JP2011148877A - ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレートフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】回収ポリエチレンテレフタレート樹脂から機械的性質の優れたポリエチレンテレフタレートフィルムの提供
【解決手段】
本発明により、ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤0.1〜3重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)およびカーボンナノチューブ0.01〜2重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)から構成されるポリエチレンテレフタレートフィルムが提供される。
上記フィルムは、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、カーボンナノチューブ0.01重量部〜2重量部を配合して押出機に供給し、押出機中において、前記樹脂を溶融しながら、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤を0.1〜3重量部加えて得られる溶融樹脂をダイから押出すことにより得られる。
【選択図】なし

Description

本発明は、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂から製造されるフィルム、およびその製造方法に関する。とくに、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂にカーボンナノチューブを配合して製造されるフィルムおよびその製造方法に関する。
ペットボトル等として利用されたポリエステル樹脂を回収して、再利用しようとする試みは種々なされているが(特許文献1)、回収されたポリエステル樹脂は、水分を含有するとともに、一部解重合が起こっており、再度溶融成形するためには、脱水乾燥と改質剤による溶融粘度の上昇が必要とされてきた。しかし、改質剤により粘度上昇を行って成形されたフィルムは、バージン樹脂から成形された製品に比べて、物性が劣るため、回収ポリエステル樹脂から再生されたフィルムの実用化は進展していないのが現状である。
一方、カーボンナノチューブは、ポリエステル樹脂等に配合すると、電気伝導性、熱伝導性等を向上させるとして近年注目されているが(特許文献2)、カーボンナノチューブの利用方法に関する検討は、十分になされていない。
特開2004−155968号公報 特開2003−82202号公報
本発明の課題は、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂から機械的性質の優れたポリエチレンテレフタレートフィルム、およびその製造方法を提供することである。
前記課題を解決するために、本発明は、下記(1)のポリエチレンテレフタレートフィルム、および下記(2)の回収ポリエチレンテレフタレート樹脂からフィルムを製造する方法を提供する。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤0.1〜3重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)およびカーボンナノチューブ0.01〜2重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)から構成されるポリエチレンテレフタレートフィルム。
(2)回収ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融し、溶融されたポリエチレンテレフタレート樹脂をダイから押出してフィルムに成形する、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂からフィルムを製造する方法において、
ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、カーボンナノチューブ0.01重量部〜2重量部を配合し、カーボンナノチューブを配合したポリエチレンテレフタレート樹脂を押出機に供給し、
押出機中において、ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融するとともに、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤を0.1〜3重量部加えてダイに供給し、
溶融ポリエチレンテレフタレート樹脂をダイから押出して、フィルムを形成することを特徴とする、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂からフィルムの製造方法。
本発明によれば、回収されたポリエチレンテレフタレート樹脂にエポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤を含むだけでなく、カーボンナノチューブを少量(0.01〜2重量部)配合することにより、溶融成形されたフィルムは優れた機械的性質を有しており、とくに、ポリエチレンテレフタレート樹脂が未延伸・未配向でも実用性のある機械的性質を有することは驚くべきことである。
また、本発明によれば、回収されたポリエチレンテレフタレート樹脂に,カーボンナノチューブを配合して、押出機に供給し、樹脂を溶融しながら樹脂中の水分率を50ppm以下になるように脱水するとともに、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤を加えて樹脂の改質を行うので、ポリエチレンテレフタレート樹脂にカーボンナノチューブが均一に混合されるとともにポリエチレンテレフタレート樹脂はアクリル系樹脂改質剤と反応することにより、機械的性質の向上が顕著である。したがって、ダイから押出されて形成されたフィルムは、さらなる延伸処理を行うことなく、実用的な機械的性質を有する。
本発明において用いられる押出機の1形態を示す概略である。
(回収ポリエチレンテレフタレート樹脂)
本発明において、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下、「ポリエステル樹脂」と略称する)とは、一旦樹脂を有する製品として製造されたものが廃棄され、その後回収され、異種ポリマーまたは異種材料で形成された部分を排除し既存の方法にて一定以下の大きさに粉砕された樹脂のことをいう。
回収ポリエステル樹脂としては特に限定されないが、例えば、フィルム屑、ペットボトルを原料としたものが挙げられる。なかでも、無色のタイプが好ましい。通常、数平均分子量約1万〜3万を有している。回収PETは、溶融しやすく、また、取扱い性を向上させるため、事前に、フレーク状、粒状、粉砕による粉状またはペレット状等の形態にしたものが適当である。
本発明において、フィルムを製造するにあたり、回収ポリエステル樹脂は、原料ポリエステルとして、全ポリエステル100重量部に対して、少なくとも50重量部使用され、バージンのポリエステル樹脂を一部混合して使用してもよい。
(回収ポリエステル樹脂フレークまたはペレット)
本発明の実施形態として、回収ポリエステル樹脂は、回収した樹脂を押出成型機に供給可能に適宜の大きさに粉砕したフレーク状の粒子形態またはさらにフレークを溶融してノズルからストランド状に押出し、押出成型機に供給可能な長さにカットしたペレット状の粒子形態で用いることができるが、カーボンナノチューブを樹脂粒子に付着させるには、嵩高いフレーク状形態の方が好ましい。
ペレットの大きさは,径および長さが1〜5mm程度、フレークの大きさは,平均厚さ2〜0.5mm、平均表面積20〜50mmの範囲にあり、押出機のサイズ等を考慮して、適宜選択して実施される。
(回収ポリエステル樹脂の水分率)
回収ポリエステル樹脂は,通常、1000〜3000ppmの水分を含有しているので、押出成形を行う場合には、予め予備乾燥を行い、水分含有率が100ppm以下,好ましくは50ppm以下になるように調整しておくことが好ましい。しかしながら、このような予備乾燥を行うことなく、図1に示すような押出機(後述)を用いることにより、押出機中で水分を除去して、水分含有率が100ppm以下のポリエステル樹脂を得ることもできる。
(回収ポリエステル樹脂に改質剤の混合)
回収ポリエステル樹脂は、一部解重合が起こって分子量が低下しているので、エポキシ基を有するアクリル系改質剤(以下、単に改質剤と略記することがある)(後述)により改質することにより溶融粘度を上昇させることが必要であるので、原料フレークまたはペレットに改質剤を混合して押出機に供給するか、または、押出機のシリンダーに改質剤供給口を設けて、脱水溶融されたポリエステル樹脂に改質剤を供給混合することが必要である。改質剤との反応によりポリエステル樹脂は高分子化し、それにより、溶融粘度IV値が上がり、成形物を成形するのに適した高粘度の溶融物を得ることができる。エポキシ基含有アクリル系樹脂改質剤の混合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して,0.1重量部〜3重量部を加えることが必要であり、好ましくは、0.3〜2重量部、さらに好ましくは、0.5〜1.5重量部である。改質剤の量が、0.1重量部未満であると溶融粘度向上効果が少なく、安定した溶融押出製膜が困難であり、3重量部を超えると、溶融粘度上昇が大きくなりすぎ、成形が困難となる。
(回収ポリエステル樹脂にカーボンナノチューブの混合)
本発明において、ポリエステル樹脂100重量部にカーボンナノチューブ(以下、CNTと略記することがある。)(後述)を0.01〜2重量部配合して、フィルム成形が行われる。ポリエステル樹脂に対するカーボンナノチューブを配合するために、まずカーボンナノチューブを液体中で分散状態にするのが好ましい。カーボンナノチューブの分散液にポリエステル樹脂のペレットまたはフレークを浸漬し、分散液の液を除去することにより、カーボンナノチューブが付着したポリエステル樹脂ペレットまたはフレークを得て、これを押出機に供給する。 本発明におけるカーボンナノチューブの配合量は、ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01重量部〜2重量部の範囲内にある必要があり、好ましくは、0.02重量部〜1重量部、さらに好ましくは、0.04〜0.8重量部である。カーボンナノチューブの配合量が、0.1重量部未満であると、カーボンナノチューブを配合することによる、機械的(強度)性質の向上効果が少なく、また2重量部を超えると、フィルムの製膜性、延伸性が低下するので好ましくない。
(カーボンナノチューブ)
本発明におけるカーボンナノチューブは、カーボン原子が網目状に結合してできた円筒直径がナノメートルサイズの極微細なチューブ(筒、円筒)状の化合物であり、一般に円筒直径として1〜1000nm程度、円筒軸方向長さとして0.1〜1000μm程度の、L/Dとして100〜10000程度の大きなアスペクト比を有する径の細長い炭素からなるチューブ状の炭素化合物であり、単層カーボンナノチューブ、2層またはそれ以上の多層カーボンナノチューブのいずれでも良い。また、カーボンナノチューブがコイル状(螺旋状)またはフィブリル状のもの、その他いわゆるナノファイバーも用いることができる。
本発明のカーボンナノチューブは、一般にレーザーアブレーション法、アーク放電法、熱CVD法、プラズマCVD法、燃焼法などで製造できるが、どのような方法で製造したカーボンナノチューブでも構わない。
本発明におけるカーボンナノチューブとして、市販されているNanocyl社製、Carbolex社製、Carbon Nanotechnologies Inc. 製、VGCF(商品名)(昭和電工社製)、MWVNT(商品名)(ナノカーボンテクノロジース社製)、Nano-Lab社製のなどを用いることができる。
(カーボンナノチューブの分散液の調整)
本発明におけるカーボンナノチューブを、界面活性剤(好ましくは両性界面活性剤)、安定剤を含有する水溶液に分散させて、ゾル状のペーストとし、そのなかに、ポリエステル樹脂のフレーク状の粒子を加えて攪拌して、カーボンナノチューブをフレーク状粒子表面に付着させ、乾燥(加熱乾燥、減圧乾燥等)により水分を除去することにより、カーボンナノチューブが樹脂表面に付着したポリエステル樹脂フレークを得ることができ、これを押出機に供給することにより、フィルム成形が可能である。
界面活性剤としては、3−(N、N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルフォネート、3−(N,N−ジメチルミリスチルアンモニオ)プロパンスルフォネートなどの両性界面活性剤が好ましい。
安定剤としては、グリセロール、多級アルコール、ポリビニルアルコール、アルキルアミンなどが好ましく、なかでもグリセロールが好ましい。
カーボンナノチューブと、両性界面活性剤および安定剤を加えた水溶液とをボール入り胴体内に入れて、胴体を回転架台に載せて回転させて、胴体内のカーボンナノチューブと界面活性剤溶液とを攪拌して、カーボンナノチューブが分散したペーストを得た。このペーストにポリエステル樹脂を加え,水分を乾燥等により除去することにより、カーボンナノチューブが付着したポリステル樹脂粒子を得ることができる。得られたカーボンナノチューブ付着樹脂が押出機に供給される。
(エポキシ基含有アクリル系樹脂改質剤)
本発明において、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤としては、エポキシ基を含有する(メタ)アクリル単量体を重合反応させて得られる(共)重合体が用いられる。エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸単量体としては、(メタ)アクリル酸グリシジルやシクロヘキセンオキシド構造を有する(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルグリシジルエーテル等が挙げられる。上記のエポキシ基を含有する(メタ)アクリル単量体は、その他のビニル単量体と共重合して共重合体を形成し、改質剤として用いられる。
その他のビニル単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の炭素数が1〜22のアルキル基(アルキル基は直鎖、分岐鎖でもよい)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコールエステル、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル等があげられる。(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルジアルキルアミド、酢酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルエーテル類、(メタ)アリルエーテル類、スチレン、αーメチルスチレン等の芳香族系ビニル単量体、エチレン、プロピレン等のαオレフィンモノマーも用いられる。これらは、一種または二種以上を用いて共重合体を構成してもよい。なかでも、好ましく用いられるエポキシ基含有アクリル系樹脂改質剤としては、(メタ)アクリル酸グリシジル、スチレン及びエポキシ基を含有しない(メタ)アクリル酸エステル(メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル等)を構成モノマーとする共重合体が挙げられる。かかる共重合体において、エポキシ基当量は、0.70〜3.00meq/gの範囲内にあることが好ましい。エポキシ基当量が0.70meq/g未満であると、回収ポリエステル樹脂の改質のために多くのアクリル系樹脂改質剤の使用を必要とし、その結果、得られるポリエステルフィルムの物性に影響がでてくる。また、エポキシ基当量が3.00meq/gを超える場合には、回収ポリエステルの分子末端のカルボキシル基またはヒドロオキシル基とアクリル系樹脂改質剤のエポキシ基との過剰な反応により架橋状態が過度になり、成形性に悪影響を及ぼすことになる。かかるエポキシ基含有のアクリル系樹脂改質剤として、市販品(東亞合成株式会社製、商品名「ARUFON」)を用いることが可能である。
(回収ポリエステル樹脂と改質剤との反応触媒)
回収ポリエステル樹脂が押出機中において溶融状態で、エポキシ基含有アクリル系樹脂改質剤と接触することにより、回収ポリエステルのヒドロキシル基またはカルボキシル基と改質剤のエポキシ基とが反応し、回収ポリエステル樹脂の分子鎖が長くなり、溶融粘度が向上する。この反応を促進するために、触媒としてステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、安息香酸ナトリウムなどを、回収ポリエステル樹脂を基準として、1.0〜50重量ppm添加するのが好ましい。かかる触媒は、回収ポリエステル樹脂、改質剤とともに押出機に供給してもよいが、予め触媒を、改質剤とエポキシ基を含有しない希釈重合体(バージンポリエステル、PET−Gなど)と混合したマスターバッチを調整し、これを押出機供給時に、改質ポリエステル樹脂に混合してもよく、また、改質剤と触媒または上記のマスターバッチを、押出機に設けられた改質剤供給口から、供給してもよい。
(回収ポリエステル樹脂中の水分と改質剤との反応)
予め回収ポリエステル樹脂に改質剤を混合して、押出機に供給するときは、改質剤のエポキシ基と水との反応を防ぐために、回収ポリエステル樹脂は、乾燥により含有水分率を50ppm以下に低下しておくことが好ましい。また、水分含有率の高い回収ポリエステル樹脂を十分乾燥することなく、押出機に供給する場合には、押出機の前半のゾーンにおいて、溶融回収ポリエステル樹脂からの水分除去を行い、押出機の後半のゾーンにおいて、水分除去されたポリエステル樹脂に、改質剤および触媒を供給して改質反応を行わせるのが好ましい。
カーボンナノチューブを付着させた回収ポリエステル樹脂、改質剤および触媒とは予め混合されて、または別々に、押出機に供給され、回収ポリエステル樹脂の溶融過程において、改質ポリエステル樹脂は改質されるとともにカーボンナノチューブがポリマー中に均一に分散する。カーボンナノチューブが分散し、改質された溶融ポリエステル樹脂は、ダイから押出されてフィルム成形される。
(押出機における回収ポリエステル樹脂中の水分除去)
本発明のフィルム製造法における好ましい態様として、回収ポリエステル樹脂中の水分を予め除去を行うことなく、押出機に供給して、押出機の前半ゾーンにおける回収ポリエステル樹脂の溶融過程において水分を除去し、後半ゾーンにおいて回収ポリエステル樹脂の改質を行うことにより、簡略されたプロセスで、回収ポリエステル樹脂からフィルムを成形する態様が挙げられる。
(押出機)
上記のプロセスにおいて用いられる押出機の例を図1に示す。押出機1は、押出機本体2、押出機本体に未乾燥の回収ポリエステルフレークを供給する樹脂供給部(原料受入口)3、ポリエステル改質剤(触媒を含む)を押出機本体に供給する改質剤供給部4、押出機本体1のベント口5,6から排出される水蒸気を吸引する真空装置7および水蒸気を冷却凝縮するコンデンサー8、樹脂出口9を有している。押出機本体は、シリンダー10の中に、樹脂を混練するスクリュ11を有しており、本発明においては、押出機本体は、次のような5つのゾーンに分けられている。
第1ゾーン: 樹脂の加熱溶融圧縮
第2ゾーン: 樹脂圧力の高圧化
第3ゾーン: 樹脂圧力の低圧化、樹脂中の水分除去
第4ゾーン: 改質剤による改質
第5ゾーン: 成形装置への供給
押出機本体の第3ゾーンにおいては、ポリエステル中の水分を除去するための、ベント口5が備えられ、第4ゾーンにおいては、改質剤を注入する注入口4が設けられている。さらに、好ましくは、第5ゾーンの前部にマテリアルシール部12が設けられて、その後に改質剤との反応により生じる水分の除去のためのベント口6が設けられている。
(押出機における溶融過程における水分除去)
押出機は上記の構成を有することにより、(1)第1ゾーンにおいて、押出機の原料受入口から供給されたカーボンナノチューブが付着したポリエステルは加熱溶融圧縮され、(2)第2ゾーンにおいて、スクリュの山部とシリンダー内壁との間の隙間およびスクリュの隣接する山部と山部との間の隙間に、溶融ポリエステル樹脂が充満してマテリアルシールを形成しながら(そのために、スクリュの山部に切り欠き12を設けることがある)、シリンダー内の樹脂圧力が高められ、(3)第3ゾーンにおいて、溶融ポリエステル樹脂を表面積拡大状態になるように押出し、ポリエステル中の水分を蒸発させて乾燥された溶融ポリエステル樹脂が得られ、(4)第4ゾーンにおいて、乾燥された溶融ポリエステルに改質剤を加えて高粘度溶融ポリエステルが得られる。ついで、(5)第5ゾーンは、3つのセクションに分けられ、5−1セクションにおいて、高粘度溶融ポリエステルは、第2ゾーンのスクリュ形状と同様の形状を有するマテリアルシール部12で加圧された後、5−2セクションにおいて、減圧されることにより、改質剤との反応により生じた水分が除去され、5−3セクションにおいて、カーボンナノチューブが均一に分散した高粘度溶融ポリエステルが成形装置のダイに供給される。とくに、第2ゾーンにおいて、シリンダー内樹脂圧力を、30Kg/cm2以上の高圧にして、水分含有の回収ポリエステル樹脂を加圧し、第3ゾーンにおいて、シリンダー内樹脂圧力を、0.5Kg/cm2以下に急速減圧することにより、回収ポリエステル樹脂に含まれる水分を蒸発させてポリエステルを水分含有率100ppm以下、好ましくは50ppm以下の乾燥状態とすることができる。
(フィルム成形)
改質剤を供給されたポリエステル樹脂は、所定の押出圧力に高められて、吐出部から定量吐出されながら、フィルムを成形するT-ダイ等を備えた成形装置に供給され、公知の技術によりフィルムに成形される。本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂100重量部、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤0.1〜3重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)およびカーボンナノチューブ0.01〜2重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)から構成され、フィルム厚みは5〜100μmの範囲内にあることが実用上好ましい。ダイから成形されたフィルムは、さらに延伸配向を行ってもよく、未延伸未配向でも実用的に用いられる。とくに、回収ポリエステル樹脂に改質剤により架橋が導入されるとともにカーボンナノチューブの導入により、フィルムの機械的性質が顕著に向上し、未延伸未配向でも実用可能な機械的性質を有する。もちろん、カーボンナノチューブの配合により、得られたフィルムの電気伝導度および熱伝導度も向上している。
本発明のフィルムは、上記の構成成分以外に、顔料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、無機系微粒子、ガラス繊維など公知の添加物を含んでいてもよい。得られたカーボンナノチューブを含有する本発明のフィルムは、単体として優れた機械的性質、電気伝導性、または熱伝導性を必要とする種々の用途に用いることができるが、他のプラスチックフィルムと積層した積層フィルムとして各種包装材料等に用いることもできる。
(1)ポリエチレンテレフタレート樹脂
オールウエストリサイクル社製の回収ポリエチレンテレフタレート樹脂フレークを入手して、140℃、3日間予備乾燥を行い、水分含有率を50ppm以下としたものを用いた。
(2)カーボンナノチューブ
ナノシル製のカーボンナノチューブを、両性界面活性剤[(3−(N、N−ジメチルステアリルアンモニオ)プロパンスルフォネート)と安定剤(グリセロール)とを加えた溶液に浸漬攪拌して、カーボンナノチューブの分散液を作成した。
(3)カーボンナノチューブ付着樹脂
カーボンナノチューブ分散液に、カーボンナノチューブを浸漬乾燥して、カーボンナノチューブ0.8wt%付着したポリエチレンテレフタレート樹脂フレークを作成した。
(4)エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤
エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤として、東亞合成株式会社製「ARUFON」XGM4035を使用し、樹脂に対して1重量%加えた。
(5)押出機供給原料の調整
カーボンナノチューブ付着量が所定量となるように、前記のカーボンナノチューブ付着樹脂フレークとカーボンナノチューブの付着を行っていない樹脂フレークとを混合して得られる樹脂フレークとエポキシ基含有アクリル系樹脂改質剤(樹脂フレークに対して1重量%)が供給されて樹脂と混合された。
(6)フィルムの作成
上記により調整された原料は、押出機により溶融され、改質剤により溶融粘度が向上して、ダイから押出されてフィルム(フィルム厚さ;45μm)に成形された。
(7)強度測定試料
幅35mm、長さ10cmの細長試料を作成し、長さ方向の1端から2cmの位置に外径8mmのホールパンチを形成し、このホールパンチ部分を金具に引っ掛けて引張り、ホールパンチ部分が破断する強度を求めた。
(8)強度測定装置
(株)東洋精機製作所製のストログラフV1-Cを使用して、引張速度300mm/minで引張強度の測定を行い、破断強度を求め、フィルム膜厚との比を求め、表1に示した。
(9)カーボンナノチューブの配合量を変えて、テストをした結果、カーボンナノチューブを配合していない場合に比べて、少量の配合でも、機械的性質の向上効果が顕著である。
Figure 2011148877
本発明により、使用後廃棄されたペットボトル等から、ポリエチレンテレフタレート樹脂を回収して、再度、高機能性樹脂として再利用を行うことができるので、環境対策として産業上重要であり、ポリエステル樹脂の回収、カーボンナノチューブの利用、アクリル系樹脂改質剤の利用、フィルム成形と種々の分野に関連した産業上の利用性を有する。
1 押出機
2 押出機本体
3 樹脂供給部
4 改質剤供給部
5 ベント口
6 ベント口
7 真空装置
8 凝縮装置
9 樹脂出口
10 シリンダー
11 回転スクリュ
12 マテリアルシール部(切り欠き)

Claims (2)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤0.1〜3重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)およびカーボンナノチューブ0.01〜2重量部(対ポリエチレンテレフタレート樹脂)から構成されるポリエチレンテレフタレートフィルム。
  2. 回収ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融し、溶融された樹脂をダイから押出してフィルムに成形する、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂からフィルムを製造する方法において、
    ポリエチレンテレフタレート樹脂100重量部に対して、カーボンナノチューブ0.01重量部〜2重量部を配合し、カーボンナノチューブを配合したポリエチレンテレフタレート樹脂を押出機に供給し、
    押出機中において、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂を溶融しながら、エポキシ基を含有するアクリル系樹脂改質剤を0.1〜3重量部加えてダイに供給し、
    溶融ポリエチレンテレフタレート樹脂をダイから押出して、フィルムを形成することを特徴とする、回収ポリエチレンテレフタレート樹脂からフィルムの製造方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105348749A (zh) * 2015-12-15 2016-02-24 湖南工业大学 一种嵌入式微处理器散热封装材料

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