JP2011161819A - チップソー及びそれを備えた電動工具 - Google Patents

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Abstract

【課題】本説明の課題は回転刃物であるチップソーによる木材切断時の切断面の滑らかさを損なうことなく、作業性を向上させ振動を低減することである。
【解決手段】チップソー1の歯3のピッチに変化を持たせてピッチの広い部分では効率的に高速切削を行い、ピッチの狭い部分では切断面の仕上げを行うと共に、ピッチの変わり目に切り欠き部4を設けることにより、切断速度を向上させると共に振動を抑制することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、被削材の切断に使用されるチップソー及びチップソーを備えた電動工具に関するものである。
図9を用いて一般的な従来のチップソーの説明する。携帯用切断機、例えば携帯用丸鋸で使用されるチップソー100は、木材等の被削材を切断するために用いられ、のこ身と呼ばれる台金101を母体として切断性能の優れた特殊工具材料である超鋼合金製のチップ102を歯先に接合した鋸である。従来の一般的なチップソー100は、チップ102の配列(ピッチ)が一定である。一般的に、被削材を切断する際、木材の繊維に対し平行に切断する場合、ピッチの間隔が広い縦挽き用のチップソーを使用し、木材の繊維に対して直角に切断する場合はピッチの間隔が狭い横挽き用のチップソーを使用している。
一方、不等間隔のピッチを採用したチップソーは文献1、文献2、文献3で示されるように様々な形態で公知となっている。
特開平6‐314177 特開昭5252292 実用新案昭60‐84210
しかし、作業内容に応じてチップソーを交換するのは、作業効率が悪く、複数種類のチップソーを用意しなければならないため不経済である。また、チップソーのチップ数(歯数)が多いと、被削材の切断面角部に発生する繊維の毛羽立ちが少なく滑らかな切断面が得られるが、切削抵抗が増して作業性が悪くなると共に、製造コストが高くなる。逆にチップ数を少なくすると切削抵抗が少なくなるため作業性が向上し、製造コストも抑えられるが、繊維の毛羽立ちが多く、切断面の凹凸が大きくなり、滑らかな切断面が得られなくなる。
一方、携帯用切断機に使用されるチップソーでは、切断性能と価格のバランスから、歯数が52枚前後のチップソーが多く用いられている。しかし、近年、建築従事者の高齢化や、作業の効率化が要求される建築現場が増加しており、作業負荷を減らし、作業効率の向上させるチップソーが求められている。また、切断時に生じる振動を低減することが求められている。また、特許文献1乃至3のような不等間隔のピッチを採用したチップソーは、いずれも木材等の被削材の切断に最適なピッチが提供されておらず、切断性能に問題があり、現在は殆ど使用されていない。
そこで本発明は、切削抵抗及び振動が少なく、効率的な作業が可能でしかも安価なチップソーを提供することを目的としている。
上記目的は、円板状の台金の円周縁に複数の歯が形成されているチップソーにおいて、該複数の歯が第1の間隔で配置される第1の領域と、該第1の領域と隣接して設けられ、前記第1の間隔と異なる第2の間隔で前記複数の歯が配置される第2の領域と、を有し、前記第1の領域と前記第2の領域との間の前記台金に切り欠き部を設けたことにより達成することができる。
本発明の携帯切断機用チップソーによれば、切断抵抗及び振動の低減が可能となり、作業効率を向上させることができる。
本発明となるチップソーの一実施形態を示す正面図。 本発明となるチップソーの第2の領域で被削材を切断する状態を示す概略図。 本発明となるチップソーの第1の領域で被削材を切断する状態を示す概略図。 図1の矢印aから見たチップソーの概略図。 図1の矢印bから見たチップソーの概略図。 本発明となるチップソーの別の実施形態を示す正面図。 本発明となるチップソーの切断特性を示す図。 本発明となるチップソーを搭載した電動工具の側面図。 従来のチップソーの概略図。
本発明となる携帯用切断機に使用されるチップソーの実施形態を図1乃至図8を用いて説明する。図1において、チップソー1は、チップソーの本体部分を構成する台金2の円周上に超硬合金製のチップ(歯)3を接合して配置されている。各チップ3のピッチ(間隔)は、狭いピッチ部である第1の領域A(ピッチ間隔L1)と、広いピッチ部である第2の領域B(ピッチ間隔L2)の2種類からなり、各ピッチ部A及びBは交互に配設されている。チップソー1は、第1の領域Aと第2の領域Bとを合わせた角度が90度であり、これを1組として4組から構成されている。チップソー1は後述する電動工具である、例えば携帯用丸鋸の回転軸14に挿入され、チップソー1の中心に形成された穴6を有する。
1組の組合せは、第1の領域Aの歯数が8枚、第2の領域Bの歯数が5枚で構成され、チップソー1としての歯数が52枚で構成されている。チップ3は、後述する斜め歯となる交互歯3a、3bが48枚、平歯3cが4枚あり、全周で52枚の歯で構成されている。各領域の変目、本実施の形態ではチップソー1の回転方向に対して第1の領域Aから第2の領域Bに切り替わる台金2の円周部分には切り欠き部となる割り溝4を備え、割り溝4は台金2の外周部から穴6に向かって形成されている。また、チップソー1の回転方向に対して第2の領域Bから第1の領域Aに切り替わる台金2の内周部分には穴6に向かって湾曲した振動抑制スリット5を備える。これら割り溝4とスリット5は、各領域の変目にそれぞれ形成されており、それぞれ台金2に4箇所形成されている。
図2に示すように、第2の領域B(ピッチ間隔L2)での被削材Wの切削は、被削材Wに当接する歯の数が少ないため、切削抵抗が少なくなり、送り量の大きい効率的な高速切削が行われる反面、一歯あたりの切削量が大きいので、切り屑が大きくなり、切断面が粗くなってしまう。
また、図3に示すように、第2の領域Bで被削材Wを切削した後、第1の領域A(ピッチ間隔L1)での切削は、被削材Wに当接する歯の数が多いため、切削抵抗が大きくなり、送り量が小さくなる反面、一歯あたりの切削量が小さいので、切り屑が細かくなり、切断面が滑らかになる。狭いピッチ部(第1の領域A)の側面は、広いチップ部(第2の領域B)で切削した粗い切断面W1を通過するので、粗い切削面W1を滑らかにしながら切り進むために、被削材Wの切断面の全面が滑らかなとなる。
ここで、チップソー1が被削材Wを切削する際に発生する振動は、切削量の変化があると振動が大きくなる傾向がある。歯3のピッチが均一に配設された従来チップソーに比べ、歯3のピッチ(L1、L2)が変わる本発明チップソー1では被削材Wの切削中に発生する振動が大きくなり、挽き曲がりや、騒音の原因になるため、振動対策を講じなければならない場合がある。振動が大きく発生する理由は、上記したとおり、ピッチの変わり目X及びYの位置である。言い換えれば、振動の発生源に近接した位置に振動抑制機能を備えれば、効果的な振動対策となる。
そこで、本発明チップソー1には8箇所の歯3のピッチの変わり目(第1の領域Aから第2の領域Bへの変わり目、第2の領域Bから第1の領域Aへの変わり目)があり、その内、4箇所の狭いピッチ部(第1の領域A)から広いピッチ部(第2の領域B)への変わり目Xに平歯3cを配設している。図4及び図5に示すように、平歯3cは横すくい角θと横逃げ角θ1が0°で、切削時に挾圧力が左右均等に作用し刃部の曲がりや台金2をねじることがない。そのため、振動の発生を抑制することが可能になる。また、本発明チップソー1には、狭いピッチ部(第1の領域A)から広いピッチ部(第2の領域B)への変わり目の台金2の外周部分に割り溝4を4箇所配設しており、後述する割り溝5の効果として、台金2の腰いれの省微化と振動抑制が知られており、前記割り溝4を平歯3cの歯底に配設することにより、振動抑制効果を向上することができる。
もう一方の4箇所の広いピッチ部(第2の領域B)から狭いピッチ部(第1の領域A)への変わり目Yの中心方向(内周部)の台金上2に、振動抑制スリット5を配設し台金2の振動を吸収させて、振動抑制を実現している。
なお、図6に示すように、狭いピッチ部(第1の領域A)から広いピッチ部(第2の領域B)への変わり目に振動抑制スリット8を設けると共に、広いピッチ部から狭いピッチ部への変わり目に割り溝4及び平歯3cを設けても、図1のチップソー1と同様に振動低減効果を得ることができ効果的な振動対策を講じることができる。なお、スリット8に樹脂を流し込むことによりより一層の振動低減効果を実現することも可能である。
本発明では、歯3のピッチの変り目、すなわち第1の領域Aと第2の領域Bとの間に、切り欠き部4或いはスリット5を設けるようにした。これは、チップソー1による切削量が変化する位置、すなわち、切断面は綺麗だが切削速度が遅い(切削抵抗が大きい)第1の領域Aから切断面が粗いが切削速度が速い(切削抵抗が小さい)第2の領域Bへの変り目が最も振動が大きくなるためである。ピッチの変り目で発生した振動が切り欠き部4或いはスリット5によって低減される。なお、ピッチの変わ目ではなく、任意の位置に切り欠き部4やスリット5を設けても振動低減効果を得ることはできるが、ピッチの変り目で振動が発生した後に振動を低減するように作用することになるため、ピッチの変り目に設けることが最も振動低減には効果的である。
本発明となるチップソー1は、歯数が52枚で構成されているが、これは、一般的なチップソーと同程度であり、チップソー1の製造コストが一般のチップソーと同等であることを示している。歯数を52枚にして、効率良い切削性能と滑らかな切断面を得るには、狭いピッチ部(第1の領域A)の歯数が8枚、広いピッチ部(第2の領域B)の歯数が5枚で構成することが理想である。
図7に示すグラフは、本発明となるチップソー1と一般的に市販されている刃数52枚で構成されたチップソーを携帯用丸鋸に取付け、被削材の切断を行った時の携帯用丸鋸に流れる電流値と切断速度との関係を示したものである。図7から分かるように、本発明チップソー1(図中S1)が一般的なチップソー(図中S2)に比べ、携帯用丸鋸に流れる電流値が同じ場合、すなわち携帯用丸鋸にかける負荷が同じ場合に、切断速度が速く切断効率に優れたチップソー1を提供することができる。
図7の実験に使用した携帯用丸鋸を図8に示す。携帯用丸鋸10は、チップソー1の回転を行う不図示のモータと、被削材Wに当接し被削材W上を摺動するベース11と、チップソー1のベース11の上方側に位置する部分を覆うソーカバー12と、チップソー1のベース11の不図示の開口部から下方へ突出する部分を覆うセーフティカバー13と、作業者が把持するハンドル15を備えている。セーフティカバー13は、被削材Wに当接することにより、チップソー1の穴6が取付けられチップソー1の回転中心となる回転軸14を中心に図中時計回りに回転することで、チップソー1を露出させ、被削材Wの切断作業を行うことができるように構成されている。なお、セーフティカバー13には、作業者が手動でセーフティカバー13を回動できるように操作レバー21が設けられている。
チップソー1は、ベース11の底面から下方に突出する量、すなわち切込み深さを変更できるように切込み深さ調整機構が設けられている。切込み深さを調整する場合には、レバー17を緩め、ソーカバー12がベース11に対して回動できるようにし、ベース11とソーカバー12を接続する接続部(ボルト)18を回動支点としてソーカバー12を回動させる。その後、所望の切込み深さに調整したら、レバー17を締めることで切込み深さを調整することができる。なお、切込み深さ調整は、ベース11側に設けられ、ソーカバー12の回動方向に延在するリンクとソーカバー12とをレバー17によって固定することによって行われる。
また、携帯用丸鋸10は、ベース11に対してチップソー1を傾斜させて傾斜切断することができる。すなわち、ベース11に設けられた傾斜機構部19には不図示の長穴が設けられており、長穴に挿入されるノブボルト20を緩め、ベース11に対してチップソー1(丸鋸本体)を図8の手前側に傾斜させた後、ノブボルト20を締め付けることにより、傾斜切断を行うことができる。
更に、ソーカバー12には、切粉排出口16が設けられており、チップソー1の回転により切削された切粉が、チップソー1の遠心力によってソーカバー12の内部に導かれ、その後切粉排出口16から排出される。切粉排出口16には、不図示の集塵バッグや集塵機を取付けることが可能であり、切粉の飛散を抑制することができる。
以上説明したように、本発明によれば、ピッチ間隔が狭いピッチ部(第1の領域A)とピッチ間隔が広いピッチ部(第2の領域B)を交互に配置し、その変わり目に切り欠き部あるいはスリットを設けたことにより、切断速度を向上することができると共に振動を低減することができる。更に、変わり目に平歯を設けることにより、切断面をきれいに仕上げることができると共に、振動低減を実現することができる。
なお、上記したチップソーは、歯数が52枚の場合について説明したが、それ以上或いは以下であっても良く、また、各領域の歯数は任意に設定しても良い。
1は本発明となるチップソー、2はチップソーの台金、3は歯(チップ)、3a及び3bは交互歯、3cは平歯4は切り欠き部、5はスリット、6は穴、Aは第1の領域、Bは第2の領域である。

Claims (6)

  1. 円板状の台金の円周縁に複数の歯が形成されているチップソーにおいて、
    該複数の歯が第1の間隔で配置される第1の領域と、
    該第1の領域と隣接して設けられ、前記第1の間隔と異なる第2の間隔で前記複数の歯が配置される第2の領域と、を有し、
    前記第1の領域と前記第2の領域との間の前記台金に切り欠き部を設けたことを特徴とするチップソー。
  2. 前記切り欠き部は、前記台金の円周部から中心部に向かって形成されていることを特徴とする請求項1記載のチップソー。
  3. 前記第1の領域と前記第2の領域が交互に配置され、
    前記第1の領域と前記第2の領域の変目の一方側に前記切り欠き部が設けられると共に、他方の変目にスリットが設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のチップソー。
  4. 前記複数の歯は、斜め歯と平歯からなり、
    前記台金を半径方向外側から見た場合、該斜め歯は、傾斜部分が互いに反対方向を向くように交互に設けられ、
    前記平歯は、前記変目に位置することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項記載のチップソー。
  5. 前記第1の間隔で配置される前記歯と、前記第2の間隔で配置される前記歯との比率が8対5であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載のチップソー。
  6. 請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載のチップソーを備えた電動工具。
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