JP2011152550A - スラグ流出防止方法およびその装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】設備コスト増を招くことなく、渦流の発生を効果的に抑制してスラグの流出を確実に防止することができる方法とこの方法を用いる装置を提案することにある。
【解決手段】溶鋼保持用容器内の、スラグが混在する溶鋼を、その溶鋼保持用容器から他の容器等へ流出させる際に、流出させる溶鋼とともにスラグが流出するのを防止する技術であって、かかる溶鋼保持用容器の溶鋼流出口近傍もしくはその延在位置にある流出通路を取り囲むように配置された、磁場の方向を変えることのできる複数の磁極からなる静磁界発生装置により、溶鋼流の向きに応じた磁場が形成されるように静磁界を発生させるスラグ流出防止方法およびその装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、取鍋やタンディッシュのような溶鋼保持用容器から、スラグが混在する溶鋼を他の容器等に流出させる際に、スラグが一緒に流出するのを防止するための方法およびその装置に関する。
鉄鋼材料については、近年、高機能化および高品質化への要求の高まりから、鋼中の不純物元素を極限まで低減する努力が払われており、溶鋼段階において鋼の高純度化および高清浄度化するための技術が注目されている。
現在、一般的な鋼は、溶銑を転炉で脱炭吹錬した後、取鍋へ出鋼し、その後、二次精錬等の処理を施してから取鍋内に払い出し、その後、取鍋内の溶鋼を底部の出鋼口からタンディッシュに注入し、そのタンディッシュを経てさらに連続鋳造鋳型に供給して鋳造し、所定の鋳片を製造している。例えば、こうした一連の工程の中で、転炉吹錬後、その転炉を傾転して転炉出鋼口から取鍋へ溶鋼を出鋼する際や、取鍋内溶鋼をさらにタンディッシュ内に注入する際、あるいは、そのタンディッシュから連続鋳造鋳型へ溶鋼を鋳込む際などの作業において、溶鋼を供給する側の溶鋼保持用容器内溶鋼残量が低下するのに伴い、その溶鋼とともに供給側の溶鋼保持用容器内溶鋼上に浮遊しているスラグが、その流出溶鋼の流れに巻き込まれ、受鋼側の容器内へ流出することがあった。
このときに流出したスラグが溶鋼中に懸濁したり、そのスラグにもし低級酸化物が含まれているような場合には、それが溶鋼中のAlのような強脱酸成分と反応して非金属介在物を発生させたり、時にはそれらが溶鋼中に残留したまま鋳造されると、鋳片の清浄度が悪化させることともなり、鋼板における欠陥の原因となる。
そこで、従来、受鋼側容器内へのスラグの流出を防止する技術が幾つか提案されている。例えば、特許文献1には、容器内で渦流が発生する前に、流出口を閉塞する方法が開示されている。また、特許文献2には、注出ノズルのまわりに磁界発生コイルを巻付け、そのコイルに直流電流を流すことで鉛直方向に静磁場を発生させ、渦流を防止する方法が開示されている。また、特許文献3には、容器内に保持している溶鋼深さに応じ、水平方向および/または鉛直方向に磁束を印加することにより、渦流が発生するのを抑制する方法が開示されている。また、特許文献4には、渦流が発生する前は静磁場を印加し、一方、渦が生成したのちには、渦流の方向とは反対の向きに回転磁場をかける方法が開示されている。さらに、特許文献5には、転炉からの出鋼時に、その出鋼口の周囲からガスを吹込み、渦流の発生を防止するとともに、出鋼口直上のスラグを排除する方法が開示されている。
特許第4289476号公報 特開昭56−154267号公報 特開平4−28460号公報 特開平2−54711号公報 特開昭62−230930号公報
参考文献
1992 STEELMAKING CONFERENCE PROCEEDINGS,p665
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、溶鋼の出鋼後、取鍋内に残留する溶鋼量が多くなるため、歩留の低下や地金付き増大による取鍋整備の負担が増すなど、鋼品質以外の点で様々な弊害が懸念される。また、特許文献2に記載の方法では、鉛直方向の静磁場形成により、水平方向における渦流のような流れの抑制はできても、溶鋼深さが浅いときに見られる鉛直方向の吸い込みまで抑制することはできない。また、特許文献3に記載の方法では、溶鋼深さが浅いときの鉛直方向の吸込みの抑制はできるが、鉛直方向用磁場発生装置の外側に水平方向用磁場発生装置を設置することになるため、水平方向の磁場発生装置の磁極間距離が出鋼口径、耐火物厚み以上に離れることになる。そのため、この方法では、必要な磁束を得るために、磁極あるいは電源の大型化による設置コスト増を避けることができない。また、特許文献4に記載の方法では、渦流の向きを確認するセンサー等が必要になるが、鋼浴面にはスラグが存在しているために検知が困難である。たとえ、渦流の向きが検知でき、その方向と反対向きに回転磁場をかけることができたとしても、その後、渦流の向きが回転磁場の方向に変化してしまう。また、特許文献5に記載の方法では、ノズルからガスを吹き込むため、転炉のように出鋼時のみその出鋼口に溶鋼がある場合であれば、その時だけガスを吹き込めば足りるが、タンディッシュのように、出鋼口に常に溶鋼があるような場合、ガスを吹込み続けないとノズルが閉塞してしまい、出鋼時に必要なガス量を供給できないこととがある。
本発明の目的は、設備コスト増を招くことなく、渦流の発生を効果的に抑制してスラグの流出を確実に防止することができる方法とこの方法を用いる装置を提案することにある。
発明者らは、従来技術が抱えている上述した課題を解決するために、様々な検討を行った。その結果、溶鋼などの流体が、排出口(出鋼口)のような位置に急に集められるような場合、流体の各部分がその位置へ向かう方向に対して横の運動量を持っていると、その位置を中心として回転運動を行いながら次第に中心に向かって移動し、角運動量保存の法則により、中心に近づくにつれて、回転の速度を次第に増加していくようになる。流体の各部分は、実際には異なった方向の運動量を持つため、次第にぶっかり合い、やがて一定の方向の回転を行うようになり、渦を発生する。そして、このような現象は、容器内における流体の液面が低下してくると、渦を伴わない排出口へ向かう流れとなる。
このような現象について、製鉄所において、スラグが共存している状態の溶鋼を取鍋等から排出(出鋼)する場合に当てはめて考えると、その出鋼に伴い、溶鋼とともにスラグが渦流に乗って一緒に流出してしまうという問題がある。溶鋼の排出に伴うスラグの流出を抑制するためには、浴深さが深い場合は、渦発生の要因となる排出口(出鋼口)へ向かう溶鋼の水平方向の流れを抑制すること、一方、浴深さが浅くなったら、出鋼口へ向かう鉛直方向の流れを抑制することが有効であると考えられる。
そこで、本発明では、これら溶鋼の流れに対し、それぞれに最適な方向の磁場を作用させることにより、それぞれの流れ(水平方向、鉛直方向)を緩和することにした。即ち、容器内の溶鋼深さが深い場合には、出鋼口へ向かう水平方向の流れを抑制するように作用する磁場を発生させ、一方で、溶鋼深さが浅くなった場合は、出鋼口へ向かう鉛直方向の流れを抑制するように作用する磁場を発生することで、出鋼時のスラグの流出を効果的に抑制できることを知見し、本発明に想到した。
即ち、本発明は、溶鋼保持用容器内の、スラグが混在する溶鋼を、その溶鋼保持用容器から他の容器等へ流出させる際に、流出させる溶鋼とともにスラグが流出するのを防止する方法において、かかる溶鋼保持用容器の溶鋼流出口近傍もしくはその延在位置にある流出通路を取り囲むように配置された、磁場の作用方向を変えることのできるように組み合わされる複数の磁極からなる静磁界発生装置により、溶鋼流の向きに応じた磁場が形成されるように静磁界を発生させることを特徴とするスラグ流出防止方法である。
また、本発明は、上記の方法の実施に当たって用いる装置として、溶鋼保持用容器内のスラグが混在する溶鋼を、その溶鋼保持用容器から他の容器等へ流出させる際に、流出させる溶鋼とともにスラグが流出するのを防止する装置であって、磁場の作用方向を変えることのできるように組み合わされる複数の磁極からなり、かつ溶鋼流の向きに応じた磁場が形成されるように静磁界を発生させる静磁界発生装置を、前記溶鋼保持用容器の溶鋼流出口近傍もしくはその延在位置にある流出通路に、これらを取り囲むように配置したこと特徴とするスラグ流出防止装置を提案する。
本発明に係る上記スラグ流出防止方法およびその方法の実施に用いる装置においては、
(1)前記静磁界発生装置は、溶鋼流出口や流出通路を囲むように配置された磁極のうち、隣り合う磁極どうしでは互いの磁性が反対となるように配置して、溶鋼の水平方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるようにして用いること、
(2)隣り合う磁極の磁性が反対となるような静磁界発生装置の配置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが深く、溶鋼の水平方向の流れがある場合に適用すること、
(3)前記静磁界発生装置は、一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟んで配置して、溶鋼の鉛直方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるようにして用いること、
(4)一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟むような静磁界発生装置の配置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが浅く、溶鋼の鉛直方向の流れがあるときに行うこと、
(5)前記静磁界発生装置は、溶鋼の水平方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるようにして用いること、
(6)隣り合う磁極の磁性が反対となるような静磁界発生装置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが深く、溶鋼の水平方向の流れがあるときの配置であること、
(7)前記静磁界発生装置は、溶鋼の鉛直方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるように、一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟んで配置したこと、
(8)一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟むように配置してなる静磁界発生装置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが浅く、溶鋼の鉛直方向の流れがあるときの配置であること、
(9)前記静磁界発生装置は、溶鋼保持用容器から溶鋼を流出させる際に、該容器内の溶鋼の深さが深い時は隣り合う磁極の極性を反対とし、溶鋼の深さが浅い時は、溶鋼流出口を挟んで向かい合う一対の磁極のみで、静磁界を発生させること、
(10)静磁界発生装置の複数の磁極は、これらを等間隔に配置したこと、
(11)溶鋼保持用容器の流出口もしくは流出通路の中心と、静磁界発生装置の各磁極中心との距離は、それぞれ等間隔となるよう配置されること、
(12)溶鋼の深さが浅い時に鉛直方向に作用する静磁界を発生させる静磁界発生装置は、対向する一対の磁極間の距離を、流出口もしくは流出通路の直径もしくは幅以上の大きさとすること、
が、好ましい実施形態となる。
上記のように構成される本発明によれば、出鋼時における出鋼口での渦の生成ならびに鉛直方向の流れが発生するのを抑制することで、溶鋼保持用容器内の鋼浴面に浮遊しているスラグの流出を効果的に防止することができ、製品欠陥の起因ともなる介在物の生成も抑制できる。その結果、清浄度の高い鋼が得られるようになり、工業上有益な効果が得られる。
また、本発明によれば、静磁界発生装置を出鋼口のまわりを取り囲むように配置し、そして隣り合う磁極どうしはその極性が反対となるように配置して、出鋼口へ向かう水平方向の流れを抑制するような磁場を発生させている。その結果、出鋼口へ向かう水平方向の流れが緩和されるようになり、渦の発生を抑制することができる。また、本発明によれば、出鋼口を挟む互いに向い合う位置に、静磁界を発生する一対の磁極を配置して、出鋼口へ向かう鉛直方向の流れに作用させる磁場形成により、出鋼口を横切るような磁束を発生させている。その結果、静磁界が鉛直方向の流れにのみ作用してスラグの流出阻止に効果的に機能するようなる。
また、本発明によれば、磁極を等間隔に配置し、さらに、出鋼口中心と複数の静磁界発生装置の磁極の中心間との距離がいずれも等しくなるように配置されているので、出鋼口周囲の磁束密度の偏りを無くすことができ、偏流等の乱れを最小限に抑制することができる。
さらに、本発明によれば、鉛直方向の流れに磁場を作用させる場合において、特に、浴深さが浅い時に静磁界を発生させる一対の磁極の幅を、出鋼口の直径以上として、磁束が出鋼口全面を横切るように分布させるので、鉛直方向の流れが緩和され、スラグの流出を効果的に阻止することができ、ひいては鋼の清浄性を向上させることができる。
本発明で用いる静磁界発生装置の略線図である。 静磁界発生装置を溶鋼保持用容器に設置した様子を示す略線図である。 静磁界発生装置の平面図と磁場の印加パターンの様子を示す模式図である。 実施例1でのタンディッシュ内スラグの成分分析結果を示す図である。 実施例2でのタンディッシュ内湯面高さと鋳片のトータル酸素濃度の分析結果を示す図である。
図1は、本発明で用いる静磁界発生装置の一例を示すものである。例示の装置は、水平流と鉛直流の両方に対応できるタイプの一対の兼用コイル1、1’、やはり一対の水平流用コイル2、2’が、それぞれ鉄心3に巻き付けた状態のもの複数組み、図示例では、2組みを溶鋼流出口近傍もしくはその延在位置にある流出通路まわりに、これらを取り囲むように、配置した例である。なお、磁極面は上側である。
上述したように、前記静磁界発生装置は、例えば、図2に示すように、払い出し側の溶鋼保持用容器4の溶鋼流出口、すなわち出鋼口5のまわり、またはその延在位置に設けられる樋やノズルの如き流出通路を取り巻くよう配置されるが、該容器に結合した付帯装置としてもよいし、出鋼時に該保持用容器1の出鋼口5の近傍に着脱可能に据え付けて用いるようにしたものであってもよい。
なお、前記溶鋼保持用容器4の出鋼口5には、一般に、ノズル6を取付けている場合が多いが、このノズル6は、本発明の実施形態としては、必ずしも必要なものではない。また、該出鋼口5の開閉、流量調整は、出鋼口5とノズル6の間に設置されているスライディングゲートや、出鋼口上部や下部に設置されたストッパー等、どのような方式でも構わない。
本発明に係る、主として静磁界発生装置からなるスラグ流出防止装置は、例えば、転炉の出鋼口や各種取鍋の底部にある出鋼口、タンディッシュ底部に設けらた鋳型への溶鋼注入口部分への適用が好適であり、装置の寸法や形状は、対象となる溶鋼保持用容器の形状や設置可能な空間によって変更すべきである。
図3は、本発明に係るスラグ流出防止装置、とくに静磁界発生装置の平面図、および磁場の印加パターンの一例を示すものである。例えば、溶鋼保持用容器内の溶鋼深さが深く、磁場を水平方向の流れに作用させたい場合は、図3(a)に示すように、互いに隣り合う磁極1、1’と2、2’の極性を反対になるように配置すると、磁束7が出鋼口5を取り囲むように発生し、出鋼口5に向かう水平方向の流れを抑制するような磁界が形成される。
一方、溶鋼深さが浅くなり、磁場を鉛直方向の下向きの流れに抗するように作用させるには、図3(b)に示すように、一対の水平流ならびに鉛直流兼用コイル1、1’を、出鋼口5を挟んで向かい合う位置に配置して磁場を発生させることで、磁束8が出鋼口5を横切り、容器の鉛直方向と直交する向きに発生するので、該出鋼ロ5へ向かう鉛直方向の流れを抑制するように作用する。
なお、磁極の個数は、必要な磁場強度が得られるような数を好ましくは一対で配置するのが好ましいが、特に規定はない。また、これらを一つの装置で実施するためには、電磁気力による静磁界発生装置の磁極のON/OFF、向きが変えられるようなものにする必要がある。
また、こうした静磁界発生装置は、溶鋼保持用容器の形状、出鋼口の形状、出鋼流量等で渦流発生、渦流から鉛直流への遷移のタイミング、制動に必要な磁場強度も変わるので、出鋼中の流動やスラグの流出状況等を予め観察し、測定して、必要な印加パターンを予め決定しておくことが望ましい。とくに、溶鋼保持用容器内の溶鋼深さとこれらの関係を知ることが必要である。また、溶鋼深さについては、溶鋼量と容器の寸法から算出してもよいし、適当な距離計で上方から鋼浴面までの距離を測定し、予め測定しておいた容器底部からの距離との差分から求めてもよい。
以上述べた本発明に係る方法・装置を採用すれば、出鋼口5からの溶鋼を出鋼する時の溶鋼の流れ、即ち、溶鋼深さに応じて生ずる水平流や出鋼口鉛直流を抑制制御することができるようになり、スラグの流出を効果的に防止することができる。
また、本発明の前記静磁界発生装置は、ペアで用いられるか否かは別として、隣り合う磁極どうしの間隔を等間隔に配置することが好ましい。その理由は、出鋼口を中心として形成される磁場の作用が均一になり、渦流の発生を防止する上で有効だからであり、また、偏流等の乱れも最少限に抑制することができるからである。
また、本発明において、例えば、出鋼口(流出口)まわりに複数個配置される前記静磁界発生装置は、出鋼口(流出口)や流通通路の中心と各磁場中心との距離が一定(等間隔)となるように配置する。この理由は、出鋼口周囲の磁束密度の偏りをなくし、偏流等の乱れを最少限に抑制するためである。
さらに、本発明において、前記静磁界発生装置は、溶鋼深さが浅くなって、鉛直方向の溶鋼流に作用させるための磁場の形成が必要となる場合、出鋼口を横切るような磁束を発生させ、そのために対向して配置する一対の磁極どうしの距離を出鋼口や流出通路の直径あるいは幅よりも大きくする。そうすることで、出鋼口全領域に磁場を均一に形成することができる他、吸込み流の生成を効果的に抑制することができるようになる。
(実施例1)
この実施例は、溶鋼保持用容器として転炉を用い、この転炉にて約250トンの溶鋼を酸素吹錬し、その後、取鍋に出鋼してRH真空脱ガス装置に搬送して必要な精錬を行うときの例である。そして、その取鍋からタンディッシュに溶鋼を排出(出鋼)するときのスラグの流出状況を観察すべく、精錬時に取鍋内溶鋼上のスラグに対し、酸化イットリウムを約5mass%となるように添加する実験を行った。
即ち、上記取鍋を、連続鋳造機上に設置されたタンディッシュ上に搬送し、取鍋出鋼口に注入ノズルを接続し、取鍋のスライディングゲートを開けて、タンディッシュへの溶鋼の注入を開始した。その後、取鍋出鋼口(羽口)の周囲に配置した静磁界発生装置により、溶鋼深さが1m(溶鋼注入量180トン)になった時点から磁場の印加を開始した。与えた磁場強度は、溶鋼が充填されていないときの磁束密度で、水平方向最大値を0.12Tとした。溶鋼注入量は10t/minに制御した。溶鋼の深さは、取鍋上部に設置したレーザー距離計により、予め測定しておいた取鍋底部までの距離からの差分によって測定した。
また、タンディッシュからは、連鋳機の2つのストランドへ溶鋼を供給したが、このときタンディッシュ内溶鋼残量が所定量になった時点で、各ストランドへの供給量を5t/minになるように制御した。そして、そのタンディッシュ内には溶鋼残量が所定量になったときに、溶鋼上にCaO、SiO、Al、MgOを含有するフラックスを添加した。その後、溶鋼深さが15cm(溶鋼注入量240トン)になった時点から磁場を出鋼口を挟んで向かい合う一対の磁極のみに印加した。与えた磁場強度は、溶鋼が充填されていないときの磁束密度で、鉛直方向最大値を0.12Tとした。
なお、前記取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入が完了したら、次の処理順の取鍋と入れ代え、引き続き溶鋼の注入を行った。上記処理中に、タンディッシュ内溶鋼上のスラグを採取し、成分分析を行った。
また、比較例として、磁場を印加しない場合について、上記と同様の処理を行い、タンディッシュ内スラグの成分分析を行った。
以上の条件で行った実験の結果、図4に示すように、出鋼口(羽口)の周囲に静磁界発生装置を配置して磁場を印加した場合(本発明適合例)は、タンディッシュ内スラグ中には酸化イットリウムを観察されなかったが、比較例(印加なし)では、時間の経過とともに、スラグ中の酸化イットリウム濃度が増加する傾向にあり、次の処理順の溶鋼を注入開始する直後までその傾向が続いていた。以上の結果から判ることは、本発明方法の適用により、取鍋スラグの流出が最小限に抑えられることが確められた。
(実施例2)
実施例1と同様に、転炉で約250トンの溶鋼の酸素吹錬を行い、その後、取鍋に出鋼してRH真空脱ガス装置に搬送して必要な精錬を行った。その後、取鍋を連続鋳造機上に設置されたタンディッシュ上へ搬送し、取鍋出鋼口に注入ノズルを接続した。次に、スライディングゲートを開けて、タンディッシュへの溶鋼の注入を開始した。溶鋼注入量は10t/minに制御した。タンディッシュから連鋳機の2つのストランドへ溶鋼を供給し、タンディッシュ内の溶鋼量が所定量になった時点で、各ストランドへの供給量が5t/minになるように制御した。溶鋼注入開始とともに、一方のストランドのタンディッシュ注入口の周囲に配置した静磁界発生装置より、磁場の印加を開始した。与えた磁場強度は、溶鋼が充填されていないときの磁束密度で、水平方向最大値を0.1Tとした。もう一方のストランドには磁場を印加しなかった。
また、溶鋼取鍋からタンディッシュ内への注入が終了し、タンディッシュ湯面が低下して、溶鋼の深さが10cmになった時点から、磁場を出鋼口を挟んで向かい合う一対の磁極のみに印加することにより、該出鋼口を横切るような磁束を発生するような磁場を形成した。与えた磁場の強度は、溶鋼が充填されないときの磁束密度で、鉛直方向最大値を0.1Tとした。
なお、鋳造前にタンディッシュの風袋重量を測定しておき、鋳造中はロードセルによってタンディッシュ重量を常時測定することにより、タンティッシュ形状に基づきタンディッシュ内湯面高さに換算して溶鋼深さを算出した。
鋳造終了後、スラグ流出に起因する酸化物系介在物量を調査すべく、鋳片からサンプルを切り出し、トータル酸素濃度を分析した。また、比較例として、磁場を印加しなかったストランドで鋳造した鋳片についても、同様にトータル酸素濃度を分析した。
以上の条件で取鍋出鋼を行ったところ、図5に示すように、比較例では、タンディッシュ内湯面高さが低くなると、定常部でのトータル酸素濃度との差異が急激に大きくなっているが、実施例ではかなり湯面が低くならないとトータル酸素濃度も上昇していなかった。以上の結果から判ることは、本発明方法の適用により、タンディッシュ内スラグの流出が最小限に抑えられることが確められた。
本発明に係るスラグ流出防止方法およびその装置については、上述した溶鋼保持用容器から他の容器への排出時に起るスラグの混入を防止する技術について説明したが、この技術はまた、スラグが混在する溶銑の処理や他の金属精錬技術にも適用が可能である。
1 水平流、鉛直流兼用コイル
2 水平流用コイル
3 鉄心
4 溶鋼保持用容器
5 出鋼口
6 ノズル
7 磁束
8 磁束

Claims (14)

  1. 溶鋼保持用容器内の、スラグが混在する溶鋼を、その溶鋼保持用容器から他の容器等へ流出させる際に、流出させる溶鋼とともにスラグが流出するのを防止する方法において、かかる溶鋼保持用容器の溶鋼流出口近傍もしくはその延在位置にある流出通路を取り囲むように配置された、磁場の作用方向を変えることのできるように組み合わされる複数の磁極からなる静磁界発生装置により、溶鋼流の向きに応じた磁場が形成されるように静磁界を発生させることを特徴とするスラグ流出防止方法。
  2. 前記静磁界発生装置は、溶鋼流出口や流出通路を囲むように配置された磁極のうち、隣り合う磁極どうしでは互いの磁性が反対となるように配置して、溶鋼の水平方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるようにして用いることを特徴とする請求項1に記載のスラグ流出防止方法。
  3. 隣り合う磁極の磁性が反対となるような静磁界発生装置の配置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが深く、溶鋼の水平方向の流れがある場合に適用することを特徴とする請求項2に記載のスラグ流出防止方法。
  4. 前記静磁界発生装置は、一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟んで配置して、溶鋼の鉛直方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるようにして用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載のスラグ流出防止方法。
  5. 一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟むような静磁界発生装置の配置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが浅く、溶鋼の鉛直方向の流れがあるときに行うことを特徴とする請求項4に記載のスラグ流出防止方法。
  6. 溶鋼保持用容器内のスラグが混在する溶鋼を、その溶鋼保持用容器から他の容器等へ流出させる際に、流出させる溶鋼とともにスラグが流出するのを防止する装置であって、磁場の作用方向を変えることのできるように組み合わされる複数の磁極からなり、かつ溶鋼流の向きに応じた磁場が形成されるように静磁界を発生させる静磁界発生装置を、前記溶鋼保持用容器の溶鋼流出口近傍もしくはその延在位置にある流出通路に、これらを取り囲むように配置したこと特徴とするスラグ流出防止装置。
  7. 前記静磁界発生装置は、溶鋼の水平方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるようにして用いることを特徴とする請求項6に記載のスラグ流出防止装置。
  8. 隣り合う磁極の磁性が反対となるような静磁界発生装置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが深く、溶鋼の水平方向の流れがあるときの配置であることを特徴とする請求項7に記載のスラグ流出防止装置。
  9. 前記静磁界発生装置は、溶鋼の鉛直方向に向う流れを抑制するような磁場が形成されるように、一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟んで配置したことを特徴とする請求項6または7に記載のスラグ流出防止装置。
  10. 一対の磁極を溶鋼流出口や流出通路を挟むように配置してなる静磁界発生装置は、前記溶鋼保持用容器内溶鋼の浴深さが浅く、溶鋼の鉛直方向の流れがあるときの配置であることを特徴とする請求項9に記載のスラグ流出防止装置。
  11. 前記静磁界発生装置は、溶鋼保持用容器から溶鋼を流出させる際に、該容器内の溶鋼の深さが深い時は隣り合う磁極の極性を反対とし、溶鋼の深さが浅い時は、溶鋼流出口を挟んで向かい合う一対の磁極のみで、静磁界を発生させることを請求項6〜10のいずれか1に記載のスラグ流出防止装置。
  12. 静磁界発生装置の複数の磁極は、これらを等間隔に配置したことを特徴とする請求項6〜11のいずれか1に記載のスラグ流出防止装置。
  13. 溶鋼保持用容器の流出口もしくは流出通路の中心と、静磁界発生装置の各磁極中心との距離は、それぞれ等間隔となるよう配置されることを特徴とする請求項6〜12のいずれか1に記載のスラグ流出防止装置。
  14. 溶鋼の深さが浅い時に鉛直方向に作用する静磁界を発生させる静磁界発生装置は、対向する一対の磁極間の距離を、流出口もしくは流出通路の直径もしくは幅以上の大きさとすることを特徴とする請求項6〜13のいずれか1に記載のスラグ流出防止装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN113798485A (zh) * 2021-10-27 2021-12-17 东北大学 一种电磁控制钢包引流及钢水浇注末期漩涡卷渣的方法

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