JP2011157991A - 高圧タンクの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ライナーの形状劣化を抑制して高圧タンクを製造する技術を提供する。
【解決手段】中空のライナーの表面に、加熱することにより消失するロストワックス層を形成し、ロストワックス層の表面を覆うように、熱硬化性樹脂が未硬化状態で含まれる炭素繊維材を巻き付けて炭素繊維巻き付け層を形成し、炭素繊維巻き付け層の形成後に、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、ロストワックスを消失させる。ロストワックス消失によって、ライナーと炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成される。
【選択図】図1
【解決手段】中空のライナーの表面に、加熱することにより消失するロストワックス層を形成し、ロストワックス層の表面を覆うように、熱硬化性樹脂が未硬化状態で含まれる炭素繊維材を巻き付けて炭素繊維巻き付け層を形成し、炭素繊維巻き付け層の形成後に、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、ロストワックスを消失させる。ロストワックス消失によって、ライナーと炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、高圧タンクの製造方法に関する。
従来から、中空のライナーの外側に、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)を炭素繊維に含浸させたプリプレグを巻き付けた後に、加熱して熱硬化性樹脂を硬化させることにより、高圧タンクを製造する方法が知られている。
図3は、従来の高圧タンクの製造方法における問題点について示す説明図である。なお、この図は、説明をわかり易くするために、製造された高圧タンクの一部のみを拡大して示す説明図である。図に示すように、ライナー10にプリプレグを巻き付けてCF巻き付け部(熱硬化樹脂未硬化)20を形成した後、加熱して熱硬化樹脂を硬化させた場合、炭素繊維(CF:Carbon Fiber)のみが硬化されるだけでなく、硬化された炭素繊維がライナーにも固着(接着)される場合もある。このように、ライナーに炭素繊維が接着されると、その接着開始部の近傍のライナーの変形が発生して、ライナーの形状劣化が発生する、という問題がある。
本発明は、上記ライナーの形状劣化を抑制して高圧タンクを製造する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
高圧タンクの製造方法であって、
中空のライナーの表面に、加熱することにより消失するロストワックス層を形成する工程と、
前記ロストワックス層の表面を覆うように、熱硬化性樹脂が未硬化状態で含まれる炭素繊維材を巻き付けて炭素繊維巻き付け層を形成する工程と、
前記炭素繊維巻き付け層の形成後に、加熱により前記熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、前記ロストワックスを消失させる工程と、
を備え、
前記ロストワックス消失によって、前記ライナーと前記炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成されることを特徴とする高圧タンクの製造方法。
適用例1の高圧タンクの製造方法によれば、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、ロストワックスを消失させることによって、ライナーと炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成されることになり、ライナーと炭素繊維巻き付け層とが固着(接着)してしまうことを抑制することが可能となる。これにより、ライナーの形状劣化を抑制して高圧タンクを製造することが可能となる。
高圧タンクの製造方法であって、
中空のライナーの表面に、加熱することにより消失するロストワックス層を形成する工程と、
前記ロストワックス層の表面を覆うように、熱硬化性樹脂が未硬化状態で含まれる炭素繊維材を巻き付けて炭素繊維巻き付け層を形成する工程と、
前記炭素繊維巻き付け層の形成後に、加熱により前記熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、前記ロストワックスを消失させる工程と、
を備え、
前記ロストワックス消失によって、前記ライナーと前記炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成されることを特徴とする高圧タンクの製造方法。
適用例1の高圧タンクの製造方法によれば、加熱により熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、ロストワックスを消失させることによって、ライナーと炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成されることになり、ライナーと炭素繊維巻き付け層とが固着(接着)してしまうことを抑制することが可能となる。これにより、ライナーの形状劣化を抑制して高圧タンクを製造することが可能となる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、高圧タンクの製造方法、製造された高圧タンク、これを備える燃料電池システムなどの種々の形態で実現することが可能である。
図1は、高圧タンクの製造工程の実施形態を示す説明図である。なお、この図は、説明をわかり易くするために、製造する高圧タンクの一部の断面のみを拡大して示している。
[1]まず、中空のライナー10の表面に、加熱することにより溶解・揮発し消失するロストワックス30を塗布しておく。ロストワックスとしては、例えば、主成分はロウで、具体的には高級脂肪酸と1価または2価の高級アルコールとのエステル(例えば、セロチン酸ミリシル、ミリシルアルコール、オレイン酸、セチルアルコール等)が用いられる。ロストワックスの厚さは3mm以下が好ましい。ライナーと、このあと巻き付けるプリプレグとの間に3mm以上の隙間があると、ライナーの変形が大きくなりライナー劣化が問題となるというシミュレーション結果があるからである。
[2]次に、ロストワックス30が塗布された層の表面を覆うように、プリプレグを巻き付けて炭素繊維(CF)巻き付け層20を形成する。プリプレグは、従来例でも述べたように、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)が含浸された炭素繊維である。ただし、この場合は、炭素繊維に含浸されている熱硬化性樹脂は未硬化状態である。
[3]そして、上記のようにして炭素繊維まき付け層20の形成後、全体を加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させる。このとき、これと同時に、ロストワックス30が融解し揮発して消失する。
以上の[1]〜[3]の工程により作製された高圧タンクは、ロストワックス30が消失した部分、すなわち、ライナー10と、炭素繊維巻き付け層20との間に間隙が形成されることになり、ライナーと炭素繊維巻き付け層20とが接着することを抑制することが可能となる。これにより、ライナーの変形劣化を抑制することが可能となる。
[2]次に、ロストワックス30が塗布された層の表面を覆うように、プリプレグを巻き付けて炭素繊維(CF)巻き付け層20を形成する。プリプレグは、従来例でも述べたように、熱硬化性樹脂(例えば、エポキシ樹脂)が含浸された炭素繊維である。ただし、この場合は、炭素繊維に含浸されている熱硬化性樹脂は未硬化状態である。
[3]そして、上記のようにして炭素繊維まき付け層20の形成後、全体を加熱することにより、熱硬化性樹脂を硬化させる。このとき、これと同時に、ロストワックス30が融解し揮発して消失する。
以上の[1]〜[3]の工程により作製された高圧タンクは、ロストワックス30が消失した部分、すなわち、ライナー10と、炭素繊維巻き付け層20との間に間隙が形成されることになり、ライナーと炭素繊維巻き付け層20とが接着することを抑制することが可能となる。これにより、ライナーの変形劣化を抑制することが可能となる。
図2は、作製した高圧タンクの断面を示す説明図である。図2(A)は比較例としてロストワックス無しの場合を示し、図2(B)はロストワックスを2mm厚で塗布した場合を示している。図からわかるように、ロストワックス無しの場合には、ライナー10に変形が発生している(図中実線円で示した部分)のに対して、ロストワックスを塗布した場合には、ライナー変形が発生していないことがわかる。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
上記実施の形態では、ロストワックスとして、主成分はロウで、具体的には高級脂肪酸と1価または2価の高級アルコールとのエステル(例えば、セロチン酸ミリシル、ミリシルアルコール、オレイン酸、セチルアルコール等)が用いられるとして説明したが、これに限定されるものではなく、熱硬化性樹脂の加熱硬化時に、融解、揮発して消失する部材であればよい。
10…ライナー
20…炭素繊維巻き付け層
30…ロストワックス
20…炭素繊維巻き付け層
30…ロストワックス
Claims (1)
- 高圧タンクの製造方法であって、
中空のライナーの表面に、加熱することにより消失するロストワックス層を形成する工程と、
前記ロストワックス層の表面を覆うように、熱硬化性樹脂が未硬化状態で含まれる炭素繊維材を巻き付けて炭素繊維巻き付け層を形成する工程と、
前記炭素繊維巻き付け層の形成後に、加熱により前記熱硬化性樹脂を硬化させるとともに、前記ロストワックスを消失させる工程と、
を備え、
前記ロストワックス消失によって、前記ライナーと前記炭素繊維巻き付け層との間に間隙が形成されることを特徴とする高圧タンクの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010018134A JP2011157991A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 高圧タンクの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010018134A JP2011157991A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 高圧タンクの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011157991A true JP2011157991A (ja) | 2011-08-18 |
Family
ID=44590121
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010018134A Pending JP2011157991A (ja) | 2010-01-29 | 2010-01-29 | 高圧タンクの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2011157991A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102011056418A1 (de) * | 2011-12-14 | 2013-06-20 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Lasttragende Armierung von innendruckbeaufschlagten Hohlkörpern |
CN104074972A (zh) * | 2013-03-26 | 2014-10-01 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 用于形成压力容器的基体衬里的方法和设备 |
JP2019183935A (ja) * | 2018-04-06 | 2019-10-24 | トヨタ自動車株式会社 | 高圧タンク |
-
2010
- 2010-01-29 JP JP2010018134A patent/JP2011157991A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE102011056418A1 (de) * | 2011-12-14 | 2013-06-20 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Lasttragende Armierung von innendruckbeaufschlagten Hohlkörpern |
WO2013087803A1 (de) | 2011-12-14 | 2013-06-20 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Lasttragende armierung von innendruckbeaufschlagten hohlkörpern |
DE102011056418B4 (de) | 2011-12-14 | 2022-05-25 | Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. | Lasttragende Armierung von innendruckbeaufschlagten Hohlkörpern |
CN104074972A (zh) * | 2013-03-26 | 2014-10-01 | 通用汽车环球科技运作有限责任公司 | 用于形成压力容器的基体衬里的方法和设备 |
JP2019183935A (ja) * | 2018-04-06 | 2019-10-24 | トヨタ自動車株式会社 | 高圧タンク |
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