JP2011158766A - 磁性キャリア及び二成分系現像剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】プリントスピードの速い画像形成装置に用いても、高現像性で、キャリア付着が発生し難く、長期に渡って高画質な画像が得られ、ガサツキや白抜けといった画像弊害を抑制できる、磁性キャリア及び二成分系現像剤を提供する。
【解決手段】多孔質磁性フェライトコア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、磁性キャリアは、個数基準のメジアン径が25.00μm以上55.00μm以下であり、粒径が該個数基準のメジアン径の0.8倍の値以下の磁性キャリア粒子を、10.00個数%以上30.00個数%以下の割合で含有し、交流インピーダンス測定により得られるインピーダンスの周波数依存特性を、フィッティング関数により、フィッティングしたときのパラメータαが、1000V/cmの電界下において、0.70以上、0.95以下であることを特徴とする磁性キャリア。
【選択図】なし

Description

本発明は、複写機やプリンター等の電子写真において、静電潜像を現像するために用いる磁性キャリア及び二成分現像剤に関する。
従来、電子写真法においては、磁性キャリアとトナーを混合した二成分現像剤を用いた、二成分現像方式が広く採用されている。
二成分現像方式では、磁性キャリアとトナーとの機能分担が明確であり、現像剤性能を制御しやすい利点がある。そしてトナーを帯電させ易く、帯電特性も安定化し易いため、長期に渡って高画質を維持するのに有利である。また磁性キャリアが磁気ブラシを形成して現像領域へトナーを搬送するため、トナーの供給能が高く高速印刷に有利である。
しかし電子写真の近年の進化(デジタル化、フルカラー化、高速化など)によって、電子写真はオフィス用途から商業用途まで、従来と比べて幅広いユーザーから使用されるようになってきた。そのためプリントスピードの高速化、高画質化、高精彩化、長期に渡った画質の安定性など、ますます要求レベルが高度化してきており、さまざまな磁性キャリアならびに二成分現像剤に対する開発が行われている。
例えば、トナーの小粒径化に伴い小粒径かつ粒度分布が狭い電子写真現像剤用キャリア、及びそれを用いた二成分現像剤により、長期にわたって濃度変動が小さく、カブリのない高画質な画像を得る試みがなされている(例えば特許文献1参照)。
一般に小粒径キャリアを用いた場合、静電潜像へのキャリア付着(以下単に、キャリア付着ともいう)が問題となる。該技術では粒度分布をシャープ化することで一定の改善を図っているが、キャリア付着を抑える効果は不十分であった。
また該技術ではキャリア付着防止の観点で、500V/mmの電界をかけたときのキャリアの体積抵抗率が1×1011乃至1×1016Ω・cmであることが好ましいと記載されている。ただしこのように抵抗の高いキャリアは、現像性が不十分と考えられる。現像性とは、潜像ポテンシャルに対して、現像されたトナーの電荷で潜像電位を満たす(充電する)能力である。
現像性が不十分であると、潜像電位が十分に満たされていない未充電領域が生じることになり、例えば低濃度部から高濃度部へ変化する境界付近において、低濃度部から高濃度部へ回り込み電界が残存する影響で、低濃度部の画像濃度が低下する画像欠陥が生じる。また酷い場合、低濃度部と高濃度部の境界付近にトナーが載らない、いわゆる白抜けという画像欠陥が生じてしまう。さらに、高濃度部において、エッジ部と中央部の電界強度差によってエッジにトナーが集まりやすく、エッジ部と中央部の画像濃度に差が生じるなどの画像欠陥も生じてしまう。
抵抗の高いキャリアは、現像バイアス印加時に、キャリアが有する、トナーと逆極性の電荷を現像スリーブに逃がし難くなってしまうため、トナーとキャリアの間の静電的な付着力が高くなり、現像性が悪くなる傾向にある。
そこで、現像バイアス印加時のキャリアの抵抗を低く制御することで、キャリアの現像性を向上させる試みが行われている(例えば、特許文献2、3参照)。しかし、キャリアの抵抗を低下させると、高濃度部にキャリア付着が生じやすくなる問題がある。これは現像スリーブに現像バイアスを印加した際に、現像スリーブ側からキャリアに電荷が注入されてしまい、キャリアがトナーと同極性に帯電してしまうことが原因と考えられる。
またキャリアの磁気ブラシを介して、特にハーフトーン部のような浅い潜像ポテンシャルへ現像スリーブから電荷が注入され、静電潜像が乱れて画像のガサツキが悪化する問題も生じ易くなる。さらに、潜像ポテンシャルのさらに浅い低濃度部における階調性の飛びが発生したり、酷い場合にはドット抜けのごとく画像にトナーが載らない領域(白ポチ)が発生したりする問題がある。
そのため従来、キャリアの電気抵抗を狭い範囲で制御することで、現像性とキャリア付着防止を両立させてきた。しかし、近年のプリントスピードの高速化に対して、キャリアの電気抵抗の制御だけでは、要求される現像性とキャリア付着防止の両立が難しくなってきている。
一方で、多孔質フェライト磁性コア粒子の空隙に樹脂を充填してなる樹脂充填型フェライトキャリアが提案されている(例えば特許文献4)。該技術によれば、真密度が低減されていることで攪拌によるストレスを軽減でき、磁性キャリアの内部が、樹脂層とフェライト層を交互に繰り返す立体構造を有することで、帯電付与能とその安定性に優れることが記載されている。しかしながら現像性と、キャリア付着の点で、改善の余地があった。
特開2008−26582号公報 特公平07−120086号公報 特開2000−10350号公報 特開2007−57943号公報
本発明は、プリントスピードの速い画像形成装置に用いても、高現像性で、キャリア付着が発生し難く、長期に渡って高画質な画像が得られ、ガサツキや白抜けといった画像弊害を抑制できる、磁性キャリア及び二成分系現像剤を提供する。
本出願に係る発明は、多孔質磁性フェライトコア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、前記磁性キャリアは、個数基準のメジアン径(D50)が25.00μm以上55.00μm以下であり、粒径が前記磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍の値以下の磁性キャリア粒子を、10.00個数%以上30.00個数%以下の割合で含有し、交流インピーダンス測定により得られるインピーダンスZの周波数依存特性Z(ω)を、下記式(1)で表されるフィッティング関数により、フィッティングしたときのパラメータαが、1000V/cmの電界下において、0.70以上、0.95以下であることを特徴とする磁性キャリアに関する。
Figure 2011158766
本発明によれば、プリントスピードの速い画像形成装置に用いても、高現像性で、キャリア付着が発生し難く、長期に渡って高画質な画像が得られ、ガサツキや白抜けといった画像弊害を抑制できる、磁性キャリア及び二成分系現像剤を得ることができる。
本発明の実施例1の磁性キャリアの個数基準の粒度分布である。 本発明の磁性キャリア粒子の断面のSEM反射電子画像の一例である(図面代用写真)。 本発明の磁性キャリア粒子の断面領域のみを指定したSEM反射電子画像の一例である(図面代用写真)。 交流インピーダンス測定法の構成を表す模式図。 インピーダンス測定で得られたCole−Coleプロットをフィッティングするために用いるフィッティング回路。 図4に示した回路のインピーダンスのCole−Coleプロットを表すグラフ図。
まず本発明における磁性キャリアのパラメータαについて説明する。
磁性キャリアのパラメータαとは、磁性キャリア粒子の内部に存在する時定数分布の広がりに対応したパラメータであり、時定数分布の広がりが大きい程、αの値が1に比べて小さくなることが知られている〔参考文献1:Evgenij Barsoukov, J.Ross Macdonald : “Impedance Spectroscopy” Wiley Interscience〕。
時定数分布の広がりは、交流インピーダンス測定により求まる複素インピーダンスの周波数特性に現れる。
そして時定数が特定の分布を持っている場合、複素インピーダンスの周波数特性は経験的に下記式(2)で表される、Cole−Coleの式に従うことが知られている。
Figure 2011158766
このため、磁性キャリアの交流インピーダンス測定により、複素インピーダンスの周波数特性を測定し、更に、上記Cole−Coleの式によるフィッティングからパラメータαの値を求めることで、磁性キャリアの持つ時定数の分布の程度を知ることができる。なお、パラメータαの測定方法については、後述にて記載する。
本発明者らが鋭意検討した結果、磁性キャリア粒子の時定数分布の広がりの程度と、現像性との間に強い相関が存在し、時定数分布の広がりが大きい程、現像性が向上することを見出した。
この理由は定かではないが、下記の理由によるものと考えている。
磁性キャリア粒子の時定数分布の広がりが大きいことは、磁性キャリア粒子の内部において、電荷移動の時定数に分散を持たせる要因となると考えられる。
磁性キャリア粒子の内部に極端に時定数が小さい領域と、極端に時定数が大きい領域が存在する場合、外部電界が印加されたときに、磁性キャリア粒子内部の電気伝導が局部的に抑制され、磁性キャリア粒子内部に大きな分極が形成されると考えられる。
この磁性キャリア粒子内部に形成された大きな分極の効果によって、磁性キャリア粒子の周りの外部電界は歪められ、磁性キャリア粒子に付着したトナーが受ける実電界が強められ、結果としてトナーが磁性キャリア粒子から飛翔しやすくなると考えられる。
ここで磁性キャリア粒子の時定数分布の広がりが大きい、すなわち磁性キャリアのパラメータαが本発明の範囲であるであるためには、磁性キャリアが、多孔質磁性フェライトコア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであることが必要である。
そして、本発明者らが鋭意検討した結果、磁性キャリア粒子の時定数分布の広がりの大きさは、磁性キャリア粒子の内部における、磁性フェライトの結晶粒子(グレイン)同士の繋がりの状態の「ばらつき」の大きさと相関することを見出した。
ここで、磁性フェライトの結晶粒子(グレイン)同士の繋がりを結晶粒界と呼ぶ。
また、結晶粒子同士の繋がりの状態とは、結晶粒子同士の接触部における界面(結晶粒界)の状態であり、下記のようなものが挙げられる。
例えば、結晶粒界の面積や厚みなどの形態的なばらつきや、組成によるばらつき、結晶粒界同士の空間的配置によるばらつきなどが挙げられる。
また、焼結過程において結晶粒界に偏析した物質の量のばらつきや、結晶粒界周辺の結晶粒子の大きさやその完全性、組成のばらつき等も、結晶粒界の状態のばらつきとなる。
一粒子のキャリア内部において、結晶粒界の状態に「ばらつき」を持たせることで、個々の結晶粒界における電気伝導におけるポテンシャル障壁のばらつきが生まれ、上述したような、導電の時定数に空間的な分布を持たせることが可能になるため好ましい。
本発明に用いられる多孔質磁性フェライトコア粒子は細孔を有する磁性フェライトコアであり、その内部において、磁性コア部が三次元的に繋がっているものである。
よって中実な磁性フェライトコア粒子と比べて、多孔質磁性フェライトコア粒子は、その表層や内部において、多くの結晶粒界が存在し、結晶粒界の状態にも「ばらつき」を有し易いため好ましい。
そして多孔質磁性フェライトコア粒子と樹脂とを含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアは、電気抵抗が極端に低くなることが無く、高い現像性と、キャリア付着の防止を両立し得ることを、本発明者らは見出した。
加えて、本発明の磁性キャリアは、交流インピーダンス測定により得られるインピーダンスZの周波数依存特性Z(ω)を、上記式(1)で表されるフィッティング関数により、フィッティングしたときの磁性キャリアのパラメータαが、1000V/cmの電界下において、0.70以上0.95以下であることが必要である。
本発明者らが鋭意検討した結果、電界強度1000V/cmの電界下において測定した磁性キャリアのパラメータαが、実現像領域における現像性と最も相関することを発見した。そして該パラメータαが低いほど、磁性キャリアの現像性が高まることを見出した。
ここで該パラメータαを求めるにあたり、電界強度を変更して検討を行ったところ、電界強度1000V/cmにおけるパラメータαが、最も実現像領域での現像性と相関することがわかった。
この電界強度1000V/cmという電界強度は、実現像領域に印加される電界強度と比べると、かなり小さいものである。
例えば、実際の現像領域として、コントラスト電圧(Vcont)が350V、交番電圧の振幅(Vpp)が1300V、現像スリーブ−感光ドラム間距離(S−D間距離)が400μmである場合を考える。
この実現像領域では、VcontとVppの1/2の和である、約1000V(Vcont:350V、1/2Vpp:650V)をS−D間距離(400μm)で除した値である約25000V/cmの電界強度が、瞬間的に現像剤磁気ブラシに印加されている。
それにも関わらず、該パラメータαが実現像領域での現像性に相関する理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
実際の現像領域において、磁性キャリアはトナーを担持おり、トナーは絶縁体であるため、実際の現像電界下において、見かけ上キャリアは小さい電界強度を受けている状態にあると考えられる。したがってキャリアのみでの現像領域における特性と、電界強度1000V/cmにおけるパラメータαが、相関するものと考えられる。
磁性キャリアのパラメータαは、1000V/cmの電界下において、0.95以下であることで、現像性の高い磁性キャリアとなる。当該パラメータαは、好ましくは0.90以下である。これは現像バイアスを印加したときに磁性キャリア粒子の内部に大きな分極が形成され、これが外部電界を歪ませることによって、トナーが受ける実電界が強まっ
て、キャリアからトナーが飛翔し易くなるためと推定される。磁性キャリアのパラメータαが0.95を超えると、現像バイアスによって磁性キャリアの内部に十分な分極が形成されないため、現像性が不十分となり、好ましくない。
一方で磁性キャリアのパラメータαが0.70未満となると、キャリア付着の抑制が難しくなるため好ましくない。これは現像バイアスの印加で磁性キャリア粒子の内部で生じた分極が大きくなり過ぎてしまい、トナー飛翔後にもキャリア内部に分極が残存し、見かけ上、磁性キャリア粒子がトナーと逆帯電したかのごとく振舞ってしまうためと考えられる。磁性キャリアのパラメータαが0.70以上であることで、キャリア付着の発生が抑えられる。当該パラメータαは、0.75以上であることが好ましい。
そして本発明の磁性キャリアが、高現像性でかつキャリア付着も発生しにくい磁性キャリアであるためには、磁性キャリアのパラメータαが上述の範囲にあることに加え、特定の粒度分布の磁性キャリアであることが必要である。
具体的には、本発明の磁性キャリアは、個数基準のメジアン径(D50)が、25.00μm以上55.00μm以下であることが必要である。好ましくは28.00μm以上45.00μm以下である。
D50が25.00μm未満であると、磁性キャリアを構成する磁性キャリア粒子の1粒子あたりの磁化が低い場合があり、キャリア付着が抑えられないため好ましくない。また磁性キャリアの流動性が不足し、トナーとの混合性が低下するため、トナーの帯電が不均一となってカブリが発生したり、現像性が悪化したりするため好ましくない。
一方で、D50が55.00μmを超えると、現像剤磁気ブラシが硬くなってしまい、ハーフトーン部の静電潜像を乱してガサツキが悪化するため好ましくない。また磁性キャリアの表面積が不十分であるため、トナーの帯電の立ち上がりが悪化して、カブリが発生したり、現像性が悪化したりするため好ましくない。
さらに本発明の磁性キャリアは、粒径が前記磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)μmの0.8倍([D50×0.8]μmとも表記する)の値以下の磁性キャリア粒子を10.00個数%以上30.00個数%以下の割合で含有することが必要であり、12.00個数%以上28.00個数%以下含有することが好ましい。
磁性キャリアのパラメータαが上記範囲であることに加え、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子を10.00個数%以上30.00個数%以下の割合で含有とすることで、現像性が格段に向上することを、本発明者らは見出したのである。
この理由は定かではないが、以下のことが理由ではないかと推定している。
おそらく本発明のごとく、現像バイアスによって内部に大きな分極が形成される磁性キャリア粒子を含む磁性キャリアの場合、含まれる磁性キャリア粒子の粒径に応じて、内部に形成される分極の大きさ、指向性、分布などに違いがあるものと思われる。
そして平均的な大きさの磁性キャリア粒子の近傍に、やや小さい磁性キャリア粒子が存在すると、見かけ上、磁性キャリア粒子間に新たな分極が形成されたごとく振る舞うものと考えられる。
これにより外部電界をさらに大きく歪める効果が発生し、この効果によって、磁性キャリア粒子からトナーを飛翔させやすくしているものと推定している。
ここで、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子の個数%に着目したのは、実際の現像性の評価結果と良好な相関性が見られたためである。
現像性に効果的に作用する磁性キャリア粒子が、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子である理由は定かではないが、おそらく、下記の理由によると推定している。
粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子は、平均的な粒径の磁性キャリア粒子と比べて、球形換算で体積が概ね半分以下である。
そのため、現像剤の磁気ブラシが形成されて、磁性キャリア粒子が細密充填されていく際に、自ずと大きい磁性キャリア粒子の周囲に入り込んで担持され易く、上述のごとく外
部電界を効果的に歪められるためだと推定している。
一方で、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子が、30.00個数%を超えると、キャリア付着が発生し易くなるため好ましくない。これは、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子が粒径の大きい磁性キャリア粒子に、担持し切れなくなり、高速機のスリーブの回転で生じる遠心力に絶えられずに、静電潜像に飛ばされ易くなることによる。
また粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子は、磁性キャリアの中でも比表面積が大きい磁性キャリア粒子であり、トナーとの接触機会、接触面積が大きいため、トナーへの帯電付与能が高い。ところがあまり多く含むと磁性キャリアの流動性悪化を招き、トナーの均一帯電が難しくなる。よってこれらの観点からも、本発明の磁性キャリアは、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子を、10.00個数%以上30.00個数%以下の割合で含有する、これによりカブリが抑制され、現像性も良化するため好ましい。
さらに本発明の磁性キャリアは、目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリアの上記パラメータαが、1000V/cmの電界下において、0.70以上0.85以下であることが好ましい。
ここで本発明の磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリアとは、磁性キャリアに含まれる磁性キャリア粒子の内で、粒径が小さい磁性キャリア粒子を捕集したものである。以後、この磁性キャリアのことを小径磁性キャリアと記載することがある。
小径磁性キャリアを構成する磁性キャリア粒子は、直径が小さいため比表面積が大きく、本発明の磁性キャリア全体のなかでもトナーとの接触面積、接触回数が大きい磁性キャリア粒子である。よってこの小径磁性キャリアのパラメータαを制御することで、さらなる現像性の向上とキャリア付着の防止が可能となる。
この小径磁性キャリアは、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子の一部を代表的にサンプリングしたものとも捉えることができる。すなわち小径磁性キャリアのパラメータαが小さいことは、上述した磁性キャリア粒子間において生じる、見かけ上の分極効果をさらに大きくすることにも繋がり、その相乗効果として現像性がさらに高まるものと推定している。
一方で、キャリア付着を防止する観点では、小径磁性キャリアのパラメータαは0.70以上であることが好ましい。これは磁性キャリアの該パラメータαの下限と同様の理由によるものと考えられる。
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、小径磁性キャリアのパラメータαは、磁性キャリアのパラメータαと比べて大きな値になりやすい傾向にあることがわかった。
これは、小径磁性キャリアは結晶粒界の数が少なくなり易かったり、粒径が大きいものと比べて本焼成工程で焼成が進行し易かったり、多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に均一に樹脂を充填するのが難しかったりすることが原因と推定している。
そのため、小径キャリアのパラメータαを積極的に制御するためには、後述にて記載するような工夫を施すことが好ましい。
本発明の多孔質磁性フェライトコア粒子は、前述したように細孔を有しており、その内部において、磁性コア部が三次元的に繋がっているものである。
多孔質の度合いが高い多孔質磁性フェライトコアほど、結晶粒界の状態におけるばらつきが大きくなり、磁性キャリアのパラメータαは小さくなるため好ましい。
多孔質の度合いについては、後述にて記載する、多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率によって測定することができる。
また前述したように、磁性キャリア粒子は多孔質磁性フェライトコア粒子に加えて、樹脂を含有することが必要であり、これにより磁性キャリアの電気抵抗が極端に低くなることが無く、キャリア付着が抑制できる。
このとき樹脂が多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に充填されていることが好ましい。その理由は、現像機内での攪拌力などの負荷にも耐える、十分な機械的強度を有するものとするためである。さらにトナーへの帯電性、トナーの離型性が高まる効果もあるため好ましい。
充填される樹脂量については特に制限はないが、多孔質磁性フェライトコア粒子が有する表面の微細な凹凸が消失しないように調整することが好ましい。
樹脂が充填された磁性キャリア粒子の表面に微細凹凸が存在することで、現像バイアスを印加した際に、表面の凸部から磁性キャリア粒子の内部へ効果的に外部電界が作用してパラメータαが小さいものとなるため好ましい。
また本発明の磁性キャリアは、さらに表層が樹脂で被覆されていると、より環境安定性が向上し、例えば高温高湿環境下であっても十分な帯電能を有するものとなり、安定した画像濃度の画像を得ることができるため好ましい。
ただし被覆する樹脂の量が多いほど、磁性キャリアのパラメータαが大きくなる傾向にあるため、磁性キャリアのパラメータαが所望の範囲となるように被覆樹脂の量を調整することが好ましい。
また本発明の磁性キャリアは、走査型電子顕微鏡により撮影された多孔質磁性フェライトコアと樹脂を少なくとも含有する磁性キャリア粒子の断面の反射電子像において、多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率が、該断面の全面積に対して、50面積%以上90面積%以下であることが好ましい。
ここで多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率が小さいほど、多孔質磁性フェライトコアの多孔質の度合いが高いことを意味している。
多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率が90面積%以下であることで、多孔質磁性フェライトコアが有する結晶粒界の数が多くなり、その状態の「ばらつき」も大きくなり易いため好ましい。加えて磁性キャリア粒子の比重が小さくなり、結果、攪拌によって磁性キャリアとトナーに加わるストレスが軽減されるため、磁性キャリアへトナースペントが抑制でき、安定したトナー帯電能を有するため、長期使用においても画像欠陥を生じ難いため好ましい。より好ましくは80面積%以下である。
一方で、多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率が50面積%以上であることで、磁性キャリア粒子が十分な磁化を有するものとなり、キャリア付着が抑えられるため好ましい。またトナーと混合した際に、適度なストレスを与えられることで、トナーの帯電の立ち上がりが良好となり、カブリを抑制できるため好ましい。より好ましくは60面積%以上である。
上記多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率は、後述する多孔質磁性フェライトコア粒子の製造工程において、焼成温度や焼成時間を制御し、多孔質磁性フェライトコア粒子の多孔質の度合いを調整することで上記範囲を満たすことが可能である。
より具体的には、多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率を高くするには、多孔質磁性フェライトコア粒子の製造工程において、焼成温度を高く、焼成時間を長く調整することが好ましい。逆に多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率を低くするには、焼成温度を低く、焼成時間を短く調整することが好ましい。
本発明に用いられる多孔質磁性フェライトコア粒子の基材は、フェライトである。
フェライトとは次式で表される焼結体である。
(M1O)(M2O)(Fe
(式中、M1は1価、M2は2価の金属であり、x+y+z=1.0とした時、x及びyは、それぞれ0≦(x,y)≦0.8であり、zは、0.2<z<1.0である。)
また、上記式中において、M1及びM2としては、Li、Fe、Mn、Mg、Sr、Cu、Zn、Ni、Co、Caからなる群から選ばれる1種類以上の金属原子を用いることが好ましい。具体的には、Li系フェライト(例えば、(LiO)(Fe(0.0<a<0.4,0.6≦b<1.0、a+b=1)、(LiO)(SrO)
(Fe(0.0<a<0.4、0.0<b<0.2、0.4≦c<1.0、a+b+c=1));Mn系フェライト(例えば、(MnO)(Fe(0.0<a<0.5、0.5≦b<1.0、a+b=1));Mn−Mg系フェライト(例えば、(MnO)(MgO)(Fe(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1));Mn−Mg−Sr系フェライト(例えば、(MnO)(MgO)(SrO)(Fe(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.0<c<0.5、0.5≦d<1.0、a+b+c+d=1);Cu−Zn系フェライト(例えば、(CuO)(ZnO)(Fe(0.0<a<0.5、0.0<b<0.5、0.5≦c<1.0、a+b+c=1)が挙げられる。なお、上記フェライトは微量の他の金属を含有していてもよい。
結晶の成長速度コントロールが容易である観点から、Mn元素を含有する、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライトがより好ましい。
また、Mn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、Mn−Mg−Sr系フェライトを用いた場合、Mn元素の比率が高いフェライトほど得られる磁性キャリアのパラメータαが小さくなる傾向にある。よって磁性キャリアのパラメータαを所望の範囲にするために、Mn元素の比率を調整することが好ましい。Mn元素の比率が高いほど、得られる磁性キャリアのパラメータαが小さくなる理由は定かではないが、おそらく現像領域における印加電界が磁性キャリアの内部にまで伝わり易く、存在する結晶粒界の状態のばらつきを活用し易くなるためと思われる。
以下、多孔質磁性フェライトコア粒子の製造工程の一態様について説明するが、これに限定されない。
<工程1(秤量・混合工程)>
上記フェライトの原料を、秤量し、混合する。フェライトの原料としては、例えば、以下のものが挙げられる。Li、Fe、Zn、Ni、Mn、Mg、Co、Cu、Ba、Sr、Y、Ca、Si、V、Bi、In、Ta、Zr、B、Mo、Na、Sn、Ti、Cr、Al、希土類金属の金属粒子、これらの酸化物、水酸化物、シュウ酸塩、炭酸塩。
上記フェライト原料を粉砕・混合する装置としては、例えば以下のものが挙げられる。ボールミル、遊星ミル、ジオットミル、振動ミル。特にボールミルが混合性の観点から好ましい。具体的には、ボールミル中に、秤量したフェライト原料、ボールを入れ、0.1時間以上20.0時間以下、粉砕・混合する。
<工程2(仮焼成工程)>
粉砕・混合したフェライト原料を、大気中で焼成温度700℃以上1000℃以下の範囲で、0.5時間以上5.0時間以下仮焼成し、フェライト化する。焼成には、例えば、以下の炉が用いられる。バーナー式焼却炉、ロータリー式焼却炉、電気炉。
<工程3(粉砕工程)>
工程2で作製した仮焼フェライトを粉砕機で粉砕し、仮焼フェライト微粉砕品を得る。粉砕機としては、所望の粒径及び粒度分布が得られれば特に限定されない。例えば、クラッシャーやハンマーミル、ボールミル、ビーズミル、遊星ミル、ジオットミルなどが挙げられる。
ここで、仮焼フェライト微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)は0.5μm以上3.0μm以下であることが好ましい。また仮焼フェライト微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)と体積基準の90%粒径(D90)の比であるD90/D50を1.5以上6.0以下とすることが好ましく、2.0以上5.0以下とすることがより好ましい。
D90/D50は粒度分布の指標であり、大きいほど粒度分布が広いことを示している。
本発明において、磁性キャリアのパラメータαを所望の範囲にするための手段の一つとして、仮焼フェライト微粉砕品の粒径や粒度分布をコントロールすることがあげられ、D90/D50が大きいほど、磁性キャリアのパラメータαを小さくできるため好ましい。
D90/D50が大きいほど、磁性キャリアのパラメータαを小さくすることができる
理由は、仮焼フェライトの粒度分布が広いことで、磁性キャリア粒子の内部において結晶粒子同士の繋がり(結晶粒界)の状態に「ばらつき」を生じやすくなることによるものと考えられる。
一方で、仮焼フェライト微粉砕品のD90/D50が大きいほど、磁性キャリアのパラメータαに比べ、磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリアのパラメータαが大きくなる傾向にある。つまり、磁性キャリア粒子のパラメータαは粒度に依存する傾向にある。
D90/D50が大きい場合に、磁性キャリア粒子のパラメータαに粒度依存性が生じ易い理由は定かではないが、本発明者らは以下のように考えている。
もともと粒径の小さい磁性キャリア粒子は、粒径の大きい磁性キャリア粒子と比べて、含まれる仮焼フェライト微粉砕品の数が少ない傾向にある。そのため結晶粒界の状態にばらつきを生じにくい磁性キャリア粒子であり、仮焼フェライト微粉砕品の粒度分布を広くしても、粒径の小さい磁性キャリア粒子への影響が小さいものと考えられる。
また、粒径の小さい磁性キャリア粒子に、粒径の大きい仮焼フェライト微粉砕品が偏在してしまう場合があり、この場合、結晶粒界の数が特に少なくなってパラメータαが大きくなり易いものと考えられる。
以上のように、磁性キャリアのパラメータαと、磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリアのパラメータαは、一定の相関はあるものの、独立して変化するパラメータである。よって、それぞれを所望の範囲に制御するように調整することが好ましい。
例えば、多孔質磁性フェライトコア粒子を得た後、分級機や篩で多孔質磁性フェライトコア粒子を粒径によって選別する。その後、多孔質磁性フェライトコア粒子の粒径に応じて、充填する樹脂溶液の濃度や、充填する樹脂量、被覆する樹脂量を調整して磁性キャリア粒子を作製した後、これらを混合することで磁性キャリアを得る方法を採用することができる。
また、多孔質磁性フェライトコア粒子に樹脂を充填して充填コアを得た後、分級機や篩で充填コアを粒径によって選別する。その後、充填コアの粒径に応じて被覆する樹脂量を調整して磁性キャリア粒子を得た後、これらを混合することで磁性キャリアを得る方法を採用することができる。
あるいは、原料フェライト組成や、本焼成工程における焼成雰囲気などの条件を変更し、パラメータαが異なる複数種の磁性キャリア粒子を予め作製しておき、これらの粒径を所望の値に調整したのち、混合して磁性キャリアを得る方法を採用することができる。
仮焼フェライト微粉砕品を上記の粒径及び粒度分布にするために、例えば、ボールミルやビーズミルを用いて粉砕する場合、ボールやビーズの素材、粒径、運転時間を制御することで達成できる。具体的には、仮焼フェライト微粉砕品の粒径を小さくするためには、比重の大きいボールを用い、粉砕時間を長くすればよい。また、仮焼フェライト微粉砕品の粒度分布を広くするためには、比重の重いボールやビーズを用い、粉砕時間を短くすることで得ることができる。また、粒径の異なる仮焼フェライト微粉砕品を別々に調整し、それらの混合することによっても粒度分布の広い仮焼フェライト微粉砕品を得ることができる。
ボールやビーズの素材としては、所望の粒度分布とすることができれば特に限定されない。例えば、以下のものがあげられる。ソーダガラス(比重2.5g/cm)、ソーダレスガラス(比重2.6g/cm)、高比重ガラス(比重2.7g/cm)等のガラスや、石英(比重2.2g/cm)、チタニア(比重3.9g/cm)、窒化ケイ素(比重3.2g/cm)、アルミナ(比重3.6g/cm)、ジルコニア(比重6.0g/cm)、スチール(比重7.9g/cm)、ステンレス(比重8.0g/cm)。中でも、アルミナ、ジルコニア、ステンレスは、耐磨耗性に優れているために好ましい。
ボールやビーズの粒径は、所望の粒径及び粒度分布が得られれば、特に限定されない。例えば、ボールとしては、φ5mm以上φ60mm以下のものが好適に用いられる。また
、ビーズとしてはφ0.03mm以上φ5mm未満のものが好適に用いられる。
また、ボールミルやビーズミルは、乾式より湿式の方が、粉砕品がミルの中で舞い上がることがなく粉砕効率が高い。このため、乾式より湿式の方がより好ましい。
<工程4(造粒工程)>
得られた仮焼フェライト微粉砕品に対し、水、バインダーと、必要に応じて細孔調整剤を加える。細孔調整剤としては、発泡剤や樹脂微粒子が挙げられる。発泡剤として、例えば、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、炭酸アンモニウムが挙げられる。樹脂微粒子として、例えば、ポリエステル、ポリスチレン、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂の微粒子が挙げられる。バインダーとしては、例えば、ポリビニルアルコールが用いられる。
工程3において、湿式で粉砕した場合は、フェライトスラリー中に含まれている水も考慮し、バインダーと必要に応じて細孔調整剤を加えることが好ましい。
得られたフェライトスラリーを、噴霧乾燥機を用い、100℃以上200℃以下の加温雰囲気下で、乾燥・造粒する。
噴霧乾燥機としては、従来公知のものを使用することができるが、得られる多孔質磁性フェライトコア粒子の粒径を制御し易い点で、スプレードライヤーが好適に使用できる。
個数基準のメジアン径(D50)が25.00μm以上55.00μm以下である磁性キャリアを得るためには、多孔質磁性フェライトコア粒子の個数基準のメジアン径(D50)を23.00μm以上53.00μm以下となるように調整することが好ましい。
例えばスプレードライヤーを用いた場合であれば、噴霧圧力、噴霧量、フェライトスラリー内に含まれるバインダーの量、などを調整することによって達成できる。
<工程5(本焼成工程)>
次に、得られた造粒品を焼成する。該造粒品を800℃以上1300℃以下で1時間以上24時間以下焼成することが好ましく、1000℃以上1200℃以下がより好ましい。
ここで、上記範囲内で焼成温度や焼成時間を制御することで、多孔質磁性フェライトコア粒子の多孔質の度合いを調整できる。
例えば、焼成温度を高くしたり、焼成時間を長くしたりすることで、仮焼フェライト微粉砕品の焼成が進行してフェライト化し、同時に結晶粒子の合一を進行させることができる。これにより磁性フェライトの結晶粒子が三次元的に繋がった、多孔質磁性フェライトコア粒子を得ることができる。
前述したように、多孔質の度合いが高い多孔質磁性フェライトコア粒子は、結晶粒子同士の繋がりの数が多く、繋がりの状態にも「ばらつき」を生じ易い。よって得られる磁性キャリアのパラメータαを小さくし易い傾向にある。
一方で、焼成温度を高くしすぎたり、焼成時間を長くしすぎたりすると、完全に仮焼フェライトが合一、一体化してしまい、細孔がない、または殆どない、中実なフェライトコアとなってしまう。このような中実なフェライトコアは磁性キャリアとしても、該パラメータαはきわめて1に近い値にしかならないため、所望の範囲に調整することができないため、好ましくない。
また、得られる磁性キャリアのパラメータαを好ましい範囲にコントロールする手段として、焼成する際の雰囲気をコントロールすることが挙げられる。例えば、酸素濃度の低い雰囲気や、還元雰囲気(水素存在下)において焼成することにより、得られる磁性キャリアの該パラメータαを小さくできる。これはおそらく多孔質磁性フェライトコア粒子を構成する結晶粒子の酸化が抑えられたことで、印加した現像バイアスが磁性キャリア内部のより多くの結晶同士の繋がりに作用し、見かけ上、繋がり状態の「ばらつき」が大きくなるためと推定される。
<工程6(選別工程)>
以上の様に焼成した粒子を解砕した後に、分級や篩で篩分して粗大粒子や微粒子を除去することで、最終的に得られる磁性キャリア粒子が所望の粒度分布となるように調整することが好ましい。
次いで、磁性キャリア粒子及び磁性キャリアの製造工程の一態様について説明するが、これに限定されない。上述の工程1〜6の方法によって得られた多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に樹脂を充填せしめることで、多孔質磁性フェライトコア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を得ることができる。さらに、得られた磁性キャリア粒子を1種類又は2種以上を混合することで磁性キャリアを得ることができる。
ここで、多孔質磁性フェライトコア粒子に樹脂を充填したものを充填コアと呼ぶ。本発明においてはこの充填コアをそのまま磁性キャリア粒子として用いても良いが、充填コアをさらに樹脂で被覆することで、環境安定性にも優れた磁性キャリア粒子となるため好ましい。
<工程7(樹脂充填工程)>
多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に樹脂が充填された充填コアを得るためには、まず、充填させる樹脂と該樹脂が可溶な溶剤を混合した樹脂溶液を用意する。その後、この樹脂溶液を多孔質磁性フェライトコア粒子に添加する。そして、樹脂溶液を多孔質磁性フェライトコア粒子に含浸させ、その後溶剤のみ除去させる方法が好ましく例示できる。
ここで用いられる溶剤は、充填する樹脂が可溶であれば、有機性の溶剤でも水でもよい。有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。
該樹脂溶液における樹脂の固形分量は、好ましくは1質量%以上30質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
樹脂溶液における樹脂の固形分量が上記範囲であることで、樹脂溶液の粘度が適度なものとなるため、多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に樹脂溶液が侵入し易くなるため好ましい。さらに、細孔に入り込んだ樹脂が細孔内で担持され易くなり、かつ、多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に樹脂を均一に充填し易くなるため好ましい。
細孔への樹脂充填が均一に行われないと、多孔質磁性フェライトコア粒子の表面に樹脂が偏在して、表面を樹脂で厚く被覆したかのようになってしまう場合がある。このような状況になると得られる磁性キャリアのパラメータαが大きくなってしまう場合があるため、細孔へ樹脂を均一に充填することが好ましい。
また粒径の小さい多孔質磁性フェライトコア粒子は細孔へ樹脂溶液を侵入させるのが難しい傾向にあるため、樹脂溶液における樹脂の固形分量を少なくして、樹脂溶液の粘度を低く調整することが好ましい。
よって、小径磁性キャリアのパラメータαを所望の範囲に制御するために、例えば下記の方法を採用することできる。
すなわち多孔質磁性フェライトコア粒子を、一端、分級機や篩を用いて粒径によって分けておき、多孔質磁性フェライトコア粒子の粒径に応じて、樹脂の固形分量の異なる樹脂溶液を用いて充填する方法が好ましく用いられる。
上記多孔質磁性フェライトコア粒子の細孔に充填する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のどちらも用いることができるが、多孔質磁性フェライトコア粒子に対する親和性が高いものであることが好ましい。親和性が高い樹脂を用いた場合には、多孔質磁性
フェライトコア粒子の細孔への樹脂の充填が容易となり、均一な充填が可能となるため、結果として機械的強度に優れたものとなるため好ましい。
上記充填させる樹脂として、熱可塑性樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−アクリル樹脂;スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
また、上記熱硬化性樹脂としては、以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
また、これらの樹脂を変性した樹脂を用いても良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂等の含フッ素系樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂は、多孔質磁性フェライトコアに対する親和性が高いため好ましい。
上記樹脂の中で、熱硬化性樹脂が、磁性キャリアの機械的強度、耐久性に優れるため好ましい。中でもシリコーン樹脂が、磁性キャリアとトナーの付着力を低減でき、より現像性が高まるため好ましい。
例えば、市販品として、以下のものが挙げられる。ストレートシリコーン樹脂では、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レ・ダウコーニング社製のSR2400、SR2405、SR2410、SR2411。変性シリコーン樹脂では、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レ・ダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
<工程8(樹脂被覆)>
磁性キャリア粒子の表面を樹脂で被覆する方法としては、特に限定されないが、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、及び流動床の如き塗布方法により被覆する方法が挙げられる。中でも、浸漬法が均一に表面を被覆しやすいため好ましい。
磁性キャリア粒子の表面を被覆する樹脂の量としては、樹脂が充填された多孔質磁性フェライトコア粒子100質量部に対し、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲で、得られる磁性キャリアの該パラメータαが所望の範囲となるように調整することが好ましい。
また小径磁性キャリアのパラメータαを制御するために、一端、分級機や篩によって充填コアを粒径によって分け、充填コアの粒径に応じて、被覆する樹脂量を調整することが好ましい。上記被覆材を形成する樹脂としては、上記充填させる樹脂と同様のものが使用できる。
上述した樹脂は、単独でも使用できるが、2種類以上を混合して使用してもよい。又、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。特より離型性の高い樹脂を用いることが好適である。
さらに、上記被覆材は、キャリアの帯電付与性をコントロールするために導電性を有する粒子や荷電制御物質を含有していてもよい。
導電性を有する粒子としては、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、酸化錫が挙げられる。
上記荷電制御物質としては、荷電制御性を有する粒子や荷電制御性を有する材料を用いることができる。荷電制御性を有する粒子としては、以下のものがある。
例えば、有機金属錯体の粒子、有機金属塩の粒子、キレート化合物の粒子、モノアゾ金属錯体の粒子、アセチルアセトン金属錯体の粒子、ヒドロキシカルボン酸金属錯体の粒子、ポリカルボン酸金属錯体の粒子、ポリオール金属錯体の粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂の粒子、ポリスチレン樹脂の粒子、メラミン樹脂の粒子、フェノール樹脂の粒子、ナイロン樹脂の粒子、シリカの粒子、酸化チタンの粒子、アルミナの粒子。
荷電制御性を有する材料としては、以下のものがある。例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメトキシジエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、エチレンジアミン、エチレントリアミン、スチレン−(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、イソプロピルトリ(N−アミノエチル)チタネート、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン。
このようにして得られた磁性キャリアについて、風力分級機や気流分級機などの分級機や、篩で篩分して、所望の粒度分布になるように調整することが好ましい。
本発明の二成分系現像剤は、トナーと本発明の磁性キャリアを少なくとも含有する二成分系現像剤である。本発明において、二成分現像剤を構成するトナーは、公知のものを用いることができる。トナーは結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有するトナー粒子を有するものが用いられる。
本発明に用いられる結着樹脂は、トナーの保存性と低温定着性を両立するために、ゲルパーミションクロマトグラフィー(GPC)により測定される分子量分布のピーク分子量(Mp)が、2,000以上50,000以下であることが好ましい。また同様の理由により、当該結着樹脂は、数平均分子量(Mn)が、1,500以上30,000以下、重量平均分子量(Mw)が、2,000以上1,000,000以下であることが好ましく、ガラ
ス転移点(Tg)は40℃以上80℃以下であることが好ましい。
上記結着樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリエステル、ポリスチレン;ポリ−p−クロルスチレン、ポリビニルトルエンの如きスチレン誘導体の重合体;スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体の如きスチレン共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂;脂肪族多価アルコール、脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジアルコール類及びジフェノール類から選択されるモノマーを構造単位として有するポリエステル樹脂;ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油樹脂、ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂。
着色剤は、トナーに用いられる公知の着色剤であれば、特に限定されない。当該着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1乃至30質量部であり、より好ましくは0.5乃至20質量部であり、最も好ましくは3乃至18質量部である。特に、高着色力のブラックトナーにおいては、8乃至15質量部である。高着色力のマゼンタトナーにおいては、8乃至18質量部である。高着色力のシアントナーにおいては、
6乃至12質量部である。高着色力のイエロートナーにおいては、8乃至17質量部である。着色剤の分散性や発色性の観点から上記の範囲で用いるのが好ましい。
トナーには、必要に応じてワックスを含有させることもできる。ワックスの使用量は、結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部以上20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは2質量部以上15質量部以下である。また、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度としては45℃以上140℃以下であることが、トナーの保存性とホットオフセット性を両立できるため好ましい。
ワックスとしては、以下のものが挙げられる。パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ベヘン酸ベヘニルエステルワックス、モンタン酸エステルワックスの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
トナーには、必要に応じて荷電制御剤を含有させることもできる。トナーに含有される荷電制御剤としては、公知のものが利用できるが、特に、無色でトナーの摩擦帯電スピードが速く且つ一定の摩擦帯電量を安定して保持できる芳香族カルボン酸の金属化合物が好ましい。具体的には、ネガ系荷電制御剤としては、サリチル酸金属化合物、ナフトエ酸金属化合物、ダイカルボン酸金属化合物、スルホン酸又はカルボン酸を側鎖に持つ高分子型化合物、スルホン酸塩或いはスルホン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、カルボン酸塩或いはカルボン酸エステル化物を側鎖に持つ高分子型化合物、ホウ素化合物、尿素化合物、ケイ素化合物、カリックスアレーンが挙げられる。ポジ系荷電制御剤としては、四級アンモニウム塩、前記四級アンモニウム塩を側鎖に有する高分子型化合物、グアニジン化合物、イミダゾール化合物が挙げられる。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添しても良いし外添しても良い。荷電制御剤の添加量は結着樹脂100質量部に対し0.2質量部以上10質量部以下が好ましい。
トナーには、トナーと磁性キャリアとの離型性を高めるためのスペーサー粒子として、個数基準の粒度分布における80nm以上200nm以下の範囲に極大値を少なくとも1つ以上有する無機粒子が外添されることが好ましい。
更に、流動性や転写性の向上を狙って、トナー粒子にその他の無機粒子が添加されていてもよい。上記のトナー粒子表面に外添される無機粒子は、酸化チタン、アルミナ、シリカを含むことが好ましい。その粒径は、個数基準の粒度分布における10nm以上50nm以下の範囲に極大値を少なくとも1つ以上有する無機粒子を含有させることが好ましく、上記スペーサー粒子と共に併用することも好ましい形態である。
これら外添剤の総含有量は、トナー粒子100質量部に対して、0.3質量部以上5.0質量部以下であることが好ましく、0.8質量部以上4.0質量部以下であることがより好ましい。その中で個数基準の粒度分布における80nm以上200nm以下の範囲に極大値を少なくとも1つ以上有する無機粒子の含有量は、0.1質量部以上2.5質量部以下、より好ましくは、0.5質量部以上2.0質量部以下である。この範囲内であれば、スペーサー粒子として効果がより顕著となる。
また、外添剤として用いられる無機粒子の表面は、疎水化処理をされていることが好ましい。疎水化処理された外添剤は、疎水化処理後の無機粒子のメタノール滴定試験によって滴定された疎水化度(メタノールウェッタビリティー;メタノールに対する濡れ性を示す指標)が60以上92以下であることが好ましい。
トナー粒子を製造する方法としては、少なくとも結着樹脂及び着色剤、必要に応じて、その他の内添物を溶融混練し、混練物を冷却後、粉砕及び分級する粉砕方法;懸濁重合方法を用いて直接トナー粒子を生成する方法;少なくとも結着樹脂と着色剤とを溶剤中に溶解/膨潤/分散させた溶液をしかるべき粒径に分散させ、該溶剤を除去することによってトナー粒子を得る懸濁造粒方法;モノマーでは可溶であるが、重合体を形成すると不溶となるモノマーと水系有機溶媒を用いて直接トナー粒子を生成するモノマーには可溶で得られる重合体が不溶な水系有機溶剤を用い直接トナー粒子を生成する分散重合方法;水溶性極性重合開始剤存在下で直接重合しトナー粒子を生成するソープフリー重合方法に代表さ
れる乳化重合方法を用いトナー粒子を製造する方法;少なくとも重合体微粒子及び着色剤微粒子を凝集して微粒子凝集体を形成する工程と該微粒子凝集体中の微粒子間の融着を起こさせる熟成工程を経て得られる乳化凝集法;がある。
本発明において、もっとも良好に高着色力のトナーを製造できる粉砕法でのトナー製造手順について説明する。
原料混合工程では、トナー粒子を構成する材料として、結着樹脂及び着色剤、並びに必要に応じてワックス及び荷電制御剤等の他の成分を所定量秤量して配合し、混合する。混合装置の一例としては、ダブルコン・ミキサー、V型ミキサー、ドラム型ミキサー、スーパーミキサー、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサがある。
次に、混合した材料を溶融混練して、結着樹脂中に着色剤等を分散させる。その溶融混練工程では、加圧ニーダー、バンバリィミキサーの如きバッチ式練り機や、連続式の練り機を用いることができ、連続生産できる優位性から、1軸又は2軸押出機が好ましい。例えば、神戸製鋼所社製KTK型2軸押出機、東芝機械社製TEM型2軸押出機、池貝鉄工製PCM混練機、ケイ・シー・ケイ社製2軸押出機、ブス社製コ・ニーダーが使用できる。
より着色剤の分散を良好にするために、着色剤と結着樹脂とを着色剤のコンテンツを高めた状態で予め混練させたマスターバッチを用いて、さらに上述の混練(希釈混練)をすることができる。その着色剤マスターバッチを作る方法として着色剤合成後に、乾燥することなく含水状態(ペースト着色剤)で樹脂と加熱混合後、乾燥ペレット化する。混練装置としては、加熱ニーダー、一軸押し出し機、二軸押出機、ニーダーが挙げられ、特に好ましくは加熱ニーダーが挙げられる。マスターバッチにおける着色剤量は、20質量%以上50質量%以下であることが、希釈時のピグメントショック抑制や分散性を高める上で好ましい。
更に、溶融混練することによって得られる着色された樹脂組成物は、2本ロールで圧延され、冷却工程で水によって冷却される。
ついで、樹脂組成物の冷却物は、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕される。
その後、必要に応じて慣性分級方式の日鉄鉱業社製エルボージェット、遠心力分級方式のホソカワミクロン社製ターボプレックスの如き分級機や篩分機を用いて分級し、トナー粒子を得る。
また、必要に応じて、粉砕後に、奈良機械製作所製のハイブリタイゼーションシステム又はホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステム、ファカルティ等を用いて、球形化処理の如きトナー粒子の表面改質処理を行うこともできる。
一方、上記重合法によりトナー粒子を生成する場合には、使用するモノマーとしては、ビニル系樹脂に用いられるモノマーが挙げられる。
重合開始剤として、アゾ系重合開始剤、過酸化物系重合開始剤が用いられる。
重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的にはモノマーに対し0.5〜20質量%添加され用いられる。重合開始剤は、重合方法により若干異なるが、10時間半減期温度を参考に、単独又は混合し利用される。重合度を制御するための公知の架橋剤、連鎖移動剤、重合禁止剤を更に添加し用いることも可能である。
トナーの製造方法として懸濁重合を利用する場合には、分散剤を用いてもよい。用いる分散剤としては、無機系酸化物化合物や有機系化合物が挙げられる。
これら分散剤は水相に分散させて使用される。これら分散剤の好ましい配合量は、モノマー100質量部に対して0.2乃至10.0質量部である。
これら分散剤は、市販のものをそのまま用いても良いが、細かい均一な粒度を有する分散粒子を得るために、分散媒中に、高速撹拌下にて該無機化合物を生成させることも出来る。例えば、リン酸三カルシウムの場合、リン酸ナトリウム水溶液と塩化カルシウム水溶液を高速撹拌下において混合することで懸濁重合により好ましい分散剤を得ることが出来る。また、モノマー100質量部に対して0.001乃至0.1質量部の界面活性剤を併用しても良い。
上述のように本発明の磁性キャリアは、磁性キャリアとトナーを含む二成分系現像剤として用いることができる。該二成分系現像剤は、現像器内に収容された現像剤担持体上に担持させて現像に用いる現像剤として用いることができる。
現像剤として用いる場合は、混合比率を磁性キャリア100質量部に対してトナーを2質量部以上35質量部以下とすることが好ましく、4質量部以上25質量部以下がより好ましい。上記範囲とすることで、高画像濃度を達成しトナーの飛散を低減することができる。一方、本発明の磁性キャリアとトナーを含む二成分系現像剤は、現像器に補給し、且つ、少なくとも現像器内部で過剰になった磁性キャリアを現像器から排出する二成分現像方法に用いる補給用現像剤として用いることもできる。
補給用現像剤としてもちいる場合には、現像剤の耐久性を高めるという観点から、混合比率を磁性キャリア1質量部に対してトナーを2質量部以上50質量部以下とすることが好ましい。
本発明にかかる磁性キャリア、二成分系現像剤に用いるトナーの各種物性の測定法について以下に説明する。
<磁性キャリアのパラメータαの算出方法>
パラメータαの算出法について図面に従って詳細に説明する。磁性キャリアのパラメータαの値は、以下の手順で算出することができる。
(サンプルの秤量)
まず、測定する試料(磁性キャリア、または磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリア)を用意する。
試料を、電極面積が4.9cmである円筒型電極(直径2.5cm)を有するサンプルホルダに封入し、電極間に100Nの押し圧をかけたときに封入したサンプルの厚みが0.95mm以上1.05mm以下の範囲となるように封入し、封入された試料を秤量した。
(測定回路の説明)
上記のサンプルホルダの電極間に図4に示すように配線を行い、サンプルホルダの電極間に100Nの押し圧をかけた状態において、サンプルホルダ内部に封入した磁性キャリアの交流インピーダンス測定を行った。
尚、本測定では、1000V/cmの電界下におけるパラメータαを求めるために、直流電圧を印加した状態における交流インピーダンス測定を行う。このため、図4に示すように、正弦波電圧Vacに直流電圧Voを重畳した交番バイアスをサンプルホルダの電極間に印加する。ここで、正弦波電圧Vacの振幅は実効値で1V、直流電圧Voは磁性キ
ャリアにかかる電界が1000V/cmとなるようにした。詳細は、後述する。
更に、このときにab間に流れる応答電流の交流成分のみを取り出し、解析することで、直流電界下におけるインピーダンスを測定した。インピーダンス測定装置としては、Solartron社製1260型周波数応答解析装置(FRA)及び、同社製1296型誘電率測定インターフェイスを用いた。上記交番バイアスに用いられる、直流電圧Voは、波形発振器から出力した直流電圧信号を、Trek社製PZD2000型高電圧電源で増幅して得た。又、正弦波電圧Vacは1296型誘電率測定インターフェイスのSAMPLE−HI端子より出力される。更に図4に示すように、測定系にコンデンサC1(66μF)及びツェナーダイオードD1(5V)を配置することで、正弦波電圧Vacに直流電圧Voを重畳することで、上記交番バイアスを得た。又、応答電流は、図4中の抵抗器R2(10kΩ)、コンデンサC2(33μF)、及びツェナーダイオードD2(5V)を用いた分流回路を用いることで、直流成分と交流成分に分離することができる。このとき、コンデンサC2側に流れる交流成分のみを1260型インピーダンスアナライザのINPUT−V1−LO端子および、1296型誘電率測定インターフェイスのSAMPLE−LO端子に入力し、応答電流波形の解析を行い、インピーダンスを測定した。尚、図4中の抵抗器R1(10kΩ)は保護抵抗であり、測定系に流れる最大電流量を制限する。(複素インピーダンスの測定)
本実施例では、Solartron社製インピーダンス測定ソフトウエアSMaRTを用いて、インピーダンスの自動測定を行った。SMaRTでは、所定の周波数fの正弦波電圧と正弦波電圧に対する応答電流から、周波数fに対する複素インピーダンス(下記式)を測定することができる。
Figure 2011158766
インピーダンスの周波数特性を測定するために、上記正弦波電圧の周波数f(Hz)は、1Hzから1MHzまでの範囲で複数の周波数でインピーダンス測定を行った。
具体的には、1.0、1.6、2.5、4.0、6.3、1.0×10、1.6×10、2.5×10、4.0×10、6.3×10、1.0×10、1.6×10、2.5×10、4.0×10、6.3×10、1.0×10、1.6×10、2.5×10、4.0×10、6.3×10、1.0×10、1.6×10、2.5×10、4.0×10、6.3×10、1.0×10、1.6×10、2.5×10、4.0×10、6.3×10、1.0×10Hzで測定を行った。
正弦波電圧Vacの振幅は実効値で1Vとした。
上記のように、1Hzから1MHzの周波数範囲において複数の周波数で測定した複素インピーダンスZを複素平面状にプロットすることで、所謂Cole−Coleプロット(ナイキスト線図)を作成した。
(等価回路によるフィッティング)
次に、交流インピーダンス測定で得られた複素インピーダンス測定データからパラメータαを求める方法について具体的に説明する。
作成したCole−Coleプロットは、Solartron社製解析ソフトウエアZView2のInstant Fit機能を使用し、図5に示した等価回路の複素インピ
ーダンスと対応させてフィッティングを行った。これによりインピーダンス測定データのフィッティングパラメータとしてαを求めた。
ここで、図5においてRs、Rは抵抗であり、CPEはConstant Phase
Element(定相要素)と呼ばれる回路素子であり、コンデンサに近い振る舞いをする仮想的なコンデンサ素子である。CPEの複素インピーダンスZCPEの周波数特性は下記式(3)で表される。
Figure 2011158766
ここで、ωはインピーダンス測定の角周波数、iは虚数単位である。又、αは0.00から1.00までの実数のパラメータである。TはCPEの静電容量を反映したパラメータであり、α=1のときはコンデンサの静電容量となり、F(ファラッド)の次元を持つ。
図5のフィッティング回路全体のインピーダンスは、下記式(4)で表される。
Figure 2011158766
尚、Rsはフィッティングの精度を向上させるためにフィッティング回路に導入した仮想的な抵抗であるため、負の値をとってもよい。
図6は図4の回路において、Rs=100Ω、R=1×10Ωとし、T=2×10−10α・Ωα−1、α=1.0、α=0.9、α=0.8、およびα=0.7におけるCole−Coleプロットを示している。Cole−Coleプロットの形状から解るように、上記(4)式におけるαはCole−Coleプロットの描く円弧の歪み対応したパラメータである。
(電界下におけるα)
1000V/cmの電界下における、試料のパラメータαの値は以下のように求めた。
まず、1000V/cmの電界下における、試料のパラメータαの値とは、試料に印加
される平均の電界強度Esampleが1000V/cmである時の、試料のパラメータαの値を意味している。そして、試料に印加される平均の電界強度Esampleは、インピーダンス測定時に電極間の試料が分担する電圧の直流成分Vsampleと電極間距離Lを用いて、Vsample/Lで表される。Vsampleの値は、図4の回路図に示したa点における電位とb点における電位の差分により測定することができる。本測定では、Tktronix社製の高電圧プローブP6015Aを用いて、a点及びb点における電位を測定し、それらの電位の差分によりサンプルホルダの電極間の分担電圧Vsampleを測定した。又、Vsampleの値は、高電圧電源から出力される直流電圧Voの電圧を変化させることで調整した。このようにして、複数の電界強度Eにおいてインピーダンス測定を行い、各電界強度下におけるαを求め、グラフにプロットすることで、1000V/cmの電界下における試料のパラメータαの値を算出した。
<磁性キャリア粒子の断面の反射電子像における多孔質磁性フェライトコア部領域(以下、磁性コア部領域ともいう)の面積比率の測定方法>
磁性キャリア粒子の断面加工には、集束イオンビーム加工観察装置(日立ハイテクノロジーズ社製、型式FB−2100、以下FIBと記載することがある)を用いた。FIB用試料台(金属メッシュ)上にカーボンペーストを塗り、その上に磁性キャリア粒子を1粒子ずつ独立して存在するように少量固着させ、導電膜として白金蒸着することで試料を作製する。試料をFIB装置にセットし、加速電圧40kV、Gaイオン源を用いて、粗加工し(ビーム電流39nA)、続いて仕上げ加工(ビーム電流7nA)を行い、試料断面を削り出す。
尚、試料とする磁性キャリア粒子は、各試料の最大径をDmaxとしたとき、Dmaxと磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)との関係が、D50×0.9≦Dmax≦D50×1.1の関係にある、磁性キャリア粒子を測定の対象とした。
さらに、各試料の固着面に対して平行な方向における、最大長を含む平面の位置を、固着面からの距離hとする(例えば、半径rの完全な球体の場合、h=rとなる)。固着面より垂直な方向に、固着面からの距離0.9×h以上1.1×h以下の範囲において、断面を削り出す。
断面加工した試料は、そのまま走査型電子顕微鏡(SEM)観察に適用することができる。走査型電子顕微鏡観察において、試料から放出されてくる反射電子の量は、重元素ほど多いことが知られている。例えば、有機化合物と鉄のような金属が平面状に分布している試料であれば、鉄からの反射電子の放出量がより多く検出されるため、鉄部分が画像上では明るく(輝度が高い、白く)見えることになる。一方、軽元素化合物から構成される
有機化合物からの反射電子量は少ないため、画像上では暗く(輝度が低く、黒く)見えることになる。本発明の磁性キャリア粒子の断面観察においては、多孔質磁性フェライトコア部領域に由来する金属酸化物部が明るく(輝度が高い、白く)、多孔質磁性フェライトコア部以外の領域は、暗く(輝度が低く、黒く)見えるため、それぞれ大きなコントラスト差を持った画像が得られる。具体的には、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、型式S−4800、以下SEMと記載することがある)、を用いて、以下の条件にて観察した。尚、フラッシング操作を行ってから観察した。
SignalName=SE(U,LA100)
AcceleratingVoltage=5000Volt
EmissionCurrent=10000nA
WorkingDistance=4000um
LensMode=High
Condencer1=3
ScanSpeed=Slow4(40sec)
Magnification=1500
DataSize=1280x960
ColorMode=Grayscale
SpecimenBias=0V
尚、反射電子像のキャプチャは、上記条件のほか、走査電子顕微鏡S−4800の制御ソフト上で‘コントラスト5、ブライトネス−5’に明るさを調整し、磁性体観察モードはOFFとし、256階調のグレースケール画像を得た。
磁性キャリア粒子の断面の反射電子像における多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率の算出は、磁性キャリア粒子断面のグレースケールのSEM反射電子画像について、画像解析ソフトを用いて以下の手順で計算される。
画像解析ソフトとしてはImage−ProPlus5.1J(Media Cybernetics社製)を用いた。
ここで図2に、本発明の磁性キャリア粒子の加工断面のSEM反射電子画像の一例を示す。図2において、磁性キャリア粒子の加工断面領域1、多孔質磁性フェライトコア部(以下、磁性コア部ともいう)2、磁性コア部以外の領域3を示している。
まず磁性キャリア粒子の加工断面領域1のみを画像上であらかじめ指定する。尚、磁性キャリア粒子の加工断面領域と背景の境界については、反射電子観察像から容易に区別できる。粒子指定した断面領域について、256階調のグレースケール画像とする。階調値の下位より0乃至129階調を磁性コア部以外の領域、130乃至254階調を磁性コア部領域の2領域に画像上で分割する。255階調目は加工断面領域外の背景部分とする。磁性キャリア粒子の加工断面領域1とは、磁性コア部2、磁性コア部以外3で構成され、これのみを取り出した図を図3に示す。
磁性キャリア粒子の断面における磁性コア部の面積比率の測定方法は、図3における磁性キャリア粒子の加工断面領域を画像上であらかじめ指定し、磁性キャリア粒子の断面面積とする。磁性コア部2が占める面積を磁性キャリア粒子の断面面積(磁性キャリア粒子の加工断面領域1の面積)で除した値(%で表示する)を、「磁性コア部の面積比率(面積%)」とする。本発明においては、無作為に選択した25個の磁性キャリア粒子について同様の測定を行い、その平均値を磁性コア部領域の面積比率として用いた。
<磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)、粒径がD50×0.8μm以下の磁性キャリア粒子の個数%の測定方法>
磁性キャリアの粒度分布測定には、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置(日機装株式会社製、マイクロトラックMT3300EX)を用いた。
このとき乾式測定用の試料供給機「ワンショットドライ型サンプルコンディショナーTurbotrac」(日機装社製)を装着して行った。
Turbotracの供給条件として、真空源として集塵機を用い、風量約33リット
ル/sec、圧力約17kPaとした。
制御は、ソフトウエア上で自動的に行う。そして、個数基準のメジアン径(D50)を求めた。制御及び解析は付属ソフト(バージョン10.3.3−202D)を用いて行う。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :10秒
測定回数 :1回
粒子屈折率 :1.81
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
光学台 :MT3300(LOW−DRY)
分布表示 :個数
粒径区分選択 :標準(測定上限〜測定下限を常用対数基準で100Chに分割)溶媒名 :空気
溶媒屈折率 :1.00
得られた磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)から、個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍[D50×0.8]を計算した。
このとき、同時に得られた粒度分布を用いて、粒径が個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍[D50×0.8]以下の磁性キャリアの個数%を測定する。
粒度分布において、磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍の値が、そのまま粒度分布のチャンネルの閾値と一致することは殆どない。そのため個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍の値をはさむ、上下のチャンネルまでの累積個数%の値を、比例按分することで粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子の個数%を求めた。
例えば図1は、個数基準のメジアン径(D50)が34.12μmである磁性キャリアの粒度分布を示している。このとき個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍の値は27.30μmとなるが、27.30μmはチャンネルの閾値とは一致しないため、上下それぞれのチャンネルまでの累積個数%を用い、これを比例按分することで求めた。
具体的には上のチャンネル(Ch46)である28.53μm以下の累積個数%(=21.81%)と、下のチャンネル(Ch47)である26.16μm以下の累積個数%(=12.47%)を用いて、以下のように計算して求めた。
{(21.81−12.47)/(28.53−26.16)}×(27.30−26.16)+12.47=16.96%これにより、図1における粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子の個数%は16.96%と求まる。
<多孔質磁性フェライトコア粒子の個数基準の50%粒径(D50)の測定方法>
磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)の測定方法に準じて行った。
<仮焼フェライト微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)、体積基準の90%粒径(D90)の測定方法>
粒度分布測定は、レーザー回折・散乱方式の粒度分布測定装置「マイクロトラックMT3300EX」(日機装社製)にて測定を行った。
仮焼フェライト微粉砕品の体積基準の50%粒径(D50)、体積基準の90%粒径(D90)の測定では、湿式用の試料循環器「Sample Delivery Control(SDC)」(日機装社製)を装着して行った。仮焼フェライト(フェライトスラリー)を測定濃度になるように試料循環器に滴下した。流速 70%、超音波出力 40W、超音波時間 60秒とした。
測定条件は下記の通りである。
SetZero時間 :10秒
測定時間 :30秒
測定回数 :10回
溶媒屈性率 :1.33
粒子屈折率 :2.42
粒子形状 :非球形
測定上限 :1408μm
測定下限 :0.243μm
測定環境 :約23℃/50%RH
<磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリアのパラメータαの測定方法>
振動篩(ホソカワミクロン社製 パウダーテスター 型式PT−R)に、目開き25.00μmの篩を取り付けた。
目開き25.00μmの篩としては、日本スクリーン株式会社製のTest sieves試験用ふるい(ふるい目開きコード52 JIS Z 8801準拠 材質ステンレス
φ75mm×20mmH 線径25)を用いた。
そして篩いの上側から磁性キャリア50gを投入し、振幅1.5mm、振動時間60秒振動させ、磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られるキャリア(小径磁性キャリア)をサンプリングした。
その後、篩を振動篩から取り外し、篩の上側に残った磁性キャリアを取り除いてエアブローにて篩いを清掃した。
5gの小径磁性キャリアが得られるまで、この操作を複数回繰り返し(毎回、新たな磁性キャリア50gを篩にかける)、約5gの小径磁性キャリアを採取した。
該小径磁性キャリアを試料とし、磁性キャリアのパラメータαの測定方法に準じて、小径磁性キャリアのパラメータαを測定した。
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
トナーの重量平均粒径(D4)の測定には、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いた。
また測定条件設定及び測定データ解析をするための付属の専用ソフトとして「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いた。
実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行ない、算出した。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
尚、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行なった。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定した。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定した。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れた。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定した。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250ml丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mlを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行なった。そして、解析ソフトの「アパーチャーのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておいた。
(2)ガラス製の100ml平底ビーカーに前記電解水溶液約30mlを入れた。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3ml加えた。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力が120Wである超音波分散器「Ultrasonic Dispension
System Tetora150」(日科機バイオス社製)を用意した。該超音波分散器の水槽内に所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加した。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させた。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整した。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させた。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続した。尚、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節した。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解質水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整した。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行なった。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行ない、重量平均粒径(D4)を算出した。尚、前記専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。
<トナーの平均円形度の測定方法>
トナーの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)の測定原理は、流れている粒子を静止画像として撮像し、画像解析を行うというものである。試料チャンバーへ加えられた試料は、試料吸引シリンジによって、フラットシースフローセルに送り込まれる。フラットシースフローに送り込まれた試料は、シース液に挟まれて扁平な流れを形成する。フラットシースフローセル内を通過する試料に対しては、1/60秒間隔でストロボ光が照射されており、流れている粒子を静止画像として撮影することが可能である。また、扁平な流れであるため、焦点の合った状態で撮像される。粒子像はCCDカメラで撮像され、撮像された画像は、1視野が512画素×512画素であり、1画素あたり0.37×0.37μmの画像処理解像度で画像処理され、各粒子像の輪郭抽出を行い、粒子像の投影面積や周囲長等が計測される。
次に、各粒子像の投影面積Sと周囲長Lを求める。上記面積Sと周囲長Lを用いて円相当径と円形度を求める。円相当径とは、粒子像の投影面積と同じ面積を持つ円の直径のことであり、円形度は、円相当径から求めた円の周囲長を粒子投影像の周囲長で割った値として定義され、次式で算出される。
円形度C=2×(π×S)1/2/L
粒子像が真円形の時に円形度は1.000になり、粒子像の外周の凹凸の程度が大きくなるほど円形度は小さい値になる。
各粒子の円形度を算出後、円形度0.200以上1.000以下の範囲を800分割したチャンネルに振り分け、各チャンネルの中心値を代表値として平均値を計算し平均円形度の算出を行った。
具体的な測定方法を以下に説明する。
まずビーカーにイオン交換水20mlを入れ、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(界面活性剤)を0.02g加えた後、測定試料0.02gを加えた。
そして卓上型の超音波洗浄器分散機(ヴェルヴォクリーア社製、VS−150)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。
その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却した。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。
前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測した。
粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上200.00μm以下に限定し、トナーの平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<樹脂のピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)の測定方法>
ピーク分子量(Mp)、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。試料としては、樹脂を用いる。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マエショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。尚、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が約0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置 :HLC8120 GPC(検出器:RI)(東ソー社製)
カラム :Shodex KF−801、802、803、804、805、
806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液 :テトラヒドロフラン(THF)
流速 :1.0ml/min
オーブン温度 :40.0℃
試料注入量 :0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。標準ポリスチレン樹脂としては、例えば、商品名「TSKスタンダード
ポリスチレン F−850、F−450、F−288、F−128、F−80、F−40、F−20、F−10、F−4、F−2、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、A−500」、東ソ−社製が挙げられる。
<ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度、樹脂のガラス転移点Tgの測定方法>
ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度は、示差走査熱量分析装置「Q1000」(TA Instruments社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、ワックスを10mg精秤し、これをアルミニウム製のパンの中に入れ、リファレンスとして空のアルミニウム製のパンを用い、測定温度範囲30以上200℃以下
の間で、昇温速度10℃/minで測定を行う。尚、測定においては、一度200℃まで昇温させ、続いて30℃まで降温し、その後に再度昇温を行う。この2度目の昇温過程での温度30以上200℃以下の範囲におけるDSC曲線の最大の吸熱ピークを示すときの温度を、ワックスの最大吸熱ピークのピーク温度とする。
また、樹脂のガラス転移点(Tg)は、ワックスの吸熱ピークの測定と同様に、樹脂またはトナーを約10mg精秤し測定する。温度40℃以上100℃以下の範囲において比熱変化が得られる。このときの比熱変化前と比熱変化後のベースラインの中間点の線と示差熱曲線との交点を、樹脂のガラス転移点Tgとする。
<樹脂の軟化点の測定方法>
樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT−500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。尚、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax−Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和と、交わるときの流動曲線の温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料には、1.0gの樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(NT−100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて10MPaで、60秒間圧縮成型し、直径8mmの円柱状としたものを用いる。一方、CFT−500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:40℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm
試験荷重(ピストン荷重):10.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
<外添剤の個数平均粒径の測定方法>
外添剤の個数平均粒径は、外添剤を透過電子顕微鏡で観察し、100個の粒子の長径を測定して個数平均粒子径を求める。一方、トナー粒子上の粒子径を測定する場合は、走査電子顕微鏡で観察し、100個の粒子の長径を測定して個数平均粒子径を求める。なお、測定時の倍率は40000倍とし、0.5nm以上の粒子を対象とする。
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、以下の配合において、特に説明が無い場合、「部」、「%」は質量基準である。
<仮焼フェライト微粉砕品1の製造例>
工程1(秤量・混合工程):
Fe 62.3質量%
MnCO 31.0質量%
Mg(OH) 6.1質量%
SrCO 0.6質量%
となるようにフェライト原材料を秤量した。その後、ジルコニア(φ10mm)のボールを用いた乾式ボールミルで2時間粉砕・混合した。
工程2(仮焼成工程):
粉砕・混合した後、バーナー式焼成炉を用い大気中において950℃で2時間焼成し、仮焼フェライトを作製した。
工程3(粉砕工程):
クラッシャーで0.5mm程度に粉砕し仮焼フェライトを得た。
仮焼フェライトをジルコニア(φ10mm)のボールを用い、仮焼フェライト100質量部に対し、水を30質量部加え、湿式ボールミルで1時間粉砕し、フェライトスラリー1−1を得た。
フェライトスラリー1−1の半分を、さらにジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで3時間粉砕し、フェライトスラリー1−2を得た。
フェライトスラリー1−1と1−2をジルコニアのビーズ(φ1.0mm)を用いた湿式ビーズミルで10分間混合し、フェライトスラリー1を得た(フェライトスラリー1内に含まれる仮焼フェライト微粉砕品を仮焼フェライト微粉砕品1と呼ぶこととする)。
得られた仮焼フェライト微粉砕品1は、体積基準の50%粒径(D50)は1.21μm、体積基準の90%粒径(D90)は3.85μm、D90/D50は3.18であった。
<仮焼フェライト微粉砕品2乃至5の製造例>
仮焼フェライト微粉砕品1の製造例において、工程1(秤量・混合工程)におけるフェライト原材料や、工程3(粉砕工程)における粉砕条件を、表1のごとく変更した以外は、仮焼フェライト微粉砕品1の製造例と同様にして、フェライトスラリー2乃至5(仮焼フェライト微粉砕品2乃至5を含むスラリー)を得た。詳細を表1に示す。
<仮焼フェライト微粉砕品6の製造例>
仮焼フェライト微粉砕品1の製造例において、工程1(秤量・混合工程)におけるフェライト原材料を表1のように変更し、工程3(粉砕工程)を以下のごとく変更した以外は、仮焼フェライト微粉砕品1の製造例と同様にして、フェライトスラリー6(フェライトスラリー6内に含まれる仮焼フェライト微粉砕品6と呼ぶこととする)を得た。
工程3(粉砕工程):クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した仮焼フェライトを用い、仮焼フェライト100質量部に対して水を30質量部加えた。その後、1/8インチ径(=φ3.18mm)のステンレスのボールを用いて湿式ボールミルで1時間粉砕し、さらに1/16インチ径(=φ1.59mm)のステンレスのビーズを用いて湿式ビーズミルで4時間粉砕した。仮焼フェライト微粉砕品6の詳細を表1に示す。
<仮焼フェライト微粉砕品7の製造例>
仮焼フェライト微粉砕品1の製造例において、工程1(秤量・混合工程)におけるフェライト原材料を表1のように変更し、工程3(粉砕工程)を以下のごとく変更した以外は、仮焼フェライト微粉砕品1の製造例と同様にして、フェライトスラリー7(フェライトスラリー7内に含まれる仮焼フェライト微粉砕品7と呼ぶこととする)を得た。
工程3(粉砕工程):クラッシャーで0.5mm程度に粉砕した仮焼フェライトを用い、仮焼フェライト100質量部に対して水を30質量部加えた。その後、1/8インチ径(=φ3.18mm)のステンレスのボールを用いて湿式ボールミルで2時間粉砕し、さらに1/16インチ径(=φ1.59mm)のステンレスのビーズを用いて湿式ビーズミルで4時間粉砕した。仮焼フェライト微粉砕品7の詳細を表1に示す。
Figure 2011158766
<多孔質磁性フェライトコア粒子1の製造例>
工程4(造粒工程):
フェライトスラリー1(仮焼フェライト微粉砕品1を含むスラリー)に、仮焼フェライト微粉砕品1の100質量部を基準に、バインダーとしてポリビニルアルコールを2.0
質量部添加した。その後、スプレードライヤー(大川原化工機社製、FL−12型)を用いて球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
焼成雰囲気をコントロールするために電気炉内に窒素を導入し、窒素雰囲気下(酸素濃度0.01体積%以下)で、焼成温度1150℃で4時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、多孔質磁性フェライトコア1を得た。製造条件を表2に示す。
<多孔質磁性フェライトコア粒子2乃至19の製造例>
多孔質磁性フェライトコア粒子1の製造例において、工程4(造粒工程)で用いるフェライトスラリー(仮焼フェライト微粉砕品)の種類、ポリビニルアルコールの添加量、工程5(本焼成工程)における焼成雰囲気、焼成温度、酸素濃度を表2のごとく変更した。それ以外は、多孔質磁性フェライトコア粒子1の製造例と同様にして、多孔質磁性フェライトコア2乃至19を製造した。製造条件を表2に示す。
なお多孔質磁性フェライトコア粒子6、9、11、16の製造例においては、焼成雰囲気を窒素と水素の混合気体(標準状態における体積比率を窒素:水素=80:20とした)の雰囲気に変更した。
<多孔質磁性フェライトコア粒子7−1、7−2の製造例>
多孔質磁性フェライトコア7を半分に分け、一方はそのままとした。
もう一方を風力分級機(日鉄鉱業社製 エルボジェットラボ EJ−L3型)に投入し、フィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、多孔質磁性フェライトコア7を粒径の小さいものと大きいものの2つに分離した。
これにより多孔質磁性フェライトコア7―1(個数基準のメジアン径(D50)が21.41μm)、多孔質磁性フェライトコア7―2(個数基準のメジアン径(D50)が42.51μm)を得た。結果を表3に示す。
<磁性フェライトコア1の製造例>
工程4(造粒工程):
フェライトスラリー7(仮焼フェライト微粉砕品7を含むスラリー)に、仮焼フェライト微粉砕品7の100質量部を基準に、バインダーとしてポリビニルアルコールを2.0質量部添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で球状粒子に造粒した。
工程5(本焼成工程):
電気炉内に空気(酸素濃度21体積%)を導入し、焼成温度1380℃で7時間焼成した。
工程6(選別工程):
凝集した粒子を解砕した後に、目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去し、磁性フェライトコア1を得た。製造条件を表2に示す。
Figure 2011158766
<樹脂溶液1の調製>
シリコーン樹脂(SR2411 東レ・ダウコーニング社製) 50.0質量部
(固形分20質量%)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2.0質量部
トルエン 48.0質量部
以上を混合し、シリコーン樹脂の固形成分が10質量%である樹脂溶液1を得た。
<樹脂溶液2の調製>
100質量部の樹脂溶液1に対して、トルエンを100質量部加えて希釈、混合し、シリコーン樹脂の固形成分が5質量%である樹脂溶液2を得た。
<充填コア1の製造例>
多孔質磁性フェライトコア1 100質量部を万能撹拌混合機(ダルトン社製 NDMV型)に入れ、減圧下、50℃に加熱しながら100min−1で撹拌する。
続いて、万能撹拌混合機内の多孔質磁性フェライトコア1(100質量部)に対して、樹脂溶液1をシリコーン樹脂の固形分換算で9.0質量部となるように添加し、シリコーンを充填させた後、70℃に温度を上げ、2時間加熱撹拌を続け、溶剤を除去した。
冷却後、得られた試料を混合機(杉山重工業社製 ドラムミキサー UT−AT型)に移し、窒素雰囲気下にて、攪拌しながら、160℃で2時間熱処理した。その後目開き70μmの篩を通過させることで分級し、充填コア1を得た(樹脂充填量9.0質量部)。
充填コア1の個数基準のメジアン径(D50)は33.90μmであった。結果を表3に示す。
<充填コア2乃至19の製造例>
充填コア1の製造例において、樹脂溶液1の添加量を調整して表3のように樹脂充填量を変更した。さらに充填コア12、18については分級する篩として目開き50μmの篩を用い、充填コア13、19については分級する篩として目開き100μmの篩を用いた。これら以外は、充填コア1の製造例と同様にして、充填コア2乃至19を得た。結果を表3に示す。
<充填コア7―3の製造例>
充填コア1の製造例において、多孔質磁性フェライトコア7−1を用い、樹脂溶液2をシリコーン樹脂の固形分換算で17.0質量部となるように添加した。また分級する篩として目開き50μmの篩を用いた。これら以外は、充填コア1の製造例と同様にして、充填コア7−3を得た。結果を表3に示す。
<充填コア7―4の製造例>
充填コア1の製造例において、多孔質磁性フェライトコア7−2を用い、樹脂溶液1をシリコーン樹脂の固形分換算で17.0質量部となるように添加した以外は、充填コア1の製造例と同様にして、充填コア7−4を得た。結果を表3に示す。
<充填コア1―1、充填コア1−2の製造例>
充填コア1を半分に分け、一方はそのままとし、もう一方を風力分級機(日鉄鉱業社製
エルボジェットラボ EJ−L3型)に投入し、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、粒径の小さいものと大きいものの2つに分離した。これにより充填コア1―1(個数基準のメジアン径(D50)が21.80μm)、充填コア1―2(個数基準のメジアン径(D50)が43.10μm)を得た。結果を表3に示す。
<充填コア2―1、乃至、充填コア19−2の製造例>
充填コア1―1、充填コア1−2の製造例において、風力分級機に投入する充填コアの種類を変更し、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、表3に示す充填コア2―1、乃至、充填コア19−2を得た。結果を表3に示す。
Figure 2011158766
<磁性キャリア1の製造例>
磁性キャリア1は、2種類の充填コアについて別々に樹脂被覆を行い、得られた磁性キャリアを混合したのち、分級することによって得た。詳細を下記に記載する。
充填コア1−1 100質量部をナウタミキサ(ホソカワミクロン社製 NXV真空耐圧型)に投入した。そして公転3.5min−1、自転100min−1で撹拌しながら窒素を流量0.1m/minでフローさせ、減圧下(約0.01MPa)になるよう脱気をコントロールし、70℃に加熱した。
そこへ樹脂溶液2を用い、充填コア1―1 100質量部に対して被覆樹脂量が0.9質量部(固形分換算)になるように、3回に分けて溶液を投入した。具体的には樹脂溶液を総投入量の1/3ずつに分け、70℃に加熱が完了してから1分後、20分後、40分後に、それぞれ総投入量の1/3の樹脂溶液を投入した。
樹脂溶液の投入がすべて完了してから、70℃で1時間加熱を続け、溶媒除去及び樹脂被覆操作を行った。その後、得られた試料を混合機(杉山重工業社製 ドラムミキサー UT−AT型)に移し、窒素雰囲気下、温度160℃で2時間熱処理した後、取り出し、磁性キャリア1−1を得た。
充填コア1−2 100質量部をナウタミキサ(ホソカワミクロン社製 NXV真空耐圧型)に投入した。そして公転3.5min−1、自転100min−1で撹拌しながら窒素を流量0.1m/minでフローさせ、減圧下(約0.01MPa)になるよう脱気をコントロールし、70℃に加熱した。
そこへ樹脂溶液2を用い、充填コア1―2 100質量部に対して被覆樹脂量が1.1質量部(固形分換算)になるように、3回に分けて溶液を投入した。具体的には樹脂溶液を総投入量の1/3ずつに分け、70℃に加熱が完了してから1分後、20分後、40分後に、それぞれ総投入量の1/3の樹脂溶液を投入した。
樹脂溶液の投入がすべて完了してから、70℃で1時間加熱を続け、溶媒除去及び樹脂被覆操作を行った。その後、得られた試料を混合機(杉山重工業社製 ドラムミキサー UT−AT型)に移し、窒素雰囲気下、温度160℃で2時間熱処理した後、取り出し、磁性キャリア1−2を得た。
磁性キャリア1−1(20質量部)と磁性キャリア1−2(80質量部)を、混合した。そして風力分級機(日鉄鉱業社製 エルボジェットラボ EJ−L3型)に投入し、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、所望の粒度分布に調整した。その後、目開き70μmの篩を通過させて分級することで磁性キャリア1を得た。得られた磁性キャリアの物性等を表4に示す。
<磁性キャリア2乃至11の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、表4のごとく充填コアの種類、被覆樹脂量を、調整し、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整した以外は磁性キャリア1との製造例と同様にして、磁性キャリア2乃至11を得た。
<磁性キャリア12の製造例>
磁性キャリア12は、1種類の充填コアについて樹脂被覆を行ったのち、分級することによって得た。詳細を下記に記載する。
充填コア7 100質量部をナウタミキサ(ホソカワミクロン社製 NXV真空耐圧型)に投入した。そして公転3.5min−1、自転100min−1で撹拌しながら窒素を流量0.1m/minでフローさせ、減圧下(約0.01MPa)になるよう脱気をコントロールし、70℃に加熱した。
そこへ樹脂溶液2を用い、充填コア7 100質量部に対して被覆樹脂量が1.0質量部(固形分換算)になるように、3回に分けて溶液を投入した。具体的には樹脂溶液を総投入量の1/3ずつに分け、70℃に加熱が完了してから1分後、20分後、40分後に、それぞれ総投入量の1/3の樹脂溶液を投入した。
樹脂溶液の投入がすべて完了してから、70℃で1時間加熱を続け、溶媒除去及び樹脂被覆操作を行った。その後、得られた試料を混合機(杉山重工業社製 ドラムミキサー UT−AT型)に移し、窒素雰囲気下、温度160℃で2時間熱処理した。
そして風力分級機(日鉄鉱業社製 エルボジェットラボ EJ−L3型)に投入し、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、所望の粒度分布に調整した。最後に、目開き70μmの篩を通過させることで分級することで、磁性キャリア12を得た。
<磁性キャリア13の製造例>
磁性キャリア12の製造例において、充填コアの種類を表4のごとく変更し、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整した以外は、磁性キャリア12の製造例と同様にして、磁性キャリア13を得た。
<磁性キャリア14の製造例>
磁性キャリア12の製造例において、充填コアの種類を表4のごとく変更し、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整し、分級する篩を目開き50μmの篩とした以外は、磁性キャリア12の製造例と同様にして、磁性キャリア14を得た。
<磁性キャリア15の製造例>
磁性キャリア12の製造例において、充填コアの種類を表4のごとく変更し、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整し、分級する篩を目開き100μmの篩とした以外は、磁性キャリア12の製造例と同様にして、磁性キャリア15を得た。
<磁性キャリア16の製造例>
磁性キャリア12の製造例において、風力分級機の条件を調整することで、得られる磁性キャリアの粒度分布を調整した以外は、磁性キャリア12と同様にしての磁性キャリア16を得た。
<磁性キャリア17の製造例>
磁性キャリア13の製造例において、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、得られる磁性キャリアの粒度分布を調整した以外は、磁性キャリア13と同様にしての磁性キャリア17を得た。
<磁性キャリア18乃至21の製造例>
磁性キャリア12の製造例において、充填コアの種類を表4のごとく変更し、所望の粒度分布となるように、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整した以外は、磁性キャリア12の製造例と同様にして、磁性キャリア18乃至21を得た。
<磁性キャリア22の製造例>
充填コア17に樹脂被覆を施さずに、風力分級機(日鉄鉱業社製 エルボジェットラボ
EJ−L3型)に投入し、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整することで、所望の粒度分布に調整した。その後目開き70μmの篩を通過させて分級することで、磁性キャリア22を得た。
<磁性キャリア23の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、風力分級機の条件を調整して、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子が少なくなるように、粒度分布を調整した。
そして目開き70μmの篩を通過させた後、さらに微粉をカットすべく目開き20μmの篩で磁性キャリアを篩い、篩を通過しなかった磁性キャリアを採取した。
これら以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして磁性キャリア23を得た。
<磁性キャリア24の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、風力分級機におけるフィード量、エッジ間隔、風量を調整して、粒径が[D50×0.8]μm以下の磁性キャリア粒子が多くなるように、粒度分布を調整した以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして磁性キャリア24を得た。
<磁性キャリア25の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、表4のごとく充填コアの種類を変更し、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整し、分級する篩を目開き50μmの篩とした以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア25を得た。
<磁性キャリア26の製造例>
磁性キャリア1の製造例において、表4のごとく充填コアの種類を変更し、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整し、分級する篩を目開き100μmの篩とした以外は、磁性キャリア1の製造例と同様にして、磁性キャリア26を得た。
<磁性キャリア27>
磁性キャリア12の製造例において、表4のごとく磁性フェライトコア1を用い、所望の粒度分布となるように、風力分級機の条件を調整した以外は、磁性キャリア12の製造例と同様にして、磁性キャリア27を得た。
Figure 2011158766
表4の「*」: 磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られるキャリアのパラメータα
〔トナーの製造例〕
<樹脂1の製造例>
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 22.6質量部無水トリメリット酸 1.7質量部ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
75.6質量部チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1質量部
その後、200℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら11時間反応させ、その後、10mmHgに減圧し1時間反応させ、樹脂1を合成した。GPCで求めた樹脂1の分子量は、重量平均分子量(Mw)6400、数平均分子量(Mn)2800であり、ピーク分子量(Mp)3000、ガラス転移点は55℃、軟化点は94℃であった。
<樹脂2の製造例>
冷却管、攪拌機、及び、窒素導入管のついた反応槽中に、以下の材料を秤量した。
テレフタル酸 17.2質量部ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン
76.6質量部チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート) 0.1質量部
その後、220℃に加熱し、窒素を導入しながら生成する水を除去しながら10時間反応させた。
さらに、無水トリメリット酸6.1質量部を加え、180℃に加熱し、2時間反応させ樹脂2を合成した。GPCで求めた樹脂2の分子量は、重量平均分子量(Mw)85000、数平均分子量(Mn)5900、ピーク分子量(Mp)12500、ガラス転移点は61℃、軟化点は131℃であった。
<トナー1の製造例>
樹脂1 55.0質量部樹脂2 45.0質量部パラフィンワックス(DSC最大吸熱ピーク75℃) 8.0質量部C.I.ピグメントブルー15:3 5.0質量部
上記材料をヘンシェルミキサー(FM−75型、三井三池化工機(株)製)でよく混合した後、温度125℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られた粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。
次に、得られた微粉砕物を、コアンダ効果を利用した風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級しで微粉及び粗粉を同時に分級除去、トナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子1 100.0質量部に対し、疎水性シリカ微粒子1.0質量部及びゾルゲル法シリカ微粉体1.0質量部を添加し、混合することでトナー1を得た。
このとき、上記疎水性シリカ微粒子としては、一次粒子の個数平均粒径が16nmであり、ヘキサメチルジシラザン20質量%で表面処理された疎水性シリカ微粒子を用いた。
また、上記ゾルゲル法シリカ微粉体としては、個数平均粒径が200nmであり、ヘキサメチルジシラザンで処理されたゾルゲル法シリカ微粉体を用いた。
得られたトナー1の平均円形度は0.941、重量平均粒径(D4)は5.3μmであった。
〔実施例1乃至19、および比較例1乃至8〕
上記で得られた磁性キャリア1乃至27と、トナー1をそれぞれ常温常湿環境下(23℃、50%RH)に24時間置き、調湿する。
実施例1では、磁性キャリア1 92質量部に対し、トナー1 8質量部を秤量し、10リッターV型混合機により0.63S−1で10分間振とうさせ、二成分系現像剤を調製した。実施例2乃至19、および比較例1乃至8においては、表5のように磁性キャリアとトナーを組み合わせ、実施例1と同様にして二成分系現像剤を得た。これらの二成分系現像剤を用いて、下記の評価を行った。
Figure 2011158766
<画像形成条件>
画像形成装置として、キヤノン製カラー複写機imageRUNNER iR C3580改造機改造機を用いた。現像条件として、現像ドラムに対する現像スリーブ周速を1.5倍、プロセススピード 300mm/secとなるように改造した。シアン位置の現像器に上記二成分系現像剤を入れ、評価を行った。
また、現像スリーブに印加する交流電圧は、周波数2.0kHz、1.2kVに固定し、バックコントラスト(Vback)を150Vに固定した。
この状態で、現像コントラスト(Vcont)を変えて、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.5mg/cmになるようにした。
現像コントラスト(Vcont)は、現像ドラムにおける高濃度画像部の電位(Vlight)と非画像部の電位(Vdark)、直流電圧(VDC)を変更することで調整した。なお、Vcont=│VDC│−│Vlight│であり、Vback=│Vdark│−│VDC│である。
まず、印刷初期の現像性、白抜け、ガサツキ、キャリア付着、カブリの評価を行った。次に、画像面積比率3%で連続100000枚印刷後、現像性、白抜け、ガサツキ、キャリア付着、カブリ、耐久後の濃度変動の評価を行った。
上記評価は温度23℃/湿度50%RHの環境で行った。
なおFFH画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを1階調目(白地部)、FFHを256階調目(ベタ部)とする。試験に用いた紙は、キヤノンマーケティングジャパン株式会社より販売されている、カラー複写機・プリンター用普通紙 CS−814(A4、81.4g/m)である。評価の結果は、表6及び表7に示す。
<現像性>
上記の画像出力条件で画像を出力するに際し、印刷初期および、画像面積比率3%で連続100000枚印刷後において、FFH画像(ベタ部)のトナーの紙上への載り量が0.5mg/cmになるVcontを求めた。
このとき低Vcontで、載り量0.5mg/cmを達成できるものは現像性が優れ
ていると判断した。なおVcont450V以上が必要となると、Vbackを犠牲にして低くするか(カブリが悪化する要因となる)、Vdarkを過度に高くする(現像ドラムの寿命が短くなる要因となる)ことが必要となるため、本発明では許容できないとした。
(評価基準)
(A)Vcont350V未満 (非常に良好)
(B)Vcont350V以上400V未満 (良好)
(C)Vcont400V以上450V未満 (本発明において許容レベル)
(D)Vcont450V以上 (本発明において許容できないレベル)
<白抜け(画像欠陥)>
転写紙の搬送方向に対して、ハーフトーン横帯(30H 幅10mm)とベタ画像横帯(FFH 幅10mm)を交互に並べたチャートを出力する。
その画像をスキャナで読み取り、二値化処理を行う。
なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hを無画像とし、FFHをベタ画像とするときのハーフトーン画像である。
二値化画像の搬送方向に於ける、あるラインの輝度分布(256階調)をとり、その時のハーフトーンの輝度に接線を引き、ベタ画像部輝度と交わるまでのハーフトーン画像部後端の接線からずれた輝度の領域(面積:輝度数の和)を求めた。
この値をもって、白抜けの度合いを評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
A:50以下(非常に良好)
B:51以上150以下(良好)
C:151以上300以下(本発明において許容レベル)
D:301以上(本発明において不可レベル)
<ガサツキ(画質)>
ハーフトーン画像(30H)をA4で1枚印刷し、デジタルマイクロスコープVHX−500(レンズワイドレンジズームレンズVH−Z100 キーエンス社製)を用い、ドット1000個の面積を測定した。ドット面積の個数平均(S)とドット面積の標準偏差(σ)を算出し、ドット再現性指数を下記式により算出した。
(評価基準)
ハーフトーン画像のガサツキを下記ドット再現性指数(I)で評価した。
ドット再現性指数(I)=σ/S×100
A:Iが4.0未満 (非常に良好)
B:Iが4.0以上6.0未満 (良好)
C:Iが6.0以上8.0未満 (本発明において許容レベル)
D:Iが8.0以上 (本発明において不可レベル)
<キャリア付着>
00H画像を印刷し、感光ドラム上の部分を透明な粘着テープを密着させてサンプリングし、1cm×1cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリア粒子の個数をカウントし、1cm当りの付着キャリア粒子の個数を算出した。
(評価基準)
A:3個以下 (優秀)
B:4個以上10個以下 (良い)
C:11個以上20個以下(本発明において許容レベル)
D:21個以上 (本発明において許容できないレベル)
<カブリ>
ベタ白(00H)画像をA4で1枚印刷した(Vback 150Vに設定)。
紙の平均反射率Dr(%)をリフレクトメータ(東京電色株式会社製の「REFLECTOMETER MODEL TC−6DS」)によって測定した。一方、上記ベタ白(00H)画像の反射率Ds(%)を測定した。
下記式を用いてカブリ率(%)を算出した。得られたカブリ率(%)を下記の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
カブリ率(%)=Dr(%)−Ds(%)
A:0.5%未満(非常に良好)
B:0.5以上1.0%未満(良好)
C:1.0以上2.0%未満(本発明において許容レベル)
D:2.0%以上(本発明において不可レベル)
<耐久前後の濃度変化>
耐久評価を行う前(初期)に、20mm×20mmのFFH画像を1枚印刷した。X−Riteカラー反射濃度計(500シリーズ:X−Rite社製)を使用し、FFH画像部分の画像濃度をランダムに10箇所測定して平均値を求めた。
耐久後に、同じ画像を1枚印刷し、FFH画像部分の画像濃度をランダムに10箇所測定して平均値を求めた。
初期の画像濃度の平均値と、耐久後の画像濃度の平均値の差を求め、以下の基準によって評価をおこなった。
(評価基準)
A:0.00以上0.05未満 (優秀)
B:0.05以上0.10未満 (良い)
C:0.10以上0.20未満 (本発明において許容レベル)
D:0.20以上 (本発明において許容できないレベル)
Figure 2011158766
Figure 2011158766

Claims (4)

  1. 多孔質磁性フェライトコア粒子と樹脂とを少なくとも含有する磁性キャリア粒子を有する磁性キャリアであって、
    前記磁性キャリアは、個数基準のメジアン径(D50)が25.00μm以上55.00μm以下であり、粒径が前記磁性キャリアの個数基準のメジアン径(D50)の0.8倍の値以下の磁性キャリア粒子を、10.00個数%以上30.00個数%以下の割合で含有し、交流インピーダンス測定により得られるインピーダンスZの周波数依存特性Z(ω)を、下記式(1)で表されるフィッティング関数により、フィッティングしたときのパラメータαが、1000V/cmの電界下において、0.70以上、0.95以下であることを特徴とする磁性キャリア。
    Figure 2011158766
  2. 前記磁性キャリアを目開き25.00μmの篩を通過させて得られる磁性キャリアの前記パラメータαが、1000V/cmの電界下において、0.70以上0.85以下であることを特徴とする、請求項1に記載の磁性キャリア。
  3. 前記磁性キャリア粒子は、走査型電子顕微鏡により撮影された前記磁性キャリア粒子の断面の反射電子像において、多孔質磁性フェライトコア部領域の面積比率が、前記断面の全面積に対して、50面積%以上90面積%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の磁性キャリア。
  4. トナーと磁性キャリアとを少なくとも含有する二成分系現像剤において、前記磁性キャリアが、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の磁性キャリアであることを特徴とする二成分系現像剤。
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