JP2011151599A - 薄型全面駆動マルチウェイスピーカ - Google Patents
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Abstract
【課題】 一枚のフィルム状又は平板状の振動板のボイスコイルを面積の異なる2又は3領域に区分けして2ウェイ又は3ウェイとしたスピーカを、全面駆動型とすることにより構成の簡素化、軽量化、薄型化、高音質化を図る。
【解決手段】 フレーム板のほぼ全面に高密度で配置した最大多数の円形磁気ギャップでなる磁気回路と、磁気ギャップの全てに個々に対向しかつ連続するパターンで最大の有効線長を持つボイスコイルを担持する振動板とでなるスピーカにおいて、ボイスコイルを面積の異なる複数の、音域の異なる領域に分けてマルチウェイとする。各領域は一枚の振動板上において併置型と同軸型のいずれとしても良い。領域間の境界線に沿って振動板を固定し、各領域の振動を分離する。
【選択図】 図2
【解決手段】 フレーム板のほぼ全面に高密度で配置した最大多数の円形磁気ギャップでなる磁気回路と、磁気ギャップの全てに個々に対向しかつ連続するパターンで最大の有効線長を持つボイスコイルを担持する振動板とでなるスピーカにおいて、ボイスコイルを面積の異なる複数の、音域の異なる領域に分けてマルチウェイとする。各領域は一枚の振動板上において併置型と同軸型のいずれとしても良い。領域間の境界線に沿って振動板を固定し、各領域の振動を分離する。
【選択図】 図2
Description
本発明は主として小型音響機器に内蔵する薄型で小型の、高密度パターン配置の磁気駆動方式による全面駆動スピーカに係り、一枚のフィルム状または平板状の振動板表面を2ないし3領域に分けて2ウェイまたは3ウェイとするマルチウェイ化した薄型全面駆動マルチウェイスピーカに関する。
従来の方式において、一枚のフィルム状または平板状の振動板を、例えば2ウェイ用とするには、図5(a)に示すように、振動板11の大部分を低音用領域12とし、残りの小部分を高音用領域13として、それぞれの表面に例えば環状の低音用ボイスコイルVCWfと高音用ボイスコイルVCTwを設置し、これらに環状の磁気回路を対峙させて駆動していた。この場合には、何れの領域12、13でもボイスコイルVCWf、VCTwは振動板の全面を駆動することはできず、局部的な駆動となるため、振動板の振動には分割振動モードが起こって円滑な振動は得られず、使用周波数帯域を十分広く再生することは困難であった。
また、図5(b)に示すように、正方形の振動板21の中央の小部分を高音用領域23として小径のボイスコイルVCTwを配置し、その周辺の大部分を低音用領域22として大径のボイスコイルVCWfを、ボイスコイルVCTwと同心に配置した2ウェイ振動板があった(例えば特許文献1参照)。この場合、低音用大径のボイスコイルVCWfを、小径ボイスコイルVCTwによる振動で起きる分割振動の円形の節に対応する部分を駆動することを意図したものとすると、かなり大口径のものとする必要があった。また、同じ意図からすれば、想定周波数帯域内の分割振動モードの数だけ節は生じるから、これと対応する同じ数のボイスコイルを同心に配置する必要があり、それに伴って大型の磁気回路を設けねばならず、全体として複雑な構成となり、これを組み込んだスピーカユニットの寸法と重量は、大型のスピーカシステム並みとなっていた。
上記図5(a)および(b)はいずれも平面振動板ユニットを用いた従来のマルチウェイスピーカであるが、本発明が関わる全面駆動型のスピーカをマルチウェイ構成とする試みもあった(特許文献2参照)。この全面駆動型マルチウェイスピーカは、2枚のスチール板の対向面のそれぞれに複数の細長い磁石を平行に、隣接方向には交互に極性を変え、空隙を置いた対向方向には極性を同じにして配列し、空隙の中間部に配置した振動板の表面に磁石と平行して線状に設けたボイスコイルを磁石間空隙中央に位置させ、全面の磁石列のうち、中央部分とその側方部分における磁石とボイスコイルの配列密度を変え、周波数帯域を変えるものとしていた。また、これらの部分を高中音用の一体ユニットとし、別に設けた低音用ユニットと組合せてスピーカユニットとしていた。この構成は、対向する磁石列を2段とし、それらの間に振動板とボイスコイルを配する3段構成であり、その段数を減じることは不能であって、それ以上の薄型化を図ることはできなかった。また音域を変えるためには磁気回路とボイスコイルの配列密度を変えており、特に高音用の部分は高密度化を要し、構成の簡素化と軽量化の点に問題があった。
本発明は、一枚のフィルム状または平板状の振動板のボイスコイルを大小の2領域、または大中小の3領域ごとに分けて配置して2ウェイ、3ウェイを含むマルチウェイスピーカを、全面駆動型とすることによって構成を簡素化し、軽量化し、薄型化し、低コスト化し、しかもより高音質化することを可能とすることを目的とする。
課題を解決するために、本発明による薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、フレーム板上のほぼ全面に高密度で配置した最大多数の磁気ギャップでなる全面駆動型の磁気回路と、磁気ギャップの全てに対向して連続するパターンで可能な最大の有効線長を持つボイスコイルを担持する振動板とを備え、ボイスコイルを面積の異なる複数の、互いに異なる音域の領域に分けたことを特徴とする。
請求項2において、請求項1記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、磁気回路がそれぞれ円形の磁気ギャップを包有し互いに隣接して平面上に複数併置整列させてなり、ボイスコイルが各磁気ギャップの円形の一方の半部ずつを磁気回路の隣接部分で隣の一方の半部に連結して列の一端から磁気ギャップの円形のなぞり書きを始め、列の他端で他方の半部に折り返して同様のなぞり書きを、始めの一端の磁気ギャップで書き終わる一筆書きで交差させることなく繋ぐ線に沿って形成してなることを特徴とする。
請求項3において、請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、ボイスコイルの複数の領域を、面積の大きい低音用と、面積の小さい高音用の2つの領域、又は、大面積の低音用と、中面積の中音用と、小面積の高音用の3つの領域としたことを特徴とする。
請求項4において、請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、ボイスコイルの複数の領域を振動板上において併置する、又は、同軸に配置することを特徴とする。
請求項5において、請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、フレーム板がボイスコイルの複数の領域の境界線に沿って立ち上がる仕切り壁を備え、仕切り壁はその端面を境界線に沿って振動板に接合することを特徴とする。
請求項6において、請求項1から5のいずれかに記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、それぞれのボイスコイル領域がそれぞれのボイスコイルに対応する入力端を個別に備えることを特徴とする。
請求項2において、請求項1記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、磁気回路がそれぞれ円形の磁気ギャップを包有し互いに隣接して平面上に複数併置整列させてなり、ボイスコイルが各磁気ギャップの円形の一方の半部ずつを磁気回路の隣接部分で隣の一方の半部に連結して列の一端から磁気ギャップの円形のなぞり書きを始め、列の他端で他方の半部に折り返して同様のなぞり書きを、始めの一端の磁気ギャップで書き終わる一筆書きで交差させることなく繋ぐ線に沿って形成してなることを特徴とする。
請求項3において、請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、ボイスコイルの複数の領域を、面積の大きい低音用と、面積の小さい高音用の2つの領域、又は、大面積の低音用と、中面積の中音用と、小面積の高音用の3つの領域としたことを特徴とする。
請求項4において、請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、ボイスコイルの複数の領域を振動板上において併置する、又は、同軸に配置することを特徴とする。
請求項5において、請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、フレーム板がボイスコイルの複数の領域の境界線に沿って立ち上がる仕切り壁を備え、仕切り壁はその端面を境界線に沿って振動板に接合することを特徴とする。
請求項6において、請求項1から5のいずれかに記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカは、それぞれのボイスコイル領域がそれぞれのボイスコイルに対応する入力端を個別に備えることを特徴とする。
本発明によれば、振動板のほぼ全面に付いてそれぞれ小型化され高密度に配列した最大多数の磁気ギャップと、これら磁気ギャップに対応するパターンで可能な最大有効線長のボイスコイルとを組合わせた全面駆動型のスピーカを用い、一枚の振動板に配列するボイスコイルを互いに面積の異なる二つ又は三つの領域に分けることにより2ウェイ又は3ウェイスピーカを形成したので、各領域ごとに全面駆動が行われ、従来の非全面駆動方式による場合に生じる分割振動モードを伴わない高音質のマルチウェイスピーカを、簡素化、軽量化、薄型化、低コスト化した構成で実現することができる。
本発明の薄型全面駆動マルチウェイスピーカの全面駆動方式は、本出願人による先の出願、特願2009−088946、に記載の本発明者による「全面駆動スピーカ」に係る発明に基づくものであり、従来の全面駆動方式よりも更に高密度化し、有効線長を増したパターン配列の磁気ギャップとボイスコイルによって、分割振動モードの発生を抑制するものである。
この「全面駆動スピーカ」が採用する駆動方式の概要を図1に基づいて説明する。図1(a)において、二重円で示すように、小径化した多数の円形磁気回路MCが密接してフレーム板のほぼ全面に、m行n列の形で配列される。二重円間の空隙で表される磁気ギャップMGは、内磁型または外磁型の磁気回路MCによって、要求されるスピーカの寸法と性能に応じて選択される径と数で用意される。
図1(b)は磁気回路MCのm行n列をいわゆる一筆書きでたどるパターンで、例えばポリイミドフィルムでなる振動板1上にプリント配線したボイスコイルVCを示し、磁気ギャップMGの円形の、それぞれの隣接部分で分けた半円の一方を列の一端からたどり始め、隣接部分で次々に隣のギャップの一方の半円につなげ、列の他端において他方の半円に連結して再び隣接部分で次々と隣の他方の半円につなげ、列のはじめの一端に到達するまで交差することなく、磁気ギャップMGの連続円をたどることによって得たパターンである。組み立て状態において、ボイスコイルVCの一対の半円ごとに磁気ギャップMGの各々の円形と対峙させて、振動板1を磁気回路MCに対向させる。全面のボイスコイルVCはこのようにして1本のワイヤで構成され、その始端と終端が併置され、振動板の一隅に入力端として引き出される。
図2は、本発明による薄型全面駆動マルチウェイスピーカの実施例1における併置型2ウェイスピーカの振動板1上のボイスコイルパターンを示す。ボイスコイルVCは振動板1上で面積の異なる二つの領域2及び3に分けられ、それぞれ別の一筆書きパターンとする。面積の大部分を占める領域2が低音域用のボイスコイルとして、小面積の領域3が高音域用のボイスコイルとして作用することとなり、それぞれの始端と終端を低音部入力端Wfおよび高音部入力端Twとして引き出す。領域2および3の境界線4に対応して、磁気回路MCを担持するフレーム板から仕切り壁(図示しない)を立ち上げ、その端面を境界線4に沿って振動板1に接合、望ましくは接着して、それぞれの領域の振動が混じらないようにする。なお、高音用領域3の形状は音響変換効率上、図示のように正方形とすることが好ましいが、振動板1を横切る矩形とすることもできる。
図3は、本発明による薄型全面駆動マルチウェイスピーカの実施例2として、同軸形2ウェイスピーカの振動板1上のボイスコイルパターンを示し、ボイスコイルVCは中心に位置する小面積の高音域用の領域3と、その周囲を取り巻く大面積の低音域用の領域2に分けられ、それぞれの始端と終端が高音部入力端Twおよび低音部入力端Wfとして引き出される。両領域2および3の境界線4は、図示しないフレーム板の仕切り壁端面に接着固定され、それぞれの振動が混ざらないようにする。図ではボイスコイルVCと振動板1を正方形で示したが、これらを矩形とすることもできる。
図4は本発明による実施例3の、薄型全面駆動マルチウェイスピーカを同軸形3ウェイスピーカとするための振動板1とそのボイスコイルVCのパターンを示し、ボイスコイルVCは、中央の小面積正方形内の9個のボイスコイル円を含む高音域用領域3と、その四辺を囲む12個のボイスコイル円を含む中音域用領域5と、更にその外周四辺を取り囲む52個のボイスコイル円を含む低音域用領域2に分けられ、それぞれの始端と終端を高音部入力端Tw、中音部入力端Mid、および低音部入力端Wfとして1箇所に引き出し、低音域用領域2と中音域用領域5の間の境界線4aおよび中音域用領域5と高音域用領域3の間の境界線4bに沿って振動板1をフレーム板の仕切り壁端面に接着固定して、各領域が別個に振動して振動が混じらないようにする。
なお、各領域2、3および5についてボイスコイル円の数を述べたが、これは各領域の面積の相違を示すためであり、これらの数に限定するものでなく、また、振動板1ないしボイスコイルVCも図示の正方形に限定されるものではなく、何れの実施例も含めて、他の形状、いずれかの多角形、円形、楕円形とすることも可能である。
MC 磁気回路
MG 磁気ギャップ
VC ボイスコイル
1 振動板
2 低音域用領域
3 高音域用領域
4 境界線
5 中音域用領域
4a 境界線
4b 境界線
Tw 高音部入力端
Wf 低音部入力端
Mid 中音部入力端
MG 磁気ギャップ
VC ボイスコイル
1 振動板
2 低音域用領域
3 高音域用領域
4 境界線
5 中音域用領域
4a 境界線
4b 境界線
Tw 高音部入力端
Wf 低音部入力端
Mid 中音部入力端
Claims (6)
- フレーム板上のほぼ全面に高密度で配置した最大多数の磁気ギャップでなる全面駆動型の磁気回路と、磁気ギャップの全てに対向して連続するパターンで可能な最大の有効線長を持つボイスコイルを担持する振動板とを備え、ボイスコイルを面積の異なる複数の、互いに異なる音域の領域に分けたことを特徴とする薄型全面駆動マルチウェイスピーカ。
- 磁気回路はそれぞれ円形の磁気ギャップを包有し互いに隣接して平面上に複数併置整列させてなり、ボイスコイルが各磁気ギャップの円形の一方の半部ずつを磁気回路の隣接部分で隣の一方の半部に連結して列の一端から磁気ギャップの円形のなぞり書きを始め、列の他端で他方の半部に折り返して同様のなぞり書きを、始めの一端の磁気ギャップで書き終わる一筆書きで交差させることなく繋ぐ線に沿って形成してなることを特徴とする請求項1記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカ。
- ボイスコイルの複数の領域を、面積の大きい低音用と、面積の小さい高音用の2つの領域、又は、大面積の低音用と、中面積の中音用と、小面積の高音用の3つの領域としたことを特徴とする請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカ。
- ボイスコイルの複数の領域を振動板上において併置する、又は、同軸に配置することを特徴とする請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカ。
- フレーム板がボイスコイルの複数の領域の境界線に沿って立ち上がる仕切り壁を備え、仕切り壁はその端面を境界線に沿って振動板に接合することを特徴とする請求項1又は2記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカ。
- それぞれのボイスコイル領域がそれぞれのボイスコイルに対応する入力端を個別に備えることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の薄型全面駆動マルチウェイスピーカ。
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JP2010011021A JP2011151599A (ja) | 2010-01-21 | 2010-01-21 | 薄型全面駆動マルチウェイスピーカ |
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2010
- 2010-01-21 JP JP2010011021A patent/JP2011151599A/ja active Pending
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