(第1実施形態)
図1〜4により、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態の圧縮機1は、ヒートポンプ式給湯機に適用されている。このヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクルによって給湯水を加熱するもので、圧縮機1は、ヒートポンプサイクルにおいて冷媒を圧縮して吐出する機能を果たす。
ヒートポンプサイクルは、圧縮機1吐出冷媒と給湯水とを熱交換させて給湯水を加熱する水−冷媒熱交換器、水−冷媒熱交換器から流出した冷媒を減圧膨張させる減圧手段としての可変絞り機構、可変絞り機構にて減圧膨張された冷媒を外気と熱交換させて蒸発させる室外蒸発器、および、圧縮機1を環状に接続した蒸気圧縮式の冷凍サイクルである。
さらに、本実施形態のヒートポンプサイクルでは、冷媒として二酸化炭素を採用しており、圧縮機1から吐出された高圧冷媒が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成している。また、冷媒には、圧縮機1内部の各摺動部位を潤滑するオイル(冷凍機油)が混入されており、このオイルの一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
もちろん、ヒートポンプサイクルでは、室外蒸発器と圧縮機1吸入口との間に、冷媒の気液を分離して余剰冷媒を蓄えるとともに、圧縮機1吸入口側へ気相冷媒を流出させる気液分離器を配置してもよい。さらに、ヒートポンプ式給湯機は、ヒートポンプサイクルの他に、水−冷媒熱交換器にて加熱された給湯水を貯湯する貯湯タンク、貯湯タンクと水−冷媒熱交換器との間で給湯水を循環させる給湯水循環回路等を有して構成されている。
次に、図1により、本実施形態の圧縮機1の詳細構成について説明する。図1は、圧縮機1の模式的な軸方向断面図である。なお、図1中の上下の各矢印は、圧縮機1をヒートポンプ給湯機へ搭載した状態における上下の各方向を示している。
圧縮機1は、流体である冷媒を吸入し、圧縮して吐出する圧縮機構部10、この圧縮機構部10を駆動する電動機部(電動モータ部)20、および、電動機部20から圧縮機構部10へ回転駆動力を伝達する駆動軸であるシャフト25等をハウジング30内に収容した電動式の圧縮機である。
さらに、この圧縮機1は、図1に示すように、シャフト25の回転軸が鉛直方向(上下方向)に延びており、圧縮機構部10と電動機部20とを鉛直方向に配置した、いわゆる縦置きタイプに構成されている。より具体的には、本実施形態では、圧縮機構部10が電動機部20の下方側に配置されている。
まず、ハウジング30は、鉛直方向に延びる筒状部材31、筒状部材31の上端部を塞ぐ上蓋部材32および筒状部材31の下端部を塞ぐ下蓋部材33を有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。筒状部材31、上蓋部材32および下蓋部材33は、いずれも鉄で形成されており、これらは溶接にて接合されている。
さらに、ハウジング30の筒状部材31の側方には、ブラケット44を介して後述する油分離器40が接合されている。ハウジング30および油分離器40はいずれも鉛直方向に延びる縦長形状に形成されている。
次に、電動機部20は、固定子をなすステータ21および回転子をなすロータ22を有している。ステータ21は、磁性材からなるステータコア211およびステータコア211に巻き付けられたステータコイル212によって構成されている。そして、ステータコイル212に電力を供給することによって、ロータ22を回転させる回転磁界を発生させる。
なお、ステータコイル212への電力の供給は、ハウジング30の上端部に配置された給電端子23を介して行われる。この給電端子23は、ハウジング30の上蓋部材32の中央部に形成された貫通穴を塞ぐように固定された給電端子固定板24の表裏を貫通するように配置されている。
ロータ22は、永久磁石を有して構成されており、ステータ21の内周側に配置されている。このロータ22は回転軸方向に延びる円筒状に形成され、さらに、ロータ22の軸中心穴には、回転軸方向に延びる略円筒状のシャフト25が圧入により固定されている。従って、ステータコイル212に電力が供給されて回転磁界が発生すると、ロータ22およびシャフト25が一体に回転する。
シャフト25は、略円筒状に形成され、その内部には前述のオイルを流通させる主給油通路25a、この主給油通路25aからシャフト25と後述する第1軸受部29との摺動部位(以下、第1摺動部位という。)へオイルを導く第1副給油通路25b、および、主給油通路25aからシャフト25と後述する第2軸受部27との摺動部位(以下、第2摺動部位という。)へオイルを導く第2副給油通路25cが形成されている。なお、シャフト25内部の詳細構成については後述する。
また、シャフト25は、ロータ22よりも軸方向長さが長く形成されており、軸方向一端側である下端側(圧縮機構部10側)は、ロータ22の最下端部よりも下方側に延び、軸方向他端側(圧縮機構部10の反対側)は、ロータ22の最上端部よりも上方側に延びている。そして、シャフト25のロータ22よりも下方側の部位には、軸方向と垂直な水平方向に突出する鍔部251が形成されている。
鍔部251には、ロータ22およびシャフト25の偏心回転を抑制するバランスウェイト254が配置されている。なお、ロータ22の鉛直方向両側にも同様の機能を発揮するバランスウェイト221、222が配置されている。さらに、シャフト25のロータ22よりも下方側の部位のうち、ロータ22と鍔部251との間の部位は、ミドルハウジング36に形成された第1軸受部29によって回転可能に支持されている。
つまり、第1軸受部29は、シャフト25の軸方向一端側である下端側を支持している。さらに、第1軸受部29は、シャフト25の軸方向から見たときに、円形状となる内周面でシャフト25の外周面を受ける、すべり軸受として構成されている。
ミドルハウジング36は、上方側から下方側に向かって階段状に外径および内径が拡大する円筒形状を有しており、その外径および内径が最も小さい上方側部位に第1軸受部29が形成されている。さらに、その外径および内径が最も大きい下方側部位の外周面がハウジング30の筒状部材31に当接した状態で固定されている。
一方、シャフト25のロータ22よりも上方側の部位は、第2軸受部27によって回転可能に支持されている。つまり、第2軸受部27は、シャフト25の軸方向他端側である上端側を支持している。さらに、第2軸受部27は、シャフト25の軸方向から見たときに、その内周形状がシャフト25の外周形状と相似形の円形に形成されたすべり軸受として構成されている。
また、第2軸受部27は、介在部材28を介してハウジング30の筒状部材31に固定されている。介在部材28は、水平方向に拡がる環状板の外周部を下方側に向かって屈曲させた形状に形成され、その外周部がハウジング30の筒状部材31に当接した状態で固定されている。また、第2軸受部27の上端部には水平方向に突出する鍔部271が形成されており、鍔部271が介在部材28上に固定されている。
より具体的には、第2軸受部27の鍔部271が、図示しないボルトによって介在部材28に締結固定されている。これにより、介在部材28に対する第2軸受部27の水平方向位置を調整可能にして、シャフト25の軸合わせ(芯出し)を容易に実現できるようにしている。なお、第1、第2軸受部29、27におけるシャフト25の支持構成については、シャフト25内部の詳細構成とともに後述する。
次に、圧縮機構部10は、それぞれ渦巻き状に形成された歯部を有する可動スクロール11および固定スクロール12からなるスクロール型の圧縮機構である。可動スクロール11は、前述のミドルハウジング36のうち内径が最も大きい下方側部位の内周側に配置され、固定スクロール12は、可動スクロール11の下方側に配置されている。
可動スクロール11および固定スクロール12は、それぞれ円板状の基板部111、121を有しており、双方の基板部111、121は、互いに鉛直方向に対向するように配置されている。固定スクロール12の基板部121の外周側は、ハウジング30の筒状部材31に固定されている。
可動スクロール11の基板部111の上面側の中心部には、シャフト25の下端部が挿入される円筒状のボス部113が形成されている。シャフト25の下端部は、シャフト25の回転中心に対して偏心した偏心部253になっている。従って、可動スクロール11には、シャフト25の偏心部253が挿入されている。
さらに、可動スクロール11およびミドルハウジング36の間には、可動スクロール11が偏心部253周りに自転することを防止する自転防止機構が設けられている。このため、シャフト25が回転すると、可動スクロール11は偏心部253周りに自転することなく、シャフト25の回転中心を公転中心として旋回しながら公転運動する。
また、可動スクロール11には、基板部111から固定スクロール12側に向かって突出する渦巻き状の歯部112が形成されている。一方、固定スクロールには、基板部121から可動スクロール11側に向かって突出するとともに、可動スクロール11の歯部112に噛み合う渦巻き状の歯部122が形成されている。
そして、両スクロール11、12の歯部112、122同士が噛み合って複数箇所で接触することによって、回転軸方向から見たときに三日月形状に形成される作動室15が複数個形成される。なお、図1では図示の明確化のため、複数個の作動室15のうち1つの作動室のみに符号を付しており、他の作動室については符号を省略している。
作動室15は、可動スクロール11が公転運動することによって回転軸周方向に外周側から中心側へ容積を減少させながら移動する。さらに、作動室15には、図示しない冷媒供給通路を通じて冷媒が供給されるようになっており、作動室15の容積が減少することによって作動室15内の冷媒が圧縮される。
作動室15に冷媒を供給する冷媒供給通路としては、具体的に、ハウジング30の筒状部材31に形成された冷媒吸入口、および、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された冷媒吸入通路によって構成される。なお、この冷媒吸入通路は、両スクロール11、12の歯部112、122の最外周側に形成される圧縮室15に連通している。
このように本実施形態の圧縮機構部10では、シャフト25の回転に伴って圧縮室15が回転軸周方向に移動するため、圧縮室15内の冷媒の圧力によってシャフト25に作用する径方向の荷重の向きが変化する。つまり、本実施形態の圧縮機構部10は、回転軸方向から見たときに、シャフト25の回転に伴って第1、第2軸受部29、27がシャフト25からの荷重を受ける荷重点が移動する荷重点移動型圧縮機構である。
なお、荷重点は、回転軸方向から見たときに、圧縮機後部10にて生じるラジアル方向(径方向)の分力と、圧縮機後部10の可動部(すなわち可動スクロール11およびバランスウェイト221、222、254)が受ける遠心力の合力が最大となる方向に位置付けられている。
また、可動スクロール11側の歯部112および固定スクロール12側の歯部122の軸方向先端部には、作動室15の気密性を確保するためのチップシール16、17が装着されている。チップシール16、17は、ポリエーテル・エーテル・ケトン樹脂(PEEK)などの樹脂材料にて、歯部112、122の渦巻き方向に沿って延びる角柱状に形成されている。
そして、可動スクロール11側のチップシール16は、可動スクロール11側の歯部112のうち固定スクロール12側の基板部121に対向する先端面に形成されたチップシール溝に嵌め込み固定され、固定スクロール12側のチップシール17は、固定スクロール12側の歯部122のうち可動スクロール11側の基板部111に対向する先端面に形成されたチップシール溝に嵌め込み固定されている。
また、固定スクロール12側の基板部121の中心部には、作動室15で圧縮された冷媒が吐出される吐出穴123が形成されている。さらに、吐出穴123の下方側には、吐出穴123と連通する吐出室124が形成されている。吐出室124は、固定スクロール12の基板部121の下面に形成された凹部125と、固定スクロール12の下面に固定された区画部材18とによって区画形成されている。
さらに、吐出室124には、作動室15への冷媒の逆流を防止する逆止弁をなすリード弁19が配置されている。また、吐出室124へ流入した冷媒は、固定スクロール12側の基板部121内に形成された冷媒吐出通路、および、ハウジング30の筒状部材31に形成された冷媒吐出口(いずれも図示せず)を介して、ハウジング30外部へ吐出される。冷媒吐出口には、冷媒配管を介して、油分離器40の冷媒流入口が接続されている。
油分離器40は、ハウジング30から吐出された圧縮冷媒からオイルを分離し、分離されたオイルをハウジング30内に戻す機能を果たす。具体的には、油分離器40は、鉛直方向に延びる筒状部材41、筒状部材41の上端部を塞ぐ上蓋部材42および筒状部材41の下端部を塞ぐ下蓋部材43を有し、これらを一体に接合して密閉容器構造としたものである。
筒状部材41、上蓋部材42および下蓋部材43は、いずれも鉄で形成されており、これらは溶接にて接合されている。さらに、油分離器40の筒状部材41は、鉄で形成されたブラケット44を介して、ハウジング30の筒状部材31に溶接にて接合されている。これにより、前述の如く、油分離器40がハウジング30の側方に固定されている。
上蓋部材42は、外筒部材421および内筒部材422によって構成された二重筒構造になっている。外筒部材421および内筒部材422は、鉛直方向に延びる円筒状の部材であり、内筒部材422は、外筒部材421の内部のうち上方側に挿入されている。
そして、外筒部材421の内周側と内筒部材422の外周側との間に形成される円筒状空間43には、図示しない油分離器40の冷媒流入口から流入した冷媒が導入される。従って、油分離器40の冷媒流入口は、外筒部材421のうち円筒状空間43の側方部位に形成されている。
また、円筒状空間43の上端部は内筒部材422によって閉塞されている。具体的には、内筒部材422の上端部が残余の部位よりも拡径されていて、外筒部材421の上端開口部421aを閉塞している。さらに、内筒部材422の上端開口部45は、オイルが分離された冷媒を油分離器40の外部、すなわち圧縮機1の外部の水−冷媒熱交換器の入口側へ吐出する冷媒吐出口を構成している。
油分離器40のうち筒状部材41および下蓋部材43によって形成される下方側部位は、冷媒から分離されたオイルを貯める貯油タンクとしての役割を果たす。油分離器40の下蓋部材43には、貯められたオイルを油分離器40外部に流出させる油流出口431が形成されている。
油流出口431には油配管46が接続されており、油配管46は、ハウジング30の筒状部材31に固定された配管接続部材34に接続されている。配管接続部材34は、ハウジング30の筒状部材31に形成された貫通穴を貫通し、固定スクロール12側の基板部121の側面に形成された挿入穴126に挿入されている。
また、固定スクロール12側の基板部121の内部には、挿入穴126に連通する固定側導油通路127が形成されている。この固定側導油通路127は、配管接続部材34および挿入穴126を介して流入したオイルを固定スクロール12側の基板部121の上面(可動スクロール11側の基板部111側の面)に開口する開口穴へ導く。
さらに、可動スクロール11側の基板部111の内部には、固定側導油通路127の一方の通路と断続的に連通する図示しない可動側導油通路が形成されている。より具体的には、可動側導油通路の一端側は、可動スクロール11側の基板部111の下面(固定スクロール12側の基板部121の面)に、固定スクロール12側の基板部121の上面に形成された開口穴と対向するように開口している。
これにより、可動スクロール11の公転運動に伴って可動側導油通路の開口が固定側導油通路127の開口と重なったりずれたりすることになるので、可動側導油通路が固定側導油通路127と断続的に連通することになる。また、可動側導油通路の他端側は、可動スクロール11のボス部113の内側に開口している。
このため、可動側導油通路と固定側導油通路127が断続的に連通することによって、油分離器40から固定側導油通路127へ流入したオイルが、可動側導油通路を介して、ボス部113とシャフト25の偏心部253との間の隙間に導入され、次いでシャフト25の下端部側からシャフト25の内部に形成された主給油通路25aへ流入する。
また、固定スクロールの下方側には、区画部材18が配置され、区画部材18の下方側のハウジング30内の最下部には、オイルを貯める貯油室35が形成されている。区画部材18には、鉛直方向に貫通する貫通穴181が形成されている。この貫通穴181は、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された通路を介して、上述した冷媒吸入通路と同様に、両スクロール11、12の歯部112、122の最外周側に形成される圧縮室15に連通している。
従って、圧縮室15へ流入するオイルの流量は、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された絞り通路の通路断面積(圧力損失)によって、調整することができる。また、貫通穴181には、貯油室35に貯留されたオイルを吸い上げるパイプ182が下方側から挿入されている。
ここで、図2〜5を用いて、シャフト25内部の詳細構成、および、第1、第2軸受部29、27におけるシャフト25の支持構成について説明する。なお、図2(a)は、シャフト25および第1、第2軸受部29、27の軸方向一部断面図であり、図2(b)は、図2(a)のA−A断面図であり、図2(c)は、図2(a)のB−B断面図である。
シャフト25の内部に形成された主給油通路25aは、図2に示すように、シャフト25の軸方向に延びてシャフト25の下端面にて開口しており、シャフト25の上端面においては閉塞部材26で閉塞されている。そして、前述の如く、主給油通路25aにはシャフト25の軸方向一端側である下端側から、可動側導油通路から流出したオイルが流入する。
第1副給油通路25bおよび第2副給油通路25cは、シャフト25の径方向に延びて主給油通路25aとシャフト25の外表面とを連通させる連通穴として形成されている。さらに、第2副給油通路25cは、第1副給油通路25bよりも鉛直方向上方側に配置されている。
また、主給油通路25aの内部には、シャフト25の下端側から流入したオイルを、第1副給油通路25bよりも上方側に配置された第2副給油通路25cの入口近傍へ導くオイルガイド部材としての、管状のパイプ部材50が配置されている。
このパイプ部材50は、シャフト25の軸方向に延びるとともに、その下端部が残余の部位よりも拡径された配管で形成され、拡径された下端部の外周面が主給油通路の内壁面に圧入固定されている。なお、本実施形態では、断面円形状の円管状のパイプ部材50を採用しているが、断面多角形状、断面楕円形状等の管でパイプ部材50を形成してもよい。
具体的には、このパイプ部材50の上端部に設けられたオイル出口穴501は、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、第2軸受部27と重合する範囲であって、かつ、第2副給油通路25cの入口穴の中心から下方側15mm以内迄の範囲の位置で開口している。より具体的には、第2副給油通路25cのオイルの入口穴の最下部よりも上方で開口している。
従って、パイプ部材50によって導かれたオイルの一部は、まず第2副給油通路25cへ供給され、その残りのオイルが主給油通路25aとパイプ部材50との間を流通して第1副給油通路25bへ供給される。
換言すると、第1副給油通路25bおよび第2副給油通路25cには、主給油通路25a(具体的には、パイプ部材50)へ流入したオイルが順次供給される。そして、本実施形態では、第1副給油通路25bおよび第2副給油通路25cのうち先にオイルが供給される副給油通路は、第2副給油通路25cとなる。
なお、本発明者らの検討によれば、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、オイル出口穴501を少なくとも第2副給油通路25cの入口穴の中心から下方側15mm以内迄の範囲で開口させれば、パイプ部材50によって導かれたオイルが、その流出方向の慣性力等によって第2副給油通路25cの入口へ到達し、さらに、充分な量のオイルを第2副給油通路25cへ供給できることが判っている。
このことを図3に示す実験データを用いて説明する。図3は、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときの第2副給油通路25cの入口穴の中心からオイル出口穴501へ至る距離Lと、主給油通路25aへ流入させるオイル流量Qに対する第2副給油通路25cへ供給されるオイル流量q2のオイル流量比q2/Qとの関係を示すグラフである。
ここで、主給油通路25aへ第1、第2摺動部位を充分に潤滑できる流量Qのオイルを流入させたとき、このオイル流量Qに対して50%以上の流量のオイルを第2副給油通路25cへ供給できれば、第2副給油通路25cについても第2摺動部位を潤滑するために充分な流量のオイルを供給できる。そこで、図3から明らかなように、オイル流量比q2/Q≧0.5を満たすためには、距離Lを15mm以下とすればよい。
また、第1副給油通路25bの出口穴251bは、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、シャフト25と第1軸受部29が重合する範囲のうち、軸方向中央部よりも上方側に開口し、第2副給油通路25cの出口穴251cは、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、シャフト25と第2軸受部27が重合する範囲のうち、軸方向中央部に開口している。
次に、図2(b)に示すように、シャフト25と、すべり軸受として構成された第2軸受部27との間には、軸方向から見たときに隙間(クリアランス)が形成されている。なお、図2(b)は、第2副給油通路25cの出口穴251cを含むシャフト25の軸方向垂直断面であり、特許請求の範囲に記載された基準垂直断面である。
この際、本実施形態の圧縮機構部10のように荷重点移動型圧縮機構を採用する圧縮機1では、シャフト25の回転に伴って、圧縮室15内の冷媒の圧力によってシャフト25に作用する径方向の荷重の向きが変化するので、シャフト25は、圧縮機1の作動中、常時、第2軸受部27の内周面に押しつけられている。従って、シャフト25と第2軸受部27の接触する点が基準垂直断面における荷重点となる。
このため、シャフト25と第2軸受部27との間の径方向の隙間寸法は、シャフト25の回転中心を中心として荷重点に点対称となる位置で、径方向最大寸法Hとなる。本実施形態では、シャフト25の外径をφDとしたときに、0.0005≦H/φD≦0.008として、第2副給油通路25cから第2軸受部27に対して、潤滑に必要な充分なオイル量が供給できるとともに、第2軸受部27においてオイルの油膜が途切れずに維持できるようにしている。
また、図2(c)に示すように、第1副給油通路25bの出口穴251bが開口する部位のシャフト25の外周面を平面(断面Dカット形状)とすることで、シャフト25と第1軸受部29との間に、第1副給油通路25bから流出したオイルを通過させる溝部252bを形成している。
本実施形態では、第1副給油通路25bの出口穴251bから第1軸受部29の内周面へ至る径方向の距離をh1としている。この距離h1は、パイプ部材50から流出して第2副給油通路25cへ流入しなかったオイルを第1副給油通路へ流入させても、このオイルを充分に流出させることができるように決定されている。
ところで、荷重点移動型圧縮機構では、シャフト25の回転に伴って荷重点が移動するため、図4に示すように、シャフト25が回転しても、シャフト25の外表面に開口する第2副給油通路25cの開口部と荷重点との回転方向の相対角度は変化しない。 つまり、シャフト25が回転しても、第2副給油通路25cの出口穴251cから第2軸受部27の内周面へ至る径方向の距離hは変化しない。
なお、図4(a)は、図2(b)の拡大図であり、図4(b)は、図4(a)の状態に対してシャフト25が、約90°回転した状態を示しており、図4(c)は、図4(b)の状態に対してシャフト25が、さらに約90°回転した状態を示している。
これに対して、第2副給油通路25cを介してシャフト25と第2軸受部27との第2摺動部位に供給されるオイルの流量は、径方向最大寸法Hに対する第2副給油通路25cの出口穴から軸受部の内周面へ至る径方向の距離hの比h/Hによって変化する。従って、比h/Hを適切な値に決定することで、第2摺動部位に適切な流量のオイルを供給することができる。
さらに、基準垂直断面において、荷重点とシャフト25の中心とを結ぶ直線を基準線としたときに、比h/Hは、図5に示すように、基準垂直断面におけるシャフト25の中心と第2副給油通路25cの出口穴251cの中心とを結ぶ直線と、基準線とのなす角度θ(図4(a)参照)に応じて幾何学的に変化する。なお、図5は、角度θの変化に対する比h/Hの変化を示すグラフである。
このことは、角度θを適切な値に決定することで、第2摺動部位に適切な流量のオイルを供給することができることを意味している。つまり、例えば、角度θ=0°としてしまうと、第2副給油通路25cの出口穴251cから軸受部の内周面へ至る径方向の距離hも0となり、第2副給油通路25cの出口穴251cが第2軸受部27の内周面によって閉塞されてしまう。従って、第2摺動部位にオイルを供給できない。
本発明者らの検討によれば、圧縮機1の作動状態(例えば、回転数変動等)によらず、第2摺動部位に必要最小オイル流量q2mnを安定的に供給するためには、0.145≦h/H≦0.75とすれば良いことが判っている。従って、図5から明らかなように、基準垂直断面において、45°≦θ≦120°とすればよい。
ここで、第1摺動部位を充分に潤滑可能な必要最小オイル流量q1mnとし、第2摺動部位を充分に潤滑可能な必要最小オイル流量q2mnとすれば、主給油通路25aへ流入させる必要最小オイル流量はq1mn+q2mnの合計値Qmnとなる。
そこで、予め固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された絞り通路の通路断面積を調整して、主給油通路25aへ流入させるオイル流量をQmn以上確保する。さらに、上述の如く、45°≦θ≦120°としておくことで、第2摺動部位に必要最小オイル流量q2mn以上のオイルを供給する。
一方、第1摺動部位には、主給油通路25aへ流入したオイル流量から第2摺動部位に供給されたオイル流量を差し引いた流量のオイルが供給されることになるが、上述の如く、第1副給油通路25bの出口穴251bの開口部には、溝部252bが形成されている。
従って、シャフト25の中心と第1副給油通路25bの出口穴251bの中心とを結ぶ直線と、第1摺動部位における荷重点とシャフト25の中心とを結ぶ直線とのなす角度が、どのような角度に設定されていたとしても、主給油通路25aへ流入したオイル流量から第2摺動部位に供給されたオイル流量を差し引いた流量のオイルを第1摺動部位に供給することができる。
なお、図5から明らかなように、基準垂直断面において、240°≦θ≦315°と設定しても、第2摺動部位に供給されるオイルの流量は、45°≦θ≦120°と設定したときと同等となる。
そして、第2副給油通路25cを介して、第2摺動部位に供給されたオイルは、第2摺動部位を潤滑した後、重力によってハウジング30内を下方側に流れ、再び貯留室35へ戻る。また、第1副給油通路25bを介して、第1摺動部位に供給されて、第1摺動部位を潤滑した後、重力によってハウジング30内を下方側に流れ、再び貯留室35へ戻る。
次に、上記構成における本実施形態の圧縮機1の作動を説明する。電動機部20のステータコイル212に電力が供給されてロータ22およびシャフト25が回転すると、可動スクロール11がシャフト25に対して公転運動(旋回運動)する。
これにより、可動スクロール11側の歯部112と固定スクロール12側の歯部122との間に形成された三日月状の作動室15のうち、最外周に位置付けられる作動室15に冷媒およびオイルが吸入される。具体的には、室外蒸発器から流出した冷媒が冷媒供給通路を介して作動室15に供給され、貯留室35内のオイルがパイプ182を介して作動室15に供給される。
作動室15に供給された冷媒は、作動室15の容積の減少に伴って圧縮される。この際、作動室15に吸入されたオイルによって、可動スクロール11および固定スクロール12の摺動部位を潤滑する。作動室15にて圧縮された冷媒は、オイルとともに固定スクロール12の吐出穴123、吐出室124、ハウジング30の冷媒吐出口を介して、ハウジング30の外部に吐出され、油分離器40の冷媒流入口に流入する。
油分離器40の冷媒流入口に流入した冷媒は、図6の太矢印に示すように、油分離器40内の円筒状空間43に導入される。なお、図6は、図1の圧縮機1の軸方向断面図に対して、オイルの流れを太矢印で追加したものである。図6では、図示の明確化のために一部の構成要素の符号を省略している。
そして、円筒状空間43において冷媒に旋回流れを生じさせ、冷媒の旋回流れによって生じる遠心力の作用によって、冷媒からオイルが分離される。オイルが分離された冷媒は、油分離器40の冷媒吐出口45から、圧縮機1の吐出冷媒として水−冷媒熱交換器の冷媒入口側へ吐出される。
また、冷媒から分離されたオイルは、重力によって油分離器40の内部を流下して油分離器40内の下部に貯められる。油分離器40の内部に貯められたオイルは、油流出口431、油配管46、挿入穴126および固定側導油通路127を介して、断続的に、シャフト25の下端部側からシャフト25の内部に形成された主給油通路25aへ流入する。
シャフト25の主給油通路25aへ流入したオイルは、パイプ部材50によって、第2副給油通路25cの入口近傍へ導かれて、その一部が第2副給油通路25cへ流入する。第2副給油通路25cへ流入したオイルは、シャフト25と第2軸受部27との摺動部位へ供給され、この摺動部位を潤滑した後、重力の作用によってハウジング30内を下方側に流れて再び貯留室35へ戻る。
パイプ部材50から流出したオイルのうち、第2副給油通路25cへ流入しなかった残りのオイルは、重力の作用によって主給油通路25aとパイプ部材50との間を第1副給油通路25b側へ向かって流れ、第1副給油通路25bへ流入する。第1副給油通路25bへ流入したオイルは、シャフト25と第1軸受部29との摺動部位へ供給されて、この摺動部位を潤滑した後、ハウジング30内へ流出して再び貯留室35へ戻る。
一方、貯油室35に貯留されたオイルは、パイプ182、貫通穴181、固定スクロール12側の基板部121の内部に形成された通路を介して、両スクロール11、12の歯部112、122の最外周側に形成される圧縮室15に流入する。
本実施形態の圧縮機1は、上記の如く作動して、ヒートポンプサイクルにおいて、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する機能を発揮する。
さらに、本実施形態では、荷重点移動型圧縮機構を採用する圧縮機1において、基準垂直断面におけるシャフト25の中心から荷重点へ至る基準線分と基準垂直断面におけるシャフト25の中心から第2副給油通路25cの出口穴251cの中心へ至る線分とのなす角度θを45°≦θ≦120°としているので、第2摺動部位に適切な流量の潤滑用のオイルを供給することができる。
さらに、主給油通路25aへ流入したオイルが後に供給される第1副給油通路25bの出口穴251bの開口部に溝部252bが形成されているので、出口穴251bの開口方向によらず、パイプ部材50のオイル出口穴501から流出したオイルのうち第2副給油通路25cへ流入しなかったオイルを第1副給油通路25bから確実に流出させることができる。
さらに、本実施形態では、基準垂直断面におけるシャフト25の外周形状と第2軸受部27の内周形状を相似の円形形状としているので、第2軸受部27の内周面にオイルを流通させる溝等を形成する場合に対して、角度θの管理のみで第2摺動部位へ供給させるオイルの流量を容易に調整できる。
ところで、本実施形態の圧縮機1のようにシャフト25の下端側から主給油通路25aへオイルを流入させる構成では、オイルが流入するシャフトの下端側の近くに位置付けられる摺動部位にはオイルが供給されやすく、一端側から遠い他端側に位置付けられる摺動部位にはオイルが供給されにくくなる。
例えば、シャフトの回転軸方向を鉛直方向に向けて、シャフトの下方側から主給油通路へオイルを供給すると、重力によって下方側の摺動部位にはオイルが供給されやすく、上方側の摺動部位にはオイルが供給されにくくなる。
これに対して、本実施形態の圧縮機1によれば、オイルガイド部材であるパイプ部材50を備えているので、シャフト25と第1軸受部29との第1摺動部位、および、シャフト25と第2軸受部27との第2摺動部位の双方に適切に供給することができる。
つまり、パイプ部材50が、シャフト25の下端側から流入したオイルを、第1副給油通路25bよりも鉛直方向上方側に配置された第2副給油通路25cの入口近傍へ導くことで、まず、第2副給油通路25cにオイルを供給することができる。従って、第2副給油通路25cに流入したオイルを、第2摺動部位に供給することができる。
さらに、第2副給油通路25cに流入しなかった残りのオイルは、重力の作用によって、主給油通路25a内を、第2副給油通路25cよりも下方側に位置付けられた第1副給油通路25b側へ確実に移動するので、残りのオイルを第1副給油通路25bに流入させることができる。従って、第1副給油通路25bに流入したオイルを、第1摺動部位に供給することができる。
その結果、第1摺動部位および第2摺動部位の双方の摺動部位に潤滑用のオイルを適切に供給することができる。この際、オイルガイド部材として、配管を拡径したパイプ部材50を採用しているので、極めて簡素な構成でオイルガイド部材を構成できる。
さらに、パイプ部材50の上端部に設けられたオイル出口穴501を、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、第2副給油通路25cのオイルの入口穴の最下部よりも上方で開口させているので、重力の作用によって、パイプ部材50のオイル出口穴501から流出したオイルの一部を、確実に第2副給油通路25cへ供給し、その残りのオイルを第1副給油通路25bへ供給することができる。
この際、オイル出口穴501を、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、第2軸受部27と重合する範囲の位置で開口させているので、不必要にパイプ部材50を上方側に突出させることを抑制できる。その結果、圧縮機1全体として軸方向寸法が拡大してしまうことを抑制できる。
さらに、第2副給油通路25cの出口穴251cが、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、シャフト25と第2軸受部27が重合する範囲のうち、軸方向中央部に開口しているので、出口穴251cから流出したオイルが第2摺動部位の全域に供給されやすくなる。その結果、第2摺動部位の摩耗を効果的に抑制できる。
(第2実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図7に示すように、シャフト25を上方側へ延長させるとともに、パイプ部材50を上方側へ延長させたものである。なお、図7は、本実施形態の圧縮機1の模式的な軸方向断面図である。また、図7では、第1実施形態と同一もしくは均等部分には同一の符号を付している。このことは、以下の図面においても同様である。
具体的には、本実施形態のオイル出口穴501は、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、第2副給油通路25cのオイルの入口穴の最下部よりも上方で開口し、さらに、第2軸受部27と重合する範囲よりも上方で開口している。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態の圧縮機1によれば、第1実施形態と同様の効果を得ることができるだけでなく、パイプ部材50のオイル出口穴501から流出したオイルの一部を、重力の作用によって、より一層確実に第2副給油通路25cへ供給し、その残りのオイルを第1副給油通路25bへ供給することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、第1実施形態に対して、図8に示すように、シャフト25の内部に主給油通路25aの軸方向垂直断面積を変化させる段差部251aを形成した例を説明する。
ここで、シャフト25の内部に軸方向に延びる主給油通路25aを形成する場合、一般的に、加工性を向上させるためにシャフト25の軸方向両端側から穴あけ加工を行う。このようにシャフト25の両端側から穴あけ加工を行うと、主給油通路25aを形成する両側の穴が連通する箇所に段差部251aが形成される。本実施形態は、この段差部251aを有効に利用して、オイルを第2副給油通路25cへ流入させやすくしている。
具体的には、本実施形態の段差部251aは、第2副給油通路25cの入口穴よりも下方側に形成されており、主給油通路25aの軸方向垂直断面積は、段差部251aよりも上方側が下方側よりも拡大している。さらに、本実施形態では、第1実施形態と同様に、パイプ部材50のオイル出口穴501を、シャフト25の軸方向に垂直な方向から見たときに、第2副給油通路25cの入口穴の中心から下方側15mm以内迄の範囲の位置で開口させている。
また、図8に示すように、本実施形態では、パイプ部材50のオイル出口穴501が、段差部251aよりも第2副給油通路25c側(上方側)で開口しているが、距離Lが15mm以下となっていれば、オイル出口穴501が、段差部251aよりも第1副給油通路25b側(下方側)で開口していてもよい。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
本実施形態によれば、段差部251aよりも上方側の主給油通路25aの軸方向垂直断面積が下方側よりも拡大しているので、圧力損失差等によって上方側から下方側へオイルが流通し難くなる。従って、段差部251aを第2副給油通路25cの入口穴よりも下方側に形成し、さらに、パイプ部材50から流出したオイルを段差部251aの上方側へ流入させることで、より一層、オイルを第2副給油通路25cへ流入させやすくなる。
なお、本実施形態に対して、図9に示すように、段差部251aから上方側の主給油通路25aの軸方向垂直断面積が縮小している場合には、パイプ部材50のオイル出口穴501を、段差部251aの上方側で開口させることが望ましい。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、本発明の圧縮機1をヒートポンプ式給湯機のヒートポンプサイクルを適用した例を説明したが、圧縮機1の適用はこれに限定されない。空調装置用の冷凍サイクル、冷蔵庫あるいは冷凍庫用の冷凍サイクル等に適用してもよい。また、冷凍サイクルに限定されず、プラント等における気体高圧化手段、気体圧送手段として幅広く適用可能である。
(2)上述の各実施形態では、オイルガイド部材をパイプ部材50にて構成した例を説明したが、オイルガイド部材はこれに限定されない。例えば、シャフト25の内部に切削加工、放電加工によってパイプ部材50と同様の構成を形成してもよい。
(3)上述の各実施形態では、縦置きタイプの圧縮機1について説明したが、シャフト25と第2軸受部27との第2摺動部位へ適切にオイルを供給するための角度θの範囲は、シャフト25の回転軸が鉛直方向に延びる圧縮機に限定されない。もちろん、シャフト25の回転軸が水平方向に延びる横置きタイプの圧縮機に適用することもできる。
同様に、第1実施形態で説明した第1副給油通路25bの出口穴251bおよび第2副給油通路25cの出口穴251cの開口方向の調整、あるいは、第3実施形態で説明した溝部252bの採用といった、第2摺動部位より後にオイルが供給される第1摺動部位へのオイルの供給流量の調整についても、縦置きタイプ以外の圧縮機に適用できる。
(4)上述の各実施形態では、荷重点移動型圧縮機構としてスクロール型の圧縮機構を採用しているが、荷重点移動型圧縮機構としては、ローリングピストン型の圧縮機、複数のシリンダおよびピストンを周方向に並べて各シリンダおよびピストンにて順次流体を圧縮して吐出するレシプロ型の圧縮機構を採用することができる。