JP2011158033A - 免震装置用の免震プラグの製造方法及びかかる製造方法により製造してなる免震プラグ - Google Patents
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Abstract
【課題】材料に鉛を使用することなく、免震装置の減衰性能及び変位追従性を向上させ得る免震プラグの製造方法を提供する。
【解決手段】粉粉体材料2を加圧成形する免震プラグ7の製造方法において、粉体材料2をスタンパ5Aにより加圧成形して、柱状のブラグ材6を複数本製造し、次いで、複数本のプラグ材6を金型3B内に並列配置し、スタンパ5Bにより複数本のプラグ材6をプラグ材6の軸線方向Xにまとめて加圧成形することを特徴とする免震プラグ7の製造方法である。また、かかる製造方法を用いて製造される免震プラグ7である。
【選択図】図1
【解決手段】粉粉体材料2を加圧成形する免震プラグ7の製造方法において、粉体材料2をスタンパ5Aにより加圧成形して、柱状のブラグ材6を複数本製造し、次いで、複数本のプラグ材6を金型3B内に並列配置し、スタンパ5Bにより複数本のプラグ材6をプラグ材6の軸線方向Xにまとめて加圧成形することを特徴とする免震プラグ7の製造方法である。また、かかる製造方法を用いて製造される免震プラグ7である。
【選択図】図1
Description
この発明は、免震装置の減衰性能及び変位追従性を向上させ得る免震プラグを製造する方法、並びにかかる製造方法により製造してなる免震プラグに関する。
従来、ゴム等の粘弾性的性質を有する軟質板と鋼板等の硬質板とを交互に積層した免震構造体が、免震装置の支承等として使用されている。このような免震構造体の中には、例えば、軟質板と硬質板とからなる積層体の中心に中空部を形成し、該中空部の内部に免震プラグが圧入されたものがある。
上記免震プラグとしては、全体が鉛からなるものが使用されることが多く、地震の発生に伴って積層体が剪断変形する際に、かかる免震プラグが塑性変形することで振動のエネルギーを吸収する。しかしながら、鉛は、環境負荷が大きく、また、廃却時等に要するコストが大きい。そのため、鉛の代替材料を用いても、充分な減衰性能、変位追従性等を有する免震プラグの開発が試みられている。
例えば、特許文献1には、鉛免震プラグに代えて、積層体の中空部に塑性流動材及び硬質充填材からなり、硬質充填材の隙間を塑性流動材で充填するようにした粉体材料を封入した免震装置が提案されている。かかる免震プラグは、鉛免震プラグと同様、長期の使用に際しても、その減衰性能及び変位追従性が安定して確保される。なお、塑性流動材としては、天然ゴムやアクリルゴムなどがあり、硬質充填材としては、ステンレス鋼粉、鉄粉などの金属粉体などがある。かかる免震プラグは、金型内に充填された粉体材料を加圧方向に直交する平面状の加圧面を有するスタンパにより所定の面圧にて加圧成形することで製造される。
特許文献1に記載の免震プラグを具える免震装置は、鉛からなる免震プラグを使用することなく、減衰特性及び変位追従性が長期にわたり安定して確保されているものの、近年の建設物の大型化、高層化を背景に、免震装置の更なる性能向上が求められており、そのことから、免震装置の減衰特性及び変位追従性の更なる向上が希求されている。また、特許文献1には、この免震プラグの製造方法についても言及されているが、一般的な粉体材料の加圧成形法の域を出るものではない。
そこで、この発明の目的は、これまで充分に着目、検討されてこなかった免震プラグの製造方法について改良を図ることにより、材料に鉛を使用することなく、免震装置の減衰性能及び変位追従性を更に向上させ得る免震プラグを有利に製造する方法を提供することにある。
前記目的を達成するため、第一発明は、粉体材料を加圧成形する免震プラグの製造方法において、粉体材料をスタンパにより加圧成形して、柱状のブラグ材を複数本製造し、次いで、複数本のプラグ材を金型内に並列配置し、スタンパにより該複数本のプラグ材を該プラグ材の軸線方向にまとめて加圧成形することを特徴とする免震プラグの製造方法である。
また、第一発明において、スタンパは、スタンパの加圧方向に直交する平面状の加圧面を有する一対の平面スタンパであることが好ましい。
更に、第一発明において、金型内にて並列配置したプラグ材上に、並列配置したプラグ材を縦列配置することが好ましい。
加えて、第一発明において、スタンパは、対向する一対のスタンパであることが好ましい。
加えてまた、第一発明において、粉体材料は、塑性流動材及び硬質充填材からなることが好ましい。
第二発明は、上述した第一発明の免震プラグの製造方法を用いて製造される免震プラグである。
この発明によれば、鉛の代替材料である粉体材料を用いて、これを加圧成形する際に、該粉体材料の流動が強制されるために、空気含有率の小さい成形品を得ることができる。従って、免震装置の減衰性能及び変位追従性の向上に大きく寄与する免震プラグを提供することが可能となる。
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施形態を説明する。図1(a)〜(f)は、この発明に従う免震プラグの製造工程を示した図である。図2(a)は、この発明に従って製造された免震プラグを圧入した免震装置の上面図であり、図2(b)は、かかる免震装置の断面図である。図3(a)は、充分に圧縮されていない粉体材料の硬質充填材の相互配置を示した図であり、図3(b)は、充分に圧縮された粉体材料の硬質充填材の相互配置を示した図である。図4(a)〜(f)は、この発明に従うその他の免震プラグの製造工程を示した図である。
この発明に従う免震プラグの製造方法に使用する製造装置1は、図1に示すように、塑性流動材A及び硬質充填材Bからなる粉体材料2が充填される細い円筒形状の金型3A、並びにかかる金型3A内の粉体材料2を加圧する加圧面4Aを有するスタンパ5Aを具える。また、粉体材料2を加圧成形することによって得られるプラグ材6が充填される太い円筒形状の金型3B、並びにかかる金型3B内のプラグ材6を加圧する加圧面4Bを有するスタンパ5Bを具える。図1(a)、(b)、(d)及び(e)に示すスタンパ5A及び5Bは、夫々加圧方向に直交する平面状の加圧面4A及び4Bを有するスタンパである。かかる製造装置を用いて、図1(a)〜(c)の製造工程に示すように、細い円筒形状の金型3A内に充填された粉体材料2を、上記したスタンパ5Aにより加圧することで柱状のプラグ材6を複数本成形する。次いで、図1(d)〜(f)の製造工程に示すように、太い円筒形状の金型3B内にかかるプラグ材6を複数本並列配置し、スタンパ5Bによりまとめて加圧成形することで、免震プラグ7を成形する。以下にその詳細を説明する。
まず、図1(a)に示すように、金型3A内にプラグ材6の材料となる塑性流動材A及び硬質充填材Bからなる粉体材料2を充填する。次いで、図1(b)に示すように、スタンパ5Aを白抜きの矢印の方向に移動させて、加圧面4Aにより粉体材料2を加圧成形し、粉体材料2の受圧面8の形状を、スタンパ5Aの加圧面4Aに対応させた形状に変形させる。そうすることにより、金型3Aの形状に応じた形状に粉体材料2が加圧成形され、プラグ材6が得られる。次いで、図1(c)に示すように、スタンパ5Aを加圧方向とは反対の方向に引き上げてから、プラグ材6を金型3Aから抜き出す。このようにして、複数本のプラグ材6を準備する。そして、図1(d)に示すように、製造された複数本のプラグ材6を金型3B内に並列に燐接配置し、図1(d)に示すように、スタンパ5Bを矢印の方向に移動させて、加圧面4Bにより複数本のプラグ材6をまとめて加圧成形する。これらの工程を経ることにより、粉体材料2からプラグ材6への加圧成形、そして、該プラグ材の免震プラグ7への加圧成形と、2回の異なる加圧成形過程を経ることから、粉体材料2の流動が全体に強く促されることとなる。その結果、空気含有率を小さくした免震プラグ7が得られる。そして、このように加圧成形された免震プラグ7は、図1(f)に示すように、金型3から抜き出され、免震装置9への圧入に供される。かかる免震装置9としては、例えば、図2(a)及び図2(b)に示すような、ゴム板10と鋼板11とを交互に積層した積層体を具え、装置中央に免震プラグ7を配置した構造を有する免震装置9がある。
なお、上記したように、プラグ材6を製造する工程を経ることにより、免震プラグを製造するに当たり、その材料として、プラグ材6の段階にて保管しておくことが可能となる。また、粉体材料2の状態で保管しておく場合よりも、プラグ材6とした状態で保管しておくことにより、空気中の酸素に曝露されている粉体材料2の表面積が小さくなることから、粉体材料2の過剰な酸化が抑制され、かかる過剰な酸化に起因した免震プラグの性能低下が抑制されることとなる。具体的には、免震プラグを構成する材料が過剰に酸化してしまうと、材料間の摩擦係数が小さくなり、外部から与えられる変形に抗する応力(抵抗力)が減少することから、得られる免震プラグにおいて、該応力(抵抗力)の減少に起因して、所期した減衰性能及び変位追従性が得られない可能性がある。更に、上記した製造方法を採用すると、複数種類の金型及びスタンパさえ準備することができれば、既存の免震プラグの製造装置をそのまま利用できることから、コスト面においても有利である。
なお、上記したように、プラグ材6を製造する工程を経ることにより、免震プラグを製造するに当たり、その材料として、プラグ材6の段階にて保管しておくことが可能となる。また、粉体材料2の状態で保管しておく場合よりも、プラグ材6とした状態で保管しておくことにより、空気中の酸素に曝露されている粉体材料2の表面積が小さくなることから、粉体材料2の過剰な酸化が抑制され、かかる過剰な酸化に起因した免震プラグの性能低下が抑制されることとなる。具体的には、免震プラグを構成する材料が過剰に酸化してしまうと、材料間の摩擦係数が小さくなり、外部から与えられる変形に抗する応力(抵抗力)が減少することから、得られる免震プラグにおいて、該応力(抵抗力)の減少に起因して、所期した減衰性能及び変位追従性が得られない可能性がある。更に、上記した製造方法を採用すると、複数種類の金型及びスタンパさえ準備することができれば、既存の免震プラグの製造装置をそのまま利用できることから、コスト面においても有利である。
一般に、免震プラグの減衰性能及び変位追従性を向上させるには、プラグ内の空気含有率を小さくすることが有効である。しかし、粉体材料が、ゴムなどの粘性を有する塑性流動材を含む場合、粉体材料の流動性が低下し、粉体材料内の空気が抜けにくい。従来の免震プラグの製造方法では、加圧方向に直交する平面状の加圧面を有するスタンパにより粉体材料を所定の面圧にて加圧して免震プラグを成形していたことから、受圧面から離間するほどに、粉体材料に負荷される圧縮力が小さくなる。そのことに伴い、受圧面から離間するほどに、粉体材料の空気含有率が大きくなっていた。すなわち、粉体材料の相互配置は、粉体材料が充分に流動しない領域においては、図3(a)に示すように、粉体材料相互間の隙間が大きく、空気の残留し易い配列となっており、その空気含有率が大きく、一方、粉体材料が充分に流動する領域においては、図3(b)に示すように、粉体材料相互間の隙間が小さく、空気が残留し難い配列となっており、その空気含有率が小さい。かかる空気含有率の差により、免震プラグ内における硬度がばらつくこととなり、免震プラグ内における硬度の均一性が低下する。このように、免震プラグ内における硬度の均一性が低下すると、積層ゴム変形時の変形量が領域によって異なってしまい、変位追従性が低下する可能性がある。
このことから、発明者は、粉体材料の流動を全体に強く促し、粉体材料間の隙間を小さくして、粉体材料を全体に図3(b)に示すような空気が残留し難い最密配置とすることにより、免震プラグの空気含有率を小さくし、硬度の均一性を向上させ、減衰性能及び変位追従性を向上し得ることを見出した。
このことから、発明者は、粉体材料の流動を全体に強く促し、粉体材料間の隙間を小さくして、粉体材料を全体に図3(b)に示すような空気が残留し難い最密配置とすることにより、免震プラグの空気含有率を小さくし、硬度の均一性を向上させ、減衰性能及び変位追従性を向上し得ることを見出した。
粉体材料の流動を全体に強く促し、免震プラグの空気含有率を小さくすることを達成する手段として、上述の製造方法を採用した。上述したような工程により粉体材料2を2段階で加圧成形すると、粉体材料2が練り込まれて積極的に流動することとなり、粉体材料2の流動が全体に強く促され、粉体材料2間の隙間が小さくなるため、粉体材料2全体が図3(b)に示すような配置となる。その結果、免震プラグ9の空気含有率が全体に均一に小さくなり、かかる免震プラグ7を圧入した免震装置9は、減衰性能及び変位追従性がともに向上する。なお、図示例のスタンパ5A及び5Bの加圧面4A及び4Bは、得られるプラグ材又は免震プラグ7の成形性の観点から、スタンパ5A及び5Bの加圧方向に直交する平面としているが、加圧面4A及び4Bの形状はこれに限定されるものではないことには留意されたい。
また、この発明に従うその他の免震プラグの製造方法としては、図4(a)〜(f)に示すような製造方法が挙げられる。図4に示す免震プラグの製造方法では、図4(a)〜(c)の製造工程により得られた複数のプラグ材6を、図4(d)に示すように、金型3B内にて並列配置し、更に、その並列配置したプラグ材の上に、複数のプラグ材6を縦列配置するものである。
上記してきた粉体材料2を構成する塑性流動材Aに含まれる物質としては、(天然ゴム、ポリブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコンゴム、ポリウレタン、ウレタン系エラストマーなどの)エストラマー成分、(ロジン樹脂、フェノール樹脂などの)樹脂、カーボンブラック、(フタル酸、マレイン酸、クエン酸などの)可塑剤、(ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油などの)軟化材などが挙げられる。また、硬質充填材Bに含まれる物質としては、銅粉、ステンレス鋼粉、ジルコニウム粉、タングステン粉、青銅粉、アルミニウム粉、ニッケル粉、モリブデン粉、チタン粉、鉄粉などの金属粉体や金属化合物が挙げられる。なお、塑性流動材Aと硬質充填材Bの夫々について選定される材料の組成、含有率、組み合わせ等は、免震プラグ9に所望される性能に応じて適宜変更することができる。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、図示例のプラグ材6は、金型3Aの内側の形状に対応した、円筒形状となっているが、柱状であれば、これに限定されるものではなく、三角柱状やその他の多角柱状などとすることも可能である。
以上の説明から明らかなように、この発明によって、材料に鉛を使用することなく、免震装置の減衰性能及び変位追従性を向上させ得る免震プラグの製造方法を提供することが可能となった。
1 免震プラグの製造装置
2 粉体材料
3A、3B 金型
4A、4B 加圧面
5A、5B スタンパ
6 プラグ材
7 免震プラグ
8 受圧面
9 免震装置
10 ゴム板
11 鋼板
A 塑性流動材
B 硬質充填材
X プラグ材の軸線
Y スタンパの軸線
2 粉体材料
3A、3B 金型
4A、4B 加圧面
5A、5B スタンパ
6 プラグ材
7 免震プラグ
8 受圧面
9 免震装置
10 ゴム板
11 鋼板
A 塑性流動材
B 硬質充填材
X プラグ材の軸線
Y スタンパの軸線
Claims (6)
- 粉体材料を加圧成形する免震プラグの製造方法において、
該粉体材料をスタンパにより加圧成形して、柱状のブラグ材を複数本製造し、
次いで、該複数本のプラグ材を金型内に並列配置し、スタンパにより該複数本のプラグ材を該プラグ材の軸線方向にまとめて加圧成形することを特徴とする免震プラグの製造方法。 - 前記スタンパは、該スタンパの加圧方向に直交する平面状の加圧面を有する一対の平面スタンパである、請求項1に記載の免震プラグの製造方法。
- 前記金型内にて並列配置したプラグ材上に、並列配置したプラグ材を縦列配置する、請求項1又は2に記載の免震プラグの製造方法。
- 前記スタンパは、対向する一対のスタンパである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の免震プラグの製造方法。
- 前記粉体材料は、塑性流動材及び硬質充填材からなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の免震プラグの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の免震プラグの製造方法を用いて製造される免震プラグ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010020223A JP2011158033A (ja) | 2010-02-01 | 2010-02-01 | 免震装置用の免震プラグの製造方法及びかかる製造方法により製造してなる免震プラグ |
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