JP2011158015A - 振動低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】流体の質量移動効果を高めて振動を低減する振動低減装置を提供する。
【解決手段】振動低減装置10は、機能性流体11を充填するシリンダ20と、シリンダ内に移動自在に収納されシリンダ内を第1流体室21と第2流体室22とに区画するピストン30と、ピストンに接続されシリンダの外部に伸びるロッド40と、第1流体室と第2流体室とを連通し第1流体室と第2流体室との間で機能性流体を移動させるバイパス通路50と、を有している。そして、振動時に発生するシリンダに対するピストンの相対変位によって、バイパス通路内の機能性流体を移動させて相対的な慣性力を生じさせることによって振動を低減している。ここで、機能性流体は密度が比較的大きいので、流体の質量移動効果を高めて振動を低減することができる。
【選択図】図1
【解決手段】振動低減装置10は、機能性流体11を充填するシリンダ20と、シリンダ内に移動自在に収納されシリンダ内を第1流体室21と第2流体室22とに区画するピストン30と、ピストンに接続されシリンダの外部に伸びるロッド40と、第1流体室と第2流体室とを連通し第1流体室と第2流体室との間で機能性流体を移動させるバイパス通路50と、を有している。そして、振動時に発生するシリンダに対するピストンの相対変位によって、バイパス通路内の機能性流体を移動させて相対的な慣性力を生じさせることによって振動を低減している。ここで、機能性流体は密度が比較的大きいので、流体の質量移動効果を高めて振動を低減することができる。
【選択図】図1
Description
本発明は、振動低減装置、さらに詳しくは、機能性流体の慣性質量を利用した振動低減装置に関する。
従来、地震時に建物および機器が揺れるのを防ぐという目的で多種の振動抑制装置が取り付けられている。それら振動抑制装置のほとんど全ては、振動エネルギを熱および電気によって吸収するものである。熱および電気エネルギは、揺れの移動量、変位や速度に比例するものである。
振動吸収方法として、対象物の剛性、粘性、固有値を変化させる方法がある。これらは振動抑制装置が発生する弾性力、減衰力、および慣性力を変化させるものである。これに加えて摩擦力や履歴減衰力も利用できる。現状では弾性力、減衰力、摩擦力は任意に可変できるが、慣性力は困難である(非特許文献1〜3等を参照)。
液体式ダンパの場合、オリフィス径を物理的に変化させることや、磁気粘性流体を用いて外部磁場の強弱によって流体のもつ降伏応力を変化させて見かけの粘性を変えて、可変減衰力を得る方法がある。
シリンダとピストンにバイパス管を取り付けて流体を封入し、ピストンの相対運動に比例した流体の慣性力を利用する振動吸収装置がある(特許文献1を参照)。
ところが、特許文献1に記載された振動吸収装置にあっては、作動流体として作動油しか検討されておらず、流体の質量移動効果を十分に得ることが難しい。
奥村敦史、「振動遮断接続機構」、早稲田大学技術シーズ、2000年、No.TLO2000−002
古橋剛、石丸辰治、「慣性接続要素によるモード分離−慣性接続要素による応答制御に関する研究その1」、日本建築学会構造系論文集、2004年、第576号、p.55−62
川俣重也、大沼正昭、「慣性ポンプダンパによる構造物の振動制御 その(1)理論モデルと正弦波応答特性」、日本建築学会大会学術講演梗概集、1986年8月、No.2386、p.771−772
本発明の目的は、流体の質量移動効果を高めて振動を好適に低減し得る振動低減装置を提供することにある。
上記目的を達成する振動低減装置は、機能性流体を充填するシリンダと、
前記シリンダ内に移動自在に収納され前記シリンダ内を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、
前記ピストンに接続され前記シリンダの外部に伸びるロッドと、
前記第1流体室と前記第2流体室とを連通し前記第1流体室と前記第2流体室との間で機能性流体を移動させるバイパス通路と、を有している。
前記シリンダ内に移動自在に収納され前記シリンダ内を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、
前記ピストンに接続され前記シリンダの外部に伸びるロッドと、
前記第1流体室と前記第2流体室とを連通し前記第1流体室と前記第2流体室との間で機能性流体を移動させるバイパス通路と、を有している。
そして、振動時に発生する前記シリンダに対する前記ピストンの相対変位によって、前記バイパス通路内の機能性流体を移動させて相対的な慣性力を生じさせることによって振動を低減している。
本発明によれば、振動時に発生する基礎と対象物との相対変位によって、バイパス管内の機能性流体を高速に移動させて、相対的な慣性力を生じさせている。機能性流体は密度が比較的大きいので、流体の質量移動効果を高めて振動を好適に低減することができる。よって、振動低減性能を向上させた振動低減装置を提供することが可能となる。
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる。
(振動低減装置の構造)
本実施形態に係る振動低減装置は、密度が比較的大きい機能性流体を用いることによって、流体の質量移動効果を高めて振動を低減することができることに着目して完成されたものである。また、慣性力を変化させる方法として、固有値変化や電気的変化しかないのが現状である。機械的な機構においても最大値と最小値の二値切替式慣性機構はあるが、任意に慣性力を直接変化させる方法はない。慣性力を変化させることができれば、特定の振動数において振動を低減および遮断することが可能なはずである。本実施形態に係る振動低減装置は、このような知見に基づいても完成されたものである。
本実施形態に係る振動低減装置は、密度が比較的大きい機能性流体を用いることによって、流体の質量移動効果を高めて振動を低減することができることに着目して完成されたものである。また、慣性力を変化させる方法として、固有値変化や電気的変化しかないのが現状である。機械的な機構においても最大値と最小値の二値切替式慣性機構はあるが、任意に慣性力を直接変化させる方法はない。慣性力を変化させることができれば、特定の振動数において振動を低減および遮断することが可能なはずである。本実施形態に係る振動低減装置は、このような知見に基づいても完成されたものである。
本実施形態に係る振動低減装置は、密度が比較的大きい機能性流体を用い、しかも、可変減衰力および可変慣性力をもつように構成したものである。さらに詳しくは、本実施形態では、可変の慣性力を得ることによって、ある特定の振動数で振動対象物の揺れを低減または遮断することができ、さらに、流体による可変減衰力を併せ持つことによって装置全体の抵抗力を補い得る振動抑制装置を提供するものである。
図1を参照して、本実施形態に係る振動低減装置10は、概説すれば、機能性流体11を充填するシリンダ20と、シリンダ20内に移動自在に収納されシリンダ20内を第1流体室21と第2流体室22とに区画するピストン30と、ピストン30に接続されシリンダ20の外部に伸びるロッド40と、第1流体室21と第2流体室22とを連通し第1流体室21と前記第2流体室22との間で機能性流体11を移動させるバイパス通路50と、を有している。そして、振動時に発生するシリンダ20に対するピストン30の相対変位によって、バイパス通路50内の機能性流体11を移動させて相対的な慣性力を生じさせることによって振動を低減している。本実施形態の機能性流体11は、電磁気的なエネルギによってせん断降伏応力が変化する特性を備えている。振動低減装置10は、バイパス通路50内の機能性流体11に電磁気的なエネルギを印加することによって、バイパス通路50の見かけ断面積を、バイパス通路50の実断面積よりも小さい断面積に変化させる変更手段60をさらに有している。変更手段60によってバイパス通路50の見かけ断面積を変化させてシリンダ20の断面積との見かけの断面積比を変え、見かけの慣性質量を変化自在となっている。
シリンダ20の両端は、蓋部材23によって封止されている。ロッド40は、蓋部材23を貫通して伸びている。シリンダ20が、例えば、基礎に接続され、ロッド40のロッドエンド41が、例えば、振動を低減する対象物に接続される。
バイパス通路50は、例えば、管部材から形成され、機能性流体11の移動によって内径が変形しない程度の剛性を有する限りにおいて適宜の材料から形成することができる。バイパス通路50を、以下、「バイパス管50」ともいう。バイパス管50の一端は、第1継手51を介してシリンダ20に締結され、第1流体室21に連通する。バイパス管50の他端は、第2継手52を介してシリンダ20に締結され、第2流体室22に連通する。
各摺動部および接合部には、液漏れ等のシーリング材として、例えば、シリコンゴム(硬度JISHs50)製Oリング31を取り付けてある。シリンダ20およびバイパス管50内には、機能性流体11を封入してある。
機能性流体11として、例えば、磁気粘性流体(MR流体)を適用することができる。磁気粘性流体は、周知のように、分散媒である一様なオイル(鉱物油等)の中に、分散質として真球状で平均粒径が数μm程度の強磁性を有する微粒子(例えば、鉄粉)を分散させた液体である。磁気粘性流体は、外部から磁界が加えられたときには、流体中に均一に分散していた強磁性微粒子が磁界の方向に沿って連結し鎖状のクラスタを形成する。このクラスタが流れに対して抵抗するために見かけの粘度が高まり、流動時には降伏応力を有する塑性流体の挙動を示すものである。
磁気粘性流体を用いているので、変更手段60としては、磁気的なエネルギを印加する手段、具体的には、電磁石や磁石を適用することができる。配置する磁石の個数を増減等することによって磁場の強弱を変えることはできるが、磁場の強弱を連続的に変化させて、連続的に変化する慣性力を生み出せる点では電磁石を適用することが好ましい。
変更手段60を配置する位置や個数は、図示例のようにバイパス管50の流路の途中に1個だけ設ける場合に限定されるものではない。例えば、シリンダ20とバイパス管50との接続箇所(つまり第1と第2の継手51、52)近傍の両方に設ける形態、片方にのみ設ける形態、あるいは、バイパス管50の流路の途中に複数個設ける形態など、種々変更可能である(後述する表2におけるType B〜Jの配置例をも参照)。
なお、機能性流体11は磁気粘性流体に限定されるものではなく、電気粘性流体も適用でき、この場合の変更手段としては、電気的なエネルギを印加する手段を用いる。
本実施形態の振動低減装置10が利用する質量移動効果は、流体の密度およびバイパス管50とシリンダ20の断面圧縮比に大きく依存し、流体として磁気粘性流体などの機能性流体を用いれば、密度が他の液体に比べて大きく、また強磁場下で鉄粒子がクラスタを形成し見かけの断面圧縮比を変化させることができるため、慣性質量を大きくする効果がある。これが本装置10の特長である。
本実施形態の振動低減装置10によれば、振動時に発生する基礎と対象物との相対変位によって、バイパス管50内の機能性流体11を高速に移動させて、相対的な慣性力を生じさせている。機能性流体11は密度が比較的大きいので、流体の質量移動効果を高めて振動を好適に低減することができる。
さらに、機能性流体11として磁気粘性流体を用いているので、バイパス管50の見かけ断面積を変化させてシリンダ20の断面積との見かけの断面積比を変え、慣性質量を可変することができる。さらに、機能性流体のせん断降伏応力が変わるので、減衰力を可変することができる。このように、可変の慣性力を得ることによって、ある特定の振動数で振動対象物の揺れを低減または遮断することができ、さらに、流体による可変減衰力を併せ持つことによって装置10全体の抵抗力を補うことができる。よって、振動低減性能を向上させた振動低減装置10となる。
実験、解析に用いた振動低減装置の諸元は以下の表1に示すとおりである。
(振動低減装置の理論)
図2を参照しつつ、振動低減装置の作動原理を説明する。
図2を参照しつつ、振動低減装置の作動原理を説明する。
振動低減装置は、振動対象構造物と基礎との間に取付けられる。図2に示すように主質量変位x、基礎変位zとし、ピストンとシリンダの相対変位によって生じるバイパス管内の流体の変位をyとした場合、振動系の運動エネルギK.E.、ポテンシャルエネルギP.E.、消散エネルギD.E.はそれぞれ次式(1)(2)(3)で与えられる。
ここで、m1、m2は主質量および流体質量、kおよびcは振動系全体の剛性と減衰係数(系の内部減衰と流体の減衰を含む)である。また、バイパス管内およびシリンダ内の流体の移動量は連続条件から以下の式(4)が得られる。
ここで、D1はシリンダ内径、D2はピストンロッド径、dはバイパス管内径であり、バイパス管とシリンダの断面積圧縮比をα=(D1 2−D2 2)/d2と定義する。長さlのバイパス管内の流体質量m2は流体密度をρとすると以下の式(5)で表される。
したがって式(4)、(5)より式(1)は次式(6)で表される。
式(2)、(3)、(6)よりラグランジュの運動方程式に代入すると次式(7)となる。
上式は主質量に流体による付加慣性質量が足し合わされた一自由度振動系の力加振すなわちシリーズマス効果と同じであり、その係数を流体慣性質量msと呼び、次式(8)で定義する。
このことから、流体慣性質量msはバイパス管内の流体質量すなわち密度、および断面積圧縮比の二乗に比例することがわかる。大きな慣性効果を得るには、バイパス管を耐圧性が高く、細くて長いものにすると良いことがわかる。
式(7)より調和振動時の伝達率T(=x/z)は次式(9)となる。
ここでηは振動数比、ωnは固有振動数、εは質量比、ζは減衰比として次式(10)で定義する。
式(9)を振動数比の二乗で微分して、零と等値することによって、伝達率の極大値および極小値における振動数比η1、η2が得られ、次式(11)となる。
式(11)のη2を式(9)に代入すると伝達率の極小値が得られ、その値は次式(12)となる。
式(12)より減衰が無視できる程度に小さい場合、伝達率は零となることから振動を完全に遮断できる。このときの振動数は式(11)のη2より次式(13)となる。
これを遮断振動数と呼ぶ。また、このときの主系の固有振動数η1は次式(14)となる。
このことから、流体慣性質量msによって固有振動数を低くする効果があることがわかる。ちなみに式(11)が正値をとるための条件は以下の式(15)となる。
減衰比が上値を超えると極小値が存在しなくなり、振動遮断が不可能になる。この場合、質量比が極端に小さい場合か、減衰比が極端に大きい場合に該当するため、実用範囲外であると思われる。
(数値計算)
振動遮断の原理および理論式を確かめるために、図2に示した一自由度振動系の数値計算を行った。
振動遮断の原理および理論式を確かめるために、図2に示した一自由度振動系の数値計算を行った。
五種類の質量比における、減衰が無い場合の計算結果を図3(A)に、減衰がある場合の一例を図3(B)にそれぞれ示す。
図3(A)からわかるように、式(13)より求められる反共振点(すなわち遮断振動数)が存在するため、その点において振動遮断が可能となる。図3(B)においては、質量比が式(15)から得られる値を超えた場合(ε≧0.0538)は下に凸の共振点が存在するため振動低減効果は高いが、それ以下の場合では慣性質量の効果が薄れてしまう。振動遮断を実現するためには、減衰比および質量比を調整する必要があるが、それによって幅広い周波数範囲で振動低減が可能となる。また、慣性質量の効果によって共振点が低周波数側へと移動していることがわかる。このように、本発明の振動低減装置は、減衰効果が少ない場合は、特定の振動数において外乱からの振動を遮断できるため免震装置や振動遮断装置として利用可能である。
(抵抗力特性)
流体慣性質量の理論式を確かめるために、抵抗力特性実験を行った。本装置の一端を固定壁に固定し、他方をロードセルを介して加振アクチュエータに取付けて、振幅20mm、周波数0.5〜3.0Hzの正弦波状変位を与えたときの荷重と変位を測定した。
流体慣性質量の理論式を確かめるために、抵抗力特性実験を行った。本装置の一端を固定壁に固定し、他方をロードセルを介して加振アクチュエータに取付けて、振幅20mm、周波数0.5〜3.0Hzの正弦波状変位を与えたときの荷重と変位を測定した。
流体には、LORD社製のMRF−132DG炭化水素系磁気粘性流体の他、比較のために水、および新日本石油精製株式会社製のタービンオイル100も用いた。磁気粘性流体の場合は、バイパス管の継手付近で管外側から希土類磁石(ネオジム磁石)による磁界を発生させた場合も行った。磁束密度は流体封入前にバイパス管内で測定した平均値である。
実験結果を計算結果と併せて図4(A)(B)および図5(A)(B)に示す。図中のプロットは実験値を、ラインは計算値を示している。なお、計算値は水およびオイルに関してはオイルダンパの計算式を、磁気粘性流体に関してMRダンパの計算式を用いて算出したものである。これらの計算式については、下記の文献1および文献2を参照した。
文献1)浅見敏彦、関口久美、「流体減衰器のダンピング特性(オイルフィルムダンパ、オイルダンパと空気ダンパ)」、日本機械学会論文集C編、1991年、第57巻、第534号、p.437−445
文献2)袖山博、鈴木浩平、岩田範生、砂子田勝昭、「バイパス式MRダンパの設計法に関する研究」、日本機械学会論文集C編、2004年、第70巻、第691号、p.625−632。
文献2)袖山博、鈴木浩平、岩田範生、砂子田勝昭、「バイパス式MRダンパの設計法に関する研究」、日本機械学会論文集C編、2004年、第70巻、第691号、p.625−632。
図4(A)は水の場合を示し、粘性が低いために減衰力があまり生じず、流体の慣性力が主に生じていることがわかる。
図4(B)はタービンオイルの場合を示し、粘度が大きくバイパス管内で層流域の挙動として仮定できるため線形性の大きな減衰力が発生していることがわかる。なお、本実験では軽油も試したが、シーリング材のシリコンゴムが耐油性の問題から長時間の使用は不適当であったため図示を省略する。オイルはシーリング部の潤滑に効果的であるので、水に比べて摩擦による摺動抵抗力は無視できるほど小さい。また、密度が低いため慣性効果が少ない。
図5(A)(B)は磁気粘性流体を用いたときの磁場なし、および磁場作用時それぞれの場合を示している。図5(A)から、大きな減衰力に加えて密度に比例した(水と比べて)およそ3倍の慣性力が生じていることがわかる。図5(B)から、外部磁場の有無によって摩擦力および慣性力の大きさが操作できることがわかる。これは、強磁場下において鉄粒子がクラスタを形成することで、磁気粘性流体のせん断降伏応力が変わり見かけの摩擦力が増加するのに加え、一時的にバイパス管の流路が小さくなり断面圧縮比が変わり、それに伴い見かけの慣性質量が増すと考えられる。実験結果から同定すると、摩擦力は磁場なしの約30Nに対して、バイパス管内の平均磁束密度が0.24T程度の磁場作用時では560N程度に増加した。また、慣性質量は式(8)より得られる磁場なしでの理論値66.3kgから、磁場作用時の図中左肩上がり勾配で示されるおよそ90kg相当に増加した。
さらに、バイパス管に取付けた希土類磁石の磁束量(平均磁束密度と面積の積)と摩擦力および慣性質量の関係を調べた。
バイパス管の両側継手付近で管外側から希土類磁石(5×10×40)を下記の表2に示すようなType A〜Jの十通りの方法で磁界を発生させた場合について行った。磁束面積Sは磁石一個当たり40×10mm2であり、バイパス管内の平均磁束密度は、流体封入前にガウスメーターを用いて管中央で測定したものである。
実験結果から同定した減衰係数c、摩擦力f0、および慣性質量msをまとめて表2に、抵抗力と変位の関係を計算結果(図中一点鎖線)と併せて図6に一例を示す。
図6(A)はTypeA(磁石なし)の場合を示し、減衰力に加えて密度に比例した大きな慣性力が生じていることがわかる。また、シリンダとピストン間にわずかな摺動抵抗力として30N程度あることがわかった。
図6(B)(C)(D)はそれぞれTypeH、I、Fの場合を示す。図中の左肩上がりの破線は、加振周波数3Hz時の慣性質量効果による傾斜を示す。このことから、磁束密度の強度Gと磁束面積Sの積すなわち磁束量W(=G×S)が上がるにつれて、摩擦力に加えて、その傾斜角が増えていることが分かる。
これらの結果から、磁束量Wに比例して流体慣性質量msが変化している(増す)ことがわかる。これは、上述したように、強磁場下において見かけの摩擦力が増加するのに加えて、バイパス管の断面が仮想的に小さくなり、それに伴い慣性質量msが増すものと考えられる。それらの値は実験結果から同定し、表2下段にまとめて示す。図5(B)では荷重が大きく治具等の弾性変形が若干見られたため、計算値に500kN/mの直列ばね要素を考慮した。
磁束量Wと摩擦力f0および流体慣性質量msの関係を図7に示し、実験値を最小二乗法により得られた近似直線を図中破線で示し、その関係は次式のとおり、
f0=5.87×103W+45.8 [N]
ms=2.30.×102W+68.4 [kg]
で与えられる。
f0=5.87×103W+45.8 [N]
ms=2.30.×102W+68.4 [kg]
で与えられる。
なお、図7に符号(c)を付した実験値は図5(A)(磁気粘性流体を用いた場合の磁場なしのとき)を示し、符号(d)を付した実験値は図5(B)(磁気粘性流体を用いた場合の磁場作用時のとき)を示している。
磁気粘性流体は、水やオイルに比べて密度が大きいため、慣性質量効果は著しく増大するが、それに伴い減衰力や摩擦力も増えてしまう。振動遮断の観点からは、水などの粘性の低い流体が優れているが、一方、磁気粘性流体は磁場の強弱によって慣性質量を可変できるという特長をもっていることから、振動低減効果および制御という観点から見ると大変有利であるといえる。
(振動実験(周波数応答))
前述の理論式を確かめるために、一自由度振動系を用いた周波数応答実験を行った。図8を参照して、実験装置はリニアガイドで支持された質量(m1=21.3kg)とばね(k=3.1kN/m)からなる一自由度振動系で、諸元は表1の通りである。なお、バイパス管にはフッ素樹脂製の高剛性プラスチックチューブを用いた。
前述の理論式を確かめるために、一自由度振動系を用いた周波数応答実験を行った。図8を参照して、実験装置はリニアガイドで支持された質量(m1=21.3kg)とばね(k=3.1kN/m)からなる一自由度振動系で、諸元は表1の通りである。なお、バイパス管にはフッ素樹脂製の高剛性プラスチックチューブを用いた。
実験装置100は、リニアガイド103に摺動自在に支持された第1と第2のスライダ101、102と、第1と第2のスライダ101、102の間に取り付けられた振動低減装置のテストデバイス104と、第2のスライダ102上に取り付けられた重り105と、第1と第2のスライダ101、102の間に取り付けられたスプリング106と、加振アクチュエータ107と、第1と第2のスライダ101、102のそれぞれに取り付けられた加速度計108、第1と第2のスライダ101、102のそれぞれに取り付けられた変位変換器109を備えている。加速度計108および変位変換器109の出力信号は、アンプ121やDSP122を介してパーソナルコンピュータ120に入力される。また、パーソナルコンピュータ120からの制御信号は、DSP122やパワーアンプ123を介して加振アクチュエータ107に出力される。
磁気粘性流体では、減衰力が大きく、かつ摩擦力が大きいため、小規模モデルでは振動遮断効果が出にくい。このため、本実験では、振動遮断効果が期待できるように、流体には減衰力、摩擦力が少なく慣性力の効果が生じやすい水を用いた。主質量は質量比がおよそε=1に、ばね定数は固有周波数が約2Hzになるように調整した。実験装置の内部減衰比は一次固有振動モードの対数減衰率から算出し、およそζ=0.015であった。加振アクチュエータによって周波数を0.2〜4.0Hzまで変化させたときの基礎および主質量の絶対変位を測定し、その振幅比を求めた。
実験結果を式(9)から得られる計算結果と併せて図9に示す。図中のプロットは実験値を、ラインは計算値を示している。
図9より、系全体の減衰比がおよそζ=0.16となり、共振点における装置取付時のピーク値は、装置を取付けない場合に比べて約5%に低減するとともに、その共振周波数が低振動数側の1.36Hzに移動した。
また、反共振点の2Hz付近では振動低減効果が高く、実験結果と計算結果が大変良く一致していることから理論の正しさが確かめられた。
(振動実験(地震応答))
ランダム波による振動抑制効果を調べるために、地震応答実験を行った。周波数応答と同じ試験装置を用いて、地震波信号をDSP122を介して加振アクチュエータ107に入力し、基礎と主質量の絶対加速度および変位を測定した。実験で用いた地震波は、インペリアルバレー地震(1940)エルセントロ南北成分、兵庫県南部地震(1995)神戸港南北成分をそれぞれ最大加速度3m/s2に、日本海中部地震(1983)秋田港南北成分、日本建築センター(BCJ)模擬波L2をそれぞれ2m/s2に基準化したものを用いた。
ランダム波による振動抑制効果を調べるために、地震応答実験を行った。周波数応答と同じ試験装置を用いて、地震波信号をDSP122を介して加振アクチュエータ107に入力し、基礎と主質量の絶対加速度および変位を測定した。実験で用いた地震波は、インペリアルバレー地震(1940)エルセントロ南北成分、兵庫県南部地震(1995)神戸港南北成分をそれぞれ最大加速度3m/s2に、日本海中部地震(1983)秋田港南北成分、日本建築センター(BCJ)模擬波L2をそれぞれ2m/s2に基準化したものを用いた。
実験結果の最大値を計算結果とまとめて表3に、応答波形の一例(兵庫県南部地震の場合)を図10に示す。図10(A)は入力加速度を示し、図10(B)は本装置を使用しない場合の応答波形を示し、図10(C)は本装置を使用した場合の応答波形を示している。
なお、計算値は式(7)を用い、相対座標u(=x−z)について解いた。表3から、最大加速度は装置取付時に最大で2/3程度に低減したが、相対変位はほとんど同程度になった。神戸港波などの比較的低い周波数成分をもつ地震波には有効であった。
この現象を確かめるために、応答加速度および入力加速度をフーリエ変換し、パワースペクトルを算出した。その結果を図11に示す。図11から、地震波の卓越周波数が付加慣性質量による遮断周波数の2Hz近傍の場合には、高い振動低減効果を発揮していることがわかる。
なお、1.5Hz以下では周波数応答と同様に振動低減効果はあまり見られない。しかし、遮断周波数すなわち慣性質量を調整することによって地震応答にも有効であるといえる。また、図10より、実験結果と計算結果がよく一致していることがわかる。
以上説明したように本実施形態では、流体の慣性質量を利用した振動低減装置を提案した。本装置の原理、および抵抗力特性と振動低減効果を実験と解析により確かめることができた。主な結果は以下の通りである。
(1)振動系に振動低減装置を取付けた場合、減衰比および質量比を調整すれば、入力される振動を完全に遮断する遮断振動数が存在する。また、振動系の共振点は、流体による慣性質量効果によって低い周波数へと移動する。
(2)流体の慣性質量はピストンシリンダとバイパス管の断面積圧縮比の二乗、すなわち半径比の四乗に比例する。
(3)磁気粘性流体を用いた場合、減衰力に加えて密度に比例した慣性質量が得られる。また、磁束量に比例して摩擦力および慣性質量を可変することでき、振動低減効果に大変有利である。
(4)一自由度振動系における共振周波数は、流体慣性質量の効果によって見かけ上の質量が増加するため、低い周波数へと移動する。
(5)周波数応答実験の結果、振動低減装置を取付けることによって、一自由度振動系の共振近傍における主質量の最大応答値を低下させ、幅広い周波数域において振動低減効果がある。
(6)地震応答実験の結果、地震波の卓越周波数が遮断周波数近傍の場合、振動低減効果が高くなる。
(1)振動系に振動低減装置を取付けた場合、減衰比および質量比を調整すれば、入力される振動を完全に遮断する遮断振動数が存在する。また、振動系の共振点は、流体による慣性質量効果によって低い周波数へと移動する。
(2)流体の慣性質量はピストンシリンダとバイパス管の断面積圧縮比の二乗、すなわち半径比の四乗に比例する。
(3)磁気粘性流体を用いた場合、減衰力に加えて密度に比例した慣性質量が得られる。また、磁束量に比例して摩擦力および慣性質量を可変することでき、振動低減効果に大変有利である。
(4)一自由度振動系における共振周波数は、流体慣性質量の効果によって見かけ上の質量が増加するため、低い周波数へと移動する。
(5)周波数応答実験の結果、振動低減装置を取付けることによって、一自由度振動系の共振近傍における主質量の最大応答値を低下させ、幅広い周波数域において振動低減効果がある。
(6)地震応答実験の結果、地震波の卓越周波数が遮断周波数近傍の場合、振動低減効果が高くなる。
図12〜図16には、振動低減装置10の種々の適用例が示される。なお、図1と共通する部材には同一の符号を付している。また、簡略化のために、バイパス管50や変更手段60等の図示は省略してある。
振動低減装置10は、機器、配管、建物などの相対運動が発生する箇所に配置することができる。
図12〜図14は、振動低減装置を機器用または基礎免震用に適用している。振動低減装置10のシリンダ20は基礎131に接続され、ロッド40は機器や建物を載置する除振台132に接続されている。基礎131上に除振台132を支持する形態としては、転がり軸受133を介して支持する形態(図12)、ばねなどの弾性体134を介して支持する形態(図13)、除振台132が変位する方向を規制するためにリニアガイド135を介して支持する形態(図14)などを挙げることができる。
図15は、振動低減装置を配管用または柱用に適用している。振動低減装置10のシリンダ20は固定壁136に接続され、ロッド40は配管や柱などの配管類137に接続されている。
図16は、振動低減装置を建物の層間用に適用している。振動低減装置10のシリンダ20は下位側の層138に接続され、ロッド40はブレース139を介して上位側の層140に接続されている。
なお、変更手段60を備える振動低減装置10について説明したが、変更手段を備えずに、流体として機能性流体11を用いた振動低減装置に改変してもよい。機能性流体11は密度が比較的大きいので、流体の質量移動効果を高めて振動を好適に低減することができるからである。
10 振動低減装置、
11 磁気粘性流体(機能性流体)、
20 シリンダ、
21 第1流体室、
22 第2流体室、
23 蓋部材、
30 ピストン、
31 Oリング、
40 ロッド、
50 バイパス通路、
51 第1継手、
52 第2継手、
60 変更手段。
11 磁気粘性流体(機能性流体)、
20 シリンダ、
21 第1流体室、
22 第2流体室、
23 蓋部材、
30 ピストン、
31 Oリング、
40 ロッド、
50 バイパス通路、
51 第1継手、
52 第2継手、
60 変更手段。
Claims (2)
- 機能性流体を充填するシリンダと、
前記シリンダ内に移動自在に収納され前記シリンダ内を第1流体室と第2流体室とに区画するピストンと、
前記ピストンに接続され前記シリンダの外部に伸びるロッドと、
前記第1流体室と前記第2流体室とを連通し前記第1流体室と前記第2流体室との間で機能性流体を移動させるバイパス通路と、を有し、
振動時に発生する前記シリンダに対する前記ピストンの相対変位によって、前記バイパス通路内の機能性流体を移動させて相対的な慣性力を生じさせることによって振動を低減する、振動低減装置。 - 前記機能性流体は、電磁気的なエネルギによってせん断降伏応力が変化する特性を備え、
前記バイパス通路内の機能性流体に電磁気的なエネルギを印加することによって、前記バイパス通路の見かけ断面積を、前記バイパス通路の実断面積よりも小さい断面積に変化させる変更手段をさらに有し、
前記変更手段によって前記バイパス通路の見かけ断面積を変化させて前記シリンダの断面積との見かけの断面積比を変え、見かけの慣性質量を変化自在な、請求項1に記載の振動低減装置。
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-
2010
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