JP2011162759A - 油脂及び樹脂溶解剤組成物 - Google Patents

油脂及び樹脂溶解剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】油状物及び高分子樹脂状汚れに共通に作用し、洗浄力、安定性があり、耐久力、危険度の低いグレードであることと共にアルコールソルベントをも含ませて速乾性をキープすることを可能ならしめる水性処理組成物を提供する。
【解決手段】NMPとジメチルイミダゾリジノン,グルタル酸ジメチル,コハク酸ジメチルをメインのベースにして、相溶性のある親水性の界面活性剤と、テルペン系炭化水素、低級1価アルコールをバランスよく配合した。
【選択図】なし

Description

本発明は鉄やアルミを中心とする重厚な油性物質やフィルム形成ポリマー様の樹脂形成物質を洗浄除去する洗浄剤に関し、特に水性タイプで効力と安定性の高い洗浄剤組成物に関する、特に水性タイプで安定性や環境性に優れた、使いやすく効果の充実した成果を上げるものに用いる。
本発明の関連の技術は、従来から多岐に亘りそれぞれの特徴に帰した提案がされているが、決定的に区別化するに必要な根拠を有するものがなく、それぞれの技術背景を限定している曖昧なものが多く、その明確な特性が希薄化して閉塞状態にある。
例えば、n−メチル−2−ピロリドン(NMP)と界面活性剤は、特開昭49−128908や特開平9−68094など、またこれらの構成に水分を混入して、水分の必要性を利用して特開平7−53998などはその目的応用の典型である。
金属の洗浄剤としては、酸やアルカリの水中心の物や、ノンウォーターベースでハロゲン系(メチレンクロライド,クロロホルム,パークロルエチレン,トリクレン)、あるいは先述のNMPと界面活性剤やテルペン系炭化水素との併用物は枚挙にいとまがない程に発表されている。
特に特開平7−53998は水分をあえて一定量含ませておいて、この水分の存在が洗浄力の持久力を向上させているほか、NMPで払拭されない油分が取れやすく、且つ非危険物となるメリットも併記されている。
特にNMPと水の併用は予想外の効果としてNMPに水が加わり、大気中の酸化によるパーオキサイド生成抑制下で、安定なものとなる。
一方で、水分の混入は幾つかのデメリットを派生して、水分のバイオアクトによる酸敗や腐敗が始まり、微生物汚染(バイオハザード),分解,再利用の断念、とりわけ炭化水素やシリコン系,フロン系,オレフィン系油分には洗浄力の体を成さず、グリセライドやC12以下の炭化水素に馴染みがあるくらいで、洗浄槽の相分離から凝集,沈降などの弊害を生じる。
本発明はNMPと同一条件で、ジメチルイミダゾリジノン(DMI)がグルタル酸ジメチル,コハク酸ジメチルの共通項があってこその理由があり、それがNMPに限るものでなく、仮にこれに水分を加入して相分離したり腐敗したりする、または膨張による質的変異を生じない物性を具備した構成を検討しなければならないことに苦慮した。
以上、油脂だけでなく樹脂状の物はMW10000を超えるポリマー形成物であり、膨潤−溶解、そして−OH分子が反作用ファクターとして機能することが予想される。即ち、油脂の洗浄には有効に働く水分の混入が、樹脂成分の場合は逆にトラブルの要因となる証である。
本発明が解決しようとする課題
本発明はNMPを主成分とする洗浄剤であると共に、水性油性共用の被洗物や処理にも効果があり、特に水を含まなくても水の分子(−OH)を有効に作用させることと、それぞれの品質,作用を軽減させないで進化することが必要である。
そこで本発明は4つの構成成分の体系を堅持することにより、極めて理想的な性能を発揮することができるだけでなく、引火点を概ね70〜100℃、危険物では消防法第4−IIIのクラスに入り、安全で比較的引火しにくい透明のソルベントソリューションを形成する。
具体的にはn−メチル−2−ピロリドン,ジメチルイミダゾリジノン,グルタル酸ジメチル,コハク酸ジメチルから選ばれたソルベントをメインとしながら、第2成分として親水性の界面活性剤、第3成分にテルペン系炭化水素((C,n=1〜5)、第4成分として前記第1〜3成分と相溶性のある1価アルコール(R−OH,R=1〜5のアルキルアルコール)。これらを必須4成分として構成されるソルベントソリューションにする事により、極めてバランスのとれた油状物にも樹脂状物にも溶解性,分散性,二次処理性のすぐれたものに具現化することに到達したものである。
それぞれの特性を検討すると、n−メチル−2−ピロリドン,ジメチルイミダゾリジノン,グルタル酸のジメチルエステル,コハク酸のジメチルエステルは、それぞれ親水性のソルベントでありながら、単独ではストレートに油状物などを溶解する力はあるが融通性や普遍性がない故に、洗浄剤としての利用は制限されることになり、ワンウェイ(一方的)ユースに終始し、経済性に乏しく商品としての合理性が極めて少ないものとなる。そしてその改良として登場したのが界面活性剤と、d−リモネンに代表されるオレンジ(シトラス)エキスの併用である。注目すべきはこれらの組み合わせが混合する中で整合性のとれた構成体として1価アルコールが入っていることである。1価アルコール自体は配合してもよい業者では常識のレベルにあるが、必須成分としての特色はまさに海砂の中から一塊の宝石を発見したもののようである。これは偶然ではなく意図的に強制的に限定したものの優位性が本発明で至ったのである。
課題を解決するための手段
実際に油状物や樹脂状物を使用する現場を渉猟してみて、本発明に辿り着くことができたのである。
そしてそれぞれ、
(1)NMP,ジメチルイミダゾリジノン,グルタル酸ジメチル,コハク酸ジメチルは60〜90w%含み
(2)親水性界面活性剤、例えばアニオン系のLAS,AES,AS,SAS,脂肪酸塩,AGS,ノニオン系のソルビタンエステル,高級アルコール,脂肪酸アルカノールアミド,EO付加物,ポリアルキルグルコシド(PAG),アルキルアミンオキシド(AC),アルキルアミドベタイン,イミダゾリニウムベタイン,アミノグリシンなどの両性系、塩化ベンザルコニウム,塩化セチルピリジニウム,塩化ベンザルコニウムなどが0.5〜10w%
(3)(C,n=1〜5のテルペン系炭化水素、即ち代表としてd−リモネン,α−ピネン,ミルセン,樟脳などが含まれ、特にオレンジオイルとしてリモネン中心のものが有名である。
当該物は1〜20w%、3〜8w%で水系のバランスが良くなる。
(4)第4の成分として1価のアルコール(R−OH,R=1〜5のアルキルアルコール)の加入である。
エタノール,イソプロパノール,ターシャルブチルアルコール,メチルメトキシブタノールが望ましく5〜30w%、5〜12w%がより望ましい。
当該アルコールはエタノールとプロパノール,エタノール/t−ブタノールの混合アルコールとして使用することも差し支えない。特筆すべき点は(第4の成分の)アルコールの存在である。
これは第4の成分のNMPなどに対して1/7〜1/10がより好ましい。
尚、アルコール以外にケトン,エステル,エーテル系のソルベント(親水性のアセトン,MIBK,テトラヒドロフラン,ジオキサン,セロソルブ,カルビトール,プロピオン酸ジブチル,酢酸エチルなど)も代替できるが、臭気や安全性の面で本発明の要件を満たさない。
本発明は以上の第1〜第4成分の組成によって、想到し得なかった次の特徴がある。
▲1▼NMP(91),ポリオキシエチレン(EO9),ラウリルエーテル(9)
▲2▼NMP(75),ポリオキシエチレン(EO5),ヤシ脂肪酸エタノールアミド(12)
▲3▼NMP(79),ポリオキシエチレン(EO9),ソルビタン脂肪酸エステル(8),イソプロピルアルコール(13)
▲4▼本発明代表:NMP(75),ポリオキシエチレン(EO9),オレイルエーテル(9),d−リモネン(7),エタノール(9)
以上の4種の試作品について、流動パラフィン(#70),ポリスチロール(PS),ラード/クロロホルム(10%),ポリカーボネート(PC),プレート(3mm厚),亜麻仁油/カーボンブラック(5%)のそれぞれの処理物に、▲1▼〜▲4▼の試作品を用いて、溶解力,30g/100mlでの臨界濃度,乾燥性,親水性(水100g/サンプル100gの状態)を調べた。
(ア)流動パラフィン(#70)の30%溶解性(−20℃→40℃)
▲4▼>▲3▼>▲2▼>▲1▼
(イ)PCチップの溶解(0℃)
▲4▼>▲3▼>▲2▼>▲1▼
(ウ)PSチップの溶解スピード
60秒:▲4▼>▲1▼>▲2▼>▲3▼
180秒:▲4▼>▲2▼>▲1▼>▲3▼
(エ)亜麻仁油/カーボンブラックの拭き取り除去スピード
▲4▼>▲2▼>▲1▼>▲3▼
(オ)30g/100mlの臨界濃度の状態(サラサラ感)
▲4▼>▲2▼>▲3▼>▲1▼
(カ)乾燥性(仕上がり具合,スチレンプレート面のマニキュア汚れをカット綿に含浸させ、2回目にサンプルで仕上拭きをした時の表面の状態)
▲4▼>▲2▼>▲1▼>▲3▼
上記のように、いずれも本発明に限定したものが優位性を確保したことを確認した。
発明の効果
本発明の特定は、汎用性のある原料の中で予想外の効果と作用を発揮した。
本発明はこの4種類の原料をベースとして、この様な材料を付加して新しい用途を有用とする。
アロマエッセンスを入れて芳香性の消臭アロマグッズ、耐水ペンキ、油性ペイント、インキのシンナー剤として、エポキシ不溶分のプレミックスシンナーとして、IC・LSI・シリコン・電子回路・LED・LC・EL・ディップ紙の修正加工、グリーストラップ・油槽・アスファルト・タール・ピッチ・カーボンマテリアルの希釈加工剤またはソルベントとして、動植物油の食品生産プロセスでのクリーニングやメンテナンス用として、精密マシン・ベアリング・レアメタル・吸蔵合金・燃料電池・トランジスタ・DRAM・コンデンサ・メモリーセル・プロセッサのメカニズムのメンテナンスやクリーニング及び仕上げ、アモルファスシリカ・太陽電池などのクリーニング用として、有機半導体のマテリアルモディファイヤーとして、レンズや光学エレメント・医療器具(カテーテルやファイバースコープなど)・トランスチップ・SSのメンテナンス用など、用途は無限に亘る。
しかも本品はGHS,PRTR,REECHなどの規制を受けない、エコでヘルシーな未来型の特性が十二分に生かされている。
以下、本発明を具体的な実施例で説明する。
以下の洗浄剤のサンプルを作製し、その性能比較テストを行い、本発明の特異性を確めた。
Figure 2011162759
サンプルの評価テスト
(1)安定性テスト
−20〜40℃,繰り返し5日と15日
◎:殆ど変化なし
○:少し靄状,分離気味
△:減量(20%以上),分離
Figure 2011162759
(コメント)本発明品は、経時変化及び高低温安定性に際立つものを確認した
(2−1)流動パラフィン#70+ワセリンのクロロホルム30%液にカーボンブラックで着色して、ガラス面に1000±10mg/4cm塗布して24時間熟成させる
(2−2)シリコンオイル(110mPa・s)10%,ブチルゴム10%(平均MW=12000),チタン白50%,トリクレジルフォスフェート(TCP)15%,アニリン15%の変性アクリルポリマーの酢酸ブチル液を、ステンレス(SUS316)に3cm当たり2000±50mg塗布し、24時間熟成させて汚物とする
(2−1),(2−2)の汚れに対してサンプル液を満たしたシャーレで12時間,24時間浸漬させた後、引き上げ60秒後に振動を与えてすすぎ、汚れ除去率(%)を測定した(項目ごとのサンプル数は3点)。以下はそのデータ表である。
Figure 2011162759
(コメント)本発明は、固着した油分にもほぼ均一に汚れ除去力を有し、しかも斑なく落ちることが確認できた
(3)ポリマー溶解テスト
ポリマー成分として市販品の下記4種を20w/w%のサンプル液に浸漬させ、半日後,3日後の溶解度を調べた(項目ごとのサンプル数は3点)。
(ア)PVCフィルム(ラップ)
(イ)PSプレート(カップ綿の容器など)
(ウ)PCプレート(DVDなど)
(エ)PVB接着剤
Figure 2011162759
(コメント)本発明のポリマーの溶解力は抜群で、溶解力が良く残留性が少ないことが目立った
(4)以下の3つの汚れを、サンプルを含ませたウェスで1回目は良く拭き、2回目は別のウェス(コットン)で拭き取る。その時のそれぞれの表面の状態を観察する。
(A)鏡上に市販のマジックでマークして汚物とする
(B)テフロンプレート上にバターを塗布する
(C)真鍮プレート(0.8mm)上に市販の自動車用グリースを塗布する
評価 ◎:元通りに回復
○:殆ど汚れはとれたが、若干曇りがある
△:汚れはとれたが濡れた状態が残る
×:斑がありベトつく
Figure 2011162759
(コメント)本発明のサンプルは1回目,2回目の拭き取りで残留性が少なく、仕上がりが優れていることが証明された

Claims (1)

  1. (1)水溶性有機溶剤として、グルタル酸ジメチル,コハク酸ジメチル,アジピン酸ジメチル,n−メチル−2−ピロリドン,ジメチルイミダゾリジノンからなる親水性ソルベントが60〜90w%
    (2)親水性界面活性剤が0.5〜10w%
    (3)テルペン系炭化水素(Cが1〜20w%(n=1〜5の整数)
    (4)低級1価アルコール(C以下)が5〜30w%
    これらからなる水分を含まない水性油脂及び樹脂溶解剤組成物
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016059958A1 (ja) * 2014-10-14 2016-04-21 株式会社片山化学工業研究所 コークス炉ガス精製におけるタール汚れの抑制方法及びそのための組成物
JP2017526778A (ja) * 2014-08-19 2017-09-14 ゲオ‐テック ポリマーズ,エルエルシー ジエステルストリッピング組成物

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