JP2011161715A - 液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるワイピング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ノズルからの液体の流出を抑制してワイピングを行うことができる液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるワイピング方法を提供する。
【解決手段】インクを噴射する複数のノズル30と、ノズル30とそれぞれ連通するリザーバ36と、インクカートリッジ31側からリザーバ36側に向けてインクを供給可能であって、分岐された複数の下流端32bがリザーバ36に接続されるインク流路32と、インク流路32内のインクを吸引及び吐出可能なメンテナンスポンプ61と、記録ヘッド26のノズル形成面26aにワイパーを当接させてノズル形成面26aを払拭するワイピング機構と、メンテナンスポンプ61とワイピング機構とを制御してノズル形成面26aのワイピング処理を行う制御部とを備え、制御部は、メンテナンスポンプ61を吸引駆動した後にワイピング機構にノズル形成面26aを払拭させ、その後、メンテナンスポンプ61を吐出駆動する。
【選択図】図2
【解決手段】インクを噴射する複数のノズル30と、ノズル30とそれぞれ連通するリザーバ36と、インクカートリッジ31側からリザーバ36側に向けてインクを供給可能であって、分岐された複数の下流端32bがリザーバ36に接続されるインク流路32と、インク流路32内のインクを吸引及び吐出可能なメンテナンスポンプ61と、記録ヘッド26のノズル形成面26aにワイパーを当接させてノズル形成面26aを払拭するワイピング機構と、メンテナンスポンプ61とワイピング機構とを制御してノズル形成面26aのワイピング処理を行う制御部とを備え、制御部は、メンテナンスポンプ61を吸引駆動した後にワイピング機構にノズル形成面26aを払拭させ、その後、メンテナンスポンプ61を吐出駆動する。
【選択図】図2
Description
本発明は、例えばインクジェット式プリンターなどの液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるワイピング方法に関する。
従来から、液体をターゲットに対して噴射させる液体噴射装置として、インクジェット式プリンターが広く知られている。このプリンターは、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)に供給されるインク(液体)を記録ヘッドに形成されたノズルから噴射することによりターゲットに印刷(画像形成)を施すようになっている。
このようなプリンターでは、インクの噴射に伴って発生するインクミストや、ノズルから溢れたインクがノズルが形成された記録ヘッドのノズル形成面に付着することにより、該ノズル形成面が汚染されてしまう。そこで、例えば特許文献1に記載のように、こうしたプリンターでは、ワイパーでノズル形成面を払拭するワイピングを行い、ノズル形成面に付着した異物を除去している。
ところで、記録ヘッドに供給されたインクは、ノズル開口付近にメニスカスを形成し、圧電素子の駆動に応じてノズルから噴射されるようになっている。そのため、ワイパーがノズル形成面に当接すると、インクがワイパーを伝って流出してしまう虞がある。そこで、特許文献1のプリンターでは、圧電素子を駆動してメニスカスをノズル内に引き込んだ状態でワイピングを行い、ワイパーとインクとの接触を抑制している。
ところで、このようなプリンターでは、毛管力によってインクのメニスカスをノズル開口付近に位置させている。すなわち、インクは、ノズルの毛管力によりノズル開口側へ力を受けるため、圧電素子を駆動してメニスカスを上昇させる場合には、上昇した位置を維持するのが困難である。
そこで、ノズルの毛管力よりも大きな吸引力を付与する方法として、ポンプでインクを吸引する方法が考えられる。しかし、複数のノズルと連通する1つの流路(液体供給流路)にポンプを設け、インクを吸引してメニスカスを上昇させる場合には、ポンプからの距離が離れたノズルほどポンプの吸引力が及びにくい。そのため、ポンプからの距離が離れたノズルほどメニスカスの位置が下降しやすく、ノズル毎にメニスカスの位置がばらついてしまう。
したがって、ワイピング終了後にノズル側へインクを供給すると、メニスカスが上昇した位置を維持したノズルでは、メニスカスがノズル開口付近へ移動する。一方、メニスカスが下降したノズルでは、ノズルからインクが溢れ出してしまう虞がある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ノズルからの液体の流出を抑制してワイピングを行うことができる液体噴射装置、及び液体噴射装置におけるワイピング方法を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、液体を噴射する複数のノズルと、該複数のノズルとそれぞれ連通して前記各ノズルに前記液体を供給する液体供給室と、液体供給源側となる上流側から前記液体供給室側となる下流側に向けて前記液体を供給可能であって、分岐された複数の下流端が前記液体供給室に接続される液体供給流路と、該液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプと、前記ノズルが形成された液体噴射ヘッドのノズル形成面にワイパーを当接させて前記ノズル形成面を払拭する払拭手段と、前記ポンプと前記払拭手段とを制御して前記ノズル形成面のワイピング処理を行う制御手段とを備え、前記制御手段は、前記ポンプを吸引駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路から前記液体を吸引させた後に、前記払拭手段に前記ノズル形成面を払拭させ、その後前記ポンプを吐出駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路へ前記液体を吐出させる。
例えば分岐されていない1つの液体供給流路によって液体を吸引する場合には、各ノズルごとに伝達される吸引力の差が大きくなって、メニスカスの位置にばらつきが生じてしまう。その点、この構成によれば、液体供給流路が分岐して液体供給室に接続されているため、液体供給室における複数箇所に吸引力を伝達することができる。すなわち、各ノズルにおいてメニスカスを上昇させた状態で払拭手段にノズル形成面を払拭させることができため、ワイパーと液体の接触に伴う液体の消費を抑制することができる。また、メニスカスは、位置のばらつきが低減された状態で上昇するため、ポンプの吐出駆動時にノズルからの液体の溢れ出しを抑制することができる。したがって、ノズルからの液体の流出を抑制してワイピングを行うことができる。
本発明の液体噴射装置において、前記液体供給室には、該液体供給室の長手方向に沿って区分けされた複数の領域ごとに前記液体供給流路の前記下流端が接続される接続口が少なくとも1つ形成されている。
この構成によれば、液体供給室における複数の領域ごとに、少なくとも1つの接続口が形成されているため、液体供給室に対して液体供給流路の下流端が偏って接続される虞が低減される。したがって、ポンプが吸引駆動した際に液体供給室内に及ぼされる吸引力の偏りを抑制し、メニスカスの位置のばらつきをより低減することができる。
本発明の液体噴射装置の前記液体供給流路において、前記ポンプが接続される接続位置は、前記液体供給流路が分岐する分岐部よりも上流側である。
この構成によれば、1つのポンプを駆動することによって分岐した液体供給流路を介して液体供給室に圧力を伝達することができる。したがって、分岐部よりも下流側となる各流路にポンプを設ける場合に比べ、部品点数を減らして液体噴射装置を小型化することができる。
この構成によれば、1つのポンプを駆動することによって分岐した液体供給流路を介して液体供給室に圧力を伝達することができる。したがって、分岐部よりも下流側となる各流路にポンプを設ける場合に比べ、部品点数を減らして液体噴射装置を小型化することができる。
本発明の液体噴射装置は、前記液体供給流路における前記ポンプの接続位置よりも上流側となる位置に前記液体供給流路内を開閉可能に設けられた流路弁をさらに備え、前記制御手段は、前記流路弁を閉弁した状態で前記ポンプを吸引駆動する。
この構成によれば、流路弁が閉弁した状態でポンプが吸引駆動することにより、上流側からの液体の流入を抑制して下流側から液体を吸引することができる。したがって、ポンプを吐出駆動する際に下流側へ供給される液体の量は、吸引駆動に伴って吸引された液体の量と同程度となる。そのため、ノズルから液体が溢れる虞を低減すると共に、ワイピング後のノズル形成面がノズルから溢れた液体で汚染される虞を低減することができる。
本発明の液体噴射装置におけるワイピング方法は、液体を噴射する複数のノズルと、該複数のノズルとそれぞれ連通する液体供給室と、液体供給源側となる上流側から前記液体供給室側となる下流側へ前記液体を供給可能であって、分岐された下流端が前記液体供給室に接続される液体供給流路とを備える液体噴射装置におけるワイピング方法において、前記液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプを吸引駆動し、前記液体供給流路内の前記液体を吸引する吸引段階と、該吸引段階において前記液体が吸引されている状態で前記ノズルが形成された液体噴射ヘッドのノズル形成面にワイパーを当接させて前記ノズル形成面を払拭する払拭段階と、前記ポンプを吐出駆動し、前記液体供給流路内へ前記吸引段階において吸引した液体を吐出する吐出段階とを備える。
この構成によれば、上記液体噴射装置に係る発明と同様の作用効果を奏し得る。
以下、本発明の流体噴射装置をインクジェット式プリンターに具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は図1に矢印で示す左右方向、上下方向をそれぞれ示すものとする。また、「前後方向」をいう場合は、図1の紙面に直交する方向を示すものとする。
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンター(以下、「プリンター」ともいう。)11は、ターゲットとしての用紙12を搬送するための搬送ユニット13と、用紙12に印刷を施すための記録ヘッドユニット15とを備えている。
搬送ユニット13は左右方向に長い矩形板状のプラテン17を備えている。プラテン17の右側には前後方向に延びる駆動ローラー18が駆動モーター19によって回転駆動可能に配置される一方、プラテン17の左側には前後方向に延びる従動ローラー20が回転可能に配置されている。さらに、プラテン17の下側には前後方向に延びるテンションローラー21が回転可能に配置されている。
駆動ローラー18、従動ローラー20、及びテンションローラー21には、プラテン17を囲むように、多数の貫通孔を有する無端状の搬送ベルト22が巻き回されている。この場合、テンションローラー21は、図示しないばね部材によって下側に向かって付勢されており、搬送ベルト22にテンションを付与することで該搬送ベルト22の弛みを抑制するようになっている。
そして、駆動ローラー18を前側から見て時計方向に回転駆動することで、搬送ベルト22が駆動ローラー18、テンションローラー21、及び従動ローラー20の外側を前側から見て時計方向に周回移動されるようになっている。また、用紙12は、プラテン17の上面と対向する位置にある場合、図示しない吸引手段によって搬送ベルト22越しにプラテン17側に吸引され、上流側である左側から下流側である右側に向かって搬送されるようになっている。
また、従動ローラー20の左斜め上側には、未印刷の複数の用紙12を1枚ずつ順次搬送ベルト22上に給紙するための上下1対の給紙ローラー23が設けられている。一方、駆動ローラー18の右斜め上側には、印刷後の用紙12を1枚ずつ搬送ベルト22上から排紙するための上下1対の排紙ローラー24が設けられている。
図1及び図2に示すように、記録ヘッドユニット15には、前後方向に延びる複数個(本実施形態では4個)の液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド26〜29が、左右方向に間隔を有して設けられている。なお、各記録ヘッド26〜29の下面となるノズル形成面26a〜29aには、多数のノズル30が前後方向に沿ったノズル列を形成するように、前後方向に所定間隔をおいて規則的に開口している。そして、このように構成された各ノズル30には、記録ヘッド26〜29毎に同じ種類のインク(液体)が供給され、ノズル30から噴射されるようになっている。
すなわち、図2に示すように、第1の記録ヘッド26には、ブラックのインクが収容された液体供給源としてのインクカートリッジ31から、液体供給流路としてのインク流路32を介してブラックインクを供給するインク供給装置33が接続されている。また、同様に第2〜第4の記録ヘッド27〜29には、シアン、マゼンタ、イエローの各色のインクをそれぞれ収容したインクカートリッジ31からインクを供給するインク供給装置33が接続されている。
そして、各記録ヘッド26〜29の近傍位置には、ノズル形成面26a〜29aと当接可能なワイパー34(図6参照)と、該ワイパー34をノズル形成面26a〜29aに沿って移動させるワイピング機構35(図5参照)とがそれぞれ設けられている。すなわち、ワイピング機構35は、ワイパー34をノズル形成面26a〜29aに当接させた状態で移動させることにより、ワイパー34にノズル形成面26a〜29aを払拭させるワイピングを行うようになっている。したがって、ワイピング機構35は、払拭手段として機能している。
但し、各インクカートリッジ31から各記録ヘッド26〜29へインクを供給するインク供給装置33、及び記録ヘッド26〜29の各ノズル形成面26a〜29aを払拭するワイパー34の構成は同じである。そのため、図2には第1の記録ヘッド26にインクを供給する一つのインク供給装置33のみを第1の記録ヘッド26とインクカートリッジ31と共に図示している。そして、以下においては、この図2に示す第1の記録ヘッド26と第1の記録ヘッド26にインクを供給するインク供給装置33を例にして説明することにする。
図2及び図3に示すように、第1の記録ヘッド26内には、液体供給室としてのリザーバ36がノズル列に沿って前後方向に延びるように形成されている。なお、リザーバ36には、該リザーバ36の少なくとも長手方向(前後方向)において区分けされた複数の領域(本実施形態では3つの領域A〜C)ごとに、少なくとも1つの接続口36aが形成されている。そして、各接続口36aには、分岐部32aにて分岐したインク流路32の複数の下流端32bがそれぞれ接続されている。
なお、リザーバ36は、接続されるインク流路32の下流端32bの数と同数(本実施形態では3つ)の領域A〜Cに区分けされるのが好ましく、さらに、各領域A〜Cは、前後方向に等間隔を有しているのが好ましい。すなわち、例えば、リザーバ36の形状が前後方向において線対称もしくは点対称となる場合には、領域A〜Cが線対称もしくは点対称となるように区分けされていることが好ましい。また、接続口36aも線対称もしくは点対称となるように形成されているのが好ましい。そして、1つの領域に複数の接続口36aを形成する場合には、各領域A〜Cごとに同じ数の接続口36aを形成するのが好ましい。
また、記録ヘッド26には、延設方向の複数位置から各ノズル30と個別に連通するキャビティ37と、該キャビティ37とリザーバ36とを連通する連通流路38とが形成されている。なお、インクが流れる方向と直交する方向(図3において紙面と直交する方向)において、連通流路38の断面積は、キャビティ37の流路断面積に比べて小さくなっている。
さらに、図3に示すように、キャビティ37に隣接する位置には、キャビティ37の一壁面を形成する振動板39を介して圧電素子40が配設されている。すなわち、圧電素子40が収縮及び伸張して振動板39を振動させることにより、キャビティ37の容積を変更してノズル30からインクを噴射させる。そして、噴射に伴ってキャビティ37内のインクが減少すると、連通流路38、リザーバ36、インク流路32を介してインクカートリッジ31側からインクが供給されるようになっている。
また、ノズル30は、キャビティ37に接続された上流側から下流側に向かって徐々に断面積が小さくなるテーパ部42と、該テーパ部42と連通すると共にノズル形成面26aに開口する開口部43とから構成されている。そして、上流側からノズル30にインクが充填されると、ノズル30内であって且つノズル形成面26aに開口したノズル開口44の付近にメニスカスMが形成される。なお、メニスカスMとは、毛細管現象によってインクの中央部がノズル開口44から見て凹面形状をなすように盛り上がってできる曲面のことである。
また、図2に示すように、インクカートリッジ31は、インクを収容して可撓性を有するインクパック46がケース47に収容されている。そして、ケース47には、空気流路48を介して加圧ポンプ49が接続されていると共に、インクパック46には、インク流路32の上流端32cが接続されている。そのため、加圧ポンプ49が空気流路48を介してケース47内に空気を供給すると、インクパック46が押し潰されてインクパック46内のインクがインク流路32へ供給されるようになっている。
そして、インク流路32において、調圧位置PTには、下流側の減圧に伴って上流側から下流側へのインクの通過を許容し、インク流路32内の圧力を調整する一方向弁51が設けられている。すなわち、一方向弁51は、インクカートリッジ31から加圧供給されたインクを一次貯留する貯留室52と、貯留室52よりも下流側に位置する圧力室53とを有している。そして、貯留室52と圧力室53は、隔壁部54によって隔てられており、ばね55により閉弁方向に付勢されて隔壁部54に当接する弁体56が開弁方向へ移動することにより連通するようになっている。なお、圧力室53の一部は、可撓性材料(例えば合成樹脂やゴム等)よりなるフィルム57により構成されており、例えばフィルム57とともに変位可能な図示しない片持ちの金属片(例えば櫛歯状金属片の一片)を弁体56の当接箇所に配置している。
また、インク流路32において一方向弁51が設けられた調圧位置PTよりも下流側となる開閉位置PKには、インク流路32を開閉可能な流路弁60が設けられている。さらに、開閉位置PKよりも下流側であってインク流路32の分岐部32aよりも上流側となる接続位置としての変圧位置PHには、インク流路32内の圧力を変化させてインクを吸引及び吐出可能なポンプとしてのメンテナンスポンプ61が接続されている。
図4に示すように、メンテナンスポンプ61は、可撓性を有するチューブ62と、1対の押圧ローラー63,64とを有している。なお、チューブ62の基端部62aは、インク流路32に接続されているのに対し、チューブ62の先端部62bは開放されている。1対の押圧ローラー63,64はチューブ62を両側から押し潰すように挟持した状態に配置される。また、メンテナンスポンプ61は、押圧ローラー63,64を図4に実線で示す吐出位置と2点鎖線で示す吸引位置との間で往復移動させる移動機構65(図5参照)を備えている。
すなわち、チューブ62の基端部62a側となる吐出位置に位置している押圧ローラー63,64が、吐出位置よりも先端部62b側となる吸引位置側へ移動することにより、インク流路32内のインクがチューブ62内に吸引されるようになっている。また、吸引位置に位置している押圧ローラー63,64が、吐出位置側へ移動することにより、チューブ62内のインクが押圧ローラー63,64に押されてインク流路32へ吐出されるようになっている。したがって、メンテナンスポンプ61は、移動機構65が押圧ローラー63,64を移動させることにより、吸引駆動及び吐出駆動する。
さらに、図5に示すように、プリンター11には、プリンター11の稼働状態を統括制御する制御手段としての制御部67が設けられている。そして、制御部67は、ユーザーによる操作部68からの入力に応じてワイピング機構35、圧電素子40、加圧ポンプ49、流路弁60、移動機構65を駆動制御して印刷及びワイピング処理を行うようになっている。
そこで次に、以上のように構成されたプリンター11における作用について、以下説明する。
さて、プリンター11において印刷が開始されると、制御部67は、印刷データに基づいて各々のノズル30毎にインクの噴射タイミングを作成すると共に、該噴射タイミングに基づいて圧電素子40を駆動する。すると、振動板39がキャビティ37の容積を減少させる方向に変位してノズル30からインクを噴射する。すなわち、各ノズル30から噴射されたインクが搬送ベルト22に支持されて搬送される用紙12に付着することにより、用紙12に印刷が施される。
さて、プリンター11において印刷が開始されると、制御部67は、印刷データに基づいて各々のノズル30毎にインクの噴射タイミングを作成すると共に、該噴射タイミングに基づいて圧電素子40を駆動する。すると、振動板39がキャビティ37の容積を減少させる方向に変位してノズル30からインクを噴射する。すなわち、各ノズル30から噴射されたインクが搬送ベルト22に支持されて搬送される用紙12に付着することにより、用紙12に印刷が施される。
なお、流路弁60は、印刷時において開弁状態を維持している。そのため、ノズル30からインクが噴射されてインクが消費されると、インクの減少に伴う減圧がリザーバ36及びインク流路32を介して一方向弁51に伝達され、圧力室53と大気との差圧に基づきフィルム57が圧力室53側へ撓み変形する。すると、弁体56がばね55の付勢力に抗して開弁位置に移動し、貯留室52内のインクが圧力室53側へ流入する。そして、圧力室53へインクが流入してその室圧が高まると、ばね55の付勢力が打ち勝って弁体56が再び閉弁位置に移動する。
したがって、一方向弁51は、下流側の減圧に応じて上流側から下流側へインクの通過を許容するようになっているため、消費された分のインクがインクカートリッジ側から供給される。したがって、印刷に伴ってノズル30からインクを噴射しても、図3に示すようにメニスカスMの位置はノズル開口44付近に位置している。
ところで、用紙12を搬送すると共にノズル30からインクを噴射して印刷を行うと、インクの噴射に伴って飛散したインクミストや紙粉がノズル形成面26aに付着してしまう。
そのため、制御部67は、ユーザーからワイピング処理の実行指令を操作部68から受信した場合や、ノズル30からインクを排出させるクリーニング処理の直後など、ノズル形成面26aの払拭が必要であると判断した場合には、ワイピング処理を実行する。なお、非ワイピング処理時となる印刷時や待機時には、メンテナンスポンプ61の押圧ローラー63,64は吐出位置に位置すると共に、流路弁60は開弁されているものとする。
さて、ワイピング処理を実行する場合には、まず制御部67は、流路弁60を閉弁させると共に、移動機構65を駆動させることにより押圧ローラー63,64を吸引位置側へ移動させる。そのため、メンテナンスポンプ61は吸引駆動し、流路弁60よりも下流側からインクを吸引する(吸引段階)。
すると、ノズル開口44付近に位置していたメニスカスMの位置は、図6に示すように上昇する。なお、本実施形態では、分岐部32aにおいて分岐したインク流路32を介してリザーバ36における複数位置に吸引力を付与している。そのため、ノズル30に付与される吸引力のばらつきが抑制された状態でインクが吸引されるため、各ノズル30のメニスカスMは、ばらつきが抑制された状態で上昇する。
そして、メニスカスMが上昇した状態において、制御部67は、ワイピング機構35を駆動制御し、ワイパー34をノズル形成面26aに当接させた状態で図6に矢印で示す方向へ移動させる(払拭段階)。すると、ノズル形成面26aは、ワイパー34によって払拭される。
その後、制御部67は、メンテナンスポンプ61が吐出駆動するように移動機構65を制御し、先の吸引駆動に伴ってインク流路32内から吸引したチューブ62内のインクをチューブ62内から押し出してインク流路32へ吐出する(吐出段階)。ただし、インク流路32においてメンテナンスポンプ61が接続された変圧位置PHよりも上流側の流路弁60は閉弁しているため、吐出されたインクは下流側へ供給される。したがって、メンテナンスポンプ61の吸引駆動に伴って上昇したメニスカスMは、その位置を下降させてノズル開口44付近へ移動する。
また、図7には、比較例として下流端が分岐していないインク流路をリザーバ36の中央部に接続し、リザーバ36における1箇所に吸引力を付与した場合のメニスカスMの位置を示している。すなわち、接続口に近い中央部のノズル30には、接続口から遠い両端部のノズル30に比べて大きな吸引力が付与される。そのため、中央部のノズル30では、メニスカスMの位置が上昇するのに対し、両端部のノズル30では、メニスカスMが上昇せず、メニスカスMの位置にばらつきが生じてしまう。
そのため、ワイパー34がノズル形成面26aに当接した状態で移動すると、ノズル30内のインクとワイパー34が接触し、インクがワイパー34を伝ってノズル30外へ流出してしまう虞がある。
さらに、メンテナンスポンプ61を吐出駆動した場合には、メニスカスMがノズル開口44付近に位置するノズル30に対しても加圧力が加わるため、ノズル30からインクが溢れ出してしまう虞がある。
したがって、インク流路32は、各ノズル30との距離の差が小さくなるように、リザーバ36の複数位置に接続されて吸引力を付与するのが好ましい。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)例えば分岐されていない1つのインク流路32によってインクを吸引する場合には、各ノズル30ごとに伝達される吸引力の差が大きくなって、メニスカスMの位置にばらつきが生じてしまう。その点、インク流路32が分岐してリザーバ36に接続されているため、リザーバ36における複数箇所に吸引力を伝達することができる。すなわち、各ノズル30においてメニスカスMを上昇させた状態でワイパー34にノズル形成面26aを払拭させることができるため、ワイパー34とインクの接触に伴うインクの消費を抑制することができる。また、メニスカスMは、位置のばらつきが低減された状態で上昇するため、メンテナンスポンプ61の吐出駆動時にノズル30からのインクの溢れ出しを抑制することができる。したがって、ノズル30からのインクの流出を抑制してワイピングを行うことができる。
(2)リザーバ36における複数の領域ごとに、少なくとも1つの接続口36aが形成されているため、リザーバ36に対してインク流路32の下流端32bが偏って接続される虞が低減される。したがって、メンテナンスポンプ61が吸引駆動した際にリザーバ36内に及ぼされる吸引力の偏りを抑制し、メニスカスMの位置のばらつきをより低減することができる。
(3)1つのメンテナンスポンプ61を駆動することによって分岐したインク流路32を介してリザーバ36に圧力を伝達することができる。したがって、分岐部32aよりも下流側となる各インク流路32にメンテナンスポンプ61を設ける場合に比べ、部品点数を減らしてプリンター11を小型化することができる。
(4)流路弁60が閉弁した状態でメンテナンスポンプ61が吸引駆動することにより、上流側からのインクの流入を抑制して下流側からインクを吸引することができる。したがって、メンテナンスポンプ61を吐出駆動する際に下流側へ供給されるインクの量は、吸引駆動に伴って吸引されたインクの量と同程度となる。そのため、ノズル30からインクが溢れる虞を低減すると共に、ワイピング後のノズル形成面26aがノズル30から溢れたインクで汚染される虞を低減することができる。
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61は、ピストンポンプや、ダイアフラムを変位させてポンプ室の容積を変更するダイアフラムポンプとしてもよい。また、インク収容室を有するギヤポンプやベーンポンプとし、吸引駆動する場合にはインク流路32からインク収容室へインクを移動させ、吐出駆動する場合にはインク収容室からインク流路32へインクを移動させるようにしてもよい。そして、メンテナンスポンプ61をギヤポンプやベーンポンプとする場合には、一方向弁51及び流路弁60を設けない構成とし、下流側から上流側へインクを供給することにより、ノズル30側からインクを吸引するようにしてもよい。
・上記実施形態において、メンテナンスポンプ61は、ピストンポンプや、ダイアフラムを変位させてポンプ室の容積を変更するダイアフラムポンプとしてもよい。また、インク収容室を有するギヤポンプやベーンポンプとし、吸引駆動する場合にはインク流路32からインク収容室へインクを移動させ、吐出駆動する場合にはインク収容室からインク流路32へインクを移動させるようにしてもよい。そして、メンテナンスポンプ61をギヤポンプやベーンポンプとする場合には、一方向弁51及び流路弁60を設けない構成とし、下流側から上流側へインクを供給することにより、ノズル30側からインクを吸引するようにしてもよい。
・上記実施形態において、インク流路32において、流路弁60を一方向弁51が設けられた調圧位置PTよりも上流側となる位置に設けてもよい。すなわち、一方向弁51よりも上流側に位置する流路弁60を閉弁した状態でメンテナンスポンプ61を吸引駆動することにより、一方向弁51が開弁しても流路弁60よりも上流側からのインクは供給されず、ノズル30側からインクが吸引される。一方、メンテナンスポンプ61が吐出駆動された場合には、一方向弁51が閉弁するため、ノズル30側へインクが供給される。したがって、ノズル30側から吸引したインクをノズル30側へ供給することができるため、ノズル30からのインクの排出を抑制することができる。
・上記実施形態において、複数のメンテナンスポンプ61及び流路弁60を分岐部32aよりも下流側の各インク流路32にそれぞれ設けてもよい。また、分岐した各インク流路32は連通している。そのため、分岐部32aにおいて分岐し、分岐部32aよりも下流側となる1つのインク流路32にメンテナンスポンプ61を設けると共に、分岐部32aよりも上流側のインク流路32に流路弁60を設けるようにしてもよい。
・上記実施形態において、リザーバ36には、少なくとも2つの接続口36aが形成され、接続口36aに対して分岐したインク流路32が接続されていればよい。すなわち、仮に複数の接続口36aが近接して形成されている場合であっても、1つの接続口36aからインクを吸引する場合に比べ、ノズル30に伝達される吸引力の偏りを抑制することができる。
・上記実施形態では、液体噴射装置をインクジェット式プリンター11に具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよい。微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。
11…プリンター(液体噴射装置)、12…用紙(ターゲット)、26〜29…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、26a〜29a…ノズル形成面、30…ノズル、31…インクカートリッジ(液体供給源)、32…インク流路(液体供給流路)、32a…分岐部、32b…下流端、34…ワイパー、35…ワイピング機構(払拭手段)、36…リザーバ(液体供給室)、36a…接続口、60…流路弁、61…メンテナンスポンプ(ポンプ)、67…制御部(制御手段)、A〜C…領域、PH…変圧位置(接続位置)、PK…開閉位置。
Claims (5)
- 液体を噴射する複数のノズルと、
該複数のノズルとそれぞれ連通して前記各ノズルに前記液体を供給する液体供給室と、
液体供給源側となる上流側から前記液体供給室側となる下流側に向けて前記液体を供給可能であって、分岐された複数の下流端が前記液体供給室に接続される液体供給流路と、
該液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプと、
前記ノズルが形成された液体噴射ヘッドのノズル形成面にワイパーを当接させて前記ノズル形成面を払拭する払拭手段と、
前記ポンプと前記払拭手段とを制御して前記ノズル形成面のワイピング処理を行う制御手段と
を備え、
前記制御手段は、前記ポンプを吸引駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路から前記液体を吸引させた後に、前記払拭手段に前記ノズル形成面を払拭させ、その後前記ポンプを吐出駆動することにより該ポンプに前記液体供給流路へ前記液体を吐出させることを特徴とする液体噴射装置。 - 前記液体供給室には、該液体供給室の長手方向に沿って区分けされた複数の領域ごとに前記液体供給流路の前記下流端が接続される接続口が少なくとも1つ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体噴射装置。
- 前記液体供給流路において、前記ポンプが接続される接続位置は、前記液体供給流路が分岐する分岐部よりも上流側であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
- 前記液体供給流路における前記ポンプの接続位置よりも上流側となる位置に前記液体供給流路内を開閉可能に設けられた流路弁をさらに備え、
前記制御手段は、前記流路弁を閉弁した状態で前記ポンプを吸引駆動することを特徴とする請求項1〜請求項3のうち何れか一項に記載の液体噴射装置。 - 液体を噴射する複数のノズルと、該複数のノズルとそれぞれ連通する液体供給室と、液体供給源側となる上流側から前記液体供給室側となる下流側へ前記液体を供給可能であって、分岐された下流端が前記液体供給室に接続される液体供給流路とを備える液体噴射装置におけるワイピング方法において、
前記液体供給流路内の前記液体を吸引可能であると共に前記液体供給流路内に前記液体を吐出可能なポンプを吸引駆動し、前記液体供給流路内の前記液体を吸引する吸引段階と、
該吸引段階において前記液体が吸引されている状態で前記ノズルが形成された液体噴射ヘッドのノズル形成面にワイパーを当接させて前記ノズル形成面を払拭する払拭段階と、
前記ポンプを吐出駆動し、前記液体供給流路内へ前記吸引段階において吸引した液体を吐出する吐出段階と
を備えることを特徴とする液体噴射装置におけるワイピング方法。
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CN2011100364201A CN102145584B (zh) | 2010-02-08 | 2011-02-09 | 液体喷射装置及液体喷射装置的清理方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2015193213A (ja) * | 2014-03-28 | 2015-11-05 | セイコーエプソン株式会社 | 液体吐出ヘッド、液体吐出装置および液体吐出ヘッドの制御方法 |
US11278378B2 (en) | 2016-10-12 | 2022-03-22 | Norbert Abels | Orthodontic device |
-
2010
- 2010-02-08 JP JP2010025280A patent/JP2011161715A/ja active Pending
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