JP2011162734A - 油劣化抑制装置及びそれを用いた油劣化抑制方法 - Google Patents

油劣化抑制装置及びそれを用いた油劣化抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極性化合物を生成させる要因である両親媒性物質の生成阻害及び両親媒性物質の分解に焦点を当て、食用油の劣化対策を実現するようにした油劣化抑制装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る油劣化抑制装置100は、油に振動を与える振動発生部10と、振動発生部10で振動を与えられた油から油とともに含まれている両親媒性物質及び水分を分離除去する油回収部20と、を有していることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、被調理物を揚げるために用いられる食用油等の油劣化抑制装置及びそれを用いた油劣化抑制方法に関するものである。
被調理物(たとえば、肉や魚、野菜等の揚げ物調理に利用される食物)を揚げるために用いられる食用油(油脂)は、空気中の酸素との接触により酸化され、加熱等により酸化が促進され品質が劣化する。酸化の進んだ(劣化した)食用油は、異臭や褐変が生じ、調理後の被調理物の品質(たとえば、見た目や食感、風味等)も悪化するため、食用には不適となる。また、酸化の進んだ食用油をヒトが摂取すると、胸やけや吐き気を催すこともある。さらに、このような酸化の進んだ食用油を摂取し続けた場合は、内臓疾患や動脈硬化の一因にもなると言われている。
食用油の酸化について説明する。油脂の酸敗には、空気中の酸素による酸化型酸敗(アルデヒド型酸敗ともいう)のほかに、麺かびや青かび等の微生物の作用による加水分解型酸敗(油脂酸型酸敗ともいう)と、ケトン型酸敗と、がある。後者の2つは、酸化型酸敗に比べると起こりにくいということが分かっている。油脂を空気中に長期間放置しておくと、油脂中の不飽和脂肪酸が酸素を吸収して、不安定な過酸化物(パーオキサイド)を生じ、これが転位して、不飽和のハイドロパーオキサイドを生じる。これらの一連の現象は、自動酸化と呼ばれている。
食用油の酸化を促進する要因について説明する。食用油の酸化は、たとえば酸素や温度、水分(湿度)、食品のpH、金属イオン、光等によって影響を受けるということが分かっている。
(1)酸素の影響
油脂の酸化に対して影響が最も大きいのは空気中の酸素である。空気中には約21%の酸素が含まれており、この酸素が油脂と結合して酸化反応を起こす。一般には、空気中の酸素濃度で十分に酸化は進行する。
(2)温度の影響
油脂の酸化速度は、温度が高いほど大きくなる。一般には、10℃上昇するごとに反応速度は2倍になるといわれている。
(3)水分の影響
油脂の酸化速度は、湿度が高いほど大きくなる。
(4)金属イオンの影響
油脂の酸化を促進させる金属イオンとしては、たとえば銅や鉄、マンガン、クロム、ニッケル、コバルト等があり、酸化触媒として作用する。金属イオンが触媒となった場合は酸化の進行速度が非常に大きくなる。
(5)光の影響
太陽光線や蛍光灯等の光線も油脂の酸化を促進する大きな要因である。太陽光線は、いろいろな波長の光の集まりである。一般に、紫外線のように、波長が短い光ほどエネルギーが大きく、強く酸化を促進する。可視光線も光量がありエネルギーも比較的大きいので、十分に酸化を促進する。
食用油の加熱劣化について説明する。加熱劣化は、自動酸化とは異なり複雑で、酸化反応、加水分解や重合、及び、熱分解の反応が関わっていることが知られている。油脂は、加熱劣化で遊離脂肪酸を生じる。この遊離脂肪酸の大部分は、トリグリセリドの加水分解で生じ、加水分解反応の主体は、たとえば主要構成脂肪酸がリノール酸のような酸化されやすい多価不飽和脂肪酸であっても、オレイン酸のような一価不飽和脂肪酸が標的になることが知られている。
加えて、食用油は、酸化及び加熱劣化の他にも、種々の化学反応が複雑に作用して劣化していくことになる。食用油の劣化を進行する化学反応は、非常に複雑であり、その生成物は多種多様である。これらのどの部分に焦点を当てて、食用油の劣化抑制策を行なうかが重要である。なお、一般的には、食用油が劣化する都度、新しい食用油と取り替える措置が取られているが、食用油の廃油処理も大きな問題となりつつある。
そこで、食用油の劣化を抑制する技術が種々開示されている。食用油の劣化を抑制する技術としては、たとえばセラミック処理を利用したもの(たとえば、特許文献1参照)や、静電処理を利用したもの(たとえば、特許文献2参照)、放電処理を利用したもの(たとえば、特許文献3参照)、マイナス帯電方式を利用したもの(たとえば、特許文献4参照)が存在している。
セラミック処理を利用した技術は、たとえば食用油を貯留する油槽の中にセラミックボールを入れた容器を沈め、セラミックの遠赤効果又はセラミックの焦電効果によるマイナス電位を利用することで、食用油の劣化を抑制するようにしている。静電処理を利用した技術は、たとえば電極を油槽に沈め、その電極に−1000〜−20000Vの直流電流を流し、マイナスの静電気を発生させて食用油をマイナス帯電させることで、食用油の劣化を抑制するようにしている。
放電処理を利用した技術は、たとえば電極に−5000Vの直流電流を流し、電極からマイナス電子を放出させることで、食用油の劣化を抑制するようにしている。マイナス帯電方式を利用した技術は、たとえば油槽に発信ユニットを沈め、交流電磁場によりマイナス電位を発生させることで、食用油の劣化を抑制するようにしている。つまり、発信ユニットから発生するマイナス電位により食用油をマイナス帯電させて還元し、食用油の分散・小粒子化を図り、食用油の劣化を抑制している。
実用新案登録第3088760号公報 特開2001−192694号公報 特開2006−47331号公報 特開2006−50959号公報
上記いずれの技術においても食用油をマイナス帯電させることで還元するようにしている。上記いずれの技術における効果については、処理前後を比較して、酸価に差異は確認されず、還元処理の酸価に及ぼす効果は確認できなかった。なお、酸価(AV)とは、油脂中の遊離脂肪酸量、つまり油脂1g中に含まれている遊離脂肪酸を中和するのに要する水酸化カリウムのmg数のことである。
次に、上記いずれの技術における還元処理による過酸化物価への影響についても酸価と同様に差異は確認されなかった。これは、酸化処理中に一旦生成された過酸化物が高温のため分解され2次生成物になるためと考えられる。なお、過酸化物価(PV)とは、油脂中の過酸化脂質量、つまり油脂1kg中の過酸化物によりヨウ化カリウムから遊離されるヨウ素量のmg数のことである。
このことから油の加熱劣化は、酸化と熱反応が同時に進行した結果であり、自動酸化とは異なる反応系であると考えられる。以上の結果から、還元処理による酸価、過酸化物価への効果は確認されなかった。
日本では、油脂の劣化を、たとえば酸価(AV)、過酸化物価(PV)、カルボニル価(CV)等によって評価している。一方、ヨーロッパでは、極性化合物価が管理指標となっている。極性化合物量は、食用油が劣化して生成する極性を有するすべての物質の総量で、トリアシルグリセロール以外のものを指している。つまり、極性化合物価に、過酸化物、分解生成物、重合物、遊離脂肪酸等などの劣化生成物すべてが含まれていると考えられている。なお、一般的には、たとえばかに泡の発生、揚げ油の粘度上昇、油煙の発生、揚がり具合の状態、油キレの状態、油色の状態、臭いの有無等で、経験的に食用油の劣化を判断している場合が多い。
このような極性化合物の生成は、両親媒性物質が要因となって助長されているということが分かってきた。両親媒性物質は、分子構造の所定の部分と、異なる部分と、が交じり合わない溶媒に対して親和性を持つ物質の総称である。食用油の使用により、両親媒性物質が生成されると、この両親媒性物質がそれぞれの溶媒に配向するように界面を覆い尽くすように分布する。そして、食用油の劣化現象である、たとえばかに泡の発生、揚げ油の粘度上昇、油煙の発生、揚がり具合の状態、油キレの状態、油色の状態、臭いの有無等の様々な現象が現れる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、従来技術のように酸化物の還元やマイナス電位、マイナス帯電にて極性化合物の生成を抑制する方法ではなく、極性化合物を生成させる要因である両親媒性物質の生成阻害及び両親媒性物質の分解に焦点を当て、食用油の劣化対策を実現するようにした油劣化抑制装置及びそれを使用した油劣化抑制方法を提供することを目的としている。
本発明に係る油劣化抑制装置は、油に振動を与える振動発生部と、前記振動発生部で振動を与えられた油から油に含まれている両親媒性物質及び水分を分離除去する油回収部と、を有していることを特徴とする。
本発明に係る油劣化抑制方法は、油に振動を与えることで、油に含まれている両親媒性物質を崩壊するとともに水分を拡大し、サイクロンを利用することで、油から前記両親媒性物質及び水分を分離除去することを特徴とする。
本発明に係る油劣化抑制装置及び油劣化抑制方法によれば、従来技術のように酸化物の還元やマイナス電位、マイナス帯電にて極性化合物の生成を抑制する方法ではなく、極性化合物を生成させる要因である両親媒性物質の生成阻害及び両親媒性物質の分解に焦点を当てた油の劣化対策を実現できる。
本発明の実施の形態に係る油劣化抑制装置の外観構成を簡略化して示す概略図である。 油劣化抑制装置を説明するための概略説明図である。 油劣化抑制装置の設置前と設置後の比較結果を説明するための説明図である。
以下、本発明に係る食用油等の油劣化抑制装置及びそれを用いた油劣化抑制方法について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る油劣化抑制装置100の外観構成を簡略化して示す概略図である。図2は、油劣化抑制装置100を説明するための概略説明図である。図1及び図2に基づいて、本発明の実施の形態に係る油劣化抑制装置100について説明する。なお、図1(a)が油劣化抑制装置100の左側面図を、図1(b)が油劣化抑制装置100の正面図を、それぞれ表している。また、食用油に振動を与えるということには、食用油に衝撃を与えるということも含んでいるものとする。
本発明の実施の形態に係る油劣化抑制装置100は、たとえば飲食店の厨房等で揚げ物料理に使用されているフライヤー(図2に示すフライヤー200)の近傍に置かれて利用されるものである。すなわち、油劣化抑制装置100は、フライヤー200の油槽201内に貯留されている食用油の劣化の原因物質である両親媒性物質の生成阻害及び両親媒性物質の分解を実行し、食用油の劣化を抑制する機能を有している。この油劣化抑制装置100は、大きく分けると振動発生部10と、油回収部20と、で構成されている。なお、図2では、油槽201の下方にバルブ203を介して配管が接続されており、油槽201に貯留されていた食用油を一時的に貯留する補助槽202が設置されている状態を例に示している。
振動発生部10は、フライヤー200の油槽201内に貯留されている食用油や循環途中の食用油に振動を与える機能を有している。図2では、振動発生部10は、フライヤー200の油槽201内に載置(つまり、食用油内に浸漬)される第1発信器11と、油回収部20を循環させる配管(図2で示す配管25a、配管25b)に設置される第2発信器12と、を少なくとも有している。振動発生部10は、第1発信器11及び第2発信器12を介して交流の微弱電流にて発生させた電波を食用油に常時与えることによって、食用油を振動させるようにしている。なお、第1発信器11には、交流電流を供給するための電源15が接続されている。
食用油に振動を与えることにより、それぞれの溶媒(水、油)の界面を覆い尽くすよう分布していた両親媒性物質を偏らせ、両親媒性物質を崩壊することが可能になる。また、食用油に振動を与えることにより、微細化し、W/O(Water in Oil)分散していた水分も、運動を起こし、衝突することによって結合し、拡大させることが可能になる。拡大した水分は、安定分散を維持できなくなって分離することになる。すなわち、油劣化抑制装置100は、振動発生部10の第1発信器11及び第2発信器12を介して食用油に振動を与えることによって、両親媒性物質を崩壊するとともに、水分の拡大を図るようにしているのである。
第2発信器12は、食用油の循環経路(たとえば、図2に示すようなポンプ21とサイクロン部22との間、サイクロン部22と油槽201との間)に設置され、食用油に常時振動を与えることを可能としている。つまり、第1発信器11の作用のみでは、崩壊させた両親媒性物質が再結合、再発生を繰り返し、拡大した水分も微細化し、W/O分散を繰り返してしまうことになりかねないので、第2発信器12を使用して、食用油に十分な振動を与えるようにしている。なお、第1発信器11又は第2発信器12のいずれかで食用油に十分な振動を与え続けることができるのであれば、必ずしも両方を設置しなくてもよい。また、第2発信器12の設置位置を図2に示す位置に限定するものではない。さらに、第2発信器12の設置個数を図2に示す個数に限定するものではない。
油回収部20は、両親媒性物質及び水分を除去して、食用油を回収する機能を有している。油回収部20は、食用油を循環させるポンプ21と、食用油と両親媒性物質及び水分とを分離除去するサイクロン部22と、を少なくとも有している。ポンプ21は、補助槽202内に貯留されている食用油を配管25aを介して吸い上げ、配管25bを介してサイクロン部22に供給するものである。サイクロン部22は、食用油に含まれている両親媒性物質及び水分を食用油に循環に応じて分離除去していくものである。両親媒性物質及び水分がほぼ除去された食用油は、ポンプ21の作用によって、油槽201に戻されることになる。なお、油劣化抑制装置100には、配管25a及び配管25bの接続口(接続口101、接続口102)が設けられている。
フライヤー200の油槽内に浸漬させた第1発信器11の作用のみでは、崩壊させた両親媒性物質が再結合、再発生を繰り返してしまうことがある。また、拡大した水分も微細化し、W/O分散を繰り返してしまうことがある。そのため、油回収部20では、ポンプ21を駆動させてフライヤー200内に貯留されている食用油をサイクロン部22に送り、サイクロン部22で両親媒性物質及び水分を食用油からほぼ分離除去し、食用油を油槽201に戻すようにしているのである。
油回収部20を更に詳しく説明する。
サイクロン部22には、両親媒性物質及び水分を含む食用油がポンプ21の作用によって高速、高圧で内部に導入される。サイクロン部22の内部では、遠心力が発生している。サイクロン部22の内部に働く遠心力によって、周壁部に向かうほど比重の大きい成分(両親媒性物質、水分)が、中心に向かうほど比重の小さい成分(食用油)が、渦巻き状に配列される。サイクロン部22の内部周壁部にはサイクロンのテーパーに沿い下降流が発生しており、この流れに沿って両親媒性物質、水分がサイクロン部22の下部からバルブ24を介して排出される。一方、サイクロン部22の中心部には逆に上昇流が発生しており、食用油がサイクロン部22の上部から排出される。
一般的には、たとえば濾紙や活性白土等の濾材を使用し、この濾材に両親媒性物質を含む食用油を通過させることで両親媒性物質の除去を行なっている。このような濾材を使用した一過性の濾過では、一度に一部の両親媒性物質及び水分の吸着除去は可能ではあるが、全部の両親媒性物質及び水分を除去できない。全部の両親媒性物質及び水分を吸着除去しようとすると、濾過・吸着面積を多く必要とし、濾過時間も多く要することになるとともにコストの増加も招き、実用向きではない。
そこで、油劣化抑制装置100では、消耗品である濾材を使用することなく、食用油を循環させながら、両親媒性物質及び水分を除去することを特徴としている。また、油劣化抑制装置100では、第1発信器11だけでなく、第2発信器12により食用油に十分な振動を与えることを可能としているとともに、サイクロン部22によって食用油に含まれている両親媒性物質及び水分を食用油の循環に応じて分離除去している。この油劣化抑制装置100によって食用油の循環運転を行うことで、食用油の粘度が下がることが種々の実験から実証されている。
なお、油劣化抑制装置100の振動発生部10では、交流の微弱電流にて発生させた電波を使用して食用油に振動を与えている場合を例に説明したが、食用油への振動の与え方を交流の微弱電流にて発生させた電波を使用する場合に限定するものではない。たとえば、磁界や磁場、電場、超音波、高周波等を利用した振動発生部10によって、食用油に振動を与えるようにしてもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するものとする。ただし、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
[油劣化抑制装置100の設置前と設置後の比較]
図3は、油劣化抑制装置100の設置前と設置後の比較結果を説明するための説明図である。
1.設置例
表1に示すように、18リットル容量の油槽(油槽201a、油槽201b)を2つ用意した。そして、油槽に食用油を貯留し、都市ガスを利用して食用油を加熱するようにした。なお、説明の便宜上、油槽201aに貯留される新しい食用油を食用油Aと、油槽201bに移油された食用油を食用油Bと、それぞれ称することとする。
2.比較方法
(1)油槽201aに貯留された食用油Aで揚げ物料理を実行する。
(2)食用油Aが(1)の揚げ物料理に適さないほど劣化したら、油槽201bに移油する。同時に、油槽201aに食用油Aを補充する。
(3)油槽201に移油された食用油Bで(1)とは異なる揚げ物料理を実行する。
(4)食用油Bが(3)の揚げ物料理に適さないほど劣化したら、排油する。
(5)そして、食用油Bを排油するまでの期間、移油するまでの期間、食用油Aを補充する期間、を比較することとした。
3.結果
表1に示すように、油劣化抑制装置100の設置前では、上記(5)の期間がいずれも約2〜3日であった。それに対し、油劣化抑制装置100の設置後では、上記(5)の期間がいずれも約14日であった。
4.まとめ
上記結果から表1に示すような有利な効果が得られることが実証できた。
(1)食用油Aの補充量が、大幅に低減した((例)10缶/月→3缶/月)。
(2)食用油に要する費用が、大幅に低減した((例)29000円/月→8700円/月)。
(3)油槽を含めたフライヤーの掃除に要する労力が、大幅に低減した。
(4)被調理物の品質(味、色、臭い、揚がり方)が、大幅に向上した。
(5)かに泡及び油煙の発生する時期が、大幅に伸びた((例)2〜4日で発生→14日程度で発生)。
(6)油槽1層あたりのAVが、大幅に低減した((例)2日で1以上→14日経過後も2以下)。
(7)食用油の温度が、大幅に低減した。
(8)ガス代が、大幅に低減した。
以上の有利な効果から、更に以下のようなことも言える。
(1)食用油に要する費用、ガス代、電気代、掃除に要する費用等が低減するので全体的にみても大幅なコストダウンを確実に実現できる。
(2)被調理物の品質が向上するだけでなく、見た目にも美しい被調理物を提供できる。
(3)被調理物の油切れがよく、時間が経過しても型くずれしにくい。
(4)油煙の発生が減少するので、レンジフード等のフライヤー周囲の汚れが低減する。
(5)フライヤーの手入れが楽になるので、フライヤーの手入れに要していた人手を他の作業に振り分けられる。
(6)フライヤーの掃除に要する労力が低減するため、時間を短縮できるだけでなく、営業中においてもフライヤーの手入れが可能となる。
(7)フライヤーの洗剤での洗浄や水洗いが不要なため、洗浄排水がなくなり、グリストラップの負荷が軽減する。
(8)排水負荷が減る。
(9)水代、洗剤代が減る。
(10)フライヤーの耐用年数を延長できる。
以上のように、本発明に係る油劣化抑制装置及びそれを用いた油劣化抑制方法は、従来技術のように酸化物の還元やマイナス電位、マイナス帯電にて極性化合物の生成を抑制する方法ではなく、食用油に振動を与え、その食用油をサイクロンに導入することによって、食用油に含まれている両親媒性物質及び水分を分離除去しているので、非常に効果的に食用油の劣化を抑制することが可能になる。そのことは、上記の実施例からも実証されている。なお、上記の説明では、食用油の劣化抑制を例に説明したが、食用油以外の油の劣化抑制にも本発明を適用できる。
10 振動発生部、11 第1発信器、12 第2発信器、15 電源、20 油回収部、21 ポンプ、22 サイクロン部、24 バルブ、25a 配管、25b 配管、100 油劣化抑制装置、101 接続口、102 接続口、200 フライヤー、201 油槽、201a 油槽 、201b 油槽、202 補助槽、A 新しい食用油、B 移油された食用油。

Claims (7)

  1. 油に振動を与える振動発生部と、
    前記振動発生部で振動を与えられた油から油に含まれている両親媒性物質及び水分を分離除去する油回収部と、を有している
    ことを特徴とする油劣化抑制装置。
  2. 前記油回収部は、
    前記振動発生部で振動を与えられた油を循環させるポンプと、
    遠心力によって前記ポンプによって供給された油から油に含まれている両親媒性物質及び水分を分離除去するサイクロン部と、少なくとも構成されている
    ことを特徴とする請求項1に記載の油劣化抑制装置。
  3. 前記振動発生部は、
    油を貯留する油槽及び油の循環経路のうち少なくともいずれかに設置されている
    ことを特徴とする請求項2に記載の油劣化抑制装置。
  4. 前記振動発生部は、
    電波、磁界、磁場、電場、超音波、及び、高周波のうち少なくとも1つを利用して油に振動を与えるようにしている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の油劣化抑制装置。
  5. 前記油が被調理物を揚げるために用いられる食用油である
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の油劣化抑制装置。
  6. 油に振動を与えることで、油に含まれている両親媒性物質を崩壊するとともに水分を拡大し、
    サイクロンを利用することで、油から前記両親媒性物質及び水分を分離除去する
    ことを特徴とする油劣化抑制方法。
  7. 電波、磁界、磁場、電場、超音波、及び、高周波のうち少なくとも1つを利用して油に振動を与えている
    ことを特徴とする請求項6に記載の油劣化抑制方法。
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