JP2011149126A - 遠赤外線放射性衣料 - Google Patents

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Abstract

【課題】衣料を構成する布帛の一部にピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を用いて衣料を構成することにより、風合いを低下させずに、遠赤外線放射機能を十分に発揮できる衣料を提供する。
【解決手段】 遠赤外線放射機能必要部位にピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布から選ばれた炭素化繊維不織布3が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛2と重ねて用いられている遠赤外線放射性衣料。
【選択図】図1

Description

本発明は、身体が発する遠赤外線を吸収することにより当該遠赤外線を放出する機能を有する遠赤外線放射性衣料に関する。
高分子ポリマーからなる合成繊維やレーヨン、アセテートなどの再生繊維や半合成繊維の中に遠赤外線放射性のアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアなどのセラミック粉末やゲルマニウム粉末など遠赤外線放射性物質の粉末などを混合して紡糸した赤外線放射性物質含有繊維から成る衣料や、高分子ポリマーからなる合成繊維やレーヨン、アセテートなどの再生繊維や半合成繊維、あるいは天然繊維、又はこれらから形成された布帛の表面に遠赤外線放射性物質の粉末などを付着させた衣料の開発が近年盛んに行われている(下記特許文献参照)。
遠赤外線は3〜1000μm程度の波長を有し、身体皮膚に吸収されて熱に変わるので温熱効果が発揮され、身体を暖めたり保温する機能を有しており、特に8〜14μm程度の波長の遠赤外線は人体に必要不可欠なものと言われている。人間の平均体温は36.5℃で、これは遠赤外線の波長に換算すると10μm程度の波長になる。最近、低体温が、免疫性を低下させることがわかってきており、若人より老人に癌の発症率が多いのも、老人は筋肉が次第に少なくなり従ってそこから発生する熱量も少なくなり、体温が低下しやすくなり、免疫能力が低下することも要因の一つといわれている。従って、医療分野においても、遠赤外線の温熱効果を利用した保温衣料が重視されるようになってきている。
しかして、上述したような、遠赤外線放射性物質の粉末などを混合して紡糸した赤外線放射性物質含有繊維から成る衣料においては遠赤外線放射性物質を多量に含有させると、紡糸及び/又は延伸が困難になったり、繊維強度が低下することなどからも、
現実には最高でも25重量%程度の遠赤外線放射性物質を含有する繊維が実用化されているに過ぎないし、この場合でも25重量%も遠赤外線放射性物質を含有させた繊維は、遠赤外線放射性物質を含有させていない通常の繊維に比べて、強度、風合が低下するので、現実には遠赤外線放射性物質を含有させた繊維100%で衣類の布地を形成することはほとんど行われておらず、通常の繊維との混紡、混繊、交織、交編等により、10重量%以下にされて使用されているのが現実である。また、上述のようなセラミック粉末類は遠赤外線放射機能がそれほど大きくないことからも、これらの繊維を利用した衣料の温熱効果は十分なものと言えないのが現実である。また繊維や布帛の表面に遠赤外線放射性物質を付着させた衣料についても、付着させる遠赤外線放射性物質の遠赤外線放射機能がそれほど大きくないことは上述したとおりであり、また、繊維や布帛の表面に遠赤外線放射性物質を付着させた場合には得られた衣料の風合いが低下するという問題がある。また、付着のさせ方により、洗濯で脱落しやすいと言う問題がある。
特開平3−51301号公報 特開平3−190990号公報 特開2002−161429号公報 特開2006−219779号公報
本発明は、上記従来の遠赤外線放射機能を有する衣料の問題点を改良し、より遠赤外線放射機能を強化するため、衣料を構成する布帛の一部にピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を用いて衣料を構成することにより、風合いを低下させずに、遠赤外線放射機能を十分に発揮できる衣料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の衣料は、次のものである。
(1)遠赤外線放射機能必要部位にピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛と重ねて用いられていることを特徴とする遠赤外線放射性衣料。
(2)前記(1)項に記載の衣料においては、前記ピッチ系炭素繊維不織布又は前記アクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、短い切り目が複数個設けられ、それにより前記不織布が少なくとも2方向に伸縮性とされてなる不織布であることが好ましい。
(3)前記(2)項に記載の衣料においては、前記短い切り目は、その一つの切り目の長さ方向の先端に隣接する他の切れ目が前記一つの切り目の長さ方向の先端方向をさえぎるような態様に配置されている切り目の配置態様の繰り返し態様からなることが好ましい。
(4)前記(2)〜(3)項のいずれか1項に記載の衣料においては、前記短い切り目が、長さ約1〜4cmの直線状の切り目であることが好ましい。
(5)前記(1)〜(4)項のいずれか1項に記載の衣料においては、ピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛と重ねて用いられている態様が、
ピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布をA、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛をBとした場合に、
(a)AがBに復数の点で点接着で積層されている態様、
(b)Aの両面にBが重ねて用いられおり、Aの少なくとも片面がBに復数の点で点接着で積層されている態様、
(c)Aの両面にBが重ねて用いられおり、この3層がキルティング状に縫い合わされている態様
(d)袋状形態のBの中にAが挿入されている態様、
から選ばれたいずれか1つ以上の態様からなることが好ましい。
(6)前記(1)〜(5)項のいずれか1項に記載の衣料においては、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた布帛が、織物又は編物からなる布帛であることが好ましい。
(7)前記(1)〜(6)項のいずれか1項に記載の衣料においては、ピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を構成する繊維の太さが8〜30μmであることが好ましい。
(8)前記(1)〜(7)項のいずれか1項に記載の衣料においては、ピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布の目付けが、30〜120g/m2であることが好ましい。
(9)前記(1)〜(8)項のいずれか1項に記載の衣料においては、衣料が下着類、腹巻、サポーター、靴下、マフラー、手袋、帽子、外衣から選ばれた衣料であることが好ましい。
本発明の衣料は、遠赤外線放射機能必要部位にピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が存在することにより、アクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布は高い遠赤外線放射機能を有し、ピッチ系炭素繊維は、極めて高い遠赤外線放射機能を有し、しかも、ピッチ系炭素繊維か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維でかつ不織布状としたので、当該不織布状物の一部に遠赤外線が吸収された場合に、遠赤外線を吸収した部分だけでなく、その部分から連なっているピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布の他の部分に容易に伝播・拡散し、当該他の部分からも容易に遠赤外線を放射することができ、しかも、ピッチ系炭素繊維からなる不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布は、ポリアクリルロニトリル系繊維(いわゆるPAN系)の炭素繊維に比べて、極めて柔らかな風合の不織布とすることができるので風合いを低下させずに、遠赤外線放射機能を十分に発揮できる衣料を提供することができる。しかも、遠赤外線放射機能必要部位にピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛と重ねて用いられている、言い換えれば、遠赤外線放射機能必要部位以外は、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する通常の布帛で衣料が形成されているので、遠赤外線放射機能必要部位がピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布のみで形成されていないので、衣料としての強度を保持し、ピリングなどの発生を少なくしたり、衣料表面(おもてめん)側にピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が露出しないような構成にすることが可能なので、衣料の見栄えの低下も防止可能な衣料とすることが可能となる。
また、ピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布に不連続な短い切り目を入れておくことにより、衣料の遠赤外線放射機能必要部位が、伸縮性が必要な部位に該当した場合でも、容易に追従して伸び、突っ張り感が生じずに良好な着用感を有する衣料とすることもできる。本発明においては、ピッチ系炭素繊維不織布並びにアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を総称して炭素化繊維不織布と言う用語を用いる事にする。
本発明の衣料の炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛の積層状態の一態様を示す積層布帛の模式的断面図。 本発明の衣料の炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛の積層状態の別の一態様を示す積層布帛の模式的断面図。 本発明の衣料の炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛の積層状態の更に別の一態様を示す積層布帛の模式的断面図。 本発明の衣料の炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛の積層状態の更に別の一態様を示す積層布帛の模式的断面図。 本発明の衣料の炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛の積層状態の更に別の一態様を示す積層布帛の模式的断面図。 本発明の衣料の炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛の積層状態の更に別の一態様を示す積層布帛の模式的断面図。 本発明で用いる炭素化繊維不織布において不連続な短い切り目が複数個設けられている当該切り目を模式的に示すための炭素化繊維不織布1の一態様例の平面図。 本発明の衣料である筒状サポーターの斜め上から見た斜視図。 図8の筒状サポーターを押しつぶして扁平にした場合の正面図。 図8のD−D´断面におけるサポータの略半周部分の端面図。
本発明の衣料においては、遠赤外線放射機能必要部位にピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛と重ねて用いられる。以下、省略記載としてピッチ系炭素繊維不織布乃至アクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を「炭素化繊維不織布」あるいはAと略称することがある。同様に天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛を「通常繊維から成る布帛」あるいはBと略称することがある。尚、合成繊維を「高分子ポリマーからなる合成繊維」と表現したのは、炭素繊維や炭素繊維前駆体繊維も場合により合成繊維という表現に含まれて解釈され、区別がつきにくくなることを避けるため、「高分子ポリマーからなる合成繊維」と表現したもので、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維など、通常、衣料用に汎用されている通常のいわゆる合成繊維を意味するものであり、特に、特別のものに限定しようとする意味ではない。なお、本発明では、サポーターなどに場合により使用されるゴム系繊維も「高分子ポリマーからなる合成繊維」との表現に含まれる。
本発明の衣料においては、上述したように遠赤外線放射機能必要部位においては、炭素化繊維不織布と通常繊維から成る布帛B布帛とが重ねて用いられるが、具体的には、この態様について、積層状態を積層布帛の模式的断面形状で示すと、例えば、図1から図6に示した態様が好ましく例示される。
図1に示した態様は炭素化繊維不織布A(符号1)が通常繊維から成る布帛B(符号2)に接着剤3などで復数の点で点接着で積層されている態様である。通常、通常繊維から成る布帛B(符号2)が衣料の外側面、炭素化繊維不織布A(符号1)が衣料裏側面(肌側面)になるようにして用いられることが、遠赤外線放射効果である温熱効果の点、衣料の外観を良好に保つ点などから好ましい。炭素化繊維不織布Aは種類によってはピリングが発生することがあるので、この意味でも衣料の外観を良好に保つ点で上記態様とすることが好ましい。炭素化繊維不織布Aは、炭素繊維強化プラスチックなどに使用されているPAN系の炭素繊維に比べて、極めて柔軟な肌触りのよい不織布とすることができ、通常のスパンボンド合成繊維不織布などよりも柔軟な肌触りのよい不織布とすることができる。
図2に示した態様は炭素化繊維不織布A(符号1)の両面に通常繊維から成る布帛B(符号2)が重ねて用いられおり、Aの片面がBに接着剤3などで復数の点で点接着で積層されている態様である。この場合、表裏面の通常繊維から成る布帛B(符号2)は、同一の布帛を用いてもよいし、目的に応じて異なる種類の布帛としてもよい。衣料の種類にもよるが、通常、表裏面の通常繊維から成る布帛B(符号2)は異なる種類の布帛が用いられることが多い。また、図2において、図の上側を衣料の外側面(表側面)とするか、裏側面(肌側面)とするかは任意である。図示していないが、必要に応じAの表裏両面がBに接着剤3などで復数の点で点接着で積層されている態様としてもよいが、衣料を着用したときの伸び追従性、つっぱり感などの観点からは、Aの片面がBに接着剤3などで復数の点で点接着で積層されている態様が好ましい。この場合Aに接着されていない方のBは、衣料を形成するときにこれを用いたパーツ(衣料の構成部片)の縁でB/A/Bの3層が縫合されるので、Aに接着されていない方のBが脱落するものではない。この態様は、炭素化繊維不織布Aが衣料の表裏面に露出しないので、衣料の外観を良好に保つとともに、衣料の耐洗濯性が向上する。
図1や図2で示した態様のように接着剤で復数の点で点接着で積層する場合、点接着で接着できれば接着剤としては特に限定するものではないが、ホットメルト型の接着剤が使いやすい。ホットメルト型の接着剤としては、炭素化繊維不織布Aと通常繊維から成る布帛Bとの接着が可能なものであれば公知のホットメルト型の接着剤から適宜選定すればよく、通常繊維から成る布帛Bを構成する繊維によっても異なるが、例えば、ポリアミド系ホットメルト型の接着剤、ポリオレフィン系ホットメルト型の接着剤、ポリエステル系ホットメルト型の接着剤、熱可塑性ポリウレタン系ホットメルト型の接着剤、エチレン-ビニルアルコール系ホットメルト型の接着剤等挙げられる。
次に図3示した態様は炭素化繊維不織布A(符号1)の両面に通常繊維から成る布帛B(符号2)が重ねて用いられおり、この3層がキルティング状に縫い合わされている態様であり、4はキルティング状にするための縫合ラインを模式的に示したものである。この場合、表裏面の通常繊維から成る布帛B(符号2)は、同一の布帛を用いてもよいし、目的に応じて異なる種類の布帛としてもよい。衣料の種類にもよるが、通常、表裏面の通常繊維から成る布帛B(符号2)は異なる種類の布帛が用いられることが多い。この態様も、炭素化繊維不織布Aが衣料の表裏面に露出しないので、衣料の外観を良好に保つとともに、衣料の耐洗濯性が向上する。
図4で示した態様は炭素化繊維不織布A(符号1)の両面に通常繊維から成る布帛B(符号2)が重ねて用いられおり、袋状形態のBの中にAが挿入されている態様である。5は表裏面の通常繊維から成る布帛B(符号2)を袋状に形成するための縫合ラインを示している。図示していないが、通常、図4の記載用紙の表裏面方向側に位置する縁も布帛B(符号2)を袋状に形成するために縫合されることになる。かかる縫合は、予め縫合したものを用いてもよいが、衣料を形成する際に他のパーツと縫合する場合の縫合で兼ねてもよい。このような場合に、縫合の作業の際に、B/A/Bの3層間の位置がずれたりして縫合作業がやりにくくならないよう、前記3層間を水溶性接着剤(水溶性ホットメルト型接着剤が好ましく前述したような復数の点で点接着していることが好ましい)で仮接着しておき、衣料縫合完了後などの適当な時点で、水で水溶性接着剤を除去する手法を採用してもよい。図4に示した積層態様も、炭素化繊維不織布Aが衣料の表裏面に露出しないので、衣料の外観を良好に保つとともに、衣料の耐洗濯性が向上する。また、AがBに接着されていないので、衣料を着用したときの伸び追従性、つっぱり感などの観点から非常に好ましい態様である。水溶性ホットメルト型接着剤を用いる場合、特に限定するものではないが、例えば、特開平5−65465号公報に記載のポリビニルアルコール系水溶性ホットメルト型接着剤、日本合成化学工業株式会社製の“エコマティ”等が挙げられる。
次に、図5に示した態様は、基本的に図4で説明した袋状形態のBの中にAが挿入されている態様と同様であるが、Bで形成する袋形状がBの全周囲を縫合して閉じてしまうのではなく、Bの縁の一部は縫合せずにオープンにしておいて開口部6とし、炭素化繊維不織布A(符号1)を必要に応じ通常繊維から成る布帛B(符号2)の袋状空間に出し入れ可能にした態様である。例えばこの態様は、ブラジャー、ボディースーツその他の乳房カップを有する女性用衣料の乳房カップ部などに採用すると、炭素化繊維不織布Aの厚みが異なるものを複数種類用意して、好みに応じて入れ替えて使用するとか、炭素化繊維不織布Aが複数回の洗濯で劣化した場合に取替えが容易であるなどの利点がある。これは何ら乳房カップを有する女性用衣料に限られるものではなく、サポーター、腹巻、ショーツ、ガードル、各種下着類、外衣、ズボンその他ほとんど全ての衣料に適用可能である。
図6で示した態様は炭素化繊維不織布A(符号1)の両面に通常繊維から成る布帛B(符号2)が重ねて用いられおり、多数の袋状形態のBの中にAが挿入されている態様である。つまり、図4で示した態様が複数個連なった態様と言える。5は表裏面の通常繊維から成る布帛B(符号2)を袋状に形成するための縫合ラインを示している。この布帛B(符号2)の個々の袋状空間内に、炭素化繊維不織布1が挿入されている。炭素化繊維不織布1は通常繊維から成る布帛B(符号2)に接着されていないのが通常の態様であるが必要に応じ前述したホットメルト接着剤などで例えば一部分のみが点接着されていてもよい。この態様は、例えば、サポーターなど、装着する時にかなり伸びが必要な衣料を形成する場合、布帛B(符号2)を伸縮性の布帛で構成することにより、布帛B(符号2)と炭素化繊維不織布1は実質上互いに接着されていないか、ほんの一部が布帛B(符号2)に接着されている場合は、炭素化繊維不織布1は伸縮しなくても布帛B(符号2)の伸縮を妨げないので、好ましい態様である。
尚、図1や図2で示した接着剤による接着の際に通常繊維から成る布帛B(符号2)の代わりに布帛Bの裏側(肌側)にアルミニウムフィルムがホットメルト接着剤で点接着で接着され当該アルミニウムフィルムの布帛Bとは反対側の面に更にホットメルト接着剤で点接着しうるようにホットメルト接着剤が設けられている布帛/アルミニウムフィルム積層布帛、例えば、宝永株式会社製“サーモフェース”などを用いることもできる。これを用いた場合、アルミニウムフィルムに微細な孔が開くと推定され、風などが通過するのを防止できるが、身体から発生した水分の蒸発を妨げないので蒸れを防止し、防風保温タイプとすることもできる。ただし、布帛Bの代わりに布帛/アルミニウムフィルム積層布帛を用いる場合は、布帛/アルミニウムフィルム積層布帛が炭素化繊維不織布Aより衣料の外側になるように用いることが、温熱効果の点で好ましい。
図7に本発明で用いる炭素化繊維不織布において、短い切り目が複数個設けられている当該切り目を模式的に示すための炭素化繊維不織布1の一態様例の平面図を示した。
図7において示した切り目は短い直線状の短い切り目8、8’が複数個設けられている態様例である。切り目8、8’は、炭素化繊維不織布1の厚さ方向に貫通している。このような直線状の短い切り目を複数個設ける場合には、例えば、炭素化繊維不織布1の衣料に使用された場合の衣料の上下方向がC−C’方向だとすると、切り目8、8’の長さ方向は衣料の上下方向に対し、斜め方向、切り目8は右下がり方向の傾斜、切り目8’は左下がりの傾斜であるが、特に好ましくはいずれの傾斜もC−C’方向に対しともに略45度の方向に設けられていることが好ましい。この態様では短い切り目8、8’は、その一つの切り目8の長さ方向の先端に隣接する他の切れ目8’が前記一つの切り目8の長さ方向の先端方向をさえぎるような態様で交互に配置されている切り目の配置態様の繰り返し態様からなることが好ましい。このように切り目を施すことにより、炭素化繊維不織布1はどの方向にも伸ばすことができるので、衣料の伸縮する部分に用いられた場合に、追従して伸び、つっぱり感がなく、着用感の良好な衣料とすることができる。切り目の長さは特に限定するものではないが、1〜4cm程度が好ましい。また、ある一つの切り目8の先端から、前記切り目8の先端方向をさえぎるような態様で配置されている切り目8’までの間隔A−A’やB−B’は、特に限定するものではないが2〜6mm程度が好ましい。切り目の長さや上記間隔A−A’やB−B’は、上記に限定されず、衣料の目的に応じ上記範囲外とすることは本発明の機能が阻害されない範囲で任意である。なお、短い切り目と称しているように、各切り目同士は原則として相互に連続している切り目ではない。切り目が連続した長い切り目になると、不織布の強度が大幅に低下するおそれがあるからである。
尚、図7では切り目8、8’の長さ方向は衣料の上下方向C−C’に対し、斜め方向、切り目8は右下がり方向の傾斜、切り目8’は左下がりの傾斜方向としたが、必要に応じ、切り目の方向を変えることは自由である。例えば切り目8の長さ方向を衣料の上下方向C−C’に対し直角方向にし、切り目8’の長さ方向を衣料の上下方向C−C’に対し平行方向にするとか、上下方向C−C’に対し切り目8、8’の長さ方向の角度を45度より小さくしたり、45度より大きくして、衣料縦方向には横方向よりより伸びやすくしたり、その逆に衣料横方向より縦方向にはより伸びやすくするなど衣料の要求特性に応じて変えることもできる。従って、衣料の要求特性に応じて衣料上下方向C−C’に対し平行な切り目のみにして衣料横方向のみに伸びやすくなる態様としてもよく、その逆で衣料上下方向C−C’に対し直角な切り目のみにして衣料縦方向のみに伸びやすくなる態様としてもよい。
また、図示していないが、不連続な短い切り目が複数個設けられていれば、切り目は直線状でなく、曲がっている態様、例えば“S”字状、その左右線対称形状、“<”字状、“>”字状、“Z”字状、その左右線対称形状、これらの組み合わせなど、本発明の目的が達成できる限り、切り目の形状は任意である。
切り目を設けるのは、比較的大き目の広い範囲で炭素化繊維不織布を使用する場合に切り目を設けると衣料の伸縮に対応でき好ましいが、例えば、サポーターのように小さ目の衣料では、例えば、後述する実施例で示すように別の工夫で伸縮性に対応できるようにすることもできるので、切り目を設けないで衣料の伸縮性に対応することもできる。
炭素化繊維不織布の目付けやそれを構成する繊維の太さは目的に応じて選定すればよく特に限定するものではないが、目付けは30〜120g/m2であることが好ましい。炭素化繊維不織布を構成する繊維の太さは8〜30μm程度が好ましく、より好ましくは10〜20μm、特に好ましくは13〜15μmである。
あまりに目付けが大きくなりすぎると、遠赤外線放射量は多くなるが着用感が低下する傾向になり、あまりに目付けが小さくなりすぎると、着用感は向上するが、不織布の引っ張り強度などが低下する傾向になり、遠赤外線放射量も低下する傾向になる。あまりに構成繊維の太さが太くなると、着用感が低下する傾向になる。あまりに構成繊維の太さが細くなると着用感は向上するが、不織布の引っ張り強度などが低下する傾向になる。なお、例えば、炭素化繊維不織布の見掛け密度を、約1.4程度にすることも容易にでき、市販品としても入手可能であるので、ダウンジャケットなどのキルティングジャケットの中綿である羽毛の代わりに用いても、羽毛を用いた場合より軽く感じ、着用感のよい防寒衣料とすることも可能である。
ピッチ系炭素繊維不織布は、市販品があるのでそれを使用することができる。従ってピッチ系炭素繊維不織布の製造方法は特に限定するものではないが、簡単に説明すれば綿菓子(綿飴)の製造法と同様で、投入する原料が砂糖ではなく、石油の重質成分や、石炭の乾留で得られるコールタールなどから精製したピッチを用いる。即ち、回転鍋で側面に繊維吐出用の小穴を多数有するか、あるいは、回転鍋の上に中央部に原料投入用の穴の開いたリング状の鍋蓋で当該鍋蓋の縁近傍に繊維吐出用の小穴を多数有する回転鍋(回転釜とも言う)を用い加熱された回転鍋に投入されたピッチ原料を溶融し、遠心力で前記小穴から溶融ピッチを線状に吐出させ、周囲の空気ないし送風により冷却してピッチ繊維とし、この際、繊維をねじるように空気流を当てて繊維にカールを付与すると特に繊維がからみやすくなるので好ましいが、かくして生成したピッチ繊維を収集して、200〜300℃の空気中で安定化処理し(熱可塑性を熱不融性にする)、得られた繊維は通常、不融化繊維などと称されるが、これを無酸素炉で1000〜1800℃で約5〜24時間焼成し炭化させて炭素繊維とする。薄手の不織布は、この繊維を紙漉きと同様の方法で漉いてピッチ系炭素繊維不織布とすることもできる。この時、繊維同士の交点接着するバインダーとしては、特に限定するものではないが、例えば、エポキシ系樹脂バインダー、ポリエステル系樹脂バインダー、ポリビニルアルコール系樹脂バインダーなどが用いられる。バインダーは必要に応じて2種類以上併用してもよい。紙漉きと同様の方法で漉いて不織布を形成しているので、繊維が均一に分散されて面方向には実質上均一に、すなわちランダムに分散されその結果、不織布は実質上不織布面方向に等方性を有することになる。この面方向には等方的に繊維が分散され不織布面方向に等方性を有していることが理由は定かではないがピッチ系炭素繊維不織布の遠赤外線放射機能を強力に発揮する上で好ましい。また、上記方法で炭素繊維を製造すると、カールを付与することができるので、厚手の不織布の場合には、このカールを利用して繊維間の絡み合いをもたせることができ、バインダーなどを使用せずに不織布とすることもでき、厚手でも風合の柔らかな不織布とすることができる。
かくして得られたピッチ系炭素繊維不織布は、そのまま使用してもよいし、必要なら更に、1800〜2400℃で約4〜24時間無酸素炉で焼成し炭化率を向上させて、使用することも好ましい。
ピッチ系炭素繊維不織布として、市販されている例えば大阪ガスケミカル株式会社の製品“ドナカーボ”(“ドナカーボ・フェルト”、“ドナカーボ・ペーパー”炭化率約97%)などがあるが、これも、そのまま使用してもよいし、必要なら更に、1800〜2400℃で約4〜24時間無酸素炉で焼成し炭化率を向上させて、使用することも好ましい。
なお、ピッチ原料としては、光学等方性ピッチと光学異方性ピッチ(メソフェーズピッチ)とがあるが、いずれのものも使用可能である。光学異方性ピッチを原料とする炭素繊維不織布の方が熱を早く吸収できるが、長時間身に付ける衣料では、熱が拡散しやすい光学等方性ピッチを原料とする炭素繊維不織布の方が、遠赤外線放射範囲が広くなりやすいので好ましい。なおピッチ系炭素繊維不織布の炭素化率は、90%以上のものが好適である。
ピッチ系の炭素繊維は熱伝導率が高く、銅の約2倍強、アルミニウムの約3・7倍もあり、例えば、ピッチ系の炭素繊維不織布のある一方の縁側を遠赤外線を照射してエネルギーを吸収させると、比較的短時間で当該不織布の他方の縁側まで拡散し、不織布全面から遠赤外線を放射する性質があることを本発明者はつきとめた。然るに、PAN系の炭素繊維からなる織物(経糸と横糸から織られた通常の織物)の場合には、当該織物の一方の縁側を遠赤外線を照射してエネルギーを吸収させても、当該織物の他方の縁側まで拡散せず、織物全面から遠赤外線を放射する性質がないことを確認した。その理由は解明していないが、少なくとも上記ピッチ系の炭素繊維不織布が上記のような熱拡散性で優れた機能を有していることを確認している。炭素繊維で且つ不織布であることが上記良好な結果をもたらすものと推定される。
また、本発明では、炭素化繊維不織布として、アクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布、いわゆるPAN系炭素繊維の前駆体繊維不織布を用いることができる。
PAN系炭素繊維の前駆体繊維は、PAN系炭素繊維を製造する際に、ポリアクリロニトリルなどのアクリル繊維をボビンに巻いて200〜300℃に保たれた空気雰囲気中の高温炉で処理し、いわゆる耐炎化繊維とし、次にそれを、完全に高い割合で炭素化するのではなく、800〜1000℃で4〜5時間程度無酸素炉で焼成し炭化率を40〜90%に留めた繊維である。この繊維は、比較的柔軟性を有しているので、通常の合成繊維から不織布にする方法、たとえば、ニードルパンチ法などにより不織布とすることができる。もちろん必要に応じ不織布を構成する繊維同士の交点を結合するためにバインダー樹脂などを使用して不織布としたものも含まれる。
PAN系炭素繊維の前駆体繊維不織布においては、炭化率をより高くすると、遠赤外線放出機能も高まると推定されるが、炭化率をPAN系炭素繊維並みに高めると風合が低下するので、衣料には使用しがたくなる。従って、上述したPAN系炭素繊維の前駆体繊維不織布が好ましく使用されるのである。
かかるPAN系炭素繊維の前駆体繊維不織布としては、市販品で、旭化成株式会社製の“パノックス不織布”(炭素化率約60%)などが挙げられ、具体的にはその品番として、“AF−50”(目付け50g/m2)、“AF−70”(目付け70g/m2)、“AF−200”(目付け200g/m2)、“AF−400”(目付け400g/m2)、“AF−200AP”(目付け230g/m2)などが挙げられ、特に風合の点からは、“AF−50”や“AF−70”が好ましい。
本発明の衣料を構成する、炭素化繊維不織布以外の、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛Bとしては、通常、衣料に用いられている繊維を用いた布帛、即ち、これらの繊維を用いた織物、編物、不織布などが用いられ、衣料の種類や部位に応じて適宜選定されるが、通常、織物か又は編物が好ましく用いられる。
特に限定するものではないが天然繊維としては、例えば、木綿、麻、絹、羊毛などの獣毛など、高分子ポリマーからなる合成繊維としては、特に限定するものではないが、例えば、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリウレタン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ゴム系繊維など、半合成繊維としては、特に限定するものではないが、例えば、アセテート、プロミックスなど、再生繊維としては、特に限定するものではないが、例えば、ビスコースレーヨン、キュプラなどが挙げられる。
本発明において衣料としては、肌に接して着用される肌着衣料が肌から発生する波長10μm前後の遠赤外線を吸収し、肌側に当該遠赤外線を放射する温熱効果の観点では特に好ましいが、必ずしも、肌に接して着用される衣料に限定されるものではなく、これらの衣料の外側に着用される外衣においても肌着が体温で暖められ、その結果肌着から発生する遠赤外線を吸収し、肌着側に当該遠赤外線を放射することにより温熱効果を発揮したり、キルティングジャケットのような最外衣でも、太陽光などで暖められ発生する遠赤外線を吸収し、それを放射したり、上述のように、下着が体温で暖められ、その結果下着側から発生する遠赤外線を吸収し、それを放射するので、肌に接して着用される衣料に限定されるものではない。具体的には、各種肌着シャツ、ブラジャー、コルセット、ブリーフ、パンツ、ショーツ、ガードル、スパッツ、タイツ、ズボン下、ボディスーツ、シミーズ、ペチコート、腹巻、靴下、手袋、サポーター、キルティングジャケット、マフラー、レッグウォーマー、各種スポーツウェアーなど特に限定はない。
本発明で用いる炭素化繊維不織布Aは、通常繊維から成る布帛Bとともに衣料全構成範囲に適用してもよいが、コストの面から、遠赤外線放射機能必要部位にのみピッチ系の炭素繊維不織布Aを通常繊維から成る布帛Bとともに用い、その他の部位は通常繊維から成る布帛Bのみを用いる構成とすることもできる。
以下に、炭素化繊維不織布Aを遠赤外線放射機能必要部位に用いる態様例の一つを代表例を挙げて説明するが、理解を容易にするための代表例であって、これに限定されるものではない。
衣料として、筒状の肘用サポーターと膝用サポーターを製造した。
図8に本発明の衣料である筒状サポーターの斜め上から見た斜視図、図9に図8の筒状サポーターを押しつぶして扁平にした場合の正面図(寸法を説明するために引用する図面)、図10がこのサポータの略半周部分の図8のD−D´断面の端面図である。肘用サポーターと膝用サポーターは寸法など異なるが、類似の形状なので、図8〜10を兼用して、肘用サポーターと膝用サポーターについて説明する。
肘用サポーターは、図9でaの長さ11cm、bの長さ24cm、cの長さ10cmとし、膝用サポーターは、図9でaの長さ15cm、bの長さ24cm、cの長さ12cmとした。各サポーターの外側並びに内側の編地11、12(図8、図10参照)はいずれも、ポリエステル繊維50%、綿40%、ポリウレタン繊維5%の編地で形成した。この2枚の外側並びに内側の編地11、12の間に、ピッチ系の炭素繊維不織布15を挿入し、ピッチ系の炭素繊維不織布15の縁より外側を取り囲むように、外側並びに内側の編地11、12を縫合している。この長手方向の縫合ラインを13と14で示し、上下の縁近傍の縫合ラインをそれぞれ17と18で示した。
用いたピッチ系の炭素繊維不織布は、大阪ガスケミカル株式会社の“ドナカーボ・ペーパー”品番S−253(目付け30g/m2、バインダーPVA)で、肘サポーター用には、幅4cm長さ23cmの長方形の炭素繊維不織布を、膝サポーター用には、幅5cm長さ23cmの長方形の炭素繊維不織布を、それぞれ各サポーター外側並びに内側の編地11、12の間に一部間隔を開けて取り巻くように合計4枚使用した。そして、サポーターの周囲方向への伸びを確保するため、近接する縫合ライン13と14間の幅fをいずれも5mmとし、ここには炭素繊維不織布が存在せず外側並びに内側の編地11、12のみで伸びを妨げないように設計した。両サポーターとも、厚さは約4mmである。
このサポーターの性能を測定するため、56歳の女性モニターのそれぞれ左肘と左膝に着用してもらい、着用時間の経過による温度変化を測定した。サポーターの筒径に差異があるサポーターすなわち図9のaとcでcの長さが小さいサポーターの場合には、cの側がそれぞれ腕や脚の先端方向を向くように着用してテストした。
温度の測定は、株式会社佐藤計量器製作所製 赤外線放射温度計(型式:SK−8700II)を使用し、温度測定対象物表面から30cmはなして、温度測定対象物表
面にレーザー光を照射し表面温度を測定した。
測定開始は女性モニターのそれぞれ左肘と左膝の素肌の温度から測定を開始し、各サポーター着用後10分おきに60分間それぞれ表1の経過時間の欄に記載の経過時間でサポーターの上からその表面温度を測定し、60分経過して表面温度を測定が終了したら直ちに、サポーターを脱いで(表1では脱ぐことを「脱着」と表現した)サポーターを脱いだ部分の素肌の温度を測定し、更にその後、10分、15分、20分経過時点でサポーターを脱いだ部分の素肌の温度を測定した。結果を表1に示した。
なお、性能比較の参考のため、市販の紀州備長炭(粉末)入りの膝用サポーター並びに膝用サポーターについても同一人女性モニターに着用してもらい同様に着用時間の経過による温度変化を測定し、表1に示した。
市販の肘用サポーターは、図9を引用して説明すると、aの長さ8cm、bの長さ24cm、cの長さ8cm、厚み約3mm、膝用サポーターは、aの長さ11cm、bの長さ27cm、cの長さ10cm、厚み約3mm、であり、ともに綿、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、ポリウレタン繊維で構成された編地からなる宮島物産株式会社製商品名シームレスサポーターである。市販品の方が図9におけるaやcの長さつまりサポーター径が小さいのは、炭素繊維不織布などが使用されていないので、よく伸びるからである。
表1の結果から明らかなように、炭素繊維不織布使用による遠赤外線放射の効果が認められた。しかもサポーターを脱着(脱ぐ)した後も高めの皮膚温度を保つ温熱効果が認められる。
Figure 2011149126
なお、上記の実施例では炭素化繊維不織布として、ピッチ系の炭素繊維不織布を用いたが、アクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を用いてもよい。
本発明の遠赤外線放射性衣料は、風合いを低下させずに、遠赤外線放射機能を十分に発揮できる衣料を提供でき、通常衣料分野や、低体温症患者の衣料として有効に利用できる。
1 炭素化繊維不織布
2 通常繊維から成る布帛
3 接着剤
4 縫合ライン
5 縫合ライン
6 開口部
8、8´ 直線状の短い切り目
11 サポーターの外側の編地
12 サポーターの内側の編地
13 長手方向の縫合ライン
14 長手方向の縫合ライン
15 ピッチ系の炭素繊維不織布
17 上の縁近傍の縫合ライン
18 下の縁近傍の縫合ライン

Claims (9)

  1. 遠赤外線放射機能必要部位にピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛と重ねて用いられていることを特徴とする遠赤外線放射性衣料。
  2. 前記ピッチ系炭素繊維不織布又は前記アクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、短い切り目が複数個設けられ、それにより前記不織布が少なくとも2方向に伸縮性とされてなる不織布である請求項1に記載の衣料。
  3. 前記短い切り目は、その一つの切り目の長さ方向の先端に隣接する他の切れ目が前記一つの切り目の長さ方向の先端方向をさえぎるような態様に配置されている切り目の配置態様の繰り返し態様からなる請求項2に記載の衣料。
  4. 短い切り目が、長さ約1〜4cmの直線状の切り目である請求項2〜3のいずれか1項に記載の衣料。
  5. ピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布が、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛と重ねて用いられている態様が、
    前記ピッチ系炭素繊維不織布又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布をA、天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する布帛をBとした場合に、
    (a)AがBに復数の点で点接着で積層されている態様、
    (b)Aの両面にBが重ねて用いられおり、Aの少なくとも片面がBに復数の点で点接着で積層されている態様、
    (c)Aの両面にBが重ねて用いられおり、この3層がキルティング状に縫い合わされている態様
    (d)袋状形態のBの中にAが挿入されている態様、
    から選ばれたいずれか1つ以上の態様からなる請求項1〜4のいずれか1項に記載の衣料。
  6. 天然繊維、高分子ポリマーからなる合成繊維、半合成繊維、再生繊維からなる群から選ばれた布帛が、織物又は編物からなる布帛である請求項1〜5のいずれか1項に記載の衣料。
  7. ピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布を構成する繊維の太さが8〜30μmである請求項1〜6のいずれか1項に記載の衣料。
  8. ピッチ系炭素繊維不織布か、又はアクリル系繊維の炭素繊維前駆体繊維不織布の目付けが、30〜120g/m2である請求項1〜7のいずれか1項に記載の衣料。
  9. 衣料が下着類、腹巻、サポーター、靴下、マフラー、手袋、帽子、外衣から選ばれた衣料である請求項1〜8のいずれか1項に記載の衣料。
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