸化や腐食を防止することが可能となる。
電極構成体22が封入されたセルケース11の上面には、正極シートに接続された正極端子8と、負極シートに接続された負極端子9が突設されている。
図2に示すように、セルケース11の下側には、加熱手段である加温ユニット19が設けられている。この加温ユニット19は、発熱シート4及び断熱ユニット5により構成されている。図3は、電池ユニット10における組電池20の各セル2の底面に設けられた加温ユニット19を示す拡大図である。図3に示すように、発熱シート4は、発熱源となる薄膜の発熱体13が上面側被覆層(第1被覆層)12及び下面側被覆層(第2被覆層)14により上下両面から挟着されて被覆されている。
図4は並設された複数のセル2の組電池20に対する発熱シート4及び断熱ユニット5で構成された加温ユニット19を示す部分斜視図である。なお、図4においては、加温ユニット19及び組電池20の一部を記載している。
実施の形態1の加温ユニット19は、複数のセル2が並設されて構成された組電池20に対して一体的に装着されるよう構成されている。加温ユニット19においては、各セル2に対向する位置に各発熱体13を配置する発熱シート4が設けられており、その発熱シート4の裏面に断熱ユニット5が設けられている。断熱ユニット5は発熱シート4における発熱体13に対向するように配設されている。このため、並設された複数のセル2に加温ユニット19を装着することにより、各発熱体13が各セルケース11の底面に上面側被覆層12を介して密着するよう構成されている。したがって、並設された複数のセル2を有する組電池20に加温ユニット19を装着するだけで、寒冷地仕様の二次電池を容易に構成することができる。なお、実施の形態1における断熱ユニット5は、各発熱体13に対応するように分断された構成を示すが、複数の発熱体13に対応するように断熱ユニット5を一体的な構成としてもよい。
加温ユニット19における断熱ユニット5は、断熱性を有するとともに、弾性(クッション性)を有する材料により形成された第1断熱部15と、断熱性を有するとともに、第1断熱部15より弾性(クッション性)が少なく硬い材料により形成された第2断熱部16とにより構成されている。
第1断熱部15として用いられる材料としては、弾性(クッション性)のある断熱材として熱伝導率[W/(m・K)]が0.07〜0.15、密度[kg/m]が60〜400のものが好ましい。また、第2断熱部16として用いられる材料としては、ある程度硬く変形しにくい断熱材として熱伝導率[W/(m・K)]が0.15〜0.25、密度[kg/m]が400〜1000のものが好ましい。
実施の形態1の電池ユニット10における断熱ユニット5においては、第1断熱部15が断熱性及び弾性(クッション性)を有する材料として、例えばアルミナシリカ系の繊維が集合して綿状となった材料等により形成されている。また、第2断熱部16としては、断熱性を有するとともに、第1断熱部15より弾性(クッション性)が少なく硬い材料として、例えばケイ酸カルシウムを主成分とする材料等により形成されている。
なお、実施の形態1においては、断熱ユニット5として第1断熱部15及び第2断熱部16の2種類の断熱材料を積層して用いた例で説明するが、いずれか一方の材料のみにより断熱ユニット5を構成してもよい。いずれの構成であっても、断熱ユニット5が断熱性を有しており、発熱シート4から輻射された熱を遮断すると共に、発熱シート4をセルケース11の底面に確実に密着させる構成であればよい。
実施の形態1の電池ユニット10において、セルケース11の底面と発熱シート4は熱伝導性を有する接合材料で構成された接合層17(図3参照)により固着されている。この接合層17は、セルケース11の底面における微細な凹凸部分に入り込み、セルケース11と発熱シート4との密着性を高めている。この結果、発熱シート4から輻射された熱は、発熱シート4の裏面側においては断熱ユニット5により遮断されるが、発熱シート4の表面側においては接合層17を介して金属製(例えば、アルミニウム製)のセルケース11に確実に伝熱される。
接合層17の材料としては、熱伝導性に優れた材料、例えば熱伝導率が0.7W/(m・K)より大きいものが好ましい。また、接合層17の材料としては、電気絶縁性に優れた材料、例えば体積抵抗率が1×1015Ω・cm(JISC2318)より大きいものが好ましい。さらに接合材17の材料としては、耐熱性に優れた材料、例えば耐熱温度が120℃以上のものが好ましい。接合層17の材料組成としては、シリコン樹脂を主成分とする組成物が用いられており、形状としてはエラストマー状、ゲル状、グリース状、コンパウンド状、パッド状(或いはフィルム状)のものがある。ゲル状、コンパウンド状等は、セルケース11又は発熱シート4のいずれか一方の面に予め塗布して使用される。エラストマー状、パッド状等は、予め所定の形状に切断して、組み立て時にセルケース11と発熱ユニット4との間に挿入して用いられる。
実施の形態1においては、接合層17の材料として、シリコン樹脂製コンパウンド(熱伝導率が0.80W/(m・K)、体積抵抗率が2×1016Ω・cm)、耐熱温度が120℃のものを用いた。
なお、実施の形態1においては、発熱シート4とセルケース11との間に接合層17を形成して互いに密着させた例で説明するが、本発明においては、発熱シート4とセルケース11とを直接的に密着接触させてもよく、発熱シート4とセルケース11との間に接合層を設けなくても略同様の効果を奏する。但し、接合層を設けない構成の場合には、セルケース11の接触面(底面)を滑らかにして、微細な凹凸を無くすよう形成することが好ましい。
実施の形態1の電池ユニット10においては、複数のセルケース11が並設されており、その並設されたセルケース11の各底面に対向する位置に各発熱体13が配置されるように発熱シート4が構成されている。
図4に示すように、発熱シート4において、複数の発熱体13が並設されており、それぞれの端部がリード帯23により電気的に接続されている。各発熱体13はリード帯23により電気的に接続されているが、各発熱体13は、後述するように加温方式に応じて並列又は直列に接続される。発熱シート4における各発熱体13は、各セルケース11の底面のほぼ全面を覆うように対向して配置されており、各セルケース11の底面全面を均一に加熱するよう構成されている。
なお、発熱体13に通電する電力は、組電池20のセル2から供給するよう構成されているが、例えば環境対応自動車に搭載されている他の電源としての補助バッテリや、組電池20を充電するための商用電源(家庭用電源を含む)等から供給してもよい。
[発熱体]
本発明に係る実施の形態1の電池ユニット10において用いた発熱体13は、炭素系物質を主成分とし厚み方向において複数のフィルムシート素材の各層が互いに空隙を介して積層され、優れた二次元的等方向性の熱伝導性を有しており、熱伝導率が200W/m・k以上を有するフィルムシート状の材料で帯状に形成されている。
ここで、二次元的等方向性の熱伝導とは、直交するX軸とY軸で設定される面における、あらゆる方向において同じように熱伝導されることを示すものである。したがって、本発明において二次元的等方向性とは、例えば炭素繊維が同じ方向に並設して形成された発熱体における炭素繊維方向の1方向(X軸方向)、又は炭素繊維をクロスに編んで形成された発熱体における炭素繊維方向の2方向(X軸方向とY軸方向)だけを指すものではない。
したがって、実施の形態1の電池ユニット10に用いられる発熱体13は、発熱体13の両端に電圧を印加することにより、その全面において瞬時に均一な温度で発熱するものである。
発熱体13の材料であるフィルムシート素材は、高分子フィルム又は、フィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートであり、面方向の熱伝導率が600から950W/m・kの特性を有する。天然の黒鉛を主成分とした粉末を成型し、焼成して圧延加工によりフィルムシート状としたものであれば、一般的には熱伝導率が200から400W/m・kであるが、本発明の実施の形態1において用いた発熱体13は、前述のように面方向の熱伝導率が600から950W/m・kという優れた二次元的等方向性の熱伝導を有する。したがって、発熱体13においては、発熱と熱伝導により、温度ムラのない均一な熱源となる。
本発明において用いられる発熱体13の材料であるフィルムシート素材は、積層構造を有し、面方向の層表面が平坦な面、凹凸面あるいは波うつ面等の各種の面形状を有しており、対向する各層の間には空隙が形成されている。このフィルムシート素材の積層構造において、各層間に形成される空隙の形成状態のイメージは、複数回(例えば、何十回、何百回)と重ね合わせるように折り曲げてパイ生地を作り、そのパイ生地を焼いて得た、パイの断面形状と類似している。したがって、本発明における発熱体13の材料であるフィルムシート素材は、前述のように、面方向においては優れた二次元的等方向性の熱伝導性を有する材料である。
前述のように製造されたフィルムシート素材として用いられる高分子フィルムとしては、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリピロメリットイミド(ピロメリットイミド)、ポリフェニレンイソフタルアミド(フェニレンイソフタルアミド)、ポリフェニレンベンゾイミタゾール(フェニレンベンゾイミタゾール)、ポリフェニレンベンゾビスイミタゾール(フェニレンベンゾビスイミタゾール)、ポリチアゾール、ポリパラフェニレンビニレンのうちから選ばれた少なくとも一種類の高分子フィルムを挙げることができる。また、高分子フィルムに添加されるフィラーとしては、リン酸エステル系、リン酸カルシウム系、ポリエステル系、エポキシ系、ステアリン酸系、トリメリット酸系、酸化金属系、有機錫系、鉛系、アゾ系、ニトロソ系およびスルホニルヒドラジド系の各化合物を挙げることができる。より具体的には、リン酸エステル系化合物として、リン酸トリクレジル、リン酸(トリスイソプロピルフェニル)、トリブチルホスフェ−ト、トリエチルホスフェ−ト、トリスジクロロプロピルホスフェート、トリスブトキシエチルフォスフェート等を挙げることができる。リン酸カルシウム系化合物としては、リン酸二水素カルシウム、リン水素カルシウム、リン酸三カルシウム、等を挙げることができる。また、ポリエステル系化合物としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸、フタル酸などとグリコール、グリセリン類とのポリマー等を挙げることができる。また、ステアリン酸系化合物としては、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、クエン酸アセチルトリブチル等を挙げることができる。酸化金属系化合物としては、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛等を挙げることができる。トリメリット酸系化合物としては、ジブチルフマレート、ジエチルフタレート等を挙げることができる。鉛系化合物としては、ステアリン酸鉛、ケイ酸鉛等を挙げることができる。アゾ系化合物としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。ニトロソ系化合物としては、ニトロソペンタメチレンテトラミン等を挙げることができる。スルホニルヒドラジド系化合物としては、p−トルエンスルホニルヒドラジド等を挙げることができる。
前記フィルムシート素材を積層し、不活性ガス中において2400℃以上で処理し、グラファイト化の過程で発生するガス処理雰囲気の圧力を調整することによりフィルムシート状の発熱体が製造される。
なお、前記フィラーの添加量は、0.2〜20.0重量%の範囲が適当であり、より好ましくは1.0〜10.0重量%の範囲である。その最適添加量は、高分子フィルムの厚さによって異なり、高分子フィルムの厚さが薄い場合には添加量が多い方がよく、厚い場合には添加量は少なくてよい。フィラーの役割は熱処理後のフィルムを均一発泡の状態にすることにある。すなわち、添加されたフィラーは、加熱中にガスを発生し、このガスの発生した後の空洞が通り道となってフィルム内部からの分解ガスの穏やかな通過を助けるものである。フィラーはこうして均一発泡状態を作り出すのに役立つ機能を有している。
上記のように、実施の形態1における発熱体13の材料は、フィルムシート素材であり、高分子フィルム又はフィラーを添加した高分子フィルムを高温度、例えば2400℃以上の雰囲気中にて熱処理し、焼成してグラファイト化した耐熱性を有する高配向性のグラファイトフィルムシートを材料としている。そして、発熱体13は、面方向の熱伝導率が600から950W/m・kの特性を有する材料で形成されている。
本発明に係る実施の形態1の電池ユニット10に用いられる発熱体13においては、フィルムシート状の素材に対して切断処理を行って、セルケース11の底面形状に対応する形状に形成し、そして各発熱体13が所定の電流路パターンを有するように形成されている。この切断処理は、切断金型を素材に押し付けて切断する切断プレス加工により行われる。
なお、レーザー加工により、フィルムシート状の素材に対する切断処理を行うことも可能である。フィルムシート状の素材に対してレーザー加工により所望の形状の発熱体素材を形成する場合、非熱加工作用を主体とした波長1064から380nmのレーザー加工、例えば、呼称1064nmの短波長レーザー加工や、呼称532nmの第二高調波レーザー加工を用いることが好ましい。レーザー加工におけるレーザー波長が短くなると熱加工からケミカル加工に近づくために、発熱体13への熱の影響は小さくなり、加工によるススやバリの発生を抑えた高精度の加工が実現できる。
なお、好ましいレーザー加工方法は、発熱体13の材料、すなわち面方向の熱伝導性及び形状によって、前述の非熱加工作用を主体としたレーザー加工波長(1064から380nm)を持つ加工方法から適宜選択し得ることは言うまでもない。
[発熱体の電流路パターン]
図5及び図6は、発熱体13の各種電流路パターンを示す図であり、発熱体13の一部を拡大して示している。図7は実施の形態1の電池ユニット10における発熱シート4の平面図であり、図7の(a)は発熱シート4における並設された複数の発熱体13がリード帯23(図4参照)により並列接続されており、図7の(b)は発熱シート4における並設された複数の発熱体13がリード帯23によりジグザグに接続され直列接続されている。
図5及び図6に示すように、実施の形態1の電池ユニット10における発熱体13としては各種の電流路パターンを有するものを用いることができ、加温方式に応じて、発熱シート4におけるブロック(領域)毎に異なる電流路パターンの発熱体13を配設するよう構成されている。図7に示すように、実施の形態1の電池ユニット10における発熱シート4は、端部ブロック4A,4B及び中央部ブロック4Cにより3つのブロック(領域)により構成されている。このようにブロック構成された発熱シート4は、ブロック毎に温度制御されており、端部ブロック4A,4Bが中央部ブロック4Cより発熱温度が低く設定されている。なお、実施の形態1においては、発熱シート4を3つのブロック(領域)により構成した例で説明するが、本発明はこの例に限定されるものではなく、発熱シートにおける少なくとも両端領域と中央領域を有する複数のブロック(領域)に分割して構成しても同様の効果を奏する。以下にブロック毎に温度制御するための具体的な構成について説明する。
図5の(a)に示す発熱体13Aにおいては、発熱体13Aの両側縁(図5の(a)に示す発熱体13Aの上下位置の側縁)のそれぞれから中央に向かって対向するように、複数組の端切り込み13aが形成されている。また、発熱体13Aにおいて、長手方向(図5の(a)に示すX方向)に並設され隣り合う端切り込み13aの中間位置には、中央切り込み13bが形成されている。この中央切り込み13bは、端切り込み13aの切り込み方向と同じように長手方向に直交するように切り込まれており、発熱体13Aの両側縁の手前で切り込みが終了するよう形成されている。このように、発熱体13Aには端切り込み13a及び中央切り込み13bが形成されているため、発熱体13Aは屈曲した電流路を有する構成である。
図5の(b)に示す発熱体13Bは、図5の(a)に示す発熱体13Aと同様に、複数組の端切り込み13aと、長手方向に並設され隣り合う端切り込み13aの中間位置に中央切り込み13bが形成されている。但し、図5の(b)に示す発熱体13Bにおいて隣接する端切り込み13aと中央切り込み13bとの長手方向における間隔L2は、図5の(a)に示す発熱体13Aにおいて隣接する端切り込み13aと中央切り込み13bとの長手方向における間隔L1より短く設定されている。このため、図5の(b)に示す発熱体13Bの電流路は、図5の(a)に示す発熱体13Aの電流路に比べて細く長いため、電気抵抗値が大きくなっている。
図5の(a)及び(b)に示す発熱体13A,13Bは、図7の(a)に示す発熱シート4に用いられている。即ち、図7の(a)に示す発熱シート4における端部ブロック4A,4Bには、図5の(a)に示す発熱体13Aが複数個並設されて並列接続されている。一方、図7の(a)に示す発熱シート4における中央部ブロック4Cには、図5の(b)に示す発熱体13Bが複数個並設されて並列接続されている。このように構成された発熱シート4に対して電圧を印加することにより、各発熱体13A,13Bには同じ電圧が加わり、端部ブロック4A,4Bは中央部ブロック4Cより高温度となる。
また、実施の形態1の電池ユニット10においては、図7の(a)に示すように並設された発熱体13の電気的並列接続された発熱シート4を用いる加温方式の他に、図7の(b)に示すように並設された発熱体13が電気的直列接続された発熱シート4を用いる加温方式を適用することも可能である。
図6の(a)に示す発熱体13Cにおいては、発熱体13Cの両側縁(図6の(a)に示す発熱体13Cの上下位置の側縁)のそれぞれから中央に向かって対向するように、複数組の端切り込み13anが形成されている。また、発熱体13Cにおいて、長手方向(図6の(a)に示すX方向)に並設された隣り合う端切り込み13anの中間位置には、中央切り込み13bnが形成されている。この中央切り込み13bnは、端切り込み13anの切り込み方向と同じように長手方向に直交するように切り込まれており、発熱体13Cの両側縁の手前で切り込みが終了するよう形成されている。このように、発熱体13Cには端切り込み13an及び中央切り込み13bnが形成されているため、発熱体13Cは屈曲した電流路を有した構成となる。
図6の(b)に示す発熱体13Dにおいては、発熱体13Dの両側縁(図6の(b)に示す発熱体13Dの上下位置の側縁)のそれぞれから中央に向かって対向するように切り込まれた、複数組の端切り欠け13awが形成されている。また、発熱体13Dにおいて、長手方向(図6の(b)に示すX方向)に並設され隣り合う端切り欠け13awの中間位置には、中央切り欠け13bwが形成されている。この中央切り欠け13bwは、端切り欠け13awの切り込み方向と同じように長手方向に直交するように切り込まれており、発熱体13Dの両側縁の手前で切り込み開口部が終了するよう形成されている。このように、発熱体13Dには端切り欠け13aw及び中央切り欠け13bwが形成されているため、発熱体13Dは屈曲した電流路を有した構成となる。
図6の(a)に示す発熱体13Cにおいて隣接する端切り欠け13nと中央切り欠け13bnとの長手方向における間隔L2は、図6の(b)に示す発熱体13Dにおいて隣接する端切り欠け13awと中央切り欠け13bwとの長手方向における間隔L2と同じ長さに設定されている。そして、図6の(a)に示す発熱体13Cは、図6の(b)に示す発熱体13Dと単位長さ当たりの電気抵抗値が同等となっている。但し、発熱体13Cは発熱体13Dに比べて長い電流路を有しており、発熱面積が大きく、単位面積当たりの発熱量が多くなっている。
図6の(a)及び(b)に示す発熱体13C,13Dを、図7の(a)に示す発熱シート4の各ブロックに用いる場合には、図7の(a)に示す発熱シート4における端部ブロック4A,4Bには、図6の(b)に示す電気抵抗値の小さい発熱体13Dが複数個並設されて並列接続される。一方、図7の(a)に示す発熱シート4における中央部ブロック4Cには、図6の(a)に示す電気抵抗値の大きい発熱体13Cが複数個並設されて並列接続される。このように構成された発熱シート4の各ブロック4A〜4Cに電圧を印加することにより、各ブロック4A〜4Cの発熱体13C,13Dには同じ電圧が加わり、端部ブロック4A,4Bは中央部ブロック4Cより高温度となる。
また、図6の(a)及び(b)に示す発熱体13C,13Dを、図7の(b)に示す発熱シート4の各ブロックに用いる場合には、図7の(b)に示す発熱シート4における端部ブロック4D,4Eには、図6の(a)に示す発熱体13Cが複数個並設されて直列接続される。一方、図7の(b)に示す発熱シート4における中央部ブロック4Fには、図6の(b)に示す発熱体13Dが複数個並設されて直列接続される。このように構成された発熱シート4の各ブロック4A〜4Cに電圧を印加することにより、各ブロックにおける発熱体13C,13Dには同じ電流が加わり、単位面積当たりの発熱量の大小により端部ブロック4A,4Bは中央部ブロック4Cより高温度となる。
なお、実施の形態1において、図5及び図6を用いて発熱体13の具体的な電流路パターンを説明したが、本発明はこれらの電流路パターンに限定されるものではない。本発明においては、図5に示したように、発熱体13が異なる電気抵抗値を有する電流路パターンを有する構成であれば適用可能であり、また図6に示したように、発熱体13が単位面積当たりの発熱量が異なる電流路パターンであれば適用可能である。
[発熱シート]
発熱シート4においては、前述のように構成された複数の発熱体13が、組電池20において並設されたセルケース11の底面に対応する位置に配置されている。発熱シート4における各発熱体13の両端部は、リード帯23(図4参照)により電気的に接続されて、各発熱体13は電気的に並列又は直列に接続されている。なお、並設された発熱体13とこれらを直列又は並列に接続するリード帯23は、同じフィルムシート状の材料から切断プレス加工、レーザー加工等により形成されて発熱体13とリード帯23が一体化された構造であってもよい。
このように並設された発熱体13とこれらを直列又は並列に接続するリード帯23は、上側被覆層(第1被覆層)12及び下側被覆層(第2被覆層)14により被覆されている。上側被覆層12及び下側被覆層14は、耐熱性、可撓性、及び熱透過性を持つ樹脂材、例えばポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂等により形成された薄い膜体である。上側被覆層12及び下側被覆層14の外縁部分は、互いに接着されているため、発熱体13及びリード帯23は防水状態に被覆されている。なお、リード帯23に接続されたリード線は、上側被覆層12及び下側被覆層14の外部に導出されており、そのリード線に電力が供給されるよう構成されている。
実施の形態1の電池ユニット10においては、上側被覆層12及び下側被覆層14として、ポリイミド(PI)樹脂で形成された厚み37μmのポリイミドフィルムを用いて発熱シート4を製造した。
発熱シート4の製造方法は、以下の通りである。
(1)一方の被覆層12又は14の対向面に対して接着剤を塗布する。
(2)接着剤が塗布された一方の被覆層12又は14の対向面における所定位置に複数の発熱体13、及びリード線が接続されたリード帯23を所定位置に配置する。
(3)発熱体13等が配置された一方の被覆層12又は14に対して、当該発熱体13等を封入するように、接着剤が塗布されていない他方の被覆層14又は12を被せる。
(4)発熱体13等を挟んだ被覆層12,14に対して、約350℃に設定された加熱用プレートにより上下面から加圧して、厚み約3μmの接着層を持つラミネート状の発熱シート4が製造される。実施の形態1において用いた接着剤は融点が320℃であった。
なお、実施の形態1における発熱シート4は、加熱用プレートによる加圧力が、約0.1kgf/cm、加圧時間が、20分であった。これらの加圧力及び加圧時間は、発熱シート4の厚み、形状、製造環境状態等に応じて適宜、所定の値に設定されるものである。実施の形態1における発熱シート4の使用温度としては、使用した接着剤の融点320℃より低い250℃以下が好ましい。
上記のように製造される発熱シート4は、加熱用プレートによる加熱処理の時、所望の形状、例えば平面形状、湾曲形状等の各種形状に形成することが可能である。したがって、本発明に係る電池ユニット10においては、発熱シート4を、例えばセルケース11の底面形状に対応する形状となるように形成することが可能となり、発熱シート4とセルケース11の底面等との密着性を高めることができる。
なお、実施の形態1における発熱シート4は、上側被覆層12及び下側被覆層14をポリイミド(PI)樹脂で形成した例で説明したが、熱可塑性樹脂であるポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、又はポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂で形成することが可能である。
例えば、上側被覆層12及び下側被覆層14として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂で形成された厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた場合、発熱シート4は次のように製造される。
(1)上側被覆層12及び下側被覆層14における対向面に、予め表面処理、例えばコロナ放電による表面処理が行われる。
(2)上側被覆層12及び下側被覆層14の間の所定位置に複数の発熱体13、及びリード線が接続されたリード帯23を配置する。
(3)発熱体13を挟んだ上側被覆層12及び下側被覆層14に対して、約280℃に設定された加熱用プレートにより上下面から加圧して、ラミネート状の発熱シート4が製造される。
上記のように製造された発熱シート4は、加熱用プレートによる加圧力が、約0.1kgf/cm、加圧時間が、10分であった。これらの加圧力及び加圧時間は、発熱シート4の厚み、形状、製造環境状態等に応じて適宜、所定の値に設定されるものである。上記のように製造されたポリエチレンテレフタレートフィルムを用いた発熱シート4の使用温度としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂の融点258℃より低い180℃以下が好ましい。
さらに、実施の形態1における発熱シート4は、上側被覆層12及び下側被覆層14を熱可塑性樹脂であるポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂で形成する場合には次のように製造される。
上側被覆層12及び下側被覆層14として、厚み50μmのポリフェニレンサルファイドフィルムを用いた場合、発熱シート4は次のように製造される。
(1)上側被覆層12及び下側被覆層14の間の所定位置に複数の発熱体13、及びリード線が接続されたリード帯23を配置する。
(2)発熱体13を挟んだ上側被覆層12及び下側被覆層14に対して、約320℃に設定された加熱用プレートにより上下面から加圧して、ラミネート状の発熱シート4が製造される。
上記のように製造された発熱シート4は、加熱用プレートによる加圧力が、約0.1kgf/cm、加圧時間が、15分であった。これらの加圧力及び加圧時間は、発熱シート4の厚み、形状、製造環境状態等に応じて適宜、所定の値に設定されるものである。上記のように製造されたポリフェニレンサルファイドフィルムを用いた発熱シート4の使用温度としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂の融点280℃より低い220℃以下が好ましい。
なお、実施の形態1の電池ユニット10においては、上側被覆層12及び下側被覆層14がポリイミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂について説明したが、他の樹脂材を用いて形成することが可能である。
熱可塑性樹脂で形成された上側被覆層12及び下側被覆層14としては、下記に列記する樹脂材から選ぶことができる。
例えば、汎用プラスチックと呼ばれる、PVC(塩化ビニル樹脂)、PE(ポリエチレン樹脂)、PP(ポリプロピレン樹脂)、PMMA(ポリメチルメタアクリレート樹脂)、PA(ナイロン樹脂)、ABS(アクリルニトリル-ブタジエン-スチレン樹脂の共重合体)、AS(アクリルニトリル-スチレン樹脂の共重合体)、PS(ポリスチレン樹脂)、PVDC(ポリ塩化ビニリデン樹脂)、EVA(エチレン酢酸ビニル樹脂)、EVAL(エチレンビニルアルコール樹脂)、熱可塑性エラストマーと呼ばれる、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、TPE(オレフィン系あるいはスチレン系エラストマー)、PETP(ポリエステル系エラストマー)、エンプラ(エンジニアリングプラスチック)と呼ばれる、PA(ポリアミド樹脂)、PET(ポリエチレンテレフタレート樹脂)、PC(ポリカーボネイト樹脂)、POM(ポリアセタール樹脂)、PPE(ポリフェニレンエーテル樹脂)、PEN(ポリエチレンナフタレート樹脂)、UHMW-PE(超高分子量ポリエチレン樹脂)、スーパーエンプラ(超エンプラ)と呼ばれる、PSF(ポリサルフォン樹脂)、PES(ポリエーテルサルフォン樹脂)、PPS(ポリフェニレンサルファイド樹脂)、PAR(ポリアリレート樹脂)、PEI(ポリエーテルイミド樹脂)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン樹脂)、熱可塑性PI樹脂、PBI(ポリベンゾイミダゾール樹脂)、フッ素樹脂と呼ばれる、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン樹脂)、PFA(パーフルオロアルコキシルアルカン樹脂)、FEP(パーフルオロ-エチレン-プロピレン樹脂)、ETFE(エチレン-テトラフルオロエチレン樹脂)、PVDF(ポリフッ化ビニリデン樹脂)、PCTFE(3フッ化塩化エチレン樹脂)等である。
また、熱硬化性樹脂で形成された上側被覆層12及び下側被覆層14としては、下記に列記する樹脂材から選ぶことができる。
例えば、PI(熱硬化性ポリイミド樹脂)、PAI(ポリアミドイミド樹脂)、PF(フェノール樹脂)、UF(ユリア樹脂)、UP(不飽和ポリエステル樹脂、ガラス繊維強化したものも含む)、MF(メラミン-ホルムアルデヒド樹脂)、EP(エポキシ樹脂、ガラス繊維強化したものも含む)、SI(シリコン樹脂)、PUR(ウレタン樹脂)等である。
また、実施の形態1の電池ユニット10においては、発熱シート4をセルケース11に接着するための接合層17の材質としては、熱可塑性ポリイミドからなる組成物、熱可塑性ポリアミドからなる組成物、エポキシ樹脂からなる組成物、シリコン樹脂からなる組成物、ウレタン樹脂からなる組成物、ポリエステル樹脂からなる組成物、アクリル樹脂からなる組成物等から選択される。
[温度上昇特性]
発明者は、発熱シート4と従来のヒータとしてのPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータに関する比較実験を行った。この実験においては、発熱シート4及びPTCヒータをセルケース11の底面に密着させて、発熱シート4及びPTCヒータの加熱により、セルケース11における温度上昇特性を測定した。
図8は、実施の形態1における発熱シート4(曲線A)と、PTCヒータ(曲線B)とを比較した実験結果を示すグラフである。この実験で使用した発熱シート4は、長さ100mm、幅8mm、厚み1mmであった。発熱体13は、長さ100mm、幅8mm、厚み0.2mmであった。従来のヒータは、導電性カーボンとポリエチレン系高分子の混合物を樹脂シート上に印刷した後、熱処理を行い製造されたPTCヒータであり、長さ100mm、幅8mm、厚み1mmであり、このPTCヒータは、一定温度を印加すると初期抵抗に応じた電流が流れて自己発熱し、キュリー温度に到達すると急激に抵抗が大きくなり、電流が減少する性質を有する。このため、PTCヒータにおいて、設定温度内ではキュリー温度が無いことが好ましい。しかし、この実験で使用したPTCヒータの材料構成においてはキュリー温度を90度以上の温度に設定することができなかった。また、その他のPTCヒータとしては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)に希土類元素等を添加して焼結したセラミックスがある。このようなPTCヒータの材料構成においては、設定温度として200℃まで対応可能であるが、柔軟性(弾力性、クッション性)を有するものではなく、硬質材であった。
この実験で用いたセルケース11は、高さ100mm×幅10mm×奥行き100mm×厚み1mmのアルミニウム材で形成されたものを用いた。長さ100mm×幅10mmの発熱シート4をアルミケース11の底面の全面に張り付けた。また、断熱ユニット5としては、第1断熱部15の材質がセラミックファイバー製のフェルト材であり、その厚みが2〜3mmであり、第2断熱部16の材質がロックウール製の板材であり、その厚みが10mmであった。
また、この比較実験においては、セルケース11における複数(2箇所)の位置で測定したが、セルケース11の熱伝導特性が優れているため、略同じ温度であった。この比較実験において用いたPTCヒータは、導電性カーボンとポリエチレン系高分子の混合物を樹脂シート上に印刷した後、熱処理を行い絶縁性シートで挟んで発熱シートを形成して、セルケース11の底面に固着して実験を行った。
なお、発熱シート4及びPTCヒータのヒータ温度は60℃に設定したものである。図8に示すように、電源投入(0秒)から30分が経過した時点において、発熱シート4は約17K(ケルビン温度)上昇し、従来のPTCヒータは約11K上昇した。発熱シート4(曲線A)の方が従来のPTCヒータ(曲線B)に比べて、発熱温度が約55%向上していることが理解できる。
PTCヒータは、その設定温度範囲内にキュリー点を有しており、そのキュリー点に到達すると急激に抵抗が大きくなり、電流が減少するという特性を有している。このため、PTCヒータはキュリー温度に到達すると設定温度以上の温度(60℃)より上昇することはなく、高い温度の制御を行うには問題を有していた。一方、本願における発熱シート4は、その設定温度範囲内にはキュリー点がなく、設定温度範囲内の全ての領域においては温度が高くなれば抵抗が大きくなるという正特性(温度−抵抗特性)を有しており、特に高い温度での温度制御に最適な熱源である。
[発熱シートの温度制御]
上記のように構成された実施の形態1の電池ユニット10における発熱シート4に対する温度制御について説明する。図9は実施の形態1の電池ユニット10における温度制御に関する構成を示すブロック図である。
実施の形態1の電池ユニット10における発熱シート4においては、図7の(a)に示したように、端部ブロック4A,4B及び中央部ブロック4Cのブロック毎に、若しくは図7の(b)に示したように端部ブロック4D,4E及び中央部ブロック4Fのブロック毎に異なる電流路パターンを有する発熱体、例えば図5に示した発熱体13A,13B、若しくは図6に示した発熱体13C,13Dが並設されて電気的に直列又は並列に接続され、所望の加温方式となるよう構成されている。
図9に示すように、実施の形態1の電池ユニット10における温度制御システムは、複数のセル2がセパレータ3を介して並設された組電池20に電源を供給する電源供給部30と、電源供給部30に対する制御を行う制御部31と、電源供給部30から各ブロックに供給される電流値を検出する電流検出部32A,32B,32Cと、により構成されている。
実施の形態1の電池ユニット10において用いられている発熱体13は、温度の上昇とともに抵抗値が大きくなるという、温度−抵抗特性が正特性であるため、発熱体13に流れる電流値を検出することにより、当該発熱体13の温度を推測可能である。また、発熱体13は、使用範囲においては特性が急激に変化するキュリー温度を持たないため、発熱体13に流れる電流を検出することにより発熱体13の温度検出を高精度に行うことか可能である。
したがって、実施の形態1の電池ユニット10の温度制御システムにおいては、各ブロックに供給される電源供給部30からの電流値を検出して、その検出電流値データに基づいて制御部31で電源供給部30に対する供給電源の制御を行っている。
また、組電池20には、少なくとも1つのセル温度センサ33をセルケース11の上部に設けて、セルケース11の直接的な温度を検知するよう構成して、温度制御の信頼性を更に高める構成としている。
また、実施の形態1の電池ユニット10においては、環境温度センサ34が設けられており、例えば当該電池ユニット10が設置されている場所の外気温度、若しくは雰囲気温度(又は車両温度)が検出されており、環境温度に対応した温度制御を行うことが可能な構成としている。
なお、実施の形態1においては、セル温度センサ33及び環境温度センサ34を用いた構成で説明するが、発熱体13に流れる電流値の検出からセルケース11の温度を検知して、セル温度及び環境温度を検知することも可能である
実施の形態1の電池ユニット10においては、電流検出部32A,32B,32Cにより検出された検出電流値が示す温度情報(セル温度センサ33及び環境温度センサ34からの温度情報を含む)は、制御部31に伝送される。制御部31においては、電流検出部32A,32B,32C等からの温度情報に基づいて、発熱シート4における各ブロックの発熱体13に対する電力の供給制御を行う。即ち、環境温度が所定の温度より低いとき、例えば10℃以下のとき、制御部31は、組電池20における各セルケース11の温度が適正温度範囲内、例えば20℃前後で一様になるように、前述の加温方式により発熱シート4の発熱体13に対して所望の電力を供給する。そして、電流検出部32A,32B,32C及びセル温度センサ33からの温度情報に基づいて、セルケース11の温度が所定温度、例えば20℃に達したとき、発熱体13に対する電力を遮断するよう構成されている。当該発熱ユニットの組電池20は、セルケース11内の電極構成体22の耐熱温度、例えば60℃を越えないように設定されており、所定温度を超えたときには冷却部6が稼働して、組電池20に対する冷却処理が始動される。
図5及び図6に示したように異なる電流路パターンを有する発熱体13(13A,13B,13C,13D)を用いてブロック毎に電力を供給して、ブロック毎に異なる温度設定となっている。前述のように、発熱シート4の両端近傍領域である端部ブロック4A,4B,4D,4Eの各発熱体13の設定温度は、発熱シート4の中央領域である中央部ブロック4C,4Fの各発熱体13の設定温度より高く設定されている。したがって、複数のセルケース11が並設された組電池20においては、両端近傍領域のセルケース11が中央領域のセルケース11に比べて放熱量が大きいが、組電池20としては一様に温度が上昇する。
なお、実施の形態1の電池ユニット10において、制御部31に対する電力は電源供給部30から供給されており、通常は当該電池ユニット10からの電圧をDC/DCコンバータにより所定電圧に変換して、電源供給部30から制御部30に供給される。また、環境温度が非常に低いとき、例えば−10℃以下のときにおいては、当該電池ユニット10の充電に用いる商用電源(家庭用電源を含む)や、補助バッテリを用いることができるよう構成してもよい。
さらに、環境温度が非常に低いとき、例えば−10℃以下のとき、電池ユニット10の制御部31において各発熱体13に入力する電圧を高めて、各発熱体13の発熱温度を高く設定してもよい。このように設定温度を高くすることにより、発熱体13自体の温度の立ち上がりが早くなると共に、セルケース11における温度上昇が早くなり、当該電池ユニット10が最も適正に機能する温度、例えば20℃に達するまでの時間を短くすることが可能となる。
なお、実施の形態1の電池ユニット10においては、発熱シート4におけるブロック毎の発熱体13に流れる電流を検出して、当該発熱体13の温度を検知する構成であり、発熱体13が温度−抵抗特性の正特性を有することを利用した構成である。この正特性を利用して、セルケース温度を検知するように構成とすることも可能である。
発熱体13に対する電源供給動作において、通常の温度制御とは別に予め設定した期間にオフ制御するオフ期間を設けることにより、発熱体13の温度でセルケース11の温度を検知することが可能である。
例えば、オンオフ制御において発熱体13のオン期間に発熱体13に流れる電流値を検出することで、当該発熱体13の温度を検知することが可能である。これは、本発明に用いている発熱体13が、正特性の温度−抵抗を有し、その使用範囲にキュリー点がないため、予めその温度−抵抗特性を正確に認識することができることによる。また、実施の形態1の電池ユニット10において、発熱体13のオフ期間に予め設定した電圧vをブロック毎に印加して発熱体13に微弱電流を流し、その時に発熱体13に流れる電流値により、その時の発熱体13の温度を検知し、セルケース11の温度を検知することが可能である。このオフ期間において発熱体13に印加される電圧vは、オン期間に発熱体13に印加される電圧Vに比して十分に低い電圧である(V≫v)。このようにセルケース11の温度を検知することができるのは、発熱体13が、予めその温度−抵抗特性を正確に認識することができることと、発熱体13が軽薄であり、熱容量が小さく、オフ期間の短時間で発熱体13がセルケース温度と同等となるためである。したがって、実施の形態1の電池ユニット10の構成においては、セルケース温度を検知することでセル内の電池構成体22の高寿命化を図ることが可能となる。
上記のように、実施の形態1の電池ユニット10においては、一定期間毎に、ブロック或いは個々の発熱体温度とブロック或いは個々のセルケース温度を確実に検知することが可能な構成である。このように構成することにより、実施の形態1の電池ユニット10は、組電池20におけるセル毎の異常状態を検知して、各セルの破損状態および温度状態を確実に把握できるので、別途温度センサーを設ける必要がなく、組電池20に対する高精度の温度制御を簡単な構成で確実に行うことが可能となる。
上記のように、実施の形態1の電池ユニット10においては、加温ユニット19の発熱シート4が複数のブロック(領域)毎に異なる電流路パターンを有する発熱体13により構成され、ブロック(領域)毎に異なる設定温度の発熱体13を有する発熱シート4により加温される構成である。このため、組電池20において放熱状態が異なる領域に対して、ブロック毎に異なる所望の設定温度の電流路パターンを有する発熱体13を発熱シート4に配設することにより、組電池20は一様な温度分布で確実に加温される。これにより、実施の形態1の電池ユニット10においては、各セル(二次電池)2からの出力が安定し、且つ寿命のばらつきが無くなり、組電池20としての長寿命化を図ることができる。
また、上記のように、実施の形態1の電池ユニット10においては、発熱シート4におけるブロック毎(領域毎)の複数の発熱体13に対して、各ブロックの発熱体13に流れる電流値を検出して、その検出電流値に基づいてセルケース温度を検知して、発熱体13に対する電力を制御するよう構成することができるため、組電池20の一様な温度分布制御を簡単な構成で確実に行うことができる。
なお、実施の形態1においては各ブロックを複数の発熱体13で構成した例で説明したが、各ブロックを1つの発熱体で構成して、複数のブロックで発熱シートを構成し、各発熱体のそれぞれを制御するよう構成することも可能である。
上記のように、本発明に係る実施の形態1の電池ユニット10においては、発熱立ち上がりが早く、発熱面の全体が均一に発熱するという優れた特性を有する特殊な発熱体を用いて、複数のセル(二次電池)が並設された組電池に対して、各セルを一様な温度分布で加熱することができ、出力の安定及び長寿命化を図ることができるとともに、寒冷地における氷点下の状況においても電池ユニット10を素早く加熱して、当該電池ユニット10が所定出力を発揮する適正温度範囲内に短時間で到達することができる、小型軽量の電池ユニット10を提供することができる。したがって、実施の形態1の電池ユニット10を環境対応自動車の電源として用いた場合には、寒冷地の氷点下の状況においても電池ユニット10を素早く加温して所定温度に短時間で到達させることができ、且つ組電池おけるセルが均一な温度分布となるため、当該環境対応自動車は、氷点下の状況においても、信頼性の高い安定した輸送手段となる。
また、実施の形態1の電池ユニット10においては、薄膜体の発熱体13を耐熱性のある薄い樹脂により被覆して個々のセルケース11に実質的に直接取り付けた構成であるため、電池ユニット10における各セルケース11を均一に加熱することができると共に、電池ユニット10の小型化、及び軽量化を達成することができる。この結果、実施の形態1の電池ユニット10は、環境対応自動車の小型化、軽量化に大きく寄与するものとなる。
本発明は、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車などの環境対応自動車、及び電源として二次電池が用いられる各種電子電気機器において、特に寒冷期の電源として有用である。
1 電池ユニットケース
2 セル(二次電池)
3 セパレータ
4 発熱シート
5 断熱ユニット
6 冷却部
7 挟着手段
8 正極端子
9 負極端子
10 電池ユニット
11 セルケース
12 上側被覆層(第1被覆層)
13 発熱体
14 下側被覆層(第2被覆層)
15 第1断熱部
16 第2断熱部
17 接合層
18 挟着手段
19 加温ユニット
20 組電池
21 フランジ部
22 電極構成体
23 リード帯

Claims (13)

  1. 複数の二次電池を配列して構成された組電池と、
    炭素系物質を含む材料によりフィルムシート状に形成された複数の発熱体を有し、前記複数の発熱体が前記複数の二次電池の各二次電池ケースに対応する位置に並設されて前記組電池における各二次電池ケースの一部に密着して取り付けられる発熱シート、及び
    前記発熱シートにおける前記二次電池ケースに対向する面の裏面を覆うよう配設され、前記発熱体からの熱を遮断する断熱部材、を具備し、
    前記発熱シートにおける前記複数の発熱体が前記組電池における取り付け位置により設定温度が異なるように構成された電池ユニット。
  2. 前記発熱シートにおいて、並設された前記二次電池ケースの組電池における少なくとも両端領域と中央領域の発熱体が、設定温度が異なるよう設定された請求項1に記載の電池ユニット。
  3. 前記発熱シートにおいて、並設された前記二次電池ケースの組電池における少なくとも両端領域と中央領域の発熱体が、異なる電流路パターンを有して、前記両端領域の発熱体が前記中央領域の発熱体より設定温度が高くなるよう設定された請求項1に記載の電池ユニット。
  4. 前記発熱シートの前記発熱体に流れる電流を検出して、当該発熱体の温度を検知し、前記発熱シートの温度制御を行うよう構成された請求項1に記載の電池ユニット。
  5. 前記発熱シートの前記発熱体に対する電源供給動作においてオフ期間を設け、前記オフ期間において所定電圧を当該発熱体に印加して当該発熱体に流れる電流を検出して当該発熱体が密着している二次電池ケースの温度を検知し、前記発熱シートの温度制御を行うよう構成された請求項1に記載の電池ユニット。
  6. 前記組電池において、前記複数の二次電池ケースに対応する前記複数の発熱体が、前記発熱シートにおいて複数の領域に分割されており、前記領域毎に各発熱体の電流路パターンが異なるよう構成されて、当該領域毎に前記発熱体の設定温度が制御されるよう構成された請求項1に記載の電池ユニット。
  7. 前記発熱シートにおいて並設された複数の発熱体が複数の領域に分割されており、前記複数の発熱体が、前記組電池において並設された二次電池ケースにおける少なくとも両端領域と中央領域で、異なる電流路パターンを有して、前記両端領域の発熱体が前記中央領域の発熱体より設定温度が高くなるよう設定された請求項1に記載の電池ユニット。
  8. 前記発熱シートにおいて並設された複数の発熱体が複数の領域に分割されており、前記複数の発熱体が、前記領域毎に前記発熱体の設定温度を制御する制御部、をさらに具備する請求項1に記載の電池ユニット。
  9. 前記発熱シートにおける各発熱体が前記二次電池ケースの下側面となる底面に対向して配置されるよう構成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池ユニット。
  10. 前記発熱シートと前記二次電池ケースとを、熱伝導性を有する接合材で形成された接合層を介して密着させた請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池ユニット。
  11. 前記発熱シートが前記二次電池ケースの底面側に密着して取り付けられ、前記発熱体を前記二次電池ケースの少なくとも底面の全てを覆うよう配設した請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池ユニット。
  12. 前記発熱体は、温度と抵抗の関係が正特性を有し、且つ設定温度範囲内において特性が変位するキュリー点がない特性を有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池ユニット。
  13. 前記発熱シートと前記断熱ユニットが一体化されて加温ユニットが構成されており、前記加温ユニットは、前記二次電池ケースが複数個並設されて構成された組電池に対して、一体的に装着されるよう構成された請求項1乃至8のいずれか一項に記載の電池ユニット。
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