JP2011150188A - 難燃性光ファイバケーブル - Google Patents

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【課題】クマゼミの産卵行動に起因する光ファイバの損傷を低減することができ、難燃性を損なうことなく、管路内への通線性や端末の外被除去作業性を確保することができる光ファイバケーブルを提供する。
【解決手段】外周に被覆が形成された光ファイバ心線と、該光ファイバ心線の長手方向に並行に配置されたテンションメンバとを備え、(a)エチレン−α−オレフィン共重合体85〜15質量%、(b)ポリプロピレン系樹脂10〜80質量%、並びに(c−1)不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂及び/又は(c−2)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体0〜20質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)金属水和物10〜60質量部及び(C)赤燐1〜8質量部を含有する難燃性樹脂組成物(P)を用いて、該光ファイバ心線及び該テンションメンバが、被覆されている難燃性光ファイバケーブル。
【選択図】図1

Description

本発明は、難燃性光ファイバケーブルに関する。さらに詳しくは、クマゼミの産卵行動に起因する光ファイバの損傷による伝送損失増加を低減することのできる難燃性光ファイバケーブルに関する。
光ファイバケーブルとして、1つあるいは複数の単心光ファイバ心線や光ファイバテープ心線等の光ファイバと、鋼線やアラミド樹脂等からなるテンションメンバと支持線を、首部を有するシースで一括被覆して構成されるものが知られている。
ところでこの光ファイバケーブルを架空布設した場合、セミ、特にクマゼミが光ファイバケーブルを木の幹や枝と誤って、シースに産卵管を突き刺し、内部に産卵することにより、産卵管で光ファイバが損傷するとともに、産卵管を突き刺した部分から雨水等の水分がケーブル内部に浸入しやすくなる。水分がケーブル内に浸入すると、この水分が原因となって光ファイバ心線に伝送損失増加をもたらす危険性が高くなる。
そこで、シースにより被覆された光ファイバ心線の少なくとも一部を覆うように、シースの内部又は外表面に防護テープを配置せしめた光ファイバケーブルが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、この光ファイバケーブルには難燃性が必要とされる。そのため、難燃剤として金属水和物を多量に配合するとともに、所定値以上の硬度を有する難燃性樹脂組成物を用いてシースを構成して、クマゼミの産卵管の突き刺しを低減する光ファイバケーブルが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2006−313314号公報 WO 2008/90880パンフレット
しかしながら、特許文献1の光ファイバケーブルでは、防護テープを避けて産卵管が斜めに突き刺された場合は、光ファイバ心線の損傷を防ぐことは困難である。
また、金属水和物が多く配合された難燃性樹脂組成物を用いてシースを構成した光ファイバケーブルは、優れた難燃性を示す。しかし、金属水和物が大量に配合された樹脂組成物でシースが構成された光ファイバケーブルは、少しの外力を加えただけで、金属水和物と樹脂の界面で剥離し、シース表面に外傷が発生しやすい。
さらに金属水和物を配合した難燃性樹脂組成物を用いてシースを成形して、光ファイバケーブルを製造する場合に成形加工性を向上させる必要がある。また、光ファイバケーブルは、屋内では、敷設された管路内に設置されることが多い。このため、光ファイバケーブルの管路内への通線性や端末の外被除去作業性が必要とされる。しかし金属水和物が多く配合された難燃性樹脂組成物でシースが構成された光ファイバケーブルは、表面平滑性が不十分であることが多く、また端末の外被作業がうまく行えない場合がある。
本発明は、クマゼミの産卵行動に起因する光ファイバの損傷を低減することができ、難燃性を確保しつつ伝送損失の増加を抑制することができ、管路内での通線性や端末の外被除去作業性に優れた光ファイバケーブルを提供することを課題とする。
本発明者等は上記課題について鋭意検討した結果、外周に紫外線硬化型の樹脂組成物を用いて被覆が形成された光ファイバ心線と、該光ファイバ心線の長手方向に並行に配置されたテンションメンバとを備え、該光ファイバ心線及び該テンションメンバが、特定の難燃性樹脂組成物で被覆された難燃性光ファイバケーブルが、上記課題を解決できることを見出した。本発明はこの知見に基づきなされたものである。
すなわち本発明は、
<1>外周に紫外線硬化型の樹脂組成物を用いて被覆が形成された光ファイバ心線と、該光ファイバ心線の長手方向に並行に配置されたテンションメンバとを備え、
(a)エチレン−α−オレフィン共重合体85〜15質量%、(b)ポリプロピレン系樹脂10〜80質量%、並びに(c−1)不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂及び/又は(c−2)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体0〜20質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)金属水和物10〜60質量部及び(C)赤燐1〜8質量部を含有する難燃性樹脂組成物(P)を用いて、
該光ファイバ心線及び該テンションメンバが、被覆されていることを特徴とする難燃性光ファイバケーブル、
<2>前記難燃性樹脂組成物(P)が熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、シリコーン化合物0.5〜4質量部を含有することを特徴とする<1>記載の難燃性光ファイバケーブル、
<3>前記(a)エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が、940kg/m以下であることを特徴とする<1>又は<2>記載の難燃性光ファイバケーブル、
<4>前記(b)ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体であることを特徴とする<1>〜<3>のいずれか1項記載の難燃性光ファイバケーブル、
<5>前記金属水和物が、無処理の水酸化マグネシウム及び/又は表面がシランカップリング剤で処理された水酸化マグネシウムであることを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1項記載の難燃性光ファイバケーブル、及び
<6>前記難燃性樹脂組成物(P)を用いた成形体が、1層からなることを特徴とする請<1>〜<5>のいずれか1項記載の難燃性光ファイバケーブル、
を提供するものである。
本発明の難燃性光ファイバケーブルは、クマゼミの産卵行動に起因する光ファイバの損傷を低減することができ、難燃性を損なうことなく、管路内への通線性や端末の外被除去作業性を確保することができる。
本発明の光ファイバケーブルの一実施形態を示す概略断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す概略断面図である。本発明の光ファイバケーブル1は、4心の光ファイバ心線2と、φ1.2mmの鋼線からなる支持線4、φ0.5mmのアラミドFRPからなる2本のテンションメンバ3、3’を有し、首部5を有するシース6で一括被覆して構成される。
光ファイバ心線2は、ガラス光ファイバの線引直後に一次被覆又は二次被覆により被覆された複数本(図1では4本)の光ファイバ素線を並べて一括被覆が施されて形成される。図1では光ファイバ心線は4心のものを示すが、4心に限られるものではない。
光ファイバ素線は、紫外線硬化型の樹脂、例えば、紫外線硬化型のウレタンアクリレート等の樹脂組成物を用いて被覆され、紫外線を照射することにより硬化した被覆が形成される。また一括被覆も紫外線硬化型の樹脂組成物、例えば、紫外線硬化型のウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系の樹脂組成物が用いられ、紫外線を照射することにより硬化される。
テンションメンバは、前記光ファイバ心線の長手方向に並行に配置されている。
図1に示すように、例えば、支持線を除くシース6の長辺を3.8mm、短辺を2.0mm、首部5の長さ及び厚さを0.2mm、支持線4を覆うシース6の外径を2.0mmとし、光ファイバケーブル1全体の高さを6.0mmとすることができる。またシース6を破壊して内部の4心テープ心線10等を取り出す際の便宜のため、図1に示すように、シース6上にはノッチ7を設けることができる。シース6は優れた難燃性や機械特性を有するために、後述の難燃性樹脂組成物を用いて成形される。シース6は複数の樹脂組成物で成形して複数層からなる積層体とすることができる。該成形体は1層からなるものが成形加工性に優れ、廉価で製造できるため、好ましい。本発明の難燃性光ファイバケーブルは、従来の方法、例えば、押出成形、射出成形等により製造することができる。この中でもシースは押出成形により製造するのが好ましい。
以下、本発明の光ファイバケーブルのシースとして使用する難燃性樹脂組成物(P)の各成分について説明する。
難燃性樹脂組成物は、(a)エチレン−α−オレフィン共重合体、(b)ポリプロピレン系樹脂、並びに(c−1)不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂及び/又は(c−2)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体からなる熱可塑性樹脂成分(A)に対し、金属水和物(B)及び(C)赤燐を含有する。
(A)熱可塑性樹脂成分
(a)エチレン−α−オレフィン共重合体
エチレン−α-オレフィン共重合体は、エチレンと炭素数4〜12のα−オレフィンとの共重合体が好ましく、α−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン等が挙げられる。
エチレン−α-オレフィン共重合体としては、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)、LDPE(低密度ポリエチレン)、VLDPE(超低密度ポリエチレン)、EBR(エチレンーブタジエンゴム)、及びシングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体等が挙げられる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は、940kg/m以下が好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体の密度がこの範囲であれば金属水和物や赤燐を含有しても機械特性、耐寒性が著しく低下することなく、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することができる。さらに好ましくは930kg/m以下、特に好ましいのは928kg/m以下である。この範囲であればさらに金属水和物、赤燐を含有しても力学的強度、耐寒性が著しく低下することなく、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することができるだけでなく、シース自体への産卵管の突き刺しの深さを浅くすることができる。
エチレン−α−オレフィン共重合体の密度の下限に特に制限はない。密度が低すぎると力学的強度や難燃性が低下するため、エチレン−α−オレフィン共重合体の密度は875kg/m以上が好ましい。
また、エチレン−α-オレフィン共重合体としては、メルトフローレート(ASTM D−1238)が0.5〜30g/10分のものが好ましい。
本発明におけるエチレン−α−オレフィン共重合体は、シングルサイト触媒の存在下に合成されるものや、直鎖型低密度ポリエチレンや超低密度ポリエチレン等を好ましく使用することができる。その中でもシングルサイト触媒の存在下に合成されるものが好ましく、その製法としては特開平6−306121号公報や特表平7−500622号公報等に記載されている方法等を用いることができる。
シングルサイト触媒存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体を用いることにより、難燃剤として金属水和物を充填した場合でも、引張強度、引裂速度、及び衝撃強度等の機械特性の低下を小さくすることができる。
シングルサイト触媒は、重点活性点が単一であり、高い重合活性を有する。該触媒は、メタロセン触媒やカミンスキー触媒とも呼ばれている。該触媒を用いて合成したエチレン−α−オレフィン共重合体は、分子量分布と組成分布が狭いという特徴がある。
そのため、シングルサイト触媒を用いて合成したエチレン−α−オレフィン共重合体を用いると、マルチサイト触媒を用いて合成したエチレン−α−オレフィン共重合体を用いる場合と比べて、溶融粘度が上昇し、溶融張力の低下することがある。このため、シングルサイト触媒を用いて合成したエチレン−α−オレフィン共重合体としては、シングルサイト触媒として非対称な触媒を用いて長鎖分岐を導入し(Constrained Geometory Catalystic Technology)、または合成の際に2つの重合槽を連結することで分子量分布に2つのピークを作る(Advanced Performance Terpolymer)ことで、その成形加工性を改良したものを使用することができる。
本発明において用いられるシングルサイト触媒の存在下に合成されたエチレン−α−オレフィン共重合体としては、前記成形加工性を改良したものが好ましい。このようなものとしては、例えば、「AFFINITY」(商品名、Dow Chemical社製)や「ENGAGE」(商品名、同社製)、「カーネル」(商品名、日本ポリエチレン社製)、「エボリュー」(商品名、三井住友ポリオレフィン社製)、及び「ユメリット」(商品名、宇部丸善ポリエチレン社製)を挙げることができる。
本発明においてエチレン−α−オレフィン共重合体の含有量は、熱可塑性樹脂成分(A)中85〜15質量%である。さらに好ましくは、70〜30質量%であることが好ましい。エチレン−α−オレフィン共重合体の配合量をこの範囲内とすることにより、金属水和物を配合した場合でも、耐寒性を有し、引張強度をはじめとする機械特性を高く維持することができる。熱可塑性樹脂成分(A)中のエチレン−α−オレフィン共重合体の配合量が多すぎると力学的強度が低下し、少なすぎると伸び、耐寒性が低下する。
(b)ポリプロピレン系樹脂
(b)成分のポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン樹脂)、エチレン−プロピレンランダム共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体、プロピレンとエチレンプロピレンの共重合体(TPO)などを使用することができる。
ここでエチレン−プロピレンランダム共重合体はエチレン成分含量が1〜5質量%程度のものをいい、エチレン成分がプロピレン鎖中にランダムに取り込まれているものをいう。またエチレン−プロピレンブロック共重合体はエチレン成分含量が5〜15質量%程度のものをいい、エチレン成分とプロピレン成分が独立した成分として存在するものをいう。
ポリプロピレン系樹脂を配合することにより、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することができる。ポリプロピレン系樹脂のうちでも、(b)成分のポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体が好ましい。プロピレン単独重合体を使用することにより、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減するだけでなく、シース自体への産卵管の突き刺しの深さを浅くすることができる。
配合するポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(ASTM‐D‐1238)は、好ましくは0.1〜60g/10分、より好ましくは0.1〜25g/10分、さらに好ましくは0.3〜15g/10分である。この範囲内であれば、シースの成形加工性を損なうことなく、製造することができる。また力学的強度及び耐寒性を損なうことなく、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することができる。
ポリプロピレン系樹脂の含有量は熱可塑性樹脂成分(A)中、10〜80質量%である。ポリプロピレン系樹脂の含有量がこの範囲内であれば、金属水和物、赤燐を含有しても力学的強度、耐寒性が著しく低下することなく、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することができる。ポリプロピレン系樹脂の含有量は熱可塑性樹脂成分(A)中、好ましくは10〜65質量%、さらに好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは10〜50は質量%である。ポリプロピレン系樹脂の含有量が多すぎると耐寒性、伸びが低下し、少なすぎると力学的強度が低下するとともに、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することが困難になる。
(c−1)不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂、(c−2)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体
本発明における「不飽和カルボン酸またはその誘導体(以下、これらを併せて不飽和カルボン酸等ともいう)で変性されたポリオレフィン系樹脂」とは、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性することにより、グラフト重合した樹脂をいう。
ポリオレフィン系樹脂の不飽和カルボン酸等による変性は、例えば、ポリオレフィン系樹脂と不飽和カルボン酸等を有機過酸化物の存在下に加熱、混練することにより行うことができる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、フマル酸等が挙げられる。また、不飽和カルボン酸の誘導体としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸モノエステル、マレイン酸ジエステル、無水マレイン酸、イタコン酸モノエステル、イタコン酸ジエステル、無水イタコン酸、フマル酸モノエステル、フマル酸ジエステル、無水フマル酸などが挙げられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン(直鎖状ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン)、ポリプロピレン系樹脂(プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体や、プロピレンと他の少量のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン等)との共重合体)、エチレンとα−オレフィンとの共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を使用することができる。
また、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂として、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたスチレン系共重合体を使用することができる。スチレン系共重合体は、芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物を主体とする共重合体の水素添加物であり、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とのブロック構造を主体とする共重合体又はランダム構造を主体とする共重合体の水素添加物である。スチレン系共重合体と不飽和カルボン酸等を有機過酸化物の存在下に加熱、混練することにより、この共役ジエン部分に不飽和カルボン酸等をグラフトすることができる。このため本発明においては、(c−1)成分の不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂には、不飽和カルボン酸またはその誘導体で変性されたスチレン系共重合体も含まれるものとする。
スチレン系共重合体における芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、t−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルトルエン、p−第3ブチルスチレンなどがあり、中でもスチレンが好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンなどがあり、この中の1種または2種以上が選ばれ、中でもブタジエン、イソプレンおよびこれらの組合せが好ましい。
また、水素添加量として共役ジエン化合物に基づく脂肪族二重結合の少なくとも90%が水素添加されたものが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂の変性は、例えば、ポリオレフィン系樹脂と不飽和カルボン酸等を有機過酸化物の存在下に加熱、混練することにより行うことができる。不飽和カルボン酸等による変性量は、ポリオレフィン系樹脂に対し0.5〜15質量%であることが好ましい。スチレン系共重合体の変性は、該共重合体の共役ジエン単量体部分に対して、0.5〜15質量%とすることが好ましい。
不飽和カルボン酸等により変性されたポリオレフィンとしては、具体的には例えば、ポリボンド(商品名、クロンプトン(株)製)、アドテックス(商品名、日本ポリエチレン(株)製)、アドマー(商品名、三井化学(株)製)、クレイトン(商品名、JSRクレイトン(株)製)などが挙げられる。
本発明における(c−2)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体としては、例えば、エチレン−アクリル酸共重合体やエチレン−メタクリル酸共重合体が挙げられる。具体的には、例えば、ニュクレル(商品名、三井デュポンポリケミカル(株)製)が挙げられる。
本発明において(c−1)成分及び/又は(c−2)成分は、何れか1種を使用しても、(c−1)成分と(c−2)成分を併用してもよい。
本発明において、(c−1)成分及び/又は(c−2)成分は、後述する金属水和物、特に水酸化マグネシウムと成形時に化学的に結合することにより、本発明の難燃性光ファイバケーブルは難燃性、機械特性及び耐摩耗性を発揮することができる。前記の優れた効果は、ポリオレフィン系樹脂をアクリル酸若しくはメタクリル酸で変性したものや、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体を使用したときに特に顕著である。よって本発明においては、(c−1)及び/又は(c−2)成分として、ポリオレフィン系樹脂をアクリル酸若しくはメタクリル酸で変性したものや、エチレン(メタ)アクリル酸共重合体を使用するか併用することが好ましい。
本発明において、(c−1)成分及び/又は(c−2)成分の含有量は、熱可塑性樹脂成分(A)中、0〜20質量%である。材料混練時の分散性や相溶性の点から、(c−1)成分及び/又は(c−2)成分の含有量は、熱可塑性樹脂成分(A)中、5〜15質量%とすることが好ましい。この範囲内とすることにより、難燃性樹脂組成物(P)の脆化温度を低くすることができ、難燃性を向上させることができる。
特にシースに対するクマゼミの産卵管の突き刺しを低減するためには、(c−1)成分及び/又は(c−2)成分は、熱可塑性樹脂成分(A)中、5〜10質量%とすることが好ましい。
(B)金属水和物
本発明に用いられる難燃性樹脂組成物(P)における(B)金属水和物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。水酸化マグネシウムは、配合して難燃性樹脂組成物とした場合の難燃性向上の効果が大きい。また水酸化マグネシウム中の結晶水脱離温度が、他の金属水和物より高いため、シースとして押出成形する場合に発泡することなく、成形することができる。このため本発明に用いられる難燃性樹脂組成物中に配合される金属水和物としては、水酸化マグネシウムが好ましい。
本発明においては、通常市販されている水酸化マグネシウムを使用することが可能である。水酸化マグネシウムとしては、表面処理されていないものでも、表面処理が施されたものでもよい。表面処理剤としてはたとえば、脂肪酸、リン酸、チタネート、及びシランカップリング剤などが挙げられる。樹脂成分(A)との反応性の点から、本発明においては、シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムを用いたものを使用するのが好ましい。この場合、表面処理されていない水酸化マグネシウムを併用してもよい。
本発明におけるシランカップリング剤は末端にビニル基、メタクロキシ基、グリシジル基、アミノ基を有するものが好ましい。具体的にはたとえば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。中でもビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等が好ましい。
シランカップリング剤による表面処理の方法としては、通常使用される方法で処理を行うことができる。例えば、表面処理をしていない水酸化マグネシウムにシランカップリング剤をあらかじめドライブレンドし混合する方法や、水酸化マグネシウムにシランカップリング剤を湿式で処理を行う方法により、表面処理された水酸化マグネシウムを得ることができる。また樹脂混合物を溶融・混練時に、シランカップリング剤を配合して、難燃性樹脂組成物(P)を得ることができる。使用するシランカップリング剤の含有量は、表面処理をするのに十分な量が適宜加えられる。その含有量は、具体的には水酸化マグネシウムに対し0.1〜2.5質量%、好ましくは0.2〜1.8質量%、さらに好ましくは0.3〜1.0質量%である。
また、すでにシランカップリング剤処理をおこなった水酸化マグネシウムを使用することもできる。予めシランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウムとしては、具体的には、キスマ5L、キスマ5N、キスマ5P(いずれも商品名、協和化学(株)製)などがあげられる。
また、無処理の水酸化マグネシウムとしては、たとえばキスマ5(商品名、協和化学(株))、マグニフィンH5(商品名、アルベマール(株))などがあげられる。
本発明においては、水酸化マグネシウムをシランカップリング剤で処理をする場合には、いずれか1種のシランカップリング剤のみでも、2種以上を併用してもよい。表面処理を行っていない水酸化マグネシウムや、表面処理を行った水酸化マグネシウムをそれぞれ単独で使用しても、併用してもよい。異なる表面処理を行った水酸化マグネシウムを併用することもできる。
本発明における水酸化マグネシウム等の金属水和物の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、10〜60質量部である。金属水和物の配合量は、熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、好ましくは15〜60質量部、さらに好ましくは20〜60質量部である。
金属水和物の配合量がこの範囲内であれば、JIS C 3005に規定される60度傾斜燃焼試験に合格することができ、クマゼミの産卵管による刺し傷跡を大幅に低減することができる。
本発明者等は、クマゼミの産卵管の突き刺しがどこで起こるか詳細に観察した。その結果、産卵管による外被の突き刺し損傷は、難燃性樹脂組成物(P)を用いて成形されたシース中における樹脂成分と金属水和物の剥離によることが多いことが判明した。そこでシースを形成する難燃性樹脂組成物について鋭意検討した。その結果、金属水和物の配合量が上記の範囲内であれば、金属水和物と樹脂成分全体がナノ−ミクロ状態で微細に分散し、金属水和物が樹脂成分と一体化することで、金属水和物が本来有している硬質性、強度、補強性が発揮され、クマゼミの産卵管の突き刺しが著しく減少することがわかった。この効果は、金属水和物のうち特に水酸化マグネシウムの場合に高い効果を得ることができる。また結晶性の高い(b)成分と、(b)成分と相溶する形で柔軟性を有する(a)成分を存在させることにより、柔軟性及び耐寒性を確保することができる。
さらに(c−1)成分及び/又は(c−2)成分を併用することにより、これらの成分と、水酸化マグネシウムが強いイオン結合性を有するため、これらの成分が水酸化マグネシウム近傍に存在する。これにより、水酸化マグネシウムと樹脂成分の界面にクマゼミの産卵管の突き刺し損傷が起こりにくくなるものと思われる。したがって(c−1)成分及び/又は(c−2)成分を配合することが好ましい。また(c−1)成分及び/又は(c−2)成分と、水酸化マグネシウムの作用は、水酸化マグネシウムとしてその表面にシランカップリング剤で処理されたものを使用した場合に顕著に現れる。したがって水酸化マグネシウムとしては、シランカップリング剤で表面処理されたものを用いることが好ましい。
(C)赤燐
本発明において使用される難燃性樹脂組成物においては、金属水和物の配合量を少なくしても難燃性を保持するために、難燃性組成物(P)は赤燐を含有する。赤燐としては、粉末状のものが分散性に優れ、難燃性樹脂組成物としたときに機械物性や難燃性が良好であるため、粉末状のものを使用することが好ましい。また、赤燐は、表面が無処理のものではなく、無機や有機の被覆が施された塗膜コートしたものを使用することができる。本発明の難燃性樹脂組成物に使用される赤燐としては、平均粒径が3〜9μmの赤燐を好ましく使用することができる。
赤燐の含有量は熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、1〜8質量部である。この範囲内とすることにより、金属水和物とともに難燃性を確保しつつ、良好な力学的強度、伸び、耐寒性等を付与することができる。赤燐の配合量が少なすぎると、難燃性が不十分となり、その分、金属水和物を配合する必要が生じる。これにより、クマゼミの産卵管の突き刺しによる光ファイバ心線の損傷を低減することが困難となり、力学的強度、伸び、耐寒性等が低下する。
(D)シリコーン化合物
本発明の難燃性樹脂組成物(P)においては、シリコーン化合物を配合することができる。シリコーン化合物の中でも、重量平均分子量が10万以上のものが好ましい。さらに好ましくは、10〜80万である。また25℃における動粘度は1万cSt以上のものが好ましい。
ここで、重量平均分子量は、下記条件のGPC(ゲルーパーミエーション クロマトグラフ)で測定することができる。
GPC装置:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
カラム:TSK gel SuperHM−H/H4000/H3000/H2000、(商品名、東ソー社製)
流量:0.6ml/min、
濃度:0.3質量%、
注入量:20μl、
カラム温度:40℃
また動粘度は、25℃で回転粘度計により粘度を測定し、その後、動粘度に換算した値である。
シリコーン化合物を配合することにより、金属水和物や赤燐を配合しても本発明の難燃性樹脂組成物(P)が柔軟性を損なうことがなく、管路内への通線性や端末の外被除去作業性を確保することができる。
シリコーン化合物としては、通常の直鎖のシロキサン構造を有しているシリコーンオイル、ポリジオルガノシロキサンを主原料としたシリコーンゴム、シリコーンゴムの主原料であるシリコーンレジンやシリコーンガム等が挙げられる。
この中でもシリコーンガムが好ましい。シリコーンガムの基本的な構造としては、シロキサンの側鎖にメチル基、ビニル基、又はフェニル基を有しているものが挙げられる。さらにこれらの官能基以外にも、その他のアルキル基、アルケニル基、又は芳香族基を有していてもよい。本発明の熱可塑性樹脂成分(A)に、金属水和物(B)及び赤燐(C)とともに、シリコーンガムを配合して溶融混練して、本発明の難燃性樹脂組成物(P)を得ることができる。この際に、該シリコーンガムは熱可塑性樹脂成分(A)中の各樹脂成分や、金属水和物と比較的容易に相溶し、耐外傷性とともに表面平滑性が大幅に向上した難燃性樹脂組成物を得ることができる。これにより、管路内への通線性や端末の外被除去作業性をさらに向上させることができる。
(E)その他の成分
本発明の光ファイバケーブルは屋外に設置される。そのため高い耐候性を保持するために、難燃性組成物(P)はカーボンを含有することができる。このカーボンの含有量は熱可塑性樹脂(A)100質量部に対し、0〜10質量部が好ましい。この量が多すぎると力学特性が低下する。
本発明で用いられる難燃性組成物(P)には、必要に応じスズ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛及びホウ酸亜鉛から選ばれる少なくとも1種を配合させ、さらに難燃性を向上することも可能である。
本発明で用いるホウ酸亜鉛、ヒドロキシスズ酸亜鉛、スズ酸亜鉛は平均粒子径が5μm以下のものが好ましく、3μm以下のものがさらに好ましい。
本発明で用いることのできるホウ酸亜鉛として、具体的には例えば、アルカネックスFRC−500(2ZnO/3B・3.5HO)、FRC−600(いずれも商品名、水澤化学(株)製)などが挙げられる。また、スズ酸亜鉛(ZnSnO)、ヒドロキシスズ酸亜鉛(ZnSn(OH))として、アルカネックスZS、アルカネックスZHS(いずれも商品名、水澤化学(株)製)などが挙げられる。
本発明においてホウ酸亜鉛、スズ酸亜鉛またはヒドロキシスズ酸亜鉛の含有量は、熱可塑性樹脂(A)100質量部に対して2〜20質量部が好ましく、3〜20質量部であることがより好ましい。その量が少なすぎると難燃性向上の効果が発現せず、多すぎると力学的強度、特に伸びが低下し、光ファイバケーブルとしたときの外観が悪くなる。
本発明に用いられる難燃性組成物(P)には、一般的に使用されている各種の添加剤、例えば、酸化防止剤、金属不活性剤、難燃(助)剤、充填剤、滑剤などを本発明の目的を損なわない範囲で適宜含有させることができる。
前記酸化防止剤としては、4,4’−ジオクチル・ジフェニルアミン、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物などのアミン系酸化防止剤、ペンタエリスリチル−テトラキス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等のフェノール系酸化防止剤、ビス(2−メチル−4−(3−n−アルキルチオプロピオニルオキシ)−5−t−ブチルフェニル)スルフィド、2−メルカプトベンゾイミダゾールおよびその亜鉛塩、ペンタエリスリトール−テトラキス(3−ラウリル−チオプロピオネート)などのイオウ系酸化防止剤などが挙げられる。
金属不活性剤としては、N,N’−ビス(3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル)ヒドラジン、3−(N−サリチロイル)アミノ−1,2,4−トリアゾール、2,2’−オキサミドビス−(エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)などが挙げられる。
上記以外の難燃(助)剤や充填剤としては、クレー、酸化亜鉛、酸化錫、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモン、シリコーン化合物、石英、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ホワイトカーボンなどが挙げられる。
滑剤としては、炭化水素系、脂肪酸系、脂肪酸アミド系、エステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられ、なかでも、ワックスE、ワックスOP(いずれも商品名、Hoechst社製)などの内部滑性と外部滑性を同時に示すエステル系、アルコール系、金属石けん系などが挙げられる。
その他の配合剤として、可塑剤、添加剤、架橋剤等を添加してもよい。
本発明の光ファイバケーブルで使用する難燃性樹脂組成物は、上記の各成分を、二軸混練押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなど、通常用いられる混練装置で溶融混練して得ることができる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、組成を示す「部」は特に記載がない場合、質量部を示す。
(実施例、比較例)
表1に実施例および表2に比較例の樹脂組成物の各成分の含有量を示す。
まず、下記表1、2に示す各成分を室温(23±2℃)にてドライブレンドし、バンバリーミキサーを用いて溶融混練して、各難燃性樹脂組成物を製造した。
次に、図1に示すように、4心テープ心線2、φ1.2mmの鋼線からなる支持線4、φ0.5mmのアラミドFRPからなる2本のテンションメンバ3、3’上に、予め溶融混練した難燃性樹脂組成物を押出被覆して、光ファイバケーブルを製造した。図1に示すように、支持線4を除くシースの長辺の長さを3.8mm、短辺の長さを2.0mm、首部については長さを0.2mm、厚さを0.2mmとした。支持線4を覆うシースの外径は2.0mm、光ファイバケーブル全体の高さを6.0mmとした。ケーブル部の中央部に形成したV字型の溝の底部と光ファイバ心線との距離は0.45mmとした。
得られた各々の光ファイバケーブルに対して、以下の試験及び評価を行い、得られた結果をそれぞれ表1および表2に示した。
(1)ショアD硬度
難燃性樹脂を加熱加圧成形したシートを用いて、JIS K 7215に基づくタイプDデュロメータ硬さ(ショアD硬度)を測定した。クマゼミが産卵管を刺しにくくするために、ショアD硬度57以上を合格とした。
(2)引張試験
難燃性樹脂組成物を加熱加圧成形し、厚さ1.0mm±0.15mmのシートを作製した。このシートからJIS K 7113に基づくダンベル2号形試験片を作製して引張試験を行った。標線間25mm、引張速度200mm/分で試験を行った。表1及び2におけるTS及びYSはそれぞれ、引張強さ及び降伏強さを示す。この両方の値が15MPa以上で、かつ伸び300%以上のものを合格とした。
(3)耐寒性試験
難燃性樹脂組成物を加熱加圧成形し、厚さ2.0mmのシートを作製した。このシートから長さ38.0mm±2.0mm、幅6.0mm±0.4mm、厚さ2.0±0.2mmの試験片を作製した。この試験片をJIS C 3005の耐寒性試験により打撃したとき、試験片に亀裂が発生する温度が−30℃以下であるものを合格とした。
(4)難燃性試験
JIS C 3005に基づく60度傾斜燃焼試験を行った。完成品から採取した長さ300mmの試料を、水平に対して60度傾斜させて支持し、還元炎の先端を試料の下端から20mmの位置に、燃焼するまで当て、炎を静かに取り去った後、自消するものを合格とした。
(5)セミの産卵管突き刺し試験
得られた光ファイバケーブルに対して、以下の試験を行った。長さ13cmに切断した2本の光ファイバケーブルを1組として、総数20組40本を産卵期のクマゼミとともに高さ16cmで直径9cmの円筒容器内に放置し、各組毎に1日ずつ経過後、光ファイバケーブルに残されたクマゼミの産卵管による孔の跡が形成された部分のシースを取り外し、産卵傷深さの平均値、光ファイバ心線の損傷の有無を測定した。光ファイバ心線の損傷はないが、シースに産卵傷深さの平均値が0.200mmを越えるものを「○」、光ファイバ心線の損傷はなく、シースに産卵傷深さの平均値が0.200mm以下のものを優れたセミの産卵管突き刺し性を有するとして「◎」とした。「○」及び「◎」を合格とし、光ファイバ心線の損傷があるものを不合格として、「×」とした。
(6)動摩擦係数測定試験
JIS K 7125に基づき、動摩擦係数を測定した。管路への通線性及びケーブル部の端末外被の除去作業に関して優れるものとしては、動摩擦係数は0.5以下が必要である。動摩擦係数が0.3以下であれば、管路への通線性及びケーブル部の端末外被の除去作業に関してきわめて優れている。このため動摩擦係数が0.5以下の場合を合格とした。
尚、各成分としては、下記のものを使用した。
(01)エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(a))
メタロセン触媒で合成されたポリエチレン
商品名:ユメリット2525F(宇部丸善ポリエチレン社製)
(密度:926kg/m
(02)エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(a))
メタロセン触媒で合成されたポリエチレン
商品名:ユメリット1540F(宇部丸善ポリエチレン社製)
(密度:913kg/m
(03)エチレン−α−オレフィン共重合体(成分(a))
メタロセン触媒で合成されたポリエチレン
商品名:ユメリット4040F(宇部丸善ポリエチレン社製)
(密度:937kg/m
(04)ポリプロピレン(成分(b))
ブロック−プロピレン
商品名:E−150GK((株)プライムポリマー製)
(05)ポリプロピレン(成分(b))
プロピレン単独重合体
商品名:EA9(日本ポリプロピレン(株)製)
(06)不飽和カルボン酸で変性されたポリオレフィン系樹脂(成分(c−1))
マレイン酸変性ポリエチレン
商品名:L−6100M(日本ポリエチレン(株)製)
(07)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体(成分(c−2))
エチレン-メタクリル酸共重合体
商品名:ニュクレル1207C
(08)赤燐
商品名:ヒシガードLP−F(日本化学工業(株)製)
(09)無処理水酸化マグネシウム(成分(B))
商品名:キスマ5(協和化学(株)製)
(10)シラン処理水酸化マグネシウム(成分(B))
商品名:キスマ5L(協和化学(株)製)
(11)脂肪酸処理水酸化マグネシウム(成分(B))
商品名:キスマ5A(協和化学(株)製)
(12)脂肪酸処理水酸化マグネシウム(成分(B))
商品名:マグシーズN―4
(13)シランカップリング剤で表面処理された水酸化マグネシウム(成分(B))
商品名:マグシーズS―4
(14)シリコーン化合物
商品名:CF9150(東レダウコーニング(株)製)
(重量平均分子量:10万以上、25℃における動粘度:100万cSt)
(15)シリコーン化合物
商品名:X―22―2147(信越化学工業(株)製)(シリコーン化合物50質量%と低密度ポリエチレンの50質量%とからなるマスターバッチ)
低密度ポリエチレンを含まないシリコーン化合物単独の重合度:5400〜11000、重量平均分子量:40万〜80万
(16)オレイン酸アマイド
商品名:アーモスリップCP(ライオン・アクゾ(株)製)
(17)カーボンブラック
商品名:XC−72(キャボットジャパン(株)製)
ここで、(14)及び(15)のシリコーン化合物の重量平均分子量と粘度は以下の方法により測定した値である。
(重量平均分子量)
下記条件のGPC(ゲルーパーミエーション クロマトグラフ)で測定した。
GPC装置:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
カラム:TSK gel SuperHM−H/H4000/H3000/H2000、(商品名、東ソー社製)
流量:0.6ml/min、
濃度:0.3質量%、
注入量:20μl、
カラム温度:40℃
(動粘度)
25℃で回転粘度計により粘度を測定し、その後、動粘度に換算した。
各材料の配合量および、評価結果を表1および表2に示す。
Figure 2011150188
Figure 2011150188
表1および2からわかるように、本発明の光ファイバケーブルの(a)成分を配合していない比較例1及び4の光ファイバケーブルは、柔軟性に欠け、耐寒性が不合格であった。(b)成分を配合していない比較例2及び5の光ファイバケーブルはセミの産卵管の突き刺しによる損傷が不合格であった。また赤燐が配合されていない比較例3は難燃性が不合格であった。
これに対して、実施例1〜10の光ファイバケーブルは、ショアD硬度、引張特性、耐寒性、難燃性及びセミの産卵管突き刺し性のすべてについて合格であった。特に実施例1〜10の光ファイバケーブルは、セミの産卵管突き刺し試験において、光ファイバ心線の損傷はなく、シースに産卵傷深さの平均値が0.200mm以下であった。さらに実施例2〜9は、動摩擦係数が0.3以下であった。
1 本発明の光ファイバケーブル
2 4心の光ファイバ心線
3 テンションメンバ
4 支持線
5 首部
6 シース
7 ノッチ

Claims (6)

  1. 外周に紫外線硬化型の樹脂組成物を用いて被覆が形成された光ファイバ心線と、該光ファイバ心線の長手方向に並行に配置されたテンションメンバとを備え、
    (a)エチレン−α−オレフィン共重合体85〜15質量%、(b)ポリプロピレン系樹脂10〜80質量%、並びに(c−1)不飽和カルボン酸又はその誘導体で変性されたポリオレフィン系樹脂及び/又は(c−2)エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体0〜20質量%からなる熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、(B)金属水和物10〜60質量部及び(C)赤燐1〜8質量部を含有する難燃性樹脂組成物(P)を用いて、
    該光ファイバ心線及び該テンションメンバが、被覆されていることを特徴とする難燃性光ファイバケーブル。
  2. 前記難燃性樹脂組成物(P)が熱可塑性樹脂成分(A)100質量部に対し、シリコーン化合物0.5〜4質量部を含有することを特徴とする請求項1記載の難燃性光ファイバケーブル。
  3. 前記(a)エチレン−α−オレフィン共重合体の密度が、940kg/m以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の難燃性光ファイバケーブル。
  4. 前記(b)ポリプロピレン系樹脂が、プロピレン単独重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の難燃性光ファイバケーブル。
  5. 前記金属水和物が、無処理の水酸化マグネシウム及び/又は表面がシランカップリング剤で処理された水酸化マグネシウムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の難燃性光ファイバケーブル。
  6. 前記難燃性樹脂組成物(P)を用いた成形体が、1層からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の難燃性光ファイバケーブル。
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