JP2011153188A - 軽油組成物及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブタノール製造時のCO2削減のために飽和水分量のバイオブタノールの利用を前提に、排出ガス(特に、粒子状物質)の低減に効果があり、且つ燃焼効率(燃費)が悪化しない軽油組成物を開発する。
【解決手段】15℃での密度が0.800〜0.900g/cm3、硫黄分が10質量ppm以下、セタン価が44〜70、水分が3〜37容量%、ブタノール含有量が2〜16容量%であることを特徴とする軽油組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ディーゼルエンジン用の軽油組成物及びその製造方法、特には、ブタノール水溶液と軽油基材とを含むエマルジョン軽油組成物に関するものである。
大気環境の改善は緊急且つ極めて重要な世界的な課題であり、自動車には「CO2と有害排出ガスの同時削減」が強く求められている。自動車業界はこの社会的要求に答えるためにエンジンや排出ガス浄化触媒の改良、車体の改造(軽量化など)、ハイブリッド車の導入などを行っている。また、石油業界では燃料品質の向上(例えば、燃料中の硫黄分の削減など)、バイオ燃料の導入などによるCO2と有害排出ガスの削減を行っている。特に、カーボンニュートラルである植物油由来のバイオ燃料は、大気環境の改善に加えて、非石油系燃料の導入によるエネルギーセキュリティーの観点からも重要であると認識されている。
そこで、ガソリンとしては、バイオマス由来の無水エタノールを直接混合したエタノール混合ガソリンや、エタノールからエチルターシャリーブチルエーテル(ETBE)を製造して該ETBEを混合したETBE混合ガソリンが実用化されている。一方、軽油としては、植物油脂から脂肪酸メチルエステル(FAME)を製造して軽油に混合したFAME混合軽油が実用化されている。また、植物油からFT合成や水素化分解で製造したパラフィン系軽油も商業化が計画されている。さらに、エタノールの利用拡大に加えて、ディーゼルエンジンの欠点である粒子状物質(PM)を低減するために、軽油にエタノールを混合することも注目されている(非特許文献1)。
一方、セルロース系バイオマスから生産できるブタノールは、エタノールのように吸湿性がないこと、エタノールとは異なり軽油に溶解すること、エタノールよりもセタン価が高いことなどから、軽油への混合が注目されている(非特許文献2)。しかしながら、発酵法で得られるブタノールは、ブタノール自身が強い細胞毒性を示すために、発酵液中のブタノール濃度は2%程度までしか高めることができず、エタノールの場合よりもはるかに効率が悪く、且つ発酵の制御が困難である。さらに、ブタノールは水と共沸混合物を形成するので、ブタノールの純度を高めるためには、多大なエネンルギーを要することとなる。すなわち、軽油に直接混合するブタノールを生産するためには、製造段階で多大なCO2を排出することとなる。
ブタノールの脱水に係わるCO2排出量を算出した研究は見当たらないが、バイオエタノールの精製のための蒸留には、エタノール製造に伴う総CO2排出量の23%が費やされ、また、脱水のためには14%が費やされているとの試算があり(非特許文献3)、ブタノールの脱水が重要な工程であることを示している。また、このような認識のもとに、脱水を効率的に行うための研究も注目されている(特許文献1)。
したがって、無水ブタノールの軽油への混合では、ブタノール製造時のCO2排出量の増大が問題となり、目的を達成し得ないこととなる。さらに、ブタノールの直接混合では、多量のブタノールを混合する場合を除くと、PMの低減効果は、極めて限定的であることが判っている(非特許文献2)。
したがって、燃費(軽油消費時のCO2)を悪化させずに、含水ブタノールを軽油に混合して利用した軽油組成物を開発できれば、軽油の製造から消費までの総CO2排出量を削減でき、且つ石油代替燃料の導入によるエネルギーセキュリティーの向上に大きく貢献することとなる。さらに、CO2削減の観点から、ガソリンエンジンよりも燃費特性が優れているディーゼルエンジンの普及・拡大が望まれている現状では、ディーゼルエンジンの欠点である有害排出ガス成分(特に、粒子状物質(PM))の排出抑制に効果的な燃料が求められており、「CO2と排出ガスの同時削減」に効果のある含水ブタノール混合軽油組成物は、極めて有益である。
一方、軽油と水のエマルジョンは、排出ガスの低減に加えて燃費の向上に効果があり、欧州の都市部では、PMを低減するクリーン軽油としてバスなどのディーゼル車に供給され、一時期ではあるが、実用に供されている。しかしながら、エマルジョン製造方法や界面活性剤の開発が行われ、技術的な進歩があったにも拘わらず、エマルジョンのPM低減効果は比較的小さく、PM低減に着目した費用対効果の観点などから、軽油と水のエマルジョンは、現在では実用化されていない(非特許文献4)。
特開2006−45139号公報
本発明者らは、まず、軽油に含水ブタノールを直接混合することを検討したが、飽和水分量となっているブタノール(許容水分量は20〜25容量%程度(温度に依存))を軽油に混合すると水分が分離することとなり、新たな分離水分対策が必要となることが判った。そこで、上記の軽油と水のエマルジョンの特徴から、該エマルジョンをブタノール混合軽油と組み合わせることで、ブタノール混合軽油の欠点を補完することを想到し、大気環境の改善とエネルギーセキュリティーの向上を両技術の組み合わせで、解決することを鋭意検討した。すなわち、本発明の目的は、大気環境の改善とエネルギーセキュリティーの向上を「含水ブタノールを利用する軽油エマルジョン」で達成することであり、より詳しくは、「ブタノール製造時のCO2削減のために飽和水分量のバイオブタノールの利用」を前提に、「排出ガス(特に、PM)の低減に効果があり」、且つ「燃焼効率(燃費)が悪化しない」軽油組成物及びその製造方法を開発することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、含水ブタノール(製造時に飽和水分となっているブタノール(水分量20〜25容量%))を利用して、以下の方法で軽油エマルジョンを製造し、該軽油エマルジョンをディーゼルエンジン車に供給することで、燃焼効率を悪化させることなく排出ガス(特に、PM)を低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
1)軽油基材に含水ブタノールを混合する
2)軽油基材と含水ブタノールの混合物に界面活性剤を溶解させる
3)軽油基材と含水ブタノールと界面活性剤の混合物に水を加えてエマルジョンとする
即ち、本発明の軽油組成物は、15℃での密度が0.800〜0.900g/cm3、硫黄分が10質量ppm以下、セタン価が44〜70、水分が3〜37容量%、ブタノール含有量が2〜16容量%であることを特徴とする。
また、本発明の軽油組成物の製造方法は、
上記軽油組成物基準で、初留点が150〜205℃、終点が290〜380℃、全芳香族分が30容量%以下の軽油基材65〜95容量%と、含水ブタノール3〜20容量%とを配合して混合し、
さらに上記軽油組成物基準で界面活性剤0.3〜5質量%を添加して溶解させた後に、
上記軽油組成物基準で水を2〜32容量%配合してエマルジョンとすることを特徴とする。
本発明の軽油組成物は、エネルギーセキュリティーや地球温暖化防止に貢献し、且つ排気ガス中の粒子状物質(PM)を低減する効果を奏し、さらには、流通系での水分管理を特別に強化する必要がなく、燃焼効率が良好であるという格別な効果を奏する。また、本発明の軽油組成物の製造方法によれば、ブタノール、水及び軽油基材を用いた安定したエマルジョンが得られる。
以下に、本発明の詳細を説明する。本発明の軽油組成物は、ブタノール、水、及び軽油基材を混合してエマルジョンにした軽油組成物であって、品質が以下の性状を有するディーゼルエンジン用の燃料である。
<密度>
本発明の軽油組成物は、15℃での密度が0.800〜0.900g/cm3である。軽油組成物の密度が0.900g/cm3を超えると、エマルジョンによる粒子状物質(PM)の削減効果が低下し、大気環境の改善に貢献できないので、密度は0.900g/cm3以下、好ましくは0.880g/cm3以下、更に好ましくは0.860g/cm3以下である。一方、密度が0.800g/cm3未満では、容量基準の発熱量が低下して燃費や出力の低下が顕著になるので、密度は0.800g/cm3以上、好ましくは0.810g/cm3以上、更に好ましくは0.815g/cm3以上である。
<硫黄分>
本発明の軽油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下、好ましくは9質量ppm以下、更に好ましくは7質量ppm以下である。本発明の軽油組成物は、硫黄分が10質量ppm以下であるため、燃焼生成物である硫黄酸化物が少なく、環境負荷の低減に寄与できる。また、硫黄分は、PMを酸化・除去するDPF(ディーゼルパティキュレートフィルター)触媒を被毒するので、硫黄分の低減は、PMの浄化率を維持するために極めて重要である。更に、NOx吸蔵還元触媒を装着した車輌においては、該触媒の硫黄被毒の再生に燃料を使用するので、硫黄分の低減は、燃費の向上にも寄与する。そして、これらの効果は、硫黄分が低い程顕著であるため、本発明の軽油組成物中の硫黄分は、好ましくは9質量ppm以下、更に好ましくは7質量ppm以下である。
<セタン価>
本発明の軽油組成物は、セタン価が44〜70であり、好ましくは44〜67、更に好ましくは44〜65、特に好ましくは45〜65である。セタン価が44未満では、ディーゼルエンジンの低温始動条件下での着火性の悪化によって、排出ガスの悪化や運転性の悪化を起こすので、セタン価は44以上、好ましくは45以上である。一方、セタン価がある値以上になると、セタン価の向上に伴う着火遅れの短縮が得られないので、必要以上に高くすることは、エンジン性能上からは無意味である。また、セタン価を高めるためには、軽油基材のセタン価を高める必要があるので、製造時のCO2排出量が増加するばかりではなく、燃料の製造価格が高くなる。そのため、経済性の観点からも、エンジンが要求する最低のセタン価に設定する必要があるので、本発明の軽油組成物のセタン価は70以下であり、好ましくは67以下、更に好ましくは65以下である。
<蒸留性状>
本発明の軽油組成物の蒸留性状は、エマルジョンを製造するために用いたベース軽油(以下、軽油基材という)の性状で規定する(エマルジョンを蒸留するとエマルジョンが破壊され、正確な蒸留性状を得ることができない)。本発明の軽油組成物の製造に用いる軽油基材は、初留点(IBP)が150〜205℃であることが好ましく、更に好ましくは160〜200℃、特に好ましくは170〜185℃である。初留点が150℃を下回ると、高温条件下では燃料の噴射系に燃料蒸気が発生し、必要な燃料噴射量を確保できなくなることが懸念される。また、初留点が低過ぎると、燃料の流通系における取り扱いに伴う危険性が増すことからも、初留点は150℃以上であることが好ましい。また、初留点が205℃を超えると、軽油の霧化や気化特性が悪化するので、低温条件下でのエンジン運転性の悪化が懸念される。更に、初留点が高過ぎる軽油は、軽油基材中の軽質留分を軽油として利用していない事となり石油のノーブルユースの観点からも好ましくない。
一方、上記軽油基材の終点(EP)は290〜380℃であることが好ましく、更に好ましくは290〜370℃、特に好ましくは290〜360℃である。終点が380℃を超えると、粒子状物質(PM)の排出量増加が顕著になり、環境負荷を十分に低減できない。また、終点が低下すると、PM排出量は削減されるが、軽油基材中の重質留分を利用しないことになるので、石油のノーブルユースの観点から好ましくない。更に、終点が低過ぎると発熱量が顕著に低下するので、容量燃費が悪化することからも、終点は290℃以上であることが好ましい。
<芳香族分>
本発明の軽油組成物の製造に用いる軽油基材は、全芳香族分が30容量%以下であることが好ましく、更に好ましくは26容量%以下、特に好ましくは25容量%以下である。軽油基材中の芳香族の含有量が増大し過ぎると、粒子状物質(PM)の排出量が増加するので、エマルジョンによるPM低減効果が相殺されるため、軽油基材の全芳香族分は30容量%以下であることが好ましい。また、特に限定されるものではないが、2環以上の芳香族が1環芳香族よりもPM排出量への影響が大きいので、本発明の軽油基材中の2環以上の芳香族の含有量は、好ましくは5容量%以下、更に好ましくは2容量%以下である。
<元素分析>
本発明の軽油組成物は、特に限定されるものではないが、モル比基準で水素/炭素比(H/C)が好ましくは1.84以上、更に好ましくは1.85以上、特に好ましくは1.87以上である。軽油組成物のH/C比が小さくなると、粒子状物質(PM)の排出量が増加することに加えて、燃料の単位発熱量当たりのCO2排出量が増すので、エンジンから排出されるCO2が増大する。
<水分>
本発明の軽油組成物は、燃焼性の悪化を招かずにエマルジョンによるPM削減効果を発揮するために、配合された水の量が2〜32容量%、好ましくは5〜25容量%、更に好ましくは5〜20容量%である。本発明が目的とするブタノール生産時のCO2排出量削減のためには、ブタノール水溶液は飽和水分の状態で(脱水操作を行わないで)利用することが好ましく、ブタノールの混合量に比例して水分量も増大するが、水の配合量が2容量%未満では、エマルジョンによるPM削減効果が得られない。一方、水の配合量が32容量%を超えると、エマルジョンの着火性が顕著に悪化し、燃焼性が悪化するので配合される水の量は32容量%以下である。
また、本発明の軽油組成物は、水分(配合された水と含水ブタノール由来の水との総量)が3〜37容量%、好ましくは5〜29容量%であり、更に好ましくは5〜25容量%である。軽油組成物中の水分が3容量%未満では、エマルジョンによるPM削減効果が十分には得られない。一方、軽油組成物中の水分が37容量%を超えると、エマルジョンの着火性が顕著に悪化し、燃焼性が悪化する。
<含水ブタノール>
本発明の軽油組成物は、配合された含水ブタノールの量が3〜20容量%であり、好ましくは3〜18容量%であり、更に好ましくは5〜15容量%である。本発明における含水ブタノールは、ブタノール製造時に飽和水分となっているブタノールのことであり、該含水ブタノール中の水分量は20〜25容量%である。含水ブタノールの配合量が3容量%未満では、含水ブタノールを添加したことによる本発明の効果が得られず、一方、20容量%を超えると、軽油組成物の着火性の悪化が顕著になり、また、含水ブタノールを用いて製造したエマルジョンの安定性が低下するので、含水ブタノールの配合量は3〜20容量%である。
本発明の軽油組成物は、ブタノールの含有量が2〜16容量%であり、好ましくは2〜14容量%であり、更に好ましくは4〜12容量%である。軽油組成物中のブタノールの含有量が2容量%未満では、排出ガス(特に、PM)の低減効果が十分には得られない。一方、軽油組成物中のブタノールの含有量が16容量%を超えると、軽油組成物の着火性の悪化が顕著になり、また、エマルジョンの安定性が低下する。
<添加剤>
(界面活性剤)
本発明の軽油組成物には、貯蔵安定性を確保するための界面活性剤の利用が効果的である。界面活性剤としてはレシチン系界面活性剤である大豆レシチンなどが効果的である。また、該界面活性剤の添加量は、0.3〜5質量%が好ましく、更に好ましくは0.5〜3質量%である。界面活性剤の添加量が0.3質量%未満では、エマルジョン(軽油組成物)の貯蔵安定性を十分確保することが難しく、一方、5質量%を超えても、貯蔵安定性の向上効果が更に向上せず、製造コストが上昇してしまう。
(セタン価向上剤)
本発明の軽油組成物には、必要に応じてセタン価向上剤を添加しても良く、該セタン価向上剤としては、アルキルナイトレート系セタン価向上剤や、有機過酸化物系セタン価向上剤が挙げられる。ここで、上記アルキルナイトレート系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のアルキルナイトレートが好ましく、2−メチルヘキシルナイトレートが特に好ましい。また、上記有機過酸化物系セタン価向上剤としては、炭素数6〜12のジアルキルパーオキサイドが好ましく、ジ−t−ブチルパーオキサイドが特に好ましい。そして、これらセタン価向上剤の添加量は、0.5質量%以下が好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。セタン価向上剤の添加量を増すとセタン価は高くなるが、その増加の割合は、添加量が0.5質量%を超えると極めて小さくなるので、セタン価向上剤添加の費用対効果の観点から、添加量は0.5質量%以下とすることが好ましい。
(その他の添加剤)
また、本発明の軽油組成物には、任意に、軽油組成物の安定性を確保するための酸化防止剤、軽油組成物の低温流動性を確保するための低温流動性向上剤、軽油組成物の潤滑性を確保するための潤滑性向上剤、エンジンの清浄性を確保するための清浄剤等を適宜添加することができる。
ここで、上記酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−t−ブチルフェノール、2,4,6−トリ−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2−t−ブチルフェノール等のフェノール系酸化防止剤や、N,N’−ジイソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン等のアミン系酸化防止剤、およびこれらの混合物が挙げられる。ここで、これら酸化防止剤の添加量は、0.001〜0.10質量%の範囲が好ましい。酸化防止剤の添加効果は大きいので、実用的には0.10質量%の添加で十分な効果が得られるからである。
上記低温流動性向上剤としては、公知のエチレン共重合体等が挙げられ、特に、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル等の飽和脂肪酸のビニルエステルが好ましい。これら低温流動性向上剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
上記潤滑性向上剤としては、長鎖(例えば、炭素数12〜24)の脂肪酸またはその脂肪酸エステルが挙げられる。そして、軽油組成物に対し該潤滑性向上剤を10〜500質量ppm、好ましくは50〜100質量ppm添加することにより、軽油組成物の潤滑性を向上して燃料噴射器の摩耗を抑制することができる。
上記清浄剤としては、コハク酸イミド、ポリアルキルアミン、ポリエーテルアミン等が挙げられる。これら清浄剤の添加量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。
<軽油基材の調製>
本発明で用いる軽油基材は、原料油として、例えば、常圧蒸留装置、接触分解装置、熱分解装置等から得られる各種の軽油留分、すなわち初留点から終点までの沸点範囲(以下、沸点範囲という)が140〜400℃の範囲で留出する留分を用いて、適宜混合して水素化脱硫するか、水素化脱硫後に適宜混合することにより得られるが、芳香族を多く含む原料油を処理する場合は、製品の硫黄分や芳香族を所定範囲にするために、反応温度や水素分圧を高くし、また水素/オイル比を高くすることが有効である。なお、芳香族を多く含む原料油は難脱硫成分も多く含むことから、水素化脱硫にあたっては硫黄分を選択的に除去する触媒を用いる必要がある。
上記水素化脱硫は、Co、Mo及びNiの1種以上を含有し、又所望によりPを担持した水素化触媒を用い、反応温度270〜380℃、好ましくは295〜360℃、反応圧力2.5〜8.5MPa、好ましくは2.7〜7.0MPa、LHSV0.9〜6.0h-1、好ましくは0.9〜5.4h-1、水素/オイル比130〜300Nm3/kLの条件から適宜選択して、上述の軽油基材が得られる様にするとよい。
本発明では、上記水素化脱硫した軽油留分に、灯油留分、GTL、BTXを製造する際の副生成留分、潤滑油を製造する際の副生成留分、ノルマルパラフィン化合物、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン化合物、イソパラフィン系溶剤、芳香族化合物、芳香族系溶剤、バイオマス由来の燃料基材、ナフテン化合物、ナフテン系溶剤等を適宜配合して、上述の性状、品質に合った軽油基材を調製することができる。
<軽油組成物の調製>
本発明の軽油組成物は、軽油組成物基準で、初留点が150〜205℃、終点が290〜380℃、全芳香族分が30容量%以下の軽油基材65〜95容量%と、含水ブタノール3〜20容量%とを配合して混合して得た混合溶液に、さらに軽油組成物基準で界面活性剤0.3〜5質量%を添加して溶解させた後に、軽油組成物基準で水を2〜32容量%添加して攪拌し、エマルジョンを生成させることで得られる。該攪拌は、例えば真空攪拌機を用いて3〜10分間攪拌すればよい。エマルジョン状態は、上記の攪拌後の溶液が常温常圧で相分離していないことを目視で確認する。なお、エマルジョン状態が安定していれば、例えば、攪拌後1昼夜常温常圧で静置しても相分離は認められない。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
<軽油組成物の調製>
以下のように調製した軽油組成物(燃料−1〜燃料−9)を評価した。これらの燃料の分析結果を表1に示す。なお、エマルジョンは、軽油基材とブタノール水溶液を所定量混合し、同燃料に対して2質量%の界面活性剤(ニッコー製油製 ニッコーレシチン)を溶解させた後に、所定量の水を加え、EME社製真空攪拌機V−MINI 300を、自転速度1000rpm、公転速度750rpmで5分間攪拌して製造した。また、得られたエマルジョンの安定性を評価し、室温状態で10時間静置して、エマルジョン状態を保持した場合を○とし、相分離が見られた場合を×とした。
・燃料−1:市販JIS 2号軽油
・燃料−2:天然ガスからFT合成したパラフィン系燃料であるGTL(JOMOサンエナジーからモスガス品として入手)
・燃料−3:硫黄分が10質量ppm以下になるように脱硫した石油系直留軽油基材を300℃で分留した軽質留分から芳香族を抽出した燃料 [50容量%の供試軽油(燃料−1)と50容量%のフルフラールを常温、常圧で激しく混合・攪拌して芳香族を抽出し、フルフラール層(下層)をデカンテーションで除去する操作を3回繰り返した後に、軽油を水洗い・脱水した前処理油を140℃で5hr活性化処理したシリカゲルを500g充填したカラムに2Lを通過させて更に芳香族を除去した]。
・燃料−4:80容量%の燃料−1、10容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、10容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−5:80容量%の燃料−3、10容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、10容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−6:20容量%の燃料−1、60%容量%の燃料−2、10容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、10容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−7:80容量%の燃料−1、17容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、3容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−8:60容量%の燃料−1、30容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、10容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−9:60容量%の燃料−3、30容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、10容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−10:50容量%の燃料−1、10容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、40容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
・燃料−11:89容量%の燃料−1、1容量%の含水ブタノール(78容量%のブタノールと22容量%の水)、10容量%の水に、界面活性剤を外掛けで2質量%添加したエマルジョン燃料。
<燃料の性状分析>
・密度:JIS K2249「原油及び石油製品の密度試験法」
・蒸留性状:JIS K2254「蒸留試験法」
・硫黄分:JIS K2541−6「硫黄分試験法(紫外蛍光法)」
・全芳香族分、2環以上の芳香族分:石油学会法JPI−5S−49−97「石油製品−炭化水素タイプ試験方法−高速液体クロマトグラフ法」
・セタン価:JIS K2280「石油製品−燃料油−オクタン価およびセタン価試験方法並びにセタン指数算出法」
・H分、C分、O分:有機元素分析装置(LECO社製CHN−1000型)を用いて測定した。
<供試機関諸元と運転条件>
直噴ディーゼルエンジン
気筒数:1
排気量:1007(cm3
圧縮比:20
燃料噴射系:コモンレール、高圧噴射
エンジン回転速度を1300(rpm)に固定し、20(%)及び80(%)負荷条件での排出ガス、燃焼効率を測定した。
<エンジン性能評価方法>
燃焼解析:圧力センサーで燃焼室内圧力を検出して司測研製燃焼装置で、図示平均有効圧力、燃焼変動などの燃焼挙動を解析した。
排出ガス:堀場製排出ガス分析装置を用いて、排出ガス中のPM、NOx、HC、CO、CO2を分析した。
燃焼効率:司測研製燃料流量計で燃料消費速度(ml/分)を測定し、上述の燃焼解析で得た図示平均有効圧力(kg/cm2)から、効率を算出した。
<エンジン性能の評価・判定方法>
エンジン試験で各燃料からの排出ガスは、市販軽油JIS 2号軽油(燃料−1)を基準に、これよりも排出ガスが多い燃料を(×)、同等な燃料を(△)、少ない燃料を(○)として表した。また、燃焼効率も同様に、燃料−1との比較で相対評価し、燃焼効率が悪い燃料を(×)、同等な燃料を(△)、良好な燃料を(○)として表した。これらの結果を表1に示す。
Figure 2011153188
(1)飽和水分となっている含水ブタノール
(2)軽油と含水ブタノールに添加した水分
(3)製品(軽油+ブタノール+水)に添加した界面活性剤添加割合(外掛け質量%)
(4)燃焼に寄与するC,H,O化合物中の割合
<燃料評価結果>
表1に示したように、各燃料の評価結果は、以下の通りである。
本発明に従う燃料−4〜燃料−7は、製造したエマルジョンがエンジンに供給可能な程度に安定であり、且つ、ブタノールの含酸素効果とエマルジョン効果でPMが顕著に低減されていた。さらに、燃費もベース軽油(燃料−1)とほぼ同等であり、目的を達成している。
一方、燃料−8、燃料−9、燃料−10は、エマルジョンの安定性の悪化に加えて、着火性の低下に伴う燃焼変動の増大によって安定的な排出ガスの測定が困難であり、燃焼効率も極めた悪かった(燃料−10では、排出ガスの測定が不可能なほどに、燃焼性悪化)。一方、燃料−11では、安定なエマルジョンを調合でき、且つ燃焼性も市販軽油(燃料−1)とほぼ同等であるが、ブタノールの混合量が少ないので本発明の目的である「排出ガスとCO2の同時削減」には寄与しない。

Claims (2)

  1. 15℃での密度が0.800〜0.900g/cm3、硫黄分が10質量ppm以下、セタン価が44〜70、水分が3〜37容量%、ブタノール含有量が2〜16容量%であることを特徴とする軽油組成物。
  2. 請求項1に記載の軽油組成物の製造方法であって、
    上記軽油組成物基準で、初留点が150〜205℃、終点が290〜380℃、全芳香族分が30容量%以下の軽油基材65〜95容量%と、含水ブタノール3〜20容量%とを配合して混合し、
    さらに上記軽油組成物基準で界面活性剤0.3〜5質量%を添加して溶解させた後に、
    上記軽油組成物基準で水を2〜32容量%配合してエマルジョンとする
    ことを特徴とする軽油組成物の製造方法。
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