JP2011155651A - 車両周辺画像表示装置および車両周辺画像表示方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両周辺の立体物を識別可能にかつ適切に表示することができる俯瞰画像を生成すると共に運転状況を自動的に把握し、運転状況に応じた最適な運転支援情報を俯瞰画像に加えて表示し統合的に運転支援を行うことができる車両周辺画像表示装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両周辺画像表示装置は、車両の周辺を撮像する複数の魚眼カメラから得られる複数の画像を夫々通常の画像に正規化処理し正規化画像を生成する正規化処理部と、正規化画像から、車両上方の仮想視点から車両の周辺を俯瞰する俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、車両の運転を支援するための運転支援画像を生成する支援画像生成部と、運転支援画像と俯瞰画像とを合成する画像合成部と、俯瞰画像とともに運転支援画像を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明に係る車両周辺画像表示装置は、車両の周辺を撮像する複数の魚眼カメラから得られる複数の画像を夫々通常の画像に正規化処理し正規化画像を生成する正規化処理部と、正規化画像から、車両上方の仮想視点から車両の周辺を俯瞰する俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、車両の運転を支援するための運転支援画像を生成する支援画像生成部と、運転支援画像と俯瞰画像とを合成する画像合成部と、俯瞰画像とともに運転支援画像を表示する表示部とを備えたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
本発明は、車両周辺画像表示装置および車両周辺画像表示方法に係り、特に車両の周辺を撮像し運転者に安全な運転を可能とする画像を提供する車両周辺画像表示装置および車両周辺画像表示方法に関する。
従来から、車両等の周辺に設けられた監視カメラによって車両等の周辺を撮像し、撮像された画像データを運転者に提供することで、より安全な運転を実現するための技術が種々開発され普及してきている。
例えば、見通しの悪い交差点やT字路での左右確認の支援を行うブラインドモニタは、車両の先端部近傍に複数設けられた監視カメラの画像を表示するものである。
また、サイドミラー等に取り付けられるサイドブラインドモニタは、左前輪付近から前方を監視するものが多く、狭い道路の通り抜けや障害回避、或いは幅寄せ等に効果を発揮している。
さらに、後方車両ナンバプレート近傍に設置されるバックガイドモニタは、車庫入れや並列駐車等を支援するものとして普及している。
これらのブラインドモニタ等に用いられる監視カメラは、比較的画角が小さく、監視を所望する方向を指向する監視カメラを適宜手動或いは自動で切り換えて選択するものが多い。
監視カメラの画角を拡大する技術としては、例えば特許文献1には、魚眼レンズを用いた監視装置に関する技術が開示されている。特許文献1は、後方監視カメラの1つに魚眼レンズを用いて広い視野の画像を得ると同時に、魚眼画像を通常の画像に変換して運転者に違和感の無い画像に変換し、通常のバックミラー画像と重畳することによって車両後方の死角を排除する技術を開示している。
また、特許文献2には、車両周辺を監視する複数の監視カメラを車両の周囲に設け、これら複数の監視カメラから得られる画像を例えば車両の上方の仮想視点から俯瞰した画像に変換・合成する技術が開示されている。
上述したブラインドモニタ、サイドブラインドモニタ、或いはバックガイドモニタは、比較的簡素な構成で実現できるため、今日広く普及している技術である。
しかしながら、これらの技術による監視画像は、運転状況に応じて適宜選択し切り換えることを前提としており、監視対象とする空間は限定されたものである。例えばブラインドモニタを用いて見通しの悪い交差点やT字路において前方左右方向を監視しているときには車両側方に接近している二輪車や通行者をモニタすることはできない。
また、サイドブラインドモニタを選択している場合には、車両後方の障害物や車両後方に接近している通行者等をモニタすることができない。
バックガイドモニタは車庫入れや並列駐車の運転支援に有効であるが、車両後方の比較的車両に近接した空間をモニタしているため、車両とある程度離れた地点にいる接近車両は必ずしも十分にモニタすることはできない。
このように、上記のブラインドモニタ等は、特定の運転状況において特定の監視範囲の画像を運転者に提供することで運転者を支援するものであり、監視方向や監視範囲は限定されたものとなっており車両周辺の部分的な画像を提供するに留まっている。
特許文献1は、後方監視カメラに魚眼レンズを用いて画角を拡大する実施形態を開示しているが、基本的には上記ブラインドモニタ等と同様に特定の監視方向をモニタするものである。
これに対して、特許文献2が開示する車両周辺画像表示装置は、車両周辺を監視する複数の監視カメラを車両の周囲に設け、これら複数の監視カメラから得られる画像を例えば車両の上方の仮想視点から俯瞰した俯瞰画像に変換・合成するもので、車両周辺の広い範囲の画像を選択や切り換え操作をすることなく1つの画像として提供するものである。このため、運転者等にユーザに対する利便性が向上するとしている。
特許文献2が開示する車両周辺画像表示装置では、標準レンズ装着の通常のカメラを使用していると推定される。このため、車両周辺の全方位(360度)の合成画像を得るために8台の監視カメラ画像を合成する実施形態となっている。
監視カメラに魚眼レンズ等の広画角レンズを用いることによって、より少ない監視カメラ、例えば4台程度の監視カメラであっても車両周辺の全方位(360度)を監視することが可能になると考えられる。
ところで、実際の監視カメラ、例えばバックミラー等に装着された監視カメラの画像を、車両上方にある仮想視点から俯瞰した俯瞰画像に正確に変換するためには対象物の3次元情報が必要である。
しかしながら、実際の監視カメラで得られる画像情報は、車両周辺の立体物(3次元情報)を2次元に投射した2次元情報として得られるため、1つの次元情報が欠落したものとなっている。複数の監視カメラを用いて同一の対象物を撮像することによって3次元情報を得ることも原理的には可能であるが、対象物が車両の全周囲に亘るような場合には、監視カメラの数も増加し処理も複雑になるため、現実的な解決方法とは言い難い。
そこで、バックミラー等に装着された監視カメラの2次元画像を、車両上方にある仮想視点から俯瞰した俯瞰画像に変換する際には、対象物の立体形状(空間モデル)に対して所定の仮定を行うことがしばしば行われる。
具体的には、立体形状をなす対象物を路面平面等の面上に投射された投射画像(2次元形状)として扱う(特許文献2参照)。
この結果、俯瞰画像を見る運転者は、路上にある立体物を路面上の模様として誤認する虞が生じる。運転者が余裕をもって俯瞰画像を観察することができる場合であれば、対象画像の形状や色彩等から運転者のもつ経験に基づいて対象物が立体物であることを認識することが可能であろう。しかしながら、車両周辺画像表示装置が効果を発揮するような場面では、運転者に余裕をもって俯瞰画像を観察することが期待できない場合が多く、俯瞰画像に映し出された対象物が立体物であるか否かを瞬時に判断できる機能が要望されている。
また、視線方向の異なる2台のカメラの共通の視野領域に立体物が存在する場合には、2台のカメラから路面上に投射される位置が異なるため、路面に接している部分以外は分離した合成画像となってしまう。
例えば、2台のカメラの共通の視野領域に1人の歩行者が入った場合には、路面上にある歩行者の足部では合致した画像が得られるものの、歩行者の胴体部や頭部の部分は分離した画像として合成されるため、あたかも2人の歩行者が存在するかのような誤認を生じる虞もある。
特許文献2が開示する技術では、立体物と平面物とを容易に区別することができない。また、2台のカメラの共通の視野領域に存在する立体物の分離現象を防止できない。
また、車両の全周囲を映し出す俯瞰画像が提供できたとしても、それだけでは運転者に十分な安全性を提供できたとは言えない。運転状況を自動的に把握し、運転状況に応じた最適な運転支援情報を俯瞰画像に加えて表示し、統合的に運転支援を行うことができる車両周辺画像表示装置が求められている。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両周辺の立体物を識別可能にかつ適切に表示することができる俯瞰画像を生成すると共に、運転状況を自動的に把握し、運転状況に応じた最適な運転支援情報を俯瞰画像に加えて表示し統合的に運転支援を行うことができる車両周辺画像表示装置および車両周辺画像表示方法を提供することを目的とする。
本発明に係る車両周辺画像表示装置は、上記課題を解決するため、請求項1に記載したように、車両の周辺を撮像する複数の魚眼カメラから得られる複数の画像を夫々通常の画像に正規化処理し正規化画像を生成する正規化処理部と、前記正規化画像から、車両上方の仮想視点から車両の周辺を俯瞰する俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、前記車両の運転を支援するための運転支援画像を生成する支援画像生成部と、前記運転支援画像と前記俯瞰画像とを合成する画像合成部と、前記俯瞰画像とともに前記運転支援画像を表示する表示部と、前記車両に設けられた各種センサからの情報に基づいて、低速移動する前記車両の予想軌跡を算出する軌跡算出部と、を備え、前記支援画像生成部は、算出された前記予想軌跡を前記仮想視点から俯瞰した模擬車両画像とともに合成した画像を前記運転支援画像として選択する、ことを特徴とする。
また、本発明に係る車両周辺画像表示方法は、上記課題を解決するため、請求項2に記載したように、車両の周辺を撮像する複数の魚眼カメラから得られる複数の画像を夫々通常の画像に正規化処理し正規化画像を生成するステップと、前記正規化画像から、車両上方の仮想視点から車両の周辺を俯瞰する俯瞰画像を生成するステップと、前記車両の運転を支援するための運転支援画像を生成するステップと、前記運転支援画像と前記俯瞰画像とを合成するステップと、前記俯瞰画像とともに前記運転支援画像を表示するステップと、前記車両に設けられた各種センサからの情報に基づいて、低速移動する前記車両の予想軌跡を算出するステップと、を備え、前記運転支援画像を生成するステップでは、算出された前記予想軌跡を前記仮想視点から俯瞰した模擬車両画像とともに合成した画像を前記運転支援画像として選択する、ことを特徴とする。
本発明に係る車両周辺画像表示装置および車両周辺画像表示方法によれば、車両周辺の立体物を識別可能にかつ適切に表示することができる俯瞰画像を生成すると共に、運転状況を自動的に把握し、運転状況に応じた最適な運転支援情報を俯瞰画像に加えて表示し統合的に運転支援を行うことができる。
本発明に係る車両周辺画像表示装置及び車両周辺画像表示方法の実施形態について添付図面を参照して説明する。
(1)車両周辺画像表示装置及び車両周辺画像表示方法の概念と基本構成
図1(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係る車両周辺画像表示装置及び車両周辺画像表示方法を用いて車両100の周辺画像を生成、表示する際の全体概念を示す図である。
図1(a)及び(b)は、本発明の実施形態に係る車両周辺画像表示装置及び車両周辺画像表示方法を用いて車両100の周辺画像を生成、表示する際の全体概念を示す図である。
図1(a)に示したように、車両100の外周の適宜の部位に複数の監視カメラ(魚眼カメラ)200が装着される。監視カメラ200の台数や装着位置は特に限定するものではないが、例えば、車両100の前方ナンバプレート近辺に前方監視カメラ200aが、後方ナンバプレート近辺に後方監視カメラ200bが装着される。また、左サイドミラーには左側方監視カメラ200cが、右サイドミラーには右側方監視カメラ200dがそれぞれ装着される。
各監視カメラ200a、200b、200c、及び200d(以下、これらの総称を意味する場合は単に監視カメラ200と呼ぶ。)は、図1(b)に示したように、車両100の周辺領域、即ち前方領域Aoa、後方領域Aob、左側方領域Aoc、及び右側方領域Aodの各領域の画像を撮像する。
監視カメラ200の画角は特に限定するものではないが、少ない台数で車両100の全集をカバーすることが可能であることから、広画角であることが好ましい。例えば水平方向の画角が約180度或いはそれ以上の魚眼レンズを用いた4台の監視カメラ200によって、車両100の周辺の総ての範囲(水平方向360度の範囲)を監視することができる。
監視カメラ200のレンズが魚眼レンズ等の超広画角の場合は撮像された画像は歪みを伴った画像となるが、本発明の実施形態に係る車両周辺画像表示装置及び車両周辺画像表示方法では、適宜の歪み補正手段によって歪みの無い画像(以下、正規化画像と呼ぶ)に変換するものとしている。
各監視カメラ200a、200b、200c、及び200dの撮像画像に対して歪みを補正した正規化画像は、対応する領域、即ち前方領域Aoa、後方領域Aob、左側方領域Aoc、及び右側方領域Aodの各領域を、それぞれの監視カメラ200が装着されている視点から眺めた画像となっている。
各正規化画像は、車両100の上方に設けた仮想視点Pから車両周辺を俯瞰した画像に変換される。この変換は、適宜のパラメータを備えた画像変換行列等を用いて行うことができる。さらに、個々の俯瞰画像を合成することによって、車両100の全周囲を仮想視点Pから俯瞰した俯瞰画像Pddが生成される。
このようにして生成された俯瞰画像Pddを、例えば運転席前部に設けられた画像表示部(表示部)140に表示して運転者に提供することで、車両100の全周囲の障害物や通行者等の状況を運転者に対して瞬時に知らしめることが可能となり、運転の安全性を向上させることができる。
また、本発明の実施形態に係る車両周辺画像表示装置及び車両周辺画像表示方法では、俯瞰画像Pddの中に通行者等の立体物が存在する場合には、その立体物画像を識別し、運転者に視認容易に提示することで、運転の安全性をより一層向上させることができる。
この他、運転状況をモニタし、運転状況に対応した運転支援情報や画像情報を俯瞰画像Pddに合成して表示させることによって、統合的な運転支援を提供することができる。
図2は、本発明の実施形態に係る車両周辺画像表示装置1の基本構成を示す図である。
車両周辺画像表示装置1は、魚眼レンズを備える各監視カメラ200a、200b、200c、及び200dから入力される画像データを一時的に記憶する画像バッファ2、魚眼レンズで撮像された画像の歪みを補正し個々の(監視カメラ200の数に対応した)正規化画像として出力する正規化処理部3、個々の正規化画像を仮想視点Pから俯瞰した画像に変換しさらに合成することによって車両100の全周囲を俯瞰した俯瞰画像Pddを生成する俯瞰画像生成部4、俯瞰画像Pddを他の画像や運転支援画像と合成し画像表示部140へ出力する画像合成部6を備えている。
また、車両周辺画像表示装置1は、生成した俯瞰画像Pddの中に立体物が存在するか否かを識別し、立体物が存在する場合にはその立体物の画像を画像合成部6へ出力する立体物識別部5を備えている。
さらにまた、車両周辺画像表示装置1は、車速や繰舵角等をモニタする車両センサ110や、車両100の周辺の障害物を検出する立体物検出部120からの情報に基づいて、運転者が関心を向けるであろう関心方向や関心領域を推定する関心領域推定部7を備える。まあ、推定された関心領域の画像を正規化画像から抽出、拡大等して関心領域画像(部分画像)を生成する他、複数の正規化画像を正規化処理部3から入力し画像合成部6へ出力する支援画像生成部8を備えている。
この他、車両周辺画像表示装置1は、低速運転時に車速や繰舵角等から車両100の軌跡、例えば車両の前後左右の4隅の予想軌跡を算出する軌跡算出部9、算出された予想軌跡や車両100の周辺の安全余裕領域を示すガイド線等の運転支援画像を生成し、画像合成部6へ出力するガイド線等生成部10を備えている。
上記のように構成された車両周辺画像表示装置1の動作について、各構成部の細部構成を参照しつつ説明する。
(2)俯瞰画像生成部と立体物識別部の細部構成と動作
図3は、俯瞰画像生成部4の細部構成を示した図である。
図3は、俯瞰画像生成部4の細部構成を示した図である。
俯瞰画像生成部4は、俯瞰画像変換部40a、40b、40c、及び40d、変換パラメータ生成部41,及び俯瞰画像統合部42を備えて構成される。
俯瞰画像生成部4には、正規化画像が入力される。正規化画像とは、例えば魚眼レンズを備え車両100の周囲に装着された4台の監視カメラ200で撮像された画像を正規化処理部3で補正した後の画像である。
個々の正規化画像は、俯瞰画像変換部40a、40b、40c、及び40dにおいて、各監視カメラ200の視点で見た画像から、仮想視点Pから俯瞰した個々の俯瞰画像に変換される。この変換は、各監視カメラ200に関するパラメータと仮想視点Pに関するパラメータ等によって生成される変換パラメータに基づいて行うことができる。
各監視カメラ200に関するパラメータとは、各監視カメラ200の位置情報、視線方向等であり、仮想視点Pに関するパラメータとは、仮想視点Pの位置情報、仮想視点から俯瞰する視線方向、視野範囲等であり、これらの変換パラメータは変換パラメータ生成部41で生成される。
個々の俯瞰画像、例えば4台の監視カメラ200に基づく4つの俯瞰画像は、俯瞰画像統合部42において1つの俯瞰画像Pddに統合される。統合された俯瞰画像Pddは、車両100の全周囲を仮想視点Pから俯瞰した画像となっている。
生成された俯瞰画像Pddは、立体物識別部5及び画像合成部6へ出力される。
立体物識別部5は、俯瞰画像Pddの中に立体物が含まれるか否かを判定し、立体物が含まれる場合にはその立体物の画像を抽出し画像合成部6へ出力することを目的として設けられているものである。
監視カメラ200が撮像する対象物は、平面物(路上の模様等を含む)に限らず立体物、例えば路上に設置されている障害物や路上を通行する通行者等を含むものである。
しかしながら、図4に示したように、例えば左側方監視カメラ200cが立体物Ob(例えば路上を通行する幼児等)を撮像する場合には、左側方監視カメラ200cから得られる画像は立体物Obを路上に投射した投射画像として得られる。即ち、立体物Obの3次元情報は失われ、路面上に存在する2次元物として捉えられる。
このため、この投射画像を仮想視点Pから俯瞰した俯瞰画像Pddに変換したとしても、図4(b)に示したように路面上に投射された俯瞰画像Podとして得られることになる。もっとも、複数の監視カメラを用いて同一の対象物を撮像することによって3次元情報を取得することも原理的には可能であるが、対象物が車両の全周囲に亘るような場合には、監視カメラの数も増加し処理も複雑になるため、現実的な解決方法とは言い難い。
そこで、本発明の実施形態では、監視カメラ200で得られるの2次元画像を、車両上方にある仮想視点から俯瞰した俯瞰画像に変換する際には、対象物の立体形状(空間モデル)に対して、立体対象物は路面上に投射された2次元形状をなしているものとの仮定を行っている。このため、俯瞰画像Pddで得られる立体物の画像は路面上に投射された形状として表現される。
この結果、俯瞰画像を見る運転者は、路上にある立体物Obを路面上の模様として誤認する虞が生じる。運転者が余裕をもって俯瞰画像Pddを観察することができる場合であれば、対象画像の形状や色彩等から運転者のもつ経験に基づいて対象物Obが立体物であることを認識することが可能であろう。しかしながら、車両周辺画像表示装置1が効果を発揮するような場面では、運転者に余裕をもって俯瞰画像Obを観察することが期待できな場合多い。このため、立体物識別部5において俯瞰画像Pddに映し出された対象物が立体物であるか否か判定する機能を別途設ける構成としている。
図5は、立体物識別部5の細部構成を示したものである。
立体物識別部5は、俯瞰画像生成部4から入力される俯瞰画像Pddを例えば1フレーム分記憶し1フレーム時間だけ遅延させるフレームメモリ部50と、1フレーム時間遅延された俯瞰画像Pddを、1フレーム時間に車両が移動する移動距離だけシフトさせるフレームシフト画像生成部51を備える。
また、フレームシフトされた前フレームの俯瞰画像Pdd(N)’と新たなフレームの俯瞰画像Pdd(N)との差分画像Pdfを求める差分画像処理部53と、差分画像と前記新たなフレームの俯瞰画像Pdd(N)との相関処理を行い立体物画像を抽出する相関処理部54とを備える。
この他、車両センサ110から入力される車速と、所定のフレーム時間とからフレーム時間あたりの移動量Dfを算出するフレーム移動量演算部52を備えている。
上記のように構成された立体物識別部5の動作について図6を用いて説明する。
まず、フレームメモリ部50に、(N−1)フレーム目の俯瞰画像Pdd(N-1)が入力され、記憶される。フレームメモリ部50は、俯瞰画像Pdd(N-1)を1フレーム時間だけ遅延させる。俯瞰画像Pdd(N-1)には、例えば、立体物Obが路面に投射された画像Im1と、路面上に描かれた停止線の画像Ims1、及び同じく路面上に描かれた「徐行注意」の注意標識の画像Ims2とが含まれている。
一方、フレーム移動量演算部52では、車速センサ110から入力される車速Vと所定のフレーム時間Tfとから、フレーム時間Tfでの車両100の移動量Dfを算出する。
次に、フレームシフト画像生成部51において、俯瞰画像Pdd(N-1)に対して一律に前記移動量Dfに基づいてシフト処理を行い、シフト俯瞰画像Pdd(N)’を生成する。シフト俯瞰画像Pdd(N)’は、(N)フレーム目の俯瞰画像Pdd(N)を予測するものである。
他方、(N)フレーム目では、実際に撮像された新たな俯瞰画像Pdd(N)が入力される。この俯瞰画像Pdd(N)には、(N)フレーム目の監視カメラ200の位置から撮像された立体物Obの投射画像Im2と、路面上に描かれた停止線の画像Ims1、及び同じく路面上に描かれた「徐行注意」の注意標識の画像Ims2とが含まれている。
停止線の画像Ims1および注意標識の画像Ims2については、車両の位置がDfだけ移動しているため(N−1)フレーム目で得られた俯瞰画像Pdd(N-1)に対して移動量Dfだけシフトした相似画像が得られる。
これに対して、立体物Obの投射画像Im2は監視カメラ200の視線方向が車両の移動に伴って変化しているため、移動量Dfだけシフトさせたとしても(N−1)フレーム目で得られた俯瞰画像Pdd(N-1)とは異なったものとなる。例えば、路面に接近した足部の画像はほぼ同一形状となるものの、路面から離れた胴脚部や頭部の画像の位置は移動量Dfだけシフトさせたとしても一致しない。
立体物識別部5では、この事象の原理を用いて以下のように立体物Obを識別する。
まず、差分画像処理部53で、(N)フレーム目の実際の俯瞰画像Pdd(N)と、予測俯瞰画像Pdd(N)’との差分をとり、差分画像Pdfを生成する。差分画像Pdfでは、立体物Obに対して視線方向の異なる2つの投射画像Im1およびIm2が得られることになる。但し、足部の画像は双方で一致するため差分処理によって消去される。
なお、差分処理の際に生じる可能性のあるノイズ成分を差分処理の後に除去するノイズ除去処理を付加した形態としてもよい。
次に、差分画像Pdfと(N)フレーム目の実際の俯瞰画像Pdd(N)との間で相関処理を行い相関画像Pcrを生成する。相関処理によって、(N)フレーム目の実際の俯瞰画像Pdd(N)に含まれる立体物の画像Imspのみが識別、抽出される(差分画像Pdfに含まれる(N-1)フレーム目の画像から予測した立体物の画像Im1が除去される)。厳密には路面から離れた胴脚部および頭部の部分が立体物として識別、抽出される。
このようにして、(N)フレーム目の実際の俯瞰画像Pdd(N)に含まれる立体物の画像Imspが識別、抽出され、相関画像Pcrとして画像合成部6へ出力される。
画像合成部6では、この立体物の画像Imspに対して視認容易にするため適宜着色等の処理を施した後、(N)フレーム目の実際の俯瞰画像Pdd(N)に重ね合わせ合成を行った後に画像表示部140に出力する。
本実施形態に係る立体物識別部5の立体物識別処理によれば、安全な運転を支援するために重要となる立体物の識別を、俯瞰画像Pddのフレーム間の差分情報(差分画像Pdf)に基づいて簡素な方法で識別、抽出することが可能となる。また、識別、抽出された立体物の画像Imspに着色等を施して視認容易に表示させることで運転者の注意を喚起し、車両周辺の障害物や通行者等の立体物への衝突事故等を事前に回避することが容易となる。
ところで、立体物が上記の立体物識別処理によって識別されたとしても、監視カメラ200の重複領域およびその近傍領域の画像表示には以下のような問題点がある。
図7は、第1の問題点とその解決方法を説明したものである。
図7(a)は、車両100の左後方の領域に障害物や通行者等の立体物Obが存在する場合の状況を示したものである。車両100の周囲4隅の領域は、各監視カメラ200a、200b、200c、及び200dのうち隣り合う監視カメラの双方で同一領域を重複して監視することができる領域である。この重複領域、例えば車両100の左後方の重複領域Aobcに立体物Obが存在した場合、監視カメラ200bと監視カメラ200cとでは立体物Obに対する視線方向が異なるため、路面に投射された像の向きや形状はそれぞれ異なったものとなる。
このため、図7(b)に示したように、個々の俯瞰画像を単純に重ね合わせ合成して俯瞰画像Pdd’を生成すると、俯瞰画像Pdd’では立体物Obが2つに分離して表示されることになる。
このままの画像表示では、立体物Obが1つしか無い場合でもあたかも2つの立体物が存在するかのような誤認を運転者に与える虞が生じる。
そこで、本実施形態に係る車両周辺画像表示装置1では、監視カメラ200の重複領域、例えば重複領域Aobcにおいては、いずれか一方の監視カメラ200、例えば監視カメラ200bで監視する領域Aobから得られる画像のみを選択して俯瞰画像Pddを合成するものとしている。即ち、監視カメラ200bから得られる画像(重複領域Aobcを含む領域Aobの画像)と、監視カメラ200cから得られる画像から重複領域Aobcを除いた非重複領域Aoc’の画像とを用いて俯瞰画像Pddを合成するものとしている。以下この処理を重複領域選択処理と呼ぶ。
この結果、図7(c)に示したように、重複領域Aobcを表示する俯瞰画像Pddは、監視カメラ200bから得られる画像のみに基づいて生成されるため、同一の立体物Obが分離して表示されることが無くなり、運転者に対する誤認を回避することができる。
本実施形態では、俯瞰画像生成部4において重複領域選択処理を行っている。
なお、車両がほぼ直進している場合には、左右側方にある監視カメラ200cおよび200dから得られる画像を優先的に選択することが好ましい。この結果、車両側方の立体物が非重複領域から重複領域に移った場合でも同一の監視カメラ200で監視を継続することが可能となり、監視カメラの切り換えによる急激な画像の変化を避けることができる。同様の理由で、車両が大きく旋回する場合等、車両が左右方向に移動する場合には、前後方にある監視カメラ200aおよび200bから得られる画像を優先的に選択することが好ましい。この他、優先的に選択する監視カメラ200を、指示入力部130から入力されるコマンドによってユーザが適宜変更、選択できる形態でもよい。
図8は、重複領域およびその近傍領域に関する第2の問題点とその解決方法を説明したものである。
図8(a)は、車両100の左後方の領域に障害物や通行者等の2つの立体物Ob1およびOb2が存在する場合の状況を示したものである。立体物Ob1は監視カメラ200bの視野内にはあるが監視カメラ200cからは見えない位置にある。また、立体物Ob2は、監視カメラ200cの視野内にはあるが監視カメラ200bからは見えない位置にある。
このような状況で、監視カメラ200b、及び200cからの画像に基づいて単純に重ね合わせで俯瞰画像Pdd”を生成すると、図8(b)に示したような画像が得られることになる。
次に、俯瞰画像Pdd”に対して重複領域選択処理を施すと、図8(c)に示した俯瞰画像Pdd’が得られることになる。監視カメラ200bの視野内には、立体物Ob2は入っていない。従って、監視カメラ200bの画像から生成される重複領域Aobcの俯瞰画像Pdd’には立体物Ob2の路面への投射像は含まれない。
一方、監視カメラ200cの画像については、非重複領域Aoc’の画像のみが用いられて俯瞰画像Pddが生成される。
このため、図8(c)に示したように、立体物Ob2が重複領域Aobcに近接した非重複領域Aoc’に存在するような場合には、立体物Ob2の路面近傍の一部、例えば通行者の足部の画像Imc’のみが俯瞰画像Pdd’に表示されることになる。
この結果、運転者は、立体物Ob2の一部の画像Imc’を看過し、障害物や通行者等の立体物が2つ存在するにもかかわらず、1つの立体物しか存在しないと誤認する虞が高くなる。
そこで、この問題を解決するため本実施形態に係る車両周辺画像表示装置1では、重複領域選択処理に加えて、立体物延長表示処理を行っている。
立体物延長表示処理とは、図8の例で説明すると、重複領域Aobcの近接領域に立体物Ob2が存在する場合において、立体物Ob2の画像Imcが非重複領域Aoc’から重複領域Aobcに亘って延長している場合には、重複領域選択処理の後にその立体物Ob2の画像Imcspを重複領域Aobcに重ねて合成する処理をいう。
画像Imcが立体物の画像であるか否かの識別は、立体物識別部5において行われる。また、立体物識別部5において識別、抽出された立体物Ob2の画像Imcが非重複領域Aoc’から重複領域Aobcに亘って延長しているか否かの判定(以下、この判定を延長判定と呼ぶ)は、識別された立体物の位置情報をもとに、俯瞰画像生成部4において判定される。この延長判定は個々の俯瞰画像の全領域で行う必要はない。立体物の大きさは通常ある範囲に限定されているため重複領域とその近傍領域で行えば十分であり、例えば図8(d)に例示した判定領域Adで判定する。これにより、個々の俯瞰画像の全領域、例えばAocの全領域で判定する場合に比べて処理時間が短縮できる。
延長判定において、立体物Ob2の画像Imcが非重複領域Aoc’から重複領域Aobcに亘って延長していると判定された場合には、判定された延長立体物画像Imcspを俯瞰画像Pdd’重ね合わせ合成し、最終的な俯瞰画像Pddを生成する。
(3)関心領域推定部と画像合成部の細部構成と動作
図9は、車両周辺画像表示装置1の関心領域推定部7への具体的な入力信号および出力信号を例示した図である。
図9は、車両周辺画像表示装置1の関心領域推定部7への具体的な入力信号および出力信号を例示した図である。
関心領域推定部7には、車両センサ110のうち、車速センサ111からは車速が、ギアセンサ112からは車両の進行方向を示す情報、即ち「前進」又は「後進」が、繰舵角センサ113からは駆動輪の繰舵角がそれぞれ入力される。この他、ヨーレートセンサからヨーレート(地面方向に向かう車両の中心軸周りの角速度)を入力する形態としても良い。
また、関心領域推定部7には、車両100が備える立体物検出部120で検出した障害物の位置情報(方位、距離等)が入力される。
この他、車両100が備える指示入力部130からは、マイク、キーボード、スイッチ、タッチパネル等の適宜の入力手段を介してコマンド情報が入力される。
関心領域推定部7では、車両センサ110から入力される各種情報から運転状況を自動的に判断し、この運転状況から運転者が関心を示すであろう方向(関心方向)を推定し、この関心方向の情報を画像合成部6に出力する。関心方向は、例えば、前方、後方、左側方、右側方である。
また、関心領域推定部7では、立体物検出部120から入力される障害物の位置情報から、運転者が関心を示すであろう障害物の領域(関心領域)を推定し、関心領域情報を画像合成部6に出力する。関心領域情報は、例えばその領域を示す方位角範囲、車両からの離隔距離範囲等である。
図10は、画像合成部6の細部構成を示したものである。
画像合成部6は、画像選択部60、表示画像決定部61,表示位置決定部62,および合成部62を備えて構成される。
画像選択部60では、表示画像決定部61からの指示に基づいて、画像合成部6に入力される3種類の画像、即ち、俯瞰画像Pdd、正規化画像Pnn、および関心領域画像Piiの中から単独或いは複数の画像を選択する。
合成部62では、画像選択部60で選択された画像が複数ある場合に、表示位置決定部62からの指示に基づいて指示された位置に配置して合成する。また、必要に応じて、ガイド線等生成部10で生成されるガイド線、予想軌跡等の運転支援画像とさらに合成した後に画像表示部140に出力する。
表示画像決定部61は、関心領域推定部7から出力される関心方向情報および関心領域情報に基づいて表示すべき画像を特定し、画像選択部60に対して選択画像を指示する。
また、表示位置決定部62は、選択画像が複数ある場合に、関心領域推定部7から出力される関心方向情報および関心領域情報に基づいて複数の選択画像のそれぞれの表示位置を、運転者が容易に視認できるように決定する。また、元の画像の大きさでは視認性が劣化すると判断される場合には、視認容易となるように特定の画像を縮小して表示するように合成部63に対して指示する。
図11(a)は、関心領域推定部7における関心方向及び関心領域の具体的な推定方法を表の形で例示したものである。
また、図11(b)は、画像合成部6における表示画像の具体的な選択方法と位置決定方法を表の形で例示したものである。
関心領域推定部7では、入力される車速、ギア、繰舵角等の情報から運転上状況を判定する。例えば、図11(a)の表の第1行に例示したように運転状況が「低速・前進」と判定された場合には、見通しの悪い交差点やT字路に頭出している可能性が高い。そこで、運転者の関心方向は「前方」にあると推定する。
また、「低速・前進」で車両の頭出しを行っている場合には、運転者の最大の関心は前方の監視カメラ200aで撮像した正規化画像Pnn(前方)であり、この際には俯瞰画像Pddは特に必要性は認められないと考えられる。このため、図11(b)の表の第1行に例示したように、表示画像の選択では、関心方向(前方)の正規化画像のみを選択し、俯瞰画像Pddや関心領域画像は表示しないものとしている。
図12(b)および図13(b)は、運転状況が「低速・前進」と判定された場合に、前方の正規化画像Pnn(前方)が選択されて、画像表示部140に表示される様子を示している。図12と図13との相違点は、俯瞰画像Pddにおける車両100の向きが図12では横表示、図13では縦表示となっている点である。この選択は、例えば指示入力部130から入力される手動指示によって選択できる。なお、「低速・前進」では俯瞰画像Pddは選択されないため、図12(b)と図13(b)とは同一の画像となっている。
入力される車速、ギア、繰舵角等の情報から運転上状況が「低速・後進」と判定されると、図11(a)の表の第2行に例示したように、運転者の「関心方向」は「後方」と判定される。この場合、画像合成部6では、俯瞰画像Pddと後方の正規化画像Pnn(後方)の2種類の画像が選択される。
図12(c)および図13(c)は、運転状況が「低速・後進」と判定された場合に、俯瞰画像Pddと後方の正規化画像Pnn(後方)とが選択されて、画像表示部140に表示される様子を示している。正規化画像Pnn(後方)は適度の大きさに縮小された後、俯瞰画像Pddの後方方向の表示に支障の無い位置に配置される。なお、俯瞰画像Pddと後方の正規化画像Pnn(後方)の表示位置関係は通常変化しないと考えられるため、「固定」としている。
入力される車速、ギア、繰舵角等の情報から運転上状況が「低速・左旋回」或いは「低速・右旋回」と判定されると、運転者の「関心方向」はそれぞれ「左側方」或いは「右側方」と判定される。この場合、画像合成部6では、俯瞰画像Pddと正規化画像Pnn(左側方)或いは正規化画像Pnn(右側方)とが選択される。相互の位置関係は「固定」としている(図は省略した)。
立体物検出部120が障害物を検出し、関心領域推定部7に障害物の位置情報が入力されると、関心領域推定部7では運転状況は「障害物回避」と推定するとともに障害物の存在する領域(方向、距離等)が運転者にとっての「関心領域」であると推定する。
一方、支援画像生成部8では、推定された関心領域の位置情報に基づいて、4つの正規化画像Pnnの中から関心領域をカバーする正規化画像Pnnを選択し、さらにその正規化画像Pnnに含まれる関心領域の部分を拡大処理する。関心領域が拡大された画像を関心領域画像(部分画像)Piiと呼んでいる。
運転状況が「障害物回避」であると推定されると、画像合成部6では、俯瞰画像Pddと関心領域画像Piiとを選択する。
図12(d)および図13(d)は、運転状況が「障害物回避」と判定された場合に、俯瞰画像Pddと関心領域画像Piiとが選択されて、画像表示部140に表示される様子を示している。
障害物はどこにあるかわからないため、立体物検出部120で検出された障害物と車両との位置関係に応じて、俯瞰画像Pdd中の障害物と関心領域画像Piiとが相互に重ならないように関心領域画像Piiの表示位置は動的に変化させる必要がある。
図14は、「障害物回避」時の処理内容の細部を示したものである。
まず、立体物検出部120が障害物を検出し、障害物の位置情報を関心領域推定部7へ出力する(ステップST1)。
次に関心領域推定部7では、障害物のある領域を運転者の「関心領域」として推定する(ステップST2)。さらに、支援画像生成部8では、障害物をカバーするカメラの画像から生成される正規化画像Pnnを選択し、さらに関心領域部を拡大して関心領域画像Piiを生成する(ステップST3)。
画像合成部6では、俯瞰画像Pddの障害物の位置と、関心領域画像Piiとが重ならないように関心領域画像Piiの位置を決定する。また単に配置だけでは重なりを回避できない場合には適宜いずれかの画像を縮小する(ステップST4)。
双方の画像の位置や大きさを決定した後、2つの画像を重ねて合成し、画像表示部140へ出力する。
図15は、障害物、例えば通行者の位置が異なる場合の俯瞰画像Pddと関心領域画像Piiとの位置関係を例示するものである。図15(a)、(b)、および(c)のいずれの場合でも俯瞰画像Pdd中の通行者と関心領域画像Piiとが重なり合わないように表示されている。
このように、障害物の位置に応じて関心領域画像Piiに位置を動的に変化させ、運転者に対して視認容易に表示させることにより、運転者に対して障害物の位置を常に適切に知らしめることが可能となり、運転の安全性向上に資する。
なお、関心領域推定部7で推定される関心方向や関心領域の範囲、或いは、画像合成部6で選択される表示画像の選択や画像の表示位置等については、指示入力部130から入力されるコマンドによっても適宜設定、変更できるように構成されている。
(4)ガイド線等生成部および軌跡算出部の動作
図16は、ガイド線等生成部10で生成され画像合成部6で合成される運転支援画像の一例を示す図である。
図16は、ガイド線等生成部10で生成され画像合成部6で合成される運転支援画像の一例を示す図である。
駐車場等の狭いスペースに駐車等する際には、他の車両等との衝突を避けるため車両周辺の安全余裕が重要となる。駐車等の運転状況において運転者を支援するため、本実施形態に係る車両周辺画像表示装置1では、図16(a)に示したように、車両100の周辺の安全余裕領域Asf1を示すガイド線Lg1を車両100の俯瞰画像Pddとともに表示する形態としている。
また、駐車等の際には、運転ドア150を開いたときにクリアランスを考慮して駐車等する必要がある。本実施形態に係る車両周辺画像表示装置1では、図16(b)に示したように、運転ドア150の開放時のクリアランス領域Asf2を示すガイド線Lg2を車両100の俯瞰画像Pddとともに表示する形態としている。
これらのガイド線Lg1、Lg2が俯瞰画像Pddと共に表示されることによって、運転者は適切かつ安全な位置に駐車等することができる。
本実施形態に係る車両周辺画像表示装置1は、この他、車両の予想軌跡を運転支援画像として表示するものとしている。狭いスペースに駐車する時や縦列駐車の時には、例えば車両の4隅の予想軌跡等が俯瞰画像Pddと共に表示されると運転者にとって便利である。ハンドルの状態(繰舵角)に応じて予想軌跡等を順次更新することによって、運転者の適切なハンドル操作を支援することが可能となる。
車両100の4隅の予想軌跡の算出は軌跡算出部9で行われる。4隅の予想軌跡の算出方法は特に限定するものではないが、例えば以下の手順で算出することができる。
式1は、低速運行時等、タイヤのスリップが無いときの2輪(例えば前輪)駆動モデルに適用されるものである。
図17は、式1の各パラメータを説明する図である。図17に示したように、車両の重心位置(X,Y)は、地上固定座標系で表される。Vは、車両100の走行速度(車速)を表し、車速センサ111から出力される。βは前輪舵角(繰舵角)を表し繰舵角センサ113から出力される。また、rはヨーレート(Z軸まわりの角速度)を表しヨーレートセンサ114から出力される。θは、(x,y)で表記される車両に固定の座標系(車両固定座標系)の基準軸(x軸)と、地上固定座標系の基準軸(X軸)との差を表している。なお、上記のV、β、rはいずれも軌跡の予想計算開始時における値であり、以下の軌跡の予想計算においては、一定値として扱うものである。
なお、車両の進行方向をX軸に合致させておくことにより、θo=Xo=Yo=0とすることができる。
式2、式3に基づいて重心位置の予測位置を算出することができるが、車両の4隅の予想軌跡を求めるためにはさらに次の計算が必要となる。
他の3つの端点についても同様にしてWP□□(t)が計算でき、車両100の4隅の予想軌跡を算出することができる。
図19は、式2から式6の計算に基づいて算出された、右前方端及び左後方端の予想軌跡を例示したものである。
計算された4隅の予想軌跡はガイド線等生成部10において画像化され、画像合成部6において俯瞰画像Pddと合成された後に画像表示部140に出力される。
ガイド線等生成部10で生成されるガイド線Lg1、Lg2や、車両100の各4隅の予想軌跡の表示は、指示入力部130から入力されるコマンドにより、適宜表示或いは非表示を選択できる構成としている。
なお、本発明は上記の実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせても良い。
1 車両周辺画像表示装置
2 画像バッファ
3 正規化処理部
4 俯瞰画像生成部
5 立体物識別部
6 画像合成部
7 関心領域推定部
8 支援画像生成部
9 軌跡算出部
10 ガイド線等生成部
100 車両
110 車両センサ
120 立体物検出部
130 指示入力部
140 画像表示部
200 監視カメラ(魚眼カメラ)
2 画像バッファ
3 正規化処理部
4 俯瞰画像生成部
5 立体物識別部
6 画像合成部
7 関心領域推定部
8 支援画像生成部
9 軌跡算出部
10 ガイド線等生成部
100 車両
110 車両センサ
120 立体物検出部
130 指示入力部
140 画像表示部
200 監視カメラ(魚眼カメラ)
Claims (2)
- 車両の周辺を撮像する複数の魚眼カメラから得られる複数の画像を夫々通常の画像に正規化処理し正規化画像を生成する正規化処理部と、
前記正規化画像から、車両上方の仮想視点から車両の周辺を俯瞰する俯瞰画像を生成する俯瞰画像生成部と、
前記車両の運転を支援するための運転支援画像を生成する支援画像生成部と、
前記運転支援画像と前記俯瞰画像とを合成する画像合成部と、
前記俯瞰画像とともに前記運転支援画像を表示する表示部と、
前記車両に設けられた各種センサからの情報に基づいて、低速移動する前記車両の予想軌跡を算出する軌跡算出部と、
を備え、
前記支援画像生成部は、算出された前記予想軌跡を前記仮想視点から俯瞰した模擬車両画像とともに合成した画像を前記運転支援画像として選択する、
ことを特徴とする車両周辺画像表示装置。 - 車両の周辺を撮像する複数の魚眼カメラから得られる複数の画像を夫々通常の画像に正規化処理し正規化画像を生成するステップと、
前記正規化画像から、車両上方の仮想視点から車両の周辺を俯瞰する俯瞰画像を生成するステップと、
前記車両の運転を支援するための運転支援画像を生成するステップと、
前記運転支援画像と前記俯瞰画像とを合成するステップと、
前記俯瞰画像とともに前記運転支援画像を表示するステップと、
前記車両に設けられた各種センサからの情報に基づいて、低速移動する前記車両の予想軌跡を算出するステップと、
を備え、
前記運転支援画像を生成するステップでは、算出された前記予想軌跡を前記仮想視点から俯瞰した模擬車両画像とともに合成した画像を前記運転支援画像として選択する、
ことを特徴とする車両周辺画像表示方法。
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